説明

ポイントサービス処理装置及び会計装置並びにプログラム

【課題】会員が貯まったポイントを小出しするポイントサービス制度を実現する。
【解決手段】本装置は、商品を識別する商品識別子が入力されると、その商品の購入者に提供されるサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとをその商品の商品識別子に関連付けて記憶しているサービス情報記憶部から、当該商品識別子に関連付けて記憶されているサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとを取得する。この取得したサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付けると、取得した必要ポイントと顧客の保有ポイントとから当該保有ポイントの残りのポイントを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイントサービス制度を導入している小売店で利用されるポイントサービス処理装置、及びこのポイントサービス処理装置に対応した会計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの小売店では、顧客の囲い込みを目的に、ポイントサービス制度を導入している。この制度は、会員登録したポイント会員が、店で商品を購入することによりポイントの発行を受け、貯めたポイントに応じて店からサービスを受けるというものである。
【0003】
サービスとしては、ポイントを金額に換算して買上商品の合計金額から値引を行う値引サービスが一般的である。また、ポイントを使った金融商品の貯蓄、投資といったサービスも提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポイントサービス制度を導入している小売店において、値引サービスを導入した場合、会員は貯まったポイントを一度に使用する傾向がある。同時期に多くの会員がポイントをまとめて使用すると、店にとっては商品が売れても収入を得られないという負担を生じる。このため、貯まったポイントを会員が小出しする仕組みが求められている。
【0005】
本発明は、会員が貯まったポイントを小出しするようになり、店側の負担を軽減できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、顧客が保有するポイントを記憶する保有ポイント記憶手段と、商品を識別する商品識別子を入力する商品入力手段と、商品の購入者に提供されるサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとをその商品の商品識別子に関連付けて記憶しているサービス情報記憶部から、前記商品入力手段にて入力された商品識別子に関連付けて記憶されているサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとを取得するサービス情報取得手段と、このサービス情報取得手段により取得したサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付ける入力受付手段と、この入力受付手段によりサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付けると、前記サービス情報取得手段により取得した必要ポイントと前記保有ポイント記憶手段に記憶されている保有ポイントとから当該保有ポイントの残りのポイントを算出する残りポイント算出手段とを備えたポイントサービス処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、会員が貯まったポイントを小出しするようになり、店側の負担を軽減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のポイントサービス処理装置を無線通信端末に適用した一実施形態のシステム構成図。
【図2】同実施形態における商品データベースのデータ構成図。
【図3】同実施形態における会員データベースのデータ構成図。
【図4】同実施形態における無線通信端末の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態における無線通信端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す図。
【図6】同実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図7】同実施形態における無線通信端末のCPUが実行するメイン処理の手順を示す流れ図。
【図8】同実施形態におけるPOS端末のCPUが実行する会員会計処理の手順を示す流れ図。
【図9】同実施形態において無線通信端末で表示される買上情報画面の一例を示す図。
【図10】同実施形態において無線通信端末で表示されるポイント使用問合せ画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に関わる一実施形態のシステム構成図である。本システムは、ポイントサービス制度を導入するスーパーマーケット等の小売店に構築される。本システムは、その中枢部としてストアサーバ1を備える。そして、このストアサーバ1に、LAN(Local Area Network)2を介して、POS(Point Of Sales)端末3、アクセスポイント4及び端末ラックコントローラ5を接続している。
【0010】
ストアサーバ1は、商品データベース11と会員データベース12とを管理する。商品データベース11は、図2に示すように、各商品を識別する商品識別子としての商品コードにそれぞれ関連付けて、商品名、価格、値引額、必要ポイント等の商品データを記憶する。値引額は、関連付けられた商品コードで特定される商品の購入者に提供されるサービス情報である。必要ポイントは、そのサービス情報の提供に必要なポイントである。上記値引額とサービス情報は、ポイント値引対象の商品に対して選択的に設定される。個々に、商品データベース11は、サービス情報記憶部として機能する。
【0011】
会員データベース12は、図3に示すように、各ポイント会員を識別する会員識別子としての会員番号に関連付けて、少なくとも保持ポイントを記憶する。保持ポイントは、対応する会員番号で特定される顧客が、店で商品を購入することにより発行されたポイントを貯めたものである。
【0012】
端末ラックコントローラ5は、会員番号入力部6と端末ラック7とを接続している。会員番号入力部6は、ポイント会員として登録された顧客に割り当てられる会員番号の入力に供せられる。例えばICカードから会員番号を読取るためのカードリーダが該当する。
【0013】
端末ラック7は、複数の端末置き台8を形成している。各端末置き台8には、それぞれ無線通信端末9が1基ずつ着脱自在に置かれる。また、各端末置き台8に1対1で対応して、LED等の表示部10を設けている。
【0014】
無線通信端末9は、本発明に係るポイントサービス処理装置の一態様であって、その要部構成を、図4のブロック図で示す。図示するように、無線通信端末9は、持運び自在な可搬型の本体に、CPU21、ROM22、RAM23、無線部24、スキャナ25、タッチパネル付ディスプレイ26、インターフェイス27及びバッテリ28を備えている。スキャナ25は、商品に付されたバーコード等の商品コードを読取るもので、商品入力手段として機能する。タッチパネル付ディスプレイ26は、入力手段及び表示手段として機能する。タッチパネル付ディスプレイの代わりにキーボードを入力手段として用いてもよい。
【0015】
RAM23は、主要なメモリエリアとして、図5に示すように、買上ファイル31と会員データファイル32とを備えている。買上ファイル31は、客が購入する商品毎に、商品コード、商品名、単価、数量、値引額、必要ポイント及び実行フラグの各データを記憶する。会員データファイル32は、会員番号、保持ポイント、使用ポイント、残りポイント及び買上金額の各記憶エリアを有する。
【0016】
POS端末3は、本発明に係る会計装置の一態様であって、その要部構成を図6のブロック図で示す。図示するように、POS端末3は、CPU41、ROM42、RAM43、時計部44、LANコントローラ45、クレイドル46が接続されるインターフェイス47、スキャナ48、キーボード49、オペレータ用表示器50、客用表示器51及びプリンタ52を備えている。クレイドル46は、無線通信端末9のドッキングステーションとして機能する。
【0017】
本システムが構築される小売店では、例えば店の入口に端末ラック7が設置されている。端末ラック7の各端末置き台8には、それぞれ無線通信端末9が置かれている。無線通信端末9は、端末置き台8に置かれると、インターフェイス27を介して端末ラックコントローラ5と電気的に接続され、バッテリ28が充電される。
【0018】
端末ラック7の近傍には、会員番号入力部6が設けられている。来店した客(ポイント会員)は、会員番号入力部6を介して自身の会員番号を入力する。会員番号が入力されると、端末ラックコントローラ5は、この会員番号をストアサーバ1に送信して、会員情報を問合せる。問合せを受けたストアサーバ1は、会員データベース12を検索し、当該会員番号で識別される会員の保持ポイントを呼出す。そして、この会員番号と保持ポイントを端末ラックコントローラ5に返信する。
【0019】
端末ラックコントローラ5は、いずれかの端末置き台8に置かれている1基の無線通信端末9を選択する。そして、その会員データファイル32の会員番号エリア及び保持ポイントエリアに、ストアサーバ1から受信した会員番号と保持ポイントとを書き込む。また、この端末9が置かれている端末置き台8に対応した表示部10を例えば点滅させる。
【0020】
表示部10の点滅を確認した会員は、その表示部10に対応した端末置き台8から無線通信端末9を取り出す。端末置き台8から取り出された無線通信端末9は、駆動電源をバッテリ28に切り換える。その後、無線通信端末9は、図7の流れ図に示す手順でCPU21が動作するように、プログラムを構成している。
【0021】
すなわちCPU21は、ST(ステップ)1として、買上ファイル31をクリアする。また、ST2として会員データファイル32の残りポイントエリアに保持ポイントエリアのポイントを複写する(保有ポイント記憶手段)。さらに、使用ポイントエリアと買上金額エリアのデータを“0”とする。
【0022】
次に、CPU21は、ST3としてスキャナ25による商品コードのスキャニングが行われるのを待機する。スキャニングが行われると(ST3のYES)、CPU21は、ST4として、その商品コードを含む商品情報問合せ伝文を作成する。そして、この伝文を、無線部24を介してストアサーバ1に無線送信する。
【0023】
この伝文は、いずれかのアクセスポイント4を経由してストアサーバ1に伝送される。ストアサーバ1は、伝文中の商品コードで商品データベース11を検索し、問合せのあった商品コードで識別される商品の商品名、価格、値引額、必要ポイント等の商品データを読み出す。そして、この商品データを、問合せ元の無線通信端末9に無線送信する。
【0024】
この商品データは、いずれかのアクセスポイント4を経由して問合せ元の無線通信端末9に伝送される。無線部24を介して商品データを受信したCPU21は、ST5としてその商品情報を買上ファイル31で記憶する(サービス情報取得手段)。このとき、買上ファイル31に同一商品コードの商品データを既に記憶しているか否かを判断する。記憶していない場合には、応答のあった商品コード、価格、値引額、必要ポイントを1レコードとして記憶する。また、このレコードの数量を“1”とする。実行フラグは“0”とする。これに対し、同一商品コードの商品データを既に記憶している場合には、そのレコードの数量を“1”だけ増加する。
【0025】
次に、CPU21は、ST6として買上ファイル31に記憶されているレコード毎に価格と数量とを乗算して金額を求め、各レコードの金額を合算して合計金額を算出する。そして、その合計金額を、会員データファイル32の買上金額エリアに上書きする。
【0026】
次に、CPU21は、ST7として今回取得した商品データを記憶した買上ファイル31のレコードに実行フラグがセットされているか否かを判断する。今回取得した商品データが既に買上ファイル31に記憶されており、前回の記憶時に後述するサービス処理手段を実行している場合は、実行フラグが既にセットされている。この場合は、後述するST9の処理に進む。
【0027】
実行フラグがセットされていない場合、CPU21は、ST8として今回取得した商品データはポイント値引対象商品のデータであるか否かを判断する。取得した商品データを記憶した買上ファイル31のレコードに値引額と必要ポイントのデータが含まれる場合はポイント値引対象商品のデータであり、含まれない場合はポイント値引対象商品のデータでない。
【0028】
ポイント値引対象商品のデータでなかった場合には(ST8のNO)、CPU21は、ST9としてタッチパネル付ディスプレイ26に買上情報画面60を表示させる。買上情報画面60の一例を図9に示す。図示するように買上情報画面60には、今回取得した商品データの商品名と価格とが表示される。また、会員データファイル32における残りポイントエリアのデータも表示される。さらに、買物を終了するか否かを会員に問合せるメッセージとともに、YESボタン61とNOボタン62とを表示させる。上記メッセージを確認した会員は、買物を続ける場合はNOボタン62を、買物を終了する場合はYESボタン61をタッチ操作する。
【0029】
一方、ポイント値引対象商品のデータであった場合には(ST8のYES)、CPU21は、ST10として会員データファイル32に記憶される残りポイントと、取得した商品データ中の必要ポイントとの間に所定の関係が成立するか否かを判断する。所定の関係とは、残りポイントと必要ポイントとを比較して、ポイント値引というサービス情報の提供を顧客が受けることができる関係である。本実施の形態では、残りポイントに任意の調整値αを加算した値が必要ポイント以上であるとき、所定の関係が成立していると判断し、残りポイントに任意の調整値αを加算した値が必要ポイントに満たない場合は、所定の関係が成立していないと判断する。ここで、調整値αは、残りポイントが必要ポイント以上あればポイント値引を受けられる運用の場合は“0”とする。また、一定数Mの残りポイントを残さないとポイント値引を受けられない運用の場合は“−M”とする。さらに、残りポイントが必要ポイントに満たなくても、一定数Nまでは店側からポイントを貸出す運用の場合は“N”とする。調整値αは、店の運用体系により適宜設定される。
【0030】
残りポイントと必要ポイントとの間に所定の関係が成立しない場合(ST10のNO)、CPU21は、ST9の処理に進む。すなわち、タッチパネル付ディスプレイ26に買上情報画面60を表示させる。
【0031】
これに対し、残りポイントと必要ポイントとの間に所定の関係が成立する場合には(ST10のYES)、CPU21は、ST11としてタッチパネル付ディスプレイ26にポイント使用問合せ画面70を表示させる。ポイント使用問合せ画面70の一例を図10に示す。図示するように、ポイント使用問合せ画面70には、今回取得した商品データの商品名及び価格とともに、ポイントの使用が可能であること、その必要ポイント、値引額、残りポイント及び値引後の価格が表示される。また、ポイントを使用するか否かを会員に問合せるメッセージとともに、YESボタン71とNOボタン72とを表示させる。上記メッセージを確認した会員は、ポイントを使用しない場合はNOボタン72を、ポイントを使用して値引サービスを受ける場合はYESボタン71をタッチ操作する。
【0032】
ポイント使用問合せ画面70を表示させた後、CPU21は、ST12としてYESボタン71とNOボタン72のいずれか一方がタッチ操作されるのを待機する(入力受付手段)。NOボタン72がタッチ操作された場合(ST12のNO)、値引サービスの提供を受けない旨の宣言がなされたので、CPU21は、ST8の処理に進む。すなわち、タッチパネル付ディスプレイ26に買上情報画面60を表示させる。
【0033】
これに対し、YESボタン71がタッチ操作された場合には(ST12のYES)、値引サービスの提供を受ける旨の宣言がなされたので、CPU21は、ST13として今回取得した商品データを記憶した買上ファイル31のレコードの実行フラグを“1”にセットする(宣言記憶手段)。また、ST14として会員データファイル32の使用ポイントエリアに、同レコードの必要ポイントを加算する。さらに、ST15として会員データファイル32の残りポイントエリアから、同レコードの必要ポイントを減算する(残りポイント算出手段)。
【0034】
CPU21は、ST16として会員データファイル32の買上金額エリアから同レコードの値引額を減算する。しかる後、ST9の処理に進み、タッチパネル付ディスプレイ26に買上情報画面60を表示させる。このとき、買上情報画面60に表示される商品データの価格は、値引額を減じた値引後価格となる。
【0035】
買上情報画面60を表示させた後、CPU21は、ST17としてYESボタン61とNOボタン62のいずれか一方がタッチ操作されるのを待機する。NOボタン62がタッチ操作された場合(ST17のNO)、CPU21は、ST3の処理に進む。すなわち、次の商品コードがスキャニングされるのを待機する。商品コードがスキャニングされたならば、前記ST4〜ST17の処理を再度実行する。
【0036】
これに対し、YESボタン61がタッチ操作された場合には(ST17のYES)、CPU21は、ST18として読出要求コマンドを待機する。そして、インターフェイス27を介して読出要求コマンドを受信したならば(ST18のYES)、CPU21は、ST19として買上ファイル31のデータを、会員データファイル32の会員番号及び保持ポイントとともに、インターフェイス27を介して送信する(出力手段)。以上で、今回の処理手順を終了する。
【0037】
このように、無線通信端末9を端末ラック7から取り出して携帯した会員は、購入しようとする商品を例えばショッピングカートに入れる際に、その商品に付されている商品コードをスキャナ25でスキャニングして、仮登録を行う。そうすると、その商品がポイント値引対象であり、この会員の残りポイントと対象商品の必要ポイントとの間に所定の関係が成立する場合には、ポイント使用問合せ画面70が表示される。そこで会員は、画面70を確認し、ポイント値引サービスを受ける場合は、YESボタン71にタッチする。そうすると、買上ファイル31に仮登録された当該商品のレコードに実行フラグがセットされる。実行フラグがセットされることにより、同レコードのサービス情報、すなわち値引額に応じたサービスの提供がPOS端末3にて可能となる。ポイント値引サービスを受けない場合は、NOボタン72にタッチする。いずれかのボタン71,72にタッチすることにより、買上情報画面60が表示される。画面60を確認し、買物を続ける場合は、NOボタン62にタッチする。そして、次に購入する商品の商品コードをスキャナ25でスキャニングする。
【0038】
買物を終了する場合、会員は、YESボタン61にタッチする。そして、買上商品の代金を支払うために会計場所に行き、無線通信端末9をクレイドル46に置く。クレイドル46に無線通信端末9が置かれたことを確認すると、キャッシャは、キーボード49に設けられた会員会計キーを押下する。そうすると、POS端末3は、CPU41が図8の流れ図に示す手順で会員会計処理を実行するように、プログラムを構成している。
【0039】
すなわちCPU41は、ST21としてインターフェイス47を介して読出要求コマンドを送信する。そして、ST22としてデータの読出に成功したか否かを判断する。POS端末3から送信された読出要求コマンドは、クレイドル46に置かれた無線通信端末9に与えられる。これにより、無線通信端末9は、買上ファイル31のデータと会員番号及び保持ポイントとを返信するので、これらのデータの受信に成功したならば(ST22のYES:購入商品情報取得手段)、CPU41は、受信データをRAM43のワークエリアで一時記憶する(顧客ポイント記憶手段)。
【0040】
次に、CPU41は、ST23としてカウンタnを“0”に初期化する。続いて、CPU41は、ST24として上記カウンタnを“1”だけカウントアップする。そして、ST25として、ワークエリアに記憶した買上ファイル31から、n番目(nはカウンタnの値)の商品データ(商品コード、商品名、価格、数量、値引額、必要ポイント、実行フラグ)を取得する。
【0041】
買上ファイル31から、n番目の商品データを取得できたならば(ST26のYES)、CPU41は、ST27としてその商品データの実行フラグがセットされているか否かを判断する。ポイント値引対象外の商品データには、実行フラグがセットされていない。この場合(ST27のNO)、CPU41は、ST30としてこの商品データの価格に数量を乗算して、この商品の金額を算出する(買上金額算出手段)。そして、ST31として、この商品データの商品コード、商品名、価格、数量と、ST30の処理で算出した金額とから会計データを作成する。
【0042】
これに対し、ポイント値引対象の商品データであり、会員が無線通信端末9を用いて値引サービスを受ける旨の宣言を行ったデータには、実行フラグがセットされている。この場合(ST27のYES)、CPU41は、ST28としてこの商品データの価格に数量を乗算し、さらにその積から値引額を減算することで、この商品の値引後金額を算出する(買上金額算出手段)。また、ST29として、ワークエリアに記憶した保持ポイントから、この商品データの必要ポイント分を減算する(ポイント算出手段)。そして、ST31の処理に進み、この商品データの商品コード、商品名、価格、数量及び値引額と、ST28の処理で算出した値引後金額とから会計データを作成する。
【0043】
こうして、n番目の商品データから会計データを作成したならば、CPU41は、ST24の処理に進む。すなわち、カウンタnをさらに“1”だけカウントアップし、買上ファイル31からn番目の商品データを取得して、ST27〜ST31の処理を再度実行する。
【0044】
買上ファイル31内の全ての商品データについて、ST27〜ST31の処理を実行し、n番目の商品データを取得できなくなったならば(ST26のNO)、CPU41は、ST32として、オペレータ用表示器50及び客用表示器51に会計データのリストを表示させる。そこでキャッシャは、表示された会計データと客が購入する商品とを照合し、相違がなければ代金の支払いを受け、支払い方法に応じた締めキーを入力する。
【0045】
CPU41は、ST33としてキーボード49の締めキーが入力されたならば、ST34として会計データの売上登録及び釣銭演算等の会計処理を実行する。また、ST35として買上金額等に基づいて今回の発行ポイントを算出する。そして、ST36としてワークエリアに記憶した保持ポイントに今回の発行ポイントを加算する。しかる後、CPU41は、ST37としてプリンタ52を駆動してレシートを発行する。このレシートには、会計データのほか、ワークエリア内の保持ポイントと使用ポイントも印刷される。CPU41は、ST38としてワークエリア内の会員番号と保持ポイントとをLAN2経由でストアサーバ1に送信する。以上で、会員に対する会計処理が終了する。
【0046】
ストアサーバ1は、POS端末3から受信した会員番号と保持ポイントのデータに従い、会員データベース12の該当する会員番号に対応した保持ポイントを受信したポイントに書き換える。
【0047】
このように本実施の形態によれば、無線通信端末9を使用する会員は、購入する商品を無線通信端末9に自ら仮登録する毎に、今まで貯めたポイントの一部を使用して、価格の値引サービスを受けることができる。この場合において、値引サービスを受けられる商品は、店で取り扱う商品の一部であり、客が購入する全ての商品に関して値引サービスが受けられるというものではない。したがって、貯まったポイントを会員が小出しすることとなるので、同時期に多くの会員がポイントをまとめて使用したために商品が売れても収入を得られないという店側の負担を軽減することができる。
【0048】
しかも、本実施の形態では、会員が購入する商品を無線通信端末9に自ら仮登録する毎に、ポイント値引を受けるか否かを選択させ、その選択結果に応じて、POS端末3で自動的に値引処理を行うようにしている。したがって、会計業務を行うキャッシャの負担が増加することがない上、会計に時間がかかるというような不都合もなく、実用的である。
【0049】
さらに、本実施の形態では、店が商品毎に割引率を決定できるため、例えば目玉商品のように捨て値で顧客に提供される商品に対して通常よりも大きな割引率を設定することができる。そうした場合は、顧客にとってお得感が増すので顧客はポイントを使いやすくなる。また、店にとっても捨て値で売ってよい商品であるので不利益が少ない。
【0050】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではない。例えば、無線通信端末9からストアサーバ1経由で買上ファイル31のデータをPOS端末3に伝送するようにしてもよい。この場合、ストアサーバ1は、買上ファイル31のデータを、このデータとともに受信した会員番号と関連付けて記憶する。POS端末3には、通常、カードリーダ等の会員番号入力手段が備えられているので、POS端末3は、入力された会員番号を検索キーとしてストアサーバ1に問合せを行い、応答のあった買上ファイル31により会員会計処理を実行する。このような構成を採用することにより、POS端末3からクレイドル46を省略することができる。
【0051】
また、商品の購入者に提供されるサービス情報の種類は、値引に限定されるものではない。例えば、景品の提供や寄付行為であってもよい。また、1つの商品に対して複数種類の割引情報を設定しておき、条件に合う中で最も割引率の大きい割引情報が選択されるようにしてもよい。
【0052】
また、無線通信端末9が実行する図7の処理を、POS端末3で実行させることも可能である。すなわち、POS端末3を、本発明のポイントサービス処理装置として機能させることもできる。あるいは、無線通信端末9に決済機能を設けて、買上ファイル31のデータに基づき、無線通信端末9でそのまま会計処理ができるようにしてもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、図7のST19の処理にて買上ファイル31のデータを送信する際に当該顧客の買物前の保有ポイントである保持ポイントも合わせて送信する構成を採用しているため、会員データファイル32に残りポイントエリアを設け、保持ポイントエリアのポイントを複写するステップを必要としたが、POS端末3がストアサーバ1から会計に来た顧客の買物前の保有ポイントである保持ポイントを取得する構成を採用することにより、保持ポイントエリアを残りポイントエリアとして使用させることができる。したがって、保持ポイントエリアのポイントを残りポイントエリアに複写するステップを省略することができる。この場合、会員データファイル32の保持ポイントエリアが、保有ポイント記憶手段として機能する。
【0054】
また、前記実施形態では、ポイントサービス処理装置として機能する無線通信端末9の本体形状を携帯可能とし、客が手に持って商品コードをスキャニングするようにしたが、ショッピングカートに取り付けて持運びできるようにし、客が手に持つことなく商品コードをスキャニングできるようにしてもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態ではPOS端末3の内部に発明を実施するプログラムが予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークからPOS端末3にダウンロードしても良いし、同様のプログラムを記録媒体に記憶させたものをPOS端末3にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…ストアサーバ、3…POS端末、4…アクセスポイント、5…端末ラックコントローラ、6…会員番号入力部、7…端末ラック、9…無線通信端末、11…商品データベース、12…会員データベース、31…買上ファイル、32…会員データファイル。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2003−085432号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が保有するポイントを記憶する保有ポイント記憶手段と、
商品を識別する商品識別子を入力する商品入力手段と、
商品の購入者に提供されるサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとをその商品の商品識別子に関連付けて記憶しているサービス情報記憶部から、前記商品入力手段にて入力された商品識別子に関連付けて記憶されているサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとを取得するサービス情報取得手段と、
このサービス情報取得手段により取得したサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付ける入力受付手段と、
この入力受付手段によりサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付けると、前記サービス情報取得手段により取得した必要ポイントと前記保有ポイント記憶手段に記憶されている保有ポイントとから当該保有ポイントの残りのポイントを算出する残りポイント算出手段と、
を具備したことを特徴とするポイントサービス処理装置。
【請求項2】
可搬型の装置本体と、
顧客が保有するポイントを記憶する保有ポイント記憶手段と、
商品を識別する商品識別子を入力する商品入力手段と、
商品の購入者に提供されるサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとをその商品の商品識別子に関連付けて記憶しているサービス情報記憶部から、前記商品入力手段にて入力された商品識別子に関連付けて記憶されているサービス情報とそのサービス情報の提供に必要なポイントとを取得するサービス情報取得手段と、
前記サービス情報取得手段により取得したサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付ける入力受付手段と、
この入力受付手段によりサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付けると、前記商品入力手段により入力された商品識別子に対応して前記サービス情報の提供を受ける旨の宣言を記憶する宣言記憶手段と、
前記入力受付手段によりサービス情報の提供を受ける旨の入力を受付けると、前記サービス情報取得手段により取得した必要ポイントと前記保有ポイント記憶手段に記憶されている保有ポイントとから当該保有ポイントの残りのポイントを算出する残りポイント算出手段と、
前記宣言記憶手段に記憶されている情報を出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とするポイントサービス処理装置。
【請求項3】
会計データを処理する会計装置であって、
顧客が購入を希望する商品に関する情報として、その商品の識別子である商品識別子、この商品識別子にそれぞれ対応している商品の価格、購入個数、提供されるサービス情報、そのサービス情報の提供に必要なポイント、及び当該商品のサービス情報の提供を受けるか否かの宣言を取得する購入商品情報取得手段と、
顧客が保有するポイントを記憶する顧客ポイント記憶手段と、
前記購入商品情報取得手段により取得した情報に基づいて、前記顧客が購入を希望する商品の買上金額を算出する買上金額算出手段と、
前記購入商品情報取得手段により取得した情報の中の前記サービス情報の提供を受ける旨の宣言がなされた商品のサービス情報の提供に必要なポイントと前記顧客ポイント記憶手段に記憶されている顧客ポイントとから当該顧客ポイントの残りのポイントを算出するポイント算出手段と、
を具備したことを特徴とする会計装置。
【請求項4】
会計データを処理するコンピュータを、
顧客が購入を希望する商品に関する情報として、その商品の識別子である商品識別子、この商品識別子にそれぞれ対応している商品の価格、購入個数、提供されるサービス情報、そのサービス情報の提供に必要なポイント、及び当該商品のサービス情報の提供を受けるか否かの宣言を取得する購入商品情報取得手段、
顧客が保有するポイントを記憶部で記憶する顧客ポイント記憶手段、
前記購入商品情報取得手段により取得した情報に基づいて、前記顧客が購入を希望する商品の買上金額を算出する買上金額算出手段、
前記購入商品情報取得手段により取得した情報の中の前記サービス情報の提供を受ける旨の宣言がなされた商品のサービス情報の提供に必要なポイントと前記記憶部に記憶されている顧客ポイントとから当該顧客ポイントの残りのポイントを算出するポイント算出手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−250613(P2010−250613A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100211(P2009−100211)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】