説明

ボンディング方法

【課題】工程の簡略化を達成可能なボンディング方法を提供する。
【解決手段】表面に複数のバンプ2を有するデバイスDをリードフレーム28にボンディングするボンディング方法であって、表面に複数のバンプを有するデバイスが複数形成された半導体ウエーハの裏面に粘着シートTを貼着するステップと、粘着シートが貼着された半導体ウエーハを個々のデバイスへと分割して、粘着シート上に複数のデバイスが配設された形態にするステップと、粘着シート上に配設されたデバイスのバンプと、リードフレームのバンプに対応する電極30とを対面させて、粘着シート側からバンプを電極に押し付けるとともに外的刺激を付与することで、リードフレームにデバイスのバンプを接続させるステップと、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数のバンプを有するデバイス(チップ)をリードフレームにボンディングするボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に半導体デバイス(半導体チップ)が複数形成された半導体ウエーハは、ダイシング装置やレーザ加工装置を用いて個々のデバイスへと分割される。分割された個々のデバイスはリードフレームにマウントされ、リードフレームのリード(電極)と、デバイスのボンディングパッドとがボンディングされる。
【0003】
その後、リードフレームにデバイスがボンディングされて封止されたパッケージ基板を分割して個片化することで、個々の半導体パッケージが製造される。このように製造された半導体パッケージは、携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0004】
近年では電気機器の小型化、軽量化を可能とするために、デバイスの表面に50〜100μmの突起状の半田や金からなるバンプを形成し、このバンプをリードフレームに形成されたリードに直接ボンディングする所謂フリップチップと称するチップ(デバイス)が開発され、広く実用に供されている。
【0005】
一方、半導体ウエーハを個々のデバイスへと分割する際には、分割後の各デバイスのハンドリングを容易にするためにも、半導体ウエーハの裏面に例えば特開平1−297483号公報で提案されているような粘着シートが貼着される。
【0006】
従って、分割された個々のデバイスを特開2003−229469号公報に開示されるようなピックアップ装置を用いて粘着シートからピックアップした後、適宜収容トレイにデバイス(チップ)を収容してボンディングを行うダイボンダへと運び、ボンディングを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−297483号公報
【特許文献2】特開2003−229469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の半導体パッケージの製造方法では、ピックアップ装置を用いて粘着シートからデバイスをピックアップするピックアップ工程及びピックアップ工程後のボンディング工程が必須であり、工程数が多いため半導体パッケージを製造するのに多大な時間を要していた。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、工程の簡略化を達成可能なボンディング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、表面に複数のバンプを有するデバイスをリードフレームにボンディングするボンディング方法であって、表面に複数のバンプを有するデバイスが複数形成された半導体ウエーハの裏面に粘着シートを貼着するステップと、該粘着シートが貼着された半導体ウエーハを個々のデバイスへと分割して、該粘着シート上に複数の該デバイスが配設された形態にするステップと、該粘着シート上に配設された該デバイスの該バンプと、リードフレームの該バンプに対応する電極とを対面させて、該粘着シート側から該バンプを該電極に押し付けるとともに外的刺激を付与することで、該リードフレームに該デバイスの該バンプを接続させるステップと、を具備したことを特徴とするボンディング方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、分割後のデバイス(チップ)は粘着シート上に配設された状態で、リードフレームへとボンディングされるため、ピックアップ工程を省略することができ、工程の簡略化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明実施形態に係る半導体ウエーハの斜視図である。
【図2】粘着シートを介して環状フレームで支持された状態の半導体ウエーハの斜視図である。
【図3】切削ブレードによりウエーハをストリートに沿ってダイシングする様子を示す斜視図である。
【図4】粘着シート上に配設されたウエーハを個々のデバイスに分割後の断面図である。
【図5】ボンディングステップを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る半導体ウエーハWの斜視図が示されている。半導体ウエーハWの表面においては、第1のストリートS1と第2のストリートS2とが直交して形成されており、第1のストリートS1と第2のストリートS2とによって区画された各領域にそれぞれデバイス(チップ)Dが形成されている。図1の拡大図に示すように、各デバイスDの4辺には複数の突起状のバンプ2が形成されている。
【0014】
本実施形態のボンディング方法では、まず、図2に示すように外周が環状フレームFに装着された粘着シート(ダイシングテープ)Tに半導体ウエーハWの裏面を貼着する貼着ステップを実施する。これにより、半導体ウエーハWは粘着シートTを介して環状フレームFに支持された状態となる。
【0015】
貼着ステップ実施後、半導体ウエーハWを個々のデバイス(チップ)Dに分割する分割ステップを実施する。この分割ステップは、例えば図3に示すような切削装置(ダイシング装置)12により実施する。
【0016】
図3において、切削装置12のスピンドルユニット18のスピンドルハウジング20中には、図示しないモータにより回転駆動されるスピンドル14が回転可能に収容されており、スピンドル14の先端に切削ブレード16が装着されている。
【0017】
図示しないチャックテーブルに保持された半導体ウエーハWをX軸方向に移動させるとともに、切削ブレード16を高速回転させながらスピンドルユニット18を下降させると、位置合わせされた第1のストリートS1が切削される。
【0018】
メモリに記憶されたストリートピッチずつ切削ブレード16をY軸方向にインデックス送りしながらダイシングを行うことにより、同方向の第1のストリートS1が全て切削される。更に、チャックテーブルを90度回転させてから、上記と同様のダイシングを行うと、第2のストリートS2も全て切削され、半導体ウエーハWは個々のデバイス(チップ)Dに分割される。
【0019】
このように半導体ウエーハWが個々のデバイスDに分割されると、図4に示すように、粘着シートT上にそれぞれ複数のバンプ2を有する複数のデバイス(チップ)Dが配設(貼着)された形態となる。
【0020】
半導体ウエーハWの分割方法は、切削装置によるダイシングに限定されるものではなく、ウエーハに対して吸収性を有する波長のレーザビームでのアブレーション加工後に粘着シートをエキスパンドして分割する方法、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザビームによりウエーハ内部に変質層を形成してから、粘着シートをエキスパンドして分割する方法、或いはスクライブ加工によりウエーハWを個々のデバイスDに分割する方法も採用可能である。
【0021】
このような分割ステップ実施後、図5に示すようなボンディング装置22を使用して、デバイスDのバンプ2をリードフレーム28のリード(電極)30にボンディング(接続)するボンディングステップを実施する。
【0022】
ボンディング装置22は、複数のクランプ26を有する環状保持部材24を備えている。ボンディングステップでは、環状保持部材24上に環状フレームFを搭載し、クランプ26で環状フレームFをクランプする。
【0023】
32はリードフレーム28を保持するリードフレーム保持手段であり、リードフレーム保持手段32に保持されたリードフレーム28は粘着シートTに配設された各デバイスDのバンプ2に対応するリード(電極)30を有している。
【0024】
このボンディングステップでは、粘着シートT上に配設されたデバイスDのバンプ2と、リードフレーム28の電極30とを対面させて、突き上げ部材34を粘着シートTの下から矢印A方向に突き上げて、バンプ2とリードフレーム28のリード30とを圧接させるとともに、超音波発振源36を作動して圧接部に超音波を付与することにより、デバイスDのバンプ2をリードフレーム28のリード30に超音波溶着によりボンディングする。
【0025】
一つのデバイスDのボンディングが完了すると、突き上げ部材34を矢印B方向に移動して、隣接するデバイスDの直下に位置づける。そして、突き上げ部材34の突き上げと超音波発振源36による超音波付与を実施することにより、隣接するデバイスDのバンプ2をリードフレーム28のリード30にボンディングする。このステップを次々と繰り返すことにより、全てのデバイスDのバンプ2をリードフレーム28のリード30にボンディングすることができる。
【0026】
上述した実施形態では、超音波発振源36から超音波を発振しながら、デバイスDのバンプ2をリードフレーム28のリード30にボンディングしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、突き上げ部材34を加熱する等のバンプ2とリード30との圧接部に他の外的刺激を付与することにより、実施するようにしてもよい。外的刺激として熱を利用する際は、粘着シートTは耐熱性を有する粘着シートを使用する必要がある。
【0027】
上述した本発明のボンディング方法では、半導体ウエーハWを分割後の個々のデバイスDが粘着シートT上に配設された状態で、デバイスDのバンプ2はリードフレーム28のリード30にボンディングされるため、従来必要であったデバイスDのピックアップ工程を省略することができ、工程の簡略化が可能となる。
【符号の説明】
【0028】
W 半導体ウエーハ
D デバイス(チップ)
T 粘着シート
F 環状フレーム
2 バンプ
16 切削ブレード
22 ボンディング装置
24 環状保持部材
28 リードフレーム
30 リード(電極)
32 リードフレーム保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数のバンプを有するデバイスをリードフレームにボンディングするボンディング方法であって、
表面に複数のバンプを有するデバイスが複数形成された半導体ウエーハの裏面に粘着シートを貼着するステップと、
該粘着シートが貼着された半導体ウエーハを個々のデバイスへと分割して、該粘着シート上に複数の該デバイスが配設された形態にするステップと、
該粘着シート上に配設された該デバイスの該バンプと、リードフレームの該バンプに対応する電極とを対面させて、該粘着シート側から該バンプを該電極に押し付けるとともに外的刺激を付与することで、該リードフレームに該デバイスの該バンプを接続させるステップと、
を具備したことを特徴とするボンディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−222639(P2011−222639A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88303(P2010−88303)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】