説明

ボイセンベリー果実由来の材料及びその材料を用いたサプリメント、薬剤又は食品

【課題】本願発明の目的は、高い発ガン抑制作用を有するボイセンベリー果実由来の物質を主成分とする材料及びこれを使用したサプリメント、薬剤又は食品を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ボイセンベリー果実由来の物質、特にボイセンベリー果実の濃縮液、ボイセンベリー果実の粉末、ボイセンベリー果実から抽出されたポリフェノール、又はボイセンベリー果実から抽出されたエラグ酸若しくは糖質を主成分とするサプリメント、薬剤又は食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボイセンベリー果実由来の材料及びその材料を用いたサプリメント、薬剤又は食品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ボイセンベリー果汁又はその処理物を有効成分として含有する保湿剤、美白剤又は皮膚化粧料が、皮膚色素沈着によって生じる赤斑(日焼け)、皮膚黒化、シミ、ソバカスの予防・改善に有効であることを示している。これは、フラボノイドの一種である「エラグ酸」が、メラニン色素の生成を抑制する効果を有することが発見されたためである。
【0003】
また、前記エラグ酸が、発ガン性物質を「くくり束ねる」掃除屋として活動し、それらの化学物質の活性を奪う働きをすることも、既に知られている。
【特許文献1】特開2002−322077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、ボイセンベリー果実由来の物質を主成分とする材料が、高い発ガン抑制作用を有することを発見し、本発明をするに至った。
【0005】
以上のことから、本願発明の目的は、高い発ガン抑制作用を有するボイセンベリー果実由来の物質を主成分とする材料及びこれを使用したサプリメント、薬剤又は食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本願発明は、ボイセンベリー果実由来の物質を主成分とする材料を提供することにある。
【0007】
また、前記材料は、ボイセンベリー果実の濃縮液であり、ボイセンベリー果実の粉末であることが望ましい。また、前記物質は、ボイセンベリー果実から抽出されたポリフェノールであり、さらにボイセンベリー果実から抽出されたエラグ酸であり、さらにまたボイセンベリー果実から抽出された糖質であることが望ましい。さらに、前記糖質は、単糖類、二糖類又は多糖類のいずれかであることが望ましい。
【0008】
さらに、本願発明は、前記材料を主成分とするサプリメント、薬剤又は食品であることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述した発明による材料を、サプリメント、薬剤又は食品の形で摂取することにより、発ガン抑制効果を有すると推定されるポリフェノール又はエラグ酸が、さらにはそれと共にボイセンベリー果実に含まれる他の有効成分が、効率よく人体に摂取されるので、発ガン抑制作用を有効に働かせることが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ボイセンベリーは、バラ科に属する植物であり、一般に栽培可能であるため容易に入手可能である。このボイセンベリーの果実、ボイセンベリー果実は、生活習慣病や老化及び発ガンなどの予防に効果的な機能性成分の植物性ポリフェノールであるアントシアニン、エラグ酸、抗酸化ビタミンが多く含まれる。具体的には、ボイセンベリー果汁100g中には、抗酸化成分としてケルセチン0.53g、ケルセチン配糖体0.50mg(ケルセチン−3−グルコシド当量)、コーヒー酸0.17mg、エラグ酸19mg、アントシアニン類13mg(シアニジン−3−グルコシド当量)、ビタミンC28mbが含まれている。
【実施例1】
【0011】
上述したボイセンベリー果実を絞ってボイセンベリー果汁を生成し、さらにこれを加熱又は真空引きによって所定の濃度まで濃縮し、これによって得られた濃縮液を、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料として使用するものである。
【実施例2】
【0012】
上述したボイセンベリー果実を絞ってボイセンベリー果汁を生成し、これを加熱乾燥又は真空乾燥して粉末とし、この粉末を、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料として使用するものである。
【0013】
また、ボイセンベリー果実自体を加熱乾燥又は真空乾燥して粉末状にし、この粉末を、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料として使用することも可能である。
【実施例3】
【0014】
前述した実施例1によって得られたボイセンベリー濃縮果汁から、所定のポリフェノールを抽出し、この抽出したポリフェノールを、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料及び添加物として使用するものである。
【実施例4】
【0015】
前述した実施例1によって得られたボイセンベリー濃縮果汁から、所定のエラグ酸を抽出し、この抽出したエラグ酸を、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料及び添加物として使用するものである。
【実施例5】
【0016】
前述した実施例1によって得られたボイセンベリー濃縮果汁から、所定の糖質を抽出し、この抽出した糖質を、そのまま又は所定の栄養素及び/若しくは添加物を添加することによって、サプリメントとして、薬剤として又は食品の原料及び添加物として使用するものである。尚、前記糖質は、単糖類、二糖類又は多糖類である。
【0017】
また、前記ボイセンベリー果実由来の物質については、下記のような実験によりその効果を実証した。
【0018】
[方法]
ボイセンベリー果汁中のポリフェノール及びアスコルビン酸はHPLCによって定量した。また、この果汁を7週齢雄性ICRマウスに1週間自由摂取させた後、鉄ニトリロ三酢酸(Fe−NTA)を腹腔内に投与し、酸化的腎障害を誘導した。対照群には水を一週間投与し、生理食塩水を腹腔内に投与した。Fe−NTA投与1時間後にと殺し、脂質過酸化の指標として腎臓中のTBARS量、腎障害の指標として血中尿素窒素量及びクレアチニン量を測定した。
【0019】
[結果及び考察]
水摂取群では、Fe−NTA処理により腎臓タンパク量当たりのTBARS量は、1.5倍に増加した(p<0.05:生理食塩水、0.8±0.2nmols/mg;Fe−NTA、1.2±0.3nmols/mg)。一方、ボイセンベリーを自由摂取した群では、その増加を72%抑制した(p<0.05:17.3±3.0mg/dl)。このように、ボイセンベリー果汁の摂取は、Fe−NTAによる腎臓の酸化的ストレス及び腎障害を阻害した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイセンベリー果実由来の物質を主成分とする材料。
【請求項2】
前記物質は、ボイセンベリー果実の濃縮液であることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項3】
前記物質は、ボイセンベリー果実の粉末であることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項4】
前記物質は、ボイセンベリー果実から抽出されたポリフェノールであることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項5】
前記物質は、ボイセンベリー果実から抽出されたエラグ酸であることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項6】
前記物質は、ボイセンベリー果実から抽出された糖質であることを特徴とする請求項1記載の材料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の材料を主成分とするサプリメント。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の材料を主成分とする薬剤。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の材料を主成分とする食品。

【公開番号】特開2008−156306(P2008−156306A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348831(P2006−348831)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(501046419)株式会社アムコ (3)
【出願人】(506429374)
【出願人】(506429178)
【Fターム(参考)】