説明

ボーリング孔利用の地下水モニタリング方法及びシステム

【課題】ボーリング孔内の各種深度において地下水の水圧や水質を効率的にモニタリングする方法及びシステムを提供する。
【解決手段】ボーリング孔内に中心管に沿って、末端フィルタ付きライザー管と、ライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられ且つ末端にセンサを取り付けたセンサ隔離先端部と、その先端部に結合された入口付き末端及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを含む1以上のセンサ装置を挿入し、中心管を介して各フィルタ外周とボーリング孔内壁との間に極微細粒のフィルタ充填材を充填する。各ライザー管内に加圧ガスを供給して管内地下水を回収線経由でパージした後、センサにより断続的にボーリング孔内のパラメータを検査すると共に、先端部を地下水回収線と共に断続的に移動してライザー管内に進入させた地下水サンプルを加圧ガスの供給により回収線経由でボーリング孔外に移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボーリング孔利用の地下水モニタリング方法及びシステムに関し、とくに地下空洞又はトンネルから近傍領域に延ばした各種地中ボーリング孔内の水理学的状況又は水質状況を監視(モニタリング)する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル建設時の作業員の保安及び建設後の構造物の保全・安全を図るため、これら地下構造物の周辺の飽和した破砕帯中の水理学的変化(高速であり得る変化)をモニタリングすることがしばしば要望され、法律や規則等で要求されることがある。また、これらの破砕帯中の水質のモニタリングが法律や規則等で要望又は要求されることがある。例えば液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)の備蓄、高レベル放射性廃棄物(例えば原子力発電所から出る使用済み燃料棒)の貯蔵、鉱山の立坑や坑道、輸送用のトンネル、ダム下方の暗渠水道管等の様々な目的のために地下空洞やトンネルが作られる。これらの地下空洞やトンネルは、空洞やトンネル内に周囲の流体の漏れを引き起こすような様々な圧力を受けており、諸種の圧力関連要因によって洪水を招く可能性があり、崩壊する可能性もある。
【0003】
例えば、海水下の約180m(600フィート)以深の水底表面堆積物が存在するような海洋底に複数の空洞やトンネルを構築するプロジェクトが現在進行している。このようなトンネルはLPG又はLNGの備蓄に使われ、そこを覆う海水の水圧によりガスを液化状態に保持している。例えば、LPG備蓄トンネルの各々に到達するため複数の大きな進入トンネルが構築され、進入トンネルから周囲の岩盤内にボーリング孔を様々な角度で穿孔し、備蓄トンネルからのLPGの潜在的洩れの合図となり得る水圧変化をモニタリングする。この変化は、進入トンネル周囲の岩盤の安定性に関する問題の潜在的合図でもあり、進入トンネルからの作業員退避の必要性の潜在的指示ともなる。また、備蓄トンネルからのLPG漏れをモニタリングするため、ボーリング孔モニタリングシステムの内部又は周囲に流れる岩盤中の地下水を断続的に化学分析(例えばガスクロマトグラフィ、質量分析法、光ファイバ化学センサ等)によって検査する。備蓄トンネルから洩れたLPGは圧力低下及び温度差により、おそらく短時間のうちに、周囲の地下水中で不混和液相から水溶液相へと物理的及び化学的に変化する。溶解したガスは、岩盤の亀裂及び透水性の堆積物を介して水理学的な移流及び拡散プロセスで移行し、海洋底に地中泉水として現れる。これらの漏れは周囲の海洋環境の水中生態系に劇的な影響を及ぼし得るものであり、喪失したLPGの補充コストが必要となるだけでなく、かなり大きなトンネル修理コストが必要となる。またLPG漏れは健康上及び安全上の重大なリスクを招く。例えば水溶液相のガスは、進入トンネルと交差する亀裂や各種地下水モニタリングシステム内の空隙を介して気化し得る。これらの空隙のポケットに十分な酸素が存在すると、電気的火花、溶接作業、又は煙草の燃えさし等によって爆発原因となる火花が起り得る。従って、トンネル環境内の全てのモニタリングシステムは本質安全防爆構造であることが極めて重要である。
【0004】
一般的に地下水をモニタリングする場合は、典型的に約180m(数100フィート)以上のボーリング孔を地中に穿孔し、周辺の水をボーリング孔内に滲出させる。水質をモニタリングする場合は、ボーリング孔内の所望深さに探査子を挿入し、地下水サンプル(試料)を採取してボーリング孔外へ移送する。ボーリング孔内の深さの異なる部位からの地下水サンプルの混合は避ける必要があり、混合を防止するために深度の異なる地下水サンプルを分離したまま移送する必要がある。しかし、深度の異なる地下水サンプルを分離したままボーリング孔外に移送する作業は難しく、時間を要し、費用がかかる。
【0005】
【非特許文献1】核燃料サイクル開発機構「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発−平成15年度報告−、3.4.2.1-4)地下水の地球化学に関する調査研究」2004年6月、pp.l3-93〜13.95、インターネット<http://www.jaea.go.jp/04/tisou/nenpou/houkoku15.html>
【非特許文献2】核燃料サイクル開発機構「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発−平成15年度報告−、3.4.2.2-1)ボーリング孔を用いたモニタリング技術開発」2004年6月、pp.l3-96〜13.98、インターネット<http://www.jaea.go.jp/04/tisou/nenpou/houkoku15.html>
【非特許文献3】坂井敬一他「BARCADシステムによる地下水汚染モニタリング」資源と素材、資源・素材学会、Vol.118、No.10,11、2002年、pp.73-74
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の地下水の水圧及び水質のモニタリングシステムは、水圧及び水質の検査機能に従って順次操作する。例えば深さレベルの異なる地下水をモニタリングする多重レベルモニタリングシステムにおいて、一時に地下水をサンプリングする(又は後述のようにパージする)ための単一のポートしか設けることができない場合がある。この場合は、一時には単一のポ−トによるサンプリング(又はパージ)しか行えない。この種のシステムのサンプリング装置は、ポートからポートへの切り換えを手動で行う。圧力測定値を記憶するときは、モニタリングシステムの進入管(access pipe)から地下水サンプリング装置を取り外し、次いで圧力測定用のモニタリング装置を進入管経由で取り付ける(サンプリングの際は逆の接続替え)。このサンプリングとモニタリングとの機能交換は、商用モニタリングシステムにおける典型的な操作である。従来のモニタリング技術における典型的な問題点は、沈殿物のために弁機構が動かなくなり又は詰りを生じやすく、追加的な保守・修繕費が必要となり、地下水のモニタリングに要する時間と費用が増大することにある。
【0007】
従来のモニタリングシステムの他の欠点は、各サンプリング操作前の古い水(滞留地下水)の除去率に関するものである。サンプリング操作(又はサンプリング事象)の前に、サンプル水が新鮮な地下水(fresh formation water)であることを確保するため、古い水の除去(パージ)を行うことが通常の習慣である。例えば、この種のシステムの一部は、サンプリング・ゾーン(又はモニタリング・ゾーン)を隔離するために膨張可能なストラドルパッカー対を使用する(非特許文献1及び2参照)。このパッカー対が、それぞれサンプリングポートの間の水理学的混合を防止する。しかし、パッカー対間に存在する地下水の容積は、古い水の除去(パージ)に用いるサンプリング装置の排水速度に比してかなり大きい。パッカー対間の直線距離が大きくなると問題が更に悪化する。パッカー対間の直線距離は、例えば特定の破砕帯の水理学的特性を他の破砕帯からの水理学的干渉なしに評価可能とするために、直線距離に亘って水のサンプルの平均を取るべき必要性の程度、又はパッカー対の仕切り範囲間における破砕帯の影響を捕捉すべき必要性の程度といった各種の要因によって定められる。
【0008】
商業的に利用可能なシステムで使われる従来のサンプリング装置の一例はバイアル容器(vial)を含み、他の例は複式平行管利用の小型ガス置換ポンプを含む。典型的に使われるバイアル形サンプリング装置は、例えば4ユニットのバイアル・チェーンとなるように相互にリンク結合された複数の250ミリリットル容器を用いる。しかし、パッカー対間の水量が多い(例えば60〜90リットルである)場合は、1個のストラドルパッカーの容積に対する古い水の1回の除去パージ操作ごとに進入管への出入往復動作が60〜90回にもなり得る。トンネルシステムのこの種のサンプリングポートの多くはボーリング孔外から深い位置にあり、パージ操作(過程)に時間のかかるバイアル出入操作の多数回反復を必要とするため、1つのポートのパージ操作に数時間から数週間の時間がかかる。複式平行管利用のガス置換ポンプを用いれば、バイアル法に比してサンプリング・ゾーンからの水除去速度の向上が図れる。その理由は、単一ポートに対するパージ及びサンプリング操作ごとに進入管へのポンプ下降が一回のみで足り、バイアル出入往復を伴う汲み出し操作が不要となるからである。しかし、ガス置換ポンプを下降させる典型的な地下水進入管は小径であり、ガス置換ポンプと複式平行管(ガス送入管及び地下水回収管)とを組み合わせる構成では管経を非常に小さくせざるを得ない。このため、これら平行管内の水量はストラドルパッカー装置(又は管状地中孔を取り巻く充填用砂)の内部の古い水の水量に比して非常に僅かであり、一回のポンプ汲み出し行程で除去できる水量は限られている。
【0009】
地下水のサンプリングのための弁機構に関して、従来技術に比して弁の設計が著しく融通性及び単純性に富む点において、本発明は大きな独自性を有する。従来の典型的な地下水サンプリング弁は、玉弁、ポペット弁、複動ピストン弁、電動羽根車若しくは伸縮型ブラダーと組み合わせた一方向逆止弁、サンプリングポート結合用の電子制御式管状機械腕により開閉する複雑な機械弁等を用いている。これらの機械的素子は、水中の堆積物が各種弁の封止機構及び機械部品内に浸入して詰りを生じやすい。一部の装置は一旦堆積が生じると清掃や修理が困難であり、故障した弁の清掃や修理のためモニタリング装置全体の取り外しが必要となる場合もある。
【0010】
従って、ボーリング孔内の各種深度において地下水の水圧(及び温度、酸化還元電位(Eh)/水素イオン濃度(pH)等)や地下水の化学的水質に関する各種パラメータをより効率的にモニタリングできる簡単なシステムの提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、従来の商業ベースの地下モニタリングシステムにおける装置設計上の低効率及び関連コスト増大の問題を解決するものである。本発明は、任意角度のボーリング孔内の地下水モニタリングシステムの設置及び操作に対する方法及び装置を提供するものであり、地下水のパージ用及び抽出用の二位置弁として機能すると共に圧力その他の光学的センサの隔離用ハウジング及び封止機構として機能する独特のOリング付き同軸型ガス置換ポンプをセンサ装置として用いる。以下、ハウジング及び封止機構を包括的にセンサ隔離先端部(Sensor Isolation Tip;SIT)という。光学的センサは、その直上のボーリング孔内又はその直上から地上に向けて立ち上げた進入管(例えば後述するライザー管)内の流体圧回復のポテンショメトリック平衡遅延時間による水理学的影響を受けずに、周囲の破砕帯の直下又は近傍の原位置における水圧(すなわち閉鎖系水圧)を直接測定する。
【0012】
本発明は、地中に設けたボーリング孔を、センサとセンサ下方のフィルタとセンサ上方のライザー管とを有するセンサ装置によってモニタリングする方法を提供する。その方法は、ボーリング孔内に少なくとも1つのセンサ装置を設置し、フィルタ周囲に極く微細な粒子(極微細粒)からなるフィルタ充填材を充填し、ライザー管を介してセンサをフィルタ内に挿入し、更にセンサの周囲及び下方のボーリング孔内又は周囲岩盤内の少なくとも1つのパラメータ(例えば水圧等)を断続的に検査することを含む。
【0013】
一面によれば、ボーリング孔を地中トンネルの底面にその底面から角度をもって延在するように設ける。
【0014】
また一面において、ボーリング孔内に複数のセンサ装置を異なる深さで配置する。
【0015】
他の一面において本発明のモニタリング方法は、センサ装置を介して地下水をボーリング孔外に移送することを含む。
【0016】
更なる一面によれば、極微細粒のフィルタ充填材を極微細砂とする。好ましい実施例では、センサ装置にライザー管の所定封止位置の内周壁に密着可能なセンサ隔離先端部を含め、そのセンタ隔離先端部の末端にセンサを取り付ける。フィルタに周囲岩盤からセンサ隔離先端部に接触するまで地下水を移行させる多孔性の管状スリーブを含め、その管状スリーブを極微細粒のフィルタ充填材で取り囲む。水圧の測定と共に地下水サンプルを採取する場合は、センサ隔離先端部を所定封止位置から僅かに引き離し、センサ隔離先端部の外側縁を介して地下水を地上へ向かうらいざー管内に移行させる。
【0017】
更に他の一面において、センサを、例えば水圧、Eh/pH、温度、溶存酸素、酸化還元電位、電気伝導度、抵抗率、又は有機又は無機成分の化学的水質を測定できる少なくとも1つの光ファイバーセンサ、又は任意形式の光ファイバ若しくは電気的センサとする。
【0018】
また本発明は、地中に設けたボーリング孔を複数のセンサ付きセンサ装置によってモニタリングする方法を提供する。その方法は、ボーリング孔内に複数のセンサ装置を異なる深さで配置し、各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離し、センサの各々によりボーリング孔内の少なくとも1つのパラメータを断続的に検査することを含む。
【0019】
一実施例として、各センサ装置に地下水回収線を含め、地下水回収線を介して地下水サンプルを断続的にボーリング孔外に移送するモニタリング方法を提供する。
【0020】
一面によれば、各センサ装置に、底部又は所定部位にセンサ隔離先端部(SIT)の受止部を設けたライザー管と、そのSIT受止部の直下に位置するポペット弁装置付きガス置換ポンプとを含め、センサ装置がライザー管の受止部から離れている時に地下水回収線を介して地下水サンプルを移送可能とする。
【0021】
他の一面によれば、各センサ装置に、地下水回収線を介して地下水サンプルを移送するブラダーポンプ装置を含め、又は複式ポペット弁装置及びガス供給線を含める。
【0022】
他の一面によれば、各センサ装置に、地下水回収線を介して地下水サンプルを移送するガス置換ポンプ装置を含める。
【0023】
更に他の一面によれば、各センサ装置を膨張可能なパッカーにより他のセンサ装置から隔離する。
【0024】
更に他の一面によれば、複数のセンサ装置を相互に、各センサを囲む極微細粒のフィルタ充填材層とそれらの間の実質上不透水性の充填材層とが交互に積層された交互層によって隔離する。
【0025】
更なる一面によれば、各センサ装置にフィルタを含め、その各フィルタを極微細粒のフィルタ充填材により取り囲む。
【0026】
更に本発明は、地中に設けたボーリング孔のモニタリングシステムを提供する。このシステムは、ボーリング孔外の制御システムと、ボーリング孔内に配置する少なくとも1つのセンサ装置とを含む。センサ装置は、末端にフィルタを有し所定部位に受止部を設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられたセンサ隔離先端部と、その隔離先端部の末端に取り付けられ且つボーリング孔外の制御システムに結合された取り外し可能なセンサと、その隔離先端部に結合され且つ1以上の末端入口及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを含む。モニタリングシステムの一実施例として、各センサ装置のフィルタ外周と隣接するボーリング孔内壁との間に充填する極微細粒のフィルタ充填材を含める。
【0027】
一面においてモニタリングシステムは、ボーリング孔内に差し込む中心管と、各センサ装置を中心管に沿って滑動自在に保持する少なくとも1つの中心割出し部材を含む。
【0028】
他の一面において、ライザー管の長さが異なる複数のセンサ装置、例えば2〜10個のセンサ装置を含む。
【0029】
他の一面によれば、各センサ装置のフィルタ周囲の極微細粒のフィルタ充填材を相互に隔離する実質上不透水性の充填材を含み、各フィルタのモニタリング・ゾーンを水理学的に隔離する。
【0030】
更に他の一面によれば、実質上不透水性の充填材層をベントナイト粘土製とする。
【0031】
更なる一面によれば、各センサ装置の地下水回収線をステンレス鋼管製とする。
【0032】
また本発明は、地中に設けたボーリング孔を複数のセンサ付きセンサ装置によってモニタリングするシステムを提供する。このシステムは、ボーリング孔内に異なる深さで配置する複数のセンサ付きセンサ装置と、各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離する隔離手段とを含む。好ましい実施例では、各センサ装置に、地下水をボーリング孔外に移送するための地下水回収線と、地下水回収線を介して地下水を移送する移送装置とを含める。一面によれば移送装置にブラダーポンプ装置又はガス置換ポンプ装置を含め、他の一面によれば移送装置に複式ポペット弁装置及びガス供給線を含める。一面によれば隔離手段を膨張可能なパッカーとし、他の一面によれば隔離手段を、センサの各々を囲む極微細粒のフィルタ充填材層とそれらの間の実質上不透水性の充填材層とが交互に積層された交互層とする。
【0033】
好ましい実施例では、各センサ装置に、末端にフィルタを有し所定部位に受止部を設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なセンサ隔離先端部とを含め、そのセンタ隔離先端部の末端にセンサを取り付ける。一面によれば、隔離先端部の上方のライザー管周壁にライザー管内外の連通用ポペット弁装置を設ける。他の一面によれば、連通用ポペット弁装置にポペット弁を収納する曲がり管部を含める。
【0034】
他の一面において本発明は、地中に設けたボーリング孔内に配置するハウジングと、そのハウジングの異なる部位に収容する複数のセンサ付きセンサ装置と、各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離する隔離手段と含む地下水モニタリングシステムを提供する。一面よれば、ハウジングを管とする。他の一面によれば、管の外周表面上に複数の突出部を設け、各センサ装置を何れかの突出部に収容する。更に他の一面によれば、各突出部の少なくとも一部分にフィルタとして機能する透水性区間を設ける。好ましい実施例では、各センサ装置に、地下水をボーリング孔外に移送するための地下水回収線と、地下水回収線を介して地下水を移送する移送装置とを含める。一面によれば、各突出部を膨張可能なパッカーで隔離することにより、ボーリング孔内の複数のセンサ装置を相互に隔離する。他の一面によれば、各突出部を極微細粒のフィルタ充填材層で囲み、それらの間に実質上不透水性の充填材層を設け、交互に積層された交互層によりボーリング孔内の複数のセンサ装置を相互に隔離する。
【0035】
更にまた本発明は、地中に設けたボーリング孔内に水圧又は水質のモニタリングシステムを設置する方法を提供する。その方法は、ボーリング孔内に差し込む中心管と、その中心管に沿ってボーリング孔内に挿入する1つ以上のセンサ装置とを用いる。各センサ管装置には、末端にフィルタを有し所定部位に受止部を設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられたセンサ隔離先端部と、その隔離先端部の末端に取り付けられ且つボーリング孔外の制御システムに結合されたセンサと、その隔離先端部に結合され且つ1以上の末端入口及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを含める。設置に際し、ボーリング孔内に中心管を差し込み、少なくとも1つのセンサ装置をボーリング孔内に中心管に沿って挿入し、中心管を介してセンサ装置のフィルタ外周と隣接するボーリング孔内壁との間に極微細粒のフィルタ充填材を充填する。好ましい実施例では、先ずフィルタ付きライザー管をボーリング孔内に中心管に沿って挿入し、次に中心管を介してフィルタ外周に極微細粒のフィルタ充填材を充填した後、隔離先端部を地下水回収線と共にライザー管内に挿入する。更に、ライザー管内に加圧ガスを供給して管内地下水を1以上の末端入口から地下水回収線を介してボーリング孔外に押し出し、センサをボーリング孔外の制御システムと交信可能に接続し、センサにより断続的にボーリング孔内のパラメータを検査する。
【0036】
好ましい実施例では、隔離先端部を地下水回収線と共に断続的に移動させてライザー管内にフィルタ経由で地下水サンプルを進入させ、そのライザー管内に加圧ガスを供給して地下水サンプルを地下水回収線経由でボーリング孔外に移送する。一面によれば、センサ装置のライザー管を中心管に沿って滑動自在な中心割出し部材により保持する。
【0037】
他の一面によれば、ボーリング孔内に長さが異なる複数のセンサ装置を中心管に沿って挿入し、中心管を介してフィルタの各々の周囲と隣接するボーリング孔内壁との間にそれぞれ極微細粒のフィルタ充填材を充填する。更に他の一面によれば、中心管を段階的に引き抜きながら極微細粒のフィルタ充填材と実質上不透水性の充填材とを交互に充填し、各フィルタ周囲の極微細粒のフィルタ充填材を実質上不透水性の充填材により相互に隔離する。
【0038】
更に他の面において、地下水回収線をスプールに巻き取り可能なステンレス鋼管製とし、ライザー管をボーリング孔内に中心管に沿って挿入したのち、隔離先端部と共にステンレス鋼管をスプールから巻き戻しつつ歪取り装置を介してボーリング孔内に挿入する。
【0039】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施例を参照する詳細な説明によって明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明は、地中ボーリング孔内の地下水をモニタリングするシステム及び方法を提供する。一般的には人工トンネル又は空洞に接する岩盤にボーリング孔11を穿ち、トンネル又は空洞内の潜在的問題に繋がり得る地中の潜在的変化を検知するため、ボーリング孔11内の進入管(ライザー管)14内に水圧センサ30を設置して地中の水圧変化を計測する。また、トンネル又は空洞内の貯蔵物に応じてガス漏れや放射能漏れ等の潜在的問題をモニタリングするため、ボーリング孔11から地下水サンプルを採取して水質を検査することもある。以下、明確化及び単純化のため、海水中約180m(600フィート)以上の深さの海底下方に形成又は構築したトンネル13の群を参照して本発明を説明する。これらのトンネル13はメタン、プロパン、ブタン等からなる液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)の備蓄に使われる。海水の水圧をガスの液化状態の維持に用いる。LPGトンネル(又はLNGトンネル)13の各々に到達できるような大きな進入トンネル12を構築し、そこから周囲岩盤に穿ったボーリング孔11の内部に地下水モニタリングシステム10を設置する。ボーリング孔11はトンネル13の周囲の空間を取り巻くように穿つことができる。
【0041】
また、以下の本発明の好ましい実施例の説明では、ボーリング孔11内から地下水サンプルを採取するような環境を参照する。ボーリング孔11内に滲出した地下水が透水性フィルタ21を通ってライザー管14内に入り、圧縮ガスの使用により地下水回収線23を介してパージされる。センサ30を使って管内の水位をモニタリングし、またボーリング孔11内の他のパラメータをもモニタリングする。センサ30はセンサ隔離先端部(SIT)40に収容し、SIT40をライザー管へ向かう地下水に対する栓又は塞ぎとしても作用させる。
【0042】
[モニタリングシステム]
図1はトンネル13とその近傍の進入トンネル12とを表す。トンネル13の隣接岩盤内の各種パラメータをモニタリングするため、進入トンネル12から外側へ延ばしたボーリング孔11内に地下水モニタリングシステム10を配置する。図示例の地下水モニタリングシステム10は、ガス置換ポンプ装置としても機能する複数の同軸型センサ装置17を有する。
【0043】
図2及び図3は同軸型センサ装置17を図式的に示す。センサ装置17を構成するライザー管14は、末端22に透水性フィルタ21が結合された本体20を含む。好ましくはライザー管14を、例えば外形OD=18mm、内径ID=15mmの埋込ネジ付き(flush threaded)のステンレス鋼製中空管とする。ライザー管14内に地下水回収線23を設ける。地下水回収線23の寸法は、例えば外形OD=6mm、内径ID=4mmとする。地下水回収線23は、好ましくは設置時に管歪取り装置で整形されたステンレス鋼管とし、末端に地下水取入口33付き接続管32を設ける。
【0044】
同軸型センサ装置17の各々は、センサ30とセンサケーブル31とを有する。好ましくはセンサ30として、光ファイバ変換器及び/又は他形式の光ファイバーセンサを用いる。好ましい実施例では、その変換器をカナダ国ケベック市のフィゾ・インストルメント社(Fiso Instrument, Ltd.)のFOP-M型又はFOP-C型等の光ファイバ圧力変換器とする。センサケーブル31の一例は光ファイバーケーブルである。センサ30は、地下水回収線23の接続管32に結合されたセンサ隔離先端部40に収容する。好ましくは、センサ隔離先端部40の本体外周を取り巻く3本のOリング34を、その先端部外周に形成した溝35内に設ける。図3及び図9から理解できるように、センサ隔離先端部40がライザー管14内の所定封止位置にある時に、3つのOリング34がライザー管14に形成されたSIT受止部41の内側表面と協働して封止部(密着部)を形成する。好ましくは、ライザー管14の本体20の所定部位にSIT受止部41を形成するための縮径部(テーパ部)20aを設ける。センサ隔離先端部40をSIT受止部41に封止することにより、センサ30がライザー管14の水位の影響を受けずに周囲岩盤の原位置における閉鎖系の水圧等を測定することが可能となる。図示例では、封止位置においてセンサ30が透水性フィルタ21と隣接しているが、ライザー管14上のSIT受止部41の封止位置はフィルタ21と隣接する末端近傍に限らず、ライザー管14の水位より低い適当な位置とすることができる。センサ隔離先端部40は地下水弁としての作用も有し、好ましくはステンレス鋼管製とする。センサ隔離先端部40と接続管32とは直結させる。
【0045】
図9の好ましい実施例では、センサケーブル31をセンサ隔離先端部40の裏側部に設けた貫通口42に挿通させる。好ましくはテフロン(登録商標)その他のフッ素樹脂製で直径約1mmのセンサケーブル・ジャケット43を設ける。センサケーブル31を光ファイバーケーブルとする実施例では、光ファイバの原繊維をジャケット43内に挿通し、そのセンサケーブル・ジャケット43を3個のOリング44と3個のデルリン・ワッシャ45とが交互に連なる列に貫通させる。センサ隔離先端部40の末端に中心孔46a付き留めネジ46を取り付け、センサケーブル31を留めネジ46の中心孔46aに差し込んで終端し、センサ30を留めネジ46の末端46bに配置する。
【0046】
センサ隔離先端部40の底部に留めネジ46をねじ込むことにより、センサケーブル31の外周と接するOリング44によってケーブル芯部の光ファイバの原繊維を損なうことなくセンサケーブル31を締め付けることができる。こうして中心孔46aの上方に気密で水密な封止が形成され、この封止によってセンサ30の頂端を留めネジ46の上方のライザー管14から隔離すると共に、他方で中央孔46aを介して留めネジ46の末端側底部においてセンサ30を地下水と接触させることができる。
【0047】
図10から最も良く理解できるように、透水性フィルタ21は例えば焼結セラミック、ポリエチレン、テフロン等からなる焼結微小孔質スリーブ21dを有する。またフィルタ21はカプラー21eと基部48aと基部48aからカプラー境界48bまで延びる内部中空支持棒47とを有し、その支持棒47の周囲にスリーブ21dを移動可能に設ける。この構成に代えて、スリーブ21dを恒久的にカプラー21e及び基部48aの一方又は双方に固定してもよい。
【0048】
透水性フィルタ21の内部中空支持棒47の頂部近傍に流入口49を穿ち、その流入口49を介してスリーブ21dの通過地下水を中空支持棒47内に流入させ、中空支持棒47を介してその流出口48cへ流す。フィルタ21は、図10で詳細に示されていないが、カプラー21eによってSIT受止部41(又はライザー管14)の末端22に結合している。好ましくは、カプラー21eにSIT受止部41(又はライザー管14)上のねじ(図示せず)と嵌合するネジ山21fを設け、フィルタ21とSIT受止部41(又はライザー管14)とをネジ結合する。更に好ましくは、内部中空支持棒47をカプラー21eの境界48bに恒久的に固定し、適宜嵌合するネジ構造によって基部48aと結合する。
【0049】
[設置方法]
本発明の設置方法では、先ず周囲岩盤内にボーリング孔11を延伸するための標準的な掘削手順を実施する。本発明の設置方法ではボーリング孔11を任意角度で掘削することができ、例えば水平面に対し90度の上下逆向き若しくは他の任意角度の逆むきとし、又は水平面に対し下向き若しくは同じ向きの任意角度とすることができる。本発明のモニタリングシステム10は、各種技術を用いてボーリング孔11内に単一レベル又は多重レベルの地下水モニタリングシステムとして設置することができる。多重レベルとする場合は、複数の同軸型センサ装置17をボーリング孔11内に配置する。必要に応じて、ボーリング孔11の内壁と接する何らかの保護管(protective piping or tubing)を設けることにより、ボーリング孔11の安定性向上を図ることができる。そのような保護管には、ボーリング孔11内に設けた地下水モニタリング域において地下水が保護管を通過してボーリング孔11内に滲出するように、スクリーン材料からなる間欠的セクションを含めることができる。
【0050】
図4から理解できるように、ライザー管14内に地下水回収線23を設置するための設置装置50は、ステンレス鋼管を巻き取るスプール51と、調節可能なピボット支えの鋼製旋回台53上に搭載した歪取り装置52とを含む。また、センサケーブル31を巻き取る第2スプール(センサケーブル・スプール)54を設ける。
【0051】
図5は、管の歪取り装置52の詳細図を示す。引張り部60は、ステンレス鋼管を巻き取るスプール51と反対側の歪取り装置52の端部に配置する。歪取り装置52は2つの歪取り部70a、70bを有する。第1の歪取り部70aは鉛直面上に配置され、移送路73は片側に3つのローラ71を有し、その反対側に4つのローラ72を有する。第2の歪取り部70bは水平面上に配置されており、同一のローラ構成、すなわち屈曲可能な移送路73の片側に3つのローラ71を有し、その反対側に4つのローラ72を有する。従ってステンレス鋼管は、歪取り装置のスプール51側から歪取り装置52へ進入し、2つの歪取り部70a、70bを通過し、更に引張り部60を通過する。
【0052】
図6は、メリーランド州東ニューマーケットのワイテルス・アルバート社(Witels Albert, Inc.)から入手できる型式番号RA7-7の歪取り装置52の引張り部60を示す。第1ローラ63aと第2ローラ63bとの間の間隔を調節するために調整ハンドル62が設けられている。歪取り装置52に進入したステンレス鋼管を、両ローラ63a、63b上の溝64によって案内する。第2ローラ63bの頂部に取り付けた大きな六角ナット65には、そのナットに嵌合する大型ボックスレンチと嵌合させる。そのボックスレンチのハンドルを手動で回すことにより、歪取り装置52に進入したステンレス鋼管を引っ張る。
【0053】
本発明の地下水モニタリングシステム10をボーリング孔11内に設置するため、ボーリング孔11内に中心管80を差し込むことができる。図7に示すように、フィルタ21付きライザー管14を中心割出し部材81と共に中心管80へ移動可能な態様で取り付ける。図7はボーリング孔11を一本の管として示す。好ましく、中心管80に沿って約1.5〜3.0m(5〜10フィート)毎に中心割出し部材81を配置する。各中心割出し部材81は、中心管80上に沿って滑動自在である。図7に示すように、中心割出し部材81の中心管80と嵌合する部分の(腹側の)断面形状を好ましくは半円形とし、必要に応じて真円形とする。留めネジ81aによってライザー管14を中心割出し部材81に固定し、中心割出し部材81を中心管80に沿って滑動させることによりライザー管14をボーリング孔11内に挿入する。図1から理解できるように、複数のライザー管14を相互に位置をずらしてボーリング孔11に挿入し終ると、それらのライザー管14がボーリング孔11の長さ方向の異なる位置、すなわち異なるモニタリング・ゾーンに配置される。要するに、中心管80をボーリング孔11に差し込み、中心割出し部材81を中心管80に沿って滑らせることによりライザー管14をボーリング孔11内に挿入する。
【0054】
設置方法の好ましい実施例によれば、ライザー管14内に地下水回収線23とセンサ隔離先端部40とセンサケーブル31とを設置する前に、好ましくは、60ホール/インチ(ホール径0.25mm)のワイヤメッシュ篩(米国材料協会基準(ASTM-11 standard)#60)を通過する極微細砂によって各フィルタ21を囲む。既に指摘したように、好ましくは各フィルタ21に焼結微小孔質スリーブ21dを設ける。
【0055】
単一型の地下水モニタリングシステムを形成する必要がある場合は、ボーリング孔11内にセンサ装置を1個だけ配置する。しかし本発明の地下水モニタリングシステム10がとくに有用であるのは、図1及び図4に示すように、ボーリング孔11内の異なる位置又は深さで終端させる多重の同軸型センサ装置17をボーリング孔11内に設け、ボーリング孔11内の異なるゾーンの地下水をモニタリングする場合である。すなわち、第1フィルタ21aをボーリング孔11の末端の第1地下水モニタリング・ゾーンに位置付け、例えば極微細砂である極微細粒フィルタ充填材82により囲む。この極微細粒充填材82は中心管80を介して送り込まれ、中心管80の末端開口からボーリング孔11内に放出されてフィルタ21aを囲むと共に、中心管80がボーリング孔外向きに徐々に引き抜かれるのに伴って放出されてフィルタ21aとボーリング孔11との間の空間に充填され、フィルタ21aを所要位置に確実に包み込む。次に中心管80をボーリング孔外向きに所定距離だけ引き抜き、実質上不透水性の充填材83を中心管80経由で送り込んで極微細粒充填材82の上方空間に充填し、第1地下水ゾーンから離して封止する第2地下水モニタリング・ゾーンの第2フィルタ21bの近傍部位、例えばその直下部位に到るまで不透水性充填材83の充填層を形成する。そののち中心管80を再度ボーリング孔外向きに更に引き抜き、極微細粒充填材82を中心管80経由で送り込んで第2フィルタ21bを囲み、第2フィルタ21bの周囲のボーリング孔11壁面との間に充填する。そののち中心管80を更にボーリング孔外向きに引き抜き、実質上不透水性の充填材83を送り込んで第3地下水モニタリング・ゾーンの第3フィルタ21cに到るまで充填する。この過程を、ボーリング孔11内の異なる位置のフィルタ21が全て極微細砂充填材82により囲まれ、且つ、実質上不透水性の充填材83によって相互に隔離されるまで反復する。現状ではボーリング孔11の典型的直径は約10.2〜30.5cm(4〜12インチ)であり、ボーリング孔11内に同軸型センサ装置17を10本まで収容することができる。好ましい実施例では、実質上不透水性の充填材83として、テキサス州ヒューストンのバロイド社(Baroid, Inc.)よりベンシール(benseal)として入手できるベントナイト粘土(必要なグラウトを含み得る)を用いる。
【0056】
多孔質フィルタ21とフィルタ充填材82との共同的混合物(フィルタ機構)は、センサ装置を微細シルト粒子の負荷(積み込み)から防ぎ、非流動性負荷成分のシルトサイズ又は砂粒サイズの粒子がライザー管14に進入することを防止する。フィルタ21及びフィルタ充填材82は、地下水中の流動性負荷成分の移動のみを許容する。この成分にはコロイド、粘土、自然発生的な有機炭素粒子と共に、地下水中の天然及び人工の溶解相又は非混和性の化学的成分が含まれる。極微細砂82の包膜で各フィルタ21を囲むことにより、フィルタ機構の本質的な直径はボーリング孔11の直径にまで拡大する。各フィルタ21の周りのフィルタを包む砂82の柱の長さは利用者が決定し、最終的には所要モニタリング・ゾーンの長さに依存する。他の重要な点は、フィルタ周囲の極微細砂の包膜は地下水の通過する空隙の表面積が大きく、焼結フィルタと比べた場合に、シルト粒子が積み込まれる表面積(負荷表面積)を相殺できる程度に表面積が著しく増大することである。すなわち、一定量のシルト粒子が与えられた場合に、焼結フィルタ上の負荷表面積の割合は、極微細砂の包膜上の負荷表面積に比して遥かに大きくなる。
【0057】
ボーリング孔11内に中心管80とライザー管14とを適正に配置し、ボーリング孔11内にフィルタ充填材82と実質上不透水性の充填材83の層とを送り込んだのち、センサ隔離先端部40をそれぞれ対応するライザー管14内に挿入する。このとき、センサ隔離先端部40が対応するライザー管14内の対応するSIT受止部41の内部で休止するまで、地下水回収線23をスプール51から歪取り装置52を介して送り出し、同時にセンサケーブル31をセンサケーブル・スプール54からライザー管14内に送り出す。ライザー管14の縮径部20a(図9)によりセンサ隔離先端部40のSIT受止部41への進入が促進され、その受止部41に対するOリング34の封止が促進される。
【0058】
好ましくは、従来の各種プラスチック管のボーリング孔内への挿入時に経験された正弦波状の跳ね返りや表面抗力を避けるため、地下水回収線23として(挿入方向の力を加えても撓みにくい)ステンレス鋼管を用いる。地下水のパージ用及びサンプリング用の地下水回収線23をそのような鋼管製とすることにより、鋼管の剛性と冶金学的弾性との組み合せによって、ボーリング孔外の調節可能な管歪取り装置52から末端の縮径部付きSIT受止部41まで約180m(数100フィート)にも及ぶような埋込ネジ付き小径ライザー管14内に、センサ隔離先端部40を容易に滑り込ませることが可能となる。図示例では、SIT受止部41の底部を、ボーリング孔11内の特定モニタリング・ゾーンから地下水を透過させるフィルタ21に結合している。ただし、SIT受止部41とフィルタ21とは離れていてもよい。
【0059】
要するに本発明の設置方法の好ましい実施例では、ボーリング孔11内のライザー管14の各地下水モニタリング・ゾーンとそれに対応する微孔性フィルタ21との恒久的な封止手段として、砂等のフィルタ充填材82とベントナイト等の不透水性充填材83と必要な場合はグラウト充填材等との適当な組み合せを用いる。単一レベル及び多重レベルの地下水モニタリングシステム10の何れに対しても、中央管80で例示される中心割出し用のモノレール・システムを用いることができる。先ず中央管80をボーリング孔11内に差し込む。中央管80は、内面及び外面に埋込ネジ付きの任意径のものとすることができる。中央管80は2つの目的を果たす。第1の機能は、好ましくは中央管80の直径に適合する腹側曲面付きの円筒形中心割出し部材81を用いて、単一レベル又は多重レベルの地下水モニタリングシステムをボーリング孔内に滑り込ませるためである。中心割出し部材81は、図1に示すように本発明システムをボーリング孔11内に挿入する際に、複数のフィルタ21付きライザー管14を実質上等しい所定相互間隔で纏めて保持する機能も果たす。第2の機能は、単一レベル又は多重レベルのモニタリングシステム10が一旦ボーリング孔11の底に到達したのち、中央管80を介してボーリング孔11の内壁とフィルタ21及びライザー管14との間の環状空間に充填材82、83を導入するためである。複数の微孔性フィルタ21の各々を囲んで包み込むために極微細砂(例えば米国材料協会基準#60の砂)を用い、乾燥砂を漏斗により中央管80へ注入して所要位置へ送り、その砂を漏斗に加える水で中央管80の底部へ洗い流す。ボーリング孔11の底部を充填しながら中央管80を中心割出し部材81の腹側曲面に沿ってゆっくりと引き抜き、次の充填材を導入するための空間を作る。第1の微孔性フィルタ21aが完全に砂で囲まれたときに、中央管80を介して先に設置済みの極微細砂の上方にベントナイトと砂との混合物を封止材(隔離材)として送り込む。この繰返しプロセスを、微孔性フィルタの全てが極微細砂の内部に埋め込まれ、且つ、砂で充填されたフィルタ・ゾーンの相互間及び上方の全てがベントナイトで封止されるまで反復する。このようにして砂で充填されたフィルタ・ゾーンの各々を相互に隔離し、ボーリング孔11内の地下水モニタリング・ゾーンの相互連通を防止する。
【0060】
フィルタ21の群を適正位置に封止したのち、先端にセンサ隔離先端部40を取り付けた地下水回収線23を、調節可能な旋回台53上に搭載され任意角度でステンレス鋼管を繰り出せる管歪取り装置52によってライザー管14の内部に送り込む。複数のセンサ隔離先端部40をそれぞれスプール51から引き出し、外周面のOリング34がSIT受止部41に到達するまで対応するライザー管14内に押し込み、更にセンサ隔離先端部40とSIT受止部41の内周壁との間にOリング34を押し込んで水密な封止を形成する。センサ隔離先端部40の挿入に伴い、センサ隔離先端部40に取り付けたセンサケーブル31とセンサ隔離先端部40に取り付けた剛性ステンレス鋼管製の地下水回収線23とが同時にライザー管14の内部に導入される。好ましくは図8に示すように、地下水回収線23とセンサケーブル31とを、ボーリング孔外において多重出口ポート付きW字型マニホールド(多岐管)89を介して送り出す。W字型マニホールド89の各脚部は圧縮型気密接続具93を有し、送り出す各線路をそれぞれ封止する。センサ線路の数が多い場合は、出口ポートの数を増やすことができる。
【0061】
図12は、中央管80を介してボーリング孔14内に充填材82、83を送り込む代わりに、膨張型ストラドルパッカー装置200を用いて地下水の各モニタリング・ゾーンを相互に隔離する設置方法の他の実施例を示す。本実施例では多重レベルのシステム全体(複数のライザー管14と複数のフィルタ21)を除去することができるのに対し、先の好ましい実施例ではライザー管14及びフィルタ21が環状充填材82、83によって所要位置に恒久的に封止される。同軸型のストラドルパッカー・システムは、(同軸型の環状充填材システムと同様に)設置角度案内用のモノレールとして中心管80を用いる。しかし本実施例では、環状充填材の案内用又は導入・分配用として中心管80を用いることを要しない。また本実施例のパッカー・アプローチも、先の好ましい実施例と同様の円筒形の中心割出し部材81を用い、同様のフィルタ21付きライザー管14を各地下水モニタリング・ゾーンに設けている。しかし本実施例では、複数のライザー管(又はチューブ)14を各パッカーのマンドレル(心軸)に挿通し、単一レベルの設置方法ではパッカーのマンドレルに挿通するライザー管14は1本のみであるが、多重レベルの設備方法では複数のマンドレルの各々に複数の多重のライザー管14を挿通する。各マンドレルに挿通するライザー管14の数は、ストラドルパッカー装置200の深さが増すごとに順次1つずつ減少する。例えば3つのモニタリング・ゾーンがある場合に、最浅(又はトップ)のストラドルパッカー装置200の上方パッカーに3本のライザー管14を挿通し、そのストラドルパッカー装置200の下方パッカーに2本のライザー管14を挿通すると共に中間のストラドルパッカー装置200の上方パッカーに2本のライザー管14を挿通し、同様にして、最深のストラドルパッカー装置200に1本のライザー管14を挿通する。各ストラドルパッカー装置200は、外部ガス源から付勢されて膨張することによりボーリング孔11の内壁面に緊密に係合し、地下水モニタリング・ゾーンの各々を他の地下水モニタリング・ゾーンから隔離する。ライザー管14を除去する際は、所要のストラドルパッカー装置200を収縮させる。
【0062】
[地下水のパージ及びサンプリング方法]
図8に示すように、全ての同軸型センサ装置17をボーリング孔11内に設置したのち、極微細粒充填材82及び実質上不透水性の充填材83からなる複数層をボーリング孔11内に送り込み、センサ隔離先端部40をSIT受止部41内に封止しながら挿入し、各ライザー管14の基端部(又は頂端部)を封止し、その基端部に接続線99経由で圧縮不活性ガス供給源(例えば窒素又はヘリウム等のガス供給源)95又は適切な場合は空気圧縮機を結合する。センサケーブル31は、センサ30からのデータを収集するコンピュータ又は制御システム94に結合する。地下水回収線23は、試験用の地下水サンプルを抽出する地下水収集容器97に接続する。
【0063】
設置作業時に周囲岩盤からボーリング孔11内に滲出した地下水98をライザー管14からパージするため、鋼管製ライザー管14内の水柱上方空間に圧縮不活性ガスを満たす。センサ隔離先端部40の外周面のOリング34によって、ライザー管14内の地下水のガス圧によるフィルタ21からの逆流は防止されている。従って、ガス圧によってライザー管14内の地下水が地下水回収線23の底部の地下水取入口33を通過するように押圧され、更に地下水回収線23を介して地下水収集容器97に押し出される。
【0064】
ボーリング孔外において地下水の検査が必要な場合は、地下水回収線23にボーリング孔外向きの力を加え、センサ隔離先端部40を地下水回収線23と共に引き戻してセンサ隔離先端部40をSIT受止部41から離脱させ、隔離先端部40の外周面のOリング34を受止部41の内壁面から離して封止を解除する。そのとき地下水は、フィルタ21及びスリーブ21dを介して内部中空支持棒47の流入口49に流入し、流出口48cを介してライザー管14内に流入する。所要量の地下水がライザー管14に入ったことをセンサ30で感知又は計測したのち、地下水回収線23にボーリング孔挿入向きの力を加えることにより、センサ隔離先端部40を地下水回収線23と共にSIT受止部41に押し戻し、外周面のOリング34を受止部41の内壁面と係合させる。これにより爾後の地下水のライザー管14内への流入を防止する。ライザー管14の基端部を圧縮型気密接続具93によって封止し、再びライザー管14内に圧縮ガスを供給し、その管14内の地下水を地下水回収線23の取入口33に押圧し、更に地下水回収線23を介してボーリング孔外の地下水収集容器97まで押し出す。
【0065】
図17に示した他の実施例は、センサ隔離先端部40の下方のフィルタ21内に配置したポペット弁装置200a付きガス置換ポンプを有する。このポペット弁装置200aは、内部中空支持棒47の内側流路の流入口49と流出口48cとの間に設ける。本実施例のセンサ隔離先端部40は、常時はライザー管14内のSIT受止部41の僅か上方位置にあり、ライザー管14の下方のボーリング孔及び周囲岩盤内の迅速な応答の測定が必要とされる場合にのみ、SIT受止部41と係合する封止位置に挿入されて閉鎖系の水圧等の測定を行う。他の場合にセンサ隔離先端部40はSIT受止部41の上方の非封止位置に中吊りされ、ライザー管14と下方のボーリング孔11(すなわち周囲岩盤環境)とが封止されずに水理学的又は水化学的に連通している。この構成の利点は、ガス置換パージ(又はサンプリング)のサイクル後に地下水回収線23に接続したセンサ隔離先端部40をSIT受止部41内の封止位置から引き離す必要がなく、その後も地下水がライザー管14内に進入できることにある。他方、任意のサイクルのパージ過程(サンプリング過程)においてライザー管14内の流体にガス圧が印加されている時は、ポペット弁装置200a内のポペット弁体201が弁装置200aの底面上のOリング202に座着する。従って、センサ隔離先端部40がSIT受止部41内で封止された時に既述のような閉塞点(封止点)を形成するのと同様に、封止されたポペット弁体201はライザー管14から焼結フィルタ21dの周囲のボーリング孔11に至る逆向き又は外向きの水流に対する閉塞点を形成する。ポペット弁体201が弁装置200aのOリング202に封止されている時に、ライザー管14内の圧縮ガスの気体圧又は液体圧によって、ライザー管14内の地下水を地下水回収線23の末端の取入口33に流入させ、最終的に地下水をサンプル瓶又はサンプル壷に収納する回収線23の基端出口(放出端)へ向かわせる。
【0066】
本発明の他の特徴は、地下水サンプルをボーリング孔外に移送する過程でサンプルからの溶解ガス(有機・無機共に)の損失がゼロないし最小となるように、同軸型ガス置換の圧力を制御できることにある。水質モニタリングの目的がボーリング孔11の周囲岩盤内の地下水を実質的変化なしにサンプルとして採取することにある点を考慮すると、この概念は非常に重要である。もしサンプルの移送及び収集の過程でサンプル圧力の低下が許されると、洩れのあるLPG又はLNGトンネルの副産物である溶存ガスがサンプルの周囲大気環境への暴露時に溶液から失われ(exolve)、全体的な溶存有機ガスの濃度が低下し、ボーリング孔の周囲岩盤内の水質を代表しなくなる。この問題を解決するため本発明は、地下水回収線23のステンレス鋼管経由で地下水をボーリング孔外に圧送する際にガス供給圧力を調整可能とする。同時に、溶存ガスの損失を除去又は最少化するため、地下水回収線23の放出端に供給圧力より僅かに低い値の背圧(back pressure)を加えることができる。
【0067】
地下水をボーリング孔外まで押し上げるに要するガス供給線の最小押し上げ圧力(MLP)は、ボーリング孔外からOリング弁までの直線距離(LD)を用いて、次の簡単な式(1)で与えられる。
MLP=[LD/2.31(PSI/Ft)]×1.1 …………………………………………(1)
【0068】
溶存ガス損失を最小ないしゼロとする条件下で地下水を(地下の特定深さ位置から)ボーリング孔外まで押し上げるに要するガス供給線の最小圧力(溶存ガス保存の条件下での最小押し上げ圧力MLPDG)は次式(2)で与えられる。式(2)においてnは最小押し上げ圧力MLP、x1はnをより大きくする所要圧力を表す。
MLPDG=n+x1 …………………………………………………………………(2)
【0069】
溶存ガスの損失を縮小又は最少化するために地下水回収線23の放出端末に背圧(BP)を加える場合は、次の不等式(3)が成り立つ。
MLPDG>BP≧MLP …………………………………………………………………(3)
【0070】
これらの関係式は、地下水サンプルの回収過程において溶存ガスの蒸気圧に有意の影響を与えるような温度上昇がないとの仮定に基づく。従って、好ましくは地下水収集容器97を特定サンプリング深度における地下水の原位置と等しい温度又はそれ以下の一定温度に保つ。これを達成するには、光ファイバ圧力センサ30のハウジング内に光ファイバ温度センサを設け、地下水収集容器97の温度をその光ファイバ温度センサの測定値と等しく又はそれ以下に調節する。
【0071】
このように、回収線23内に単位回収量の地下水を頂部と底部とから挟む圧縮ガスのサンドイッチを形成し、サンプル収集容器97を地下水の原位置の温度に維持する。供給圧力が背圧より僅かに高いという条件下で、回収線23を介して地下水を低速で回収する。回収線23の放出端を被加圧収集容器97の末端に直接接続する。被加圧収集容器97の一例は、容器の基端側及び末端側に切換弁を取り付けたものであり、これらの弁の閉鎖時に地下水サンプルを原位置の圧力及び温度で収納器に捕捉する。好ましくは、被加圧容器97を地下水サンプルの採取時の圧力よりも大きな有効耐圧を有するステンレス鋼製とする。ステンレス鋼製とする理由は、温度制御の容易性、及び室内での有機分子の崩壊に伴う紫外線放射の防止容易性のためである。この容器97は、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)の分析に供することができ、超臨界液体クロマトグラフィ(HPLC)の分析に供することさえできる。
【0072】
ここで、図11を参照して地下水サンプルの抽出のための同軸型センサ装置17の使用態様を簡単に説明する。図11Aに示すように、センサ隔離先端部40をライザー管14に挿し込んでSIT受止部41内に座着させ、既述のようにライザー管14の基端部を封止する。このとき、ライザー管14中の地下水98は地下水レベル98aにある。図11Bに示すように、圧縮不活性ガス96をステンレス鋼管製のライザー管14内に射出又は放出し、地下水を地下水回収線23の地下水取入口33に押圧し、地下水回収線23を介してボーリング孔外の地下水収集容器97に向けて押圧すると、地下水レベル98aは移動する。
【0073】
図11Cから理解できるように、ライザー管14から原位置の地下水を全て除去したのちも、センサ30で周囲岩盤中の水圧を長期間モニタリングするため、センサ隔離先端部40をSIT受止部41内に留める。地下水サンプルが必要とされる場合に、センサ隔離先端部40をSIT受止部41から離脱させてライザー管14の封止を解除することにより、地下水をフィルタ21のスリーブ21d経由で内部中空支持棒47内に流入させ、その流出口48cを通過して所要地下水レベル98bに達するまでライザー管14内に流れ込ませる。次いでライザー管14の再び封止し、既述のように地下水回収線23を介して地下水サンプルを移行させる。
【0074】
図13は本発明の他の実施例を示す。この実施例は、既述のセンサ装置17と同様のセンサ隔離先端部40を有するが、センサ隔離先端部40の上方のライザー管14の周壁にライザー管14の内外を連通するポペット弁装置100が結合されている。同図から理解できるように、ポペット弁装置100は上下逆転又は反転している。図13のセンサ装置17は、好ましくは平均ポア(pore)径60μmの外部フィルタ21を含む。センサ隔離先端部40は、好ましくは光ファイバ変換器(トランスデューサ)であるセンサ30を含み、好ましくは3個のOリング34と共に既述のセンサ装置17内に座着させる。好ましくは地下水回収線23をステンレス鋼製とし、センサ隔離先端部40と結合する。回収線23には複数の(地下水)取入口33を形成する。光ファイバ変換器30には光ファイバーケーブル31を結合する。ライザー管14の頂部にはガスポート・マニホールド101を設ける。好ましくは、ライザー管14を取り囲む中心割出し部材81を設け、フィルタ30を隔離するパッカー装置200を設け、それによりセンサ隔離先端部40をボーリング孔11の上方部から隔てる。
【0075】
既述のようにライザー管14が加圧されると、ポペット弁装置100のポペット弁体102が装置上半部のOリング103に座着するか又は押し付けられてポペット弁装置100が閉鎖される。その時、ライザー管14内の地下水は地下水回収線23の地下水取入口33に押圧され、管14内の地下水が全てボーリング孔外のサンプリング域に払い出されるまで回収線23を介して水塊としてボーリング孔外に送り出される。そののち、ボーリング孔外で空気圧が解除されて弁室内のポペット弁体102がOリング103から離れる。そののち、隔離された領域(ボーリング孔11内のパッカー装置200で隔離された領域)から更なる地下水がポペット弁装置100のスクリーン105を介して流入し、ポペット弁装置100の曲がり管部104とライザー管14に設けた通過孔とを介してライザー管14内に流入する。好ましくは、ポペット弁装置100の曲がり管部104とライザー管14とを外側溶接で結合する。
【0076】
更に、センサ隔離先端部40と反転ポペット弁装置100とをパッカー装置200の下方に配置したこの実施例では、非動作期間中にライザー管14を圧縮ガスの圧力下におき、センサ隔離先端部40とライザー管14の内部との間の相互連通を避けることができる。こうすることによって、反転ポペット弁を連続的に閉鎖位置に保ち、パッカー装置200の直下に位置するボーリング孔11内及び周囲岩盤の環境のみをセンサ30によって測定することが可能となる。地下水サンプルが必要な場合は、ライザー管14を圧縮ガスで加圧してライザー管14内の地下水をボーリング孔外に移送する。ライザー管14内の地下水が全て追い出され、残った圧縮ガスの圧力が解除されると、隔離されたゾーンから更なる地下水が反転ポペット弁装置100を介してライザー管14内に移行する。サンプルとして代表される新しい地下水をライザー管14内に移行させるため、古い水の除去に必要な回数だけパージ及びサンプリングのサイクルを反復する。地下水サンプルのパージ及び抽出の要求が満たされたのち、センサ隔離先端部40と反転ポペット弁100との間に相互連通の流路がなくなるように、次回のサンプルのパージ及び抽出の機会までシステムを加圧状態に留める。
【0077】
既述のようにセンサ隔離先端部40は、その外周面のOリングによってセンサ装置17内に封止される。従って、センサ装置17内にはポペット弁を必要としない。センサ隔離先端部40の表面負荷となってセンサ隔離先端部40の効力を喪失させる沈泥及び粘土サイズの粒子を、粒子直径60μmのフィルタ21によって防止する。センサ隔離先端部40は、パッカー装置200によってボーリング孔11の上方部地下水から隔離されると共に、センサ隔離先端部40のOリングによってライザー管14の内部地下水からも隔離される。
【0078】
図14は本発明システムの更に他の実施例を示す。本システムは、地中ボーリング孔内に深さ方向に配置するハウジング120を有する。好ましくはハウジング120を管状とする。管状ハウジング120の外周面に複数のセンサ装置122及び移送装置123のためのハウジング121aに適する複数の突出部121を設け、その移送装置123によりハウジング121aからボーリング孔外の地下水サンプリング域まで地下水サンプルを移送する。好ましくは突出部121を、ハウジング管120の外周全体に延在するように設け、溶接によってハウジング管120と結合する。代替的に、突出部121を管表面の内側に形成してもよい。突出部121と管状部との間に空隙を設けることより、以下に詳述するようなサンプリング室に適するハウジング121aとすることができる。
【0079】
好ましくは各センサ装置122にセンサ124を含め、更に好ましくはセンサ124を既述の光ファイバ変換器又は電気的変換器とする。センサ装置122は、ハウジング管120の内側又は突出部121の内側に設置することができる。
【0080】
各突出部121を少なくとも部分的に透水性区間125とし、突出部121で画成されたサンプリング室内に地下水を流入させる。各サンプリング室に地下水回収線126を介して地下水を移送する移送装置123を設ける。図15は、当業界でブラダーポンプと呼ばれる移送装置123の一例を図式的に示したものである。ブラダーポンプは、ポペット弁132で制御する入口131付きチャンバー室130を含む。ポペット弁132は、入口131に座着するポペット弁体133と、入口131に対してポペット弁体133を封止するOリング134とを有する。そのチャンバー室130の内側に袋体(ブラダー)135を設け、その袋体135にガス供給線136を接続する。ガス供給線136は、チャンバー室130の表面側でガス源に結合される。使用時に、地下水がサンプリング室130内に入り、ポペット弁131の入口131を介して袋体135付きチャンバー室130に流入する。ボーリング孔外で地下水サンプルが必要となった場合に、ガス供給線136を介して袋体135にガスを供給して袋体135を膨張させる。この膨張が地下水に圧力を加えて、ポペット弁体133を入口131のOリング134に座着させてポペット弁132を閉塞する。袋体135の膨張時に、地下水回収線126が地下水の移行し得る唯一の場所となり、地下水サンプルがボーリング孔外の地下水サンプリング域に移行する。地下水サンプルを抽出したのち、袋体135はガス抜きにより収縮する。この収縮により、圧力の低下に応じてポペット弁体133がOリング134から離れ、地下水がポペット弁132の入口22を介してチャンバー室130内に進入する。
【0081】
図16は、移送装置123の他の実施例を図式的に示し、複式ポペット弁装置140、141及びガス供給線136を用いてハウジング121aから地下水サンプルを移送する。本実施例では、ガス供給線136の一端に第1ポペット弁140を設け、地下水回収線142に沿って第2ポペット弁141を設けている。サンプリング室内に滲出した地下水は、第1ポペット弁140をガス供給線136の内側に押し上げつつ通過してチャンバー室130に流入する。サンプルが必要となった場合は、ガス供給線136にガス圧を印加して第1ポペット弁140を座着させる。これにより地下水サンプルが、第2ポペット弁141を介して地下水回収線126を上昇する。
【0082】
地下水サンプルを移送する移送装置123の第3実施例として、ガス置換ポンプとしても機能する既述のセンサ装置17を用いることができる。このセンサ装置17はサンプリング室内に配置され、ハウジング121a又はライザー管14内に地下水サンプルを浸入させるスクリーンを有する。地下水サンプルが必要となった場合は、ガス供給線136を介してセンサ装置17にガス圧を印加し、そのガス圧によって地下水サンプルを地下水回収線126経由でボーリング孔外の地下水サンプリング域に移行させる。センサ装置17には、既述のように地下水のサンプリングを制御するセンサ隔離先端部40を含めることができる。代替的に、センサ装置17の底部にポペット弁を設けてもよい。
【0083】
このサンプリング室を含む本発明の実施例は、地下水サンプルの諸抽出要素を管の主要部の僅か外側に配置するので、管の主要部又は中心部におけるケーブル類、ガス供給線、及び地下水回収線の自由な配設を可能とする。この配設はまた、より多くのセンサ装置122の配置を可能とし、ボーリング孔11内における全体システム10のより長くより深い設置を可能とする。
【0084】
各突出部121及びセンサ装置122は、既述の膨張可能なパッカー又は交互配置の充填材層の何れかによって、他の突出部121及びセンサ装置122から隔離することができる。
【0085】
本発明は、LPG又はLNGトンネル及びその付属昇降用トンネルの周囲岩盤内におけるボーリング孔利用の水圧モニタリングに用いることができる。また本発明は、LPG又はLNGトンネルからの漏洩検査におけるボーリング孔内の地下水サンプルの採取に用いることができる。当業者であれば、他の用途における岩盤内の水圧モニタリング及び地下水サンプリングに本発明が適用可能であることを理解できるであろう。
【0086】
本発明の地下水モニタリングシステムは、地下水の高品質なパージ用及びサンプリング用の二位置弁として機能すると共に光学的圧力センサ隔離用の外部封止機構として機能する独特のOリング装置付き同軸型センサ装置を用いる。好ましくは光ファイバ変換器からなるセンサを用い、ボーリング孔又はライザー管内の流体圧回復のポテンショメトリック平衡遅延時間による水理学的影響を受けずに、周囲の破砕帯の近傍の原位置における水圧を直接測定する。例えば、垂直埋設管中の地下水を抜いたのち底部の井戸スクリーン又はフィルタを介して地下水を再補給した場合に、井戸スクリーン外の水圧と埋設管内の水圧(又はポテンシャル)とが等しくなるまで埋設管内の水圧が(井戸スクリーンを介して)復元するには所要の復元時間が必要である。この復元時間はポテンショメトリック平衡遅延時間と呼ばれる。重要な点は(自然又は人工の)水圧変化からの水理学的回復の線型順序において、先ず井戸スクリーン周囲の水が応答し、続いて井戸スクリーン上方区域の管近傍の水が変化することである。仮に井戸スクリーン領域をパッカー又はOリング装置で封止することができ、封止した井戸スクリーン領域内に圧力測定器を設置することができれば、井戸のスクリーン領域上方の管内側の圧力測定値ではなく、スクリーン領域外側の水理学的変化のみを反映した圧力測測定値を直ちに得ることができる。この概念は、トンネル構築中の水理学的な高速変動のモニタリングにとって重要である。なぜなら、そのような高速変動は、隠れた水理学的爆発やトンネル構築ゾーン内での大量漏れ、完成した地下構造物内の構造的不安定等を示している可能性があるからである。
【0087】
本発明は、他のモニタリングシステムに関して既述した問題点を無駄なく合理化できる多くの特徴を提供する。その一例として本発明は、サンプリング及び水理学的データ収集のために、地下水サンプリング装置と水理学的モニタリング装置との交換を必要としない。装置全体が一体として地下水のライザー管内に同時に留まっており、ポンプ装置及びセンサ全体を同時に使用することができる。また、地下水戻し線とライザー管との同軸的配置により、パージすべき古い水を高速で排除することができ、ポンプ操作毎に大量の地下水を高速で排除することができる。
【0088】
より詳細には、複数の地下水モニタリング・ゾーンのフィルタ群の各々に導通して終端する複数のライザー管の内側に、地下水サンプリング装置と圧力センサ(又は任意の他の種類のセンサ)とを同時に存在させて動作させることができる。これは、本発明のモニタリングシステムの独特な設計によって達成される。必要な場合は、全てのモニタリング・ゾーンにおいて地下水のパージ及びサンプリングを同時に(並行して)行うことができ、それらと同時に各ライザー管内のセンサを機能させることもできる。更に、全てのセンサを相互に物理的に独立させて設置することができる。従って、何れかのセンサが故障又は機能不全に陥っても他のセンサの何れにも影響を与えない。この特徴は、複数の列状センサが電気的に相互接続された他の商業ベースの装置では実現できない。従来は1つのセンサの故障が、他の何れか又は全てのセンサに悪影響を与えるおそれがあった。
【0089】
本発明のモニタリングシステム設計の独自性は、他の技術で順次機能群(又は直列機能群)とされているものを並列機能群としたことにある。この独自設計の結果として本発明は、任意形式の複数の小型光学的センサを、それぞれ独立に又は地下水サンプリングと同時に機能する結合列として、全素子の同時操作が可能な態様で含めることができる。これらの光学的センサ(必要な場合には電気的センサ)には、例えば圧力、温度、溶存酸素、Eh/pH、酸化還元電位(ORP又はRedox)、導電率及び電気的低効率、及び各種の有機及び無機化合物のセンサ等が含まれる。ただし、これらの光学的センサに限定されるものではない。
【0090】
本発明で用いる光学的センサは、そのセンサとボーリング孔上方のデータ記録計との間の接続センサケーブルに対し、容易に取り外し可能という特徴がある。従って、システムの使用現場でセンサを極めて容易に交換でき、センサ全体とケーブル装置とを修理や再較正のために製造業者の工場まで届ける必要がない。従来技術で用いる電気センサはセンサケーブルに配線結合されており、修理や構成のためにセンサ及び配線の全体を製造業者の工場に届ける必要があった。
【0091】
本発明の他の特徴は、トンネル又は任意の産業設備の内部及び周壁に任意角度で本発明装置を設置させると共に作動させることができる点にある。本発明装置は、例えば水平又は上下逆転のボーリング孔内に設置し、又はトンネル若しくは任意の産業設備の内部若しくは周壁に対し正又は負の任意傾斜角度で設けたボーリング孔内に設置して作動させることができる。従来のモニタリング技術は設置角度に関して大きな制限があり、例えば垂直方向から一定の角度範囲内でなければ設置することできず作動させることができなかった。
【0092】
また本発明のシステムはその伸張方向に高い柔軟性があり、曲がったボーリング孔や地下配管の湾曲部等にも取り付けることができる。この特徴の故に、各種の地下モニタリングシステムの設置に対応するため完全でまっすぐなボーリング孔を掘削しなければならないという問題点(殆ど不可能な作業)を克服できる。
【0093】
本発明の好適実施例の更に他の特徴は、ボーリング孔環境内のシステム全体の本質安全防爆構造にある。地下水サンプリング用のポンプ機構の駆動には圧縮不活性ガスを用いる。水圧は光ファイバ圧力変換器によって測定し、圧力変動は光の往復時間を使って測定するが、これに比し、他のシステムでは孔用の電気的パルス及び振動電線センサを用いる。この特徴はLPG又はLNGトンネル、石炭ベッドのメタン溜まり(coal-bed methane reservoirs)、及び地下からのメタン放出や周囲岩盤からの水素ガス含有化合物放出等のモニタリングに関して安全上極めて重要である。更に、OリングとSIT受止部の壁面とにより形成される封止により、センサ隔離先端部とSIT受止部との間の水密な封止が得られる。この封止が、センサ隔離先端部の末端に取り付けた光ファイバーセンサを隔離する。光ファイバーセンサを隔離することにより初めて、ライザー管内部の地下水からの水理学的な圧力干渉なしに、ボーリング孔周囲の破砕帯内の水圧を直接モニタリングすることが可能となる。また、この光ファイバ変換器の隔離は、鋼製ライザー管内で生じるポテンショメトリック平衡遅延時間を除去し、周囲岩盤中の分単位で最新の圧力変化データを提供することを可能とする。水理学的データの高速測定はトンネル構築時の安全確保に必要であり、LPG又はLNGトンネルからのLPG、LNGの洩れに関するリアルタイムデータの提供をも可能とする。
【0094】
本発明の特定の実施例に関する以上の既述は、説明及び図示を目的としたものである。これらの記述は網羅的であることを意図せず、ここに記述した形式に本発明を限定することを意図せず、以上の教示から多くの改良や変形が可能であることは明らかである。実施例は本発明の原理の最適な説明を示し、且つ、それによって当業者が想定する特定の用途に本発明及び各実施例を各種修正と共に最適に使用できるように選択して記述した。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とその均等範囲とにより定義されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の地中ボーリング孔モニタリングシステムの一実施例の図式的説明図である。
【図2】本発明で用いる同軸型センサ装置の図式的説明図である。
【図3】本発明で用いる同軸型センサ装置におけるセンサ隔離先端部(SIT)がSIT受止部に座着する態様の図式的説明図である。
【図4】本発明による地中ボーリング孔モニタリングシステムを設置する装置の説明図である。
【図5】本発明による地中ボーリング孔モニタリングシステムの設置の際に用いる管歪取り装置の説明図である。
【図6】図5の管歪取り装置における引張り部の説明図である。
【図7】設置装置における中心管とライザー管との結合方法を示す斜視図である。
【図8】地下水のパージ(又はサンプリング)方法の図式的説明図である。
【図9】センサ隔離先端部(SIT)の拡大説明図である。
【図10】フィルタの拡大説明図である。
【図11】本発明方法における地下水パージ及び地下水サンプリングの諸過程の図式的説明図である。
【図12】膨張型パッカー装置を用いた本発明の地中ボーリング孔モニタリングシステムの実施例の図式的説明図である。
【図13】連通用ポペット弁装置を用いた本発明の地中ボーリング孔モニタリングシステムの実施例の図式的説明図である。
【図14】外周表面の突出部付きハウジングを用いた本発明の地中ボーリング孔モニタリングシステムの実施例の図式的説明図である。
【図15】本発明で用いるブラダーポンプ装置の図式的説明図である。
【図16】本発明で用いる複式ポペット弁装置の図式的説明図である。
【図17】ポペット弁装置付きガス置換ポンプを用いた本発明の地中ボーリング孔モニタリングシステムの実施例の図式的説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10…地下水モニタリングシステム 11…ボーリング孔
12…進入トンネル 13…LPG又はLNGトンネル
14…ライザー管 17…センサ装置
20…本体 20a…縮径部(テーパ部)
21…フィルタ 21b…第2フィルタ
21c…第3フィルタ 21d…焼結微小孔質スリーブ
21e…カプラー 21f…ネジ山
22…末端 23…地下水回収線
30…センサ 31…センサケーブル
32…接続管 33…地下水取入口
34…Oリング 35…溝
40…センサ隔離先端部(SIT) 41…SIT受止部
42…貫通口 43…センサケーブル・ジャケット
44…Oリング 45…デルリン・ワッシャ
46…留めネジ 46a…留めネジの中心
46b…留めネジの末端 47…内部中空支持棒
48a…基部 48b…境界
48c…流出口
49…流入口 50…設置装置
51…スプール 52…歪取り装置
53…旋回型台装置 54…センサケーブル・スプール
60…引張り部 62…調整ハンドル
63a…第1ローラ 63b…第2ローラ
64…溝 65…六角ナット
70a、70b…歪取り部 71、72…ローラ
73…移送路
80…中心管 81…中心割出し部材
81a…留めネジ 82…極微細粒フィルタ充填材
83…不透水性充填材 89…マニホールド(多岐管)
93…圧縮型気密接続具 94…制御システム(コンピュータ)
95…ガス供給源 96…不活性圧縮ガス
97…地下水収集容器 98…地下水
99…接続線 100…ポペット弁装置
101…ガスポート・マニホールド
102…ポペット弁体 103…Oリング
104…曲がり管部 105…スクリーン
120…ハウジング 121…突出部
121a…ハウジング 122…センサ装置
123…地下水移送装置 125…透水性区間
126…地下水回収線 130…チャンバー
131…入口 132…ポペット弁
133…ポペット弁体 134…Oリング
135…袋体 136…ガス圧線
140…第一ポペット弁 141…第二ポペット弁
142…地下水回収線
200…膨張型ストラドルパッカー装置 200a…ポペット弁装置
201…ポペット弁体 202…Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中ボーリング孔内にセンサ及びフィルタを含む少なくとも1つのセンサ装置を配置し、前記フィルタを極微細粒のフィルタ充填材で囲み、前記センサによりボーリング孔内のパラメータを断続的に検査してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項2】
請求項1のモニタリング方法において、前記極微細粒のフィルタ充填材を極微細砂としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項3】
請求項1又は2のモニタリング方法において、前記センサ装置を介して地下水をボーリング孔外に移送することを含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかのモニタリング方法において、前記センサを光ファイバ変換器としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項5】
請求項1から3の何れかのモニタリング方法において、前記センサを電気的変換器としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れかのモニタリング方法において、前記ボーリング孔を、地中トンネルの底面にその底面から角度をもって延在するように設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れかのモニタリング方法において、前記ボーリング孔内に複数のセンサ装置を異なる深さで配置し、前記フィルタの各々を極微細粒のフィルタ充填材で囲み、前記センサの各々によりボーリング孔内の水圧又は水質を断続的に検査してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項8】
地中ボーリング孔内に中心管を差し込み;
末端にフィルタを有し所定部位に受止部を設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられたセンサ隔離先端部と、その隔離先端部の末端に取り付けられボーリング孔外の制御システムに結合されたセンサと、その隔離先端部に結合され且つ末端入口及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを有する少なくとも1つのセンサ装置をボーリング孔内に中心管に沿って挿入し;
前記中心管を介してセンサ装置のフィルタ外周と隣接するボーリング孔内壁との間に極微細粒のフィルタ充填材を充填し;
前記ライザー管内に加圧ガスを供給して管内地下水を地下水回収線経由でボーリング孔外に押し出したのち;
前記センサにより断続的にボーリング孔内のパラメータを検査し;
前記隔離先端部を地下水回収線と共に断続的に移動させてライザー管内にフィルタ経由で地下水サンプルを進入させ且つそのライザー管内に加圧ガスを供給して地下水サンプルを地下水回収線経由でボーリング孔外に移送してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項9】
請求項8のモニタリング方法において、前記ライザー管を中心管に沿って滑動自在な中心割出し部材により保持してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項10】
請求項8又は9のモニタリング方法において、前記ボーリング孔内に長さが異なる複数のセンサ装置を中心管に沿って挿入し、前記中心管を介してフィルタの各々の周囲と隣接するボーリング孔内壁との間にそれぞれ極微細粒のフィルタ充填材を充填してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項11】
請求項10のモニタリング方法において、前記中心管を段階的に引き抜きながら極微細粒のフィルタ充填材と実質上不透水性の充填材とを中心管経由で交互に充填し、前記各フィルタ周囲の極微細粒のフィルタ充填材を実質上不透水性の充填材により相互に隔離してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項12】
地中ボーリング孔内に複数のセンサ付きセンサ装置を異なる深さで配置し、前記各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離し、前記センサの各々によりボーリング孔内のパラメータを断続的に検査してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項13】
請求項12のモニタリング方法において、前記各センサ装置に地下水回収線を含め、前記地下水回収線を介して地下水サンプルを断続的にボーリング孔外に移送してなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項14】
地中ボーリング孔内に異なる深さで配置する複数のセンサ付きセンサ装置、及び前記各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離する隔離手段を備えてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項15】
請求項14のモニタリングシステムにおいて、前記各センサ装置に、地下水をボーリング孔外に移送するための地下水回収線、及び地下水回収線を介して地下水を移送する移送装置を含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項16】
請求項15のモニタリングシステムにおいて、前記移送装置にブラダーポンプ装置を含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項17】
請求項15のモニタリングシステムにおいて、前記移送装置に複式ポペット弁装置及びガス供給線を含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項18】
請求項15のモニタリングシステムにおいて、前記移送装置にガス置換ポンプ装置を含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項19】
請求項14から18の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記隔離手段を膨張型パッカー装置としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項20】
請求項14から18の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記隔離手段を、極微細粒のフィルタ充填材層と実質上不透水性の充填材層とが交互に積層された交互層としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項21】
請求項20のモニタリングシステムにおいて、前記各センサ装置にフィルタを含め、前記各フィルタを極微細粒のフィルタ充填材層で囲んでなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項22】
請求項14から21の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記各センサ装置にフィルタを末端に有し受止部を所定部位に設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられたセンサ隔離先端部と、その隔離先端部に結合され且つ末端入口及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを含め、前記センサを隔離先端部の末端に取り付けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項23】
請求項22のモニタリングシステムにおいて、前記ボーリング孔内に差し込む中心管、及び前記各センサ装置のライザー管を中心管に沿って滑動自在に保持する中心割出し部材を設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項24】
請求項22又は23のモニタリングシステムにおいて、前記地下水回収線をステンレス鋼管製としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項25】
地中ボーリング孔内に配置するハウジング、前記ハウジング内に異なる深さで収容する複数のセンサ付きセンサ装置、及び前記各センサ装置をボーリング孔内の他のセンサ装置から隔離する隔離手段を備えてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項26】
請求項25のモニタリングシステムにおいて、前記ハウジングを管としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項27】
請求項26のモニタリングシステムにおいて、前記管の外周表面上に複数の突出部を設け、前記各センサ装置を何れかの突出部に収容してなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項28】
請求項27のモニタリングシステムにおいて、前記各突出部の少なくとも一部分にフィルタとして機能する透水性区間を設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項29】
請求項25から28の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記各センサ装置に、地下水をボーリング孔外に移送するための地下水回収線、及び地下水回収線を介して地下水を移送する移送装置を含めてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項30】
請求項25から29の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記隔離手段を膨張型パッカー装置としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項31】
請求項25から29の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記隔離手段を、極微細粒のフィルタ充填材層と実質上不透水性の充填材層とが交互に積層された交互層としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項32】
末端にフィルタを有し所定部位に受止部を設けたライザー管と、そのライザー管の受止部の内周壁に密着可能なOリングが外周面に沿って設けられたセンサ隔離先端部と、その隔離先端部の末端に取り付けられボーリング孔外の制御システムに結合されたセンサと、その隔離先端部に結合され且つ末端入口及びボーリング孔外の基端出口を有する地下水回収線とを有し且つ地中ボーリング孔内に配置される少なくとも1つのセンサ装置、並びに前記各センサ装置のフィルタ外周と隣接するボーリング孔内壁との間に充填する極微細粒のフィルタ充填材を備えてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項33】
請求項32のモニタリングシステムにおいて、前記極微細粒のフィルタ充填材を極微細砂としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項34】
請求項32又は33のモニタリングシステムにおいて、前記センサを光ファイバ変換器としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項35】
請求項32又は33のモニタリングシステムにおいて、前記センサを電気的変換器としてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項36】
請求項32から35の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記ボーリング孔を、地中トンネルの底面にその底面から角度をもって延在するように設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項37】
請求項32から36の何れかのモニタリングシステムにおいて、前記ボーリング孔内に差し込む中心管、及び前記センサ装置を中心管に沿って滑動自在に保持する少なくとも1つの中心割出し部材を設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリング方法。
【請求項38】
請求項37のモニタリングシステムにおいて、前記ライザー管の長さが異なる複数のセンサ装置を設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。
【請求項39】
請求項38のモニタリングシステムにおいて、前記各センサ装置のフィルタ周囲の極微細粒のフィルタ充填材を相互に隔離する実質上不透水性の充填材を設けてなるボーリング孔利用の地下水モニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−16587(P2007−16587A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182967(P2006−182967)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(506227666)ベスト・インク (1)
【Fターム(参考)】