説明

ホログラム調加飾シートの製造方法とこれに用いるホログラム調パターン形成用リボン、および成形同時加飾成形品の製造方法

【課題】ホログラム顔料を含むインキの印刷をする必要がなく、その工程が削減されることで大幅に生産性が向上する効果があるホログラム調加飾シートの製造方法とこれに用いるホログラム調パターン形成用リボン、および成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】第1基体シート10上に総厚みが0.5〜3μmの膜が形成され、該膜が少なくとも熱収縮性の前アンカー層6と金属薄膜層7との積層膜を含むホログラム調パターン形成用リボンを用い、これを第2基体シート30上に絵柄層24が形成された加飾シート3と積層させ、該ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を制御しながら加えることにより、前記ホログラム調パターン形成用リボンの金属薄膜層をホログラム調パターン層に変化させつつ、当該ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層が第2基体シートの絵柄層が形成された面上に転写形成させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品、電気製品、通信機器、音響機器の加飾部品などに使用するホログラム調加飾シートの製造方法とこれに用いるホログラム調パターン形成用リボン、および成形同時加飾成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラムリボン(ホログラム印刷物)は、従来偽造防止のための領収書、有価証券などのフォーム、カードの作製等に使用され意匠性も優れる。その製造方法の例として、特許文献1に示されるような、厚さ0.1μm未満のエンボス模様付きの金属質薄片顔料(すなわち薄片のホログラム顔料)を塗料やスクリーンインキに一般的に使用される樹脂中に分散させてホログラムインキとし、それを用いてPET等の平滑な透明基材の表面に塗膜を形成し、該透明基材の平滑面上にホログラム顔料がほぼ整列状に並ぶことを利用して、該透明基材の裏面側(非印刷面側)をホログラム観賞面とさせる方法があった。
【0003】
【特許文献1】特表平8−502301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような方法で形成するホログラム印刷物は、ホログラムインキ層中のホログラム顔料の整列を制御するのが難しく、この印刷工程があることにより生産性が大幅に低下する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは以下の発明により上記問題点を解決した。すなわち、本発明は、第1基体シート上に総厚みが0.5〜3μmの膜が形成され、該膜が少なくとも熱収縮性の前アンカー層と金属薄膜層との積層膜を含むことを特徴とするホログラム調パターン形成用リボンである。
【0006】
また、本発明は、第2基体シート上に絵柄層が形成された加飾シートと、前記のホログラム調パターン形成用リボンとを積層させ、該ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を制御しながら加えることにより、前記ホログラム調パターン形成用リボンの金属薄膜層をホログラム調パターン層に変化させつつ、当該ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上に転写形成させたことを特徴とするホログラム調加飾シートの製造方法である。
【0007】
また、上記構成において、前記ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を加える方法が、熱転写プリンタによる方法であることを特徴とする。
【0008】
また、上記構成において、前記ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上の所定の位置に転写形成するための位置検知パターンが、当該転写形成前に前記第2基体シート上にあらかじめ形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、前記ホログラム調パターン層の転写形成の後、最上層として接着層を形成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記の製造方法によって得られたホログラム調加飾シートを、A金型およびB金型からなる成形金型に挿入し、B金型から成形樹脂を射出することにより成形と同時に表面に絵柄層、ホログラム調パターン層が形成された成形同時加飾成形品を得、冷却後、該成形金型から加飾成形品を取り出すことを特徴とする成形同時加飾成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のホログラム調パターン形成用リボンは、基体シート上に総厚みが0.5〜3μmの膜が形成され、該膜が少なくとも熱収縮性の前アンカー層と金属薄膜層との積層膜を含むことを特徴とする。したがって、後述の熱転写プリンタなどによる熱の作用により、熱収縮性の前アンカー層が熱収縮して凹凸が自然に発生するので、従来のホログラム顔料を含むインキの印刷をする必要がなく、その工程が削減されることで大幅に生産性が向上する効果がある。
【0012】
また、本発明のホログラム調加飾シートの製造方法は、第2基体シート上に絵柄層が形成された加飾シートと、前記ホログラム調パターン形成用リボンとを積層させ、該ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を制御しながら加えることにより、前記ホログラム調パターン形成用リボンの金属薄膜層をホログラム調パターン層に変化させつつ、当該ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上に転写形成させたことを特徴とする。したがって、ホログラム調パターン層をオンデマンドで所望のパターンで形成できる効果がある。
【0013】
さらに、本発明の成形同時加飾成形品の製造方法は、前記記載のホログラム調加飾シートを、A金型およびB金型からなる成形金型に挿入し、B金型から成形樹脂を射出することにより成形と同時に表面に絵柄層、金属薄膜層が形成された成形同時加飾成形品を得、冷却後、該成形金型から加飾成形品を取り出すことにより、成形と同時に表面にホログラム調パターン層が形成された成形同時加飾成形品を取り出すことを特徴とする。したがって、ホログラム層がパターン形成された成形同時加飾成形品を容易に得ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のホログラム調パターン形成用リボンは、第1基体シート上に総厚みが0.5〜3μmの膜が形成され、該膜が少なくとも熱収縮性の前アンカー層と金属薄膜層との積層膜を含むことを特徴とし、熱転写プリンタなどの方法により熱を制御しながら加えることにより、前アンカー層が熱収縮して凹凸が自然に発生し、金属薄膜層が凹凸形状になることでホログラム調の外観意匠を呈するものである。
【0015】
前記第1基体シートの材質としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが挙げられる。そして、前記第1基体シート上には熱収縮性の前アンカー層や金属薄膜層を含む総厚みが0.5〜3μmの膜が形成される。前記膜の総厚みが3μmを超えると熱伝導性が悪くなって、ホログラム調加飾シートの生産性が低下する問題がある。前記膜の総厚みが0.5μm未満であると熱を制御するのが困難となるため前アンカー層の熱収縮が過度に起こりすぎて、所望のホログラムを得にくい問題がある。
【0016】
前記熱収縮性の前アンカー層の材質としては、ピカット軟化温度が90℃以下のアクリル、ポリエステル、ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ニトロ化セルロース、酢酸セルロース、アルキッドなどの樹脂が挙げられる。前アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0017】
前記金属薄膜層は真空蒸着法やスパッタリング法のほか無電解メッキ法や電解メッキ法等により形成できる。金属薄膜層の材質としては、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、インジウム、珪素、銅、銀、金、チタン、ステンレス、真鍮、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ケイ素、硫化亜鉛等がある。金属薄膜層の厚みは50〜1200Åの範囲で適宜設定可能である。50Å未満では、金属光沢がほとんど発現せずホログラム調にならず、1200Åを越える厚みではクラックが発生しやすくなる。
【0018】
上記の製造方法によって作製したホログラム調パターン形成用リボンは、第2基体シート上に絵柄層が形成された加飾シートと積層させ、該ホログラム調パターン形成用リボンの背面、すなわち前記第1基体シートの金属薄膜層形成面と反対の面から熱転写プリンタなどの方法により熱を制御しながら加えることにより、該金属薄膜層をホログラム調パターン層に変化させつつ、ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上に転写形成させ、ホログラム調加飾シートを得ることができる。本転写形成工程において、熱収縮して凹凸が自然に発生した前アンカー層は、前記ホログラム調パターン層を残し、前記第1基体シートとともに剥離除去される。
【0019】
なお、前記ホログラム調パターン形成用リボンには、前記熱収縮性の前アンカー層と前記金属薄膜層以外に、さらに前記ホログラム調パターン層の転写形成のために、その上にアンカー層や接着層等を設けてもよい。アンカー層としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。接着層としては、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂などを使用するとよい。これらの層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0020】
前記加飾シートの前記第2基体シートの材質としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが主である。当該樹脂フィルムの厚みは4〜800μmの範囲で適宜設定可能である。4μm未満では、層としての強度が不足して剥離する際に破れたりするので取り扱いが困難となり、800μmを越える厚みでは、基体シート層に剛性がありすぎて加工が困難となる。なお、ホログラム調加飾シートを転写シートとする場合には、上記樹脂フィルム上にシリコン、メラミン、アクリルなどの樹脂をグラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの印刷法やリバースコートなどのコート法で塗布して離型性のある基体シートとしておくのが好ましい。
【0021】
第2基体シート上に絵柄層等が形成されたものからなる。絵柄層は、所望のカラー意匠パターンからなる具体的模様や木目や石目などの抽象的模様などのことであり、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の各種印刷手法により設けることができる。絵柄層の材質は、例えば、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどのバインダー樹脂と、各種顔料・染料・金属粉などの着色剤や添加剤等とからなる。
【0022】
絵柄層の厚みは0.1〜300μmの範囲で適宜設定可能である。0.1μm未満では層としての強度や色彩が不足等し、300μmを越える厚みでは層としての柔軟性がなくなり加工が困難となる。
【0023】
なお、絵柄層と第2基体シート層との間に剥離層やアンカー層等を設けてもよいし、絵柄層上にアンカー層や接着層等を設けてもよい。剥離層としては、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。アンカー層や接着層としては、前記ホログラム調パターン形成用リボンで用いたのと同様のものを使用するとよい。これらの層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0024】
図8は、一般的な熱転写プリンタの熱転写部の概略を示し、図中、91はサーマルヘッド、92はプラテンローラ、93はインクシート駆動ローラ、94はインクシート、95は記録紙で、周知のように、プラテンローラ92とサーマルヘッド91の発熱抵抗素子との間にインクシート94と記録紙5とが挟持され、プラテンローラ92が回転して、インクシート94と記録紙95とが搬送されるとともに、サーマルヘッド91の発熱抵抗素子が記録情報に応じて選択的に加熱され、インクシート94のインクが記録紙95に熱転写される。1ライン分の記録が終了する毎に、インクシート94はインクシート駆動ローラ93により記録紙95の進行方向と異なる方向に搬送され、記録紙95からはインクシート94が剥離されて順次記録を行うものである。本発明においては、インクシート94として前記ホログラム調パターン形成用リボン、記録紙95として前記加飾シートを用いる。
【0025】
前記サーマルヘッド91は、通常、基板面に厚膜の抵抗体(発熱体)をスクリーン印刷等の手法で形成し、そして当該抵抗体に接続している電極に、更に接続しているリード線を通じて通電することによりその抵抗体が発熱する構成となっているが、本発明に適するサーマルヘッド9の基板は、市販されている数10mmから200mm巾のものよりも巾の大きい200mmから1000mm巾のアルミナに代表されるセラミック製のものが好ましい。巾が大きい方が前述した用途として好ましいが1000mm巾以上になるとドットの間隔が不均一になるなどの問題が発生するからである。解像度はインチ当たり500〜1000dpi程度のものが好ましい。インチ当たり500dpi未満であると熱の掛かり方が不均一になって金属薄膜層が所望のホログラム調に変化しにくくなり、1000dpi以上であると前記ホログラム調加飾シート形成に時間がかかり、生産性が低下するからである。
【0026】
また、前記第2基体シート上には、例えば3〜10mm角くらいのサイズの位置検知パターンを形成しておいてもよい。この位置検知パターンを光学的方法により読み取れば、ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を加飾シートの絵柄層上の所定の位置に形成できるからである。
【0027】
また、本発明の前記ホログラム調加飾シートの製造方法においては、前記絵柄層上に前記ホログラム調パターン層を転写形成した後に、最上層として接着層を部分的または全面に塗布してもよい。当該接着層としては、被接着物の素材に適した感熱性および感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被接着物の材質がポリアクリル系樹脂の場合はポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、被接着物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被接着物の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0028】
以上の方法によって得られたホログラム調加飾シートをA金型およびB金型からなる成形金型に挿入し、A金型表面と前記第2基体シートの絵柄層形成面と反対側の表面とが接するよう固定し、B金型から成形樹脂を射出し、冷却後、該成形金型から加飾成形品を取り出せば、成形と同時に表面に絵柄層、ホログラム調パターン層が形成された成形同時加飾成形品を得ることができる。
【0029】
使用する成形樹脂としては アクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレンなどがある。
【0030】
[実施例1] まず、第1基体シート10として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 F−55.以下PETフィルムとする)を用い、その片面に塩化ビニル系樹脂(ピカット軟化温度60℃)からなる熱収縮性のアンカー層6を塗布し熱乾燥機により指触乾燥させ、その上に真空蒸着法により厚み800Åのアルミニウムによる金属薄膜層7を形成し、さらにウレタン系樹脂からなる接着層27を形成してホログラム調パターン形成用リボン1を作製した(図1参照)。熱収縮性のアンカー層6・金属薄膜層7・接着層27の総厚みは2.8μmであった。
【0031】
次に、下記の手順により加飾シート3を作製した。第2基体シート30として、厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 F−55)を用い、その片面に、シリコン樹脂を塗布し熱硬化させて離型層21を形成し、その上にインクテック(株)製アクリル樹脂で剥離層23を形成し、その上に東洋インキ(株)レアルカラーの各色および東洋インキ(株)ファインスターを用いて、多色グラビア印刷機により絵柄層24と5mm角の位置検知パターン25を形成した(図2参照)。
【0032】
その後、前記ホログラム調パターン形成用リボン1を金属薄膜層7形成面と前記加飾シート3の絵柄層24形成面とが接するよう積層し、ホログラム調パターン形成用リボン1の背面から熱転写プリンタのサーマルヘッド91により熱を加えた(図3参照)。使用したサーマルヘッドは、600mm巾のセラミック製で解像度はインチ当たり700dpiのものを使用した。位置検知パターン25を光学的方法により読み取って所望の位置にサーマルヘッドを配置し、必要な部分のみ熱を加えて金属薄膜層7をホログラム調パターン層12に変えつつ加飾シート3の絵柄層24上の所定の位置にパターン形成した。
【0033】
次に、ホログラム調パターン形成用リボン1を剥離することにより、ホログラム調パターン層12が形成されたホログラム調加飾シート4が得られた(図4参照)。さらにホログラム調パターン層12および絵柄層24上に、大日本インキ化学(株)ユニビアAを用いて接着層29を形成し、ホログラム調加飾シート5を得た(図5参照)。
【0034】
得られたホログラム調加飾シート5を、A金型31およびB金型32からなる成形金型に挿入し、A金型31表面とホログラム調加飾シート4の絵柄層24形成面と反対側の表面とが接するようクランプ34で固定し、成形金型を閉じた後、B金型32の射出口36から成形樹脂38を射出した(図6参照)。冷却後、成形金型を開き、成形同時加飾成形品2を取り出し、第2基体シート30を離型層21とともに剥離除去することにより、成形と同時に表面に絵柄層24およびホログラム調パターン層12を含む加飾柄8が形成された成形同時加飾成形品2を得ることができた(図7参照)。
【0035】
[実施例2] 上記ホログラム調パターン形成用リボン1の作製において、熱収縮性のアンカー層6をアクリル系樹脂(ピカット軟化温度80℃)にし、総厚を1.4μmにした他は実施例1と同様にしてホログラム調パターン形成用リボン1を得た。そして、実施例1と同様にしてホログラム調加飾シート5を得、そのホログラム調加飾シート5を使用して成形同時加飾成形品2を得ることができた。
【0036】
[実施例3] 上記ホログラム調パターン形成用リボン1の作製において、熱収縮性のアンカー層6をウレタン系樹脂(ピカット軟化温度70℃)にし、総厚を1.9μmにした他は実施例1と同様にしてホログラム調パターン形成用リボン1を得た。そして、実施例1と同様にしてホログラム調加飾シート5を得、そのホログラム調加飾シート5を使用して成形同時加飾成形品2を得ることができた。
【0037】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明のホログラム調パターン形成用リボンの一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明のホログラム加飾シートの製造方法に用いる加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図3】この発明のホログラム加飾シートの製造方法のうち、ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱転写プリンタにより熱を加えた段階の一実施例を示す断面図である。
【図4】この発明のホログラム加飾シートの製造方法により、絵柄層上にホログラム調パターン層等が形成された段階のホログラム加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図5】この発明のホログラム加飾シートの製造方法により、ホログラム調金属薄膜層等上に接着層が形成された段階のホログラム加飾シートの一実施例を示す断面図である。
【図6】この発明の成形同時加飾成形品の製造方法の一実施例を示す断面図である。
【図7】この発明の成形同時加飾成形品の一実施例を示す断面図である。
【図8】一般的な熱転写プリンタの熱転写部の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ホログラム調パターン形成用リボン
2 成形同時加飾成形品
3 加飾シート
4 ホログラム調加飾シート
5 ホログラム調加飾シート
6 熱収縮性のアンカー層
7 金属薄膜層
8 加飾柄
9 熱転写プリンタ
10 第1基体シート
30 第2基体シート
12 ホログラム調パターン層
15 前アンカー層
21 離型層
23 剥離層
24 絵柄層
25 位置検知パターン
27 接着層
29 接着層
31 A金型
32 B金型
34 クランプ
36 射出口
38 成形樹脂
91 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基体シート上に総厚みが0.5〜3μmの膜が形成され、該膜が少なくとも熱収縮性の前アンカー層と金属薄膜層との積層膜を含むことを特徴とするホログラム調パターン形成用リボン。
【請求項2】
第2基体シート上に絵柄層が形成された加飾シートと、請求項1記載のホログラム調パターン形成用リボンとを積層させ、該ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を制御しながら加えることにより、前記ホログラム調パターン形成用リボンの金属薄膜層をホログラム調パターン層に変化させつつ、当該ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上に転写形成させたことを特徴とするホログラム調加飾シートの製造方法。
【請求項3】
前記ホログラム調パターン形成用リボンの背面から熱を加える方法が、熱転写プリンタによる方法である請求項2に記載のホログラム調加飾シートの製造方法。
【請求項4】
前記ホログラム調パターン形成用リボンから前記ホログラム調パターン層を第2基体シートの絵柄層が形成された面上の所定の位置に転写形成するための位置検知パターンが、当該転写形成前に前記第2基体シート上にあらかじめ形成されている請求項2又は請求項3に記載のホログラム調加飾シートの製造方法。
【請求項5】
前記ホログラム調パターン層の転写形成の後、最上層として接着層を形成した請求項2〜4のいずれかに記載のホログラム調加飾シートの製造方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたホログラム調加飾シートを、A金型およびB金型からなる成形金型に挿入し、B金型から成形樹脂を射出することにより成形と同時に表面に絵柄層、ホログラム調パターン層が形成された成形同時加飾成形品を得、冷却後、該成形金型から加飾成形品を取り出すことを特徴とする成形同時加飾成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−125803(P2010−125803A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305705(P2008−305705)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】