説明

ポリアセタール樹脂成型体の接着方法、ポリアセタール樹脂成型体および複合成型体

【課題】ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、優れた接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を提供する。
【解決手段】ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着するポリアセタール樹脂成型体の接着方法であって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、少なくとも一部の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させること、およびポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させて、接着剤の官能基と該ポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることを含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法、並びにポリアセタール樹脂成型体および複合成型体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に優れた接着性で接着するための接着方法に関するものである。さらに、本発明は、そのような接着方法において接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体、並びにポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、成形性に優れており、かつバランスのとれた機械的性質、電気的性質、耐熱性、耐薬品性、摩擦磨耗特性等を有したポリアセタール樹脂成型体の製造に適しており、さらにプラスチック材料としては卓越した耐疲労性を有するが故に、代表的なエンジニアリング樹脂として広汎な分野において利用されている。しかしながら、他方では、ポリアセタール樹脂は他の接着対象物との接着剤による接着性が極めて低いことから、その利用が制限されることもしばしばであった。
【0003】
従来から、ポリアセタール樹脂成型体の接着剤による接着対象物との接着性の向上のために、ポリアセタール樹脂と親和性を有する樹脂をポリアセタール樹脂に少量混合したり、または他の成分との共重合を行うことが試みられてきた(特許文献1参照)。しかしながら、これらの手法では、成型樹脂材料そのものが変化するために、ポリアセタール樹脂本来の物性が充分に得られないことがあった。
【0004】
一般に、樹脂成型体の接着対象物との接着性を向上させるための他の方法として、樹脂成型体の接着面に対して表面処理を行うことが知られている。その表面処理としては、表面活性化処理、プライマー処理、粗面化等があり、表面活性化処理として紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理等がある。尚、上記のような他の樹脂と混合したポリアセタール系樹脂成型体の表面を、酸処理、アルカリ処理、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理または電子線照射処理により処理することを合わせて行うことも提案されている(特許文献1参照)。また、コロナ処理、プラズマ処理および火炎処理のような方法の助けによりポリアセタール等を含むポリマー材料を酸化処理工程にゆだねて、ポリマー表面上にヒドロキシル基等を生成する第1段階と、得られたポリマー表面と3又は4個の環原子を有する複素環式化合物なる有機化合物とを液体接触させる第2段階を含む、ポリアセタール等を含むポリマー材料の表面エネルギーおよび親水性を高める方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、ポリアセタール樹脂以外の樹脂では効果が高いとされる種々の表面処理も、ポリアセタール樹脂だけでは充分な効果が見られなかった。これはポリアセタール分子がオキシメチレン基を有しており、表面処理により分子鎖が切断された場合に、そこを起点として解重合が起こり易くなり、ホルムアルデヒドとして分解するためであると考えられる。
【0006】
また、他の樹脂の接着の際におけるプライマー処理に用いられるシランカップリング剤も、ポリアセタール樹脂には充分な効果が見られない。この場合には、シランカップリング剤が反応すべき表面官能基がポリアセタール樹脂表面には存在しないためであると考えられる。尚、ポリアセタール樹脂等からなる被着体を接着対象に対して接着する方法において、被着体の接着面に紫外線照射、コロナ放電、プラズマ処理等の物理的表面改質処理と、被着体にイソシアネート化合物を含むプライマーの塗布を組み合せることも提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、これらの先行技術によっては、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、充分な接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を得ることが困難であった。
【0008】
また、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、優れた接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を提供することを課題として、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させること、およびポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した水酸基と反応した有機ケイ素化合物の官能基と、接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させることを含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0009】
しかしながら、かかるポリアセタール樹脂成型体の接着方法も、有機ケイ素化合物を濃度を制御しながら導入するための装置の改造が必要でありコストがかかることや、有機ケイ素化合物の選定や濃度の設定等操作が複雑になるなどの点でさらなる改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−220667号公報
【特許文献2】特表平3−503655号公報
【特許文献3】特開2006−028474号公報
【特許文献4】特開2009−132824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特に、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、より優れた接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を提供することを課題とし、更には、その接着方法において接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体、並びにポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様であるポリアセタール樹脂成型体の接着方法は、請求項1に記載のように、ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着するポリアセタール樹脂成型体の接着方法であって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、少なくとも一部の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させること、およびポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることを含むことを特徴とするものである。
【0013】
かかる第1の態様では、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させること、およびそのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させることによって、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能である。
【0014】
第1の態様の一つの好ましい形態として、表面処理が、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における1〜100nmの範囲の深さでのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させるものである、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる(請求項2参照)。かかる形態によれば、ポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させることによって、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、よりポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能である。
【0015】
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、表面処理が、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法によるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度を、ポリアセタール樹脂成型体の内部におけるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%の範囲で低下させるものである、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる(請求項3参照)。かかる形態によればポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させることによって、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、よりポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能である。
【0016】
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、表面処理が、不活性ガス雰囲気での気相表面処理である、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる(請求項4参照)。かかる形態によれば、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させること、およびそのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させることによって、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能である。
【0017】
第1の態様のもう一つの好ましい形態として、気相表面処理が、不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理である、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる(請求項5参照)。かかる形態によれば、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させること、およびそのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させることによって、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、よりポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能である。
【0018】
本発明の第2の態様であるポリアセタール樹脂成型体は、請求項6に記載のように、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法によるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度が、ポリアセタール樹脂成型体の内部におけるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%低いことを特徴とするものである。
【0019】
そのポリアセタール樹脂成型体としては、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、そのポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面で5〜10nmの深さ領域における、すれすれ入射X線回折法による見かけの結晶化度が、内部のそれと比較して10〜30%低い、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる。かかるポリアセタール樹脂成型体は、本発明の第1の態様でのポリアセタール樹脂成型体の接着方法において、そのポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面での結晶性を低下させることによって得られるものである。
【0020】
かかる第2の態様では、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体として、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能な、有用なポリアセタール樹脂成型体を提供することが可能である。
【0021】
第2の態様の一つの好ましい形態として、ポリアセタール樹脂成型体が接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面が、ポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面である、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる(請求項7参照)。かかる形態によれば、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体として、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、より優れた接着性を発現させることが可能な、有用なポリアセタール樹脂成型体を提供することが可能である。
【0022】
第2の態様のもう一つの好ましい形態として、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面が、表面処理により、少なくとも一部の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させたものである、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる(請求項8参照)。かかる形態によれば、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体として、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、より優れた接着性を発現させることが可能な、有用なポリアセタール樹脂成型体を提供することが可能である。
【0023】
本発明の第3の態様である複合成型体は、請求項9に記載のように、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させると共に、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着したことを特徴とするものである。
【0024】
かかる第3の態様では、第1の態様と同様に、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させると共に、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域にその接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、ポリアセタール樹脂本来の物性を維持されて優れた接着性を発現させた、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を得ることが可能である。
【0025】
第3の態様の一つの好ましい形態として、表面処理によって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における1〜100nmの範囲の深さでのポリアセタール樹脂の結晶性が低下されたものである、複合成型体が挙げられる(請求項10参照)。かかる形態によれば、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させると共に、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域にその接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、よりポリアセタール樹脂本来の物性を維持されて優れた接着性を発現させた、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を得ることが可能である。
【0026】
第3の態様のもう一つの好ましい形態として、表面処理によって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法によるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度が、ポリアセタール樹脂成型体の内部におけるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%の範囲で低下されたものである、複合成型体が挙げられる(請求項11参照)。かかる形態によれば、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面結晶性を低下させると共に、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した低結晶性領域にその接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させることで、よりポリアセタール樹脂本来の物性を維持されて優れた接着性を発現させた、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】すれすれ入射X線回折法の原理を模式的に示す説明図である。
【図2】ポリアセタール樹脂成型体のX線回折における、X線の入射補角とX線の進入深さの関係の一例を示す説明図である。
【図3】ポリアセタール樹脂成型体のX線回折による強度のピーク分離の結果の一例を示す説明図である。
【図4】本発明のポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体の例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明におけるポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン基(‐CHO‐)を主たる構成単位とする高分子化合物であって、ポリオキシメチレンホモポリマー、並びにオキシメチレン基以外に他の構成単位を少量含有するコポリマー、ターポリマーおよびブロックポリマーの群から選択される高分子化合物、またこれらの混合物であってもよく、さらに分子が線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよい。尚、その重合度に関しては、特に制限はなく、成形加工性を有するものであればよいが、具体的には流動性を示すメルトフローインデックス(ASTM D1238−57Tの条件で測定)が、0.5〜100g/10分の範囲が一般的であり、好ましくは2〜80g/10分、より好ましくは5〜60g/分の範囲で、用途に応じて適宜選択される。
【0029】
本発明のポリアセタール樹脂成型体の接着方法では、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体の表面の、少なくとも一部、好ましくはその表面の半分以上、特に好ましくはその表面の実質上全面が、表面処理されて、その表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下される。
【0030】
一般に、ポリアセタールは他の結晶性高分子と比較して結晶化度が高いことが知られており、表面官能基が少ないことと合わせて接着性が低い原因と考えられる。本発明では、特定の表面処理を行うことによって、表面処理されたポリアセタール樹脂成型体の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を所定の範囲で低下させて、接着剤が浸透しやすくすることによって、接着性の向上を可能にしたものである。
【0031】
その表面処理としては、ポリアセタール樹脂成型体の表面における、1〜100nm、望ましく2〜50nm、特に望ましく5〜20nmの範囲の深さでのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させることが好ましい。かかる深さが1nm未満では、表面処理による接着性の向上効果が得にくく、またその深さが100nmを超えては所定の表面処理の実施が困難になるので、好ましくない。また、かかるポリアセタール樹脂成形体の表面における表面処理された深さは、後述するすれすれ入射X線回折法によって得られるものである。尚、それ以外に、SAICAS法によっても、表面処理された深さが測定され得る。そこで用いられるSAICAS(Surface And Interface Cutting and Analysys System:表面界面切削解析装置)は、切刃を精密に制御しながら材料を斜め切削し、その際に切刃にかかる水平抗力および垂直抗力から材料の深さ方向の力学物性を評価できる装置であって、たとえばダイプラ・ウィンテス社製サイカスNN型では、5nmの分解能で切削および表面力学物性評価が可能である。
【0032】
またその表面処理としては、接着剤により接着対象物に接着されるそのポリアセタール樹脂成型体の表面10nm程度までの、すれすれ入射X線回折法による見かけの結晶化度を、それより内部の、表面処理されていないポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%、望ましく15〜25%、特に望ましく20〜25%低下させるものであることが好ましい。表面の見かけの結晶化度が内部のそれに比して、10%未満で低下しても所定の接着性の向上効果が得にくく、また30%を超えて低下させることは材料強度が低下する恐れがあることと安定に実施しにくい場合があるので好ましくない。尚、かかるポリアセタール樹脂成型体の表面および内部の見かけの結晶化度は、後述するすれすれ入射X線回折法で入射補角αiを臨界補角αc以下、およびαc以上にすることにより得られる回折パターンからピーク分離によって測定され得るものである。
【0033】
また、ポリアセタール樹脂成型体における表面処理されていない内部のポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度は、そのポリアセタール樹脂成型体の用途に応じて適宜選択され得るものである。
【0034】
本発明におけるすれすれ入射X線回折法とは、X線を試料表面で全反射する臨界角以上の入射角で、即ち臨界補角α以下の入射補角で入射し、わずかにしみ込むエバネッセント波(消衰波)からの回折X線を検出することにより表面の構造情報を得る手法である。この際に、検出器を試料表面に対して面内方向(in−plane)に走査して回折X線を検出すると表面に垂直な結晶面由来の情報が、法線方向(out−of−plane)に走査して全反射するX線を検出すると表面に平行な結晶面由来の情報が得られる。すれすれ入射X線回折法の原理を図1に模式的に示した。即ち、αはX線の入射補角を表し、2θout-of-planeは法線方向(out−of−plane)での検出角度を表し、2θin-planeは面内方向(in−plane)での検出角度を表し、aは回折線の射出角度を表し、qxyは散乱ベクトルqの面内成分を表す。また、式q = 4πsinθ/λによって、qで表される散乱ベクトルが算出される。ここで、θはブラッグ角を表し、πは円周率を表し、λはX線の波長を表す。尚、すれすれ入射X線回折測定は、市販の実験室用装置でも可能であるが、より平行性および輝度が高い放射光を用いることが望ましい。
【0035】
図2に、ポリアセタール樹脂成形体に対するX線の入射補角αとX線の侵入深さの関係の一例を示した。ここでは、X線の侵入深さを、X線の強度が1/eになるまでの表面からの深さと定義している。尚、eは自然対数の底を示すネイピア数(約2.71828・・・)を表す。波長0.1nmのX線に対してポリアセタール樹脂成形体の臨界補角αは0.115°となり、この角度の前後でX線の侵入深さは大きく変化している。たとえばX線の入射補角αが0.08°では、理論上約6nmまでの深さの情報が得られることになる。一方、X線の入射補角がαを越えるとX線の侵入深さは急激に大きくなり、0.16°では約7μmのX線の侵入深さを呈する。このことから、入射補角αを変化させてX線解析を行えば、表面から深さ方向への構造解析が可能となることが解る。
【0036】
このように入射補角αを変化させて、すれすれ入射X線回折によるX線解析を行い、後述する方法で見かけの結晶化度を算出することによって、表面処理によって結晶性が変化した表面での深さ、即ち結晶性が変化した表面層の厚さを求めることが出来る。
【0037】
結晶性の評価では、上記のすれすれ入射X線回折の測定で得られる回折パターンをGauss関数およびLorentz関数を用いた最小二乗法によって結晶由来のピークと非晶由来のピークにピーク分離し、分離された結晶由来のピークと非晶由来のピークの各々の面積を求め、以下の式によって見かけの結晶化度が求められる。
見かけの結晶化度(%) = 結晶由来のピークの面積/(結晶由来のピークの面積+非晶由来のピークの面積)
ポリアセタール樹脂成型体のX線回折において、そのようにして得られるピーク分離の結果の一例を、図3に示した。
【0038】
すれすれ入射X線回折法による分析条件としては、後述する実施例において大型放射光施設SPring−8(兵庫県)により測定したように、以下のすれすれ入射X線回折法による分析の分析条件が挙げられる。
X線の波長λ:0.1nm
入射補角α:0.08度(表面)、0.16度(内部)
2θの範囲:2〜50度(ステップ:0.05°)
測定モード:面内方向(in−plane)での測定
尚、ここでステップとは2θの変化量を表す。
【0039】
本発明のポリアセタール樹脂成型体の接着方法における表面処理としては、不活性ガス雰囲気での気相表面処理、酸化ガス雰囲気での気相表面処理、反応性ガス雰囲気での気相表面処理等が挙げられるが、所定の接着性の向上効果を得るためには、不活性ガス雰囲気での気相表面処理が好ましい。そこでは、不活性ガス雰囲気での気相表面処理によってポリアセタール樹脂成形体表面の結晶性を低下させ、そのポリアセタール樹脂成形体表面に接着剤を浸透させて、その接着剤の官能基とそのポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させるものである。この際に、不活性ガス雰囲気ではなくて酸素が存在する条件では、ポリアセタール分子の切断および解重合による分解が起こり、接着性の向上は望めない。
【0040】
かかる不活性ガス雰囲気における不活性ガスとしては、Ar、N、He等が挙げられ、プラズマの安定性等の点で、Ar、Nが好ましく、特にArが好ましい。
【0041】
本発明のポリアセタール樹脂成型体の接着方法における表面処理としては、所定の接着性の向上を実現するのに、不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理が特に好ましい。背景技術でも述べたように、一般に樹脂成型体の表面活性化処理で用いられる紫外線照射処理、フレーム処理、オゾン処理、あるいは近年簡便さや効率の良さから多用される大気圧プラズマ処理等はポリアセタール樹脂成型体の接着性向上には効果がない。ところが減圧プラズマ処理、より好ましくは真空プラズマ処理が、処理条件によってはポリアセタール樹脂成型体の接着性を向上させることを見いだし、本発明に至ったものである。すなわち減圧プラズマ処理では、エッチング効果が高いとされるAr雰囲気での処理と酸化分解によるクリーニング効果が高いとされるO雰囲気での処理が知られているが、ポリアセタール樹脂成型体の接着性向上には、Ar雰囲気等の不活性ガス雰囲気での処理が望ましい。背景技術でも述べたように、酸化的な雰囲気ではポリアセタール分子が切断され、切断面から解重合によりホルムアルデヒドとして分解することによる。これに対してAr雰囲気等の不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理では、ポリアセタール分子の分解は抑制されつつポリアセタール樹脂成型体表面の結晶性が低下するため、接着剤が浸透しやすくなる効果があると考えられる。
【0042】
本発明のポリアセタール樹脂成型体の接着方法での表面処理としての、不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理において、不活性ガスとしては前述のようにAr、Nが好ましく、特にArが好ましい。また、その不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理における圧力としては、プラズマが安定に生成する点で、10〜30Paが好ましく、15〜25Paが特に好ましい。また、その減圧プラズマ処理における温度としては、試料の分解を抑える点で、0〜50℃が好ましく、0〜30℃が特に好ましい。尚、その減圧プラズマ処理の処理時間としては、好ましくは1〜60秒、特に好ましくは2〜10秒の範囲内で、その処理圧力、温度等に応じて適宜選択され得る。また、その減圧プラズマ処理時のガス流量としては、好ましくは1〜100mL/分、特に好ましくは5〜50mL/分の範囲内で、その処理圧力、温度、処理対象の大きさ等に応じて適宜選択され得る。
【0043】
本発明のポリアセタール樹脂成型体は、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法によるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度が、ポリアセタール樹脂成型体の内部におけるポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%低いことを特徴とするものであるが、そこでの表面における深さ、見かけの結晶化度および内部における見かけの結晶化度は、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法に関する上記のものと同様である。
【0044】
本発明のポリアセタール樹脂成型体としては、通常ポリアセタール樹脂が使用される成型体であればよく、特に限定されるものではない。
【0045】
本発明の複合成型体は、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面でのポリアセタール樹脂の結晶性を低下させると共に、ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に接着剤を浸透させて、接着剤の官能基とポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着したことを特徴とするものであるが、そこでの表面処理、およびポリアセタール樹脂の結晶性の低下等については、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法に関する上記のものと同様である。
【0046】
かかる複合成型体において、ポリアセタール樹脂成型体としては、通常ポリアセタール樹脂が使用される成型体であればよく、特に限定されるものではない。接着対象物の例としては特に限定されるものではないが、より具体的には、ポリアセタール樹脂成型体のほか、樹脂成型体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド等)、金属(Al、Cu等)、メッキ(Ni、Sn等)、およびセラミックス等が挙げられ、接着剤の例としてアクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリメタクリレート樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤等が挙げられる。尚、その複合成型体としては、通常ポリアセタール樹脂成型体が使用される複合成型体であればよく、特に限定されるものではない。
【0047】
また、本発明の複合成型体の具体例として、ポリアセタール樹脂成型体であるダンベル片を中央部で2つに切断し、各々の切断端部を真空プラズマ処理したのち、その表面処理された各々の切断端部を、接着剤を介して接着したものが、図4に例示される。即ち、図4では、ポリアセタール樹脂成型体1,1’の各々表面処理された面が、接着部2において接着剤(図示せず)を介して接着された状態にある。尚、補助材3,3’は、その接着の強度を測定する際にそれらを平行に保つためのものである。
【実施例】
【0048】
以下に本願発明についての実施例を挙げて更に具体的に本願発明を説明するが、それらの実施例によって本願発明が何ら限定されるものではない。
【0049】
実施例1〜6
市販のポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス株式会社製、商品名:ジュラコンM90‐44、ホルムアルデヒドとエチレングリコールのコポリマーの非強化標準材)をJIS引張試験用ダンベル片(チャック部幅20mm、平行部幅10mm、全長1170mm、平行部長80mm、厚さ4mm)に成型したサンプル(ポリアセタール樹脂成型体)を中央部で2つに切断した。切断された2つのサンプルをセットとして、各セットの2つのサンプルの各々の切断端部における6mm幅の表面を真空プラズマ処理に供した。各々の真空プラズマ処理は、パナソニックファクトリーソリューション株式会社製プラズマクリーナーPSX303を用いて、表1に示す各種の条件で行った。
【0050】
【表1】

【0051】
各セットの2つのサンプルの各々の切断端部における6mm幅の表面処理された表面について、上記のようなすれすれ入射X線回折法による解析等によって、表面処理の深さ、表面処理された領域での見かけの結晶化度、10nmの深さにおける見かけの結晶化度、および内部の見かけの結晶化度を求めた。その解析結果を以下の表2に示す。真空プラズマ処理を行ったときの表面の見かけの結晶化度は内部の見かけの結晶化度と比較して10〜30%低下していた。尚、比較例1,2については以下に説明する。
【0052】
【表2】

【0053】
得られた各セットの2つのサンプル1,1’の各々の切断端部における表面処理部2を、図4に示すように重ね合わせて、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて、100℃で1時間接着処理を行った。尚、各サンプル1,1’の他端部には、接着強度を測定する際のチャック時に各々のサンプルを平行に保つために、図4に示すように補強材3,3’を接着剤により取り付けた。そのようにして得られた各引張り試験サンプル(複合成型体)の表面処理部2での接着強度について、万能試験機(A&D製Tensilon RTC−1250、ロードセル:1kN)を使用した引張せん断試験で、空気中で、5mm/分の剥離速度の条件で評価した。得られた評価結果を表3にしめす。
【0054】
【表3】

【0055】
比較例1
上記の実施例1と同様にして準備した、切断された2つのサンプルをそのまま使用して、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて100℃で1時間接着した。接着試験は、実施例1と同様に引張せん断試験とし、空気中、剥離速度5mm/分の条件で評価した。このときの接着強度は0MPaと非常に低かった。またこのときの表面の見かけの結晶化度は内部のそれとほぼ同等であった。尚、未処理のサンプルの「表面処理領域での見かけの結晶化度」については、表面での結晶化度を用いた。その結果を、上記の表2,3に合わせて示す。
【0056】
比較例2
上記の実施例1と同様にして準備した、切断された2つのサンプルの各々の切断端部における6mm幅の表面を、以下のように、大気圧プラズマ処理に供した。大気圧プラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン社製大気圧プラズマ処理装置Aiplasmaを用いて、Ar流量が2.14L/分、O2流量が27ml/分、25℃、圧力0.1MPa、140Wの条件でプラズマを発生させ、走査距離5mm、走査速度10mm/秒(5mmピッチ)で1回処理した。その他は実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、0MPaと非常に低かった。またこのときの表面の見かけの結晶化度は内部のそれとほぼ同等であった。その結果を、上記の表2,3に合わせて示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着するポリアセタール樹脂成型体の接着方法であって、
該ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、該少なくとも一部の表面での該ポリアセタール樹脂の結晶性を低下させること、および
該ポリアセタール樹脂成型体の該少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に該接着剤を浸透させて、該接着剤の官能基と該ポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着性を発現させること
を含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
【請求項2】
前記表面処理が、前記ポリアセタール樹脂成型体の該少なくとも一部の表面における1〜100nmの範囲の深さでの該ポリアセタール樹脂の結晶性を低下させるものである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
【請求項3】
前記表面処理が、該ポリアセタール樹脂成型体の該少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法による該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度を、該ポリアセタール樹脂成型体の内部における該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%の範囲で低下させるものである、請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
【請求項4】
前記表面処理が、不活性ガス雰囲気での気相表面処理である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
【請求項5】
前記気相表面処理が、不活性ガス雰囲気での減圧プラズマ処理である、請求項4に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
【請求項6】
ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法による該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度が、該ポリアセタール樹脂成型体の内部における該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%低い、ポリアセタール樹脂成型体。
【請求項7】
前記ポリアセタール樹脂成型体が接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、前記ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面が、前記ポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面である、請求項6に記載のポリアセタール樹脂成型体。
【請求項8】
前記ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面が、該少なくとも一部の表面を表面処理して、該少なくとも一部の表面での該ポリアセタール樹脂の結晶性を低下させたものである、請求項6または7に記載のポリアセタール樹脂成型体。
【請求項9】
ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、該ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面を表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の該少なくとも一部の表面での該ポリアセタール樹脂の結晶性を低下させると共に、該ポリアセタール樹脂成型体の該少なくとも一部の表面に生成した低結晶性領域に該接着剤を浸透させて、該接着剤の官能基と該ポリアセタール樹脂成形体の官能基との相互作用により接着した、複合成型体。
【請求項10】
前記表面処理によって、前記ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における1〜100nmの範囲の深さでの該ポリアセタール樹脂の結晶性が低下されたものである、請求項9に記載の複合成型体。
【請求項11】
前記表面処理によって、前記ポリアセタール樹脂成型体の少なくとも一部の表面における5〜10nmの範囲の深さでの、すれすれ入射X線回折法による該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度が、該ポリアセタール樹脂成型体の内部における該ポリアセタール樹脂の見かけの結晶化度と比較して10〜30%の範囲で低下されたものである、請求項9または10に記載の複合成型体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162675(P2011−162675A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27488(P2010−27488)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】