説明

ボイラの蒸気品質モニタリング装置

【課題】 蒸気中の有機系不純物量を短時間のうちに精度よく測定できるボイラの蒸気品質モニタリング装置を提供する。
【解決手段】 ボイラ2の供給用蒸気S1を冷却して凝縮水Gにする冷却器10と、凝縮水Gの所定波長の光に対する吸光度を計測する分光光度計20と、分光光度計20によって計測された吸光度を用いて供給用蒸気S1中の有機系不純物量を算出する演算手段21とを備えている。供給用蒸気S1を凝縮水Gにし、この凝縮水Gの吸光度を分光光度計20により計測すれば、演算手段21を介して、供給用蒸気S1中の有機系不純物量が決定されるので、測定も短時間のうちにできる。また、実験等により、演算手段21による有機系不純物量の算出誤差も小さくできるので、算出された供給用蒸気S1中の有機系不純物量の精度も高く保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの供給用蒸気中に含まれる有機系不純物量を測定して、この供給用蒸気の品質を監視するボイラの蒸気品質モニタリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラ給水等には、水処理剤が加えられるので、ボイラ側には、これらの水処理剤やその熱分解物といった有機系不純物が蓄積するが、ブロー等の管理を適切に行えば、これらの有機系不純物がボイラ水中で濃縮してしまうことはなく、これらがキャリオーバによって蒸気中に混入してしまうこともあまりなかった。
【0003】
ところが、近年、比較的価格が安く、無人運転が可能な小型貫流ボイラが普及し、ボイラ給水のほぼ全量が蒸気化されるようになったため、蒸気中に有機系不純物が含まれ易い傾向となってきている。また、従来では、製品の加熱や殺菌は、蒸気を使用する熱交換器を介して間接的になされることが多かったが、近年では、蒸気を直接製品に吹き込んで行われることが一般化してきている。以上の理由により、上記のようなボイラを使用する工場などでは、蒸気の品質をモニタリングし、蒸気中に有機系不純物量が多ければ、蒸気を使用しないなど、何らかの処置をする必要が生じてきている。
【0004】
このため、近年、ボイラからの蒸気の品質を評価することも行われるようになった。例えば、特許文献1には、ボイラからの蒸気を凝縮させ、この凝縮水を用いて蒸気の品質を監視するボイラ復水系監視装置が開示されている。このボイラ復水系監視装置では、ボイラから供給される蒸気の凝縮水中にテストピースを浸し、このテストピースの腐食の程度を観察することによって、蒸気の品質を監視している。
【0005】
しかしながら、上記のボイラ復水系監視装置では、テストピースの腐食が、有機系不純物に起因する腐食のみでなく、pH値に起因する腐食や、溶存酸素に起因する腐食も含むため、蒸気中にどの程度の有機系不純物が含まれているかが明確ではなく、かつ、観察結果が主観的なものになりやすく、正確さにも欠けるという問題があった。また、上記装置では、結果が出るまでに時間を要すという問題もあった。
【0006】
一方、蒸気中の有機系不純物量は、この蒸気の凝縮水中の全有機炭素(TOC)濃度を、市販のTOC計を用いて測定することにより明確かつ正確に(精度よく)知ることができる。
【特許文献1】特開平8−28803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、市販のTOC計でも、一回の測定に3〜4分の時間を要し、蒸気中の有機系不純物量を直ちに知ることができないという問題があった。このため、市販のTOC計を蒸気のモニタリングに使用すると、製造ラインの蒸気の使用ポイント直前の位置で、蒸気の品質確認がすぐには行えず、品質が確認された蒸気と使用する蒸気との間に時間的ギャップが生じてしまうという不都合があった。このため、蒸気の品質が確認されても、使い始めた蒸気の品質が保たれているか否かは明確ではないという不都合が生じていた。
【0008】
この発明は、以上の点に鑑み、蒸気中の有機系不純物量を短時間のうちに精度よく測定できるボイラの蒸気品質モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の請求項1記載の発明は、ボイラの供給用蒸気を冷却して凝縮水にする冷却器と、前記凝縮水の所定波長の光に対する吸光度を計測する分光光度計と、前記分光光度計によって計測された前記吸光度を用いて前記供給用蒸気中の有機系不純物量を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、事前に、凝縮水の有機系不純物濃度(例えばTOC濃度)と、この凝縮水の所定波長の光に対する吸光度との関係を求めておき、凝縮水の上記所定波長の光に対する吸光度がわかれば、この吸光度を用いて、演算手段が凝縮水の有機系不純物濃度を算出できるようにしておく。
【0011】
すなわち、この発明では、冷却器からのボイラの供給用蒸気の凝縮水に、分光光度計により、所定波長の光を当てて、この凝縮水の吸光度を計測し、この吸光度を用いて、演算手段が有機系不純物濃度(例えばTOC濃度)を算出することにより、供給蒸気中の有機系不純物量が測定される。
【0012】
ここで、蒸気中の有機系不純物、すなわち、ボイラに持ち込まれた有機酸やその塩又は糖類を含む水処理剤やこれらの熱分解物は、光を吸収する官能基を有すので、光のいくつかの波長に関して吸収特性を有するとともに、一般の有機成分と同様に、紫外領域の光を吸収する性質を有す。また、着色された水処理剤が使用された場合、蒸気中の有機系不純物は、可視領域の光を吸収する性質を有する。一方、凝縮水の光の吸収特性は、光の波長毎に、有機系不純物濃度(例えばTOC濃度)によって変化するので、凝縮水の有機系不純物濃度(例えばTOC濃度)と、この凝縮水の所定波長の光に対する吸光度とには一定の関係が生じる。
【0013】
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の場合に、前記分光光度計の測定波長は、190〜780nmであることを特徴とする。
【0014】
この発明では、波長が190〜780nmの紫外領域と可視領域の光が使用される。蒸気中の有機系不純物が、これらの光の何れかを吸収する特性を有すからである。
【0015】
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の場合に、前記分光光度計のセルは、前記凝縮水を流して、その吸光度を連続的に計測できるフローセルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明の請求項1記載の発明によれば、ボイラの供給用蒸気を凝縮水にして、この凝縮水の吸光度を分光光度計により計測すれば、演算手段を介して、供給用蒸気中の有機系不純物量が決定されるので、この決定までに時間がかからず、供給用蒸気中の有機系不純物量を短時間のうちに容易に測定できる。また、この発明によれば、有機系不純物量を算出するのに使用される、凝縮水の有機系不純物濃度(例えばTOC濃度)と、この凝縮水の所定波長の光に対する吸光度との関係も、実験によって明らかにできるので、算出された供給用蒸気中の有機系不純物量の精度も高く保つことができる。したがって、この発明によれば、例えば工場の作業者は、使用ポイント直前の蒸気の品質を直ちに確認して、品質のよい蒸気のみを確実に使用でき、蒸気の品質に起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0017】
この発明の請求項2記載の発明によれば、紫外及び可視領域の光を使用して、蒸気中の有機系不純物の量を容易に知ることができる。
【0018】
この発明の請求項3記載の発明によれば、蒸気中の有機系不純物量を時々刻々と知ることができ、作業者は、常に品質のよい蒸気のみを使用でき、蒸気の品質に起因するトラブルを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る蒸気品質モニタリング装置を示している。
【0020】
蒸気品質モニタリング装置1は、ボイラ2にて発生した、例えば温度150℃の供給用蒸気S1中の有機系不純物量を測定して、この供給用蒸気S1の品質を監視するものである。この蒸気品質モニタリング装置1は、図1で示されるように、供給用蒸気ラインL1中の、蒸気使用設備3へ供給用蒸気S1を送る供給弁4の直前に設けられている。そして、この蒸気品質モニタリング装置1は、蒸気サンプリングユニットY1と、計測ユニットY2ととから構成されている。なお、ボイラ2は、丸ボイラ、水管ボイラ、貫流ボイラ、その他特殊ボイラであってもよいし、供給用蒸気S1の圧力も、低圧、中圧、高圧の何れであってもよい。
【0021】
蒸気サンプリングユニットY1は、供給用蒸気S1の凝縮水Gを、所定の温度及び流量で計測ユニットY2に供給するものである。この蒸気サンプリングユニットY1は、冷却器10と、冷却器10と供給用蒸気ラインL1とをつなぐ蒸気配管L2と、冷却器10と計測ユニットY2とをつなぐ凝縮水配管L3と、蒸気配管L2中に設けられる逆止弁11、遮断弁12、圧力計13と、凝縮水配管L3中に設けられる温度計14、流量計15、流量調整弁16と、冷却器10への冷却水入口に設けられる冷却水量調整弁17と、コントローラ18と、所定の配線とから構成されている。
【0022】
冷却器10は、供給用蒸気S1を冷却水Rにより冷却し、これを凝縮水Gに変える熱交換器である。遮断弁12は、圧力計13からの信号を受けて開閉する電磁弁である。コントローラ18は、温度計14からの凝縮水Gの温度信号を基に、冷却水量調整弁17の弁開度を制御するとともに、流量計15からの流量信号を基に、流量調整弁16の弁開度を制御する。
【0023】
ここで、凝縮水Gの流量は、例えば、120mL/minであるが、30〜200mL/minであることが好ましく、50〜150mL/minであることがより好ましい。また、凝縮水Gの温度は、例えば、20℃であるが、10〜40℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましい。
【0024】
計測ユニットY2は、凝縮水Gの吸光度を計測し、この吸光度からTOC濃度を介して、供給用蒸気S1中の有機系不純物量を定めるものである。この計測ユニットY2は、所定波長の光に対する凝縮水Gの吸光度を計測する分光光度計20と、凝縮水Gの吸光度から凝縮水GのTOC濃度を算出する演算手段としての演算器21と、算出されたTOC濃度又はこれを蒸気中の有機系不純物量に換算した値を供給用蒸気S1中の有機系不純物量として表示し、記録する記録計22とから構成されている。なお、TOC濃度は、凝縮水Gの有機系不純物濃度と見なせるものであり、これによって、供給用蒸気S1中の有機系不純物量を知ることができる。
【0025】
分光光度計20は、波長が190〜780nmの紫外及び可視領域の光を用いて、試料の吸光度を計測する紫外/可視分光光度計である。この分光光度計20は、紫外及び可視領域の全波長の光を用いる必要は無く、例えば、複数又は一つの所定波長の光(具体的には波長が250nmの紫外領域の光)を用いて、試料である凝縮水Gの吸光度を計測すればよいので、計測に数ミリセカンドの時間しか要しない。このため、この分光光度計20には、試料を保持するセルにフローセル、すなわち、試料を静止させず流しながら吸光度が連続的に計測できるセルが用いられている。なお、フローセルから流れ出た凝縮水Gは、排出管L4を通って外部に排出される。
【0026】
つぎに、演算器21で使用される凝縮水の吸光度とTOC濃度との関係について説明する。なお、ボイラの負荷変動や缶水濃縮によって、キャリオーバが生じ、ボイラ水中の有機系不純物、すなわち、ボイラに持ち込まれた水処理剤(有機酸やその塩又は糖類を含む)やこれらの熱分解物が蒸気中に混入する。
【0027】
水処理剤やこれらの熱分解物質からなる蒸気中の有機系不純物は、光を吸収する官能基(多重結合を持った発色基と助色基など)を有すので、光のいくつかの波長に関して吸収特性を有する。また、この有機系不純物は、一般の有機成分と同様に、紫外領域の光を吸収して基底状態における結合軌道からエネルギーの高い反結合軌道へと遷移するので、紫外領域の光を吸収する性質を有す。さらに、着色された水処理剤が使用された場合、この有機系不純物は、可視領域の光を吸収する性質を有する。したがって、ボイラの蒸気を凝縮して液体(凝縮水)とし、これに紫外領域や特定の可視領域の光を当てると、波長毎に光の吸収が生じ、この光の吸収の程度が、吸光度として分光光度計により計測できる。一方、この吸光度は、凝縮水の有機系不純物濃度、例えば、TOC濃度によっても変化する。
【0028】
図2は、蒸気の凝縮水に関して調べられた、TOC濃度と、紫外領域の光の波長と、吸光度との関係をグラフで示している。このグラフは、TOC濃度をパラメータとして実際のボイラ実験によって求められたものであるが、このグラフでは、TOC濃度が大きくなるほど、かつ、波長が小さくなるほど、吸光度が大きくなることが分かる。
【0029】
上記ボイラ実験では、実験ボイラの補給水に、水処理剤として有機酸を主体とする脱酸素剤(栗田工業(株)製ダイクリーンTL404)を180mg/Lの割合で加えた。そして、実験ボイラからのボイラ水のブローダウン量を0とし、ボイラ水中の有機系不純物濃度を上げて、実験ボイラ中でキャリオーバを発生させ、蒸気中の有機系不純物量を上げた。そして、バッチにてサンプリングした蒸気の凝縮水中の有機系不純物濃度をTOC濃度としてTOC計で計測するとともに、この凝縮水の吸光度を分光光度計で計測した。この場合、波長スペクトルをとる際のスキャン速度は100nm/minで行ったため、一つのサンプルの吸光度を計測するのに約1分半の時間を要した。なお、分光光度計には日立社製のもの(U−2810型)を使用し、TOC計にはSIERVERS社製のもの(TOC分析計ポータブル型)を使用した。
【0030】
図3は、凝縮水のTOC濃度と、例えば、波長250nmの光に対する凝縮水の吸光度との関係をグラフで示している。このグラフは、図2中の250nmの波長に対する、TOC濃度と吸光度から求められたもので、吸光度とTOC濃度とが比例関係にあることを示している。もちろん、吸光度とTOC濃度との関係は、図2から紫外部の他の波長の光についても表すことができる。
【0031】
したがって、演算器21は、上記吸光度とTOC濃度との関係を基に、分光光度計20で計測された吸光度から、凝縮水GのTOC濃度を算出する。なお、複数の波長について吸光度とTOC濃度との関係を調べ、演算器22は、これらを基に算出されたTOC濃度の例えば平均値を出力するようにしてもよい。
【0032】
つぎに、蒸気品質モニタリング装置1の作用効果について説明する。
ボイラ2からの供給用蒸気S1は、供給用蒸気ラインL1から蒸気配管L2を介して蒸気サンプリングユニットY1に導かれる。この供給用蒸気S1は、蒸気サンプリングユニットY1において、冷却水Rにて冷やされて凝縮水Gに変えられる。この場合、冷却器10出口の凝縮水Gの温度は温度計14で計測され、この温度が設定温度になるように、コントローラ18が冷却水量調整弁17を介して冷却器10に流入する冷却水Rの流量を制御する。また、冷却器10出口の凝縮水Gの流量は流量計15で計測され、この流量が設定流量になるように、コントローラ18が流量調整弁16を介して冷却器10に流入する供給用蒸気S1の流量を制御する。したがって、凝縮水Gは、コントローラ18による流量調整弁16と冷却水量調整弁17との制御の結果、設定温度(20℃)、設定流量(120mL/min)で、継続的に計測ユニットY2側に送られる。
【0033】
ここで、ボイラ2が運転を停止するなど、供給用蒸気S1の圧力が所定の設定値まで降下すると、蒸気配管L2中の圧力を計測している圧力計13からの信号により遮断弁12が閉じ、計測ユニットY2側での計測動作を中止させる。また、ボイラ2が運転を開始するなど、供給用蒸気S1の圧力が所定の設定値より上昇すると、圧力計13からの信号により遮断弁12が開き、計測ユニットY2側での計測動作を開始させる。なお、逆止弁11は、ボイラ2側の圧力が負圧になった場合に、蒸気サンプリングユニットY1側からの凝縮水G等の逆流を防止する。
【0034】
計測ユニットY2に送られた凝縮水Gは、分光光度計20のセル(フローセル)中を通過中に、所定波長の光(例えば波長250nmの紫外部の光)による吸光度が計測され、その後、排出配管L4から排出される。この場合、分光光度計20に送られる凝縮水Gの流量及び温度が一定条件に保たれるので、凝縮水Gに対する計測結果と供給用蒸気S1の品質とが常に一定の関係となり、凝縮水Gに対する計測結果から、供給用蒸気S1の品質の正確な判断が可能となる。
【0035】
演算器21は、分光光度計20にて計測された吸光度を基に、凝縮水GのTOC濃度を算出し、記録計22は、このTOC濃度又はこれを蒸気中の有機系不純物量に換算した値を供給用蒸気S1中の有機系不純物量として、表示し、記録する。
【0036】
以上のように、この蒸気品質モニタリング装置1では、ボイラ2の供給用蒸気S1を凝縮水Gにして、この凝縮水Gの吸光度を計測した後、所定の演算を行えば、供給用蒸気S1中の有機系不純物量が決定されるので、この決定までに時間がかからず、供給用蒸気S1中の有機系不純物量を短時間のうちに容易に測定できる。また、この蒸気品質モニタリング装置1では、有機系不純物量を算出するのに使用される、凝縮水のTOC濃度と、この凝縮水の所定波長の光に対する吸光度との関係も、実験によって充分に明確化できるので、供給用蒸気S1中の有機系不純物量も精度よく算出できる。
【0037】
したがって、作業者は、蒸気使用設備3の使用ポイント直前の供給用蒸気S1の品質を直ちに確認して、供給弁4を開くことができるので、蒸気使用設備3側で品質のよい蒸気のみを確実に使用でき、蒸気の品質に起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0038】
また、この蒸気品質モニタリング装置1では、計測ユニットY2側に連続的に凝縮水Gを流し、時々刻々変化する供給用蒸気S1の品質を短時間のうちに連続的に表示することができる。このため、例えば作業者は、使用している供給用蒸気S1の品質が低下すれば直ちに供給弁4を閉じて、蒸気使用設備3への供給用蒸気S1の供給を停止することができ、常に品質のよい蒸気のみを使用して、蒸気の品質に起因するトラブルを確実に防止することができる。
【0039】
さらに、この蒸気品質モニタリング装置1では、TOC計に比べて構成パーツが少なく、かつ、キャリヤガスや反応試薬も使用しない分光光度計を使用すればよいので、TOC計を使用する場合に比べて、装置の維持管理が容易であり、TOC濃度を簡易迅速に計測できる。したがって、この蒸気品質モニタリング装置1は、設置が容易であり、蒸気が採取できる場所であれば、どのような場所にも容易に設置して、蒸気の品質を監視できる。
【0040】
なお、計測ユニットY2に、TOC濃度が設定値より高い場合、警報を発する警報機を設けてもよい。
【0041】
また、凝縮水Gの有機系不純物濃度は、TOC濃度測定以外の方法で行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施の形態に係るボイラの蒸気品質モニタリング装置の機器配置と、水、蒸気、信号の流れを示す図である。
【図2】蒸気の凝縮水に関する、TOC濃度と、紫外部における光の波長と、吸光度との関係を示す線図である。
【図3】波長250nmの光に対する、凝縮水の吸光度とTOC濃度との関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0043】
1 蒸気品質モニタリング装置
2 ボイラ
10 冷却器
20 分光光度計
21 演算器(演算手段)
G 凝縮水
S1 供給用蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの供給用蒸気を冷却して凝縮水にする冷却器と、前記凝縮水の所定波長の光に対する吸光度を計測する分光光度計と、前記分光光度計によって計測された前記吸光度を用いて前記供給用蒸気中の有機系不純物量を算出する演算手段とを備えたことを特徴とするボイラの蒸気品質モニタリング装置。
【請求項2】
前記分光光度計の計測波長は、190〜780nmであることを特徴とする請求項1に記載のボイラの蒸気品質モニタリング装置。
【請求項3】
前記分光光度計のセルは、前記凝縮水を流しながら、その吸光度を連続的に計測できるフローセルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラの蒸気品質モニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−263841(P2007−263841A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91105(P2006−91105)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】