説明

ホログラム装置及びその符号化/復号化方法

【課題】符号化を適切に行うことでホログラム再生品位を向上させる。
【解決手段】可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置において、中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、符号化処理部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム装置及びその符号化/復号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータがホログラムとして記録されるホログラム記録用媒体としては、例えばガラス基板で光感受性樹脂(例えば、フォトポリマー)を封止して設けられたものがある。ホログラム記録用媒体にデジタルデータをホログラムとして記録させる場合、まず、レーザー装置からの可干渉性のレーザービームをPBS(Polarization Beam Splitter)にて2つのレーザービームに分離する。そして、一方のレーザービーム(以下、『参照ビーム』と称する。)と、デジタルデータが2次元濃淡画像パターンとして形成されたSLM(Spatial Light Modulator;空間光変調器)に他方のレーザービームを照射させることで当該画像パターンの情報が反映されたレーザービーム(以下、『データビーム』と称する。)を、ホログラム記録用媒体に所定角度をもって照射させることで、デジタルデータがホログラム記録用媒体に記録されることとなる。
【0003】
詳述すると、ホログラム記録用媒体を構成する光感受性樹脂は、有限数のモノマー(Monomer)を有し、参照ビームとデータビームとからなるレーザービーム(以下、レーザービームと略する)が照射されることにより、当該レーザービームの光量及び照射時間からなるエネルギーに応じてモノマーがポリマー(Polymer)と変化する。そして、このモノマーがポリマーに変化することにより、レーザービームのエネルギーに応じたポリマーからなる干渉縞が形成されることとなる。よって、この干渉縞がホログラム記録用媒体中に形成されることで、デジタルデータがホログラムとして記録されることとなる。その後、モノマーが消費された所へと残ったモノマーが移動(拡散)し、さらに、レーザービームが照射されることによって、ポリマーへと変化する。なお、ホログラム記録用媒体中において、レーザービームのエネルギーに応じてモノマーがポリマーへと変化するときの様子を模式的に示した図を図15に示す。
【0004】
また、ホログラム記録用媒体に記録させるデジタルデータが大量の場合、参照ビームのホログラム記録用媒体への入射角を変えることによって多数のホログラムを形成する、所謂角度多重記録を行うことが可能である。例えば、ホログラム記録用媒体へ形成された1つのホログラムをページと称し、多数のページからなる多重ホログラムをブックと称する。図16は、角度多重記録におけるブックとページを模式的に示した図である。図16に示すように、角度多重記録においては、1つのブックに対して、参照ビームの入射角を変えることによって、例えば10ページのホログラムが形成される。このように、角度多重記録によって、大量のデジタルデータを記録できる。
【0005】
また、ホログラム記録用媒体からデジタルデータを再生する場合、当該デジタルデータを示す干渉縞に、当該干渉縞が形成されたときと同じ入射角で参照ビームを照射し、当該干渉縞にて回折された参照ビーム(以下、再生ビームという)を、イメージセンサ等で受光する。イメージセンサ等で受光した再生ビームは、前述したデジタルデータを示す2次元濃淡画像パターンとなる。そして、2次元濃淡画像パターンからデジタルデータをデコーダ等で復号化することで、デジタルデータを再生できる。
【0006】
ところで、ホログラム記録の場合、ホログラム記録用媒体へと記録対象のデジタルデータが2次元ビット配列として符号化される。例えば、2次元ビット配列において、ホログラム記録用媒体に対して干渉を起こさせるための「明点(濃)」の輝度を“1”で表現し、ホログラム記録用媒体に対して干渉を起こさせないための「暗点(淡)」の輝度を“0”で表現する。また、デジタルデータの符号化の際には、誤り訂正符号としての冗長ビットが一般的に付与される。そして、2次元ビット配列をもとにSLMにおいて形成された2次元濃淡画像パターンが、ホログラムとして記録されることとなる。
【0007】
一方、ホログラム再生の場合、CCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサにおいて、ホログラム記録用媒体に記録された2次元濃淡画像パターンがキャプチャされる。このキャプチャ画像パターンは、ホログラム記録時の2次元濃淡画像パターンを再現したものであり、一般的には、ホログラム記録時と同様の画像サイズとなる。また、キャプチャ画像パターンが、2次元ビット配列、デジタルデータの順に復号化される。
【0008】
このように、ホログラム記録用媒体に対してホログラムの記録再生を行うホログラム記録再生装置としては、例えば、以下の特許文献1の図1に開示される。
【特許文献1】特開2004−177958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ホログラム再生時におけるキャプチャ画像パターンの画素の輝度(濃淡)は、本来、明点若しくは暗点にモノクロ2階調表現されるところ、明点が暗くなって出現する場合や、暗点が明るくなって出現する場合がある。すなわち、キャプチャ画像パターンの画素の輝度は、モノクロ多諧調表現されることとなる。ここで、キャプチャ画像パターンの画素の輝度対その出現頻度をヒストグラム表示したものを図17に示す。
【0010】
図17において、領域Aは本来暗点であるべき画素の分布であり、領域Bは本来明点であるべき画素の分布である。なお、領域Bが領域Aより分散する理由は、明点であるべき画素は、暗点であるべき画素よりも、回折の影響によって輝度が大きく変化するからである。また、ここで問題となるのは、領域Cに分布する画素である。領域Cに分布する画素は、明点若しくは暗点の輝度に分離することが困難な画素を示している。よって、領域Cに分布する画素の輝度は、明点から暗点へと、あるいは、暗点から明点へと、誤って識別される恐れがある。
【0011】
このように、明点と暗点の分離性が悪化する現象としては、例えば、つぎのような要因が挙げられる。
まず、第1の要因として、光学系における収差が挙げられる。光学系における収差は、例えば、レンズの収差(球面収差、コマ収差、非点収差、波面収差等)や、光学系の配設位置のズレによって出現する。
【0012】
第2の要因として、振動が挙げられる。ホログラム記録の場合、データビームと参照ビームは高精度な入射角が要求されており、ホログラム記録用媒体へこれらのビームが入射している間は、基本的に振動が許されない。万が一、振動が発生した場合、ホログラム記録用媒体上に正確に干渉縞が形成されなくなる。
【0013】
第3の要因として、イメージセンサの光セルのセンシング能力が挙げられる。イメージセンサを構成する光セル同士を接続するための配線が必ず必要となる。また、イメージセンサの光セル全てが適切なセンシング能力を有しているわけではなく、光セル同士の配線領域にレーザービームが受光されることがあれば、光セルの受光量は当然のことながら小さくなる。
【0014】
第4の要因として、レーザービームの回折現象が挙げられる。レーザービームの照射対象に光遮蔽領域と光透過領域が含まれる場合、レーザービームは必ず回折することとなる。そのため、レーザービームが光遮蔽領域と光透過領域のエッジ(境界)から離れて照射される場合には回折は小さくなる。一方、レーザービームがエッジに近い位置に照射される場合には回折は大きくなる。所謂、光の雪崩効果といわれる現象が発生する。したがって、SLM又はイメージセンサにおいて、明点が連続する領域は、エッジの影響が小さいため、回折量は小さくなり、この結果、明るくなる。一方、明点が不連続な領域は、エッジの影響が大きいため、回折量は大きくなり、この結果、暗くなる。
【0015】
第5の要因として、イメージセンサ等が発生する電気的なノイズや、迷光成分によるノイズが挙げられる。
【0016】
そこで、前述した第1乃至第5の要因のいずれかの対策を施すことによって、明点と暗点の分離性が改善することになる。しかしながら、光学系における収差(第1の要因)やイメージセンサの光セルのセンシング能力(第3の要因)の問題は、製造工程における製造バラツキに起因した現象であり、振動(第2の要因)、レーザービームの回折(第4の要因)、ノイズ(第5の要因)の問題は、それぞれ偶発的に発生する現象である。このため、前述した第1乃至第5の要因についての事前且つ汎用的な対策は困難である場合が多い。
【0017】
それゆえ、ホログラム再生時における明点と暗点の分離性を事前且つ汎用的に改善すべく、ホログラム記録の際には、前述したように、誤り訂正符号としての冗長ビットを付与する符号化が一般的に行われる。しかしながら、ホログラム記録用媒体において消費されるモノマーは有限数であるため、誤り訂正符号のような冗長ビットの記録は極力抑える必要があり、また、誤り訂正符号化の改善には限界がある。さらに、誤り訂正符号自体、前述した第1乃至第5の要因によって、明点と暗点の分離性が悪く、誤り訂正が適切に行われない恐れもある。
【0018】
このように、ホログラム記録の際に、ホログラム記録用媒体へ2次元濃淡画像パターンを如何に記録するか、すなわち、ホログラム記録用媒体へ記録対象のデータの符号化を如何に適切に行うかが重要な課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した課題を解決するための主たる本発明は、可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置において、中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、符号化処理部を有することとする。
【0020】
また、前述した課題を解決するためのその他の本発明は、可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置において、記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、前記配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量を、前記特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、符号化処理部を有することとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、符号化を適切に行うことでホログラム再生品位を向上させたホログラム装置及びその符号化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<ホログラム装置の全体構成>
図1をもとに、本発明の一実施形態に係るホログラム装置の構成について説明する。
【0023】
ホログラム装置は、CPU1、メモリ2、インタフェース3、接続端子4、バッファ5、再生・記録判別部6、エンコーダ7、SLM9、レーザー装置10、第1シャッター11、第1シャッター制御部12、PBS13、第2シャッター14、第2シャッター制御部15、ガルボミラー16、ガルボミラー制御部17、ダイクロックミラー18、サーボレーザー装置19、スキャナレンズ20、フーリエ変換レンズ21、26、ディテクタ23、ディスク制御部24、ディスク駆動部25、イメージセンサ27、イメージセンサ制御部28、フィルタ29、デコーダ30、1/2波長板31を有する。
【0024】
インタフェース3は、接続端子4を介して接続されるホスト機器(パーソナルコンピュータ、ワークステーション等)と、ホログラム装置と、の間のデータ授受を行う。
【0025】
バッファ5は、ホログラム記録用媒体22に記録されているホログラムを再生するためのホスト機器からの再生指示データが記憶される。また、バッファ5は、ホスト機器からのビット列データをホログラム記録用媒体22に記録させるための記録指示データが記憶される。更に、バッファ5は、ホログラム記録用媒体22に記録させるビット列データが記憶される。
【0026】
再生・記録判別部6は、バッファ5に再生指示信号又は記録指示信号が記録されているか否かを所定のタイミングで判別する。再生・記録判別部6は、バッファ5に再生指示データが記憶されていると判別すると、ホログラム装置にて再生処理を実行するための指示信号をCPU1に送信する。また、再生・記録判別部6は、バッファ5に記録指示データが記憶されていると判別すると、ホログラム装置にて記録処理を実行するための指示信号をCPU1に送信し、ホスト機器からのホログラム記録用媒体22に記憶させるデータをエンコーダ7に送信させる。更に、再生・記録判別部6は、ホログラム記録用媒体22に記憶させるデータ量の情報をCPU1に送信する。
【0027】
エンコーダ7は、本発明に係る『符号化処理部』の一実施形態である。すなわち、エンコーダ7は、まず、バッファ5から転送されたビット列データをSRAMやDRAM等のメモリ71へと記憶する。なお、メモリ71において、ビット列データが2次元データへと配列される。そして、エンコーダ7は、メモリ71に記憶された2次元データに対して本発明に係る符号化処理を行う。そして、本発明に係る符号化処理が施された2次元データは、最終的に、変調コードの配列パターンである変調画像データ(例えば縦1280ビット×横1280ビット≒1.6メガビット)へと変換されてSLM9へと供給される。なお、本発明に係る符号化処理の詳細な説明は後述する。
【0028】
SLM9は、エンコーダ7より供給された変調画像データに基づいた2次元濃淡画像パターンを形成する。2次元濃淡画像パターンとは、例えば、変調画像データを構成する各ビットの一方のビット値(例えば、“1”)を明点(濃)に、他方のビット値(例えば、“0”)を暗点(淡)に設定したものである。ここで、SLM9が、約1.6メガビットの変調画像データを、縦1280ピクセル×横1280ピクセルのドットパターンを表現することとなる。また、SLM9は、後述するように、レーザー装置10からのレーザービームが入射されるとフーリエ変換レンズ21へと反射する。この反射されたレーザービームは、SLM9にて形成された2次元濃淡画像パターンの情報が反映されたレーザービーム(以下、『データビーム』と称する。)となる。なお、図1に示すように、PBS13からの他方のレーザービームが直接的にSLM9に入射される場合に限らない。例えば、第2シャッター14とSLM9との光路上にPBS(不図示)を設けて、そのPBSから分離したレーザービームがSLM9に入射される場合としてもよい。
【0029】
レーザー装置10は、時間的コヒーレンス、空間的コヒーレンスに優れた可干渉性のレーザービームを第1シャッター11に出射する。レーザー装置10としては、ホログラムをホログラム記録用媒体22に形成すべく、例えば、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンネオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、半導体レーザー、色素レーザー、ルビーレーザー等が用いられる。
【0030】
CPU1は、ホログラム再生装置を統括制御する。CPU1は、再生・記録判別部6からの記録指示データに基づく指示信号を受信すると、メモリ2から既にホログラム記録媒体22に形成されているピットからアドレス情報を読出す。そして、CPU1は、サーボレーザー装置19からのレーザービーム(以下、『サーボレーザービーム』と称する。)を、次のアドレス情報を示すホログラム記録媒体22に設けられたピットに照射させるべく、ホログラム記録媒体22を回転させるための指示信号をディスク制御部24に送信する。また、CPU1は、ガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整を実行させるべく、当該ガルボミラー制御部17に指示信号を送信する。
【0031】
さらに、CPU1は、再生・記録判別部6からのデータ量の情報に基づいて、ホログラム記録媒体22に形成されるホログラムの数(つまり、ページ数)を算出する。また、CPU1は、第1シャッター制御部12、第2シャッター制御部15に、第1シャッター11、第2シャッター14をそれぞれ開状態とするための指示信号を送信する。この結果、ホログラム記録媒体22へのホログラム記録が開始される。そして、CPU1は、記録指示データに基づく記録処理が終了した場合、第1シャッター制御部12と第2シャッター制御部15に対して、第1シャッター11と第2シャッター14をそれぞれ閉状態とするための指示信号を送信する。この結果、ホログラム記録媒体22へのホログラム記録が終了する。
【0032】
一方、CPU1は、再生・記録判別部6からの再生指示データに基づく指示信号を受信すると、ホログラム記録媒体22に形成されている当該再生指示信号に応じたアドレス情報を示すピットに対して、サーボレーザー装置19からのサーボレーザービームを照射させるべく、ホログラム記録媒体22を回転させるための指示信号をディスク制御部24に送信する。さらに、CPU1は、再生指示データに基づく指示信号を受信すると、第1シャッター制御部12に第1シャッター11を開状態とするための指示信号を送信するとともに、第2シャッター制御部15に第2シャッター14を閉状態とするための指示信号を送信する。また、CPU1は、ガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整を実行させるべく、当該ガルボミラー制御部17に指示信号を送信する。この結果、ホログラム記録媒体22からのホログラム再生が開始される。そして、CPU1は、再生指示データに基づく再生処理において所定時間が経過したと判別すると、第1シャッター制御部12に第1シャッター11を閉状態とするための指示信号を送信する。この結果、ホログラム記録媒体22からのホログラム再生が終了する。なお、CPU1は、DSP28からの判別結果に基づく信号より再生処理を終了する場合もある。
【0033】
第1シャッター制御部12は、CPU1からの指示信号に基づいて、第1シャッター11を開状態又は閉状態とするための制御を行う。また、第1シャッター制御部12は、イメージセンサ制御部28からの指示信号に基づいて、第1シャッター11を閉状態とするための制御を行う。第1シャッター制御部12は、第1シャッター11を開状態とするとき、第1シャッター11に開状態指示信号を送信する。また、第1シャッター制御部12は、第1シャッター11を閉状態とするとき、第1シャッター11に閉状態指示信号を送信する。
【0034】
第1シャッター11は、第1シャッター制御部12からの開状態指示信号に基づいて開状態となる。或いは、第1シャッター11は、第1シャッター制御部12からの閉状態指示信号に基づいて閉状態となる。第1シャッター11が閉状態となると、レーザー装置10からのレーザービームの1/2波長板31への入射が遮断されることとなる。
【0035】
1/2波長板31は、レーザー装置10からのレーザービームがPBS13へ入射される角度を定めるために、所定の傾きで設けられる。なお、1/2波長板31の所定の傾きは、PBS13において2つのレーザービームに分離される割合を所望の割合とすべく、定められる。
PBS13は、1/2波長板31からのレーザービームを2つのレーザービームに分離する。PBS13にて分離された一方のレーザービームは、第2シャッター14に入射される。また、他方のレーザービーム(以下、『参照ビーム』と称する。)は、ガルボミラー16に入射される。
【0036】
ガルボミラー16は、PBS13からの参照ビームをダイクロックミラー18へ反射する。
ガルボミラー制御部17は、CPU1からの指示信号に基づいて、ガルボミラー16にて反射された参照ビームがダイクロックミラー18やスキャナレンズ20を介してホログラム記録用媒体22に入射される角度を調整すべく、当該ガルボミラー16の角度を制御する。ホログラム記録用媒体22への記録時において、このガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整は、ホログラム記録用媒体22に2次元濃淡画像パターンの情報をホログラムとして記録させるために行われる。
【0037】
詳述すると、データビームと参照ビームがホログラム記録用媒体22内で干渉されることにより三次元の干渉縞(ホログラム)が形成される。つまり、このホログラム記録用媒体22にホログラムが形成されることによって、SLM9で設定された2次元濃淡画像パターンの情報が記録されることとなる。また、カルボミラー制御部17は、カルボミラー16の角度を調整、すなわち、参照ビームのホログラム記録用媒体22への入射角を変えることで、角度多重記録を可能としている。以下、ホログラム記録用媒体22に形成された1つのホログラムをページと称し、角度多重記録にて多数のページが重なってなる多重記録ホログラムをブックと称する。
【0038】
また、ホログラム記録用媒体22からの再生時において、カルボミラー制御部17は、ホログラム記録用媒体22に形成されたホログラムに参照ビームを入射させるべくガルボミラー16の角度を制御する。このカルボミラー制御部17による再生時のカルボミラー16の角度調整は、再生させるためのデータに基づいて形成されたホログラムに対して、当該再生させるためのデータがホログラムとして形成されたときの参照ビームの入射角と同じ角度で当該参照ビームをホログラムに入射させるべく実行される。
【0039】
サーボレーザー装置19は、ホログラム記録用媒体22に設けられたピットを照射することによって、当該ピットが示すアドレス情報に基づいて、当該ホログラム記録用媒体22に形成されたホログラムの位置を検出すべく、サーボレーザービームをダイクロックミラー18に出射する。サーボレーザー装置19から出射されるサーボレーザービームは、ホログラム記録用媒体22に形成されたホログラムに影響ない所定波長のビームである。なお、本実施形態においては、レーザー装置10から出射されるレーザービームに青色レーザービームを使用し、当該青色レーザービームよりも長い波長である赤色レーザービームをサーボレーザービームとして使用するものとする。
【0040】
サーボレーザー装置19からのサーボレーザービームの出射は、例えば、ホログラム装置が起動開始するとともにサーボレーザービームの出射を開始し、当該ホログラム装置が起動している間、サーボレーザービームを出射し続けるものである。しかしながら、サーボレーザー装置19はサーボレーザービームを出射し続けるものとしているが、これに限定するものではない。例えば、ホログラム装置によるホログラム記録用媒体22へのデータの記録時には、当該ホログラム記録用媒体22は停止状態となる。そのため、サーボレーザービームのピットへの照射が必ずしも必要とされない期間では、サーボレーザー装置19によるサーボレーザービームの照射を停止するようにしても良い。この結果、サーボレーザー装置19のサーボレーザービームの出射に係る負荷を減じることができる。
【0041】
ダイクロックミラー18は、ガルボミラー16にて反射された参照ビームを透過してスキャナレンズ20へと入射させるものである。また、ダイクロックミラー18は、サーボレーザー装置19から出射されたサーボレーザービームを反射してスキャナレンズ20へと入射させるものである。
【0042】
スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18を介して入射されるガルボミラー制御部17にて角度調整されたガルボミラー16からの参照ビームを、ホログラム記録用媒体22に確実に照射させるべく当該参照ビームを屈折させる。また、スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18にて反射させたサーボレーザー装置19からのサーボレーザービームを、ホログラム記録用媒体22に入射させる。
【0043】
第2シャッター制御部15は、CPU1からの指示信号に基づいて、第2シャッター14を開状態又は閉状態とするための制御を行う。第2シャッター制御部15は、第2シャッター14を開状態とするとき、第2シャッター14に開状態指示信号を送信する。また、第2シャッター制御部15は、第2シャッター14を閉状態とするとき、第2シャッター14に閉状態指示信号を送信する。
【0044】
第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの開状態指示信号に基づいて開状態となる。或いは、第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの閉状態指示信号に基づいて閉状態となる。第2シャッター14が閉状態となると、PBS13にて分離された一方のレーザービームのSLM9への入射が遮断されることとなる。なお、第2シャッター14は、SLM9からフーリエ変換レンズ21を介してホログラム記録用媒体22へ入射されるデータビームの光路上に設けてもよい。
【0045】
フーリエ変換レンズ21は、SLM9からのデータビームを集光しつつ、当該データビームに対してフーリエ変換処理を施した後にホログラム記録用媒体22に入射させるものである。
【0046】
ホログラム記憶媒体22は、データをホログラムとして記憶可能な光感受性樹脂(例えば、フォトポリマー・銀塩乳剤・重クロム酸ゼラチン・フォトレジスト等)が用いられ、当該光感受性樹脂をガラス基板で封止して構成されている。ホログラム記録用媒体22には、フーリエ変換レンズ21からの2次元濃淡画像パターンを示すフーリエ変換されたデータビームと、スキャナレンズ20からの参照ビームとの干渉からホログラムが形成される。そして、ホログラム記録用媒体22は、ガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整が行われ、当該角度調整後のガルボミラー16からの参照ビームとデータビームとの干渉によりホログラムが再び形成されることにより角度多重記録が行われブックが形成される。
【0047】
また、ホログラム記憶媒体22を構成するガラス基板には、例えば予めウォブル(Wobble)が形成されており、当該ホログラム記憶媒体22に形成されるホログラムの位置を定めるためのアドレス情報が、ピットとして当該ウォブルに予め形成されている。そして、スキャナレンズ20から入射されるサーボレーザー装置19からのサーボレーザービームがアドレス情報を示すピットに照射される。アドレス情報を示すピットを照射した後のサーボレーザービームは、ディテクタ23に入射される。
【0048】
フーリエ変換レンズ26は、ホログラム再生時において、ホログラム記録用媒体22に対して参照ビームが入射された際に、ホログラム記録用媒体22に記録されたホログラムによって回折されたビーム(以下、再生ビームという)が入射される。なお、ホログラム再生時の参照ビームの入射角は、その再生対象となるホログラム記録時の参照ビームの入射角と同一であることが要求される。そして、フーリエ変換レンズ26は、逆フーリエ変換が施された再生ビームを、イメージセンサ27へと出射する。
【0049】
イメージセンサ27は、フーリエ変換レンズ26より逆フーリエ変換された再生ビームが入射される。イメージセンサ27は、例えばCCDセンサやCMOSセンサから構成されており、当該再生ビームからSLM9において設定された2次元濃淡画像パターンを再現させる。以下では、この再現された2次元濃淡画像パターンのことをキャプチャ画像パターンと称することとする。イメージセンサ27は、イメージセンサ制御部28からの指示信号に基づいて、キャプチャ画像パターンの明暗(濃淡)レベルを電気信号の強弱レベルへと変換する。そして、キャプチャ画像パターンの明暗の光量に応じたアナログ量の変調画像データをフィルタ29へと供給する。なお、本実施形態において、イメージセンサ制御部28においてイメージセンサ27に所定の光量以上の再生ビームが照射された旨が判別された場合、イメージセンサ制御部28は、第1シャッター制御部12に第1シャッター11を閉状態とするための指示信号を送信することとする。
【0050】
また、本実施形態においては、SLM9とイメージセンサ27は、同一画像サイズ(例えば、1280ピクセル×1280ピクセル)のパターンを形成可能とする。なお、本実施形態においては、SLM9とイメージセンサ27は、同一画像サイズのパターンを形成可能とするがこれに限るものではない。例えば、イメージセンサ27の画像サイズをSLM9の画像サイズより大きく設定してもよい。イメージセンサ27の画像サイズをSLM9の画像サイズより大きく設定することによって、フーリエ変換レンズ26からの再生ビームが、イメージセンサ27に確実に照射されることとなり、SLM9において設定された2次元濃淡画像パターンの再現を確実に行うことが可能となる。また、イメージセンサ制御部28によるイメージセンサ27の所定位置への移動処理が、高精度で要求されることを軽減することが可能となる。
【0051】
フィルタ29は、デコーダ30による2値化処理の分離性を高めるべく、イメージセンサ27から供給されたアナログ量の変調画像データに対してフィルタ処理を行う。つまり、イメージセンサ27にて取り込まれたキャプチャ画像パターンは、データビームや再生ビーム等が受けるノイズなどにより、SLM9において設定された2次元濃淡画像パターンと比較して、明点と暗点の分離性が悪化する場合がある。この場合、アナログ量の変調画像データが、明点を示すレベルであるか、暗点を示すレベルであるかをデコーダ30にて適切に判別できず、2値化処理が適切に行われないこととなる。そこで、フィルタ29は、自身のフィルタ処理として、アナログ量の変調画像データのレベル補正を行う。
【0052】
なお、本実施形態においては、フィルタ29とデコーダ30の間に2値化処理部(不図示)を設けられ、フィルタ29においてフィルタ処理が施された変調画像データの2値化処理が行われる。そして、2値化されたデジタル量の変調画像データが、デコーダ30へと供給されるものとする。
【0053】
デコーダ30は、本発明に係る『復号化処理部』の一実施形態である。デコーダ30は、フィルタ29からの変調画像データに対して本発明に係る復号化処理を行う。なお、本発明に係る復号化処理の詳細な説明は後述する。
【0054】
ディテクタ23は、サーボレーザー装置19からのサーボレーザービームが、ホログラム記録用媒体22に形成されたアドレス情報を示すピットを照射した後の当該サーボレーザービームが入射される。ディテクタ23は、例えば、4分割フォトダイオードから構成され、当該4分割フォトダイオードが検出するサーボレーザービームの光量情報をディスク制御部24に送信する。また、ディテクタ23は、アドレス情報を示すピットを照射したサーボレーザービームに基づいて、当該アドレス情報をCPU1に送信する。
【0055】
ディスク制御部24は、ディテクタ23からのサーボレーザービームの光量情報に基づいて、ディスク駆動部25をサーボ制御する。また、ディスク制御部24は、再生(又は記録)時において、CPU1からの指示信号に基づいて、ホログラム記録用媒体22の所望のアドレス情報を示すピットにサーボレーザービームを照射させるべく、ホログラム記録用媒体22を回転させるための指示信号をディスク駆動部25に送信する。また、ディスク制御部24は、前述したブックがホログラム記録用媒体22に形成されたとき、ホログラム記録用媒体22のその他の位置にホログラムを形成させるべく、当該ホログラム記録用媒体22を回転させるための指示信号をディスク駆動部25に送信する。
【0056】
メモリ2は、CPU1が前述した処理を行うためのプログラムデータが予め記憶されている。また、メモリ2は、前述したCPU1からのホログラム記録用媒体22に形成されているピットからのアドレス情報が記憶される。メモリ2は、データを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできる不揮発性記憶素子で構成される。
【0057】
<第1実施形態>
<<符号化>>
===概要===
本発明の第1実施形態に係る符号化の流れを、図2に示すフローチャートをもとに説明する。
【0058】
まず、エンコーダ7は、中央ビットとその周辺ビットによって構成される変調コードと、その変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビット(例えば、3ビットや4ビット)の特徴量コードと、を予め対応づけておく(S200)。なお、この対応づけを示すテーブル情報は、メモリ71に予め記憶されている。
【0059】
なお、中央ビットとは、変調コードより特徴量を抽出するための基準となるビットであり、通常1ビットに設定されるが、これに限定されるものではない。また、中央ビットの周辺ビットとしては、通常1ビットの中央ビットに近接している8ビットに設定されるが、これに限定されるものではなく、中央ビット近傍に位置するビットに設定されてもよい。
【0060】
また、変調コードは、例えば、1ビットの中央ビットと、8ビットの周辺ビットによって構成される3ビット×3ビットのビット配列となる。変調コードの特徴量とは、変調コードが有する特徴、例えば、“0/1”の分布度合い、“0/1”夫々の総数、“0/1”の境界(エッジ)等を複数ビットを用いて数量化したものである。例えば、特徴量コードを3ビット表現とした場合、変調コードより抽出される特徴量は2の3乗(=8)とおり表現できる。なお、以下では、このような変調コードの特徴量を数量化すべく、中央ビットに対する周辺ビットの状態変化の度合いを示す微分量を採用することとする。
【0061】
エンコーダ7は、バッファ5より転送された記録対象となるシリアルのビット列データ(例えば、m×nビット)をメモリ71に記憶する。そして、エンコーダ7は、まず、メモリ71に記憶されたビット列データに対して誤り訂正符号の付与やスクランブル処理等の既存の符号化処理を行う。
【0062】
つぎに、エンコーダ7は、メモリ71に記憶されたビット列データを複数ビット毎に分割して読み出しを行う(S201)。そして、エンコーダ7は、分割した複数ビット夫々を、夫々が表現する特徴量コードに予め対応づけられた変調コードへと符号化を行う(S202)。この結果、エンコーダ7は、符号化を行った変調コード夫々に基づいて、SLM9において2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成することとなる(S203)。
【0063】
なお、変調画像データは、変調コードを2次元に配列したデータである。また、この配列順序は、例えば、所謂インタリーブ処理のようにランダム性を有した順番とする。この結果、固定な記録画像パターンが形成されることを防止することができ、ホログラム記録/再生品位が向上することとなる。
【0064】
このように、本発明の第1実施形態に係る符号化において、記録対象のビット列データより分割した複数ビット夫々が、最終的に、2次元濃淡画像パターンを設定するための変調コードへと符号化されることとなる。ここで、例えば、1ビットの中央ビットとそれに近接する2ビットの周辺ビットで構成された3ビットの変調コードの場合とし、さらに、2次元濃淡画像パターンにおける画素の明点を“1”で表現し、2次元濃淡画像パターンにおける画素の暗点を“0”として表現する場合を考える。
【0065】
この場合、“110”、“011”、“001”、“100”のように、2次元濃淡画像パターンにおける隣り合う画素が、明点若しくは暗点を連続して示す場合が起こり得る。この結果、ホログラム再生時の回折光(再生ビーム)において、明点及び暗点を示す再生ビームの光束面の面積が大きくなる可能性が高くなる。すなわち、光の回折等の要因に伴って、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンの明点及び暗点の状態量が変化するが、その変化量(輝度変化の度合い)を小さくできる可能性が高くなる。それゆえ、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンにおいて、その明点と暗点の分離性が高くなり、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0066】
また、本発明の第1実施形態に係る符号化において、記録対象のビット列データより分割される複数ビットは、その複数ビットが表現する特徴量コード、ひいては変調コードへと対応づけられる。ここで、変調コードのビットパターンに応じて抽出される各特徴量は、その性質上、互いに識別が容易なものである。このため、光の回折等の要因によってキャプチャ画像パターンの一画素の明点が暗くなる場合があっても、その一画素の状態変化が全体に与える影響を小さくすることができる。それゆえに、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0067】
===変調コードの特徴量===
本発明の第1実施形態に係る変調コードの特徴量について詳述する。ここで、本発明の第1実施形態に係る変調コードの特徴量としては、前述したように、中央ビットに対する周辺ビットの状態変化の度合いを示す微分量が採用される。この微分量は、スカラー量若しくはベクトル量として表現されることとなる。例えば、スカラー量として表現される微分量(以下、単に、スカラー量と称する。)は、水平方向又は垂直方向1次空間微分フィルタ、水平方向又は垂直方向Sobelフィルタ、4近傍又は8近傍ラプラシアンフィルタによって演算されるものである。一方、ベクトル量として表現される微分量(以下、単に、ベクトル量と称する。)は、例えば、水平方向及び垂直方向1次空間微分フィルタ、もしくは、水平方向及び垂直方向Sobelフィルタで演算された水平方向成分及び垂直方向成分夫々の微分量によって演算されるものである。なお、前述した水平方向及び垂直方向とは、直交座標系における中央ビットを原点とした2つの座標軸方向のことである。
【0068】
ここで、ベクトル量は、スカラー微分量と比較して、変調コード全体にわたっての状態変化の度合い、すなわち変調コードのビットパターンの特徴を適切に表現したものといえる。そこで、本発明の第1実施形態に係る微分量としては、直交座標系における中央ビットを原点とした2つの座標軸方向夫々についての微分量で表現されるベクトル量を採用することとする。この結果、ホログラム再生時においてキャプチャ画像パターンの一画素の状態変化が、全体に与える影響をより小さくすることができる。それゆえ、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0069】
図4乃至図6をもとに、ベクトル量の抽出方法について説明する。
【0070】
図4は、本発明に係る水平方向及び垂直方向Sobelフィルタ係数を用いたベクトル量の抽出方法を説明する図である。
【0071】
X軸及びY軸で定められる直交座標系において、3×3格子(変調コード)の中央格子が1ビットの中央ビットを表すこととする。ここで、中央格子の座標を(x,y)とした場合、中央ビットはf(x,y)として表現されることとなる。また、中央格子に近接する8つの周辺格子は、8ビットの周辺ビットを表すこととする。同様に、8ビットの周辺ビットは、f(x−1,y−1)、f(x,y−1)、f(x+1,y−1)、f(x−1,y)、f(x+1,y)、f(x−1,y+1)、f(x,y+1)、f(x+1,y+1)とそれぞれ表現されることとなる。
【0072】
ここで、中央ビットと周辺ビットのビット値それぞれに微分フィルタ係数(重み)を乗算し、それらの乗算結果を足し合わせた線形和を演算する。すなわち、この線形和が、中央ビットに対する周辺ビットの状態変化の度合いを示すベクトル量v(x,y)となる。なお、図4に示す例では、前述した微分フィルタ係数として、水平方向及び垂直方向Sobelフィルタ係数を用いた例が示される。
【0073】
まず、水平方向Sobelフィルタ係数は、中央ビットf(x,y)に対する周辺ビットの水平方向(X軸方向)の変化の度合い、すなわちベクトル量v(x,y)のX軸方向成分fxを求めるための3×3の微分フィルタ係数である。なお、この3×3の微分フィルタ係数で表現される水平方向Sobelフィルタ係数は、夫々、3×3格子の中央ビット及び周辺ビットに対応するものである。また、水平方向Sobelフィルタ係数では、中央ビットf(x,y)と同一のY座標を有する周辺ビットf(x−1,y)とf(x+1,y)の微分フィルタ係数が強調されることとなる。ここで、水平方向Sobelフィルタ係数を用いたベクトル量v(x,y)のX軸方向成分fxは、例えば、つぎの(式1)で求まる。
fx=1×f(x+1,y+1)+2×f(x+1,y)+1×f(x+1,y−1)
−1×f(x−1,y+1)−2×f(x−1,y)−1×f(x−1,y−1)
・・・(式1)
【0074】
一方、垂直方向Sobelフィルタ係数は、中央ビットf(x,y)に対する周辺ビットの垂直方向(Y軸方向)の変化の度合い、すなわちベクトル量v(x,y)のY軸方向成分fyを求めるための3×3の微分フィルタ係数である。なお、この3×3の微分フィルタ係数で表現される水平方向Sobelフィルタ係数は、夫々、3×3格子の中央ビット及び周辺ビットに対応するものである。また、水平方向Sobelフィルタ係数では、中央ビットf(x,y)と同一のX座標を有する周辺ビットf(x,y+1)とf(x,y−1)の微分フィルタ係数が強調されることとなる。ここで、垂直方向Sobelフィルタ係数を用いたベクトル量v(x,y)のY軸方向成分fyは、例えば、つぎの(式2)で求まる。
fy=1×f(x−1,y+1)+2×f(x,y+1)+1×f(x+1,y+1)
−1×f(x−1,y−1)−2×f(x,y−1)−1×f(x+1,y−1)
・・・ (式2)
【0075】
ここで、ベクトル量v(x,y)のX軸方向成分fxとY軸方向成分fyを用いて、ベクトル量v(x,y)の大きさ成分|v(x,y)|を三平方の定理により求める。また、ベクトル量v(x,y)の方向成分θをarctan関数により求める。なお、ベクトル量v(x,y)の大きさ成分|v(x,y)|はつぎの(式3)で求まり、ベクトル量v(x,y)の方向成分θはつぎの(式4)で求まる。
|v(x,y)|=√(fx^2+fy^2) ・・・ (式3)
θ =arctan(fy÷fx) ・・・ (式4)
【0076】
このように、ベクトル量v(x,y)は、水平方向及び垂直方向Sobelフィルタ係数を用いて変調コードから抽出されるものである。なお、ベクトル量v(x,y)は、図5で示される水平方向及び垂直方向1次空間微分フィルタ係数を用いて注目画像データから抽出されるようにしてもよい。この場合、ベクトル量v(x,y)のX軸方向成分fx及びY軸方向成分fyは、例えば、つぎの(式5)及び(式6)で求められる。
【0077】
fx=1×f(x+1,y+1)+1×f(x+1,y)+1×f(x+1,y−1)
−1×f(x−1,y+1)−1×f(x−1,y)−1×f(x−1,y−1)
・・・ (式5)
fy=1×f(x−1,y+1)+1×f(x,y+1)+1×f(x+1,y+1)
−1×f(x−1,y−1)−1×f(x,y−1)−1×f(x+1,y−1)
・・・ (式6)
【0078】
図6は、変調コードから抽出されるベクトル量の具体例を示したものである。なお、図6において、図4に示した水平方向及び垂直方向Sobelフィルタ係数が用いられることとする。さらに、図6において、詳細は後述するが、変調コードはベクトル量の方向成分θのみを表現すべく設計したため、ベクトル量の大きさ成分は求めないこととする。
【0079】
まず、中央ビットA(“1”)を有した3×3ビットの変調コードAについて注目する。ここで、変調コードAの各ビット値を前述した式(1)、式(2)及び式(4)に代入することで、ベクトル量のX軸方向成分fx、Y軸方向成分fy、方向成分θは夫々、つぎのように求まることとなる。
fx=1+2+1−0−0−0=4
fy=0+0+1−0−0−1=0
θ=arctan(0÷4)=0(rad)
【0080】
また、中央ビットB(“0”)を有した3×3ビットの変調コードBについて注目すると、変調コードAの場合と同様に、こで、注目画像データBの各ビット値を前述した式(1)、式(2)及び式(4)に代入することで、ベクトル量のX軸方向成分fx、Y軸方向成分fy、方向成分θは夫々、つぎのように求まることとなる。
fx=1+2+1−1−0−0=3
fy=1+2+1−0−0−1=3
θ=arctan(3÷3)=π/4(rad)
【0081】
===特徴量コード===
本発明の第1実施形態に係る変調コードの特徴量を表現した特徴量コードについて説明する。なお、変調コードの特徴量としては、前述したように、ベクトル量が採用される。ここで、ベクトル量の大きさ成分は、変調コードにおける“1”と“0”の比率、すなわち、2次元濃淡画像パターンにおける濃淡比率を表現する。一方、ベクトル量の方向成分θは、変調コードにおける“1”と“0”の分布、すなわち、2次元濃淡画像パターンにおける濃淡の配置傾向を表現する。よって、ホログラム再生時にキャプチャ画像パターンの画素の状態変化が、光の回折等の要因によって大きくなる場合、ベクトル量の大きさ成分は、ベクトル量の方向成分と比較して、大きな影響を受けることとなる。すなわち、本発明に係る変調コードとして、ベクトル量の大きさ成分を表現することはあまり意味をなさない。そこで、変調コードとしては、ベクトル量の方向成分のみを表現することとする。この結果、変調コードの冗長性、すなわち、ビット使用効率が向上することとなる。
【0082】
図7には、ベクトル量の方向成分θと特徴量コードの対応づけの一例を示すものである。
図7に示す例は、前述の演算で求まるベクトル量の方向成分θが、3ビットの特徴量コードと対応づけた場合である。すなわち、前述の演算で求まるベクトル量の方向成分θは、2の3乗(8)とおりの表現に制限される。このため、前述の演算で求まるベクトル量の方向成分θは、“0〜2π(rad)”の範囲を有するものであるが、“0、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2、7π/4(rad)”で区画された8領域のいずれか一つに属することとなる。ここで、前述の演算で求まるベクトル量の方向成分θを区画するための角度は、便宜上、夫々順番に“0〜7”のコードのいずれか一つが付与されることとする。例えば、ベクトル量の方向成分θとして“π/8”が前述の演算で求まる場合、“π/8”は“0〜π/4(rad)”の領域に属し、“0”のコードが付与される。
【0083】
“0〜7”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θ夫々は、図7に示すように、“000、001、010、011、100、101、110、111”の特徴量コードと夫々順番に一意的に対応づけられることとする。例えば、図6に示した例において、変調コードAより抽出されるベクトル量の方向成分θは“0(rad)”であり、“0”のコードが付与される。よって、この“0”のコードが、“000”の特徴量コードと対応づけられることとなる。この結果、記録対象のビット列データを3ビット毎に分割した場合に、この3ビットが“000”であるとき、この“000”は、最終的に、図6に示す変調コードAへと符号化されることとなる。
【0084】
一方、図6に示した例において、変調コードBより抽出されるベクトル量の方向成分θは“π/4(rad)”であり、“1”のコードが付与される。よって、この“1”のコードは、“001”の特徴量コードと対応づけられることとなる。この結果、記録対象のビット列データを3ビット毎に分割した場合に、この3ビットが“001”であるとき、この“001”は、最終的に、図6に示す変調コードBへと符号化されることとなる。
【0085】
なお、ベクトル量の方向成分θと特徴量コードの対応づけは、一意的でなくても勿論良い。例えば、“0〜7”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θに対して、“000、111、001、110、010、101、010、100”の特徴量コードが夫々順番に対応づけられることとなる。また、特徴量コードは必ずしも3ビット表現である必要性はない。特徴量コードを3ビットよりも多ビット表現にすれば、その分、演算されたベクトル量の方向成分θは高精度に表現できる。
【0086】
===変調コード===
図8は、変調コードの一例を示すものである。
図8に示す例において、変調コードは、(2n+1)行×(2n+1)列の2次元ビット配列(但し、nは自然数)として表現される。なお、この2次元ビット配列は、2次元濃淡画像パターンの画素を明点に設定するための一方のビット値(“1”)と、当該画素を暗点に設定するための他方のビット値(“0”)とによって構成されるものである。さらに、変調コードは、2次元ビット配列の外縁に位置する8nビットでベクトル量の8nとおりの方向成分θを表現することとする。なお、図8に示す例では“n=1”の場合であり、変調コードは、3行×3列の2次元ビット配列とし、その2次元ビット配列の中央ビットを除く8ビットでベクトル量の8とおりの方向成分θを表現するものである。
【0087】
ここで、図8に示す3行×3列の2次元ビット配列について、図4に示したように、その中央ビットをf(x,y)と表現し、その周辺ビットをf(x−1,y−1)、f(x,y−1)、f(x+1,y−1)、f(x−1,y)、f(x+1,y)、f(x−1,y+1)、f(x,y+1)、f(x+1,y+1)としてそれぞれ表現することとする。
【0088】
例えば、“0”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、中央ビットf(x,y)から周辺ビットf(x+1,y)への方向、すなわち図4の紙面右方向を表現するものである。よって、“0”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、図4の紙面右方向を、3行×3列の2次元ビット配列(変調コード)中の中央ビットf(x,y)から周辺ビットf(x+1,y)への方向へと対応づけて表現する。よって、中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x+1,y)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0089】
同様に、“1”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面右斜め上方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x+1,y+1)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0090】
同様に、“2”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面上方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x,y+1)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0091】
同様に、“3”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面左斜め上方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x−1,y+1)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0092】
同様に、“4”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面左方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x−1,y)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0093】
同様に、“5”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面左斜め下方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x−1,y−1)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0094】
同様に、“6”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面下方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットm(x,y)と周辺ビットm(x,y−1)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0095】
同様に、“7”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θは、変調コード中の中央ビットf(x,y)を基準として、図4の紙面右方向を表現するものである。このため、変調コード中の中央ビットm(x,y)と周辺ビットm(x+1,y)は、2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。
【0096】
このように、変調コードは、(2n+1)行×(2n+1)列の2次元ビット配列で表現されることとする。また、変調コードは、2次元ビット配列の外縁に位置する8nビットを用いて、ベクトル量の8nとおりの方向成分θを表現することとする。ここで、変調コードのビット数が多ければ多いほど、パターン構成の自由度が高くなり、前述の演算で求まったベクトル量の方向成分θを高精度に表現可能となる。
【0097】
また、変調コードの中央ビットとその周辺ビットが同時に“1”に設定されることで、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンの明点の範囲が大きくなり、明点と暗点の分離性が向上することとなる。さらに、2次元濃淡画像パターンとして明点と暗点をバランスよく配置することも可能であり、有限なモノマーを消費するホログラム記録において、均一な特性が得られる可能性もある。
【0098】
また、変調コードは、図8に示すように、3行×3列の2次元ビット配列で表現され、その中央ビットを除く8ビットを用いて、ベクトル量の8とおりの方向成分θを表現することとする。この結果、冗長性と分離性との間の二律背反関係がバランスよく成立することとなる。
【0099】
また、図8に示す変調コードにおいて、ベクトル量の各方向成分θを表現する際には、当該各方向成分θを示す1ビットと一又は複数の周辺ビットが、2次元濃淡画像パターンの画素を明点に設定するための一方のビット値(“1”)に設定されることとする。すなわち、変調コードは、8nとおりのベクトル量の方向成分を夫々表現する場合、明点を示す一方のビット値(例えば、“1”)を複数近接させることができる。
【0100】
例えば、“0”のコードが付与されたベクトル量の方向成分θでは、3行×3列の2次元ビット配列(変調コード)において、中央ビットf(x,y)と周辺ビットf(x+1,y)の他、周辺ビットf(x+1,y+1)、f(x+1,y−1)についても2次元濃淡画像パターンの明点を示す“1”に設定される。すなわち、3行×3列の2次元ビット配列中において、“1”を示すビットが、中央ビットf(x,y)と、周辺ビットf(x+1,y)、f(x+1,y+1)、f(x+1,y−1)と近接配置される。
【0101】
この結果、ホログラム再生時の回折光(再生ビーム)において、明点を示す再生ビームの光束面の面積が大きくなる可能性が高くなり、回折等の要因に伴う明点の状態変化量を小さくできる可能性が高くなる。それゆえ、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンにおいて、その明点と暗点の分離性が高くなり、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0102】
なお、図8に示す変調コードにおいて、その中央ビットf(x,y)は、2次元濃淡画像パターンの画素を明点に設定するための一方のビット値(“1”)に設定されるが、これに限定されるものではない。すなわち、前述のベクトル量の方向成分θに関する変調コードの表現において、中央ビットf(x,y)は無関係である。
【0103】
そこで、図9に示すように、変調コードの中央ビットf(x,y)が、一方のビット値(“1”)又は他方のビット値(“0”)に設定されることで、ベクトル量の16nとおりの方向成分を表現可能となる。すなわち、変調コードの中央ビットm(x,y)が、一方又は他方のビット値に設定されることで、ベクトル量の方向成分θが、8nとおりから16nとおりへと多重化して表現されることとなり、ビット使用効率が向上することとなる。なお、図9に示す例では、図8に示すベクトル量の8とおり方向成分を、16とおりの方向成分へと多重化した場合である。
【0104】
===符号化の具体例===
本発明の第1実施形態に係る符号化(復号化も含む)の具体例を図10に示すこととする。なお、図10に示す具体例は、特徴量コードが3ビット表現であり、且つ、変調コードが3行×3列の2次元ビット配列として表現され、変調コードの特徴量としてベクトル量の方向成分θが採用された場合である。
【0105】
図10に示すように、記録対象のビット列データが、点線で囲んだように3ビット毎に分割される。なお、このビット列データは、誤り訂正符号の付与やスクランブル処理等の既存の符号化処理が既に施されたものである。ここで、分割された3ビット夫々は、予め設定しておいたベクトル量の方向成分θを表現することとなる。例えば、分割された3ビットが“000”の場合、この分割された3ビット“000”は特徴量コードの“000”を表現することとなる。また、特徴量コードの“000”はベクトル量の方向成分θの“0”に対応づけられる。よって、分割された3ビット“000”は、ベクトル量の方向成分θの“0”に対応づけられた3行×3列の変調コードへと符号化される。
【0106】
そして、この一連の処理は、記録ビット列データ中の全ての分割された3ビットに対して実施される。そして、図10に示すような変調コードの配列パターンである変調画像データが形成される。また、変調画像データの“0”及び“1”に対応した2次元濃淡画像パターンがSLM9において設定されることとなる。
【0107】
<<復号化>>
===概要===
本発明の第1実施形態に係る復号化の流れを、図3に示すフローチャートをもとに説明する。
【0108】
本発明の第1実施形態に係る復号化は、前述した本発明の第1実施形態に係る符号化に対応したものである。すなわち、中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、その変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、記録対象のビット列データを複数ビット毎に分割し、分割した複数ビット夫々を、その複数ビットが表現する特徴量コードに対応づけられた変調コードへと符号化を行い、その符号化を行った変調コード夫々に基づいて、SLM9において設定された2次元濃淡画像パターンが、ホログラム記録用媒体22に記録されている場合を想定したものである。
【0109】
まず、イメージセンサ27は、フーリエ変換レンズ26を介して、可干渉性の再生用参照ビームをホログラム記録用媒体22へ入射させた結果得られる回折光を受光する。この結果、イメージセンサ27において、ホログラム記録用媒体22に記録された2次元濃淡画像パターンが取り込まれることとなる(S300)。そして、イメージセンサ27に取り込まれたアナログ量の2次元濃淡画像パターンは、フィルタ20におけるフィルタ処理及び2値化処理を経て、デジタル量の変調画像データへと変換されることとなる(S301)。
【0110】
デコーダ30は、デジタル量の変調画像データをもとに、当該変調画像データを構成する変調コード夫々に対応づけられた特徴量コードを求める(S302)。そして、デコーダ30は、求めた特徴量コードにより再生すべきビット列データを復号化することとなる(S303)。
【0111】
===復号化の具体例===
本発明の第1実施形態に係る復号化(符号化も含む)の具体例を図10に示すこととする。
【0112】
図10に示すように、イメージセンサ27においてホログラム記録時の2次元濃淡画像パターンが再現される。また、この再現された2次元濃淡画像パターンが、フィルタ処理及び2値化処理を経て、3行×3列の変調コードの配列パターン、すなわち変調画像データへと変換される。つぎに、変調画像データ中の点線で囲んだ変調コードより、それに対応したベクトル量の方向成分θが求められる。なお、このベクトル量の方向成分θは、3ビットの特徴量コード、すなわち符号化時に分割された元の3ビットに対応づけられたものである。よって、求められたベクトル量の方向成分θに対応する特徴量コードによって、符号化時の元のビット列データが復号化されることとなる。
【0113】
このように、本発明の第1実施形態に係るホログラム装置が、本発明の第1実施形態に係る符号化された2次元濃淡画像パターンをホログラム再生する場合を想定して、デコーダ30を設けることとした。すなわち、この場合、本発明の第1実施形態に係るホログラム装置で、本発明の第1実施形態に係る符号化に対応したホログラム記録及び再生が対応可能である。なお、本発明の第1実施形態に係る符号化がなされて、ホログラム用記録媒体22へと記録されたホログラムを、その他の再生専用ホログラム装置で再生を行う場合も想定されうる。そこで、本発明の第1実施形態に係る再生専用ホログラム装置には、本発明の第1実施形態に係る復号化を行うデコーダ30が設けられることとする。
【0114】
<第2実施形態>
<<符号化>>
===概要===
本発明の第2実施形態に係る符号化の流れを、図11に示すフローチャートをもとに説明する。
【0115】
まず、エンコーダ7は、バッファ5より転送された記録ビット列データ(例えば、m×nビット)をメモリ71に2次元データ(例えば、mビット×nビット)へと配列して記憶する(S1100)。そして、エンコーダ7は、メモリ71に配列された2次元データの注目ビットとその注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出する(S1101)。
【0116】
なお、注目ビットとは、2次元データの中で特徴量を抽出すべく注目したビットのことであり、通常1ビットに設定されるが、これに限定されるものではない。この注目ビットは、符号化の過程で、最終的には後述の変調コードへと変換される。
【0117】
また、注目ビットの周辺ビットとしては、通常1ビットの注目ビットに近接している8ビットに設定されるが、これに限定されるものではなく、注目ビット近傍に位置するビットに設定されてもよい。
【0118】
また、注目画像データとは、注目ビットについての特徴量を抽出するために設定されたものである。注目画像データは、例えば、1ビットの注目ビットと、8ビットの周辺ビットによって構成される3ビット×3ビットのビット配列となる。
【0119】
また、注目画像データの特徴量とは、注目画像データの特徴、例えば、0/1の分布度合い、0/1夫々の総数、0/1の境界(エッジ)等を数量化したものである。以下ではこのような注目画像データの特徴量を数量化すべく、注目ビットに対する周辺ビットの状態変化の度合いを示す微分量を採用することとする。
【0120】
エンコーダ7は、注目画像データから抽出した特徴量を、その特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行う(S1102)。そして、エンコーダ7は、記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、SLM9において2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する(S1103)。すなわち、変調画像データは、変調コードを2次元に配列したデータである。
【0121】
このように、本発明に係る第2実施形態では、2次元データの注目ビットを、最終的には、2次元濃淡画像パターンを設定するための複数ビットの変調コードへと符号化を行うこととなる。ここで、例えば、3ビットの変調コードとし、さらに、2次元濃淡画像パターンにおける画素の明点を“1”で表現し、2次元濃淡画像パターンにおける画素の暗点を“0”として表現する場合を考える。
【0122】
この場合、“110”、“011”、“001”、“100”のように、2次元濃淡画像パターンにおける隣り合う画素が、明点若しくは暗点を連続して示す場合が起こり得る。この結果、ホログラム再生時の回折光(再生ビーム)において、明点及び暗点を示す再生ビームの光束面の面積が大きくなる可能性が高くなる。すなわち、光の回折等の要因に伴って、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンの明点及び暗点の状態量が変化するが、その変化量(輝度変化の度合い)を小さくできる可能性が高くなる。それゆえ、ホログラム再生時のキャプチャ画像パターンにおいて、その明点と暗点の分離性が高くなり、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0123】
また、本発明に係る第2実施形態では、2次元データの注目ビット、すなわち注目ビットそのままの状態量から変調コードへの符号化を行うのではなく、注目ビットを含む注目画像データから特徴量(例えば、前述のベクトル量)を抽出した後、この特徴量に対して符号化を行うものである。このため、光の回折等の要因によってキャプチャ画像パターンの一画素の明点が暗くなる場合があっても、注目ビットと周辺ビットとの関係で符号化がなされている以上、キャプチャ画像パターンの一画素の状態変化が全体に与える影響を小さくすることができる。それゆえに、ホログラム再生品位を向上させることができる。
【0124】
===注目画像データの特徴量の抽出===
本発明の第2実施形態に係る注目画像データの特徴量の抽出について詳述する。
ここで、本発明の第2実施形態に係る注目画像データの特徴量は、本発明の第1実施形態における変調コードの特徴量と全く同様なものを採用できる。よって、本発明の第2実施形態に係る注目画像データの特徴量の説明としては、前述した変調コードの特徴量の説明を代用する。また、同様に、本発明の第2実施形態に係る変調コードは、本発明の第1実施形態に係る変調コードと全く同様なものであるので、本発明の第1実施形態に係る変調コードの説明を代用する。
【0125】
図13をもとに、注目画像データからのベクトル量の抽出方法について説明する。なお、図13において、図4に示した水平方向及び垂直方向Sobelフィルタ係数が用いられることとする。
【0126】
まず、2次元データとして配列された記録対象のビット列データにおいて、注目ビットA(“1”)を注目ビットとした3×3ビットの注目画像データAについて注目する。ここで、注目画像データAの各ビット値を前述した式(1)、式(2)及び式(4)に代入することで、ベクトル量のX軸方向成分fx、Y軸方向成分fy、方向成分θは夫々、つぎのように求まることとなる。
fx=1+2+1−0−0−0=4
fy=0+0+1−0−0−1=0
θ=arctan(0÷4)=0(rad)
【0127】
また、注目ビットB(“0”)を注目ビットとした3×3ビットの注目画像データBについて注目すると、注目画像データAの場合と同様に、こで、注目画像データBの各ビット値を前述した式(1)、式(2)及び式(4)に代入することで、ベクトル量のX軸方向成分fx、Y軸方向成分fy、方向成分θは夫々、つぎのように求まることとなる。
fx=1+2+1−1−0−0=3
fy=1+2+1−0−0−1=3
θ=arctan(3÷3)=π/4(rad)
【0128】
===符号化の具体例===
本発明の第2実施形態に係る符号化(復号化も含む)の具体例を図14に示すこととする。なお、図14に示す具体例は、注目画像データ及び変調コードが夫々3行×3列の2次元ビット配列として表現され、注目画像データの特徴量としてベクトル量の方向成分θが採用される場合である。
【0129】
図14に示すように、2次元データに配列された記録対象のビット列データ中において、点線で囲んだ3行×3列の注目画像データが注目される。そして、この注目画像データ中の注目ビットに対する8ビットの周辺ビットの状態変化の度合いを示すベクトル量の方向成分θが演算される。そして、この演算されたベクトル量の方向成分θによって、注目ビットが、変調画像データ中の点線で囲んだ3行×3列の変調コードへと符号化されることとなる。この一連の処理は、記録ビット列データ中の全ての注目ビットに対して実施される。そして、図14に示すような変調コードの配列パターンである変調画像データが形成される。この結果、変調画像データの“0”及び“1”に対応した2次元濃淡画像パターンが、SLM9において設定されることとなる。
【0130】
<<復号化>>
===概要===
本発明の第2実施形態に係る復号化の流れを、図12に示すフローチャートをもとに説明する。
【0131】
本発明に係る復号化は、つぎのような前述した本発明に係る符号化に対応したものである。すなわち、記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、その配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、その抽出した特徴量を予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、その符号化を行った変調コードにより構成された変調画像データをもとにSLM9において設定された2次元濃淡画像パターンが、ホログラム記録用媒体22に記録されている場合を想定したものである。
【0132】
まず、イメージセンサ27は、フーリエ変換レンズ26を介して、可干渉性の再生用参照ビームをホログラム記録用媒体22へ入射させて得られる回折光を受光する。この結果、イメージセンサ27において、ホログラム記録用媒体22に記録された2次元濃淡画像パターンが取り込まれることとなる(S1200)。そして、イメージセンサ27に取り込まれたアナログ量の2次元濃淡画像パターンは、フィルタ20におけるフィルタ処理及び2値化処理を経て、デジタル量の変調画像データへと変換されることとなる(S1201)。
【0133】
デコーダ30は、そのデジタル量の変調画像データをもとに、当該変調画像データを構成する変調コードに対応づけられた特徴量を求める。また、デコーダ30は、求めた特徴量を抽出可能な注目画像データを求める(S1202)。そして、デコーダ30は、求めた注目画像データ中の注目ビットにより再生すべきビット列データを復号化するのである。
【0134】
===復号化の具体例===
本発明に係る復号化(符号化も含む)の具体例を図14に示すこととする。なお、図14に示す具体例は、注目画像データ及び変調コードが夫々3行×3列の2次元ビット配列として表現され、注目画像データの特徴量としてベクトル量の方向成分θが採用される場合である。
【0135】
図14に示すように、イメージセンサ27においてホログラム記録時の2次元濃淡画像パターンが再現される。また、この再現された2次元濃淡画像パターンが、フィルタ処理及び2値化処理を経て、3行×3列の変調コードの配列パターン、すなわち変調画像データへと変換される。つぎに、変調画像データ中の点線で囲んだ変調コードより、それに対応したベクトル量の方向成分θが求められる。また、このベクトル量の方向成分θより、それに対応した点線で囲んだ3行×3列の注目画像データが求められる。なお、この一連の処理は、変調画像データ中の各変調コードに対して実施される。そして、最終的には、求められた各注目画像データの注目ビットを配列して、再生すべきビット列データ、すなわち、もとの記録ビット列データが復号化されるのである。
【0136】
このように、本発明の第2実施形態に係るホログラム装置が、本発明の第2実施形態に係る符号化された2次元濃淡画像パターンをホログラム再生する場合を想定して、デコーダ30を設けることとした。すなわち、この場合、本発明の第2実施形態に係るホログラム装置で、本発明の第2実施形態に係る符号化に対応したホログラム記録及び再生が対応可能である。なお、本発明の第2実施形態に係る符号化がなされて、ホログラム用記録媒体22へと記録されたホログラムを、その他の再生専用ホログラム装置で再生を行う場合も想定される。そこで、本発明の第2実施形態に係る再生専用ホログラム装置としては、本発明の第2実施形態に係る復号化を行うデコーダ30が設けられることとする。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係るホログラム装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るホログラム装置の符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係るホログラム装置の復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るSobelフィルタ係数を用いた特徴量(ベクトル量)の抽出方法を説明する図である。
【図5】本発明に係る1次空間微分フィルタ係数を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る変調コードから抽出される特徴量(ベクトル量)の具体例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る特徴量(ベクトル量)と特徴量コードとの対応づけを示す図である。
【図8】本発明に係る変調コードの例を示す図である。
【図9】本発明に係る変調コードのその他の例を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る符号化/復号化の具体例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るホログラム装置の符号化処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係るホログラム装置の復号化処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る注目画像データから抽出される特徴量(ベクトル量)の具体例を示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る符号化/復号化の具体例を示す図である。
【図15】ホログラム記録用媒体中においてモノマーがポリマーへと変化するときの様子を模式的に示した図である。
【図16】ホログラム記録用媒体の記録フォーマットを説明する図である。
【図17】従来のキャプチャ画像データの画素の輝度とその出現頻度をヒストグラム表示した図である。
【符号の説明】
【0139】
1 CPU 2 メモリ
3 インタフェース 4 接続端子
5 バッファ 6 再生・記録判別部
7 エンコーダ 8 マッピング処理部
9 SLM 10 レーザー装置
11 第1シャッター 12 第1シャッター制御部
13 PBS 14 第2シャッター
15 第2シャッター制御部 16 ガルボミラー
17 ガルボミラー制御部 18 ダイクロックミラー
19 サーボレーザー装置 20 スキャナレンズ
21、26 フーリエ変換レンズ
22 ホログラム記録用媒体 23 ディテクタ
24 ディスク制御部 25 ディスク駆動部
27 イメージセンサ 28 イメージセンサ制御部
29 フィルタ 30 デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置において、
中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、
記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、
前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コード夫々をもとに、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、
符号化処理部を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項2】
可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込むイメージセンサと、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データに基づいて、当該変調画像データを構成する前記変調コード夫々に対応づけられた前記特徴量コードを求め、前記特徴量コードにより前記ビット列データを復号化する、復号化処理部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のホログラム装置。
【請求項3】
前記特徴量は、前記中央ビットに対する前記周辺ビットの状態変化の度合いを示す微分量とすること、を特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム装置。
【請求項4】
前記特徴量は、直交座標系における前記中央ビットを原点とした2つの座標軸方向夫々についての前記微分量を用いて表現されるベクトル量とすること、を特徴とする請求項3に記載のホログラム装置。
【請求項5】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置において、
記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、
前記配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、
前記抽出した特徴量を、前記特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コードに基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、
符号化処理部を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項6】
可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込むイメージセンサと、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データをもとに当該変調画像データを構成する前記変調コードに対応づけられた前記特徴量を求め、前記求めた特徴量を抽出可能な前記注目画像データを求め、前記求めた注目画像データにおける前記注目ビットにより前記ビット列データを復号化する、復号化処理部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載のホログラム装置。
【請求項7】
前記特徴量は、前記注目ビットに対する前記周辺ビットの状態変化の度合いを示す微分量とすること、を特徴とする請求項5又は6に記載のホログラム装置。
【請求項8】
前記特徴量は、直交座標系における前記注目ビットを原点とした2つの座標軸方向夫々についての前記微分量を用いて表現されるベクトル量とすること、を特徴とする請求項7に記載のホログラム装置。
【請求項9】
前記ベクトル量は、水平方向及び垂直方向1次空間微分フィルタ、若しくは、水平方向及び垂直方向Sobelフィルタによって演算された水平方向成分及び垂直方向成分の2つの微分量をベクトル表現したものであること、を特徴とする請求項4又は8に記載のホログラム装置。
【請求項10】
前記変調コードは、前記ベクトル量の大きさ成分と方向成分のうち、当該方向成分のみを表現すること、を特徴とする請求項4、8又は9のいずれかに記載のホログラム装置。
【請求項11】
前記変調コードは、(2n+1)行×(2n+1)列の2次元ビット配列(但し、nは自然数)とし、前記2次元ビット配列の外縁に位置する8nビットで前記ベクトル量の8nとおりの方向成分を表現すること、を特徴とする請求項10に記載のホログラム装置。
【請求項12】
前記変調コードは、3行×3列の2次元ビット配列とし、前記2次元ビット配列の中央ビットを除く8ビットで前記ベクトル量の8とおりの方向成分を表現すること、を特徴とする請求項11に記載のホログラム装置。
【請求項13】
前記変調コードは、前記2次元濃淡画像パターンの画素を明点に設定するための一方のビット値と当該画素を暗点に設定するための他方のビット値とによって構成され、さらに、前記ベクトル量の各方向成分を表現する際には、当該各方向成分を示す1ビットとその周辺ビットを前記一方のビット値とすること、を特徴とする請求項11又は12に記載のホログラム装置。
【請求項14】
前記変調コードは、前記2次元ビット配列の中央ビットを一方又は他方のビット値に設定することで、前記ベクトル量が表現する方向成分を2倍にすること、を特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のホログラム装置。
【請求項15】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて形成された干渉縞としてのホログラムを、可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光に基づいて再生を行うホログラム装置において、
中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、
記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、
前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において設定された前記2次元濃淡画像パターンが、前記ホログラム記録用媒体に記録されている場合、
可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込むイメージセンサと、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データに基づいて、当該変調画像データを構成する前記変調コード夫々に対応づけられた前記特徴量コードを求め、前記特徴量コードにより前記ビット列データを復号化する、復号化処理部と、
を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項16】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて形成された干渉縞としてのホログラムを、可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光に基づいて再生を行うホログラム装置において、
記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、
前記配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、
前記抽出した特徴量を、前記特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コードにより構成された変調画像データをもとに、前記空間光変調器において設定された前記2次元濃淡画像パターンが、前記ホログラム記録用媒体に記録されている場合、
前記回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込むイメージセンサと、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データをもとに当該変調画像データを構成する前記変調コードに対応づけられた前記特徴量を求め、前記求めた特徴量を抽出可能な前記注目画像データを求め、前記求めた注目画像データにおける前記注目ビットにより前記ビット列データを復号化する、復号化処理部と、
を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項17】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置の符号化方法であって、
中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、
記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、
前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、ことを特徴とする符号化方法。
【請求項18】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて干渉縞を形成すべくホログラム記録を行うホログラム装置の符号化方法であって、
記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、
前記配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、
前記抽出した特徴量を、前記特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において前記2次元濃淡画像パターンを設定するため変調画像データを形成する、ことを特徴とする符号化方法。
【請求項19】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて形成された干渉縞としてのホログラムを、可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光に基づいて再生を行うホログラム装置の復号化方法であって、
中央ビットと当該中央ビットの周辺ビットによって構成された変調コードと、当該変調コードのビットパターンに応じて抽出される特徴量を表現した複数ビットの特徴量コードと、を予め対応づけておき、
記録対象のビット列データを前記複数ビット毎に分割し、
前記分割した複数ビット夫々を、当該複数ビットが表現する前記特徴量コードに対応づけられた前記変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コード夫々に基づいて、前記空間光変調器において設定された前記2次元濃淡画像パターンが、前記ホログラム記録用媒体に記録されている場合、
可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込み、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データに基づいて、当該変調画像データを構成する前記変調コードに対応づけられた前記特徴量コードを求め、前記特徴量コードにより前記ビット列データを復号化する、ことを特徴とする復号化方法。
【請求項20】
可干渉性の記録用参照ビームと空間光変調器で設定された2次元濃淡画像パターンに対応した可干渉性のデータビームとをホログラム記録用媒体へ入射させて形成された干渉縞としてのホログラムを、可干渉性の再生用参照ビームを前記ホログラム記録用媒体へ入射させて得られる回折光に基づいて再生を行うホログラム装置の復号化方法であって、
記録対象のビット列データを2次元データへと配列し、
前記配列した2次元データの注目ビットと当該注目ビットの周辺ビットにより構成される注目画像データの特徴量を抽出し、
前記抽出した特徴量を、前記特徴量と予め対応づけておいた複数ビットの変調コードへと符号化を行い、
前記符号化を行った変調コードにより構成された変調画像データをもとに、前記空間光変調器において設定された前記2次元濃淡画像パターンが、前記ホログラム記録用媒体に記録されている場合、
前記回折光を受光して前記ホログラム記録用媒体に記録された前記2次元濃淡画像パターンを取り込み、
前記取り込まれた前記2次元濃淡画像パターンに対応した前記変調画像データに基づいて、当該変調画像データを構成する前記変調コードに対応づけられた前記特徴量を求め、
前記求めた特徴量を抽出可能な前記注目画像データを求め、
前記求めた注目画像データにおける前記注目ビットにより前記ビット列データを復号化する、ことを特徴とする復号化方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−179079(P2006−179079A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370017(P2004−370017)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】