説明

ボウル型パーツフィーダ

【課題】正確かつ確実に有底筒状部品の向きを揃えることができ,搬送するパーツのサイズ変更等にも容易に対応できるボウル型パーツフィーダを提供する。
【解決手段】前記搬送トラック22にパーツ9の軸線方向を進行方向前後方向に向けて整列させる整列部222を設け,該整列部222の終端部222bに規制板26を立設して,搬送されたパーツの停止位置23を形成し,該停止位置23の外周に搬出部3を設ける。前記規制板26にはパーツ9の開口部92内に挿入される近接センサ27を突設し,第1近接センサ27と直交方向に第2近接センサ27’を設け,制御装置によって前記第1,第2近接センサ27,27’からの検出信号に基づいて,噴射ノズル41,42より圧縮気体を噴射して,停止位置23のパーツ9を,搬出部3又はボウル2の内周側に振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,駆動部によって振動されるボウル内に投入された,例えば電気部品のパーツを整列等して搬送するボウル型のパーツフィーダに関し,より詳細には電解コンデンサのケース等のように,有底筒状のケースを,その底部が所定の向きとなるように整列して搬送できるようにしたボウル型パーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品の一例として,電解コンデンサを例にとり説明すると,この電解コンデンサは,リード付きの電解コンデンサ素子に電解液を浸漬させた後,この電解コンデンサ素子をアルミニウム製の有底円筒形のケース内に挿入し,このケースの開口部を封止材によって封止することによって製造されている。
【0003】
従って,このような電解コンデンサの製造工程においてケースに対するコンデンサ素子の挿入を円滑に行おうとすれば,前記電解コンデンサの部品であるケースを,その開口側の端部を全て上向きに配置する等,所定の方向に向けられた状態で組立装置等に供給する必要がある。
【0004】
そこで,このような必要性に対応して,有底円筒状のパーツを搬送しつつ,その底部を所定の方向に向けて整列することができるようにしたパーツフィーダも提案されている。
【0005】
このようなパーツフィーダの一例として,搬送対象とする有底円筒状のパーツでは,底部側と開口部側とで重量が相違することに着目し,このような重量の相違に基づいて生じる重心の偏りに基づいて,所望の向きとは反対向きになっているパーツを搬送路より脱落させて,所望の向きのパーツのみを搬出できるようにしたものや(特許文献1,2),軸芯方向を搬送方向前後方向に向けて倒れた状態で搬送されるパーツの進行方向前方側の端部に,L字状に曲折された鉤状部材の先端部を接触させ,開口部側を進行方向前方側として搬送されたパーツの前記開口部内にこの鉤状部材の先端部を挿入してパーツを引っ掛けて,引っかかったパーツのみを回収し,又は,引っかかったパーツの向きを反転させたり搬送路より除去することにより,向きの揃ったパーツを供給可能としたものや(特許文献3,4),更に,軸線方向の向きが揃えられて搬送されているが,開口部乃至は底部の向きが揃えられていないパーツの同一方向を向いている一方の端部を,フォトセンサによる反射光の反射強度の相違に基づいて底部側であるか開口部側であるかを判定し,この判定結果に従っていずれか一方の向きのパーツを反転させて整列させ,又は搬送路中より除去することにより整列可能としたパーツフィーダ(特許文献5,6参照)が提案されている。
【0006】
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】実用新案登録第2522696号公報
【特許文献2】特開平11−11643号公報
【特許文献3】特開2000−25936号公報
【特許文献4】特開2004−107084号公報
【特許文献5】特開2001−19143号公報
【特許文献6】特開平11−227934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術のうち,パーツの重心の偏りに基づいてパーツの選別を行う特許文献1,2に記載のパーツフィーダでは,パーツの重心がいずれの端部側に偏っているかを判別するために,このパーツを楔型の部材や段の端部に誘導して,このような楔型部材の頂部や段の端部を支点としてパーツがいずれの方向に傾くかによって底部側がいずれを向いているかを判定する。
【0008】
そのためこの種のパーツフィーダにあっては,パーツの決まった部分が正確に前記支点上を通過するように搬送路等を形成する必要があり,特定種類のパーツの専用装置として製造される場合が多く,搬送するパーツのサイズや形状変更等に対応可能なものとなっていない。
【0009】
かりに,このようなサイズや形状の変更等に対応しようとすれば,大幅な部品の交換や,交換後の精密な調整等が必要となり,このような作業が繁雑であると共に交換,調整作業中,この装置を停止する必要があり,該パーツフィーダが組み込まれた製造ラインが停止する。
【0010】
また,このようにしてパーツの重心の偏りを利用してパーツの整列を行うパーツフィーダにあっては,有底円筒状のパーツを対象とする場合であっても,例えば全長が短く,重心の位置が長さ方向の中心より比較的近い位置にある場合や,開口部側の径が大きく形成されていたり,又は開口部側において円筒部の肉厚が厚く形成される等して,重心の偏りが解消され,又は小さくなっているパーツについては,この方法による選別を行うことはできない。
【0011】
一方,鉤状部材の先端をパーツの端部に当接させる前述の特許文献3,4に記載のパーツフィーダにあっては,鉤状部材の先端と接触されるパーツの端部が開口側の端部である場合に鉤状部材の先端部がパーツの開口部内に挿入されるので,重心の偏りが無い等,前述の特許文献1,2に記載の方法では選別ができないパーツであってもパーツの開口部がいずれの方向を向いているかを判別することが可能である。
【0012】
しかし,例えば複数のパーツが端部間を突き合わせた状態で連続して搬送されている場合には,開口部を先端側として搬送されてきたパーツであってもこの開口部が他のパーツによって覆われて搬送されてくることとなるために,パーツの開口部内に鉤状部材を挿入することができず,その結果,搬送されるパーツ中に向きの異なるものが混入するおそれがある。
【0013】
このような問題を解消するためには,各パーツを間隔を空けて搬送することが必要であり,このような搬送を実現するための装置構成が必要となると共に,間隔を設けた分,搬送速度が低下する。また,逆向きのパーツの混入を防止するために,複数回に亘りパーツの向きをチェックすることも考えられるが,装置構成が複雑になると共に,パーツが端部同士を突き合わせた状態で連続して搬送されている以上,複数回のチェックによって逆向きパーツの混入率は減ったとしても完全にこれを無くすことができない。
【0014】
さらに,搬送されてきたパーツの向きをフォトセンサによって検出する前記特許文献5,6に記載のパーツフィーダでは,検査したパーツの端部が底部側であるのか,又は開口側の端部であるのかは,フォトセンサに設けた受光素子が受光する反射光の強さに従って求めている。
【0015】
すなわち,受光素子が受光する反射光の強さが強い場合,フォトセンサがパーツの底部側に対峙していることを,反射光が弱い場合には開口部側に対峙していることを検出することができるようになっている。
【0016】
しかし,搬送対象とするパーツの底部が平坦な形状であれば良いが,例えばパーツの底部が半球状に膨出した形状であったり,パーツの底部外側に製造元,その他の情報を表した刻印等が施されていたり,さらにはパーツの底部に潰れや傷等が生じてる場合には,フォトセンサの発光素子からの照射光がこの部分に当たって拡散等して,受光素子が受光する反射光の強度が低下する場合があり,判定に誤りが生じる場合がある。
【0017】
また,例えば特許文献6に記載の発明では,検出対象とするパーツを所定の傾斜された台上に載置し,この台の上方よりフォトセンサによってパーツの上向き端部が開口側,又は底側のいずれであるかを検出する構成としているが,この構成による場合,搬送対象とするパーツの長さが変わると,フォトセンサから検出対象とするパーツの端部迄の距離が変化し,また,パーツの径が変化すると,フォトセンサの軸芯とパーツの軸芯がずれる。
【0018】
そのため,搬送対象とするパーツのサイズを変更しようとする場合には,このサイズの変更に伴ってフォトセンサの光軸調整が必要となったり,また,感度を調整する必要がある等の煩雑な調整を必要とする。
【0019】
なお,搬送対象とするパーツのサイズ変更に対応して,フォトセンサによる検査時にパーツを載置する載置台に,パーツ形状に対応した着脱可能な保持部材を交換可能とした特許文献5に記載の構成にあっては,検査対象とするパーツのサイズ(径)が変わってもこの保持部材を交換することによりセンサの光軸上にパーツが配置されることから,搬送対象とするパーツのサイズ交換によっても光軸調整等を行う必要はないが,搬送対象とするパーツの各サイズ毎に前述の保持部材を準備しておく必要があると共に,搬送対象とするパーツのサイズ等を交換する度に前記保持部材についても交換が必要となる。
【0020】
そのため,各種のパーツサイズに対応しようとすれば,予め多くの保持部材を揃えておく必要があると共に,交換等の繁雑な作業が必要となる。
【0021】
さらに,特許文献5に記載の構成にあっては,所望の向きとは反対向きのパーツを,機械的に反転させて整列する構成であるために,装置構成が複雑であると共に,パーツ1個当たりの整列に長時間を要する。
【0022】
本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,正確かつ確実に有底筒状部品の向きを揃えることができると共に,搬送対象とするパーツのサイズや形状等を変更した場合であっても,構成部品の大幅な変更や複雑な調整等を行う必要がなく比較的簡単な部品交換及び調整等によって,有底筒状部品の向きを一定方向に揃えて搬送,供給することのできるパーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために,本発明のボウル型パーツフィーダ1は,投入されたパーツ9の移動路である搬送トラック22が形成されたボウル2と,前記搬送トラック22に沿って前記パーツを移動させる振動を前記ボウル2に付与する駆動部7を備え,有底筒状のパーツ9の底部91を一定方向に向けた状態で搬出するボウル型パーツフィーダ1において,
前記搬送トラック22に,パーツ9の軸線方向を進行方向前後方向に向けて整列させる整列部222を設け,該整列部222の終端部222bに規制板26を立設して,搬送されたパーツの前進を規制して停止させる停止位置23を形成すると共に,前記停止位置23の外周に,前記停止位置23と連通してボウル2外に搬出するパーツ9を前記停止位置23より受け入れる搬出部3を設け,
開口部92を進行方向前方側に向けて前記停止位置23に搬送されたパーツ9の,前記開口部92内に挿入される第1近接センサ27を前記規制板26に突設すると共に,前記第1近接センサ27に対して直交方向を成し,かつ,前記規制板26より突設された部分の前記第1近接センサ27に向いた第2近接センサ27’を設け,
更に,前記停止位置23のパーツ9を前記搬出部3に搬出する搬出手段(実施例では,ボウル2の内周側よりパーツ9に圧縮気体を噴射する搬出用噴射ノズル41)と,前記ボウルの中心側に戻す戻し手段(実施例では,ボウル2の外周側よりパーツ9に圧縮気体を噴射する戻し用噴射ノズル42)を設け,
前記第1,第2近接センサ27,27’の検出信号に基づき,前記搬出手段及び戻し手段を制御して,所定の搬送方向に向いたパーツ9を前記搬出部3に搬出すると共に,前記所定の搬出方向とは逆向きのパーツ9を前記ボウル2の中心側に戻す,図示せざるコントローラや,外コントローラによって開閉動作がされる電磁弁45A,45B等の制御手段を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0024】
前記構成のボウル型パーツフィーダ1において,前記第1,第2近接センサ27,27’の側面をシールドすることが好ましい(請求項2)。
【0025】
さらに前記整列部222は,前記パーツ9が嵌合される,前記パーツの進行方向を長さ方向として連続形成された溝Cと,この溝C上に所定の間隔を隔てて設けられ,前記溝Cに嵌合していないパーツ9をボウル2の内周側に脱落させるワイパー25によって構成することができる(請求項3)。
【0026】
この場合,搬送対象とする前記パーツ9が,有底円筒形である場合,前記整列部222に形成された前記溝Cの断面をV字状とすれば好適である(請求項4)。
【0027】
更に,搬送対象である前記パーツ9が,例えば電解コンデンサのアルミニウムケース等のアルミニウム製である場合には,前記近接センサ27,27’として高周波発振型の近接センサを使用することができる(請求項5)。
【0028】
なお,前記停止位置を,前記規制板側を下方として所定角度で傾斜させることもできる(請求項6)。
【発明の効果】
【0029】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のボウル型パーツフィーダ1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0030】
パーツ9の底部91側の向きを検出する手段として近接センサ27,27’を使用したことにより,底部91が半球状に膨出した形状,刻印が施された形状,底部に潰れや傷が生じている場合等,フォトセンサでは正確な検出を行うことができないパーツに対しても正確な検出を行うことができた。
【0031】
しかも,2つの近接センサ27,27’を使用し,一方の近接センサ(第1近接センサ27)をパーツ9の開口部92内に挿入可能としたことで,開口部92を進行方向前方側とするパーツ9は開口部92内に第1近接センサ27を挿入した位置で停止し,このとき,第2近接センサ27’の前面にパーツ9を配置することができ,逆に底部91を進行方向前方側とするパーツ9は,底部91が第1近接センサ27と衝突して前進が規制されるので,開口部92を前方に向けた場合に比較して後退した端部位置で停止することから,第2近接センサ27’の前面にパーツ9が配置されないようにすることができ,これにより,前記2つのセンサのうちの一方がパーツ9を検出しているときには他方がパーツ9を検出せず,他方がパーツ9を検出しているときには一方はパーツ9を検出しないように構成することができた。
【0032】
その結果,パーツ9の底部91が進行方向前方に向いている場合には第1近接センサ27が,パーツ9が開口部92を進行方向前方に向けている場合には第2近接センサ27’がそれぞれ検出信号を出力し,例えば第1近接センサ27の検出信号に基づいて搬出手段(搬出用噴射ノズル41)を,第2近接センサ27’の検出信号に基づいて戻し手段(戻し用噴射ノズル42)を作動させることにより,又はその逆の組合せにより,容易に所望の方向に向いたパーツ9と,これとは逆向きのパーツ9とを振り分けることができた。
【0033】
また,底部91の向きが予め決定した搬送方向とは逆向きであるパーツ9をボウル2の中央側に戻して再度,搬送,整列の工程にかける構成としたことにより,機械的手段により逆向きのパーツ9を1つずつ反転させて向きを揃える構成とした場合に比較して装置構成を簡略化することができた。
【0034】
第1近接センサ27をパーツ9の開口部92内に挿入することで,第1近接センサ27の前面にパーツ9の開口縁が配置されてこれを検出することを防止でき,このような検出によって生じる誤作動を防止することができた。
【0035】
第1,第2近接センサ27,27’の側面をシールドすることにより,センサの側方にある検出対象金属の検出を防止することができた。その結果,例えばパーツ9の開口部92内にセンサ27を挿入した場合であっても,側方にあるパーツ9の円筒部の検出による誤作動を防止できた。
【0036】
前記整列部222に,前記構成の溝C及びワイパー25を設けることにより,比較的簡単な構成でありながら,確実にパーツ9の軸線方向を搬送方向前後方向に向けて整列することができた。
【0037】
また,ワイパー25の高さ調整によってパーツ9のサイズ変更等に対しても容易に対応することが可能であった。
【0038】
また,搬送対象とするパーツ9が有底円筒状である場合,前記整列部222に形成された溝CをV溝とすることにより,パーツ9の径の変更によってもパーツ9を安定して嵌合することができた。
【0039】
また,V字溝とする場合には,パーツ9の位置が固定されるために,第1近接センサ27を開口部92内に挿入する位置に,正確に位置合わせを行うことができた。
【0040】
近接センサ27を高周波発振型とすることで,アルミニウム等の非磁性金属製のパーツ9の検出についても行うことができた。
【0041】
停止位置23に,規制板26側を下方とする所定角度θの傾斜を付けたことにより,停止位置23に搬送されたパーツ9の進行方向前方端を近接センサ27側に移動させて正確に位置決めを行うことができ,特にパーツ9が開口部92を前方に向けて搬送されている場合には,この開口部92内に確実に近接センサ27を挿入することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に本発明の実施例を,添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0043】
なお,本実施形態にあっては一例として本発明のパーツフィーダ1によって搬送するパーツ9が,電解コンデンサ用の有底円筒ケースである場合を例として説明するが,本発明のパーツフィーダ1により搬送可能なパーツ9は,円筒状のケースに限定されず,例えば断面形状が三角形,四角形,その他の多角形等の角筒状のものであっても良く,一端が塞がれて底部91となっていると共に,他端が開口して開口部92とした中空の筒(円筒のみならず角筒を含む)状に形成されたものであれば,各種形状のものを搬送及び整列の対象とすることができる。
【0044】
また,以下の実施形態では,有底円筒状のパーツ9の底部91を進行方向前方側に向け,開口部92を進行方向後方側に向けて搬出する例について説明するが,この構成に代えて開口部92を進行方向前方側,底部91を進行方向後方側として搬出するようにしても良く,以下の実施形態に限定されず,各種の変更が可能である。
【0045】
〔全体構成〕
図1は,本発明のボウル型パーツフィーダ1の平面図,図2は正面図をそれぞれ示す。このボウル型パーツフィーダ1は,図2に示すように,搬送対象とするパーツ9,本実施形態にあっては電解コンデンサ用のケースが投入される,所定の深さを有するボウル2と,このボウル2によって整列されると共に搬出されたパーツ9を,例えば次工程の組立装置(図示せず)に搬出するための搬出路5,前記ボウル2や搬出路5を載置するフレーム6,及び前記ボウル2にパーツ9の搬送を行わせるための所定の振動を付与する駆動部7を備えており,これらの基本構成については,既知のボウル型パーツフィーダと同様の構成である。
【0046】
本発明のパーツフィーダ1にあっては,以下のようにボウル2及び搬出部3を形成することにより,パーツ9の軸線方向を一定方向に整列するのみならず,パーツ9の底部91を所定の方向に向けて整列することができるように構成されている。
【0047】
〔ボウル〕
本発明のボウル型パーツフィーダ1に搭載されるボウル2は,平面略円形を成し(図1参照),中央に搬送対象とするパーツが投入される円形のパーツ投入部21と,このパーツ投入部21の外周に,パーツ9の搬送路であり,外周側に向かうに従い徐々に高さを増す螺旋状に形成された搬送トラック22が設けられており,この搬送トラック22の終端位置に,前記搬送トラック22を介して搬送されたパーツ9の停止位置23を形成すると共に,この停止位置23においてパーツ9の底部91側の向きの判別が行われるように構成されている。
【0048】
そして,前記停止位置23の外周側に位置して,前記停止位置23に導入されたパーツ9のうち,前記停止位置23より搬出された所定の向きのパーツ9の受け入れを行う搬出部3を設け,この搬出部3を前記搬出路5に連通することにより底部91の向きが揃ったパーツ9を,図示せざる組立装置等に供給することができるように構成されている。
【0049】
パーツ投入部
図1において,ボウル2の中央に現れている円形の部分は,パーツフィーダ1によって搬送するパーツ9を投入する部分(パーツ投入部21)であり,このパーツ投入部21を,例えば中央側を僅かに膨出させた逆椀形状に形成して,この部分に投入されたパーツ9が,ボウル2に加えられる振動によってパーツ投入部21の外周側に形成した後述する搬送トラック22上に移動するように構成されている。
【0050】
搬送トラック
ボウル2に設けた前述の搬送トラック22は,前記ボウル2の内周側から外周方向に徐々に径を拡大する,全体として螺旋状に形成されており,本実施形態にあっては時計回り方向に旋回して径を拡大する螺旋状に形成している。
【0051】
この搬送トラック22はまた,外周方向に向かうに従い徐々にその高さを増す上向き傾斜状に形成されており,この搬送トラック22の傾斜した螺旋形状によって,ボウル2全体として内周側に向かうに従い深さを増す椀形形状に形成されている。
【0052】
この搬送トラック22は,その幅方向の断面において外周側から内周側に向かって僅かに上向きに傾斜する直線状を成し,かつ,前記パーツ投入部に連続して形成された導入部221と,前記導入部221の外周側に連続して形成されていると共に,パーツ9の軸線方向を搬送方向前後方向に向けて整列する整列部222によって構成されている。
【0053】
導入部
前述の導入部221は,その低位置側の所定の範囲が前記パーツ投入部21の外周部分と略同一の高さに形成されており,駆動部7によってボウル2に振動を与えると,前記パーツ投入部21に投入されたパーツ9が,パーツ投入部21の外周側に移動してこの導入部221上に載置されるように構成されている。
【0054】
この導入部221は,その幅を搬送するパーツ9の全長よりも広く形成することが好ましく,この導入部221に導入されたパーツ9は,向きの揃っていない様々な方向を向いた状態で駆動部7によって与えられる振動により本実施形態では時計回り方向に搬送されて高位置側に移動して,この導入部221の高位置側端部221aに連続して形成された後述の整列部222に導入されるように構成されている。
【0055】
整列部
前述の整列部222は,前記導入部221によって様々な向きのものが混在した状態で搬送されたパーツ9を,その軸線方向が搬送方向前後方向を向くように整列して搬送する。
【0056】
本実施形態にあっては,このような整列を,パーツ9を搬送方向に連続して形成された溝Cに嵌合させると共に,溝Cに嵌合していないパーツ9を,ワイパー25によってボウル2の中心側に戻すことによって実現させている。
【0057】
本実施形態において,この整列部222は,ボウル2の外周縁に略垂直方向に立設された垂直ガイド24に沿ってその内周に形成されており,低位置側の端部(始端)222aを前記導入部221の高位置側の端部(終端)221aに連通していると共に,高位置側の端部(終端)222bに後述する規制板26を立設して後述する停止位置23が形成されている。
【0058】
この整列部222には,図1に示すように垂直ガイド24より水平方向に突出されたワイパー25が,平面視においてパーツ9の進行方向前方側に向かって徐々にボウル2の内周側に突出するように配置されている。
【0059】
このワイパー25は,長さ方向を水平方向とした状態(横転した状態)で前記整列部222の溝C内に嵌合しているパーツ9には接触しないが,前記溝Cに嵌合していないパーツ9(横転した状態,直立した状態のものいずれも含む)と接触する高さにその下辺を配置しており,前述の導入部221から整列部222に搬送されたパーツ9のうち,溝Cに嵌合していないパーツ9は,整列部222を高所側に移動するに従ってこのワイパー25によってボウル2の内周側に誘導され,やがて整列部222より脱落してパーツ投入部21や導入部221に戻されるように構成されている。
【0060】
本発明のボウル型パーツフィーダ1にあっては,この溝CとしてV字溝を設けることで,搬送対象とするパーツ9が円筒状である場合,このV字溝に嵌合したパーツ9はその径の大小に拘わらず外周上の二点で支持されて,安定した状態で搬送することができるように構成されている。
【0061】
なお,この整列部222は,図1に示すようにその幅を導入部221よりも狭く形成することが好ましく,より好ましくは搬送するパーツ9の全長に対して1/2以下の幅に形成することが好ましい。
【0062】
このように整列部222を幅狭に形成することにより,前述の導入部221を介して整列部222に搬送されたパーツ9のうち,溝Cの形成方向に対して長さ方向を直交方向として搬送されてきたパーツ9は,整列部222上に乗ることができずに脱落して,ボウル2の中央側に形成されたパーツ投入部21や導入部221に再度戻される。
【0063】
前述のように構成された搬送トラック22を介して搬送されたパーツ9は,整列部222に形成された溝C内に嵌合され,その長さ方向を前記溝Cの形成長さ方向に向けて1列に整列された状態で搬送され,前記搬送トラック22の終端でもある整列部222の終端(高位置側端部222b)に搬送される。
【0064】
この,整列部222の終端には,図3〜5に示すように垂直方向に立設された規制板26が設けられていると共に,図4に示すように搬送するパーツ9の全長に対して約2倍程度の長さの範囲を僅かな角度θ,本実施形態にあっては一例として3°で下向きに傾斜させ,整列部222の終端部分に至ったパーツ9が,この傾斜に案内されて前進するも,前記規制板26(又は後述する近接センサ27)に規制されて,所定の位置で停止されるように構成されている。
【0065】
停止位置
前述の整列部222の高位置側における端部(終端)222bは,前述のように規制板26によってパーツ9の移動が規制されており,この規制板26によって停止された停止位置23で,搬送されたパーツ9が,底部91をいずれの方向(進行方向前方又は後方)に向けて搬送されてきたかの判定が行われる。
【0066】
前述の判定作業を可能とするために,前述の停止位置23には,搬送されたパーツ9の進行方向前方側の端部,すなわち前記規制板26と対峙した端部が底部91又は開口部92のいずれ側であるかを検出する,前記規制板26に突設された第1近接センサ27と,この第1近接センサと直交方向に配置され,かつ,前記規制位置26より突出する部分における前記第1近接センサ27に向いた第2近接センサ27’が設けられている。
【0067】
なお,前記第1,第2近接センサ27,27’による検出を正確に行うことができるよう,この停止位置23では振動が生じないように構成することが好ましい。
【0068】
ここで近接センサとしては,例えば電磁誘導を利用した高周波発振型,磁石を用いた磁気型,静電容量の変化を利用した静電容量型等があるが,非磁性体である電解コンデンサ用のアルミケースを検査対象とする本実施形態にあっては,一例として第1,第2近接センサ27,27’共に高周波発振型を使用している。
【0069】
もっとも,搬送対象とするパーツ9の材質等に適したものであれば,上記いずれの種類の近接センサ共に使用可能である。
【0070】
前述の第1近接センサ27は,搬送対象とするパーツ9の内径よりも小径のものを使用して,近接センサ27をパーツ9内に挿入可能とし,停止位置23に搬送されてきたパーツ9の進行方向先端側の端部が開口部92である場合,この開口部92内に挿入される位置に,前記近接センサ27を配置している。
【0071】
一例として,本実施形態にあっては,直径6.3mm〜25mm,全長20〜50mmの範囲で,搬送対象とする電解コンデンサ用のアルミケースのサイズ変更を可能とすべく,直径5.4mmの近接センサを使用した。
【0072】
なお,この位置に近接センサ27を設けることで,近接センサ27側を向いているパーツ9の端部が底部91側である場合には,このパーツ9の底部91と正確に対峙する位置に近接センサ27が配置されることとなる。
【0073】
このように,搬送されたパーツ9の近接センサ27側端部が開口部92である場合に,パーツ9の開口部92内に近接センサ27が挿入されるように構成することで,近接センサ27の前面に,例えばパーツ9の開口縁が配置されてこれを底部91として誤検出することを防止できる。
【0074】
以上のように,近接センサ27がパーツ9の開口部92内に挿入されるよう構成する場合には,近接センサ27側方の検出対象金属(本実施形態ではケースの円筒部分を構成するアルミ)を検出しないように近接センサの側方をシールドした,所謂「シールドタイプ」の近接センサ27を使用する。
【0075】
また,好ましくはパーツ9の開口部92内に挿入された近接センサ27が,前面の離れた位置に存在するパーツ9の底面内壁を検出しないように,その検出距離が前記パーツ9の全長に対して十分に短いものを使用することが好ましく,本実施形態にあっては一例として検出距離が3mmのものを使用した。
【0076】
なお,前述した第1近接センサ27による検出信号の出力,又は非出力によってパーツ9の端部が底部91側又は開口部92側のいずれであるかを判定して停止位置23のパーツ9を選別するように構成しても良いが,本実施形態にあっては,パーツ9の端部に対峙して配置された前記第1近接センサ27に加え,前記第1センサ27に対して直交方向を成し,第1近接センサ27の前記規制板26からの突出部分に向いた第2近接センサ27’を更に設けている。
【0077】
この第2近接センサは,前記第1近接センサ27と同様に,搬送対象パーツの材質(本実施形態ではアルミニウム)を検出対象金属とし,かつ,前面の検出対象金属のみを検出するように側部をシールドされたものであり,これを,整列部222の端部222b床面に形成した開孔内に挿入して配置している。
【0078】
このような構成において,図4に示すように停止位置23に搬送されたパーツ9が,底部91を進行方向前方側に向けて搬送されてきた場合には,第1近接センサ27によって移動を規制されたパーツ9は第2近接センサ27’の前面には配置されず,第2近接センサ27’はパーツ9を検出しない。
【0079】
一方,停止位置23に搬送されたパーツ9が,開口部92を進行方向前方側に向けて搬送されてきた場合には,第1近接センサ27はパーツ9の開口部92内に挿入されることから,第2近接スイッチ27’の前面にはパーツ9の円筒部分が配置されることになり,第2近接センサ27’がこれを検出する。
【0080】
このように,第1近接センサ27と,第2近接センサ27’とが逆の検出結果を出力するため,両近接センサの検出結果を摺り合わせることにより,判定結果の確実性をより一層増すことができる。
【0081】
搬出部
以上のように,整列部222の高位置側端部(終端)222bに形成された停止位置23の外周側には,判定結果に従いボウル2外に搬出された,所望の方向に底部91を向けたパーツ9を導入するための搬出部3が,前記停止位置23と連通して設けられている。
【0082】
このように,停止位置23と連通した搬出部3を形成するために,本実施形態にあっては,前記停止位置23の形成位置において前記ボウル2の外周に形成された垂直ガイド24には切り込み24’が設けられていると共に,この切り込み24’部分に対して搬送対象とするパーツ9のサイズに対応する形状の切欠28aが形成されたシャッタ28が取り付けられており,このシャッタ28に形成された切欠28aを介して,前記停止位置23にあるパーツ9をボウル2外に搬出可能としている。
【0083】
なお,図4中の符号29は,前記シャッタを取り付けるための取付板であり,搬送対象とするパーツ9のサイズを変更する場合には,変更後のパーツ9の形状に対応した切欠28aが形成されたシャッタ28をこの取付板29に取り付ける。
【0084】
前記シャッタ28の切欠28aを介して前記停止位置23と連通するボウル2外の空間には,前記停止位置23からのパーツ9の搬出を受ける搬出部3が形成されている。
【0085】
この搬出部3は,前記停止位置23の外周側において,前記垂直ガイドに対して直交方向に突出した取付板31と,この取付板31の上面にネジ止めされた規制ガイド32及び後述する戻し用噴射ノズル42を取り付けるための取付台33によって構成されている。
【0086】
前述の取付板31は,前記各種の構成部品を取り付けるためのステーとなるもので,前述のように垂直ガイド24の外周側より水平方向に突出している。この取付板31は,図5に示すように好ましくは整列部222の停止位置23に対して所定の低い位置に形成し,停止位置23より搬出されたパーツ9が,この取付板31上に一旦載置されると,停止位置23側には戻ることができないように構成している。
【0087】
前述の規制ガイド32は,例えば矩形状の金属板を曲折する等して,2枚の金属片32a,32bが互いに一辺を繋げたL字状に形成されており,このうちの一方の金属片32aを前記取付板31上に重合状態で取り付けて,取付台31上に垂直方向に立設した他方の金属片32bと前記垂直ガイド24間に,停止位置23より搬出されたパーツ9を受け入れる空間が形成されている。
【0088】
この規制ガイド32と垂直ガイド24間に搬出されたパーツ9は,その向きが変わらないように,この垂直ガイド24と規制ガイド32間の間隔はパーツ9の全長未満に調整し,好ましくはパーツ9の直径に対応して僅かに広い程度の幅に調整する。
【0089】
このような調整を可能とするために,本実施形態にあっては,前記取付板31と重合された前記規制ガイド32の一方の片32aに長孔321を設け,この長孔321を介して規制ガイド32を取付板31にネジ止めすることで,規制ガイド32を固定するネジを緩めるだけで,前記長孔321の長さ分,規制ガイド32の位置を移動させることができるようにした。
【0090】
噴射ノズル(搬出手段,戻し手段)
前述の停止位置23の形成位置には,該停止位置23で行われた判定結果に従い,停止位置23に導入されたパーツ9を搬出部3に搬出するための搬出手段として,ボウル2の内周側から停止位置23のパーツ9に対して圧縮気体を噴射する搬出用噴射ノズル41と,停止位置23のパーツ9をボウル2の内周側,すなわちパーツ投入部21や搬送トラック22の導入部221に戻すための戻し手段として,ボウル2の外周側から停止位置23のパーツ9に圧縮気体を噴射する,戻し用噴射ノズル42がそれぞれ設けられている。
【0091】
図示の実施形態において,前述の搬出用噴射ノズル41は,整列部222の内周側に設けた噴射ノズル用ブラケット43に噴射方向を停止位置23に向けて取り付けられている。
【0092】
一方,前述の戻し用噴射ノズル42は,前述した搬出部3に設けられ,前記規制ガイド32と共に取付板31に取り付けられた取付台33に取り付けられており,この戻し用噴射ノズル42の取付台33を前記規制ガイド32にネジ止めし,この規制ガイド32を取付台31に固定している。そして,前記規制ガイド32に対するボルト止めを,図3に示すように長孔331を介して行うことで,戻し用噴射ノズル42の向きを調整可能としている。
【0093】
なお,本実施形態にあっては,この戻し用噴射ノズル42を搬出部3に設けるものとして説明したが,戻し用噴射ノズル42は,圧縮気体の噴射によって停止位置23にあるパーツ9をボウル2の中央側に戻すことができる配置であれば,図示の位置に限定されず,如何なる位置に取り付けても良い。
【0094】
また,同様に搬出用噴射ノズル41についても図3に示す配置に限定されず,停止位置23に導入されたパーツ9を搬出部3に搬出することができるものであれば,その取り付け位置等は図示の実施形態に限定されない。
【0095】
このようにして設けられた搬出用噴射ノズル41及び戻し用噴射ノズル42は,いずれも図示せざるエアコンプレッサ等の圧縮気体供給源に連通されていると共に,圧縮気体供給源と前記噴射ノズル41,42間の回路には,これを開閉制御する電磁弁45A,45Bが設けられており(図2参照),さらに,前述した近接センサからの出力を受信して前記電磁弁45A,45Bの操作を制御する,図示せざるコントローラ等の制御装置(例えば電子制御装置)が設けられている。
【0096】
〔動作説明〕
以上のように構成された本発明のボウル型パーツフィーダ1の前記搬出部3には,該搬出部3に搬出されたパーツを,図示せざる組立装置に搬送するための搬出路5を連通する。
【0097】
そして,ボウル2内に搬送対象とするパーツ9,本実施形態では電解コンデンサのカバーを投入し,駆動部7を駆動させてボウル2に振動を付与すると,この振動によりパーツ9の搬送が開始される。
【0098】
パーツ投入部21に投入されたパーツ9は,逆椀状に形成されたパーツ投入部21の前記形状に従って,パーツ投入部21の中央側から外周方向に移動し,このパーツ投入部21の外周側に形成された,搬送トラック22の導入部221上に搬送される。
【0099】
導入部221上に搬送されたパーツ9は,振動により導入部221の低位置側から高位置側に移動して,導入部221の高位置側端部221aと連通して形成された整列部222に至る。
【0100】
導入部221に対して幅狭に形成された整列部222に至り,搬送トラック22の幅方向に長さ方向を向けているパーツ9は,整列部222に乗ることができずにボウル2内周側に脱落して再度パーツ投入部21乃至は導入部221の低位置側に戻される。
【0101】
ボウル2の中央側に脱落することなく,整列部222上に乗ることができたパーツ9中には,長さ方向を搬送方向としたパーツ9,及び直立したパーツ9が含まれるが,このうち,溝Cに嵌合して長さ方向を溝の形成方向に整列されたパーツ9以外のパーツ9は,ワイパー25によってボウル2の中央側に誘導されて整列部222より脱落し,これにより底部91の向きはまちまちであるが,軸線方向が所定の方向に整列されたパーツ9が得られる。
【0102】
このようにして整列されたパーツ9は,更に整列部222上を進み,整列部222の終端222bに形成された停止位置23に至り,近接センサ(第1近接センサ27,第2近接センサ27’)によって進行方向前方側の端部が,底部91側端部であるか,又は開口部92側端部であるかが判定される。
【0103】
底部91側端部を進行方向前方側としたパーツ9のみを搬出する本実施形態にあっては,前記第1近接センサ27が検出対象金属を検出した(第2近接センサ27’が検出信号を出力しない)とき,すなわちパーツ9の進行方向前方側の端部が底部91側であることを検知したとき,図示せざるコントローラによって電磁弁45Aを操作して搬出用噴射ノズル41に圧縮気体を導入する。
【0104】
搬出用噴射ノズル41からの圧縮気体の噴射により,停止位置23のパーツ9は溝Cより浮き上がってボウル2の外周側へ移動し,シャッタ28に設けた切欠28aを介して搬出部3に搬出される。
【0105】
このシャッタ28には,前述したように搬送対象とするパーツ9に対応した形状の切欠28aが形成されていることから,パーツ9は1つずつしか搬出部3に搬出されることがなく,搬出用噴射ノズル41からの圧縮気体の噴射によって前記搬出されたパーツと共に後続のパーツ9がボウル2の外周側に移動することがあったとしても,このパーツ9がボウル2外に搬出されることがなく,判定未了のパーツ9が搬出されること,従って向きの不揃いなパーツの混入が防止されている。
【0106】
このようにして搬出されたパーツ9は,搬出部3に設けられた前記規制ガイド32と,垂直ガイド24との間に搬出され,この間隔と連通して設けられた搬出路5に沿って移動され,補助直進搬出路5’が設けられている場合にはこれを通過して図示せざる組立装置等に搬送される。
【0107】
搬出路5には,好ましくは図6に示すようにV溝を形成し,また,必要に応じてカバー51を被せ,パーツ9がこの搬出路5より脱落して落下したり,又は,振動等によりこの搬出路5内で反転する等して,向きが変化することを防止している。
【0108】
このようにして搬送された電解コンデンサのケースは,開口部92乃至は底部91が所定の方向を向いた状態で次工程に搬送されることから,必要に応じてこのケースを例えば開口部92を上方に向けて立てる等することで,開口部92を介したコンデンサ素子の挿入作業等を極めて容易に,かつ効率的に行うことができる。
【0109】
一方,第2近接センサ27’が検出信号を出力した(第1近接センサ27が検出信号を出力しない)とき,すなわち,パーツ9の進行方向前方側の端部が開口部92側であるとき,コントローラは電磁弁45Bを操作して戻し用噴射ノズル42に圧縮気体を導入する。
【0110】
この圧縮気体の導入により,戻し用噴射ノズル42から停止位置23のパーツ9に向かって圧縮気体が噴射され,この圧縮気体の噴射を受けたパーツ9は溝Cより浮き上がってボウル2の中央側に移動して整列部222より脱落し,再度,パーツ投入部21,搬送トラック22を通って停止位置23に至り,同様の動作を繰り返す。
【0111】
なお,本実施形態では,底部91側を進行方向前方に向けたパーツ9のみを搬送可能とするために,第1近接センサ27が検出対象金属を検出したときにパーツ9を搬出部3に搬出する構成としたが,例えばコントローラの設定を変更する等して前記電磁弁45A,45Bの制御動作を逆にして,第2近接センサ27’が検出信号を出力したときにパーツ9の搬出を行うものとすれば,開口部92側を進行方向前方に向けて搬送されているパーツ9のみを搬出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】ボウル形パーツフィーダの平面図。
【図2】ボウル形パーツフィーダの正面図。
【図3】停止位置及び搬出部の平面図。
【図4】停止位置をボウルの内周側より見た説明図。
【図5】停止位置及び搬出部の斜視図。
【図6】搬出路の省略斜視図。
【符号の説明】
【0113】
1 (ボウル型)パーツフィーダ
2 ボウル
21 パーツ投入部
22 搬送トラック
221 導入部(搬送トラックの)
221a 高位置側端部(導入部の)
222 整列部(搬送トラックの)
222a 低位置側端部(整列部の)
222b 高位置側端部(整列部の)
23 停止位置
24 垂直ガイド
24’ 切込み(垂直ガイドの)
25 ワイパー
26 規制板
27,27’ 近接センサ
28 シャッタ
28a 切欠(シャッタの)
29 シャッタ取付板
3 搬出部
31 取付板
32 規制ガイド
32a,32b 金属片(規制ガイドの)
321 長孔
33 取付台(戻し用噴射ノズルの)
331 長孔
41 搬出用噴射ノズル
42 戻し用噴射ノズル
43 ブラケット(搬出用噴射ノズルの)
45A,45B 電磁弁
5 搬出路
5’ 補助直進搬出路
51 カバー
6 フレーム
7 駆動部
9 パーツ
91 底部(パーツの)
92 開口部(パーツの)
C 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入されたパーツの移動路である搬送トラックが形成されたボウルと,前記搬送トラックに沿って前記パーツを移動させる振動を前記ボウルに付与する駆動部を備え,有底筒状のパーツの底部を一定方向に向けた状態で搬出するボウル型パーツフィーダにおいて,
前記搬送トラックに,パーツの軸線方向を進行方向前後方向に向けて整列させる整列部を設け,該整列部の終端部に規制板を立設して,搬送されたパーツの前進を規制して停止させる停止位置を形成すると共に,前記停止位置の外周に,前記停止位置と連通してボウル外に搬出するパーツを前記停止位置より受け入れる搬出部を設け,
開口部を進行方向前方側に向けて前記停止位置に搬送されたパーツの,前記開口部内に挿入される第1近接センサを前記規制板に突設すると共に,前記第1近接センサに対して直交方向を成し,かつ,前記規制板より突設された部分の前記第1近接センサに向いた第2近接センサを設け,
更に,前記停止位置のパーツを前記搬出部に搬出する搬出手段と,前記ボウルの中心側に戻す戻し手段を設け,
前記第1,第2近接センサの検出信号に基づき,前記搬出手段及び戻し手段を制御して,所定の搬送方向に向いたパーツを前記搬出部に搬出すると共に,前記所定の搬出方向とは逆向きのパーツを前記ボウルの中心側に戻す,制御手段を設けたことを特徴とするボウル型パーツフィーダ。
【請求項2】
前記第1,第2近接センサの側面をシールドしたことを特徴とする請求項1記載のボウル型パーツフィーダ。
【請求項3】
前記整列部が,前記パーツが嵌合される,前記パーツの進行方向を長さ方向として連続形成された溝と,この溝の上方に所定の間隔を隔てて設けられ,前記溝に嵌合していないパーツをボウルの内周側に脱落させるワイパーとを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のボウル型パーツフィーダ。
【請求項4】
有底円筒形のパーツを搬送対象と成すと共に,前記整列部に形成された前記溝の断面をV字状としたことを特徴とする請求項3記載のボウル型パーツフィーダ。
【請求項5】
搬送対象である前記パーツがアルミニウム製であると共に,前記近接センサが高周波発振型であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のボウル型パーツフィーダ。
【請求項6】
前記停止位置を,前記規制板側を下方として所定角度で傾斜させたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のボウル型パーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−273693(P2008−273693A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119167(P2007−119167)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(599050310)株式会社システムコナリ (1)
【Fターム(参考)】