説明

ポインティングデバイス

【課題】ポインティングデバイスが表面又は自由空間において作動しているかどうか検出及び決定することが可能な、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットを一体化したポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】本発明は、平面センシングユニット、慣性センシングユニット、及びコントローラユニットからなる。平面センシングユニットは、平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能である。慣性センシングユニットは、ポインティングデバイスが自由空間を移動している間にその移動を検出し、それに応じて慣性センシング信号を発生することが可能である。コントローラユニットは、平面センシング信号及び慣性センシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットに結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポインティングデバイスに関し、より具体的には、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットを一体化した汎用ポインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの急速な発展及び普及に伴い、コンピュータの利用を容易にするためのよりユーザフレンドリーなヒューマンマシンインターフェースの開発が益々注目されている。現在は、キーボードに加えて、コンピュータマウスやトラックボールといった多くの種類のポインティングデバイスがあり、コンピュータとコンタクトを取るための手段として採用されている。
【0003】
現在、市場に出ているコンピュータマウスには多くの種類があり、カーソル制御デバイスとしてコンピュータによって使用される最もポピュラーなヒューマンマシンインターフェースである。異なる検出手段に対し、マウスには3つの基本型があり、機械式マウス、LED光学式マウス、及びレーザマウスがある。しかしながら、前述のマウスは表面上での使用を余儀なくされ、つまり、それらのマウスは二次元移動を検出して規定することしかできず、三次元出力を生成可能なポインティングデバイスを所望する今日のビデオゲーム及びマルチメディアアプリケーションの要求はもはや満たすことができない。従って、大部分の製造業者は、二次元及び三次元検出能力を有するポインティングデバイスを開発することに調査の焦点を合わせている。
【0004】
そのような調査の一つに、「電子式ポインティング装置及び方法(“Electronic Pointing Apparatus and Method”)」と題する米国特許第5,825,350号に開示されたポインティングデバイスがある。上述のポインティング装置は、ポインティング装置が表面上を移動するように保持されているか自由空間を移動するように保持されているかを問わず、カーソル移動を制御してコンピュータ画面上での要素を選択することができ、そのポインティング装置には、2つのジャイロ素子が、自由空間でのポインティング装置のヨーイング及びピッチング移動を指示するために備えられ、マウスボール及び関連するマウスボールエンコーダーが、表面上でのポインティング装置の移動を指示するために備えられている。前述のポインティング装置は、ポインティング装置が表面上を移動するように保持されているか自由空間を移動するように保持されているかを問わず操作可能であるが、以下の欠点を有する。
【0005】
(1)そのようなポインティング装置の移動部分であるマウスボールは、埃によって汚れる又は影響を受ける可能性があり、ポインティング装置の感度に損害を与える。
(2)2つの高価なジャイロ素子の使用によってポインティング装置の製造コストの増加を引き起こす。
【0006】
その他の調査として、米国特許第4,839,838号明細書に開示された空間入力装置がある。前述の空間入力装置は、一組の直交軸に沿う並進及び一組の直交軸を中心とする回転に関する情報を提供するように構成された一連の同一平面状の単軸加速度計を含む。しかしながら、空間入力装置の移動に関連する角速度変化は、一連の加速度計によって検出され、差動動作によって決定するので、差動動作だけでなく検出の精度もあまり満足するものではなく、空間入力装置の感度には問題がある。
【0007】
従って、表面上を移動するように保持されているか自由空間を移動するように保持されているかを問わず、操作するのに正確で便利なポインティングデバイスを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、ポインティングデバイスが二次元検出モード又は三次元検出モードで作動することを選択的に可能にするため、ポインティングデバイスが表面又は自由空間において作動しているかどうか検出及び決定することが可能な、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットを一体化したポインティングデバイスを提供することである。
【0009】
本発明のその他の目的は、従来技術のポインティングデバイスよりも製造コストが比較的に低い、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットを一体化したデバイスである、ポインティングデバイスを提供することである。
【0010】
更に、本発明のその他の目的は、複数のジャイロ素子及び複数の加速度計から構成される慣性センシングユニットを有する汎用ポインティングデバイスを提供することであり、それによってユーザが表面又は空間によって制限されることなく自由にポインティングデバイスを利用でき、従って、ポインティングデバイスの使用上の利便性が高まるだけでなく、その用途も拡大する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニットと、ポインティングデバイスが自由空間を移動している間にその移動を検出し、それに応じて慣性センシング信号を発生することが可能な、慣性センシングユニットと、平面センシング信号及び慣性センシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットに結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイスを提供する。
【0012】
好適には、コントローラユニットは、インターフェースユニットに接続され、一方、インターフェースユニットは更に平面センシングユニット及び慣性センシングユニットに結合され、それによって受信した平面センシング信号及び慣性センシング信号をデジタル信号に変換するために使用され、デジタル信号はコントローラユニットによって処理され、従って変位信号が形成される。また、コントローラユニットは、ゲーム機、コンピュータ、マルチメディア装置及びその他のデジタル装置のような電子デバイスへ出力ユニットから変位信号を出力するために、更に出力ユニットに結合される。
【0013】
好適には、平面センシングユニットは、トラックボールエンコーダ及び光学センサからなる群から選択されるデバイスであり、それに相応して、平面センシング信号は、パルス信号及び光学信号からなる群から選択される信号である。
【0014】
更に、上記の目的を達成するために、本発明は、平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニットと、ポインティングデバイスの角速度を検出及び計測し、それに応じて第1のセンシング信号を発生することが可能な、ジャイロ素子と、空間の一組の直交軸の少なくとも一つの軸に沿って計測される加速度を検出及び計測し、それに応じて第2のセンシング信号を発生することが可能な、加速度センシング部と、平面センシング信号、第1のセンシング信号、及び第2のセンシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット、ジャイロ素子、及び加速度センシング部に結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイスを更に提供する。
【0015】
好適な様態では、加速度センシング部は、ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間において移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計と、ポインティングデバイスが空間において移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計、から構成される。更に、ポインティングデバイスは、コントローラユニットを制御して、ジャイロ素子の第1のセンシング信号及び第2の加速度計によって検出される傾斜信号からなる群から選択された信号を受信するために使用される、スイッチコントロールを更に備える。
【0016】
その他の好適な様態では、加速度センシング部は、ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間において移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計と、ポインティングデバイスが空間において移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間のポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計と、ポインティングデバイスがひっくり返った状態を検出するための、第3の加速度計と、を備える。
【0017】
好適には、平面センシングユニットは、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である。
【0018】
好適には、コントローラユニットはインターフェースユニットに接続され、一方、インターフェースユニットは、平面センシングユニット、ジャイロ素子、及び加速度センシング部に更に結合され、それによって受信した平面センシング信号及び第1及び第2のセンシング信号をデジタル信号に変換するために使用され、デジタル信号はコントローラユニットによって処理され、従って変位信号が形成される。また、コントローラユニットは、電子デバイスへ出力ユニットから変位信号を出力するために、更に出力ユニットに結合される。
【0019】
更に上記の目的を達成するため、本発明は、平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニットと、ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間において移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計と、ポインティングデバイスが空間において移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計と、ポインティングデバイスがひっくり返った状態を検出し、それに応じて第3のセンシング信号を発生させるための、第3の加速度計と、平面センシング信号及び第1、第2、及び第3のセンシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット及び第1、第2、及び第3の加速度計に結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイスを更に提供する。
【0020】
本発明のその他の様態及び利益は、本発明の原理を例として説明する、添付の図面と併せて、以下の詳細な記述から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の十分な機能及び構造的特徴を更に理解して認識できるように、詳細な記述とあわせていくつかの好適の実施形態を以下に示す。
【実施例】
【0022】
本発明のポインティングデバイスを描写するブロック図である図1を参照する。図1に見られるように、ポインティングデバイスは、平面センシングユニット10、慣性センシングユニット11、及びインターフェースユニット12、及びコントローラユニット13の協同的動作によって表面上又は空間を移動するように保持されている間に加速度の動きを感知及び計測することができ、そのポインティングデバイスにおいて、インターフェースユニット12は、平面センシングユニット10及び慣性センシングユニット11によって感知された信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をコントローラユニット13に送信するために使用され、コントローラユニット13は、デジタル信号を処理し、それに応じて変位信号を発生させるために使用され、コントローラユニット13に結合された出力ユニット14は、電子デバイスの画面に表示された文字又はカーソルを移動可能にするために、変位信号を電子デバイスに出力するために使用される。慣性センシングユニット11は、ポインティングデバイスの動きに関する慣性センシング信号を発生することが可能であるが、慣性センシング信号は加速度信号又は角速度信号であること、そして更に、電子デバイスは、ゲーム機、コンピュータ、又はマルチメディア装置、などであることに留意する。好適な様態では、平面センシングユニット10は、コントローラユニット13を二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である。
【0023】
本発明の第1の好適な実施形態に従うポインティングデバイスの概略図である図2を参照する。ポインティングデバイス2は、インターフェースユニット21、平面センシングユニット22、慣性センシングユニット23、及びコントローラユニット24からなる。インターフェースユニット21は、平面センシングユニット22及び慣性センシングユニット23に結合可能であると同時に回路基板20に配置される。平面センシングユニット22は、ポインティングデバイスが平面上を移動するように保持されている間にその移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生させるために使用される。好適な実施形態では、平面センシングユニット22は、トラックボールエンコーダ及び光学センサからなる群から選択されたデバイスであり、そしてそれに相応して、平面センシング信号は、パルス信号及び光学信号からなる群から選択された信号である。平面センシングユニット22は、あの従来技術のポインティングデバイスで使用される共通ユニットであり、従ってここで更なる記述はしないことに留意する。
【0024】
慣性センシングユニット23は、ポインティングデバイス2が自由空間を移動するように保持されている間にその移動を検出し、それに応じて慣性センシング信号を発生させるために使用される。この好適な実施形態では、慣性センシングユニット23は、ジャイロ素子230及び加速度計からなる加速度センシング部231で構成される。操作上、図3に見られるように、ダブルヘッドの矢印91で示すポインティングデバイス2のヨーイングは、ジャイロ素子230によって検出される、即ち、ポインティングデバイス2が一組の直交X、Y、及びZ軸によって規定される自由空間のZ軸を中心に回転するように保持されている時に、ジャイロ素子230によってポインティングデバイス2のヨーイング状態ωzが計測でき、ダブルヘッドの矢印90で示すピッチングとともに、ダブルヘッドの矢印93で示すポインティングデバイス2の平面的移動の加速度が、加速度センシング部231の加速度計によって検出される、即ち、Y軸に沿って計測されたポインティングデバイス2の加速度及びX軸に対するポインティングデバイス2の傾斜が計測できる。ポインティングデバイス2が、ダブルヘッドの矢印90で示すピッチングの時、加速度センシング部231の加速度計は、ポインティングデバイス2の傾斜状態を評価し、従って電子デバイスのディスプレイ上に表示されたカーソルの上下移動を制御するように、ポインティングデバイス2のピッチングに対する重力の挟角の変化を計測することが可能である。
【0025】
Z軸を中心に回転するように保持されている時に、ポインティングデバイス2のヨーイング状態ωzがジャイロ素子230によって計測される時、ジャイロ素子230はそれに相応して第1の回転信号を発生させ、ポインティングデバイス2のピッチング90が検出され、X軸に対するポインティングデバイス2の傾斜が加速度センシング部231の加速度計によって計測される時、加速度センシング部231の加速度計はそれに相応して第2の回転信号を発生させる。図2を参照すると、第1及び第2の回転信号がインターフェースユニット21によって受信されるとすぐに、インターフェースユニット21は、それに応じて対応するデジタル信号を発生させてそのデジタル信号をコントローラユニット24に送信するために、受信した信号を処理し、コントローラユニット24では、デジタル信号が処理されて変位信号に変換され、電子デバイスのディスプレイに表示されたカーソル又はオブジェクトの変位を制御するために、出力ユニット25によって電子デバイスへ出力される。好適な様態では、第1の回転信号は、ディスプレイに表示されたカーソル/オブジェクトの水平移動を制御するために使用され、一方、第2の回転信号は、カーソル/オブジェクトの上下移動を制御するために使用され、第1及び第2の回転信号を一体化しているデジタル信号がカーソル/オブジェクトを制御して電子デバイスのディスプレイの全体に渡って移動できるようにする。
【0026】
本発明の好適な実施形態においては光学センサである平面センシングユニット22は、ポインティングデバイス2が平面上又は自由空間を移動及び動作するように保持されているかどうか判断するために使用できる。平面センシングユニット22は、光学センサである時、動きを検出するために反射された光を使用しながら、その平面から反射された光を検出することができ、平面センシングユニット22は、光が反射され、それによって感知される時、ポジショニングデバイス2が平面状で作動していると判断し、そうでなければ、ポインティングデバイスが自由空間で保持されていると判断する。従って、平面センシングユニット22は、コントローラユニット24を二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である。
【0027】
本発明の好適な実施形態に従う加速度センシング部を示す図4Aを参照する。図4Aでは、加速度センシング部231は、第1の加速度計2310及び第2の加速度計2311を含み、第1の加速度計2310の働きは、前述の加速度計と同じであり、ここで更なる記述はしない。操作上、図4Bに見られるように、ダブルヘッドの矢印92で示すローリングとともに、ダブルヘッドの矢印94で示す、ポインティングデバイス2の平面的移動の加速度は、第2の加速度計2311によって検出される、即ち、X軸に沿って計測されるポインティングデバイス2の加速度及びY軸に対するポインティングデバイス2の傾斜が計測できる。従って、第2の加速度計2311は、ジャイロ素子230と同様に機能しており、第2の加速度計2311は、ポインティングデバイス2の傾斜状態を評価し、従って電子デバイスのディスプレイに表示されたカーソルの水平移動を制御するように、ポインティングデバイス2のローリングに対する重力の挟角の変化を計測することが可能である。この好適な実施形態では、スイッチコントロールがポインティングデバイス2に更に構成され、コントローラユニット24を選択的に制御して、ジャイロ素子230又は第2の加速度計2311から信号を受信するために使用できる。
【0028】
ポインティングデバイス2においてジャイロ素子230及び第2の加速度計2311の両方を構成することによって、ポインティングデバイス2の用途を拡大できる。ジャイロ素子230及び第2の加速度計2311の機能は同様であり、第2の加速度計2311の追加によって、ポインティングデバイス2が、ダブルヘッドの矢印92によって示されるようなもう一つの移動、即ち、ポインティングデバイス2のローリングを検出することが可能になり、従って、ポインティングデバイス2によって制御されるオブジェクト/カーソルの動きのばらつきが増加する。
【0029】
本発明のその他の好適な実施形態に従う加速度センシング部を示す図5Aを参照する。この好適な実施形態では、加速度センシング部231は、第1の加速度計2310、第2の加速度計2311、及び第3の加速度計2312を含み、第1の加速度計2310及び第2の加速度計2311の働きは、前述の加速度計と同じであり、ここで更なる記述はしない。操作上、図5B及び図5Cに見られるように、2つのダブルヘッドの矢印95及び96で示すポインティングデバイス2の2つの斜めローリングは、第3の加速度計2312によって検出できる、つまり、Z軸に対するポインティングデバイス2の傾斜を計測できる、即ち、ポインティングデバイス2のひっくり返った状態が計測される。
【0030】
図5B及び図5Cに見られるように、ポインティングデバイス2が2つの矢印95及び96で示されるようにひっくり返っている時、重力のコンポーネントが第3の加速度計2312に影響を及ぼす。図5Cに示す例のように、ひっくり返ったポインティングデバイスがそれ自体と重力gとの間に挟角θを得る時、重力コンポーネントgcosθは第3の加速度計2312に影響を及ぼし、従って第3の加速度計は対応する信号を発生できるようになり、その信号はコントローラユニット24によって受信並びに処理される。また、第3の加速度計2312は、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である。従って、第3の加速度計2312の追加によって、ポインティングデバイス2が、2つのダブルヘッドの矢印95及び96によって示されるようなもう一つの移動、即ち、ポインティングデバイス2の斜めローリングを検出することが可能になり、従って、ポインティングデバイス2によって制御されるオブジェクト/カーソルの動きの変化が更に増加する。
【0031】
それぞれ動きを検出するための動作中である時の本発明の第3の好適な実施形態に従うポインティングデバイスの概略図及び図6Aのポインティングデバイスで使用される加速度センシング部である図6A及び図6Bを参照する。この好適な実施形態では、ポインティングデバイス2は、インターフェースユニット21、平面センシングユニット22、加速度センシングユニット26、コントローラユニット24、及び出力ユニット25からなり、コントローラユニット24及び出力ユニット25の機能は以上に記述したものと同じであり、従ってここで更なる記述はしない。図6Bに見られるように、加速度センシングユニット26は、第1の加速度計260、第2の加速度計261、及び第3の加速度計262を含む。操作上、図6Aに見られるように、2つのダブルヘッドの矢印93及び94で示すポインティングデバイス2の2つの平面的動作は、第1及び第2の加速度計260及び261によって検出できる、即ち、XY軸の表面上を移動しているポインティングデバイス2の加速度が計測される。
【0032】
ポインティングデバイス2が自由空間を移動して作動するように保持されている時、ダブルヘッドの矢印90で示すピッチングが第1の加速度計260によって検出される、即ち、X軸に対するポインティングデバイス2の傾斜を計測でき、従って、第1のセンシング信号が、第1の加速度計260によって発生され、インターフェースユニット21、コントローラユニット24、及び出力ユニット25に送信並びに処理され、電子デバイスのディスプレイに表示されたオブジェクト/カーソルの上下移動を制御するために使用される。また、ダブルヘッドの矢印92で示すポインティングデバイス2のローリングは、第2の加速度計261によって検出される一方、第2の加速度計261はローリングしているポインティングデバイス2と重力の間に形成される挟角を計測することが可能なので、Y軸に対するポインティングデバイス2の傾斜を計測でき、従って、第2のセンシング信号が、第2の加速度計261によって発生され、インターフェースユニット21、コントローラユニット24、及び出力ユニット25に送信並びに処理され、オブジェクト/カーソルの水平移動を制御するために使用される。更に、ポインティングデバイス2のひっくり返りが第3の加速度計262によって検出できるが、それは図5Cに関して記述されたものと同様であり、ここで更なる記述はしない。好適な様態では、第3の加速度計262は、コントローラユニット24を二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である。
【0033】
要約すれば、本発明は、ポインティングデバイスが平面上又は自由空間で移動及び作動するように保持されているかどうかに対して、自動的に二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能な能力を有する汎用ポインティングデバイスを提供し、それによってユーザは表面又は空間によって制限されることなく自由にポインティングデバイスを利用でき、従って、ポインティングデバイスの使用上の利便性が高まるだけでなく、その用途も拡大する。
【0034】
開示の目的で本発明の好適な実施形態を説明したが、当業者は、本発明のその他の実施形態だけでなく本発明の開示された実施形態の変形を思い付くかもしれない。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての実施形態を対象とすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のポインティングデバイスを描写するブロック図である。
【図2】本発明の第1の好適な実施形態に従うポインティングデバイスの概略図である。
【図3】動きを検出するために動作中である時の図2のポインティングデバイスを示す。
【図4A】本発明の好適な実施形態に従う加速度センシング部を示す。
【図4B】動きを検出するために動作中である時の第2の好適な実施形態に従うポインティングデバイスを示す。
【図5A】本発明のその他の好適な実施形態に従う加速度センシング部を示す。
【図5B】回転する時の図5Aの加速度センシング部を示す。
【図5C】回転する時の図5Aの加速度センシング部に作用する重力の影響を示す。
【図6A】動きを検出するために動作中である時の本発明の第3の好適な実施形態に従うポインティングデバイスの概略図である。
【図6B】図6Aのポインティングデバイスで使用される加速度センシング部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニット、
ポインティングデバイスが自由空間を移動している間にその移動を検出し、それに応じて慣性センシング信号を発生することが可能な、慣性センシングユニット、及び、
平面センシング信号及び慣性センシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットに結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイス。
【請求項2】
平面センシングユニットは、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
コントローラユニットはインターフェースユニットに接続され、一方、インターフェースユニットは、平面センシングユニット及び慣性センシングユニットに更に結合され、それによって受信した平面センシング信号及び慣性センシング信号をデジタル信号に変換するために使用され、デジタル信号はコントローラユニットによって処理され、従って変位信号が形成される、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
コントローラユニットは、ゲーム機、コンピュータ、及びマルチメディア装置からなる群から選択される電子デバイスへ出力ユニットから変位信号を出力するため、出力ユニットに更に結合される、請求項3に記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
慣性センシング信号は、角速度信号又は加速度信号からなる群から選択される信号である、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
平面センシングユニットは、トラックボールエンコーダ及び光学センサからなる群から選択されるデバイスであり、それに相応して、平面センシング信号は、パルス信号及び光学信号からなる群から選択される信号である、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項7】
平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニット、
ポインティングデバイスの角速度を検出して計測し、それに応じて第1のセンシング信号を発生することが可能な、ジャイロ素子、
空間の一組の直交軸の少なくとも一つの軸に沿って計測される加速度を検出及び計測し、それに応じて第2のセンシング信号を発生することが可能な、加速度センシング部、及び
平面センシング信号、第1のセンシング信号、及び第2のセンシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット、ジャイロ素子、及び加速度センシング部に結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイス。
【請求項8】
加速度センシング部は、
ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間を移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計、を更に備える、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項9】
加速度センシング部は、
ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間を移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計、及び
ポインティングデバイスが空間を移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計、を更に備える、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項10】
コントローラユニットを制御して、第1のセンシング信号及び第2の加速度計によって検出される傾斜信号からなる群から選択された信号を受信するために使用される、スイッチコントロール、を更に備える、請求項9に記載のポインティングデバイス。
【請求項11】
加速度センシング部は、
ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間を移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスがその空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計、
ポインティングデバイスが空間を移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計、及び
ポインティングデバイスのひっくり返り状態を検出するための、第3の加速度計、を更に備える、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項12】
コントローラユニットを制御して、第1のセンシング信号及び第2の加速度計によって検出される傾斜信号からなる群から選択された信号を受信するために使用される、スイッチコントロール、を更に備える、請求項11に記載のポインティングデバイス。
【請求項13】
第3の加速度計は、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である、請求項11に記載のポインティングデバイス。
【請求項14】
光学センサである平面センシングユニットは、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項15】
コントローラユニットはインターフェースユニットに接続され、一方、インターフェースユニットは、平面センシングユニット、ジャイロ素子、及び加速度センシング部に更に結合され、それによって受信した平面センシング信号及び第1及び第2のセンシング信号をデジタル信号に変換するために使用され、デジタル信号はコントローラユニットによって処理され、従って変位信号が形成される、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項16】
コントローラユニットは、変位信号を電子装置に出力するために、更に出力ユニットに結合され、前記電子装置はゲーム機、コンピュータ、マルチメディア装置、及びその他のデジタル装置から選択した装置である、請求項15に記載のポインティングデバイス。
【請求項17】
コントローラユニットは、ゲーム機、コンピュータ、及びマルチメディア装置からなる群から選択される電子デバイスへ出力ユニットから変位信号を出力するために、更に出力ユニットに結合される、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項18】
平面センシングユニットは、トラックボールエンコーダ及び光学センサからなる群から選択されるデバイスであり、それに相応して、平面センシング信号は、パルス信号及び光学信号からなる群から選択される信号である、請求項7に記載のポインティングデバイス。
【請求項19】
平面上を移動するポインティングデバイスの移動を検出し、それに応じて平面センシング信号を発生することが可能な、平面センシングユニット、
ポインティングデバイスが一組の直交軸によって規定された空間を移動するように保持されている間に一組の直交軸の第2の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが空間において一組の直交軸の第1の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第1の加速度計、
ポインティングデバイスが空間を移動するように保持されている間に第1の軸に沿って計測される加速度、及びポインティングデバイスが第2の軸を中心に回転するように保持されている間にポインティングデバイスの傾斜信号を検出するための、第2の加速度計、
ポインティングデバイスのひっくり返り状態を検出し、それに応じて第3のセンシング信号を発生させるための、第3の加速度計、及び
平面センシング信号及び第1、第2、及び第3のセンシング信号を受信並びに処理することを可能にするために、平面センシングユニット及び第1、第2、及び第3の加速度計に結合された、コントローラユニット、を備える、ポインティングデバイス。
【請求項20】
第3の加速度計は、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である、請求項19に記載のポインティングデバイス。
【請求項21】
光学センサである、平面センシングユニットは、コントローラユニットを二次元検出モードと三次元検出モードとの間で切り替え可能にするために使用されるリターン信号を発生することが可能である、請求項19に記載のポインティングデバイス。
【請求項22】
平面センシングユニットは、トラックボールエンコーダ及び光学センサからなる群から選択されるデバイスであり、それに相応して、平面センシング信号は、パルス信号及び光学信号からなる群から選択される信号である、請求項19に記載のポインティングデバイス。
【請求項23】
コントローラユニットはインターフェースユニットに接続され、一方、インターフェースユニットは、平面センシングユニット及び第1、第2、及び第3の加速度計に更に結合され、それによって受信した平面センシング信号及び第1、第2、及び第3のセンシング信号をデジタル信号に変換するために使用され、デジタル信号はコントローラユニットによって処理され、従って変位信号が形成される、請求項19に記載のポインティングデバイス。
【請求項24】
コントローラユニットは、ゲーム機、コンピュータ、及びマルチメディア装置からなる群から選択される電子デバイスに出力ユニットから変位信号を出力するために、更に出力ユニットに結合される、請求項23に記載のポインティングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2008−140362(P2008−140362A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126955(P2007−126955)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】