説明

ボイラの燃焼制御方法及び装置

【課題】 従来の蒸気圧力によるボイラ燃焼量の制御に加え、ボイラ本体の温度の状態を条件に加えて、安全な燃焼制御をを行う。
【解決手段】 水管1の上部ヘッダ3に蒸気圧力センサ4を設け、この蒸気圧力センサ4と制御盤5とを接続し、送風機6のダクト7の空気ダンパ8及び燃料調量弁10とコントロールモータ11とを接続し、このコントロールモータ11と前記制御盤5とを接続したボイラの燃焼制御装置において、ボイラの水管と水管とを接続する水管メンブレン部12で、水管長さの半分より上部の高さ位置に、温度センサ13を設け、この温度センサ13と前記制御盤5とを接続するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの安全な燃焼制御方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、ボイラの燃焼制御は、ボイラ自身の圧力状態や、ボイラが複数台設置されている場合などは、蒸気ヘッダ圧力の状態から台数制御盤が演算し、各ボイラへの指示を出すことで、各ボイラはHI−LOW−OFFなどの断続制御や連続的に燃焼量を制御される。従来は、あくまで燃焼は、蒸気の圧力により制御されている。
【0003】
一方で、ボイラ本体の温度はボイラの燃焼状態やボイラの圧力によって様々な値を示す。また、ボイラ内にスケールなどが付着すると、伝熱性能が阻害されて本体温度が上昇したり、燃焼量が過大になった場合でも本体温度が上昇する。
これらの保護策として、従来、ボイラには本体の過熱を検視する装置が備わっている。しかしながら、その機能は温度を検知すると燃焼を遮断したり、警報を発するのみで、燃焼の制御とは関連がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−193921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、ボイラの燃焼制御を安全に連続して行うことができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ボイラ本体の温度状態とボイラの燃焼制御を組み合わせることにより、ボイラが危険な状態となる前の状態で、燃焼が継続できることと、早期の危険予知が可能となるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【0007】
本発明においては、通常のボイラ燃焼制御に付け加え、ボイラの本体(水管と水管とを結合するメンブレン部、すなわち、燃焼ガスのガスシール部)に温度センサを設け、センサの測定値があらかじめ設定した温度にまで上昇した時、(1)燃焼制御が段階制御の場合は一段階低い燃焼量に移行させ、その燃焼量を最大の燃焼量に固定する、(2)燃焼制御連続制御の場合、一定の割合で燃焼量を低下させ、その燃焼量を最大燃焼量とするか、又は、あらかじめ設定した温度に到達した燃焼量を上限値とする制御を付け加える。また、上記のように燃焼量の最大値に制御が加えられた制御が開始されたら、このことを知らせる警報を発報するようにしている。
【0008】
本発明のボイラの燃焼制御方法は、蒸気圧力によるボイラの燃焼量制御に加え、ボイラ本体の温度の状態を条件に加えて、燃焼制御することを特徴としている。この方法において、ボイラ本体の温度は、水管と水管とを結合するメンブレン部における、水管長さの半分より上部の高さ位置で検出するようにする。
【0009】
これらの方法において、ボイラ本体の温度が設定値に達した場合、燃焼制御に制限を加えるようにする。燃焼制御の制限としては、燃焼制御が段階制御の場合、一段低い燃焼量に移行させその燃焼量を最大の燃焼量に固定するようにする。
【0010】
また、燃焼制御の制限としては、燃焼制御が連続制御の場合、ある一定の割合で燃焼量を低下させその燃焼量を最大の燃焼量に固定する方法、及びボイラの本体温度がある設定値に到達した時の燃焼量を上限としそれ以上燃焼量が増えないように制限を与える方法のいずれかとする。上記の燃焼制御に制限が加わると、外部にこのことを知らせるために警報を発するようにする。また、燃焼制御の制限中に、再びボイラ本体の温度が設定値に到達した場合、上記の動作を再度行うようにする。
【0011】
本発明のボイラの燃焼制御装置は、ボイラ本体に蒸気センサを設け、この蒸気センサと制御盤とを接続し、送風機のダクトの空気ダンパ及び燃料調量弁とコントロールモータとを接続し、このコントロールモータと前記制御盤とを接続したボイラの燃焼制御装置において、ボイラの水管と水管とを接続するメンブレン部で、水管長さの半分より上部の高さ位置に、温度センサを設け、この温度センサと前記制御盤とを接続したことを特徴としている。この場合、水管長さの半分より上部の高さ位置が、上部ヘッダの下面より150mm以内であるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法及び装置は、ボイラ本体の温度状態と、蒸気圧力によるボイラの燃焼制御とを組み合わせているので、ボイラが危険な状態となる前の状態で、燃焼を安定的に継続することができるとともに、早期の危険予知が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明のボイラの燃焼制御装置の一例を示し、連続燃焼制御の場合の構成説明図である。
【図2】図2は図1におけるA−A線拡大断面図である。
【図3】図3は本体温度とボイラ負荷燃焼量との関係を示す線図である。
【図4】図4は多段燃焼制御(Hi−Low燃焼制御)の場合の要部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ボイラの燃焼制御を連続して安定的に行うという目的を、蒸気圧力によるボイラの燃焼制御に、ボイラ本体の温度状態による制御を加えることにより実現した。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明のボイラの燃焼制御装置の1実施例の構成説明図であって、連続燃焼制御の場合を示している。図2は、図1におけるA−A線断面を示している。
【0016】
図1及び図2に示すように、本例の装置は、ボイラ本体、一例として気水分離器20の入口管に蒸気圧力センサ4を設け、この蒸気圧力センサ4と制御盤5とを接続し、送風機6のダクト7の空気ダンパ8及び燃料調量弁10とコントロールモータ11とを接続し、このコントロールモータ11と前記制御盤5とを接続した従来のボイラの燃焼制御装置において、ボイラの水管1と水管とを接続する水管メンブレン部12で、水管長さの半分より上部の高さ位置に、温度センサ13を設け、この温度センサ13と前記制御盤5とを接続している。14は炉、15は下部ヘッダ、16はメンブレン、17は燃料供給管、18はバーナ、20は気水分離器である。この気水分離器20から、蒸気が取り出される。
【0017】
このように構成された装置において、温度センサ13は、上部ヘッダ3の下面より150mm以内(以下)に取り付けるようにする。
水管の上部は、管内に占める蒸気の割合が多いため、伝熱の障害となるスケール成分が付着しやすいことや、給水不足などによる本体過熱が下部に比べ速く発生する。特に上部ヘッダ3の下面より150mm以内では、いち早く本体の過熱を検知することができる利点がある。
【0018】
上記のように構成された装置において、圧力センサ4で検出した蒸気圧力によるボイラの燃焼量制御に加え、温度センサ13によるボイラ本体の温度の状態を条件に加えて、燃焼制御を行う。ボイラ本体の温度は、上記のように、水管1と水管とを結合する水管メンブレン部12における、水管長さの半分より上部の高さ位置の温度センサ13で検出する。そして、ボイラ本体の温度が設定値に到達した場合、燃焼制御に制限を加える。
【0019】
この燃焼制御の制限としては、燃焼制御が連続制御の場合、ある一定の割合で燃焼量を低下させその燃焼量を最大の燃焼量に固定するか、又は図3に示すように、ボイラの本体温度がある設定値に到達した時の燃焼量を上限としそれ以上燃焼量が増えないように制限を与えるようにする。
【0020】
上記の燃焼制御に制限が加わると、外部にこのことを知らせるために警報を発するようにする。また、燃焼制御の制限中に、再びボイラ本体の温度センサ13の温度が設定値に到達した場合、上記の動作を再度行なうようにする。
【実施例2】
【0021】
図4は、本発明の装置の他の実施例における説明図であって、多段燃焼制御(Hi−Low燃焼制御)の場合を示している。21は燃料流量制御弁、22はオリフィスである。 本例の段階制御における燃焼制御の制限としては、一段低い燃焼量に移行させその燃焼量を最大の燃焼量に固定するようにする。他の構成及び作用は、図1及び図2の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ボイラ燃焼制御を安定的に継続することができるとともに、ボイラの早期の危険予知が可能になり、ボイラ燃焼制御の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 水管
3 上部ヘッダ
4 蒸気圧力センサ
5 制御盤
6 送風機
7 ダクト
8 空気ダンパ
10 燃料調量弁
11 コントロールモータ
12 水管メンブレン部
13 温度センサ
14 炉
15 下部ヘッダ
16 メンブレン
17 燃料供給管
18 バーナ
20 気水分離器
21 燃料流量制御弁
22 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧力によるボイラの燃焼量制御に加え、ボイラ本体の温度の状態を条件に加えて、燃焼制御することを特徴とするボイラの燃焼制御方法。
【請求項2】
ボイラ本体の温度は、水管と水管とを結合するメンブレン部における、水管長さの半分より上部の高さ位置で検出する請求項1記載のボイラの燃焼制御方法。
【請求項3】
ボイラ本体の温度が設定値に達した場合、燃焼制御に制限を加える請求項1又は2記載のボイラの燃焼制御方法。
【請求項4】
燃焼制御の制限としては、燃焼制御が段階制御の場合、一段低い燃焼量に移行させその燃焼量を最大の燃焼量に固定する請求項3記載のボイラの燃焼制御方法。
【請求項5】
燃焼制御の制限としては、燃焼制御が連続制御の場合、ある一定の割合で燃焼量を低下させその燃焼量を最大の燃焼量に固定する方法、及びボイラの本体温度がある設定値に到達した時の燃焼量を上限としそれ以上燃焼量が増えないように制限を与える方法のいずれかとする請求項3記載のボイラの燃焼制御方法。
【請求項6】
燃焼制御に制限が加わると、外部にこのことを知らせるために警報を発する請求項3、4又は5のいずれかに記載のボイラの燃焼制御方法。
【請求項7】
燃焼制御の制限中に、再びボイラ本体の温度が設定値に到達した場合、請求項2又は3記載の動作を再度行うボイラの燃焼制御方法。
【請求項8】
ボイラ本体に蒸気圧力センサを設け、この蒸気圧力センサと制御盤とを接続し、送風機のダクトの空気ダンパ及び燃料調量弁とコントロールモータとを接続し、このコントロールモータと前記制御盤とを接続したボイラの燃焼制御装置において、ボイラの水管と水管とを接続するメンブレン部で、水管長さの半分より上部の高さ位置に、温度センサを設け、この温度センサと前記制御盤とを接続したことを特徴とするボイラの燃焼制御装置。
【請求項9】
水管長さの半分より上部の高さ位置が、上部ヘッダの下面より150mm以内である請求項8記載のボイラの燃焼制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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