説明

ボンドラインの薄いシリコーン接着剤組成物及びその製造方法

熱伝導組成物(20)は、ポリマーマトリックスとブレンドされた直径25ミクロン未満の最大粒径を有するフィラー粒子を含有する。かかる組成物により、より薄い達成可能なボンドライン厚が可能になり、その結果熱伝導材料(20)とそれに対応する合わせ面との間に存在する現場熱抵抗が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最大粒径25ミクロン未満のフィラーを含有する熱伝導性複合材組成物であって、かかる組成物から製造される熱伝導材料のボンドライン厚を低減し、現場熱抵抗を低減し、かつ現場熱伝達を向上させる組成物並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電気部品は動作中に熱を発生する。電子デバイスの高密度化及び高度集積化に伴って熱流束は指数関数的に増大する。同時に、性能及び信頼性の要件のためデバイスの動作温度を下げる必要があり、そのためデバイスの発熱部品と周囲温度との温度差が小さくなり、熱除去のための熱力学的推進力が低減する。こうした熱流束の増大と熱力学的推進力の低下のため、動作中の熱除去を促進するための一段と洗練された熱管理技術が必要とされる。
【0003】
熱管理技術は、ある形態の放熱ユニット(例えば、特に限定されないが、熱スプレッダー、ヒートシンク、リッド、ヒートパイプその他当業者に公知の設計及び構造物)を使用して電気系の高温領域から放熱させることが多い。放熱ユニットは、発熱ユニットと機械的に結合して熱除去に役立つ熱伝導率の高い材料(例えば、銅、アルミニウム、炭化ケイ素、合金、ポリマー複合材及びセラミック複合材)からなる構造体である。比較的簡単な形態では、放散ユニットは、発熱ユニットと接した金属片(例えば、アルミニウム又は銅)からなるものが挙げられる。発熱ユニットからの熱はユニット間の機械的接触面を通して放熱ユニットに流れ込む。
【0004】
典型的な電子パッケージでは、放熱ユニットは、動作時に放熱ユニットの平面を発熱部品の平面に当接して配置し、ある種の形態の接着剤又は固定手段を用いて放熱ユニットを適所に保持することによって発熱部品と機械的に結合される。自明であろうが、放熱ユニットの表面と発熱部品の表面が完全に平坦又は平滑であることはめったにないので、一般に表面間に空隙が存在する。周知の通り、向かい合った2つの表面間に空隙が存在すると、それらの表面間の接触面を通した伝熱能力が低下する。こうした空隙は、放熱ユニットの熱管理デバイスとしての効率及び価値を下げる。この問題に対処するため、伝熱表面間に配置してそれらの間の熱抵抗を低下させるポリマー組成物が開発されている。
【0005】
一般に、放熱ユニットは熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)の薄層を介して発熱部品に取り付けられる。この材料は通例フィラー含有ポリマー系である。このデバイスの熱除去効率はTIM材料の現場熱抵抗に依存し、ひいてはTIM材料のバルク熱伝導率だけでなく工業的に適切な圧力下で達成可能なボンドライン厚及び界面抵抗に依存する。TIMの最小厚みは、発熱及び放熱ユニット双方の表面平面性及び粗さの程度又は(凝集)フィラーの最大粒度のいずれか大きい方によって決まる。しかし、こうした最小ボンドラインは、特に高度に粘稠でチキソトロピー性組成物の場合、工業的に適切な圧力(通例250psi未満、さらに典型的には100psi以下)で常に達成できるわけではない。さらに、組成物の粘度、表面との濡れ性、膜形成能及び貯蔵安定性が界面抵抗に大きく影響し、熱伝導材料のデバイス内部での熱伝達能力に多大な影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
多くのTIM用途では、TIMは、発熱部品と放熱ユニットの熱膨張係数(CTE)が(高低)大きく異なる場合に発熱部品と放熱ユニットの機械的分離を担保すべく十分適合し得るものでなければならない。かかる用途では、TIM材料は効率的な熱伝達経路をもたらすだけでなく、パッケージ又はデバイス全体の構造一体性も維持するものでなければならない。TIM材料は、デバイスの寿命の全期間を通して十分な機械的及び熱的性質を維持しなければならない。
【特許文献1】米国特許第6500891号明細書
【特許文献2】米国特許第6025435号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0745643号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0719299号明細書
【非特許文献1】Fifteenth IEEE SEMI−THERMTM Symposium,pgs.83−97(1999)
【非特許文献2】Chem.Mater.13:3436−3448(2001)
【非特許文献3】Monatshefte fur Chemie Chemical Monthly 132:13−30(2001)
【非特許文献4】Adv.Mater.13(3):163−174 February 5,2001
【非特許文献5】Macromol.Symp.101:333−342(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、デバイスの寿命の全期間を通して機械的健全性を維持しつつ、放熱ユニットと発熱部品との間で効率的に熱伝達する改良組成物に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱伝導組成物は、粒径25ミクロン以下のフィラー粒子を含有するポリマー複合材である。熱抵抗は、ボンドライン厚が薄く、接合する基材との濡れ性に優れ、膜形成能に優れる低粘度組成物によって最小限にすることができる。組成物の粘度は、特に限定されないが、添加順序、混合の速度と時間、温度、湿度、真空度及びフィラーの処理法を始めとする加工処理条件の影響される可能性がある。さらに、発熱系−放熱系の熱抵抗は、界面接触抵抗に対処する小さな粒径によって最小限となる。
【0009】
また、本明細書では、本発明の熱伝導組成物と各々接触した発熱部品及び放熱ユニットを備える電気部品についても開示する。
【0010】
さらに、本発明による熱伝達効率を向上させる方法は、発熱部品と放熱ユニットの間に熱伝導組成物を挿入配置するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の組成物は、粒径25ミクロン未満のフィラー粒子を含有するマトリックスである。これらの複合材は達成可能なボンドライン厚を薄くすることができ、達成可能な現場熱抵抗を下げることができる。本発明の組成物は、熱源又は発熱デバイスからの熱除去を促すため、2以上の基材間の熱伝導材料として特に有用である。
【0012】
マトリックスはいかなるポリマー材料であってもよい。適当な有機マトリックスとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、他のオルガノ官能化ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フルオロカーボン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素化ポリアリルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノールレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フルオロ樹脂、これらの混合物その他当業者に公知のあらゆるポリマー系が挙げられる。(慣用ポリマーについては、「Polymer Handbook」,Branduf,J.;Immergut,E.H;Grulke,Eric A; Wiley Interscience Publication,New York,4th ed.(1999)、「Polymer Data Handbook Mark,James Oxford University Press,New York(1999)参照。)。好ましい硬化性熱硬化性マトリックスは、ラジカル重合、原子移動ラジカル重合 開環重合、開環メタセシス重合、アニオン重合、カチオン重合その他当業者に公知の方法によって架橋網目構造を形成し得るアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂その他のオルガノ官能化ポリシロキサン樹脂並びにこれらの混合物である。適当な硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、「Chemistry and Technology of Silicone」、Noll、W.;Academic Press 1968に記載されているような付加硬化性及び縮合硬化性マトリックスがある。ポリマーマトリックスが硬化性ポリマーでない場合、得られる熱伝導組成物は、製造時及びデバイス動作時の熱伝達時に部品を一体に保持できるゲル、グリース又は相変化材料として処方することができる。
【0013】
別の実施形態では、ポリマーマトリックスは有機−無機ハイブリッドマトリックスであってもよい。ハイブリッドマトリックスとしては、主族金属元素(例えば、アルミニウム、マグネシウム、ガリウム、インジウム)、主族半金族元素(例えば、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン)、リン、セレン、遷移金属元素(例えば、白金、パラジウム、金、銀、銅、亜鉛、ジルコニウム、チタン、ルテニウム、ランタン、など)又は無機クラスター(例えば、特に限定されないが、多面体オリゴマー状シルセスキオキサン、ナノ金属酸化物、ナノ酸化ケイ素、金属酸化物で被覆されたナノ金属粒子を含有するポリマー、及びナノ金属粒子)が化学結合したポリマーが挙げられる。無機−有機ハイブリッドの典型的な例及び製造方法としては、「Hybrid Organic Inorganic Materials − in Search of Synergic Activity」、Pedro Gomez−Romero,Advanced Materials,2001,Vol,13,No.3,pp.163〜174、「Inorganic Clusters in Organic Polymers and the Use of Polyfunctional Inorganic Compounds as Polymerization Initiators」,Guido Kickelbick及びUlrich Schubert、Monatshefte fur Chemie,2001,Vol.132,pp.13−30;「Synthesis and Application of Inorganic/Organic Composite Materials」,Helmut Schmidt,Macromolecular Symposia,1996,Vol.101,pp.333−342;及び「Synthesis of Nanocomposite Organic/Inorganic Hybrid Materials Using Controlled/‘Living’ラジカル重合」,Jeffrey Pyun及びKrzysztof Matyjaszewski,Chemistry of Materials,2001,Vol.13,pp.3436−3448などの総説を参照されたい。本明細書で用いる「化学結合」とは、共有結合、イオン性相互作用、イオン−共有結合、配位結合又は水素結合を介した結合をいう。有機−無機ハイブリッドポリマーマトリックスとは、特に限定されないが、アルケニル、アリル、Si−H、アクリレート、メタクリレート、スチレン系、イソシアネート、エポキシドその他当業者に公知の慣用基のような重合性基を含有する有機モノマー、オリゴマー又はポリマーと、重合性基を含有する無機クラスター又は有機金属化合物との共重合生成物をいう。例えば、アクリレート又はメタクリレートと金属アクリレート又はメタクリレート化合物との共重合生成物は有機−無機ハイブリッドポリマーマトリックスである。エポキシドとエポキシド官能化無機クラスターの共重合生成物も無機−有機ハイブリッドポリマーと考えられる。オルガノ官能化無機クラスター若しくは有機金属化合物の単独重合生成物又は複数の異なるオルガノ官能化無機クラスター若しくは有機金属化合物の共重合生成物も有機−無機ハイブリッドマトリックスと考えられる。有機−無機ハイブリッドマトリックスとしては、無機クラスター又は有機金属化合物が重合性官能基を有していないが、その表面OHその他の官能基を介してポリマー網目構造の一部となることができる場合も挙げられる。
【0014】
好ましい実施形態では、マトリックスは、以下の成分を含む付加硬化性シリコーンゴム組成物である。
(A)1分子当たり平均2個以上のケイ素結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン100重量部、
(B)1分子当たり平均2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜50重量部、
(C)ヒドロシリル化触媒、及び任意成分として
(D)触媒阻害剤、及び
(E)接着促進剤。
【0015】
オルガノポリシロキサン(成分A)を利用する場合、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子当たり平均2個以上含有する。ケイ素原子結合アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基及びヘプテニル基がある。これらの中では、ビニル基が特に好ましい。オルガノポリシロキサンにおけるアルケニル基の結合部位としては、例えば、分子鎖末端及び/又は分子鎖の側鎖が挙げられる。オルガノポリシロキサンのアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びヘプチル基のようなアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基のようなアリール基、ベンジル基及びフェネチル基のようなアラルキル基、並びにクロロメチル基、3−クロロプロピル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化された基が挙げられ、メチル基及びフェニル基が特に好ましい。オルガノポリシロキサンの分子構造は、例えば、直鎖、若干の枝分れを有する直鎖、環状及び枝分れ鎖のいずれでもよいが、直鎖が特に望ましい。オルガノポリシロキサンの粘度に特に制限はないが、25℃で約10〜約500000センチポアズの範囲の粘度が好ましく、約50〜約5000センチポアズの範囲が特に好ましい。
【0016】
オルガノポリシロキサン(成分A)としては、例えば、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したメチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をジメチルビニルシロキサン基で封鎖したジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端をジメチルビニルシロキサン基で封鎖したメチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端をジメチルビニルシロキサン基で封鎖したジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をジメチルビニルシロキサン基で封鎖したジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサンとメチルフェニルシロキサンのコポリマー、式RSiO1/2のシロキサン単位と式RSiO1/2のシロキサン単位と式RSiO2/2のシロキサン単位と少量の式SiO4/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー、式RSiO1/2のシロキサン単位と式RSiO2/2のシロキサン単位と式SiO4/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー、式RSiO2/2のシロキサン単位と式RSiO3/2のシロキサン単位と式RSiO3/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー、並びにこれらのオルガノポリシロキサン2種以上の混合物が挙げられる。これらの式において、Rはアルケニル基以外の一価炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基若しくはヘプチル基のようなアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基若しくはナフチル基のようなアリール基、フェネチル基のようなアラルキル基、又はクロロメチル基、3−クロロプロピル基若しくは3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基である。上記式中、Rはアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基又はヘプテニル基である。
【0017】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンを利用する場合、架橋剤として作用し、1分子当たり平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有する。オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおけるケイ素原子結合水素原子の結合部位は、例えば、分子鎖の末端及び/又は分子鎖の側鎖である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びヘプチル基のようなアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基のようなアリール基、フェネチル基のようなアラルキル基、又はクロロメチル基、3−クロロプロピル基若しくは3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基がある。メチル基及びフェニル基が特に好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、例えば、直鎖、若干の枝分れを有する直鎖、環状及び枝分れ鎖のいずれでもよいが、直鎖が特に好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度に特に制限はないが、25℃で約1〜約500000センチポアズの範囲の粘度が望ましく、約5〜約5000センチポアズの範囲が特に好ましい。
【0018】
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(成分B)としては、例えば、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したメチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をトリメチルシロキシ基で封鎖したジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンとメチルフェニルシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をジメチルハイドロジェンシロキサン基で封鎖したジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端をジメチルハイドロジェンシロキサン基で封鎖したジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端をジメチルハイドロジェンシロキサン基で封鎖したジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンのコポリマー、分子鎖両末端をジメチルハイドロジェンシロキサン基で封鎖したメチルフェニルポリシロキサン、式RSiO1/2のシロキサン単位と式RHSiO1/2のシロキサン単位と式SiO4/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー、式RHSiO1/2のシロキサン単位と式SiO4/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー、式RHSiO2/2のシロキサン単位と式RSiO3/2のシロキサン単位と式HSiO3/2のシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンコポリマー並びにこれらのオルガノポリシロキサン2種以上の混合物が挙げられる。これらの式において、Rはアルケニル基以外の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基 若しくはヘプチル基のようなアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基若しくはナフチル基のようなアリール基、ベンジル基若しくはフェネチル基のようなアラルキル基、又はクロロメチル基、3−プロピル基若しくは3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基である。
【0019】
ヒドロシリル化触媒(成分C)は第8族〜第10族遷移金属(例えば、ルテニウム、ロジウム、白金、パラジウム)錯体を含有するいかなる化合物であってもよいが、最も好ましくは白金錯体である。かかる白金錯体としては、特に限定されないが、白金微粉末、白金黒、白金をアルミナ、シリカ又は活性炭のような固体担体に吸着させたもの、クロロ白金酸、四塩化白金、オレフィン又はジビニルテトラメチルジシロキサン及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなアルケニルシロキサンと錯化した白金化合物が挙げられる。触媒の構造の詳細は当業者に公知である。
【0020】
硬化特性を変えて所望の貯蔵寿命を達成するため、触媒阻害剤(成分D)を適宜配合してもよい。適当な阻害剤としては、特に限定されないが、ホスフィン又はホスファイト化合物、イオウ化合物、アミン化合物、イソシアヌレート、アルキニルアルコール、マレイン酸エステル及びフマル酸エステル、これらの混合物その他当業者に公知の化合物が挙げられる。適当な阻害剤の代表例としては、トリアリルイソシアヌレート、2−メチル−3−ブチン−2−オール、トリフェニルホスフィン、トリス(2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル)ホスファイト、マレイン酸ジアリル、硫化ジエチル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
使用し得る接着促進剤(成分E)としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びビス(トリメトキシシリルプロピル)フマレートのようなアルコキシ−若しくはアリールオキシシラン、又はアクリルオキシトリメトキシシリル若しくはメタクリルオキシプロピルトリメトキシシリル官能基で修飾されたテトラシクロシロキサンのようなアルコキシ−若しくはアリールオキシシロキサンが挙げられる。また、特に限定されないが、シラノール、アルコキシシリル官能基を含有するオリゴシロキサン、アリールオキシシリル官能基を含有するオリゴシロキサン、ヒドロキシル官能基を含有するオリゴシロキサン、アルコキシシリル官能基を含有するポリシロキサン、ヒドロキシル官能基を含有するオリゴシロキサン、アリールオキシシリル官能基を含有するポリシロキサン、ヒドロキシル官能基を含有するポリシロキサン、アルコキシシリル官能基を含有するシクロシロキサン、アリールオキシシリル官能基を含有するシクロシロキサン、ヒドロキシル官能基を含有するシクロシロキサン、チタネート、トリアルコキシアルミニウム、テトラアルコキシシラン、イソシアヌレート及びこれらの混合物も挙げられる。接着促進剤は有効量で使用されるが、その有効量は通例最終組成物全体の約0.01〜約5重量%の範囲である。
【0022】
最終組成物中の各種成分の比は、Si−H/アルケニルモル比が約0.5〜約5.0、好ましくは約0.8〜約2.0の範囲内になるように調節される。モル比の決定に用いられるSi−H基には、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(成分B)その他最終組成物中に存在するあらゆる成分、例えば接着促進剤(成分E)に存在するものが含まれる。計算に用いられるアルケニル基には、特に限定されないが、組成物のオルガノポリシロキサン、接着促進剤、触媒及び触媒阻害剤を始めとするあらゆる成分に存在するものが含まれる。
【0023】
また、組成物の粘度を低減するため、硬化性組成物全体に反応性有機希釈剤を添加してもよい。反応性希釈剤の例としては、特に限定されないが、各種ジエン(例えば、1,5−ヘキサジエン)、アルケン(例えば、n−オクテン)、スチレン系化合物、アクリレート又はメタクリレート含有化合物及びこれらの組合せがある。組成物の粘度を低下させるため、組成物に非反応性希釈剤を添加してもよい。非反応性希釈剤の例としては、特に限定されないが、低沸点脂肪族炭化水素(例えば、オクタン)、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸1−メトキシプロピル、エチレングリコール、ジメチルエーテル、ポリジメチルシロキサン流体及びこれらの組合せがある。
【0024】
顔料及び/又は担体流体と混合した顔料(例えば顔料マスターバッチ)を組成物に添加してもよい。
【0025】
最終組成物の量に対して約0.5〜約20重量%の量の難燃剤を最終組成物に適宜使用してもよい。難燃剤の例としては、ホスホルアミド、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールジホスフェート(RDP)、ビスフェノールA−ジホスフェート(BPA−DP)、有機ホスフィンオキシド、ハロゲン化エポキシ樹脂(テトラブロモビスフェノールA)、金属酸化物、金属水酸化物、及びこれらの組合せがある。
【0026】
エポキシ樹脂を利用する場合、カルボン酸無水物系硬化剤とヒドロキシル基含有有機化合物のような硬化剤を任意成分として硬化触媒と共に添加してもよい。エポキシ樹脂に関して、代表的な無水物硬化剤としては通例、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物などが挙げられる。2種以上の無水物硬化剤を含む組合せも使用できる。具体例は「Chemistry and Technology of the Epoxy Resins」 B.Ellis(Ed.)Chapman Hall,New York,1993及び「Epoxy Resins Chemistry and Technology」,C.A.May編、Marcel Dekker,New York、第2版、1988に記載されている。
【0027】
エポキシ樹脂を使用する場合、硬化触媒は、特に限定されないが、アミン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩、トリフェニルホスフィン、アルキル−イミダゾール、及びアルミニウムアセチルアセトネート、ヨードニウム化合物並びにこれらの組合せから選択し得る。エポキシ樹脂の場合、多官能性アミンのような硬化剤を架橋剤として適宜配合してもよい。代表的なアミンとしては、特に限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミンその他アミン基を2個以上有する化合物が挙げられる。
【0028】
また、組成物の粘度を低下させるため、エポキシ樹脂系硬化性組成物全体に反応性有機希釈剤を添加してもよい。反応性希釈剤の例としては、特に限定されないが、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、ドデシルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキサンジエポキシド、ジ(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)−テトラメチルジシロキサン及びこれらの組合せが挙げられる。非反応性希釈剤を組成物に添加して組成物の粘度を低下させてもよい。非反応性希釈剤の例としては、特に限定されないが、低沸点脂肪族炭化水素(例えば、オクタン)、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸1−メトキシプロピル、エチレングリコール、ジメチルエーテル、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0029】
フィラーはミクロン粒度、サブミクロン粒度、ナノ粒度又はこれらの組合せのいずれでもよい。フィラーは熱伝導性物質であり、強化用でも非強化用でもよい。フィラーとしては、例えば、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、微粉状石英粉末、非晶質シリカ、カーボンブラック、グラファイト、ダイヤモンド、金属(例えば、銀、金、アルミニウム及び銅)、炭化ケイ素、アルミニウム水和物、金属窒化物(例えば、窒化ホウ素及び窒化アルミニウム)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン又は酸化鉄)及びこれらの組合せが挙げられる。フィラーが存在する場合、通例、最終組成物全体の重量を基準にして約10〜約95重量%の範囲で存在する。典型的には、フィラーは最終組成物全体の重量を基準にして約20〜約92重量%の範囲で存在する。
【0030】
フィラー粒子の直径は25ミクロンを超えない。一実施形態では、平均粒径は約0.01〜約15ミクロンの範囲であり、約1〜約10ミクロンの範囲が好ましい。
【0031】
フィラーの粒径の選択は、その他の条件が同一のときに、粒径25ミクロン超の粒子を含有する組成物で達成可能なボンドラインよりも薄いボンドラインが得られるようになされる。この選択は、最大粒径が少なくとも所望ボンドライン厚と等しく、好ましくは所望ボンドライン厚未満となるように行われる。フィラーの分布は、大きな粒子間での凝集の可能性が最小限となって、フィラー凝集体の最大サイズが所望ボンドライン厚以下となるものが好ましい。好ましくは、本発明の組成物から製造される熱伝導材料のボンドライン厚は約0.5〜約5ミルであり、2ミル未満(約0.5〜約2ミルの範囲)のボンドライン厚が特に好ましい。
【0032】
フィラーとマトリックスの混合法は、最終組成物のレオロジー(例えば粘度)だけでなく組成物の現場熱性能の点でも極めて重要である。フィラーは入手時の形態のまま使用してもよいし、混合前若しくは混合時に処理してもよい。フィラーの処理としては、特に限定されないが、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、シラザン類、シラノール類、シラン若しくはシロキサン化合物又はアルコキシ、ヒドロキシ若しくはSi−H基含有ポリマーその他の慣用フィラー処理剤のような化学品によるフィラー処理などによる化学的若しくは物理的コーティング若しくは封鎖その他の慣用手順が挙げられる。最終組成物は手作業で混合してもよいし、或いはドウミキサー、チェンジカンミキサー、衛星型ミキサー、二軸押出機、二本若しくは三本ロールミルなどの通常の混合装置で混合してもよい。組成物のブレンディングは慣用手段で回分式、連続式又は半連続式に実施し得る。
【0033】
本発明に従ってフィラーを使用すると、熱抵抗が改善されるが、一方で加工処理が容易にできる程度に十分に低い粘度が保たれるので、電子デバイス、特にフリップ/チップデバイスの製造では所要に応じて流動する。
【0034】
図1に概略を示す通り、熱伝導組成物20は所定の圧力下で発熱部品30と放熱ユニット10の間に挿入され、空隙を充填すると共に熱伝達を促す。本発明の熱伝導組成物の塗工は当技術分野で公知のいずれかの方法でなし得る。従来法としては、スクリーン印刷、ステンシル印刷、シリンジ分配、ピックアンドプレイス装置及び発熱又は放熱ユニットに対するプレ塗工が挙げられる。
【0035】
ボンドライン厚は、熱伝導組成物の粘度及びフィラー処理並びに熱伝導材料の挿入時の圧力によってさらに制御できる。粘度は、熱伝導組成物の組成と加工処理条件の両者の調節によって変えることができる。例えば、組成物の粘度は、フィラー充填量、フィラーのイオン含量、フィラーの表面積、フィラーの粒度分布、フィラーの表面官能基、利用するポリマーマトリックスの粘度及び純度、接着促進剤の量その他当業者に公知の方法で制御することができる。また、粘度は、混合速度、混合時間、混合の温度、真空度、添加順序、フィラー処理の程度その他当業者に公知の加工処理パラメーターのような加工処理条件の調節によっても変更できる。達成可能な最小ボンドライン厚は、フィラーのボールミル粉砕のような機械的手順によっても影響されることがある。ボンドライン厚を得るのに適当な粘度は約5000〜約300000cpsの範囲であり、約10000〜約200000cpsの粘度範囲が好ましい。粘度は1〜10/secの剪断速度で測定する。
【0036】
例えば、25℃及び剪断速度1/secにおける粘度が636Pa−sの組成物に10psiの圧力を加えると平均3ミルの厚さ(Al−Al間)のボンドラインが得られるが、25℃及び剪断速度1/secにおける粘度が1251Pa−sの同じ組成物は同一圧力で平均3.8ミル(Al−Al間)のボンドライン厚を有する。別の例では、同一圧力下で、ボールミル処理したフィラーを含有する組成物は平均ボンドライン厚が0.7ミル(Al−Al間)であるのに対して、入手時の形態のままのフィラーの場合は1.0ミル(Al−Al間)である。ある組成物では、10psiでの平均ボンドラインが2.9ミル(Al−Si間)であったのに対して、30psi以上の圧力では1.4〜1.5ミル(Al−Si間)であった。熱伝導組成物の粘度が低く、組成物に使用したフィラーの粒径が小さいと、熱伝導材料と発熱及び/又は放熱ユニットとの間の界面又は接触抵抗を低減し、結果的には現場熱抵抗が低下し、熱性能が改善される。
【0037】
挿入された組成物は約20〜約250℃の範囲、さらに典型的には約20〜約150℃の範囲の温度で硬化させることができる。硬化は通例、約1気圧(「atm」)〜約5トン圧力/平方インチの範囲、さらに典型的には約1気圧〜約100ポンド/平方インチ(「psi」)の範囲の圧力で実施される。本発明のTIMの形成に用いられる圧力は、手動フォースゲージ、ピックアンドプレイス装置及びロボットアームを始めとする当業者に公知の手段で印加すればよい。一実施形態では、所望ボンドライン厚を得るのに用いられる圧力は約1〜約250psiの範囲であり、約1〜約100psiの範囲が好ましい。
【0038】
フィラーの充填量を高めてバルク熱伝導率を向上させると共に粘度及び加工処理特性に悪影響を及ぼさないため、一実施形態では二峰性及び多峰性分布のフィラーを使用する。例えば、昭和電工(株)製AS40を84.6wt%含有するシリコーン組成物は25℃及び剪断速度1/secで193.7Pa−sの粘度を有するが、電気化学工業(株)製AS40と住友製AA04の4:1混合物を84.6wt%含有する同じ組成物は25℃及び剪断速度1/secで84.8Pa−sの粘度を有する。後者の組成物で粘度が低いということは、前者の組成物と同じ粘度に達するまでフィラー添加量を増やすことができることを意味する。フィラー量が多いと、通例バルク熱伝導率が高まるので、AS40とAA04の混合物を含む複合材はAS40のみを含むものよりも同程度の粘度で向上したバルク熱伝導率を達成することができる。
【0039】
さらに、硬化は通例約30秒〜約5時間、典型的には約90秒〜約2時間で起こる。適宜、硬化組成物を温度約100〜約200℃で約1〜約4時間、後硬化してもよい。
【0040】
本発明では、最大粒径25ミクロン未満のフィラーの使用によって、得られるTIM用途でボンドラインを薄くすることができる。界面抵抗が同じであれば、ボンドラインが薄くなるに従って熱抵抗が下がり、現場熱抵抗が低下し、一方で材料の熱伝導能力は向上する。また、加工処理条件及び組成物のレオロジーを調節ことによって、界面接触抵抗を最小限にして低い熱抵抗と最適な熱伝達速度を達成することもできる。調節可能な加工処理条件としては、混合時間、混合速度、温度、湿度、真空度、添加順序及びフィラーの処理が挙げられる。例えば、ある組成物を60rpmの混合速度で混合すると、硬い生地が得られた。しかし、18rpmで加工処理すると、流動性の材料が得られた。また、この組成物の粘度は混合時間が長いほど増大する。別の組成物では、ポリオルガノシロキサンとポリオルガノハイドロジェンシロキサンの混合物でのフィラーの処理時間が長いほど粘度が低下した。市販の電気絶縁性接着剤に比べ、本発明の組成物では現場熱抵抗が低い。得られるTIMの熱抵抗は約0.01〜約80mm−C/W、好ましくは約0.05〜約50mm−C/Wの範囲である。
【0041】
本発明の組成物は金属基材に対して適度な接着力を有しており、信頼性試験後に熱又は機械的性能の劣化は認められない。本発明の熱伝導組成物は、コンピューター、半導体その他部品間の熱伝達が必要とされるデバイスのようなエレクトロニクスデバイスに使用できる。大抵は、これらの部品はアルミニウム、銅、シリコンなどの金属製である。本明細書では、本組成物を電子デバイスにおける熱伝導材料として利用する場合の詳細について説明するが、本発明の組成物は、熱が発生し除去する必要のあるいかなる状況にも応用できる。例えば、本発明の組成物は、モーターやエンジンからの除熱、フリップ−チップ設計でアンダーフィル材として、電子デバイスのダイ接着剤として、その他効率的な熱除去が望まれるあらゆる用途に利用できる。
【0042】
別の態様では、本組成物は、シート又はフィルムに予備成形し、所望の形状にカットしてもよい。この実施形態では、本組成物は電子部品間に配置される熱伝導パッド又はフィルムの形成に好適に用いられる。また、本組成物はデバイスの発熱又は放熱ユニットにプレ塗工してもよい。本発明の組成物はまた、グリース、ゲル及び相変化材組成物として塗工してもよい。
【0043】
一実施形態では、本発明の組成物はフィラーとして微細アルミナを含有する一液型熱硬化シリコーンマトリックスである。低いモジュラスと良好な伸びを有するシリコーン組成物によって、材料又は性能の認め得る程の劣化を示すことなく熱応力及び高湿−高温環境に耐えることができる組成物が得られる。
【実施例】
【0044】
当業者が容易に本発明を実施できるように、例示を目的として以下の非限定的な実施例を挙げる。
【0045】
例1〜14は、アルミナフィラーを配合した熱伝導性シリコーン接着剤組成物に関する。以下の表1に、各例の組成物に使用した4種類の異なるアルミナフィラー各々の性質を示す。
【0046】
【表1】

例1
2種類の異なる熱伝導性フィラーを本組成物に使用した。第1のフィラーはフィラーCであり、第2のフィラーはフィラーDであった。これら2種類のフィラーは重量比4:1で本組成物に使用した。これらの熱伝導性フィラー(合計604.29部)を実験室規模のRossミキサー(容量1クオート)中約18rpmで2.5時間140〜160℃、25〜30インチHgの減圧で混合した。次に、フィラーを35〜45℃に冷却し、大気圧にし、ビニル末端ポリジメチルシロキサン流体(350〜450cSt、約0.48重量%ビニル)100部を、顔料マスターバッチ(カーボンブラック50重量%及び10000cStのビニル末端ポリジメチルシロキサン流体50重量%)0.71部及びヒドリド流体の一部(0.66部のヒドリド官能化ポリオルガノシロキサン流体、約0.82重量%ヒドリド)と共に添加した。組成物を約18rpmで6分間混合して流体及び顔料を配合した。次に、温度を140〜160℃に上げ、混合物を約18rpmでさらに1.5時間撹拌した。組成物を約30℃に冷却し、以下の仕込材料を添加した。0.54部のトリアリルイソシアヌレート、0.06部の2−メチル−3−ブチン−2−オール、及び0.04部のテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体化白金触媒(GE Silicones社、88346)。これらの仕込材料を、8分間約18rpmで攪拌して配合した。次いで、最終仕込材料、すなわち3.14部の第1の接着促進剤(GE東芝シリコーン社、A501S)、2.07部の第2の接着促進剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)及び残部のヒドリド流体(1.34部のヒドリド官能化ポリオルガノシロキサン流体、約0.82重量%ヒドリド)をミキサーに添加した。これらの仕込材料を、5分間約18rpmで攪拌して配合した。この最終組成物をさらに3分間約18rpm、25〜30インチHgの減圧で混合した。組成物をミキサーから取り出し、すぐに100メッシュのフィルタースクリーンで濾過した。次に、この材料を3分間25〜30インチHgの真空にして残留連行空気をすべて除去した。この材料は、TIMを形成する必要があるまで冷凍庫(−40〜0℃)に貯蔵した。
【0047】
TIMの特性決定
これらのTIMを、シリコン、アルミニウム及び銅を始めとする各種基材材料間に塗工し、その熱的性能を測定した。レーザーフラッシュ拡散率法(ASTM E−1461に準拠)を用いて、3層「サンドイッチ」試料中のTIMの現場又は有効熱抵抗及び熱伝導率を得た(「Measurements of Adhesive Bondline Effective Thermal Conductivity and Thermal Resistance Using the Laser Flash Method」、Campbell,Robert C,Smith,Stephen E.及びDietz,Raymond L.,15th IEEE Semi−Therm Symposium、1999、83−97)。熱的性能に加えて、シリコン、アルミニウム及び銅を始めとする異なる基材に対するこれらのTIMの接着力を、ダイシェア試験を用いて特性決定した。これらのTIMの信頼性を、2つの促進信頼性試験、すなわち冷熱衝撃及び温度/湿度曝露によって特性決定した。信頼性サイクルにおけるTIMの熱的性能及び接着強さの変化をモニターした。
【0048】
熱抵抗測定用試料の調製
図2に示す通り、各TIM20を8mm×8mmのクーポン40(シリコン、アルミニウム又は銅)の表面に塗工し、別のクーポン50(シリコン、アルミニウム又は銅)を10psiの圧力でTIM20に重ねてサンドイッチ構造を完成した。このサンドイッチを2時間150℃のTIM硬化条件に付して硬化試料を得た。サンドイッチの接合前に各クーポン40及び50の厚さ(t1、t2)を5つの異なる位置で測定した。クーポンの厚さ(t1+t2)を硬化サンドイッチの厚さ(T)から引いてTIM20のボンドライン厚(BLT)を得た(図2)。その後、これらのサンドイッチをグラファイト薄層で被覆してからレーザーフラッシュ拡散率機器に入れた。
【0049】
熱拡散率機器及び熱抵抗の測定
レーザーフラッシュ機器(Netzsch Instruments社製Microflash 300)を用いて、現場熱拡散率及び熱伝導率を測定した。Microflash(商標)付属のソフトウエアマクロを用いて、TIM層の熱伝導率及び熱抵抗を求めた。この方法で求めたTIM層の熱抵抗には、TIMのバルク(固有)熱抵抗とTIM−基材接合面における接触抵抗が含まれる。この熱抵抗値がTIMの現場性能を最も良く表す。
【0050】
接着強さの測定
20kgロードセルを有するDage model 22マイクロテスターを用いたダイシェア試験でTIMの接着剤としての特性を決定した。この試験は破壊性である。ダイシェア装置の概略図を図3に示す。TIM20を金属(アルミニウム又は銅)基材60(50mm×50mm)表面に塗工した後、シリコンダイ70(4mm×4mm)を10psiの圧力でTIM層20に重ねた。保持具80と90で基材を適所に保持した。2時間150℃のTIM硬化条件を用いて試料を硬化させた。
【0051】
Dageマイクロテスター上のシェアアンビル100の動きはx軸、y軸及びz軸方向で厳密に制御した。シェアアンビル100は顕微鏡を用いてダイ70の縁部に当接して配置し、ダイが破損するか又は基材/クーポンから分離するまで均一な力を加えた。破壊タイプ、すなわち接着破壊又は凝集破壊の別も記した。シリコンダイを基材から剥ぎ取るのに必要な荷重を剪断面積で除した値がダイシェア強さである。
【0052】
例2
本例の組成物及びプロセスはフィラーの種類と組成以外は例1に従った。本例では1種類のフィラーのみを使用した。最大粒径が25ミクロンを超えるフィラーAを使用し、合計で組成物の604.29部とした。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0053】
処方と混合パラメーターの両方を制御することによって最適な性質を有する組成物を調製した。以下の表2に、例1と2の組成物に対する物性の概要を示す。表2にみられる通り、例1で調製した熱伝導材料は、例2で調製したものよりも約50%薄いボンドライン厚を有していた。また、例1で調製したTIMの現場熱抵抗も例2で調製したものよりも約40%低かった。
【0054】
【表2】

例3
2種類の異なる熱伝導性フィラーを本組成物に使用した。第1のフィラーはフィラーCであり、第2のフィラーはフィラーDであった。これら2種類のフィラーを4:1の重量比で本組成物に使用した。これらの熱伝導性フィラー(合計1028.66部)を、実験室規模のRossミキサー(容量1クオート)中約18rpmで2.5時間140〜160℃、25〜30インチHgの減圧で混合した。次に、フィラーを35〜45℃に冷却し、大気圧にし、ビニル末端ポリジメチルシロキサン流体(200〜300cSt、0.53〜0.71重量%ビニル)100部を、顔料マスターバッチ(カーボンブラック50重量%及び10000cStビニル末端ポリジメチルシロキサン流体50重量%)1.16部及び各ヒドリド流体の一部、すなわち0.97部のヒドリド官能化ポリオルガノシロキサン流体(0.72〜1.0重量%ヒドリド)及び5.73部のヒドリド末端ポリジメチルシロキサン流体(500〜600ppmヒドリド)と共に添加した。
【0055】
本組成物を約18rpmで6分間混合して流体及び顔料を配合した。次に、温度を140〜160℃に上げ、混合物を約18rpmでさらに1.5時間撹拌した。組成物を約30℃に冷却し、以下の仕込材料を添加した。0.66部のトリアリルイソシアヌレート、0.07部の2−メチル−3−ブチン−2−オール、及び0.04部のテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体化白金触媒(GE Silicones社、88346)。これらの仕込材料を8分間約18rpmで攪拌して配合した。次に、最終仕込材料、すなわち、4.24部の第1の接着促進剤(A501S、GETOS)、2.79部の第2の接着促進剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)及び2種類のヒドリド流体の残部、すなわち1.97部のヒドリド官能化ポリオルガノシロキサン流体(0.72〜1.0重量%ヒドリド)及び11.64部のヒドリド末端ポリジメチルシロキサン流体(500〜600ppmヒドリド)をミキサーに加えた。これらの仕込材料を、5分間約18rpmで攪拌して配合した。さらに3分間約18rpm、25〜30インチHgの減圧で混合することによって、連行空気を組成物から除去した。組成物をミキサーから取り出し、すぐに100メッシュのフィルタースクリーンで濾過した。次に、この材料を3分間25〜30インチHgの真空にして、残留連行空気を除去した。この材料は、必要になるまで冷凍庫(−40〜−0℃)に貯蔵した。
【0056】
本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0057】
例4
例4の組成物及びプロセスは、例3で利用した顔料マスターバッチを例4の組成物に配合しなかった点を除いて例3に従った。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0058】
例5
本例の組成物及びプロセスは、第1の熱伝導性フィラーがフィラーBであり、第2のフィラーがフィラーDであったことを除いて例4に従った。これら2種類のフィラーは本組成物に4:1の重量比で使用した。例4と同様に、熱伝導性フィラーは組成物全体の1028.66部であった。本組成物では、例4のプロセスを、接着促進剤及びヒドリド流体の最終添加を通例行うところまで実施した。この時点で、組成物は既に流動性を失っており、それ以上混合できなかった。例5を繰り返してこの結果を確かめようとした。繰り返した組成物は例5と同じ挙動を示した。これらの試料は廃棄した。本例から分かる通り、フィラーのイオン含量は組成物の最終レオロジーに影響を及ぼす可能性がある。
【0059】
例6
例6の組成物及びプロセスは、ビニル流体仕込材料を除いて例4に準じた。例6で使用したビニル流体(100.00部)はビニル末端であり、0.4〜0.6重量%のビニルと約200cStの粘度を有していた(Gelest社製)。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0060】
例7
例7の組成物及びプロセスは、第1の熱伝導性フィラーがフィラーBであり、第2の熱伝導性フィラーがフィラーDであったことを除いて例6に準じた。これら2種類のフィラーは4:1の重量比で使用し、組成物全体の1028.66部であった。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0061】
例8
例8の組成物及びプロセスは使用したフィラーを除いて例7に準じた。例7と同様に、合計1028.66部の2種類の熱伝導性フィラーを4:1の重量比で添加した。しかし、例8では、これらのフィラー(フィラーB及びフィラーD)を所望の比で予め混合し、約72時間ボールミル処理した後に、第1の加工処理ステップで組成物に配合した。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0062】
以下の表3に、例3及び4並びに例6〜8の組成物の物性の概要を示す。表3にみられる通り、ボールミル処理したフィラーを含有する組成物(例8)は、入手したままのフィラーを使用した対応組成物よりもボンドライン厚が薄く、低い現場熱抵抗と優れた熱伝達能を示した。
【0063】
【表3】

例9
例9の組成物及びプロセスは、プロセスの2つのステップの加工処理時間を除いて例3に従った。例3では、熱伝導性フィラー(合計1028.66部)を、実験室規模のRossミキサー(容量1クオート)中約18rpmで2.5時間140〜160℃、25〜30インチHgの減圧で混合した。例9の組成物では、フィラー混合物を、約18rpm、室温で1時間25〜30インチHgの減圧で混合した後、約18rpmで2.5時間140〜160℃、25〜30インチHgの減圧で混合した。また、例3では、ビニル流体及び2種類のヒドリド流体仕込材料の一部を加えた後、組成物を約18rpmで6分間混合して流体及び顔料を配合した。その後温度を140〜160℃に上げ、混合物を約18rpmでさらに1.5時間撹拌した。例9の組成物の場合、流体の添加後組成物を約18rpmで36分混合してから、温度を140〜160℃に上げ、約18rpmでさらに1.5時間撹拌した。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0064】
以下の表4に、例3と例9の組成物の物性を対比して示す。表4にみられる通り、混合時間の変化によって粘度の異なる組成物が得られた。粘度の低い組成物(例3)は粘度の高い組成物(例9)よりもボンドラインが薄く、熱抵抗が低かった。
【0065】
【表4】

例10
アルミナフィラーBとDを4:1の比で混合した。この混合物をアルミナ研磨ボールを用いて77.5時間ボールミル処理した後、130℃のオーブンで貯蔵した。
【0066】
200cpsの熱処理したビニル末端ポリジメチルシロキサン流体(DMSV22、Gelest)100部を、上記アルミナ混合物1056部と、最初は手作業で、次にWaring2速ブレンダーベース上に据え付けたWaring粉砕機でブレンドした。粉砕機の速度は、ブレンダーベース上のHI/LO選択ボタンとブレンダーベースに接続したバリアックの設定の両者で制御した。粉砕機には加熱テープが巻かれていて、第2のバリアックに接続されていた。粉砕機を110℃に加熱し、混合速度をLO,40に設定した。ブレンダーを定期的に止め、側面及び底面をこすった後、ブレンダーを再始動させた。このプロセスを1時間15分繰り返した。この間、混合速度を3〜4回短時間(各回30〜60秒間)HI,70に上げた。混合物に、5.0〜5.8部のシリコーン−ヒドリド流体混合物を加えた。このシリコーン−ヒドリド流体混合物は、重量比5.92:1.00の、45〜55cpsシリコーン−ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン(GE Silicones社、89006、環状物除去)とヒドリド含有量0.72〜1.0重量%の30〜75cpsポリジメチル−コ−メチルハイドロジェン−シロキサン(GE Silicones社、88466)とからなる。混合物を粉砕機中LO,25で25分間ブレンドした後、加熱を止め、混合をさらに25分間継続した。
【0067】
次に、上記混合物約97.4%をジャーに移し、75℃の真空オーブンに20.5時間放置した。その後、オーブンの温度を40℃に下げ、さらに48時間保った。真空ゲージの読みは25〜27inHgであった。
【0068】
この混合物に、上記シリコーン−ヒドリド混合物1.8〜2.3部、白金触媒阻害剤パッケージ(重量比75:8のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(surfinol)の混合物)0.73部、及びビニル末端ポリジメチルシロキサン中テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体化白金触媒(GE Silicones社、88346)のストック溶液2.4部([Pt]=255ppm)を加えた。得られた混合物を手作業で短時間混合した後、Speedmixer(FlackTek社、Model # DAC400FV)で5秒間900rpmで十分に混合し、次いでさらに5秒間2000rpmで混合した。これによって、非流動性の濃厚なペーストが得られる。この濃厚ペーストに、上記シリコーン−ヒドリド混合物12.3〜13.8部と接着促進剤混合物(重量比44:29のA501S(GE東芝シリコーン社)とグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO))7.0部を加えた。この混合物を最初手作業で短時間混合し、次いでSpeedmixerで5秒間900rpmで十分に混合して濃厚なペーストを得た。この最終組成物は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン102.4部、上記シリコーン−ヒドリド混合物20.8部、白金触媒阻害剤パッケージ(上記のTAIC及びsurfinol)0.73〜0.75部、白金触媒5ppm、接着促進剤(A501S及びGLYMO)7.2部及びアルミナ粒子1050〜1060部を含んでいた。
【0069】
本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0070】
例11
以下の点を除いて例10の概略を述べたのと同様にして組成物を調製した。1)第1の混合段階で、粉砕機はLO,20に設定し、シリコーン−ヒドリド混合物の第1の部分の添加後の混合時間は50分ではなく1.5時間とした(これにより、同様な配合段階で例10よりも格段に粘稠な混合物が得られた)。2)シリコーン−ヒドリド混合物の第2の部分と触媒と阻害剤の添加後、混合物は手作業のみで混合した。3)組成物の残りの成分の添加後、混合物を手作業で混合した後、Speedmixerで5秒間900rpmで混合して半流動性ペーストを得た。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0071】
例12
フィラーBとフィラーDの4:1混合物の代わりにフィラーA(25ミクロンを超える最大粒径を有する)とフィラーDの4:1混合物を用いた以外は、例11と同様にして組成物を調製した。本組成物の物性を例1に記載の通り求めた。
【0072】
以下の表5に、例10及び例11で2枚の金属クーポン間で測定した組成物の粘度、並びに例10、11及び12で2枚の金属クーポン間で測定した組成物の接着強さ、ボンドライン厚及び熱抵抗を示す。表5にみられる通り、加工処理速度が異なると粘度の異なる組成物が生成した(例10及び11)。低粘度の組成物(例10)は、例11と同程度のボンドラインで低い現場熱抵抗を示した。例11よりも最大粒径の大きいフィラーを含有する例12は、例11よりもボンドラインが厚く、熱抵抗が高かった。
【0073】
【表5】

例13
信頼性試験
「接合直後」の熱抵抗及び接着強さの測定に加えて、例1と例3の組成物を用いてTIMを製造し、促進信頼性試験を行って高応力環境での保持性能を測定した。2つの信頼性試験法は冷熱衝撃試験及び温度/湿度曝露試験であった。
【0074】
冷熱衝撃では、上述の通りアルミニウム−TIM−シリコンサンドイッチ試料を熱及び接着測定用に集成した。熱測定用試料はグラファイトで被覆し、その熱抵抗を室温(25℃)及び125℃で測定した。次に、これらの試料を−55℃〜125℃の温度間で上下限温度で各々10分滞留させて冷熱衝撃に付した。500サイクル後、TIMの熱抵抗を25℃及び125℃で測定して、熱サイクルによる熱抵抗の変化を求めた。
【0075】
同様に、アルミニウム基材上のシリコンダイを剥ぎ取ってTIMのダイシェア強度を得た。同様な試料を500回の冷熱衝撃に付し、接着強さの変化を熱衝撃の関数として求めた。
【0076】
温度/湿度曝露では、上述の通りアルミニウム−TIM−シリコンサンドイッチ試料を熱及び接着測定用に集成した。熱測定用試料はグラファイトで被覆し、その熱抵抗を室温(25℃)及び85℃で測定した。次に、これらの試料を85℃、85%相対湿度に250時間暴露した。250時間の温度/湿度曝露後のTIMの熱抵抗を25℃及び85℃で測定し、熱抵抗の変化を求めた。
【0077】
以下の表6に、TIMサンドイッチで実施した2つの信頼性試験の条件の概略を示す。TIMの熱的性能と接着強さを信頼性試験の前後に測定した。これらの試験の結果を以下の表7に示す。表7にみられる通り、信頼性試験後接着力は増大し、熱的性能は幾分向上(例3)又は認知できる程の劣化を示さなかった(例1)。
【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

典型的な実施形態に関して本発明を例示し説明してきたが、いかなる意味でも本発明の思想から逸脱することなく様々な修正と置換をなすことができるので、本発明が本明細書に示した詳細に特に限定されない。従って、当業者には、本明細書に開示した本発明のさらなる修正と等価物が日常以上の実験をすることなく自明であり、かかる修正と等価物は全て特許請求の範囲に記載の本発明の思想と範囲内に入るものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の電気部品の概略図。
【図2】2枚のクーポン(金属−金属、金属−シリコン又はシリコン−シリコン)間に本発明の組成物を配置してなる試験試料の概略図。
【図3】本発明の組成物の接着強度の測定に使用したダイシェア装置の概略図。
【符号の説明】
【0081】
10 放熱ユニット
20 熱伝導組成物
30 発熱部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックスと最大粒径約25ミクロン未満の粒子からなるフィラーとのブレンドを含んでなる熱伝導組成物(20)。
【請求項2】
ポリマーマトリックスが、ポリジメチルシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、オルガノポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂、フルオロカーボン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、及びフッ素化ポリアリルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノールレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フルオロ樹脂、これらの組合せ並びにその他当業者に公知の任意のポリマー系からなる群から選択される硬化性ポリマー組成物からなる、請求項1記載の熱伝導組成物(20)。
【請求項3】
フィラーが、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、微粉状石英粉末、非晶質シリカ、カーボンブラック、グラファイト、ダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミニウム水和物、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素その他の金属窒化物、他の金属酸化物、銀、銅、アルミニウムその他の金属及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の熱伝導組成物(20)。
【請求項4】
約0.01〜約80mm−C/Wの範囲の現場熱抵抗を有する、請求項1記載の熱伝導組成物(20)。
【請求項5】
1分子当たり平均2個以上のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと1分子当たり2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含んでなる硬化性ポリマーマトリックスと、適当なヒドロシリル化触媒と、最大粒径25ミクロン未満の粒子からなるアルミナフィラーとのブレンドを含んでなる熱伝導組成物(20)。
【請求項6】
Si−Hとアルケニルのモル比が約0.5〜約5.0の範囲である、請求項5記載の熱伝導組成物(20)。
【請求項7】
発熱部品(30)をポリマーマトリックスと最大粒径約25ミクロン未満の粒子からなるフィラーとのブレンドを含んでなる熱伝導組成物(20)と接触させて配置し、
放熱ユニット(10)を熱伝導組成物(20)と接触させて配置する
ステップを含んでなる、熱伝達を向上させる方法。
【請求項8】
発熱部品(30)を熱伝導組成物(20)と接触させて配置するステップが、発熱部品(30)を硬化性ポリマーマトリックスと最大粒径25ミクロン未満の粒子からなるアルミナフィラーとのブレンドと接触させて配置することからなる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
発熱部品(30)を熱伝導組成物(20)と接触させて配置するステップが、熱伝導組成物(20)のボンドライン厚が約0.5〜約5ミルとなるように熱伝導組成物(20)に圧力をかけることを含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
発熱部品(30)と、
放熱ユニット(10)と、
発熱部品(30)と放熱ユニット(10)の間に位置し、ポリマーマトリックスと最大粒径約25ミクロン未満の粒子からなるフィラーとのブレンドを含んでなる熱伝導組成物(20)と
を備える電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−503506(P2007−503506A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524641(P2006−524641)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/021660
【国際公開番号】WO2005/023936
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】