ホースの口元部材および口元部材を供えたホースアッセンブリの製造方法
【課題】 簡単な構造でありながら、インサート成形工程における成形樹脂の回りこみを改善し、接続部の成形不良を予防できる口元部材1を提供し、ホースアッセンブリの製造効率や品質を高める。
【解決手段】 可撓性ホース2の端部に接続一体化される口元部材1であって、口元部材1の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間Sを画定する収容部12が設けられる。収容部12は、内筒部13と外筒部14と立上り部15とを備えて構成され、その立上り部15の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれている。収容部12には、ホース1の端部が立上り部に当接することを阻止する突起17が設けられ、突起17は収容部が切り欠かれた位置に設けられる。口元部材1はいわゆるインサート成形を利用してホース2と接続一体化される。
【解決手段】 可撓性ホース2の端部に接続一体化される口元部材1であって、口元部材1の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間Sを画定する収容部12が設けられる。収容部12は、内筒部13と外筒部14と立上り部15とを備えて構成され、その立上り部15の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれている。収容部12には、ホース1の端部が立上り部に当接することを阻止する突起17が設けられ、突起17は収容部が切り欠かれた位置に設けられる。口元部材1はいわゆるインサート成形を利用してホース2と接続一体化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性ホースの端部に接続一体化される口元部材、および可撓性ホースと口元部材が一体化されたホースアッセンブリの製造方法に関する。特に、合成樹脂の射出成形を利用した、可撓性ホースの端部と口元部材の接続一体化に適した口元部材や、ホースアッセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ホースは、電気掃除機や吸引器具や排水設備などの多様な用途に使用されている。可撓性ホースのホース本体端部に口元部材を一体化しておくと、口元部材を利用したホースの接続操作が可能となり、便利である。近年、可撓性ホースと口元部材の一体化技術において、いわゆるオーバーモールド成形あるいはインサート成形と呼ばれる射出成形技術により、可撓性ホースのホース本体端部に既製の口元部材を挿入して、ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入して樹脂の射出成形を行い、射出された樹脂により、ホース本体端部と口元部材とを一体化する技術が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、螺旋状の凹凸条を有する可撓性ホースに対して上記オーバーモールド成形技術(インサート成形技術)を適用するにあたり、口元部材をインナ部材とアウタ部材で構成して、アウタ部材にホースの凹凸条と螺合する螺旋状の突条を設け、アウタ部材の回転操作によりホース本体端部の軸方向位置を調整して射出成形に供する技術が開示されている。この技術によれば、ホース端部とインナ部材の間に隙間が生ずることを未然に防止でき、インサート成形工程において射出された樹脂がホース内部に漏れ出してしまう不具合が未然防止されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−250273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、口元部材が合計3つの部材で構成されるため、口元部材の構成をもっと簡略化して、製造のコストを下げ製造効率を高めることが好ましい。
【0006】
発明者らは口元部材の簡素化を検討し、図11に示すような一体型の口元部材9をホース2に一体化する検討を行った。即ちホース2の末端部を口元部材に設けられたホース収容部92に挿入し、樹脂注入口99から、ホース末端と収容部に間の隙間に樹脂を射出するいわゆるインサート成形を行い、射出した樹脂により、ホース2と口元部材9を接続一体化することを試みた。しかしながら、ホース2をホース収容部92の最奥部まで押し込んだ状態で樹脂の射出を行うと、周方向に樹脂がうまくゆきわたらずに、口元部材の接続一体化がうまくできない成形不良が起こりやすいことが判明した。
【0007】
また、挿入されたホースの端部近傍にリング状の空間を確保して、樹脂の周方向の回り込みを改善するために、口元部材の収容部92の奥部にホースの過度の挿入を規制する規制部材を追加することも検討したが、口元部材を成形する金型の構造が非常に複雑なものとなったり、あるいは規制部材そのものが樹脂の流れをさえぎったりして、単に挿入規制部材を追加するだけでは、インサート成形工程において樹脂をうまくゆきわたらせることが困難であることが判明した。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構造でありながら、インサート成形工程における成形樹脂の回りこみを改善し、接続部の成形不良を予防できる口元部材を提供することにあり、さらには、そのような口元部材を利用してホースアッセンブリの製造効率や品質を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、口元部材のホース収容部の特定の位置に切り欠き部分を設け、ホースの過度の挿入を規制する突起をその切り欠き部分に配置すると、上記課題が解決できることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、可撓性ホース端部に接続一体化される口元部材であって、口元部材は樹脂の射出成形により形成された部材であり、口元部材の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間を画定する収容部が設けられ、収容部は内筒部と外筒部と立上り部とを備えて構成され、内筒部は前記空間の内周側に配置される円筒状の部分であり、外筒部は前記空間の外周側に配置される円筒状の部分であり、立上り部は、前記空間の口元部材軸方向中央側に配置され、内筒部と外筒部を互いに接続する中空円盤状の部分であり、収容部には、ホース端部が立上り部に当接することを阻止する突起が設けられ、
収容部は、その立上り部および/または立上り部の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれており、前記突起は収容部が切り欠かれた位置に設けられた口元部材である(第1発明)。
【0011】
本発明において、ホース端部と突起が当接してホースの過度な挿入を阻止できる限りにおいて、突起はピン状や板状などの多様な形態の突起とできる。
【0012】
また、収容部が周方向の一部領域で切り欠かれる形態は、立上り部のみが切り欠かれていても良いし、立上り部から内筒部や外筒部にまで連続して切り欠かれていてもよいし、立上り部は切り欠かずに内筒部や外筒部のみを立上り部の近傍部で切り欠くようにしてもよい。
【0013】
第1発明の口元部材においては、さらに、収容部の立上り部が切り欠かれ、切立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に、突起が設けられることが好ましい(第2発明)。
【0014】
また、本発明は、第1発明の口元部材を可撓性ホースに一体化したホースアッセンブリの製造方法であって、口元部材の収容部にホース端部を挿入する第1工程、ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入し、ホース端部を突起に当接させた状態で金型を閉じてキャビティを形成する第2工程、キャビティに樹脂を射出し、口元部材の収容部とホース端部を射出した樹脂により一体化する第3工程を備える、ホースアッセンブリの製造方法である(第3発明)。
【0015】
さらに、上記第3発明のホースアッセンブリ製造方法においては、口元部材の収容部が切り欠かれた位置に配置されたゲートから樹脂を射出することが好ましい(第4発明)。また、上記第3発明のホースアッセンブリ製造方法においては、さらに、ホース内部に挿通された電線を備えるようにホースアッセンブリを構成すると共に、第1工程において、口元部材が切りかかれた部分を通じて電線を口元部材の外側へと引き出すと共に、第3工程において射出された樹脂によって、当該切り欠き部分を埋めて口元部材に電線を固定することが好ましい(第5発明)。
【発明の効果】
【0016】
本発明(第1発明)の口元部材によれば、特許文献1に開示された技術に比べ口元部材の部品点数が少なくなり、簡単な部品構成で口元部材が構成される。さらに、第1発明の口元部材を用いてホースアッセンブリを構成すれば、ホースと口元部材を接続一体化する際のインサート成形工程において、射出された樹脂が周方向にうまく回りこむようになり、接続部の成形不良が予防される。
【0017】
さらに、第2発明のように、収容部の立上り部を切り欠いて、立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に突起を設けた場合には、射出された樹脂の回りこみを良くしながら、口元部材の軸方向の寸法をより短縮することができ、ホース口元部のデザイン性や設計自由度を高めうるという効果も得られる。
【0018】
さらに、第3発明のようにホースアッセンブリの製造に第1発明の口元部材を使用し、いわゆるインサート成形を利用して接続一体化するようにすれば、口元部材の構成が簡単であるため、ホースと口元部材を組み付ける工程が簡素化されて、ホースアッセンブリの製造効率が高められる。また、ホースを口元部材の収容部に押し込むだけで、ホース端部を的確に位置決めできて、インサート成形工程における成形不良も予防され、ホースアッセンブリの品質を高めることができる。
【0019】
また、第4発明の製造方法とした場合には、ホースアッセンブリの製造効率がさらに高められ、第5発明の製造方法とした場合には、口元部材への電線の固定も同時に行うことができ、ホースアッセンブリの製造効率がさらに高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る口元部材が使用された電気掃除機の外観を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の口元部材の外観形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の口元部材の形状を示す断面図および正面図である。
【図4】本発明にかかる口元部材にホース端部を挿入した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる口元部材とホースをインサート成形により接続一体化したホースアッセンブリを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる口元部材とホース端部を接続一体化したホースアッセンブリを得るためのインサート成形工程の概要を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態の口元部材における、突起や切り欠き部の周辺での射出樹脂の流れを示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態において、口元部材にホース端部を挿入し、電線を引き出した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態の口元部材の形状を示す斜視図および断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の口元部材の形状を示す斜視図および断面図である。
【図11】比較検討例の口元部材とホース端部の接続部の構造を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
第1の実施の形態として、一例として電気掃除機の可撓性ホース接続部における実施の形態について説明する。図1は電気掃除機の全体の外観を示し、可撓性ホース2は、掃除機本体40に設けられた吸気口に接続管(口元部材)1を介してホース2の一端で接続され、ホース2の他端は手元操作部42に接続され、手元操作部42に連続して延長管43、続いて床用ノズル44が接続されて電気掃除機が構成されている。
【0022】
本実施形態においては、接続管1が口元部材として可撓性ホース2に接続一体化されて、ホース2と口元部材1とによってホースアッセンブリが構成されている。ここで、口元部材とは、ホースの端部に接続一体化されて他の部材との接続等に供される部材であり、特にホースとの接続部に中空円筒状の部分を有する部材をいう。上記電気掃除機の例で言えば接続管1や、手元操作部の構成部材のうちホースに直接接続される部材が口元部材に該当する。以下、可撓性ホース2や口元部材1、及びその接続構造について、本発明の第1実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図2は本実施形態における口元部材の外観形状を示す斜視図である。図3は本実施形態の口元部材1の形状を示す断面図、および中心軸方向から見た正面図である。図4に示すように、口元部材1には、その一端側に、ホース2の端部が挿入されて、接続される。その状態で後述するインサート成形工程に供されて、両者が接続一体化されて、図5に示したような、ホース2と口元部材1が接続一体化されたホースアッセンブリとなる。
【0024】
ホース本体2は、合成樹脂製(例えば軟質熱可塑性樹脂製)の可撓性ホースであり、例えば外周や内周に螺旋状又はリング状の突条21、21を有するホースである。本実施形態においては、ホース本体2のホース壁は、螺旋状の凹凸条を有する蛇腹状に形成されていて、ホース壁の凹凸条がそのままホース外周面の突条21となっている。
このようなホースは、例えば、略S字状断面を有する樹脂条帯を螺旋状に捲回しながら、互いに隣接する条帯側縁部を接着一体化するいわゆるスパイラル法や、連続ブロー成形法によって製造することができる。なお、本発明において、ホースの具体的形態や材質は特に限定されない。
【0025】
ホース本体2を構成する軟質合成樹脂も特に限定されるものではないが、ホースの柔軟性が得られるような比較的軟質の熱可塑性樹脂が使用でき、特に、軟質塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、熱可塑性エラストマ(TPE)などが例示できる。
【0026】
本実施形態の口元部材1は、合成樹脂の射出成形により一体形成された中空円筒状の部材である。口元部材1の一端側は、例えば挿入部11とされて電気掃除機本体40や他の部材との接続に供される。こちら側の端部は、必要に応じて任意の形態とすることができ、例えば、手元操作部42のケースを形成するようにしても良い。
【0027】
口元部材の他端側には、収容部12が設けられている。収容部12は、接続されるべきホース2の端部を挿入・収容可能なリング状の空間Sを画定しており、リング状空間Sの部分にホース端部が挿入されて口元部材1とホース2とが互いに接続される。具体的には、収容部12は、内筒部13と外筒部14と立上り部15とを備えて構成されている。収容部12には、係合等の必要に応じて、突起や爪、突条や、スリット、穴、開口部などを設けても良い。
【0028】
内筒部13は、リング状空間Sの内周側に配置される中空円筒状の部分である。外筒部14は、リング状空間Sの外周側に配置される中空円筒状の部分であり、内筒部13と外筒部14の間の空間がリング状空間Sとなる。立上り部15は、内筒部13と外筒部14とを互いに接続するように、口元部材の半径方向に延在する中空円盤状の部分である、立上り部15は、内筒部13や外筒部14に対し、口元部材軸方向で中央側に配置されている。従って、リング状空間Sが口元部材1の前記他端側に向かって開放するように、収容部12が構成されている。
【0029】
さらに、収容部12には、突起17が設けられている。突起17は、立上り部15よりも口元部材軸方向で収容部が開放している側(図3の断面図において左側)となる位置に、リング状空間Sに向けて突出するように設けられている。本実施形態では、周方向に対称となる位置に、2箇所突起17が設けられている。本実施形態では、突起17は角柱状に設けられている。
【0030】
収容部12のリング状空間Sにホース2が挿入されてくると、突起17とホース端部が当接する位置で、ホース2の挿入が停止し、ホース端部が直接立上り部15に当接することが防止される。すなわち、ホース2を一杯に挿入しても、突起17により、ホース端部と立上り部15の当接が阻止されて、ホース端部と立上り部15の間には、略リング状の空間Cが残されることになる。図3には、収容部12に挿入されるホース端部を点線で示し、ホース端部が突起17に当接し(図3のO−X断面)、立上り部15との間に空間Cが残ることを示している(図3のO−Y断面およびO−Z断面)。
【0031】
突起17は、ホース端部と当接してホースの過度の挿入を阻止できる限りにおいて、ピン状や板状などの多様な形態の突起とできる。また、突起は、必要に応じ、内筒部13、外筒部14のいずれかから突出するように設けることができる。あるいは、本実施形態のように、内筒部13と外筒部14の間をつなぐように突起17を設けることもできる。突起の典型的な半径方向高さは、例えば、内筒部13と外筒部14との間の半径方向の間隔の1/5〜1/1である。
【0032】
さらに、収容部12は、立上り部15や立上り部に近い部分の内筒部13および/または外筒部14が、周方向における一部の領域で切り欠かれた形状に形成されている。本実施形態においては、立上り部15が、周方向に4等分した位置において、所定の大きさに、より具体的には、周方向長さで前記突起と同じか、より広い幅に切り欠かれている。典型的には、それぞれの切り欠きの周方向の長さは、収容部の周長の1/20〜1/4程度とされる。切り欠かれた部分では、収容部12の内側(即ちリング状空間S)と、口元部材1の外部空間とが、窓状の切り欠き部分を通じて連通するようになっている。
【0033】
この切り欠き部分は、後述する他の実施形態のように、内筒部13や外筒部14にまで連続して切り欠かれるように設けることもできる。また、立上り部15は切り欠かずに内筒部13や外筒部14のみを立上り部の近傍部で切り欠くように設けることもできる。
【0034】
本実施形態においては、切り欠きは、主に立上り部15と外筒部14とを切り欠くように、周方向の4箇所に、口元部材軸方向に沿って見て、それぞれ、突起17の4倍程度の幅に設けられている。
【0035】
さらに、突起17は、口元部材周方向において、収容部12が切り欠かれた位置に設けられている。従って、収容部12が窓状に切り欠かれた部分に、突起17が口元部材外部に露出するよう、突起17は配置される。収容部が切り欠かれた位置に突起17が設けられているので、口元部材1を樹脂の射出成形により形成する際の金型の構造が簡単なものとなり、口元部材の部品点数を減らしながら(本実施形態においてはワンピース構造の口元部材とできる)、口元部材をコンパクトなものとでき、かつ口元部材を樹脂の射出成形により効率的に製造可能となる。なお、本実施形態では、突起17を2箇所に設けているが、切り欠きのある箇所全てに設けるようにしても良い。
【0036】
口元部材1を構成する材料としては、ホース2の構成材料と比べ比較的硬質の合成樹脂が使用でき、特に熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)などが好適に使用できるほか、ゴム材料などの熱硬化性樹脂材料やウレタン樹脂などの反応硬化性樹脂材料を使用することもできる。ホース本体2と口元部材1は後述するようにインサート射出成形を利用して一体化するので、これら部材の材質は、インサート射出成形に使用する樹脂材料に対し、接着性や相溶性が良好な材料から選択することが好ましい。
【0037】
次に、上記口元部材1とホース2とを、いわゆるインサート射出成形により接続一体化して、図5に示すようなホースアッセンブリを得る製造方法について説明する。
【0038】
インサート成形工程に先立ち、口元部材1とホース2は、それぞれ、あらかじめ製造しておく。
【0039】
図6(a)、(b)に示すように、ホース2の端部を、口元部材1の収容部12のリング状空間Sに挿入する。そして、ホース端部が突起17に当接するまで、ホース2を挿入する。なお、この状態でも、図3のO−Y断面やO−Z断面に示したように、ホース端部と立上り部15との間には空間Cが存在する。ホース端部を突起17に当接するまで押し込んでインサート工程に供することができるので、ホースの挿入長さが安定し、その結果、得られるホースアッセンブリの品質も高まる。
【0040】
ホース端部を口元部材収容部に挿入した状態で、インサート成形用の金型内部にセットする。インサート成形用の金型Mは、所定のホースアッセンブリ形状(図5に示す)が得られるように、ホース2と口元部材1を収容し、射出した樹脂が充填されるキャビティを形成可能にされた樹脂の射出成形用の金型である。必要に応じて、ホース2や口元部材1の内側に挿入されるコア金型を備えさせても良い。
【0041】
ホース端部と口元部材1を金型Mの内部にセットして型締めして、樹脂の射出が行われる。本実施形態においては、樹脂の射出は、口元部材が切り欠かれた部分に対して開口するゲートGを通じて行われる。なお、樹脂の射出は、必要に応じ、口元部材外筒部14に設けた注入用の穴などの、他の部位から行うようにしても良い。
【0042】
ゲートGを口元部材が切り欠かれた部位に設けることは必須ではないが、ゲートGを口元部材が切り欠かれた部分に設けると、ごく簡単な部品や金型の構成で、収容部12の内側に樹脂を射出することができるため、製造が効率的に行われうる。
【0043】
なお、図6では、突起17が設けられている切り欠き位置にゲートを設けた例を図示したが、ゲートは、突起が設けられていない切り欠き位置に設けられていても良い。
【0044】
ゲートGから射出された溶融樹脂は、窓状の切り欠き部を通じて収容部12の内側へと到達し、ホース端部と収容部12の間の隙間に充填され、樹脂が固化すると、ホース端部と収容部(口元部材)とが接合一体化される。また、射出された樹脂Pは、収容部12に設けられた切り欠きの部分を埋めるように充填されて、完成したホースアッセンブリには切り欠きが無くなる(図5)。
【0045】
射出した樹脂Pの固化が完了した時点で、金型Mを開いて、ホース2と口元部材1とが一体化されたホースアッセンブリを金型から取り出し(図6(d))、インサート成形工程が完了する。
【0046】
本発明の口元部材1をホースとのインサート成形に使用すると、ホース端部を口元部材収容部に一杯まで押し込んでも、突起17の働きにより、ホース端部と口元部材立上り部15との間に空間Cが残される。そのため、この空間Cを通じて、射出された樹脂が、口元部材の周方向にゆきわたり、ゲートの反対側まで樹脂がうまく回り込むようになって、成形不良の発生を予防しながら、インサート成形により口元部材とホースの一体化ができる。
【0047】
さらに、本発明の口元部材1では、突起17が、収容部が切り欠かれた位置に設けられているので、ホース端部と口元部材立上り部15との間の空間Cを通って回り込む樹脂の流れが、突起17によってせき止められることが無く、突起17を樹脂が迂回できるように、突起17や切り欠き形状を定めることができる。
【0048】
例えば、本実施形態においては、口元部材の軸方向に沿う断面で見て、図6(c)のように、突起17と立上り部15とは、互いに隙間無く並ぶような位置に設けられているが、立上り部15は切り欠かれており、その切り欠きの略中央に突起17が配置されているため、図7に示すように、樹脂は、突起17を迂回するように、ホース端部と立上り部15の間の空間Cから、立上り部15が切り欠かれた部分に流れ、再び空間Cへと流れていく。図7には、切り欠きと突起の部分を、拡大した斜視図で示しており、樹脂が左手前側から右奥側へと流れていく例を示している。このように、突起17を切り欠き部に設ければ、射出された樹脂が突起17を迂回して、たやすく周方向に回り込んで流れるようにできる。
【0049】
従って、本発明によれば、射出された樹脂が、口元部材の周方向にゆきわたり、ゲートの反対側まで樹脂がうまく回り込むようになって、成形不良を招くことを予防しながらインサート成形により口元部材とホースの一体化ができる。
【0050】
特に、本実施形態のように、立上り部15を切り欠くようにして、立上り部が切り欠かれた部分の中央に切り欠きよりも幅の狭い突起17を設けるようにすれば、樹脂は、突起17にぶつかって、立上り部が切り欠かれた部分に向かって、一旦口元部材軸方向に流れ、立上り部が切り欠かれた部分を通じて突起17の反対側へと流れていくので、口元部材軸方向に沿う断面で見て、(図6(c)に示すように)立上り部15と突起17とが隙間無く配置されていても、突起17を迂回して樹脂を流すことができる。従って、立上り部15と突起17を口元部材軸方向に近接させて配置させることができるようになり、口元部材軸方向の寸法をより短くすることができる。口元部材がコンパクトに構成できるようになるので、ホース口元部のデザイン性や設計自由度が高められる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0052】
図8には、第2実施形態を示す。本実施形態においては、ホース2の内部に電線5が挿通されている。電線5は、口元部材6の切り欠かれた部分を通じて、ホース2の内側から口元部材6の外側へと引き出される。具体的には、本実施形態においては、口元部材は立上り部65から内周部63にかけて切りかかれており、ホース内部に挿通された電線5は内周部63の窓状の切り欠き部分を通じて口元部材の外側へと引き出される(図8)。この状態で、ホース2と口元部材6と電線5をインサート成形に供し一体化する。
【0053】
インサート成形工程で射出された樹脂は、ホースと口元部材を一体化すると共に、切り欠き部分に充填されて、電線の周りを埋めるので、ホースだけでなく、電線も口元部材に対し固定される。このようにすれば、簡単な構成の口元部材を使用しながら、ホース内に挿通された電線を口元部材に固定することができる。
【0054】
図9は、本発明の第3実施形態における口元部材7の外観形状を示す斜視図および断面図である。本実施形態は、第1実施形態の口元部材と比べ、切り欠きの形態や、突起の形態が異なる。本実施形態においては、収容部の外筒部74と立上り部75にまたがるように切り欠きが設けられている。そして、口元部材の半径方向から見て、突起77が露出する程度に、外筒部14が切りかかれている。
【0055】
本実施形態においては、突起77は、内筒部73から半径方向外側に向けて突出するピン状に設けられている。また、口元部材の軸を含む断面で見て(図9右側の断面図)、突起77は、立上り部75から軸方向に所定距離離間する位置に設けられている。
【0056】
本実施形態のようにしても、第1実施形態と同様に、ホースアッセンブリ製造時のインサート成形工程において射出された樹脂が、周方向に回りこむのが促進されて、成形不良の発生が予防される。
本実施形態においては、射出された樹脂が周方向に回りこむ際に突起77にぶつかると、樹脂は、突起77と立上り部75の間の隙間や、立上り部75の切り欠き部分、外筒部74の切り欠き部分などに分散して迂回できる。従って、樹脂の回りこみを突起77が阻害しにくくなる。
【0057】
図10は、本発明の第4実施形態における口元部材8の外観形状を示す斜視図および断面図である。本実施形態も、他の実施形態の口元部材と比べ、切り欠きの形態や、突起の形態が異なる。本実施形態においては、収容部の外筒部84のみに切り欠きが設けられている。そして、口元部材の半径方向から見て、突起87が露出する程度に、外筒部84が切りかかれている。
【0058】
本実施形態においては、突起87は、内筒部83から半径方向外側に向けて突出する角柱状に設けられている。また、口元部材の軸を含む断面で見て(図10右側の断面図)、突起87は、立上り部85から軸方向に所定距離離間する位置に設けられている。
【0059】
本実施形態のようにしても、第1実施形態と同様に、ホースアッセンブリ製造時のインサート成形工程において射出された樹脂が、周方向に回りこむのが促進されて、成形不良の発生が予防される。
本実施形態においては、射出された樹脂が周方向に回りこむ際に突起87にぶつかると、樹脂は、突起87と立上り部85の間の隙間と、外筒部84の切り欠き部分に分散して突起87を迂回できる。従って、樹脂の回りこみを突起87が阻害しにくくなる。
【0060】
上記実施形態は、電気掃除機に適用されるホースアッセンブリを例として説明したが、本発明は、上記実施形態で説明した以外の他の技術分野、例えば、吸引ホースや産業用ホースなどの分野にも広く応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、可撓性ホースの端部に口元部材を接合一体化する技術として使用でき、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0062】
1 口元部材(接続管)
11 挿入部
12 収容部
13 内筒部
14 外筒部
15 立上り部
S リング状空間
17 突起
2 ホース
21 突条
M インサート射出成形金型
5 電線
6、7,8 口元部材
63、73、83 内筒部
64、74、84 外筒部
65、75、85 立上り部
67、77、87 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性ホースの端部に接続一体化される口元部材、および可撓性ホースと口元部材が一体化されたホースアッセンブリの製造方法に関する。特に、合成樹脂の射出成形を利用した、可撓性ホースの端部と口元部材の接続一体化に適した口元部材や、ホースアッセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ホースは、電気掃除機や吸引器具や排水設備などの多様な用途に使用されている。可撓性ホースのホース本体端部に口元部材を一体化しておくと、口元部材を利用したホースの接続操作が可能となり、便利である。近年、可撓性ホースと口元部材の一体化技術において、いわゆるオーバーモールド成形あるいはインサート成形と呼ばれる射出成形技術により、可撓性ホースのホース本体端部に既製の口元部材を挿入して、ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入して樹脂の射出成形を行い、射出された樹脂により、ホース本体端部と口元部材とを一体化する技術が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、螺旋状の凹凸条を有する可撓性ホースに対して上記オーバーモールド成形技術(インサート成形技術)を適用するにあたり、口元部材をインナ部材とアウタ部材で構成して、アウタ部材にホースの凹凸条と螺合する螺旋状の突条を設け、アウタ部材の回転操作によりホース本体端部の軸方向位置を調整して射出成形に供する技術が開示されている。この技術によれば、ホース端部とインナ部材の間に隙間が生ずることを未然に防止でき、インサート成形工程において射出された樹脂がホース内部に漏れ出してしまう不具合が未然防止されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−250273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、口元部材が合計3つの部材で構成されるため、口元部材の構成をもっと簡略化して、製造のコストを下げ製造効率を高めることが好ましい。
【0006】
発明者らは口元部材の簡素化を検討し、図11に示すような一体型の口元部材9をホース2に一体化する検討を行った。即ちホース2の末端部を口元部材に設けられたホース収容部92に挿入し、樹脂注入口99から、ホース末端と収容部に間の隙間に樹脂を射出するいわゆるインサート成形を行い、射出した樹脂により、ホース2と口元部材9を接続一体化することを試みた。しかしながら、ホース2をホース収容部92の最奥部まで押し込んだ状態で樹脂の射出を行うと、周方向に樹脂がうまくゆきわたらずに、口元部材の接続一体化がうまくできない成形不良が起こりやすいことが判明した。
【0007】
また、挿入されたホースの端部近傍にリング状の空間を確保して、樹脂の周方向の回り込みを改善するために、口元部材の収容部92の奥部にホースの過度の挿入を規制する規制部材を追加することも検討したが、口元部材を成形する金型の構造が非常に複雑なものとなったり、あるいは規制部材そのものが樹脂の流れをさえぎったりして、単に挿入規制部材を追加するだけでは、インサート成形工程において樹脂をうまくゆきわたらせることが困難であることが判明した。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構造でありながら、インサート成形工程における成形樹脂の回りこみを改善し、接続部の成形不良を予防できる口元部材を提供することにあり、さらには、そのような口元部材を利用してホースアッセンブリの製造効率や品質を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、鋭意検討の結果、口元部材のホース収容部の特定の位置に切り欠き部分を設け、ホースの過度の挿入を規制する突起をその切り欠き部分に配置すると、上記課題が解決できることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、可撓性ホース端部に接続一体化される口元部材であって、口元部材は樹脂の射出成形により形成された部材であり、口元部材の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間を画定する収容部が設けられ、収容部は内筒部と外筒部と立上り部とを備えて構成され、内筒部は前記空間の内周側に配置される円筒状の部分であり、外筒部は前記空間の外周側に配置される円筒状の部分であり、立上り部は、前記空間の口元部材軸方向中央側に配置され、内筒部と外筒部を互いに接続する中空円盤状の部分であり、収容部には、ホース端部が立上り部に当接することを阻止する突起が設けられ、
収容部は、その立上り部および/または立上り部の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれており、前記突起は収容部が切り欠かれた位置に設けられた口元部材である(第1発明)。
【0011】
本発明において、ホース端部と突起が当接してホースの過度な挿入を阻止できる限りにおいて、突起はピン状や板状などの多様な形態の突起とできる。
【0012】
また、収容部が周方向の一部領域で切り欠かれる形態は、立上り部のみが切り欠かれていても良いし、立上り部から内筒部や外筒部にまで連続して切り欠かれていてもよいし、立上り部は切り欠かずに内筒部や外筒部のみを立上り部の近傍部で切り欠くようにしてもよい。
【0013】
第1発明の口元部材においては、さらに、収容部の立上り部が切り欠かれ、切立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に、突起が設けられることが好ましい(第2発明)。
【0014】
また、本発明は、第1発明の口元部材を可撓性ホースに一体化したホースアッセンブリの製造方法であって、口元部材の収容部にホース端部を挿入する第1工程、ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入し、ホース端部を突起に当接させた状態で金型を閉じてキャビティを形成する第2工程、キャビティに樹脂を射出し、口元部材の収容部とホース端部を射出した樹脂により一体化する第3工程を備える、ホースアッセンブリの製造方法である(第3発明)。
【0015】
さらに、上記第3発明のホースアッセンブリ製造方法においては、口元部材の収容部が切り欠かれた位置に配置されたゲートから樹脂を射出することが好ましい(第4発明)。また、上記第3発明のホースアッセンブリ製造方法においては、さらに、ホース内部に挿通された電線を備えるようにホースアッセンブリを構成すると共に、第1工程において、口元部材が切りかかれた部分を通じて電線を口元部材の外側へと引き出すと共に、第3工程において射出された樹脂によって、当該切り欠き部分を埋めて口元部材に電線を固定することが好ましい(第5発明)。
【発明の効果】
【0016】
本発明(第1発明)の口元部材によれば、特許文献1に開示された技術に比べ口元部材の部品点数が少なくなり、簡単な部品構成で口元部材が構成される。さらに、第1発明の口元部材を用いてホースアッセンブリを構成すれば、ホースと口元部材を接続一体化する際のインサート成形工程において、射出された樹脂が周方向にうまく回りこむようになり、接続部の成形不良が予防される。
【0017】
さらに、第2発明のように、収容部の立上り部を切り欠いて、立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に突起を設けた場合には、射出された樹脂の回りこみを良くしながら、口元部材の軸方向の寸法をより短縮することができ、ホース口元部のデザイン性や設計自由度を高めうるという効果も得られる。
【0018】
さらに、第3発明のようにホースアッセンブリの製造に第1発明の口元部材を使用し、いわゆるインサート成形を利用して接続一体化するようにすれば、口元部材の構成が簡単であるため、ホースと口元部材を組み付ける工程が簡素化されて、ホースアッセンブリの製造効率が高められる。また、ホースを口元部材の収容部に押し込むだけで、ホース端部を的確に位置決めできて、インサート成形工程における成形不良も予防され、ホースアッセンブリの品質を高めることができる。
【0019】
また、第4発明の製造方法とした場合には、ホースアッセンブリの製造効率がさらに高められ、第5発明の製造方法とした場合には、口元部材への電線の固定も同時に行うことができ、ホースアッセンブリの製造効率がさらに高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る口元部材が使用された電気掃除機の外観を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の口元部材の外観形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の口元部材の形状を示す断面図および正面図である。
【図4】本発明にかかる口元部材にホース端部を挿入した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる口元部材とホースをインサート成形により接続一体化したホースアッセンブリを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる口元部材とホース端部を接続一体化したホースアッセンブリを得るためのインサート成形工程の概要を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態の口元部材における、突起や切り欠き部の周辺での射出樹脂の流れを示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態において、口元部材にホース端部を挿入し、電線を引き出した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態の口元部材の形状を示す斜視図および断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の口元部材の形状を示す斜視図および断面図である。
【図11】比較検討例の口元部材とホース端部の接続部の構造を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
第1の実施の形態として、一例として電気掃除機の可撓性ホース接続部における実施の形態について説明する。図1は電気掃除機の全体の外観を示し、可撓性ホース2は、掃除機本体40に設けられた吸気口に接続管(口元部材)1を介してホース2の一端で接続され、ホース2の他端は手元操作部42に接続され、手元操作部42に連続して延長管43、続いて床用ノズル44が接続されて電気掃除機が構成されている。
【0022】
本実施形態においては、接続管1が口元部材として可撓性ホース2に接続一体化されて、ホース2と口元部材1とによってホースアッセンブリが構成されている。ここで、口元部材とは、ホースの端部に接続一体化されて他の部材との接続等に供される部材であり、特にホースとの接続部に中空円筒状の部分を有する部材をいう。上記電気掃除機の例で言えば接続管1や、手元操作部の構成部材のうちホースに直接接続される部材が口元部材に該当する。以下、可撓性ホース2や口元部材1、及びその接続構造について、本発明の第1実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図2は本実施形態における口元部材の外観形状を示す斜視図である。図3は本実施形態の口元部材1の形状を示す断面図、および中心軸方向から見た正面図である。図4に示すように、口元部材1には、その一端側に、ホース2の端部が挿入されて、接続される。その状態で後述するインサート成形工程に供されて、両者が接続一体化されて、図5に示したような、ホース2と口元部材1が接続一体化されたホースアッセンブリとなる。
【0024】
ホース本体2は、合成樹脂製(例えば軟質熱可塑性樹脂製)の可撓性ホースであり、例えば外周や内周に螺旋状又はリング状の突条21、21を有するホースである。本実施形態においては、ホース本体2のホース壁は、螺旋状の凹凸条を有する蛇腹状に形成されていて、ホース壁の凹凸条がそのままホース外周面の突条21となっている。
このようなホースは、例えば、略S字状断面を有する樹脂条帯を螺旋状に捲回しながら、互いに隣接する条帯側縁部を接着一体化するいわゆるスパイラル法や、連続ブロー成形法によって製造することができる。なお、本発明において、ホースの具体的形態や材質は特に限定されない。
【0025】
ホース本体2を構成する軟質合成樹脂も特に限定されるものではないが、ホースの柔軟性が得られるような比較的軟質の熱可塑性樹脂が使用でき、特に、軟質塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、熱可塑性エラストマ(TPE)などが例示できる。
【0026】
本実施形態の口元部材1は、合成樹脂の射出成形により一体形成された中空円筒状の部材である。口元部材1の一端側は、例えば挿入部11とされて電気掃除機本体40や他の部材との接続に供される。こちら側の端部は、必要に応じて任意の形態とすることができ、例えば、手元操作部42のケースを形成するようにしても良い。
【0027】
口元部材の他端側には、収容部12が設けられている。収容部12は、接続されるべきホース2の端部を挿入・収容可能なリング状の空間Sを画定しており、リング状空間Sの部分にホース端部が挿入されて口元部材1とホース2とが互いに接続される。具体的には、収容部12は、内筒部13と外筒部14と立上り部15とを備えて構成されている。収容部12には、係合等の必要に応じて、突起や爪、突条や、スリット、穴、開口部などを設けても良い。
【0028】
内筒部13は、リング状空間Sの内周側に配置される中空円筒状の部分である。外筒部14は、リング状空間Sの外周側に配置される中空円筒状の部分であり、内筒部13と外筒部14の間の空間がリング状空間Sとなる。立上り部15は、内筒部13と外筒部14とを互いに接続するように、口元部材の半径方向に延在する中空円盤状の部分である、立上り部15は、内筒部13や外筒部14に対し、口元部材軸方向で中央側に配置されている。従って、リング状空間Sが口元部材1の前記他端側に向かって開放するように、収容部12が構成されている。
【0029】
さらに、収容部12には、突起17が設けられている。突起17は、立上り部15よりも口元部材軸方向で収容部が開放している側(図3の断面図において左側)となる位置に、リング状空間Sに向けて突出するように設けられている。本実施形態では、周方向に対称となる位置に、2箇所突起17が設けられている。本実施形態では、突起17は角柱状に設けられている。
【0030】
収容部12のリング状空間Sにホース2が挿入されてくると、突起17とホース端部が当接する位置で、ホース2の挿入が停止し、ホース端部が直接立上り部15に当接することが防止される。すなわち、ホース2を一杯に挿入しても、突起17により、ホース端部と立上り部15の当接が阻止されて、ホース端部と立上り部15の間には、略リング状の空間Cが残されることになる。図3には、収容部12に挿入されるホース端部を点線で示し、ホース端部が突起17に当接し(図3のO−X断面)、立上り部15との間に空間Cが残ることを示している(図3のO−Y断面およびO−Z断面)。
【0031】
突起17は、ホース端部と当接してホースの過度の挿入を阻止できる限りにおいて、ピン状や板状などの多様な形態の突起とできる。また、突起は、必要に応じ、内筒部13、外筒部14のいずれかから突出するように設けることができる。あるいは、本実施形態のように、内筒部13と外筒部14の間をつなぐように突起17を設けることもできる。突起の典型的な半径方向高さは、例えば、内筒部13と外筒部14との間の半径方向の間隔の1/5〜1/1である。
【0032】
さらに、収容部12は、立上り部15や立上り部に近い部分の内筒部13および/または外筒部14が、周方向における一部の領域で切り欠かれた形状に形成されている。本実施形態においては、立上り部15が、周方向に4等分した位置において、所定の大きさに、より具体的には、周方向長さで前記突起と同じか、より広い幅に切り欠かれている。典型的には、それぞれの切り欠きの周方向の長さは、収容部の周長の1/20〜1/4程度とされる。切り欠かれた部分では、収容部12の内側(即ちリング状空間S)と、口元部材1の外部空間とが、窓状の切り欠き部分を通じて連通するようになっている。
【0033】
この切り欠き部分は、後述する他の実施形態のように、内筒部13や外筒部14にまで連続して切り欠かれるように設けることもできる。また、立上り部15は切り欠かずに内筒部13や外筒部14のみを立上り部の近傍部で切り欠くように設けることもできる。
【0034】
本実施形態においては、切り欠きは、主に立上り部15と外筒部14とを切り欠くように、周方向の4箇所に、口元部材軸方向に沿って見て、それぞれ、突起17の4倍程度の幅に設けられている。
【0035】
さらに、突起17は、口元部材周方向において、収容部12が切り欠かれた位置に設けられている。従って、収容部12が窓状に切り欠かれた部分に、突起17が口元部材外部に露出するよう、突起17は配置される。収容部が切り欠かれた位置に突起17が設けられているので、口元部材1を樹脂の射出成形により形成する際の金型の構造が簡単なものとなり、口元部材の部品点数を減らしながら(本実施形態においてはワンピース構造の口元部材とできる)、口元部材をコンパクトなものとでき、かつ口元部材を樹脂の射出成形により効率的に製造可能となる。なお、本実施形態では、突起17を2箇所に設けているが、切り欠きのある箇所全てに設けるようにしても良い。
【0036】
口元部材1を構成する材料としては、ホース2の構成材料と比べ比較的硬質の合成樹脂が使用でき、特に熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)などが好適に使用できるほか、ゴム材料などの熱硬化性樹脂材料やウレタン樹脂などの反応硬化性樹脂材料を使用することもできる。ホース本体2と口元部材1は後述するようにインサート射出成形を利用して一体化するので、これら部材の材質は、インサート射出成形に使用する樹脂材料に対し、接着性や相溶性が良好な材料から選択することが好ましい。
【0037】
次に、上記口元部材1とホース2とを、いわゆるインサート射出成形により接続一体化して、図5に示すようなホースアッセンブリを得る製造方法について説明する。
【0038】
インサート成形工程に先立ち、口元部材1とホース2は、それぞれ、あらかじめ製造しておく。
【0039】
図6(a)、(b)に示すように、ホース2の端部を、口元部材1の収容部12のリング状空間Sに挿入する。そして、ホース端部が突起17に当接するまで、ホース2を挿入する。なお、この状態でも、図3のO−Y断面やO−Z断面に示したように、ホース端部と立上り部15との間には空間Cが存在する。ホース端部を突起17に当接するまで押し込んでインサート工程に供することができるので、ホースの挿入長さが安定し、その結果、得られるホースアッセンブリの品質も高まる。
【0040】
ホース端部を口元部材収容部に挿入した状態で、インサート成形用の金型内部にセットする。インサート成形用の金型Mは、所定のホースアッセンブリ形状(図5に示す)が得られるように、ホース2と口元部材1を収容し、射出した樹脂が充填されるキャビティを形成可能にされた樹脂の射出成形用の金型である。必要に応じて、ホース2や口元部材1の内側に挿入されるコア金型を備えさせても良い。
【0041】
ホース端部と口元部材1を金型Mの内部にセットして型締めして、樹脂の射出が行われる。本実施形態においては、樹脂の射出は、口元部材が切り欠かれた部分に対して開口するゲートGを通じて行われる。なお、樹脂の射出は、必要に応じ、口元部材外筒部14に設けた注入用の穴などの、他の部位から行うようにしても良い。
【0042】
ゲートGを口元部材が切り欠かれた部位に設けることは必須ではないが、ゲートGを口元部材が切り欠かれた部分に設けると、ごく簡単な部品や金型の構成で、収容部12の内側に樹脂を射出することができるため、製造が効率的に行われうる。
【0043】
なお、図6では、突起17が設けられている切り欠き位置にゲートを設けた例を図示したが、ゲートは、突起が設けられていない切り欠き位置に設けられていても良い。
【0044】
ゲートGから射出された溶融樹脂は、窓状の切り欠き部を通じて収容部12の内側へと到達し、ホース端部と収容部12の間の隙間に充填され、樹脂が固化すると、ホース端部と収容部(口元部材)とが接合一体化される。また、射出された樹脂Pは、収容部12に設けられた切り欠きの部分を埋めるように充填されて、完成したホースアッセンブリには切り欠きが無くなる(図5)。
【0045】
射出した樹脂Pの固化が完了した時点で、金型Mを開いて、ホース2と口元部材1とが一体化されたホースアッセンブリを金型から取り出し(図6(d))、インサート成形工程が完了する。
【0046】
本発明の口元部材1をホースとのインサート成形に使用すると、ホース端部を口元部材収容部に一杯まで押し込んでも、突起17の働きにより、ホース端部と口元部材立上り部15との間に空間Cが残される。そのため、この空間Cを通じて、射出された樹脂が、口元部材の周方向にゆきわたり、ゲートの反対側まで樹脂がうまく回り込むようになって、成形不良の発生を予防しながら、インサート成形により口元部材とホースの一体化ができる。
【0047】
さらに、本発明の口元部材1では、突起17が、収容部が切り欠かれた位置に設けられているので、ホース端部と口元部材立上り部15との間の空間Cを通って回り込む樹脂の流れが、突起17によってせき止められることが無く、突起17を樹脂が迂回できるように、突起17や切り欠き形状を定めることができる。
【0048】
例えば、本実施形態においては、口元部材の軸方向に沿う断面で見て、図6(c)のように、突起17と立上り部15とは、互いに隙間無く並ぶような位置に設けられているが、立上り部15は切り欠かれており、その切り欠きの略中央に突起17が配置されているため、図7に示すように、樹脂は、突起17を迂回するように、ホース端部と立上り部15の間の空間Cから、立上り部15が切り欠かれた部分に流れ、再び空間Cへと流れていく。図7には、切り欠きと突起の部分を、拡大した斜視図で示しており、樹脂が左手前側から右奥側へと流れていく例を示している。このように、突起17を切り欠き部に設ければ、射出された樹脂が突起17を迂回して、たやすく周方向に回り込んで流れるようにできる。
【0049】
従って、本発明によれば、射出された樹脂が、口元部材の周方向にゆきわたり、ゲートの反対側まで樹脂がうまく回り込むようになって、成形不良を招くことを予防しながらインサート成形により口元部材とホースの一体化ができる。
【0050】
特に、本実施形態のように、立上り部15を切り欠くようにして、立上り部が切り欠かれた部分の中央に切り欠きよりも幅の狭い突起17を設けるようにすれば、樹脂は、突起17にぶつかって、立上り部が切り欠かれた部分に向かって、一旦口元部材軸方向に流れ、立上り部が切り欠かれた部分を通じて突起17の反対側へと流れていくので、口元部材軸方向に沿う断面で見て、(図6(c)に示すように)立上り部15と突起17とが隙間無く配置されていても、突起17を迂回して樹脂を流すことができる。従って、立上り部15と突起17を口元部材軸方向に近接させて配置させることができるようになり、口元部材軸方向の寸法をより短くすることができる。口元部材がコンパクトに構成できるようになるので、ホース口元部のデザイン性や設計自由度が高められる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0052】
図8には、第2実施形態を示す。本実施形態においては、ホース2の内部に電線5が挿通されている。電線5は、口元部材6の切り欠かれた部分を通じて、ホース2の内側から口元部材6の外側へと引き出される。具体的には、本実施形態においては、口元部材は立上り部65から内周部63にかけて切りかかれており、ホース内部に挿通された電線5は内周部63の窓状の切り欠き部分を通じて口元部材の外側へと引き出される(図8)。この状態で、ホース2と口元部材6と電線5をインサート成形に供し一体化する。
【0053】
インサート成形工程で射出された樹脂は、ホースと口元部材を一体化すると共に、切り欠き部分に充填されて、電線の周りを埋めるので、ホースだけでなく、電線も口元部材に対し固定される。このようにすれば、簡単な構成の口元部材を使用しながら、ホース内に挿通された電線を口元部材に固定することができる。
【0054】
図9は、本発明の第3実施形態における口元部材7の外観形状を示す斜視図および断面図である。本実施形態は、第1実施形態の口元部材と比べ、切り欠きの形態や、突起の形態が異なる。本実施形態においては、収容部の外筒部74と立上り部75にまたがるように切り欠きが設けられている。そして、口元部材の半径方向から見て、突起77が露出する程度に、外筒部14が切りかかれている。
【0055】
本実施形態においては、突起77は、内筒部73から半径方向外側に向けて突出するピン状に設けられている。また、口元部材の軸を含む断面で見て(図9右側の断面図)、突起77は、立上り部75から軸方向に所定距離離間する位置に設けられている。
【0056】
本実施形態のようにしても、第1実施形態と同様に、ホースアッセンブリ製造時のインサート成形工程において射出された樹脂が、周方向に回りこむのが促進されて、成形不良の発生が予防される。
本実施形態においては、射出された樹脂が周方向に回りこむ際に突起77にぶつかると、樹脂は、突起77と立上り部75の間の隙間や、立上り部75の切り欠き部分、外筒部74の切り欠き部分などに分散して迂回できる。従って、樹脂の回りこみを突起77が阻害しにくくなる。
【0057】
図10は、本発明の第4実施形態における口元部材8の外観形状を示す斜視図および断面図である。本実施形態も、他の実施形態の口元部材と比べ、切り欠きの形態や、突起の形態が異なる。本実施形態においては、収容部の外筒部84のみに切り欠きが設けられている。そして、口元部材の半径方向から見て、突起87が露出する程度に、外筒部84が切りかかれている。
【0058】
本実施形態においては、突起87は、内筒部83から半径方向外側に向けて突出する角柱状に設けられている。また、口元部材の軸を含む断面で見て(図10右側の断面図)、突起87は、立上り部85から軸方向に所定距離離間する位置に設けられている。
【0059】
本実施形態のようにしても、第1実施形態と同様に、ホースアッセンブリ製造時のインサート成形工程において射出された樹脂が、周方向に回りこむのが促進されて、成形不良の発生が予防される。
本実施形態においては、射出された樹脂が周方向に回りこむ際に突起87にぶつかると、樹脂は、突起87と立上り部85の間の隙間と、外筒部84の切り欠き部分に分散して突起87を迂回できる。従って、樹脂の回りこみを突起87が阻害しにくくなる。
【0060】
上記実施形態は、電気掃除機に適用されるホースアッセンブリを例として説明したが、本発明は、上記実施形態で説明した以外の他の技術分野、例えば、吸引ホースや産業用ホースなどの分野にも広く応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、可撓性ホースの端部に口元部材を接合一体化する技術として使用でき、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0062】
1 口元部材(接続管)
11 挿入部
12 収容部
13 内筒部
14 外筒部
15 立上り部
S リング状空間
17 突起
2 ホース
21 突条
M インサート射出成形金型
5 電線
6、7,8 口元部材
63、73、83 内筒部
64、74、84 外筒部
65、75、85 立上り部
67、77、87 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ホース端部に接続一体化される口元部材であって、
口元部材は樹脂の射出成形により形成された部材であり、
口元部材の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間を画定する収容部が設けられ、
収容部は内筒部と外筒部と立上り部とを備えて構成され、
内筒部は前記空間の内周側に配置される円筒状の部分であり、
外筒部は前記空間の外周側に配置される円筒状の部分であり、
立上り部は、前記空間の口元部材軸方向中央側に配置され、内筒部と外筒部を互いに接続する中空円盤状の部分であり、
収容部には、ホース端部が立上り部に当接することを阻止する突起が設けられ、
収容部は、その立上り部および/または立上り部の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれており、
前記突起は収容部が切り欠かれた位置に設けられた口元部材。
【請求項2】
収容部の立上り部が切り欠かれ、立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に、突起が設けられた、請求項1に記載の口元部材。
【請求項3】
請求項1に記載の口元部材を可撓性ホースに一体化したホースアッセンブリの製造方法であって、
口元部材の収容部にホース端部を挿入する第1工程、
ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入し、ホース端部を突起に当接させた状態で金型を閉じてキャビティを形成する第2工程、
キャビティに樹脂を射出し、口元部材の収容部とホース端部を射出した樹脂により一体化する第3工程を備える、
ホースアッセンブリの製造方法。
【請求項4】
第3工程において、口元部材の収容部が切り欠かれた位置に配置されたゲートから樹脂を射出する請求項3に記載のホースアッセンブリの製造方法。
【請求項5】
ホースアッセンブリはホース内部に挿通された電線を備えると共に、第1工程において、口元部材が切りかかれた部分を通じて電線を口元部材の外側へと引き出すと共に、第3工程において射出された樹脂によって、当該切り欠き部分を埋めて口元部材に電線を固定する請求項3に記載のホースアッセンブリの製造方法。
【請求項1】
可撓性ホース端部に接続一体化される口元部材であって、
口元部材は樹脂の射出成形により形成された部材であり、
口元部材の一端には、接続されるべきホース端部を収容するリング状空間を画定する収容部が設けられ、
収容部は内筒部と外筒部と立上り部とを備えて構成され、
内筒部は前記空間の内周側に配置される円筒状の部分であり、
外筒部は前記空間の外周側に配置される円筒状の部分であり、
立上り部は、前記空間の口元部材軸方向中央側に配置され、内筒部と外筒部を互いに接続する中空円盤状の部分であり、
収容部には、ホース端部が立上り部に当接することを阻止する突起が設けられ、
収容部は、その立上り部および/または立上り部の近傍部分が、周方向の所定の部分において切り欠かれており、
前記突起は収容部が切り欠かれた位置に設けられた口元部材。
【請求項2】
収容部の立上り部が切り欠かれ、立上り部が切り欠かれた位置の周方向中央部に、突起が設けられた、請求項1に記載の口元部材。
【請求項3】
請求項1に記載の口元部材を可撓性ホースに一体化したホースアッセンブリの製造方法であって、
口元部材の収容部にホース端部を挿入する第1工程、
ホース端部と口元部材を射出成形金型内部に導入し、ホース端部を突起に当接させた状態で金型を閉じてキャビティを形成する第2工程、
キャビティに樹脂を射出し、口元部材の収容部とホース端部を射出した樹脂により一体化する第3工程を備える、
ホースアッセンブリの製造方法。
【請求項4】
第3工程において、口元部材の収容部が切り欠かれた位置に配置されたゲートから樹脂を射出する請求項3に記載のホースアッセンブリの製造方法。
【請求項5】
ホースアッセンブリはホース内部に挿通された電線を備えると共に、第1工程において、口元部材が切りかかれた部分を通じて電線を口元部材の外側へと引き出すと共に、第3工程において射出された樹脂によって、当該切り欠き部分を埋めて口元部材に電線を固定する請求項3に記載のホースアッセンブリの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−251584(P2012−251584A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123519(P2011−123519)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108498)タイガースポリマー株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
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