説明

ボイラーの排気管における凝結防止方法

外気温度が所定温度以下であるときに、バーナーの火力を高め、排気管を通して放出される排気ガスの温度を上昇させ、排気管の端部に蒸気の凝結と氷柱ができるのを防ぐ方法が開示されている。この凝結防止方法は、送風機の吸気量に関連付けられた燃料供給量に基づいて、バーナーの燃焼を比例制御燃焼するステップ、気温センサーによって測定された送風機の吸気温度に基づいて、バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップ、及び、測定された温度が所定温度と同等又はそれより低く、排気管の端部に凝結が起こるときに、バーナーの火力を高め、排気ガスの温度を上昇させるステップを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比例制御ボイラーの排気管における凝結を防止する方法に関するものであり、より詳しくは、ボイラーの排気管における凝結を防ぐために、ボイラーの排気管を通り放出される空気の温度を上昇させることで、排気ガスに含まれる蒸気の凝結を防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のボイラーの排気構造を図解した概略図である。従来のボイラーでは、空気供給パイプ10を通して導入された外気は、送風機20によって燃料と共にバーナー30へ供給される。そして、バーナー30の燃焼によって発生した排気ガスは、熱交換器40において、循環ポンプ50から流入した空間加熱用配管水との間で熱交換される。そして、熱交換された排気ガスは排気管60を通ってボイラーの外部、つまり大気中へ放出される。
【0003】
排気ガスは相当な量の水分を含んでおり、そして排気ガスの温度は通常100℃か又はそれより高温である。従って、排気ガスに含まれる水分は排気管60を通過する過程で凝縮されずに、蒸気の状態で外部に放出される。
【0004】
しかしながら、例えば冬季のように外気温度が非常に低い時には、排気管60の端部の温度も相当低くなる。外気温度が約40℃〜55℃の露点温度と同等又はそれよりも低くなると、排気ガスに含まれる蒸気が凝縮し始め、排気管60の端部に凝結を発生する。
【0005】
さらに、冬季に外気温度が0℃以下になると、排気管の端部に凝縮した蒸気が凍結して氷柱を形成する。氷柱は美観を損なうだけでなく、もし氷柱が高層ビルの上層階から落下すれば、生命や財産に損害を与えるおそれを生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、排気管の端部に氷柱ができるのを防ぐために排気ガスの温度を上昇させる方法と、排気管60の端部の温度低下を防ぐために排気管60の外部を断熱する方法が提案されている。
【0007】
ここで、排気ガスの温度はボイラーの運転効率に関連する。しかしながら、従来の氷柱防止方法の様に、排気ガスの温度を上げるとボイラー運転効率の低下が避けられず、それによってエネルギーの浪費を生じる。
【0008】
さらに、排気管の外部を断熱する従来の方法は、複雑な構造と断熱材の使用が必要であることから出費が増えるため、それを適用するのは容易ではない。
【0009】
従って、本発明は上記の問題を考慮してなされたものであり、その目的は、外気温度が所定温度と同等又はそれより低い時に、バーナーの火力を高めて、排気管を通り放出される排気ガスの温度を上昇させることにより、ボイラーの排気管端部における蒸気の凝結及び氷柱の生成を防止できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明は、ボイラーの排気管における凝結を防ぐ方法を提示する。この方法は、送風機の吸気量に関連付けられた燃料供給量に基づいてバーナーの燃焼を比例制御するステップと、気温センサーによって測定された送風機の導入空気温度に基づいて、バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップと、測定された温度が所定温度より低く、排気管の端部に凝結が起きるときに、バーナーの火力を高め、排気ガスの温度を上昇させるステップとを備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップは、バーナーが所定量のガスを消費する状態で、所定時間をかけて動作してきたかどうかを確認するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、燃焼を比例制御するステップは、火力を高めるためのバーナーの燃焼継続時間が所定時間を超えたときに、バーナーの燃焼を比例制御することを特徴とする。
【0013】
さらに、バーナーの火力を高めるステップは、コントローラが予め設定された多段階の外気温度ステージを使用し、各外気温度ステージに応じて異なる燃焼継続時間でバーナーの火力を高めるための制御を行うことを特徴とする。
【0014】
さらに、バーナーの火力を高めるステップは、測定された外気温度が所定温度と同等又はそれより低い時に、バーナーを最大火力で燃焼させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明のボイラーの排気管における凝結を防ぐ方法によると、冬季のように外気温度が蒸気の氷結温度と同等又はそれより低い時、バーナーの火力を高め、バーナーを最大火力で燃焼させるので、ボイラーの排気管を通して放出される排気ガスの温度を上昇させ、それによって排気管の端部に蒸気の凝結と氷柱ができるのを防止することができる。
【0016】
さらに、バーナーを最大火力で燃焼させる状態が所定時間を超えて継続したときに、バーナーの燃焼を比例制御するステップに戻ることで、不要な燃料の消費を有利に防ぐ事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は従来のボイラーの排気構造を図解する概略図である。
【図2】図2は従来の比例制御ボイラーにおいて、ガスの消費量と排気ガスの温度との関係を示したグラフである。
【図3】図3は本発明による制御方法の一実施形態を図解したフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。以下の記述と図面では、同一又は類似の構成部分を示すものに同じ参照数字が使用されており、同一又は類似の構成部分に関する記述の反復は省略する。
【0019】
比例制御ボイラーは、所定範囲内の負荷量に比例してバーナーの火力を切換えるため、空間加熱や温水使用にあたってユーザーの利便性がよく、広く使用されてきた。また、比例制御ボイラーは、バーナーが必要とする火力に応じ、燃料と空気の量を制御して燃焼を行うため、ガス消費量を最大ガス消費量の30%から40%まで減少することが可能である。
【0020】
図2は、従来の比例制御ボイラーのガス消費量と排気ガス温度との関係を示したグラフである。このグラフは、熱交換器に回帰する空間加熱用回帰水の温度が30℃であり、熱交換器を通過して空間加熱を必要とする箇所のパイプに供給される空間加熱用供給水の温度が50℃であるときの、ガス消費量と排気ガス温度との関係を示している。
【0021】
図2に示すように、ガス消費量が減少すると、排気ガス温度もまた下がり、そして排気ガス温度が下がると、外気温度が低い環境下で排気管の冷却が起こりやすく、それによって、排気管が排気ガスの露点温度と同等又はそれより低い温度に冷やされる。
【0022】
排気管が排気ガスの露点温度と同等又はそれより低い温度に冷やされると、排気管内を通過する排気ガスに含まれる蒸気が凝縮し、排気管の端部に付着する。排気管の端部に付着した水分は、外気温度が零度以下になると氷結し始め、氷柱を生成する。
【0023】
本発明の比例制御ボイラーでは、ガス消費量が減少し、排気管を通して放出される排気ガス温度が下がり(例えば、図2において、ガス消費量が50%、排気ガス温度が100℃となった場合)、さらに、冬季のように、測定された外気温度が所定温度と同等又はそれより低くなると、この測定温度あたりで排気管に凝結が起こると判断し、バーナーの火力を高め、排気ガスの温度を上昇させる。以下に、制御方法を図3に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明の制御方法を実施するために、気温センサー(図示せず)を屋外又はボイラーの空気供給用送風機20の入口に取付け、このセンサーで外気温度を検出する。
【0025】
図3は、本発明による制御方法の一実施形態を図解したフローチャートである。
ボイラーが動作を開始すると、まず、コントローラは比例制御燃焼ステップを開始し、負荷量に比例して送風機20の吸気量と燃料供給量を調節して、バーナーの火力を制御する(S101)。
【0026】
次に、コントローラは、バーナーが所定量のガスと同等又はそれより少ないガスを消費する状態で、所定時間をかけて動作してきたかどうかを確認する(S103)。続いて、外気温度が所定温度と同等又はそれより低いかどうかを確認する(S105)。そして、これらの確認結果に従って、バーナーの火力を高めるかどうかを決定する(バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップ)。
【0027】
例えば、ガス消費量が50%以下になり、排気ガス温度が100℃以下に低下したときに、コントローラは、排気管内で蒸気が凝縮するとみなして、この状態が10分以上持続しているかどうかを確認する。そして、ガス消費量が50%以下で、持続時間が10分を超え、気温センサーの測定温度が0℃以下となった時点で、凝結を判定し、バーナーの火力を高めるための火力上昇制御を実行する。一方、上記の条件が満たされない場合は、バーナーを比例制御の動作状態に保つ(S101)。
【0028】
バーナーの火力上昇制御においては、コントローラが予め設定された多段階の外気温度ステージを使用する。これらの温度ステージはそれぞれ5℃の間隔で設定され、コントローラは各温度ステージに応じた異なる燃焼継続時間でバーナーの火力を高めるための制御を実行する。
【0029】
すなわち、コントローラは、外気温度が0℃以下であることを確認した後に(S105)、外気温度が−5℃以下であるかどうかを確認する(S107)。外気温度が0℃〜−5℃であるとき、バーナーを最大火力で動作させ、バーナーの火力を高める(S109)。そして、バーナーが最大火力で動作している時間が1分を超えたかどうかを確認し(S111)、最大火力での動作時間が1分を超えたときに、排気管の端部での蒸気の凝結を十分に防ぐことができると判断し、バーナーの燃焼を比例制御するステップ(S101)に戻る。一方、最大火力での動作時間が1分未満であるときには、バーナーを最大火力で継続的に動作させる。
【0030】
時間経過に伴って、外気温度が−5℃以下に低下すると、次に、コントローラは外気温度が−10℃以下に低下したかどうかを確認する(S107→S113)。そして、外気温度が−5℃〜−10℃であるときに、バーナーを最大火力で動作させる(S115)。このときの温度は、−0℃〜−5℃と比較して低いため、バーナーを最大火力で3分間動作させる(S117)。
【0031】
上記と同様の方法により、コントローラは、外気温度が−10℃〜−15℃であるとき(S119)、バーナーを最大火力で5分間動作させ(S121、S123)、外気温度が−15℃以下であるときに、バーナーを最大火力で10分間動作させる(S125、S127)。
【0032】
バーナーの火力を高めるステップでは、バーナーの燃焼継続時間が多段階の外気温度ステージに応じて異なる値に設定されているので、最大火力でのバーナーの動作継続時間を最小にし、それによって燃料の浪費を防ぐことができる。
【0033】
なお、外気温度ステージの温度間隔、及び火力を高めるためのバーナーの燃焼継続時間は、当業者によって容易に変更することができる。
【0034】
以上では、本発明を目下のところ最も実用的で好ましいと考えられる態様に関して説明してきたが、本発明は、開示された態様と図面のみに限定されず、添付されたクレームの精神と範囲内に様々な改良と変更を含むことを意図してなされたものであることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によると、外気温度が所定温度と同等又はそれより低くなったときでも、ボイラーの排気管の端部に蒸気の凝結と氷柱ができるのを防ぐことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラーの排気管における凝結を防止する方法であって、
送風機の吸気量に関連付けられた燃料供給量に基づいて、バーナーの燃焼を比例制御するステップと、
気温センサーによって測定された送風機の吸気温度に基づいて、バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップと、
測定された温度が所定温度と同等又はそれより低く、排気管の端部に凝結が起こるときに、バーナーの火力を高め、排気ガスの温度を上昇させるステップとを含む
ことを特徴とする凝結防止方法。
【請求項2】
前記バーナーの火力を高めるかどうかを決めるステップは、バーナーが所定量のガスを消費する状態で、所定時間をかけて動作してきたかどうかを確認するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の凝結防止方法。
【請求項3】
前記燃焼を比例制御するステップは、火力を高めるためのバーナーの燃焼継続時間が所定時間を超えたときに、バーナーの燃焼を比例制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の凝結防止方法。
【請求項4】
前記バーナーの火力を高めるステップは、コントローラが予め設定された多段階の外気温度ステージを使用し、異なる燃焼継続時間でバーナーの火力を高めるための制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の凝結防止方法。
【請求項5】
前記バーナーの火力を高めるステップは、測定された外気温度が所定温度と同等又はそれより低いときに、バーナーを最大火力で燃焼させることを特徴とする請求項3に記載の凝結防止方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−507065(P2010−507065A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533245(P2009−533245)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005092
【国際公開番号】WO2008/048049
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(507300939)キョントン ナビエン カンパニー リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Kyungdong Navien Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】437 Segyo−dong, Pyungtaek−si,Gyunggi−do 450−818 Republic of Korea
【Fターム(参考)】