説明

ボールバルブと配管器材並びにその製造方法

【課題】鋳造によってボデーを形成する場合に起こりうる様々な問題を解決できるボールバルブであり、本体内の部品を適正な位置に保持しながら組付けできることにより安定したトルクとシール性を発揮でき、簡単な組立て加工により高い引抜き阻止力を発揮しながら一体に組付けできるボールバルブを提供すること。
【解決手段】管状のバルブ本体10内にボール30を装着したボールバルブである。このボールバルブは、バルブ本体10の管端16より、外周に係止溝21を有するインサートリング20を嵌入する。また、バルブ本体10の円周方向には、係止溝21の対応位置に切り曲げ部15を形成する。この切り曲げ部15をバルブ本体10の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部15を係止溝21に落し込んでバルブ本体10とインサートリング20を固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷温水、空気、ガス等の配管に装着して流体の流れを開閉又は制御するボールバルブと配管器材並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のボールバルブは、本体や蓋部分の耐圧力を維持し、また、複雑な形状を有していることから、主に鋳造によって剛性を持たせつつ鋳物を形成し、これを切削加工してボデーを形成し、このボデーにボール等の内部部品を組付けた後に、ねじ込みやボルト締めなどによって一体に組み上げるのが通常であった。
【0003】
しかし、鋳造によってボデーを形成すると、湯の流動性によって巣の発生、湯流れ不良、砂噛みなどの鋳物欠陥が生じて歩留まりが悪化したり、また、鋳物の形状を確保するためにコーナーの角部の湯道を確保して肉厚を厚くすることが多くなり、バルブ全体の重量が増加する傾向にあった。
【0004】
また、特に、ボールバルブなどのクォーターターンバルブ類は、操作時のトルクを一定に確保しつつシール性を保持する必要があるが、鋳物によって形成したボールバルブは、高精度に加工したボール等の部品を任意の締め代により密着状態で組付けるようにしているため、各部品の寸法公差により組付け状態が異なる。
この場合、各部品の寸法公差が大きい傾向にあると、各部品が挟着された状態で組付けられて過大な応力が残留し、操作トルクが大きくなることがあった。これを防ぐため、操作時のトルクが大きくなるのを見越して予め剛性の高い材料を用いたり、各部品の形状を厚くしたり太くする対策を取ることがあった。
【0005】
一方、各部品の寸法公差が小さい傾向にあると、組付け時に各部品間のクリアランスが大きくなる。また、弁体や弁座の有する材料特性の相違や、外的要因により素材が熱収縮した場合に弁体と弁座の面圧力が低下する。これらにより、操作時のトルクとシール性が低下して内部流体が内外部に漏洩することがあった。
【0006】
また、個々の部品の寸法公差がばらつくと、各製品ごとにボールに対するシール部材の面圧力が異なって偏磨耗が生じたり、操作時のトルクが一定でなくなったりし、流体や使用環境での外的発生応力の発生も相俟ってバルブの消耗が激しく進んで、寿命が短くなることがあった。
【0007】
更に、上記のバルブは、性能や機能性を確保するために部品点数が多くなったり、高精度の部品を形成するために材料の費用が上がったり、各材料を切削加工したりする場合の加工費も高くなるため、莫大なコストがかかっていた。また、鋳物を切削加工によって形成しているため、予め切削用の加工代も必要になっていた。更には、加工・組付け・検査時などの各加工工数も増大していた。
【0008】
そこで、これらの問題点に対応するため、パイプを利用したプレス加工技術を用いたボールバルブが提案されている。
例えば、特許文献1における回転弁は、パイプ状のバルブケースの外周を、シートリテーナの外周に設けた複数の窪みに対応する位置で、ケースの内側に向けてかしめ加工(ダボ打ち)することにより、ケースの窪みをシートリテーナの窪みに係合させて、シートリテーナをバルブケースの内部に固定した回転弁である。
このバルブは、打抜き・叩き・曲げ・縮径・圧入・仮締めなどの塑性加工を施すことで、鋳造や鋳造加工後の切削時における加工技術に寄与することがなく、鋳造により形成した場合のバルブの上記問題を解消しようとしたものである。
【0009】
ところで、通常、この種のバルブのような配管器材は、両端側に外部配管との接合部を備えている。この接合部をパイプ状の薄肉形状とし、これを鋳造によりバルブ本体とのワンピース構造で一体成形すると、湯が厚肉のバルブ本体に集中してしまい、薄肉の接合部には鋳造欠陥が生じやすくなる。また、この接合部は、薄肉状であるため、バルブ本体に対して加工も困難になっている。特許文献1では、バルブ本体(シートリング)とバルブケースからなる2ピース構造において、塑性加工で一体化されるバルブケース側に接合部が設けられており、このような鋳物による一体成形の場合の問題が回避されている。
【0010】
さらに、上記のように塑性加工によりバルブを形成する場合には、接合部をバルブ本体やバルブケースと別に設けることがある。この場合、バルブは、バルブ本体、バルブケース、接合部になる接合用のパイプ(端管)からなる3ピース構造となる。このバルブにおいて、パイプをバルブ本体に接合する場合、バルブ本体の端面に溶接又はロウ付けする溶着・接着接合手段や、食込み、鍔出しによるユニオンねじ式などによるメカニカル接合手段がある。
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第2540394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のような回転弁は、図18に示すように、かしめ加工を行う際に、バルブケース1がシートリテーナ2の窪み3の縁部位に当接しながら変形しようとし、バルブケース1は、この縁部位から窪み3に沿って変形しようとする。このため、このバルブケース1には、垂直方向の圧縮力F以外にも、窪み3に係合しようとする方向に変形しようとするための斜め方向の引張力F、Fが加わっている。この力F、FをX軸とY軸方向の成分に分けると、求心方向の力であるF2y、F3yに加えて、配管の軸方向(以下、軸方向という)の力F2x、F3xに分解されるが、この力F2x、F3xは、素材の成分などにより均一化していないことから均等に力が加わらず、バルブケース1に対してシートリテーナ2が軸方向にずれることがあった。そのため、各部品の軸方向の寸法精度が規定の公差内であっても、かしめ加工時にこの公差が累積した状態で部品が組付けられて、操作時におけるトルクとシール性の確保が難しかった。
【0013】
また、このかしめ加工により生じた残留応力により、バルブケース1の変形部分が元の平面形状に戻ろうとする現象、いわゆる、スプリングバック現象が生じ、この現象によりバルブケース1の変形部分と窪み3との間に隙間が生じて、シートリテーナ2の位置がずれ、シール性が低下するおそれがあった。さらに、バルブケース1が、シートリテーナ2の窪み3の縁部位に発生する引張力F、Fにより長手方向に延ばされて肉厚が薄くなり、強度低下や外力による割れが生じるおそれがあった。
【0014】
また、上記のように、かしめ加工により変形したバルブケース1は、その窪み3の側壁に対応する部位が傾斜した形状になる。このため、図示しない配管などからこのバルブに引張り荷重が加わった場合には、バルブケース1の変形部分の傾斜が緩やかに変形して、スプリングバック現象の発生や引張力による薄肉変形や外部応力での強度不足による破損発生時と同様にバルブケース1に対してシートリテーナ2がずれ、シール性が低下するおそれがあった。更に、この引張り荷重が強いと、バルブケース1とシートリテーナ2の十分な引抜き阻止力が発揮できず、シートリテーナ2が脱落するおそれもあった。
更に、かしめ加工時には、バルブケース1のかしめ位置を、窪み3の形成位置に正確に合わせて加工を施す必要があり、このように高い精度により加工を行わなければならなかった。
【0015】
一方、バルブを特許文献1のように2ピース構造に設けると、接合部に対しても次のような問題が生じる。すなわち、2ピース構造のバルブは、バルブ本体に対してバルブケースを塑性加工により組み合わせているため管軸方向の寸法精度が悪くなる。これを防ぐためには、バルブとバルブケースを高精度に組合わせる必要があり、そのために部品点数が増えるという問題があった。また、このバルブは、加工工数が増えたり、組付け作業が複雑化したり、検査工程が増えたりするなどの工程及び作業性の問題もあった。
【0016】
更に、3ピース構造によってバルブの接合部を設ける場合、溶着・接着接合手段により加工を施すと、熱の影響によってボールシートや接合部位が変形したり破損することがあった。また、作業時には特別な接合技術を必要とするため作業が難しかった。
また、メカニカル接合手段によると、曲げ、圧縮、引張りなどの塑性加工によって接合部位に残留応力が発生したり、寸法精度が悪化したり、所定時間経過後に置き割れ現象が生じることがあった。さらに、このメカニカル接合手段は、2ピース構造の場合と同様に部品点数が増えるという問題もあった。
【0017】
本発明は、上記の実情に鑑みて鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、鋳造によってボデーを形成する場合に起こりうる様々な問題を解決できるボールバルブであり、本体内の部品を適正な位置に保持しながら高い寸法精度によって組付けして安定したトルクとシール性を発揮でき、簡単な組立て加工により高い引抜き阻止力を発揮しながら少ない部品点数で一体に組付けできるボールバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、管状のバルブ本体内にボールを装着したボールバルブであって、バルブ本体の管端より、外周に係止溝を有するインサートリングを嵌入し、バルブ本体の円周方向には、係止溝の対応位置に切り曲げ部を形成し、この切り曲げ部をバルブ本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部を係止溝に落し込んでバルブ本体とインサートリングとを固定したボールバルブである。
【0019】
請求項2に係る発明は、切り曲げ部は、バルブ本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成したボールバルブである。
【0020】
請求項3に係る発明は、インサートリングの外端側に配管接合部を一体に形成し、このインサートリングの先端にボールシートを装着する装着部を設けたボールバルブである。
【0021】
請求項4に係る発明は、インサートリングの配管接合部は、クイックファスナ接合用の環状段部、或は、めねじ又はおねじを形成したボールバルブである。
【0022】
請求項5に係る発明は、インサートリングの先端側外周にOリング装着用の外周溝を形成したボールバルブである。
【0023】
請求項6に係る発明は、バルブ本体の中央位置の座出部にステム挿入穴を形成し、このステム挿入穴にバーリング加工を施して、筒部とこの筒部の一部を突出させたストッパ片を形成し、一方、ステムに設けた鍔部に回転規制用の切欠溝を形成し、ストッパ片をこの切欠溝に係合してボールを回転規制したボールバルブである。
【0024】
請求項7に係る発明は、バルブ本体の端部側を軸方向に延伸し、この延伸部分に所定の径の絞り加工部を設けることにより配管接続部を形成したボールバルブである。
【0025】
請求項8に係る発明は、配管接合部は、かしめ継手、或は、接着用継手であるボールバルブである。
【0026】
請求項9に係る発明は、切り曲げ部を絞り加工部とバルブ本体の座出部に形成したステム挿入穴との間に設けたボールバルブである。
【0027】
請求項10に係る発明は、外部の配管と接続して流体を流すための配管器材であって、器材本体の端部側に外周に係止溝を有する接合部を設け、この接合部を外部接合用のパイプ材に嵌入し、このパイプ材の円周方向には、係止溝の対応位置に切り曲げ部を形成し、この切り曲げ部を器材本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部を係止溝に落し込んで器材本体とパイプ材とを固定した配管器材である。
【0028】
請求項11に係る発明は、器材本体は、ボールバルブ、管継手、或はストレーナ等の器具である配管器材である。
【0029】
請求項12に係る発明は、切り曲げ部は、器材本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した配管器材である。
【0030】
請求項13に係る発明は、管状のパイプを所定長さに切断してバルブ本体を形成し、このバルブ本体の略中央位置に形成した座出部にステム挿入穴を形成し、このステム挿入穴に挿入したステムの下端にボールを接合すると共に、バルブ本体の管端よりインサートリングを嵌入し、このバルブ本体の円周方向に形成した切り曲げ部をバルブ本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部をインサートリングの外周に形成した係止溝に落し込んで、バルブ本体とインサートリングを固定するようにしたボールバルブの製造方法である。
【0031】
請求項14に係る発明は、切り曲げ部は、バルブ本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成したボールバルブの製造方法である。
【0032】
請求項15に係る発明は、インサートリングの外端側の外周面に位置決め突条部を形成し、バルブ本体に前記インサートリングを嵌入したとき、位置決め突条部がバルブ本体の管端に係合してインサートリングの先端に装着したボールシートよりボールのボール面に適切な面圧が加わるようにしたボールバルブの製造方法である。
【0033】
請求項16に係る発明は、インサートリングの外端側に配管接合部を一体に設けたボールバルブの製造方法である。
【0034】
請求項17に係る発明は、インサートリングの先端側外周にOリング装着用の外周溝を形成したボールバルブの製造方法である。
【0035】
請求項18に係る発明は、流体を流すための配管器材における器材本体の端部側に接合部を形成し、この接合部を外部接合用のパイプ材に嵌入し、このパイプ材の円周方向に形成した切り曲げ部を器材本体の求心方向へ押圧して接合部の外周に形成した係止溝に落し込んで、器材本体とパイプ材とを固定するようにした配管器材の製造方法である。
【0036】
請求項19に係る発明は、切り曲げ部は、パイプ材の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した配管器材の製造方法である。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に係る発明によると、ボールバルブのボデーを鋳造によって形成する際に起こりうる、鋳物の欠陥品の発生や、全体の重量増加を防いで軽量でコンパクトに形成することができる。製品の組付け後には、切り曲げ部を係止溝に落とし込むことにより、バルブ本体とインサートリングがずれるのを防いで、各部品を適正な位置に組付けできることにより、操作時には安定したトルクとシール性を発揮でき、仮に、温度変化等の外的要因が作用した場合でも性能を一定に確保して内部流体が漏洩することを防ぐことができ、しかも、各製品の性能差を少なくでき、長寿命化を図ることができるボールバルブを提供できる。更に、各部品を高精度に形成する必要もなく、簡単な組立て加工により低コストで製作でき、加工工数も抑えながら高い引抜き阻止力を発揮させつつ一体に組付けることができるボールバルブである。
【0038】
請求項2に係る発明によると、切り曲げ部をボデーの軸方向に対して独立して変形させることができるため、この切り曲げ部を形成したときにインサートリングを軸方向に移動させることなくこのインサートリングとボデーを一体に固定することができるボールバルブを提供できる。また、スプリングバック現象が生じても、その作用は径方向のみに働くため、このインサートリングの位置を維持することができる。これにより、ボールとインサートリングの間に隙間が生じることなく、ボールとボールシートとのシール性を長期に渡って維持することができるボールバルブである。
更に、切り曲げ部をバルブ本体の円周方向に形成することにより、その側面によりボデーとインサートリングを係止し、この側面の係止面積も広く確保されるので、インサートリングが軸方向に移動するのを確実に防ぐことができる。
【0039】
請求項3に係る発明によると、インサートリングに配管接合部とボールシート装着部を設けていることで全体の形状を単純化でき、このインサートリングの配管接合部の構造を変えることにより、バルブ本体の形状を変更することなく各種の配管を接合することもできる。また、インサートリングを嵌入したときに、先端側のボールシートが適切な面圧によりボールに当接して安定したトルクとシール性を確保できるボールバルブを提供できる。
【0040】
請求項4に係る発明によると、クイックファスナを用いてワンタッチで他の配管等と接合でき、このクイックファスナ接合によって優れたパイプ脱管阻止力を発揮でき、また、取付け箇所などに応じて接合部位をおねじ又はめねじとすることもでき、様々な態様の管路に接合できるボールバルブを提供できる。
【0041】
請求項5に係る発明によると、インサートリングとボデーとの間の隙間を確実に塞いで優れたシール性を発揮し、内部流体が外部に漏れるのを防ぐことができるボールバルブを提供できる。
【0042】
請求項6に係る発明によると、ボデー内にストッパ機能を持たせることによってコンパクト化とコスト低減に寄与できると共に、このボデーとストッパ機能とを一体化して設けることで、開閉の精度が向上し、更に、バルブのハンドルを単純構造にでき、歩留まりがよく、量産性に極めて優れたボールバルブを提供できる。
【0043】
請求項7に係る発明によると、バルブ本体を鋳造で形成するときに生じる鋳物の欠陥や重量の増加を防いで全体のコンパクト化を図ることができ、バルブ本体とインサートリングのずれを防いで適正な位置に各部品を組付け、優れた機能性を発揮するボールバルブを提供できる。しかも、2ピース構造による組付けでありながら部品点数が増えたりすることなく簡単な加工によって管軸方向の寸法精度を極めて高くしながら形成することができるボールバルブである。
【0044】
請求項8に係る発明によると、配設位置に応じて適宜の接続構造に設けることができ、既存の接続用配管に対して正確な位置決め状態により接続することができるボールバルブである。
【0045】
請求項9に係る発明によると、絞り加工に伴ってバルブ本体が軸方向に伸びようとする現象を切り曲げ部により断つことができ、絞り加工によるステム挿入穴の形状・寸法に与える影響を最小限に抑えてバルブ本体内のボールの位置ずれを防ぎ、高いシール性を確保できるボールバルブである。また、配管接合部の面間寸法についても、高い精度で形成できるボールバルブである。
【0046】
請求項10に係る発明によると、器材本体とパイプ材との軸方向のずれを防いで寸法精度を維持しながら外部への接合部位を形成することができ、また、器材本体とパイプ材との軸心の高い同心度を維持しながら一体化できる配管器材である。これにより、パイプ材に軸方向や遠心方向の力が外部より加わったとしても、この力が器材本体に影響を及ぼすことがなく、その機能や性能を維持できる配管器材である。更に、切り曲げ加工により、パイプ材の切断面が器材本体の深溝状の係止溝側面に接する為、配管時の外的要因である熱・圧力・振動・応力等に対しても十分な強度を維持できる。また、パイプ材を器材本体と別体に設けていることでこのパイプ材の形成が容易であり、偏肉することなく所定の配管接続用の寸法を維持できる配管器材である。
【0047】
請求項11に係る発明によると、高い寸法精度を発揮できる接合部位を各種の目的の器具に設けることができる配管器材である。
【0048】
請求項12に係る発明によると、インサート部材と器材本体の軸方向の位置ずれを確実に防ぎながら一体化でき、高い精度を維持することができる配管器材である。
【0049】
請求項13に係る発明によると、切り曲げ部をボデーの求心方向に向けて垂直に切り曲げ加工できることから、軸方向の圧縮・引張・曲げやねじりの応力がかからず、配管軸の面間寸法の精度と、配管軸方向と弁軸方向の同心度の精度を高く確保することができる。その結果、部品の加工精度や仮組み時の精度により悪影響を受けることが少なく、組付け後には、安定したトルクとシール性を確保して、製品ごとにバラツキのない安定した製品を提供できるボールバルブの製造方法である。
また、簡単な加工により形成できるため、製造時の時間を大幅に短縮できると共に、量産に供することができ、その結果、製造コストを大幅に削減して極めて経済性に優れたボールバルブの製造方法を提供できる。
【0050】
請求項14に係る発明によると、切り曲げ部を容易に折り曲げ加工できることにより、かしめ加工に比較して小さい押圧力により加工することができ、量産に適したボールバルブの製造方法である。
【0051】
請求項15に係る発明によると、インサートリングを嵌入するだけで、このインサートリングの位置決め突条部とバルブ本体の管端が接触固定されることで、治具を介することなくインサートリングをバルブ本体の適切な位置に簡単に装着でき、適切なシート面圧をボールに加えることができ、トルクとシール性が均一な製品を提供できるボールバルブの製造方法である。
【0052】
請求項16に係る発明によると、バルブ本体の形状を変更することなく各種の態様の配管を接合することができるボールバルブの製造方法である。
【0053】
請求項17に係る発明によると、インサートリングとボデーとの間の隙間を確実に塞いで優れたシール性を発揮し、内部流体が外部に漏れるのを防ぐことができるボールバルブの製造方法である。
【0054】
請求項18に係る発明によると、切り曲げ部をインサート部材の求心方向に向けて垂直に切り曲げ加工できることから、軸方向の圧縮・引張・曲げやねじりの応力がかからず、配管軸の面間寸法の精度と同心度の精度を高く確保できる配管器材の製造方法である。その結果、部品の加工精度や仮組み時の精度による悪影響を受けることが少なく、組付け後には、安定した組付け状態を確保して製品ごとにバラツキのない安定した製品を提供できる配管器材の製造方法である。
また、簡単な加工により形成できるため、製造時の時間を大幅に短縮できると共に、量産に供することができ、その結果、製造コストを大幅に削減して極めて経済性に優れた配管器材の製造方法である。
【0055】
請求項19に係る発明によると、切り曲げ部を容易に折り曲げ加工できることにより、かしめ加工に比較して小さい押圧力により加工することができ、量産に適した配管器材の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下に、本発明におけるボールバルブとその製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1ないし図7においては、本発明のボールバルブの第1実施形態を示し、図8においては、その製造方法を示している。
【0057】
図中において、ボールバルブ本体10を構成する管材11は、ステンレス又は銅合金製等の金属製薄肉(非厚肉)タイプの継目なしパイプによって形成され、又は、鋼板をロール状に成形した後に溶接等の手段にて筒状に接合した継目のあるタイプの材料により形成される。管材11は、均一な肉厚によるパイプをベースに塑性加工され、軽量化が図られている。この管材11は、所定長さ、即ち、バルブ本体10を構成する長さに切断され、両端のバリ取りが行われて、管状のバルブ本体10が形成される。
バルブ本体10は、中央位置に絞り又はタタキ成形してフラット状の座出部13が形成され、この座出部13の内方域にステム挿入穴14が設けられる。
【0058】
バルブ本体10の円周方向には、一対の適宜長さの切り込み15bを入れて切り曲げ部15を形成しており、この切り曲げ部15は、バルブ本体10を構成する管材11の軸方向(以下、軸方向という)に対して独立して変形可能に設けている。本実施形態において、切り曲げ部15は、図2のように、円周上の4箇所に等間隔で放射状に形成しているが、この切り曲げ部15の形成数は適宜に変更できる。その場合、少なくとも2箇所以上、等間隔に形成するのが望ましい。この切り曲げ部15によると、塑性加工技術により加工できるため精度が向上し、また、機械的切削加工を少なくすることができる。
【0059】
インサートリング20は、略環形状に形成し、このインサートリング20をバルブ本体10の両側の管端より嵌入してボール30に対して左右から対称に組付け可能に設けている。インサートリング20は、例えば、ロストワックス鋳造等の精密鋳造や熱間または冷間による鍛造などによって図1のような形状に成形し、また、バルブ本体10への圧入により強い力が加わっても変形しないように十分な強度を有している。
【0060】
インサートリング20の外周には凹状の係止溝21を有しており、この係止溝21に対応する位置に、前記のバルブ本体10の切り曲げ部15を形成することにより、図2に示すように、この切り曲げ部15をバルブ本体10の求心方向へ押圧して、当該切り曲げ部15を係止溝21に落し込んでバルブ本体10とインサートリング20を固定できるようにしている。本実施形態においては、係止溝21を環状により形成しているが、この係止溝は、バルブ本体10の切り曲げ部15に対応する位置にのみ形成してもよい。なお、係止溝21を環状に形成した場合には、インサートリング20がバルブ本体10に対して回転可能にできることから、このインサートリング20を図示しない配管と共回りさせることもでき、これにより、配管からの回転力がバルブ本体10に及ぶのを防ぐことができる。
【0061】
インサートリング20の外端側には配管接合部28を一体に形成しており、また、このインサートリング20の先端には装着部29を設け、この装着部29にボールシート24を装着している。このボールシート24は、ボール30が回転したときに一定のトルクとシール性を確保できる材料により形成し、例えば、超精密樹脂成形により加工することにより、このボールシート24をボール30に当接させたときに、接合する配管に付着した切粉がボールシート24に付着した場合でもボール30を動作によるカジリ傷や、各部品の寸法精度のバラツキを原因とした組付け時の変形・ズレによる偏磨耗の発生などを防ぐことができる。
【0062】
配管接合部28は、図示しないクイックファスナ接合用の環状段部23を形成しており、この環状段部23を介してクイックファスナによって図示しない他の配管を接合できるように設けている。環状段部23の深さや幅は、接合用クイックファスナの仕様に応じて任意に変更することができる。また、インサートリング20は、クイックファスナ以外の適宜の接合形状に施すことができ、この接合部位は、バルブ本体10の長さを変えることなく形成できる。
【0063】
また、このインサートリング20の先端側外周にはOリング装着用の外周溝26を形成し、この外周溝26に、ゴムや樹脂製等のOリング27を装着する。このOリング27により、インサートリング20の外周面とバルブ本体10の内周面の間をシールし、ボールバルブ内の流体がボール30の収容部位から切り曲げ部15に流出するのを防止している。
【0064】
更に、インサートリング20の外端側の外周面には、位置決め突条部22を形成しており、バルブ本体10にインサートリング20を嵌入したとき、この位置決め突条部22がバルブ本体10の管端16に係合し、インサートリング20に装着したボールシート24よりボール30のボール面30aに適切な面圧が加わるようにしている。このため、突状部22は、軸方向に対して予め正確な位置に形成しておく必要がある。
【0065】
図1において、ボール30は、貫通孔31を有し、また、ステム17の取付位置に、弁全開時又は全閉時において、流路(軸方向)と平行になるようにステム嵌合面32を形成し、このステム嵌合面32にステム17の下端に形成した非円形の突設部17aを係合し、ボール30とステム17を非回転状態に接合している。ステム17の下部には鍔部17bを形成し、この鍔部17bは、ステム17が流体の圧力により外方へ飛び出すのを防止している。
【0066】
また、ボール30は、上記したボールシート24のカジリ傷や偏磨耗を防ぐために、真球度や偏芯度等の寸法精度を高く保つように成形するようにし、この場合、例えば、アモルファス金属を材料として、これを精密ダイカスト成形により加工すれば、後加工を必要とすることなく寸法精度を高くでき、また、軽量化を図ることができる。
【0067】
ハンドル18は、ステム17の上部に形成した平行二面部17cに、嵌合凹部18aを介して非回転状態で取付けられ、この嵌合凹部18aに形成した係合突部18bを平行二面部17cの側部に設けた係合凹部17dに着脱自在に係合している。ハンドル18を回転すると、ボール30を略90°の範囲内で手動回転できる。本実施形態においては、ハンドル18による手動回転としているが、図示しないアクチュエータ等によって自動回転させるようにしてもよい。
【0068】
図5においては、バルブ本体10内にハンドル18のストッパ機構40を示している。本例においては、ステム挿入穴14にバーリング加工を施して、短筒状の筒部41とこの筒部41の一部に一体に突出させたストッパ片42を形成している。一方、図6に示すように、ステム17の鍔部17bに回転規制用の切欠溝45を形成し、この切欠溝45にストッパ片42を係合してストッパ機構40を設けている。このストッパ機構40により、ボール30を略90°の角度で回転規制することができる。このとき、図1に示すように、ステム17の装着凹溝17eに装着したシールリング19を筒部41の内周面に接触させ、コンパクトな構造で密封シールできるようにしている。また、切欠溝45は、図6における鎖線を切欠いて2つ形成してもよく、この場合、2つの切欠溝に2つのストッパ片を係合させるようにして、ハンドル18の操作トルクによりストッパ機構40に加わる力を分散させて、ストッパ機構40が変形するのを防ぐことができる。
バーリング加工は、バルブの軸封部を一体の深絞りによって形成でき、溶接などの間接的固定をしないことから精度が出しやすく、軸封部分と軸方向の直角度や同心度を向上させやすいというメリットがある。
【0069】
次に、他の発明におけるボールバルブの製造方法の一例を図面に従って具体的に説明する。
図8において、同図(a)に示すように、管状のパイプ(管材)11を所定長さに切断してバルブ本体10を形成し、続いて、同図(b)に示すように、このバルブ本体10の略中央位置に絞り加工により座出部13を形成し、この座出部13に穴抜き加工を施してステム挿入穴14を形成する。次いで、このステム挿入穴14にバーリング加工を施し、筒部41とこの筒部41の一部を突出させたストッパ片42を形成する。
【0070】
次いで、同図(c)に示すように、ステム挿入穴14にステム17を挿入し、このステム17の突設部17aをボール30のステム嵌合面32に嵌合させてボール30を非回転自在に接合する。このとき、図6に示したステム17の鍔部17bに設けた回転規制用の切欠溝45にストッパ片42を係合させることにより、ボール30は、略90°の角度で回転規制しながら組付けられる。次いで、バルブ本体10の管端16よりインサートリング20、20を嵌入する。
【0071】
インサートリング20、20の嵌入時には、同図(d)に示すように、位置決め突条部22がバルブ本体10の管端16に係合して、このインサートリング20、20はバルブ本体10に対して正確な位置まで嵌入でき、ボールシート24によりボール面30aに加わるシール面圧を適切な状態に確保している。この状態で、同図(e)〜(g)に示すように、バルブ本体10の円周方向に形成した切り曲げ部15をバルブ本体10の求心方向に押圧して、当該切り曲げ部15をインサートリング20、20の外周に形成した係止溝21に落し込んで、バルブ本体10とインサートリング20、20を固定する。図8における斜視図(e)、(f)は、バルブ本体10を切り曲げ加工の前後のボデーの状態を示している。
【0072】
図4において、切り曲げ部15の幅Wは、パイプの肉厚Tと同等以上の寸法に設定するのがよく、この幅Wをある程度の寸法に形成することで、切り曲げ部15の係止溝21への係止後の耐力を確保可能に設けている。この幅Wは、広い方が引抜き阻止力を大きくできるが、バルブの面間寸法が広がりバルブが大型化してしまう点も考慮し、肉厚Tの2〜3倍に設定している。これにより、接合後の剛性を確保している。
【0073】
また、切り曲げ部15の深さGは、この切り曲げ部15の端面部15aが係止溝21の側面21aに当接する面積を増やすため、パイプの肉厚T以上に設定している。但し、過剰な押し込みは残留応力の上昇を招くため、パイプの肉厚Tの2倍を超えない値としている。
【0074】
次に、図7を用いて、切り曲げ部15の円周方向長さeと、非切り曲げ部10bの円周方向長さfとの関係について述べる。ここで、非切り曲げ部は、パイプ材からなるバルブ本体10自体であるが、切り曲げ部15との関係を説明する便宜上、符号10bを付して説明する。
【0075】
切り曲げ部15の円周方向長さeを長く設定すると、インサートリング20に形成した係止溝21との係合力が増すものの、相対的に非切り曲げ部10bの円周方向長さfが短くなり、バルブ本体10における配管軸方向の強度が低下する。また、切り曲げ部15をプレス加工する際、円周方向の加工長さが長くなるため、プレスに要する力を多く必要とすることに加え、加工後に切り曲げ部15に残留する応力も増加してしまう。
【0076】
これに対し、切り曲げ部15の円周方向長さeを短く設定すると、係止溝21との係合力が低下することから、切り曲げ部15の数を増加する必要があり、この場合、プレス加工を要する部位が増加することとなる。
【0077】
このように、切り曲げ部15の円周方向長さeと、非切り曲げ部10bの円周方向長さfは、「1.切り曲げ部15と係止溝21との係合力」と、「2.非切り曲げ部10bの強度」とのバランスの他、「切り曲げ部15のプレス加工の容易性」や「切り曲げ部15の残留応力」を考慮して設定する。
【0078】
本実施例においては、図2に示すように、切り曲げ部15の円周方向長さeと、非切り曲げ部10bの円周方向長さfとを、1:1の割合で45°毎に交互に配置しており、切り曲げ部15の円周方向長さeの総計は、円周の1/2である。
【0079】
なお、切り曲げ部15における残留応力の抑制を必要とする場合には、切り曲げ部15の円周方向長さeを非切り曲げ部10bの円周方向長さfに対してやや短いものとし、例えば、図7において、切り曲げ部15の底部15bの円周方向長さe1を、テーパ部15cの円周方向長さe2の3倍程度、或は、切り曲げ部15の円周方向長さeと非切り曲げ部10bの円周方向長さfとの比を0.75〜1:1の割合で設定する。
【0080】
また、切り曲げ部15は、配管軸方向に対して放射状に垂直方向に精密に切り曲げされるようにし、例えば、切り曲げ部15と係止溝21とのクリアランスが±0.02mm程度になるように加工する。これにより、配管軸の面間寸法の誤差は、±0.05mm程度に抑えられ、かつ、配管軸方向とステム17の駆動軸方向との同心度は、±0.1mm以下に抑えられる。その結果、ステム17操作時のトルク値は、部品加工毎の加工精度と組込みトルク値などの精度にも影響を受けることが少なく、安定した一定のトルク値が確保できる。このように、寸法精度と加工精度の組合わせを極力抑制できるため、適正な同心度を面圧が得られ、操作トルク値が軽減される。
【0081】
更に、切り曲げ部15は、図4に示すように、切り曲げ部位が断面弓なり状に形成され、この弓なり状の形状により切り曲げ部15が係止溝21の側壁側に広がろうとする力を発生させることができる。これにより、切り曲げ部15を係止溝21に落し込んだ後に切り曲げ部15はこの落し込みの状態を保持しようとして、バルブ本体10とインサートリング20の固定の強度を向上することができる。また、端面部15aと係止溝21の側面21aの間に隙間が発生するのが防がれ、バルブ本体10に対してインサートリング20を強固に位置保持することができる。また、端面部15aは、鋭い刃状に形成された状態で側面21aに当接するため、加工後には、切り曲げ部15の係止溝21への係止状態が保持される。
【0082】
ここで、断面弓なり状に形成される切り曲げ部位について詳述する。プレス加工により、切り曲げ部15を係止溝21に落とし込む際には、切り曲げ部15の端面部(側面)15aが、係止溝21の側面21aに当接しながら落とし込まれる。これにより、端面部15aには、側面21aとの摩擦抵抗が加わることから、端面部15aがやや遅れる状態で係止溝21に落とし込まれ、その結果、切り曲げ部15の断面は、図4のような弓なり状となる。この弓なり状の形状により、切り曲げ部15が係止溝21の側面21aに広がろうとする力を発生させ、切り曲げ部15の端面部15aと係止溝21の側面21aとの密着状態を保持することにより、位置ずれの無い固定を確実なものにしている。
【0083】
なお、図4において、プレスの刃を係止溝21の奥深くにまで過剰に押し込んでしまうと、切り曲げ部15の断面は弓なり状ではなくなり、単なる矩形状となってしまうことから、同図のように、切り曲げ部15と係止溝21の底部両側に隙間pが残る状態となるよう、プレス加工における刃の位置(最下点)を調整している。
【0084】
このとき、プレス工具の刃の幅Sは、切り曲げ部15の幅Wと略同じ寸法として切り曲げを行なうことにより、弓なり状の断面を得ている。ここで、幅Sが幅Wよりも小さく、隙間を生ずる状態で切り曲げを行なってしまうと、切り曲げ部の断面が末広がりの断面形状になるので注意する必要がある。
【0085】
切り曲げ部15は、ファインブランキング(精密打ち抜き)を応用した加工方法によって形成するのが望ましく、このファインブランキング(精密打ち抜き)の応用によって加工した場合、板厚の厚い金属をバリ無しで打ち抜き加工のみにより成形でき、一般のプレス金型に比較して高精度の部品を製作できる。
【0086】
切り曲げ部15は、バルブ本体に予め切り込み15bを設けた後にこれを押圧して曲げ加工する以外にも、バルブ本体10にインサートリング20を挿入した後に、一回のプレス工程により切り込みの形成と曲げ加工を同時に施して設けるようにしてもよく、何れの加工方法の場合にも、突条部22と管端16の係合により確実に位置決めした状態で切り曲げ部15を係止溝21に確実に落し込むことができる。
【0087】
次に、本発明のボールバルブの上記実施形態における作用を説明する。
本発明のボールバルブは、管材11を利用してバルブ本体10を形成しているので、鋳造による製作に比較して簡単に形成でき、また、このバルブ本体10を薄肉状に形成できることにより、材料の歩留まりを向上して軽量化することができる。
【0088】
バルブ本体10にインサートリング20を固定する際には、切り曲げ部15をバルブ本体10の軸方向に対して独立して曲げ変形させることができ、この切り曲げ部15を、求心方向に曲げて係止溝21に落し込んでいるので、切り曲げ部15以外の部位がバルブ本体10の軸方向に縮径することがない。これにより、切り曲げ部15の変形時にインサートリング20に対して、求心方向のみの力を加えることができる。
【0089】
よって、切り曲げ加工時にインサートリング20が軸方向に移動することがなく、バルブ本体10に対してインサートリング20を軸方向に位置決めした状態で固定することができる。これにより、インサートリング20の先端側に装着したボールシート24が軸方向にずれることがなく、ボール30に対してボールシート24を適切な面圧により保持して高いシール性を発揮でき、操作時には、このシール性とトルクを一定に維持した状態でボール30を回転自在に支受けすることができる。従って、ボールシート24の偏磨耗も防がれ、長期に渡って安定したトルクとシール性を確保して長寿命化を図ることができる。
【0090】
このとき、所定の溝深さの係止溝21に切り曲げ部15を落し込み、この切り曲げ部15は、図2に示すように上下左右に設け、それぞれインサートリング20を介して対向位置に配置されている。そして、各切り曲げ部15の平面部15bは、環状のインサートリング20における係止溝21の底面に当接している。
従って、インサートリング20は、管材からなるバルブ本体20、或は、接合短管用パイプ材に対して調芯状態に固定されることとなる。
【0091】
これにより、インサートリング20とバルブ本体1との間をシールするOリング26や、後述する図11に示すようなインサートリングと接合短管用パイプ材との間のOリングシールを周方向に均一に行なうことができる。
【0092】
このとき、所定の溝深さの係止溝21に切り曲げ部15を落し込んでいるため、バルブ本体10に対してインサートリング20をほぼ一定の位置に固定でき、更に、図2に示すように、切り曲げ部15の底部15aを、係止溝21の内周21bに当接させて調芯することにより、バルブ本体10とインサートリング20の同心度や同軸度等の精度を向上することもできる。
【0093】
また、切り曲げ部15は、前述のように、切り込み15bによりバルブ本体10の軸方向に対して独立して形成しているため、管材11との接続部位は、図2におけるC点(頂部)のみとなる。従って、かしめ加工に比較して小さい押圧力により加工することができることに加え、この切り曲げ部15とバルブ本体10との間に軸方向の残留応力が発生し難くなり、これにより、スプリングバック現象の発生を防ぎ、しかも、切り曲げ部15の端面部15aが係止溝21の側面21aに当接して、この端面部15aにより軸方向の力を受ける構成としているため、固定後のバルブ本体10とインサートリング20のずれを防ぎつつ優れた引抜き防止力を発揮できる。このとき、引抜き阻止力は、切り曲げ部15の個数でなく端面部15aの面積に関係しているため、この円周方向の端面部15aの必要断面積を確保して、端面部15aにかかる単位面積当たりの力をできるだけ少なくすることにより、一層向上させることができる。
【0094】
しかも、切り曲げ部15は、引抜き方向(インサートリング20の外端側の方向)と同様に、圧縮方向(インサートリング20の先端側の方向)にも強度を発揮するため、例えば、ボールバルブが高温又は低温の場所に設置されたり、ボールバルブ内を高温又は低温流体が流れる場合などに、温度変化によってバルブ本体10が膨張、或は、収縮した場合でも、破損を防いで流体漏れを確実に防止できる。
また、切り曲げ部15は、配管内の流体に接することが無いので、流体に起因する応力腐食割れ等の現象を生ずることがない。
【0095】
ここで、本発明のボールバルブの切り曲げ部による固定構造と一般的に利用されている固定構造とを比較するために、一般的な固定構造を説明する。
例えば、特開2002−364685号公報並びに特開2007−10108号公報には、いわゆる、「切片曲げ」と呼ばれる技術を利用した固定構造が開示されている。この切片曲げは、溝状部分に落とし込む部位を、本発明のようにその両端がそれぞれバルブ本体に連続した、いわゆる、両持ち梁状の切り曲げ部ではなく、図19(a)に示すように、端部を有する切片、いわゆる、片持ち梁状の切片4として固定する技術である。仮に、この技術を、本発明のような円周方向に適用した場合には、切片の側面と溝状部分との接触面積が不足し、また、インサートリング20に軸方向の力が加わる場合には、切片の端部が変形し、弓なり状の断面による効力を維持することができない。
【0096】
また、いわゆる、「ハーフピアス」と呼ばれる技術は、板の肉厚の半分をせん断し、溝状部分に落とし込むようにしたものであり、主に、仮固定に用いられている。この固定構造は、特許文献1(図18)の技術に相当する。この技術は、係止する部分がテーパ状になったり、曲げ加工後に元の状態に復元しようとするスプリングバック現象が生じて位置ずれを起こす可能性がある。
【0097】
一方、特開2003−247516号公報には、「切り曲げ」と称する技術を利用した固定構造が開示されている。この切り曲げ5は、図19(b)に示すように、切り曲げた部位の平面部6を接続部材に形成された溝7に係止して、板材の切断方向(同図のy方向)への移動を規制する技術である。一方、本発明においては、切り曲げ部の側面側を溝部に係止し、インサート部材がパイプ材であるバルブ本体の切断方向に直交する方向(同図のx方向)に移動することを規制する技術である。従って、この技術は、「切り曲げ」と称してはいるものの、その固定構造は本発明における「切り曲げ」とは全く異なり、本発明の切り曲げ部のように切り曲げ部の切断方向に対して直交方向の移動を阻止する機能を発揮することはできない。むろん、この切り曲げ5は、切り曲げ部の側面8が溝7に接触していないので、切り曲げ部分において弓なり状の断面を得ることもできない。
【0098】
図9においては、本発明のボールバルブの第2実施形態を示したものである。なお、以降の実施形態において、それより以前の実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
この実施形態におけるバルブ本体46は、インサートリング47の外周に管接合用のおねじ48を形成したものであり、このおねじ48に図示しない配管の雌ねじを螺合してこれらを一体に接合することができるようにしたものである。
【0099】
一方、図10においては、本発明のボールバルブの第3実施形態を示したものである。この実施形態のバルブ本体50は、インサートリング51の内周に管接合用のめねじ52を形成し、このめねじ52に図示しない配管の雄ねじを螺合して、これらを一体に接合可能に設けたものである。このように、インサートリングには、おねじ又はめねじの何れかを管接合用として設けることもでき、しかも、このおねじ又はめねじをインサートリングの何れか1方に設けるようにしてもよい。
【0100】
このように、本発明のボールバルブは、配管接合部を各種の態様に設けることができ、しかも、インサートリングの軸方向の長さを変えることにより、任意の長さの配管接合部を設けることができるため、ボデーの形状や寸法を変えることなく、あらゆるタイプの管路に対応したボールバルブを設けることができる。これにより、例えば、振動などの外部要因にも耐えうる強度の強い配管接合部を有するボールバルブを形成することもできる。
【0101】
バルブ本体46、50のインサートリング47、51には、前記実施形態と同様に、外周面に位置決め突条部49、53をそれぞれ形成しており、バルブ本体46、50にインサートリング47、51を嵌入した際には、この位置決め突条部49、53がバルブ本体46、51の管端16、16に係合して位置決めがなされる。切り曲げ部15、15を切り曲げ加工すると、インサートリング47、51をこの位置決め状態でバルブ本体46、50に固定でき、ボールシート24の装着位置を適切に保って安定したシール性とトルクを発揮することができる。
【0102】
図11、12においては、本発明のボールバルブの第4実施形態を示している。
この実施形態では、前述の第1実施形態のボールバルブに対して、バルブ本体60の端部側を軸方向に延伸し、この延伸部分に所定の径の絞り加工部62を設けることにより配管接続部63を形成したものである。図中において、管材64は、バルブ本体60と配管接合部63とを構成する長さに切断されて管状に形成され、さらに、配管接合部63の端部にはバリ取り加工が施されている。
【0103】
切り曲げ部65は、前記実施形態と同様にバルブ本体60の円周方向に一対の適宜長さの切り込みにより形成され、管材64の軸方向に対して独立して変形可能になっている。この切り曲げ部65は、絞り加工部62とバルブ本体60の座出部60aに形成したステム挿入穴60bとの間に設けるようにする。バルブ本体60を構成している管材64は、金属組織の方向性が軸方向にあり、絞り加工に伴って軸方向に伸びる傾向があるが、切り曲げ部65の加工の後に絞り加工を施すことで、切り曲げ部65により縁切りされてこの傾向が抑えられる。このように絞り加工に伴ってバルブ本体60が軸方向に伸びようとする現象を切り曲げ部65により断つことができ、座出部60a(ステム挿入穴60b)の形状・寸法を維持できる。
【0104】
一方、インサートリング61の外周には、凹状の係止溝66が形成され、この係止溝66に切り曲げ部65が落とし込まれることによりバルブ本体60とインサートリング61とが固定される。
【0105】
配管接合部63は、かしめ継手、或は接着用継手用の短管部であり、この配管接合部を介して図示しない外部の配管を直接接合できるようになっている。外部の配管の接合時には、配管接合部63を外部配管に挿入するか、又は、外部配管を配管接合部63に挿入した状態でかしめ加工を施して一体化するか、或は、配管接合部と外部の配管との間に図示しない接着剤を塗布して両者を接合するようにすればよい。
【0106】
ハンドル67は、ステム17への装着部位を中心として2つの操作部68、68を有し、各操作部68、68を操作することによりステム17を回動可能に設けている。これにより、このボールバルブを狭い場所に設置した場合でも何れかの操作部68を容易に操作でき、あらゆる場所にを設置できるようになる。
【0107】
ハンドル67は、ステム17上部の平行二面部17cに嵌合可能な嵌合穴部69を有しており、これらを互いに嵌合させることでステム17に対して非回転状態で取付け可能になっている。さらに、ハンドル67には、切り曲げ加工により突設片70が下向きに突設形成され、この突設片70は、ハンドル67を固定したときにバルブ本体60の各切り曲げ部65に対応する位置になっている。これにより、ハンドル67を開又は閉状態に操作したときに、突設片70が各切り曲げ部65の係止面65aに係止し、このハンドル67の回転が略90°に回転規制される。
【0108】
ボールバルブを組付ける際には、先ず、バルブ本体60にインサートリング61、61とステム17、グランドパッキン71を装着する。このとき、インサートリング61には凹部72が形成され、この凹部72にはOリング73を装着し、このOリング73により、ボールバルブ内の流体がバルブ本体60の端部側から切り曲げ部65に流出するのを防止している。
【0109】
次いで、切り曲げ部65を求心方向に押圧して当該切り曲げ部65をインサートリング61の係止溝66に落し込んでバルブ本体60とインサートリング61を固定する。
更に、バルブ本体60の左右に絞り加工(縮径加工)を施して絞り加工部62を設けることにより配管接合部63を形成する。絞り加工後には、バルブ本体60がインサートリング61に形成したテーパ部61aに沿うようにテーパ状に変形し、Oリング73を押圧してこの部位をシールする。そして、このテーパ部位を介してバルブ本体60の開口側に配管接合部63が設けられる。
【0110】
この構造により、本発明のボールバルブは、インサートリング61が軸方向に移動しようとすることを確実に防ぎながらこのインサートリング61とバルブ本体とを一体に固定している。また、スプリングバック現象が生じても、インサートリング61の位置を維持するようになっている。これにより、ボール30とボールシート24との間に隙間が生じることを防ぎ、長期に渡ってシール性が維持される。
【0111】
図13ないし図15においては、他の発明における配管器材の第1実施形態を示したものである。この配管器材は、外部の配管に接続されて流体を流すために用いられる。
器材本体80は、所定の形状に形成され、例えば、図におけるボールバルブや、又は、図示しない管継手やストレーナ等の器具を構成可能になっている。器材本体80は、バルブ本体となるボデー81にインサートリング82を嵌入し、ボデー81に形成した切り曲げ部83をボデー81の求心方向に押圧してインサートリング82の外周に形成された係止溝84に落し込んで、ボデー81とインサートリング82とを固定することにより形成したものである。更に、器材本体80は、端部側外周に係止溝86を有する接合部85を備えている。この接合部85は、図のようなボールバルブにおいてはインサートリング82に設けており、管継手或はストレーナにおいては、本体部品に直接設けている。
【0112】
一方、パイプ材87は、図示しない外部の配管に接続可能であり、器材本体80の接合部85が嵌入可能な内径になっている。また、このパイプ材87の円周方向には、切り曲げ部88が形成され、この切り曲げ部88は、接合部85に形成された係止溝86の位置に対応している。切り曲げ部88は、前記実施形態と同様に、パイプ材87の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れることにより形成される。
【0113】
配管器材の接合部位の製造時には、図16に示すように、器材本体80の接合部85をパイプ材87に嵌入し、パイプ材87の端部を、インサートリング82の位置決め突条部82aに当接して、軸方向位置を正確な状態にする。その後、切り曲げ部88を器材本体80の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部88を係止溝86に落し込むことにより、器材本体80とパイプ材87とが固定される。このように、端管部分(パイプ材87)と器材本体80とを別体に設けているので、インサートリング82とボデー81との切り曲げ固定部位にパイプ材87からの応力が伝播することが防がれる。
【0114】
これにより、パイプ材87に外部の配管を接合した後、このパイプ材87に配管からの曲げ応力が加わったとしてもボール30とボールシート24とのシール性が確保されてシート漏れが防がれる。また、ボデー81のステム17の軸封部位付近の変形を防いで軸シール漏れが生じることが防がれる。更に、パイプ材87を別体とすることでこのパイプ材87が外部応力により偏肉することが防がれる。
なお、切り曲げ部83の径>切り曲げ部88の径の関係により、切り曲げ部83の強度がより強くなっている。
また、このように器材本体80とパイプ材87とが別体構造であることから、面間寸法と駆動軸方向の同心度の精度を高くできる。
【0115】
更に、この実施形態においては、切り曲げ部88と係止溝86との固定によるインサートリング82とパイプ材87との接合によって発揮される簡易的構造の精密接合に加えて、バーリング加工によって精密突起状に形成した筒部41にステム17を軸着する軸封構造により、軽量でコンパクトかつ高品質なボールバルブを配管器材として形成できる。
【0116】
この製造方法においては、インサートリング82の切り曲げ部83による切り曲げ固定と、パイプ材87の切り曲げ部88による切り曲げ固定を同時に行うこともできる。この場合、インサートリング82をボデー81に挿入する際、パイプ材87もインサートリング82に装着しておくようにする。また、切り曲げ部83と切り曲げ部88の上下左右の位置は、切り曲げ部83と同等の切り曲げ部15の断面を示す図2と切り曲げ部88の断面を示す図15との対応で示すように、軸方向において同じ位置になるようにする。
【0117】
図17においては、他の発明における配管器材の第2実施形態を示したものである。この実施形態では、器材本体90に接合する外部接合用のパイプ材91の内径φxと、器材本体90内に装着されたボール92の口径(弁体内径)φyが略同じになるようにパイプ材91に絞り加工部93を設けたものである。これによると、ボールバルブをいわゆるフルボア構造に設けることができ、このフルボア構造のバルブは、全開時において圧損を極めて少なくできることでパイプライン用として利用したり、高粘性流体、スラリ等を扱うのに適している。
この実施形態の場合にも、前記と同様に切り曲げ部88と係止溝86によってインサートリング82にパイプ材87を接合しており、更に、この切り曲げ部と係止溝とによる配管接続構造は、上述した実施形態に限ることなく、各種の構造の配管に利用することができる。
【実施例】
【0118】
本発明のボールバルブの性能評価試験を実施した。試験に用いた供試品は、図1に示した第1実施形態のようなインサートリング20である、配管接合部にクイックファスナ接合用の環状段部を形成した構造のボールバルブと、図9に示した第2実施形態のようなインサートリング47である、配管接合部におねじ48を設けたボールバルブとした。
各ボールバルブは、他の発明におけるボールバルブの製造方法により製作した。このとき、インサートリングは、周方向においては、位置合わせはしないものとし、一方、軸方向においては、位置決め突条部22と管端16によって位置合わせを行った。
【0119】
続いて、各ボールバルブに対して行った性能評価試験について記す。
(1)耐圧・弁座シール性試験
第1実施形態(図1)の構造のボールバルブであり、バルブ呼び径1/2Bのバルブを供試品として使用した。
耐圧試験として、バルブ内部に水圧2.59MPaを負荷した状態で、60秒間維持した後に、バルブ外部への水漏れの有無を確認したところ、水漏れは確認されず、合格であった。
次に、弁座シール性試験として、弁閉状態としたバルブ内部において、1次側(図1における左側)から、空気圧0.59MPaを負荷した状態で10秒間維持した後に、2次側(図1における右側)における空気漏れの有無を確認したところ、空気漏れは確認されず、合格であった。
【0120】
(2)引抜き抵抗力の確認試験
第2実施形態(図9)の構造のボールバルブ(呼び径1/2B)を本発明の供試品とし、比較例として、図9の構造のボールバルブのかしめ部位を図11の形状に形成したボールバルブを使用した。
引抜き阻止力の試験方法としては、供試品、又は比較例の双方のインサートリングのおねじに、図示しないステンレス製配管(材質SUS304)を接続した上、それぞれの配管をアムスラー万能試験機の治具に固定し、供試品に引張荷重を加え、バルブ本体からインサートリングが脱落する時点の引張荷重の値を測定した。
【0121】
この試験結果として、比較例のボールバルブの引抜き荷重の値が12800Nであったのに対し、供試品のボールバルブは、引抜き荷重が22500Nであった。なお、SAS322(ステンレス協会規格:一般配管用ステンレス鋼管の管継手性能基準)の規格値は、継手呼び径13Su(13Suは、呼び径1/2Bに相当)における引抜き荷重が1020Nであり、本発明のボールバルブは、この規格値の約22倍の値を得ることができ、インサートリングが軸方向にずれる現象を確実に抑制できる構造であることが確認された。
【0122】
(3)残留応力値の確認試験
供試品、比較例のボールバルブとしては、(2)引抜き抵抗力の確認試験と同じボールバルブを使用した。
試験方法としては、島津製作所製のX線応力測定器を用い、供試品においては、図2のC点(切り曲げの頂部)、D点(切り曲げのテーパ部分の中央部)、E点(切り曲げの最下点の中央部)、一方、比較例においては、かしめ加工時における図2と略同一箇所付近のC´点(かしめの頂部)、D´点(かしめのテーパ部分の中央部)、E´点(かしめの最下点の中央部)の位置にてそれぞれ残留応力を測定した。この測定結果を表1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
表1の測定結果において、マイナスの値は圧縮応力であり、応力腐食割れのおそれのないことを示している。本発明のボールバルブは、D点、E点の測定位置において比較例のD´点、E´点よりも高い値を示したものの、ステンレス鋼SUS304の引張強度520MPaを下回る値であり、これにより、応力腐食割れに対する感受性は低いものと認められる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明のボールバルブの第1実施形態を示した部分断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のボールバルブの平面図である。
【図4】図1のB部を示した拡大図である。
【図5】図3のバーリング加工前の状態を示す平面図である。
【図6】ステムの底面図である。
【図7】切り曲げ部の形状を示す模式図である。
【図8】他の発明におけるボールバルブの製造方法について示した説明図である。
【図9】本発明のボールバルブの第2実施形態を示した部分断面図である。
【図10】本発明のボールバルブの第3実施形態を示した断面図である。
【図11】本発明のボールバルブの第4実施形態を示した断面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】他の発明における配管器材の第1実施形態を示した断面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】図13のC−C線断面図である。
【図16】配管器材の製造工程を示した説明図である。
【図17】他の発明における配管器材の第2実施形態を示した断面図である。
【図18】従来のボールバルブにおける固定構造の例を示した要部説明図である。
【図19】従来のボールバルブにおける固定構造の他例を示した要部説明図である。
【符号の説明】
【0126】
10 バルブ本体
11 パイプ(管材)
13 座出部
14 ステム挿入穴
15 切り曲げ部
15b 切り込み
16 管端
17 ステム
17b 鍔部
20 インサートリング
21 係止溝
22 位置決め突条部
23 環状段部
24 ボールシート
26 外周溝
27 Oリング
28 配管接合部
29 装着部
30 ボール
30a ボール面
41 筒部
42 ストッパ片
48 おねじ
45 切欠溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のバルブ本体内にボールを装着したボールバルブであって、前記バルブ本体の管端より、外周に係止溝を有するインサートリングを嵌入し、前記バルブ本体の円周方向には、前記係止溝の対応位置に切り曲げ部を形成し、この切り曲げ部をバルブ本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部を前記係止溝に落し込んで前記バルブ本体とインサートリングとを固定したことを特徴とするボールバルブ。
【請求項2】
前記切り曲げ部は、前記バルブ本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項3】
前記インサートリングの外端側に配管接合部を一体に形成し、このインサートリングの先端にボールシートを装着する装着部を設けた請求項1又は2に記載のボールバルブ。
【請求項4】
前記インサートリングの配管接合部は、クイックファスナ接合用の環状段部、或は、めねじ又はおねじを形成した請求項1乃至3の何れか1項に記載のボールバルブ。
【請求項5】
前記インサートリングの先端側外周にOリング装着用の外周溝を形成した請求項1又は2に記載のボールバルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体の中央位置の座出部にステム挿入穴を形成し、このステム挿入穴にバーリング加工を施して、筒部とこの筒部の一部を突出させたストッパ片を形成し、一方、ステムに設けた鍔部に回転規制用の切欠溝を形成し、前記ストッパ片をこの切欠溝に係合して前記ボールを回転規制した請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項7】
前記バルブ本体の端部側を軸方向に延伸し、この延伸部分に所定の径の絞り加工部を設けることにより配管接続部を形成した請求項1乃至3の何れか1項に記載のボールバルブ。
【請求項8】
前記配管接合部は、かしめ継手、或は、接着用継手である請求項7に記載のボールバルブ。
【請求項9】
前記切り曲げ部を、前記絞り加工部とバルブ本体の座出部に形成したステム挿入穴との間に設けた請求項7又は8に記載のボールバルブ。
【請求項10】
外部の配管と接続して流体を流すための配管器材であって、器材本体の端部側に外周に係止溝を有する接合部を設け、この接合部を外部接合用のパイプ材に嵌入し、このパイプ材の円周方向には、前記係止溝の対応位置に切り曲げ部を形成し、この切り曲げ部を器材本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部を前記係止溝に落し込んで前記器材本体とパイプ材とを固定したことを特徴とする配管器材。
【請求項11】
前記器材本体は、ボールバルブ、管継手、或はストレーナ等の器具である請求項10に記載の配管器材。
【請求項12】
前記切り曲げ部は、前記器材本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した請求項10又は11に記載の配管器材。
【請求項13】
管状のパイプを所定長さに切断してバルブ本体を形成し、このバルブ本体の略中央位置に形成した座出部にステム挿入穴を形成し、このステム挿入穴に挿入したステムの下端にボールを接合すると共に、前記バルブ本体の管端よりインサートリングを嵌入し、このバルブ本体の円周方向に形成した切り曲げ部をバルブ本体の求心方向へ押圧して当該切り曲げ部を前記インサートリングの外周に形成した係止溝に落し込んで、前記バルブ本体とインサートリングを固定するようにしたことを特徴とするボールバルブの製造方法。
【請求項14】
前記切り曲げ部は、前記バルブ本体の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した請求項13に記載のボールバルブの製造方法。
【請求項15】
前記インサートリングの外端側の外周面に位置決め突条部を形成し、前記バルブ本体に前記インサートリングを嵌入したとき、前記位置決め突条部が前記バルブ本体の管端に係合してインサートリングの先端に装着したボールシートより前記ボールのボール面に適切な面圧が加わるようにした請求項13に記載のボールバルブの製造方法。
【請求項16】
前記インサートリングの外端側に配管接合部を一体に設けた請求項13に記載のボールバルブの製造方法。
【請求項17】
前記インサートリングの先端側外周にOリング装着用の外周溝を形成した請求項13に記載のボールバルブの製造方法。
【請求項18】
流体を流すための配管器材における器材本体の端部側に接合部を形成し、この接合部を外部接合用のパイプ材に嵌入し、このパイプ材の円周方向に形成した切り曲げ部を前記器材本体の求心方向へ押圧して前記接合部の外周に形成した係止溝に落し込んで、前記器材本体とパイプ材とを固定するようにしたことを特徴とする配管器材の製造方法。
【請求項19】
前記切り曲げ部は、前記パイプ材の円周方向に一対の適宜長さの切り込みを入れて形成した請求項18に記載の配管器材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−74680(P2009−74680A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32804(P2008−32804)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(390002381)株式会社キッツ (223)
【Fターム(参考)】