説明

ボルト固定部構造

【課題】補強用カラーを低コストで容易に固定する。
【解決手段】本発明のボルト固定部構造1は、補強用カラー29が環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挿入され、ボルト係止部21、23へのボルト60の係止状態で補強用カラー29が環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挟持され固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ワイヤーハーネスを収容するプロテクタのように、車体側のボルトに固定される被固定部材を固定するためのボルト固定部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテクタのようにプラスチック製の被固定部材は、金属製のカラー(補強用カラー)でボルト固定部を補強する必要がある。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、この補強用カラーを圧入によってプロテクタに固定する例が記載されている。また、補強用カラーはインサート成型によってプロテクタに固定される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198550号公報
【特許文献2】特開2007−198551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように圧入やインサート成型によって補強用カラーを固定する方法は、それぞれ工数の増加やコストアップを伴う。
【0006】
そこで、この発明は、プロテクタなどの被固定部材に低コストで容易に補強用カラーを固定することができるボルト固定部構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のボルト固定部構造は、ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されたカラー本体を有する部品本体と、このカラー本体に組み付けられてカラー本体を補強する補強用カラーとを備えたボルト固定部構造であって、前記カラー本体には前記ボルト挿通孔から立ち上がる環状壁部と、この環状壁部の内壁の複数箇所から突設されて前記ボルト挿通孔から挿通された前記ボルトが係止される可撓性のボルト係止部とが設けられ、前記補強用カラーは前記環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挿入され、前記ボルト係止部への前記ボルトの係止状態で前記補強カラーが環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挟持・固定されることを特徴とする。
【0008】
請求項2のボルト固定部構造は、請求項1に記載のボルト固定構造であって、前記部品本体には互いの間に部材の収容部を形成する部品蓋体が可撓性開閉部を有するヒンジ部によって開閉可能に連結され、前記カラー本体の環状壁部の開口端には環状頂部が設けられ、前記補強用カラーは前記環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挿入される環状筒部と、この環状筒部の開口縁部に設けられた鍔部とを有し、前記ヒンジ部によって部品本体と部品蓋体とを閉じると前記補強用カラーは前記鍔部が前記カラー本体の前記環状頂部と部品蓋体との間に挟み込まれることを特徴とする。
【0009】
請求項3のボルト固定部構造は、請求項1又は請求項2に記載のボルト固定構造であって、前記補強用カラーには、前記カラー本体のボルト係止部との干渉を回避する干渉回避部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載されたボルト固定部構造であって、前記ボルト係止部は、前記部品本体から前記ボルト挿通孔に突出して設けられた可撓性の係止腕と、この係止腕に設けられた係止突起とを有し、前記可撓性の係止腕は、前記ボルト挿通孔に侵入するボルトに押圧され、撓むことによってボルトの侵入を許容し、前記係止突起は、侵入したボルトのネジ溝に係合することを特徴とする。
【0011】
請求項5のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたボルト固定部構造であって、前記ヒンジ部の可撓性開閉部には、所定の外力を加えると破断し、前記部品本体と部品蓋体の解体を容易にする易破断部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたボルト固定部構造であって、前記易破断部が、切り欠きと孔部を形成して破断性を所定値に調整した前記可撓性開閉部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1のボルト固定部構造は、ボルト挿通孔にボルトを挿通させるとボルトがボルト係止部に係止されることで、環状壁部の内壁とボルト係止部との間に挿入された補強用カラーが挟持・固定されるので、補強用カラーの固定に圧入やインサート成型などの方法を用いることによって工数の増加やコストアップを伴う従来例と異なり、補強用カラーを低コストで容易にプロテクタなどに固定することができる。
【0014】
請求項2のボルト固定部構造は、請求項1の効果に加えて、ヒンジ部を閉じて部品本体と部品蓋体とを組み付けると、部品本体(カラー本体)と部品蓋体との間に鍔部が挟まれて補強用カラーの脱落が防止され、補強用カラーをより強固に固定することができる。
【0015】
請求項3のボルト固定部構造は、請求項1又は請求項2の構成と同等の効果が得られる。
【0016】
また、ボルト係止部との干渉を回避する干渉回避部を補強用カラーに設けたから、補強用カラーをカラー本体に装着する際や、部品本体と部品蓋体とを組み付ける際に、補強用カラーとボルト係止部との干渉が避けられる。
【0017】
請求項4のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果が得られる。
【0018】
また、ボルト係止部は、可撓性の係止腕とこの係止腕に設けられた係止突起とで構成されており、被固定部材を固定側のボルトに固定するに当たって、ボルトをボルト挿通孔に侵入させると、ボルトに押圧された係止腕が撓み、係止突起とボルトのネジ溝とが係合して被固定部材が仮止めされる。
【0019】
請求項5のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項4の構成と同等の効果が得られる。
【0020】
また、ヒンジ部の可撓性開閉部に易破断部を設けたことにより、所定の外力を加えるだけでヒンジ体を破断させることができるから、部品本体と部品蓋体とを解体し、被固定部材を固定側から容易に取り外すことができる。
【0021】
請求項6のボルト固定部構造は、請求項1〜請求項5の構成と同等の効果が得られる。
【0022】
また、ヒンジ部(可撓性開閉部)に切り欠きと孔部の一方または両方を形成するだけで易破断部を設けることができると共に、この易破断部は切り欠きや孔部の大きさを変えることによってヒンジ性と破断性を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態を示し、本発明のボルト固定部構造1が用いられたプロテクタ3を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態を示し、ボルト固定部構造1のヒンジ7を示す上面図である。
【図3】第1実施形態を示し、ボルト固定部構造1をヒンジ7で開いた状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態を示し、下側プロテクタ13の斜視図である。
【図5】補強用カラー29の斜視図である。
【図6】上側プロテクタ11の斜視図である。
【図7】ボルト挿通孔15の長軸方向に切断したボルト固定部構造1を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態を示し、本発明のボルト固定部構造が用いられたプロテクタを示す斜視図である。
【図9】第2実施形態を示し、ボルト固定部構造10をヒンジ87で開いた状態を示す斜視図である。
【図10】第2実施形態を示し、カラー本体75と補強用カラー79を示す斜視図である。
【図11】第2実施形態を示し、ボルト挿通孔65の長軸方向に切断したボルト固定部構造10を示す斜視図である。
【図12】第2実施形態を示し、ボルト挿通孔65を短軸方向に切断したボルト固定部構造10を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るボルト固定部構造の実施形態について図1〜7を用いて説明する。
【0025】
<第1実施例>
図1、図3、図4に示すように、本実施形態のボルト固定部構造1は、ボルト60が挿通されるボルト挿通孔15が形成されたカラー本体25を有する部品本体としての下側プロテクタ13と、このカラー本体25に組み付けられてカラー本体25を補強する補強用カラー29とを備えている。
【0026】
また、本実施形態のボルト固定部構造1は、カラー本体25にボルト挿通孔15の開口縁部から立ち上がる環状壁部17と、この環状壁部17の内壁の複数箇所から突設されてボルト挿通孔15から挿通されたボルト60が係止される可撓性のボルト係止部21、23とが設けられ、補強用カラー29は環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挿入され、ボルト係止部21、23へのボルト60の係止状態で補強用カラー29が環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挟持されて固定される。
【0027】
また、本実施形態のボルト固定部構造1は、図3に示すように、下側プロテクタ13には互いの間に部材の収容部9を形成する部品蓋体としての上側プロテクタ11が可撓性開閉部を有するヒンジ7によって開閉可能に連結され、カラー本体25の環状壁部17の開口端には環状頂部19が設けられている。
【0028】
また、本実施形態の補強用カラー29は、環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挿入される環状筒部27と、この環状筒部27の開口縁部に設けられた鍔部33とを有し、ヒンジ7によって下側プロテクタ13と上側プロテクタ11とを閉じると補強用カラー29は鍔部33がカラー本体25の環状頂部19と上側プロテクタ11との間に挟み込まれる。
【0029】
また、補強用カラー29には、ボルト係止部21、23との干渉を回避する干渉回避部35、35(図5)が設けられている。
【0030】
さらに、上記のボルト係止部21はボルト挿通孔15(環状壁部17)の短軸方向に一対設けられており、ボルト係止部23は長軸方向に一対設けられている。これらのボルト係止部21、23は、図7のように、下側プロテクタ13からボルト挿通孔15に突出して設けられた可撓性の係止腕37、39と、係止腕37、39に設けられた係止突起41、43とを有し、ボルト係止部21の係止突起41、41はボルト挿通孔15の長軸方向に延設されていると共に、ボルト係止部23の係止突起43、43より長く形成されている。
【0031】
上側プロテクタ11と下側プロテクタ13とこれらの上下のプロテクタ11、13を開閉可能に連結するヒンジ7とで形成されたプロテクタ3を車体側のボルトに固定する際、係止腕37、39はボルト挿通孔15に侵入するボルト60に押圧され、環状壁部17の内壁側に撓むことによってボルトの侵入を許容し、係止突起41、43は侵入したボルトのネジ溝に係合する。
【0032】
この際、環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挿入された補強用カラー29の環状筒部27が環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挟持される。
【0033】
また、図2のように、ヒンジ7の可撓性開閉部5には、斜め、または、横から強く引っ張る(所定の外力を加える)と破断し、上側プロテクタ11と下側プロテクタ13の解体を容易にする易破断部45が設けられている。
【0034】
易破断部45は、可撓性開閉部5に切り欠き47、47と長孔49(孔部)とを形成することによって所望のヒンジ性と破断性を得ていると共に、ヒンジ性と破断性は切り欠き47、47と長孔49の一方または両方の大きさを変えることによって調整することができる。
【0035】
図3に示すように、プロテクタ3には、上側プロテクタ11に設けられた突部51と、下側プロテクタ13に設けられ突部51と係合する係合部53とによってロック部55(図5)が形成されており、プロテクタ3は、ヒンジ7を開いてカラー本体25に補強用カラー29を装着し、収容部9にワイヤーハーネスを収容した後、ヒンジ7を閉じてプロテクタ11、13を重ね合わせ、ロック部55をロックする。
【0036】
車体の多数箇所にボルト60を介してプロテクタ3(収容部9にワイヤーハーネスを収容した状態)を取り付けるに当たっては、ボルト60を各ボルト挿通孔15に侵入させると、上記のように、各ボルト係止部21、23で係止突起41、43がボルトのネジ溝に係合する。この際、ボルト係止部21、21では、長軸方向に延設された係止突起41、41上で長軸方向の公差(累積誤差)が吸収される。
【0037】
また、車体からプロテクタ3を取り外すには、上側プロテクタ11側または下側プロテクタ13側を強く引っ張れば、ヒンジ7の易破断部45が破断してプロテクタ11、13が解体するから、プロテクタ3(ワイヤーハーネス)を容易に取り外すことができる。
【0038】
本実施例のボルト固定部構造によれば、ボルト挿通孔15にボルト60を挿通させるとボルト60がボルト係止部21、23に係止されることで、環状壁部17の内壁とボルト係止部21、23との間に挿入された補強用カラー29が挟持されて固定されるので、補強用カラー29の固定に圧入やインサート成型などの方法を用いることによって工数の増加やコストアップを伴う従来例と異なり、補強用カラーを低コストで容易にプロテクタなどに固定することができ、ボルトの脱落を防止することができる。
【0039】
また、ヒンジ7を閉じて下側プロテクタ13と上部プロテクタ11とを組み付けると、カラー本体25と下側プロテクタ13との間に鍔部33が挟まれることにより補強用カラー29をカラー本体25により強固に固定することができ、補強用カラーの脱落をさらに防止することができる。
【0040】
また、ボルト係止部21との干渉を回避する干渉回避部33、33を補強用カラー29に設けたから、補強用カラー29をカラー本体25に装着する際や下側プロテクタ13と上側プロテクタ11とを組み付ける際に、補強用カラー29とボルト係止部21との干渉が避けられる。
【0041】
また、プロテクタ3を車体に取り付けるに当たっては、ボルトを各ボルト挿通孔15に侵入させるだけで係止突起41、43がボルトのネジ溝と係合し、プロテクタ3が仮止めされるから、ナットの本締めが容易になる。
【0042】
また、強く引っ張れば、ヒンジ7の易破断部45が破断してプロテクタ3(プロテクタ3の収容部に収容されたワイヤーハーネス)を容易に取り外すことができる。
【0043】
また、易破断部45は、ヒンジ7に切り欠き47、47と長孔49を設けるだけで形成することができると共に、切り欠き47、47と長孔49の一方または両方の大きさを変えることによって破断性を容易に調整できる。
【0044】
また、補強用カラー29をカラー本体25(下側プロテクタ13)に装着すると共に、上側プロテクタ11を下側プロテクタ13に被せることによってボルト固定部構造1の強度が向上する。
【0045】
<第2実施形態>
次ぎに図8乃至図12を用いて本発明に係るボルト固定部構造の第2実施形態について説明する。
【0046】
本実施形態は、第1実施形態における下側プロテクタ63に設けられたカラー本体75の構成と、上側プロテクタ61における長孔81の構成と、補強用カラー79の構成が異なる。
【0047】
図8、図9、図10に示すように、本実施形態のボルト固定部構造10は、ボルト60が挿通されるボルト挿通孔65が形成されたカラー本体75を有する部品本体としての下側プロテクタ63と、このカラー本体75に組み付けられてカラー本体75を補強する補強用カラー79とを備えている。
【0048】
また、本実施形態のボルト固定部構造10は、カラー本体75にボルト挿通孔65の開口縁部から立ち上がる環状壁部67と、この環状壁部67の内壁の対向する位置から突設されてボルト挿通孔65から挿通されたボルト60が係止される可撓性のボルト係止部71、71とが設けられ、補強用カラー79は環状壁部67の内壁とボルト係止部71、71との間に挿入され、ボルト係止部71、71へのボルト60の係止状態で補強用カラー79が環状壁部67の内壁とボルト係止部71、71との間に挟持されて固定される。なお、カラー本体25の環状壁部67の開口端には環状頂部69が設けられている。
【0049】
また、本実施形態のボルト固定部構造10は、図8、図9に示すように、下側プロテクタ63に互いの間に部材の収容部90を形成する部品蓋体としての上側プロテクタ61がヒンジ87によって開閉可能に連結されたプロテクタ30に用いられている。
【0050】
なお、ヒンジ87は第1実施形態のヒンジ7と同様のものを用いても良い。
【0051】
また、本実施形態の補強用カラー79は、図10に示すように、環状壁部67の内壁とボルト係止部71、71との間に挿入される環状筒部77と、この環状筒部77の開口縁部に設けられた鍔部(フランジ)83とを有している。
【0052】
さらに、上記のボルト係止部71、71はボルト挿通孔65(環状壁部67)の短軸方向に、対向して一対設けられている。これらのボルト係止部71、71は、図10、図11、図12に示すように、下側プロテクタ63からボルト挿通孔65に突出して設けられた可撓性の係止腕85、85と、係止腕85、85に設けられた係止突起91、91とを有し、ボルト係止部71、71の係止突起91、91はボルト挿通孔65の長軸方向に延設されている。
【0053】
また、上側プロテクタ61の長孔81は、図8、図11に示すように、補強用カラー79の鍔部83の外形より、大きく形成されており、図8に示すように上側プロテクタ61と下側プロテクタ63とを閉じた状態としたときに補強用カラー79の鍔部83が外方へ露出する。
【0054】
上記実施形態におけるボルト固定部構造10は、図10に示すように、補強用カラー79の環状筒部77をカラー本体75の環状壁部の内壁とボルト係止部71、17との間に挿入する(図11参照))。次ぎに収容部90にワイヤーハーネスを挿通させた状態で上側プロテクタ61と下側プロテクタ63とを閉じて突部51を係合部53に係合する。この状態では、図8に示すように、補強用カラー79は、環状壁部67の内壁とボルト係止部71、71との間に挿入された状態で、鍔部83が上側プロテクタ61の長孔81から外方に露出している。次ぎに、ワイヤーハーネスを収容部90に収容した状態で上側プロテクタ61と下側プロテクタ63とを車体の配索経路上に固定するためにボルト60をボルト挿通孔65内に挿入する。ボルト挿通孔65内にボルト60を挿入すると、係止腕85が環状壁部67側に撓むことにより係止突起91がボルト60のネジ溝に係合する。この場合、係止腕85が環状壁部67側に撓むことにより、補強用カラー79の環状筒部77が環状壁部67と係止腕85との間に挟持され固定される。
【0055】
本実施例のボルト固定部構造10によれば、ボルト挿通孔65にボルト60を挿通させるとボルト60がボルト係止部71、71に係止されることで、環状壁部67の内壁とボルト係止部71、71との間に挿入された補強用カラー79が挟持されて固定されるので、補強用カラー79の固定に圧入やインサート成型などの方法を用いることによって工数の増加やコストアップを伴う従来例と異なり、補強用カラー79を低コストで容易にプロテクタなどに固定することができ、ボルトの脱落を防止することができる。
【0056】
また、ワイヤーハーネスを車体に取り付けるに当たっては、ボルト60をボルト挿通孔65に侵入させるだけで係止突起91、91がボルト60のネジ溝と係合し、仮止めされるから、ナットの本締めが容易になる。
【0057】
[本発明の範囲に含まれる他の態様]
本発明は、上記実施形態に限らず、他の態様を取り得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のボルト固定部構造は、プロテクタ以外の被固定部材を車体以外の固定側に取り付ける場合にも用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
1、11 ボルト固定部構造
3 プロテクタ(被固定部材)
5 可撓性の開閉部
7、87 ヒンジ(ヒンジ部)
9、90 部材の収容部
11、61 上側プロテクタ(部品蓋体)
13、63 下側プロテクタ(部品本体)
15、65 ボルト挿通孔
17、67 環状壁部
19、69 環状頂部
21、23、71 ボルト係止部
25、75 カラー本体
27、77 環状筒部
29、79 補強用カラー
33、83 フランジ部(鍔部)
35 干渉回避部
37、39、85 可撓性の係止腕
41、43、91 係止突起
45 易破断部
47、47 切り欠き
49、81 長孔(孔部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されたカラー本体を有する部品本体と、このカラー本体に組み付けられてカラー本体を補強する補強用カラーとを備えたボルト固定部構造であって、
前記カラー本体には前記ボルト挿通孔から立ち上がる環状壁部と、この環状壁部の内壁の複数箇所から突設されて前記ボルト挿通孔から挿通された前記ボルトが係止される可撓性のボルト係止部とが設けられ、
前記補強用カラーは前記環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挿入され、前記ボルト係止部への前記ボルトの係止状態で前記補強カラーが環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挟持・固定されることを特徴とするボルト固定部構造。
【請求項2】
請求項1記載のボルト固定部構造であって、
前記部品本体には互いの間に部材の収容部を形成する部品蓋体が可撓性開閉部を有するヒンジ部によって開閉可能に連結され、
前記カラー本体の環状壁部の開口端には環状頂部が設けられ、
前記補強用カラーは前記環状壁部の内壁と前記ボルト係止部との間に挿入される環状筒部と、この環状筒部の開口縁部に設けられた鍔部とを有し、
前記ヒンジ部によって部品本体と部品蓋体とを閉じると前記補強用カラーは前記鍔部が前記カラー本体の前記環状頂部と部品蓋体との間に挟み込まれることを特徴とするボルト固定部構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたボルト固定部構造であって、
前記補強用カラーには、前記カラー本体のボルト係止部との干渉を回避する干渉回避部が設けられていることを特徴とするボルト固定部構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載されたボルト固定部構造であって、
前記ボルト係止部は、前記部品本体から前記ボルト挿通孔に突出して設けられた可撓性の係止腕と、この係止腕に設けられた係止突起とを有し、
前記可撓性の係止腕は、前記ボルト挿通孔に侵入するボルトに押圧され、撓むことによってボルトの侵入を許容し、前記係止突起は、侵入したボルトのネジ溝に係合することを特徴とするボルト固定部構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたボルト固定部構造であって、
前記ヒンジ部の可撓性開閉部には、所定の外力を加えると破断し、前記部品本体と部品蓋体の解体を容易にする易破断部が設けられていることを特徴とするボルト固定部構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたボルト固定部構造であって、
前記易破断部が、切り欠きと孔部を形成して破断性を所定値に調整した前記可撓性開閉部であることを特徴とするボルト固定部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−252597(P2011−252597A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55645(P2011−55645)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】