説明

ポリアルキレングリコール酸添加剤

【課題】新しい種類の活性化されたポリアルキレングリコール酸エステル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下式の化合物又はAが水素である場合のその加水分解可能なエステル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ポリアルキレングリコール酸及びそれらを治療的に活性な生物薬剤(biopharmaceuticals)に結合させてこれらの生物薬剤との治療的に活性なポリアルキレングリコールコンジュゲート(conjugates)を製造することに関する。
【0002】
生物薬剤、例えば、タンパク質及びペプチドへの親水性ポリアルキレングリコール線状ポリマー(PAGとして知られた)の化学的結合(chemical attachment)は生物工学においてよく知られておりそして普通に使用されている。最もよく知られたポリアルキレングリコール分子はポリエチレングリコールポリマー(PEGとして知られた)である。
【0003】
PAGの生物工学的用途の例として、PAGのある活性な誘導体を生物薬剤、例えばタンパク質及び酵素に結合させて有利な結果を得た。PAGは有機溶媒に可溶性であるので、生物薬剤、例えば、酵素又はタンパク質に結合させたPAGは有機溶媒に可溶性であり且つ有機溶媒中で活性なコンジュゲートを生成することができる。タンパク質へのPAGの結合は、修飾されていないタンパク質と比べてPAG−タンパク質コンジュゲートの免疫原性及び腎クリアランスの速度を減少させることができる。更に、生物薬剤、例えば、タンパク質へのPAGの結合は、これらのPAGコンジュゲートの血中循環寿命を劇的に増加させることもできる。
【0004】
生物薬剤、例えば、タンパク質とのPAG複合体(complexes)の製造においては、特定の生物薬剤の薬物動態学が薬物の有効性及び効果の持続時間の両方を支配するであろう。生物薬剤、特にタンパク質及びポリペプチドの免疫原性、水不溶性及び短いインビボ(in vivo)半減期の点から、これらの生物薬剤のクリアランスの速度を減少させて、長期の作用を達成することができるようにすることは極めて重要となってきた。これは、これはタンパク質上の電荷及びその分子サイズの両方により達成されうる糸球体ろ過を回避又は抑制することにより達成することができる(Brenner et al.,(1978)Am.J.Physiol.,234,F455)。分子容積を増加させそして潜在的エピトープ部位をマスクすることにより、ポリマーによる治療的生物薬剤、例えばポリペプチド及びタンパク質の修飾は、生物薬剤、特にタンパク質のクリアランスの速度及び免疫原性の両方を減少させるのに有効であることが示された。減少したタンパク質分解、増加した水溶性、減少した腎クリアランス及び受容体媒介クリアランスに対する立体障害は、生物薬剤、例えばポリペプチド及びタンパク質の主鎖へのPAGポリマーの結合が薬物の薬物動態学的性質を高めるのに有利である多数の機構である。かくして、Davis et al.,U.S.Pat.No.4,129,337は、タンパク質、例えば酵素及びインスリンにPEGをコンジュゲーションさせて(conjugating)、この生物薬剤の生物学的活性の実質的割合を保持しながら、免疫原性のより少ない生成物を製造することを開示している。
【0005】
生物薬剤、例えばタンパク質の修飾のために開発された多様な種類の活性なPAG、特にPEG試薬があり(例えば、Zalipsky,et al,and Harris et al.in:Poly(ethylene glycol)Cemistry:Biotechnical and Biomedical Applicaions;(J.M.Harris ed.)Plenum Press:New York,1992;Chap 21 and 22)、その大部分はPEGと生物薬剤との間に連結基の形成を必要とする。これらの試薬のいくらかは、コンジュゲーション反応が行われる水性媒体中で様々な程度に不安定である。更に、コンジュゲーションプロセスは、しばしばいくつかのファクターによるインビトロ(in vitro)生物学的活性の損失をもたらし、これらのファクターの第一位のものはタンパク質活性部位との立体相互作用である。ゆえに新規な試薬の所望される性質は水性媒体中で分解を受けにくいこと及びタンパク質の部位特異的修飾に影響を与えるのに使用することができることであろう。
【0006】
本発明に従えば、我々は、生物薬剤、例えばポリペプチド、糖、タンパク質及び治療的に活性な小さな分子にコンジュゲーションさせるための新しい種類の活性化されたポリアルキレングリコール酸及びそれらの活性なエステル試薬を発見した。これらの試薬は、下記式:
【0007】
【化25】

【0008】
〔式中、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数であり、そしてAは水素又は活性化された離脱性基(activated leaving group)であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕;
【0009】
【化26】

【0010】
〔式中、R、PAG、X及びAは上記のとおりであり、wは1〜3の整数であり、そしてR及びRの1つは低級アルキルでありそして他方は水素又は低級アルキルである〕;及び
【0011】
【化27】

【0012】
〔式中、R、A及びXは上記のとおりであり、PAGは末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は約500〜約25,000ダルトンの分子量を有し、yは0〜3の整数であり、vは1〜3の整数でありそしてkは1〜2の整数である〕;
のいずれかを有するこれらの化合物、又はAが水素である場合のその加水分解可能なエステルである。
【0013】
上記した式I−Aの好ましい化合物は、式:
【0014】
【化28】

【0015】
〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは上記したとおりである〕
の化合物である。
【0016】
上記した式I−Aの他の好ましい化合物は、式:
【0017】
【化29】

【0018】
〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは上記したとおりである〕
の化合物である。
【0019】
上記した式I−Bの好ましい化合物は、式:
【0020】
【化30】

【0021】
〔式中、A、R、PAG、R、R及びwは上記したとおりである〕
の化合物である。
【0022】
上記した式I−Cの好ましい化合物は、式:
【0023】
【化31】

【0024】
〔式中、R、PAG、A、v、y及びkは上記したとおりである〕
の化合物である。
【0025】
好ましくは、Aは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステル又はその加水分解可能なエステルを形成し、更に好ましくは、Aは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する。
【0026】
上記した化合物において、Aは好ましくは水素である。Aが活性化された離脱性基である上記した化合物も好ましい。上記した化合物、特に、Aが好ましい活性化された離脱性基である式I−C1の化合物において、Aは好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミジルである。
【0027】
他の好ましい態様では、Rはメチルである。PAGがPEG、ポリエチレングリコール末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じる二価のポリエチレングリコール残基、である上記した化合物も好ましい。好ましくは、PEGは10,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜35,000の分子量を有する。PAGがPEGである上記した式I−Cの化合物において、PEGは好ましくは500〜15,000の分子量を有する。
【0028】
更なる好ましい態様では、nは0でありそしてmは4である。好ましくは、wは1である。
【0029】
他の好ましい態様では、本発明は、式:
【0030】
【化32】

【0031】
〔式中、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数でありそしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の活性化されたエステルを製造する方法であって、式:
【0032】
【化33】

【0033】
〔式中、R及びPAGは上記のとおりであり、そしてVは−OH又は−NH
の化合物を、式:
【0034】
【化34】


〔式中、Rは加水分解可能なエステル保護基を形成しそしてYはハロゲン化物でありそしてR、R、m及びnは上記のとおりである〕
の化合物と縮合させて、式:
【0035】
【化35】

【0036】
〔式中、R、PAG、X、R、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ
該エステルを加水分解して、式:
【0037】
【化36】

【0038】
〔式中、R、PAG、X、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成し、そして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法に関する。
【0039】
他の好ましい態様では、式:
【0040】
【化37】

【0041】
〔式中、Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、wは1〜3の整数であり、そしてR及びRの1つは低級アルキルでありそして他方は水素又は低級アルキルであり、そしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の活性化されたエステルを製造する方法であって、式:
【0042】
【化38】

【0043】
〔式中、w、R、Rは上記のとおりであり、Yはハロゲン化物でありそしてRは加水分解可能なエステル保護基を形成する〕
の化合物を式:
【0044】
【化39】

【0045】
〔式中、R及びPAGは上記のとおりであり、Vは−OH又は−NHである〕
の化合物と縮合させて、式:
【0046】
【化40】

【0047】
〔式中、w、R、PAG、X、R、R及びRは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ、該エステルを加水分解して、式:
【0048】
【化41】

【0049】
〔式中、w、R、PAG、X、R、R及びRは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成させそして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法に関する。
【0050】
他の好ましい態様では、本発明は、式:
【0051】
【化42】

【0052】
〔Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、Aは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成し、PAGは末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は約500〜約25,000ダルトンの分子量を有し、yは0〜3の整数であり、vは1〜3の整数でありそしてkは1〜2の整数である〕
の活性化されたエステルの製造方法であって、式:
【0053】
【化43】

【0054】
〔式中、y及びvは上記のとおりであり、Yはハロゲン化物でありそしてRは加水分解可能なエステル保護基を形成する〕
の化合物を、式:
【0055】
【化44】

【0056】
〔式中、R、PAG及びkは上記のとおりであり、Vは−OH又は−NHである〕
の化合物と縮合させて、式:
【0057】
【化45】

【0058】
〔式中、R、PAG、X、R、k、v及びyは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ、該エステルを加水分解して、式:
【0059】
【化46】

【0060】
〔式中、R、PAG、X、k、v及びyは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成させ、そして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法に関する。
【0061】
上記した方法において、該離脱性基は好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミジルである。
【0062】
本発明の更なる好ましい態様は、式:
【0063】
【化47】

【0064】
〔式中、Pは末端ヒドロキシ基が除去されている末端ヒドロキシ基を有する生物薬剤の残基であり、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数である〕
のコンジュゲートに関する。
【0065】
上記したコンジュゲートにおいて、Pは好ましくはグリコシド、又はAzTの残基である。好ましくは、Xは−O−である。好ましくは、PAGは10,000〜15,000の分子量を有するポリエチレングリコール残基である。好ましくは、Rはメチルである。
【0066】
本発明の他の好ましい態様は、式:
【0067】
【化48】

【0068】
〔式中、Pは末端ヒドロキシ基が除去されている末端ヒドロキシ基を有する生物薬剤の残基であり、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数である〕
のコンジュゲートに関する。
【0069】
上記したコンジュゲートにおいて、Pは好ましくはタンパク質又はポリペプチドの残基であり、更に好ましくは、Pは配列番号1における如き配列を有するポリペプチドT−20である。好ましくは、Xは−O−である。好ましくは、PAGは10,000〜15,000の分子量を有するポリエチレングリコール残基である。
【0070】
これらの化合物は、生物薬剤、例えば、ポリペプチド、糖、タンパク質及びグリコシドとのコンジュゲートを形成するための有用な試薬である。式I−A、I−B及びI−Cの化合物は、それらが生物薬剤、例えば、タンパク質、ペプチド及びグリコシドとコンジュゲートを形成するとき、それらの薬物動態学的性質及び薬力学的性質を高める。これらの臨床的に有用な性質は、とりわけ、より長いインビボ循環半減期、減少したクリアランス及び高められた効力、有効性の潜在的改良をもたらすバイオディストリビューション(bio−distribution)の変化、減少した免疫原性、減少した毒性、より良好な物理的及び熱的安定性、タンパク質分解に対する保護を含む。式I−A、I−B及びI−Cの化合物の安定性は、それらを生物薬剤に容易にコンジュゲーションさせて変性の危険を減少させることを可能とする。
【0071】
式I−A、I−B及びI−Cの試薬は、アミノ又はヒドロキシ含有生物薬剤のアミノ又はヒドロキシ基にコンジュゲーションさせて、誘導されるコンジュゲートの元の生物薬剤の生物学的活性の実質的な部分を保持するコンジュゲートを生成させることができる。一般に、コンジュゲーションの目的で、アミノ又はヒドロキシ含有生物薬剤は末端アミノ又はヒドロキシ基を含有することが好ましい。この末端アミノ又はヒドロキシ基は、それを介して本発明の試薬をコンジュゲーションさせて本発明に従うコンジュゲートを生成させることができる。本発明の試薬は水性媒体中で分解を受けにくく、それゆえ本発明の試薬は生物薬剤と容易に反応して、治療目的で水性媒体中に投与されうるコンジュゲートを形成することができる。
【0072】
ポリアルキレングリコールという用語は、アルキレン基が2〜7個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖基であるポリ(低級アルキレン)グリコール基を表す。「低級アルキレン」という用語は、2〜7個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖二価アルキレン基、例えば、ポリエチレン、ポリn−プロピレン、ポリイソプロピレン、ポリn−ブチレン及びポリイソブチレン並びに混合アルキレングリコールから形成されるポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン基の混合物を含有するポリマー及びポリイソプロピレン、ポリエチレン及びポリイソブチレン基の混合物を含有するポリマーを表す。分岐鎖アルキレングリコール基は、ポリアルキレングリコール置換基を構成するアルキレン部分の炭素原子の総数が2〜7となるように、アルキレン基の直鎖に含有される炭素原子の数に依存して2〜4個の炭素原子のポリマー鎖の低級アルキル基を与える。「低級アルキル」という用語は、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等を含み、メチルが特に好ましい。
【0073】
本発明の好ましい態様に従えば、式I−A、I−B及びI−Cの化合物中のPAGは2つの末端ヒドロキシ基の除去により形成されるポリエチレングリコール残基である。更に、本発明に従えば、式I−A及びI−Bの化合物中のPAG残基は、約10,000〜約50,000、最も好ましくは約20,000〜約40,000の分子量を有し、約25,000〜約35,000が特に好ましい。式I−Cの化合物においては、2つのPAG1基は約10,000〜約50,000、好ましくは、約20,000〜約40,000、最も好ましくは約25,000〜約35,000の合同分子量(combined molecular weight)を有することが一般に好ましい。
【0074】
式I−A、I−B及びI−Cの試薬は、遊離ヒドロキシ又はアミノ基を含有するいかなる慣用の生物薬剤にもコンジュゲーションさせることができる。縮合は遊離酸を介して又は活性化されたエステルの使用によるものであることができる。
【0075】
本発明に従えば、式I−A、I−B及びI−Cの試薬は、タンパク質、ペプチドまたは小さな有機部分を有する生物薬剤の遊離ヒドロキシ又は遊離アミノ基と反応させて、エーテルまたはアミドコンジュゲートを形成させることができる。
【0076】
本発明に従えば、エーテル又はアミドコンジュゲートは下記の反応スキームにより本発明の試薬の化合物から製造することができる。エステルコンジュゲートを形成する際には、試薬を下記の如き末端ヒドロキシ基を含有する生物薬剤と反応させる。
【0077】
【化49】

【0078】
式中、Pは末端ヒドロキシを有する生物薬剤の末端ヒドロキシ基が除去されている残基である。
【0079】
この反応スキームにおいて、Bは末端反応性酸又は活性化された酸離脱性基が欠けた化合物I−A、I−B及びI−Cをまとめて表したものである。この反応を行う際には、反応性酸基をアルコールと反応させることによりエステルを形成するいかなる慣用の方法もエステルコンジュゲートを形成するのに使用することができる。中でも好ましい方法は、カップリング触媒を使用してカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に酸とアルコールをカップリングさせることである。いかなる慣用のカップリング触媒、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及び(4−ジメチルアミノ)ピリジン又はその混合物を使用することができる。一般にこの反応は不活性有機溶媒媒体中で行われる。この反応はこの酸の遊離又は活性化されたエステル誘導体により行うことができる。活性化された酸誘導体が使用されるならば、カップリング触媒及び/又はカップリング剤を使用する必要はない。この反応を行う際には、温度及び圧力は決定的に重要ではなくそして室温で行うことができる。しかしながら、所望により、より高い又はより低い温度を使用することができる。この反応に従えば、Pは末端ヒドロキシ基を有するいかなる生物薬剤の残基であることもできる。エステルを形成するために、中でも好ましい末端ヒドロキシ基を有する生物薬剤はヌクレオシド、例えばAZTである。更にPは末端ヒドロキシ基を有するいかなるこのような小さな分子の生物薬剤であってもよい。
【0080】
アミドを形成する際には、下記の反応の化合物が使用される。
【0081】
【化50】

【0082】
式中、Pは末端アミノ基を有する生物薬剤の末端アミノ基が除去されている残基である。
【0083】
上記反応において、スキームBは先に記載されたとおりである。この反応に従えば、Pは末端アミノ基を有するすべての生物薬剤、例えば末端アミノ基を有するタンパク質もしくはペプチド又は小分子生物薬剤の残基であることができる。好ましいタンパク質及びペプチドには、インターフェロン−α、インターフェロン−β、コンセンサスインターフェロン、GCSF、GM−CSF、インターロイキン、コロニー刺激因子、並びに免疫グロブリン、例えば、IgG、IgE、IgM、IgA及びIgD及びその断片が含まれる。他の好ましいアミノ生物薬剤はU.S.Patent5,464,933に記載されたこれらのペプチド、特に構造:Tyr Thr Ser Leu ILe His Ser Leu Ile Glu Glu Ser Gln Asn Gln Gln Glu Lys Asn Glu Gln Glu Leu Leu Glu Leu Asp Lys Trp Ala Ser Leu Trp Asn Trp Phe(配列番号1)を有するT−20ペプチドである。
【0084】
アミドを生成させるための反応は、酸又は活性化された酸誘導体「OA」をアミドとカップリングさせてペプチド結合を形成するためのいかなる慣用の手段も使用することにより行われる。酸とアミンとを反応させてアミドを形成させることによりペプチド結合を形成するためのいかなる慣用の方法もコンジュゲートを形成するのに使用することができる。
【0085】
本発明に従えば、OAはいかなる慣用の酸活性化離脱性基(acid activating leaving group)であってもよい。中でも、好ましい酸活性化離脱性基は、ハロゲン、例えば塩素及び臭素、N−スクシンイミジルオキシ、スルホ−N−スクシンイミジルオキシ、1−ベンゾトリアゾリルオキシ、1−イミダゾリル、p−ニトロフェニルオキシ、2,3,4−トリクロロフェニルオキシ、ペンタクロロフェニルオキシ、ペンタフルオロフェニルオキシ、N−フタルイミジルオキシ、N−テトラヒドロフタルイミド、N−グルタルイミド、1−ヒドロキシピペリジン、5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、N−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミド、及びヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールである。
【0086】
Xが0である式I−Aの化合物、
【0087】
【化51】

【0088】
〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
は、式:
【0089】
【化52】

【0090】
〔式中、R及びPAGは上記のとおりである〕
のPAGヒドロキシ化合物を、式:
【0091】
【化53】

【0092】
〔式中、Rは加水分解可能なエステル保護基を形成し、Yはハロゲン化物でありそしてR、R、m及びnは上記のとおりである〕
の化合物と、下記反応スキーム:
【0093】
【化54】

【0094】
〔式中、R、PAG、m及びnは上記のとおりであり、そしてAは活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
によって反応させることにより製造される。
【0095】
式Vの化合物は、式VIの化合物と縮合させると、式VIIIの化合物を生成する。この反応において、式Vの化合物と式VIの化合物をアルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムの存在下に有機溶媒中で還流させることにより、式Vの化合物を式VIの化合物と反応させる。アルコールをハロゲン化物と縮合させるのに使用されるいかなる慣用の方法もこの反応を行うのに使用することができる。一般に、不活性有機溶媒として芳香族炭化水素溶媒、例えば、ベンゼン及びトルエンを使用することが好ましい。しかしながら、この反応を行うのにいかなる慣用の不活性有機溶媒も使用することができる。式VIの化合物において、Rはいかなる慣用の酸加水分解可能なエステル保護基であってもよい。一般に、これらの加水分解可能なエステル保護基は低級アルキルエステル保護基を含む。式VIIIの化合物は、慣用の手段、例えば、水性媒体中での塩基、例えばアルカリ金属水酸化物による塩基性加水分解により、式IXの化合物に加水分解される。次いで式IXの酸は、N−ヒドロキシスクシンイミドとの反応により活性化離脱性基、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジル基の使用によって、その活性化された形態、即ち、式Xの化合物に変換される。しかながら、式Xの化合物を形成するのにいかなる慣用の活性化離脱性基も使用することができ、例えば、前記した活性化離脱性基を使用することができる。式Xの化合物を生成させるのに、カルボン酸を活性化離脱性基、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジル基を含有する活性化エステルに変換するいかなる慣用の方法も使用することができる。
【0096】
前記した反応スキームにより式Vを式VIの化合物と縮合させることにより式IX及びXの化合物を含む式I−A−1の化合物を製造する際に、この反応スキームを下記の一般的方法において更に説明することができる。
【0097】
トルエン50〜100mL中の式VのPEG化合物(1000〜40000の分子量)5グラムを1〜3時間還流により共沸乾燥し、次いでトルエン20〜30mLを除去した。得られる混合物を無水テトラヒドロフラン20〜30mLに溶解させそしてアルゴン流下の丸底フラスコ中の水素化ナトリウム(5〜10倍モル過剰)及び無水テトラヒドロフラン(20〜30mL)に滴下により加えた。得られる混合物を一夜還流した。式VIの下記のハロ酸エステルを使用して式VIIIの化合物を製造した:5−ブロモ吉草酸メチルもしくは(5−ヨード吉草酸エチル;又は、6−ブロモヘキサン酸エチル、ω−クロロ吉草酸エチル;又は6−ブロモヘキサン酸メチルエステル;又は7−ブロモヘプタン酸メチル;又は7−ブロモヘプタン酸エチル;又は8−ブロモオクタン酸メチル;又は8−ブロモオクタン酸エチル;又は10−ブロモデカン酸メチル;又はw−ブロモウンデカン酸エチル;又は11−ブロモウンデカン酸メチル又はブロモミリスチン酸メチル;又は15−ブロモペンタデカン酸エチル;又は16−ブロモ−ヘカデカンカルボン酸メチルエステル;又は17−ブロモ−ヘパデカンカルボン酸メチルエステル;又は3−クロロ酪酸メチル、3−ブロモ酪酸メチル;又は3−ブロモ酪酸エチル、β−ブロモ吉草酸エチル;又はβ−ブロモカプロン酸エチル)(5〜10モル過剰)を注射器によって反応に加えそして反応を一夜還流した。次いで反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮させた。式VIIIの化合物を含有する残留物を2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)への添加により沈殿させた。沈殿した生成物、式VIIIの化合物をろ別しそして真空中で乾燥した。
【0098】
式VIIIのPEG酸エステル(4g)を1N水酸化ナトリウム50〜100mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを1〜6N塩酸の添加により2.5〜3.0に調節しそして混合物をジクロロメタンにより抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。式IXのPEG酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。
【0099】
式IXのPEG酸(2g)を無水ジクロロメタン(10〜20mL)に溶解し、次いでNヒドロキシスクシンイミド(1.05〜2.0倍モル過剰)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(1.05〜2.0倍モル過剰)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)により沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥して式Ia1の活性化エステル、式Xの化合物を生成させた。
【0100】
最初に式XIIの化合物を式VIの化合物と反応させて、式:
【0101】
【化55】

【0102】
〔式中、R、R、R、R、PAG、m及びnは上記のとおりである〕
の化合物を生成させることにより、式:
【0103】
【化56】

【0104】
〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
を有する、XがNHである式I−Aの化合物を、
【0105】
【化57】

【0106】
〔式中、R及びPAGは上記のとおりである〕
の化合物から製造する。
【0107】
式XIIIの化合物を生成させるための反応は、式XIIのアミンを式VIの化合物のハロゲン化物と縮合させることにより行われる。アミンをハロゲン化物と縮合させるいかなる慣用の方法もこの反応を行うのに使用することができる。式XIIIの化合物は、中間体:
【0108】
【化58】

【0109】
〔式中、R、PAG、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
を経由して、Aが離脱性基である式I−A2の化合物に変換される。
【0110】
式XIVの化合物を形成するためのこの変換は、本明細書において前記した慣用の塩基性加水分解により行われる。式XIVの化合物は、Aが活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する式1A2の化合物に、式IXの化合物の式Xの化合物への変換に関して述べたのと同じ方法で変換される。
【0111】
一般に、最初に式XIIを有する化合物を式VIの化合物と反応させて式1−A2の化合物を生成させることにより、Aが活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素と一緒になってエステルを形成する式1−A2の化合物を製造する方法は、下記の一般的反応シーケンスにより更に説明することができる。
【0112】
段階1
式XIIのPEGアミン(1000〜40000の分子量)5グラムを無水エタノール25〜50mLに溶解した。次いで、5−ブロモ吉草酸メチル又は(5−ヨード吉草酸エチル、6−ブロモヘキサン酸エチル、又はω−クロロ吉草酸エチル、又は6−ブロモヘキサン酸メチルエステル、又は7−ブロモヘプタン酸メチル、又は7−ブロモヘプタン酸エチル、又は8−ブロモオクタン酸メチル、又は8−ブロモオクタン酸エチル、又は10−ブロモデカン酸メチル、又はw−ブロモウンデカン酸エチル、又は11−ブロモウンデカン酸メチル、又はブロモミリスチン酸メチル、又は15−ブロモペンタデカン酸エチル、又は16−ブロモ−ヘカデカンカルボン酸メチルエステル、又は17−ブロモ−ヘパデカンカルボン酸メチルエステル、又は3−クロロ酪酸メチル、又は3−ブロモ酪酸メチル、又は3−ブロモ酪酸エチル、又はβ−ブロモ吉草酸エチル、又はβ−ブロモカプロン酸エチル)(5〜10モル過剰)であることができる式VIの化合物をPEG溶液に加えた。得られる混合物を室温で一夜攪拌した。次いで反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮した。残留物を2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)への添加により沈殿させた。沈殿した生成物をろ別しそして真空中で乾燥して式XIIIの化合物を生成させた。
【0113】
段階2
式XIIIのPEG酸エステル(4g)を1N水酸化ナトリウム50〜100mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを1〜6N塩酸の添加により2.5〜3.0に調節しそして混合物をジクロロメタンにより抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。式XIVの生成物PEG酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。
【0114】
式XIVのPEG酸(2g)を無水ジクロロメタン(10〜20mL)に溶解し、次いでNヒドロキシスクシンイミド(1.05〜2.0倍モル過剰)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(1.05〜2.0倍モル過剰)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)により沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥して、Aが活性化された離脱性基であり、この離脱性基がその結合した酸素と一緒になって化エステルを形成する式I−A2の化合物を生成させた。
【0115】
式:
【0116】
【化59】

【0117】
〔式中、A、R、PAG、R、R、w及びnは上記のとおりである〕
を有する、XがOである式I−Bの化合物は、式Vの化合物を式:
【0118】
【化60】

【0119】
〔式中、w、Y、R、R及びRは上記のとおりである〕
の化合物と反応させて、式:
【0120】
【化61】

【0121】
〔式中、w、R、PAG、R、R、及びRは上記のとおりである〕
の化合物を生成させることにより製造される。
【0122】
式XXの化合物を式Vの化合物と反応させて式XXIの化合物を生成させる反応は、式VIIの化合物を生成させるための式V及びVIの化合物の反応に関して説明したのと同じ方法で行われる。式XXIの化合物を次いで本明細書で前記した条件を使用する塩基性加水分解に付して、式:
【0123】
【化62】

【0124】
〔式中、R、PAG、R及びRは上記のとおりである〕
の化合物を形成させる。
【0125】
次いで式XXIIの化合物を、Aが活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素と一緒になってエステルを形成する式I−B1の化合物に変換させる。この変換は式IXの化合物からの式Xの化合物の形成に関して説明したのと同じ方法で行われる。
【0126】
式:
【0127】
【化63】

【0128】
〔式中、A、R、PAG、R及びR、及びwは上記のとおりである〕
を有する、XがNHである式I−Bの化合物は、式XIIの化合物を式XXの化合物と反応させることにより製造される。この反応は、式:
【0129】
【化64】

【0130】
〔式中、R、PAG、R、R、及びRは上記のとおりである〕
の化合物を生成させる。
【0131】
式XXVの化合物を生成させるための式XXの化合物と式XIIの化合物との反応を、式XIIIの化合物を生成させるための式XIIの化合物と式VIの化合物との反応に関して説明したのと同じ方法で行う。次いで式XXVの化合物を本明細書で前記した条件を使用する塩基性加水分解に付して、式:
【0132】
【化65】

【0133】
〔式中、R、PAG、R及びRは上記のとおりである〕
の化合物を形成させる。
【0134】
式XXの化合物と式IIIの化合物との反応による式I−B2の化合物の形成は、式VIの化合物が式XXの化合物で置き換えられていることを除いては、式I−A2の化合物に関して説明したのと同じ方法で行われる。
【0135】
式:
【0136】
【化66】

【0137】
〔式中、R、PAG、A、v、y及びkは上記のとおりである〕
の化合物である、XがOである式I−Cの化合物は、式:
【0138】
【化67】

【0139】
〔式中、Y、R、y及びvは上記のとおりである〕
の化合物の、式:
【0140】
【化68】

【0141】
〔式中、R、PAG及びkは上記のとおりである〕
の化合物との反応により製造される。
【0142】
式I−C1の化合物の形成は、下記の反応スキーム:
【0143】
【化69】

【0144】
〔式中、A、R、PAG、n及びvは上記のとおりである〕
によって行われる。
【0145】
化合物式I−C1の形成において、式XXXVIの化合物2モルを式XXXVの化合物1モルと反応させる。この反応は、本明細書において前記した式V及びVIの化合物の反応に関して記載したのと同じ条件を使用して行われる。この方法においては、式XXXVIIの化合物が生成される。式VIIIの式IXの化合物への加水分解に関して記載したのと同じ方法において、式XXXVIIの化合物を加水分解して式XXXVIIIの化合物を形成させる。最後の段階において、式IXの化合物の形成に関して記載したのと同じ方法において、式XXXVIIIの化合物を反応させてカルボキシル基を活性化離脱性基に変換させる。この方法において、式XXXVIIIの化合物はAが活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素と一緒になってエステルを形成する式1−C1の化合物に変換される。
【0146】
XがNHである式I−Cの化合物、即ち、式:
【0147】
【化70】

【0148】
〔式中、A、R、PAG、v、w及びyは上記のとおりである〕
の化合物は、下記の反応スキーム:
【0149】
【化71】

【0150】
によって上記式XXXVの化合物と式:
【0151】
【化72】

【0152】
〔式中、R、PAG及びkは上記のとおりである〕
の化合物との反応により製造される。
【0153】
この反応の第1段階において、式XXXVの化合物を式XL1の化合物と反応させて式XLIIの化合物を生成させる。この反応は、式XIIの化合物を式VIの化合物と反応させて式XIIIの化合物を生成させることに関して記載したのと同じ方法で行われる。次の段階において、式XIIIの化合物の加水分解に関して記載したのと同じ方法において、式XLIIの化合物を式XLIIIの化合物に加水分解する。次いで式XLIIの化合物を反応させて、カルボキシル基を本明細書で前記した活性化離脱性基に変換させて、Aが活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素と一緒になってエステルを形成する式I−C−2の化合物を生成させる。この反応は、式XIVの化合物の式I−A2の化合物への変換に関して記載したのと同じ方法において行われる。
【実施例】
【0154】
実施例1
PEGのα−メトキシ、ω−吉草酸スクシンイミジルエステルの製造
【0155】
【化73】

【0156】
トルエン50mL中の、Rがメチルであり、PAGが10000の分子量を有するPEGである、式Vの化合物(5.0g、0.5ミリモル)を2時間還流することにより共沸乾燥し、次いでトルエン40mLを除去した。得られる混合物を無水テトラヒドロフラン30mLに溶解しそしてアルゴン流下の丸底フラスコ中の水素化ナトリウム(0.12g、5ミリモル)及び無水テトラヒドロフラン(20mL)に一滴ずつ加えた。得られる混合物を一夜還流した。5−ブロモ吉草酸エチル(0.79mL、5ミリモル)を注射器を介して反応に加えそして反応を一夜還流した。次いで反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮した。残留物を2−プロパノールとジエチルエーテルとの混合物(1:1)の混合物への添加により沈殿させた。沈殿した生成物をろ別しそして真空中で乾燥した。収量:PEGが1,000の分子量を有する表題の化合物(m−PEG吉草酸エチルエステル)4.5g。
【0157】
m−PEG吉草酸エチルエステル(4g)を1N水酸化ナトリウム100mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを6N塩酸の添加により2.5に調節しそして混合物をジクロロメタン(50mL、40mL、30mL)により抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。PEGが1,000の分子量を有する生成物m−PEG吉草酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。収量:3g。
【0158】
【表1】

【0159】
m−PEG吉草酸(2g、0.2ミリモル)を無水ジクロロメタン(10mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(47mg、0.41ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(87mg、0.42ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)により沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥した。収量:表題の化合物1.6g
【0160】
【表2】

【0161】
実施例2
PEGのα−メトキシ、ω−βブタン酸スクシンイミジルエステルの製造
【0162】
【化74】

【0163】
トルエン50mL中の、PAGが10000の分子量を有するPIGである、式Iのメトキシ化合物(5.0g、0.5ミリモル)を2時間還流することにより共沸乾燥し、次いでトルエン40mLを除去した。得られる混合物を無水テトラヒドロフラン30mLに溶解しそしてアルゴン流下の丸底フラスコ中の水素化ナトリウム(0.12g、5ミリモル)及び無水テトラヒドロフラン(20mL)に一滴ずつ加えた。得られる混合物を一夜還流した。β−ブロモ酪酸エチル(0.74mL、5ミリモル)を注射器を介して反応に加えそして反応を一夜還流した。次いで反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮した。残留物を2−プロパノールとジエチルエーテルとの混合物(1:1)への添加により沈殿させて、β水和物エチルエステルPEGが1,000の分子量を有するメチルPEGを生成させた。沈殿した生成物をろ別し、そして真空中で乾燥した。収量:4.5g。
【0164】
【表3】

【0165】
m−PEGエチル−βブチラート(3g)を1N水酸化ナトリウム50mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを6N塩酸の添加により2.5に調節しそして混合物をジクロロメタン(25mL、20mL及び20mL)により抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。生成物m−PEG吉草酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。PEGが分子量41,000を有するメトキシPEGブタン酸を生成させた。収量:2.4g。
【0166】
【表4】

【0167】
m−PEG10k−β−ブタン酸(1g、0.1ミリモル)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(24mg、0.21ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(43mg、0.21ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)により沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥して、PEGが13000の分子量を有する表題の化合物6.6gを得た。
【0168】
実施例3
PEG−AZTコンジュゲートの製造
【0169】
【化75】

【0170】
実施例1のm−PEG10K吉草酸(0.2g、0.02ミリモル)を無水ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、次いで3′−アジド−3′−デオキシチミジン(AZT)(10.7mg、0.04ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(9.8mg、0.04ミリモル)、(4−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(5.7mg、0.42ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(9.5mg、0.046ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)により沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥した。収量:0.17g。
【0171】
【表5】

【0172】
実施例4
mPEG10k−SVAによるT−20のペグ化(pegylation)
実施例1に従って製造されたPEG10kDaのα−メトキシ、ω−吉草酸スクシンイミジルエステルを、配列
【0173】
【表6】

【0174】
を有するT−20、20mg、に加えた。
【0175】
この添加は、1モルのT−20当り2モルの試薬のモル比で緩衝液(50mMホウ酸塩pH8.0)1.0mL中で行った。溶液を室温で4時間攪拌した。ペグ化されたT−20をイオン交換クロマトグラフィー(QA)を使用して反応混合物をから精製した。20mMトリス、pH7.5中の100mMから1MNaClまで増加していく塩濃度を有する線状勾配を使用してペグ化されたT−20と修飾されていないT−20を分離した。
【0176】
実施例5
mPEG30K−β−SBAによるEPOのペグ化
1.ヒトEPOの発酵及び精製
注:ヒトEPOの発酵及び精製の方法は、European Patent Application(EP1064951 A2)に記載された方法とまったく同じであった。(7〜9頁参照)。
【0177】
ペグ化反応
5ミリグラムのEPOsf(653lの7.66mg/ml EPOsfストック、0.274モル)に、30kDaメトキシ−PEG−−SBA(0.274モル)8.2mgを含有する100mM緩衝液、pH8.0、347lを加えそして4℃で4時間混合した。最終タンパク質濃度は5mg/mlでありそしてタンパク質:PEG試薬比は1:1であった。4時間後、氷酢酸によりpHを4.5に調節することにより反応を停止させそして精製の準備ができるまで、−20℃で貯蔵した。
【0178】
3.精製
前の段階からの反応混合物を10mM酢酸ナトリウムで1:5希釈し、pH4.5、そして18mm×143mmカラムに充填された100mlのSP−セファロースFF(スルホプロピルカチオン交換樹脂)に適用した。カラムを同じ緩衝液で予め平衡化させた。カラム流出液をGilsonUVモニターで280nmで監視しそしてKipp及びZonenレコーダーで記録した。カラムを100ml又は1ベッド容積の平衡化緩衝液で洗浄して、過剰の試薬、反応副生物及びオリゴマーPEG−EPOを除去した。続いて2ベッド容積の100mMNaClで洗浄してジ−PEG−EPOを除去した。次いでモノ−PEG−EPOを200mMNaClで溶離した。モノ−PEG−EPOの溶離期間中、タンパク質ピークの最初の50mlを捨てそしてモノ−PEG−EPOを150ml画分として集めた。カラムに残っている修飾されていないEPOsfを750mMNaClで溶離した。すべての溶離緩衝液は平衡化緩衝液において作られた。溶離されたサンプルをSDS−PAGE及びMALDI−TOFにより分析した。次いで、検出可能な修飾されていないEPOsfを有していない150ml画分から得られたモノ−PEG−EPOプールを〜5.0mg/mlに濃縮し、そして貯蔵緩衝液、10mMリン酸カリウム、100mMNaCl、pH7.5中にダイアフィルトレーションした(diafiltered)。濃縮/ダイアフィルトレーションを5kDaカットオフMilipore Pellicon XL Biomax50メンブレンを備えたMillipore Labscale(商標名)TFF Systemで周囲の温度で行った。濃縮したモノ−PEG−EPOを無菌ろ過しそして−20℃で貯蔵凍結した。
【0179】
実施例6
mPEG10K−SVAによるEPOのペグ化
実施例5で使用されたEPOsfの異なるアリクォートを10kDaメトキシ−PEG−SVAと反応させた。反応を1:2のタンパク質:試薬比で行いそして精製技術は実施例5に従った。
【0180】
実施例7
正赤血球状態マウスアッセイ(normocythaemic mouse assay)により決定されたペグ化EPOのインビボ活性
正赤血球状態マウスアッセイは、当該技術分野で知られており(Pharma.Europa Spec.Issue Erythropoietin BRP Bio 1997(2)そしてPh.Eur.BRPのエリスロポエチンのモノグラフィーにおける方法において知られている。サンプルをBSA−PBSで希釈した。7〜15週齢の正常な健康なマウスにペグ化されていないEPO(40ng/マウス)または実施例5又は6からのモノペグ化EPO(10又は40ng/マウス)を含有するEPO画分0.5mlを経皮投与した。6日の期間にわたり、尾部静脈の穿刺により血液を取り出し、そして0.15モルアクリジンオレンジ染色溶液1ml中に血液1lが存在するように希釈した。染色時間は3〜10分であった。網状赤血球係数は絶対数(分析された30,000個の血液細胞当りの)として与えられた。与えられたデータについて、各グループは5マウス/日からなっておりそしてマウスは1回だけ出血させた。結果は、修飾されていないEPO40ngの用量に比較して、マウス当り同じ用量(10ng)を使用して有意に増加した量の網状赤血球及び網状赤血球係数最大値(reticurlocytes count maximum)のシフトにより示されるペグ化EPO種の優秀な活性及び長くなった半減期を示す。
【0181】
実施例8
メトキシ分岐状PEG−酸及びそのスクシンイミジルエステルの製造
【0182】
【化76】

【0183】
PAGが1,000の分子量を有するPEGである式VIの化合物[分子量10000のm−PEGアミン](1.0g、0.1ミリモル)を40℃で無水エタノール5mLに溶解し、次いで3−ブロモ−2−(ブロモメチル)プロピオン酸エチル(7.6L、0.048ミリモル)を添加し、そして混合物をアルゴン下に40℃で一夜攪拌した。反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮させた。2−プロパノールとジエチルエーテル(1:1)の混合物への添加により残留物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ別しそして真空中で乾燥した。収量:0.89g。
【0184】
分岐状m−PEG酸エステル(0.89g)を1N水酸化ナトリウム20mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを6N塩酸の添加により2.5に調節し、そして混合物をジクロロメタン(10mL、5mL及び5mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。生成物m−PEG吉草酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。収量:0.64g。
【0185】
分岐状m−PEG酸(0.64g、0.032ミリモル)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いでN−ヒドロキシスクシンイミド(11mg、0.098ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(20mg、0.099ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)で沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥した。収量:0.58g。
【0186】
実施例9
分岐状PEG−酸及びそのスクシンイミジルエステルの製造
PAGが2,000の分子量を有するPEGである式VのメトキシPAG化合物(分子量10000のm−PEGアミン)(1.0g、0.1ミリモル)を40℃で無水エタノール5mLに溶解し、次いで3−ブロモ−2−(ブロモメチル)プロピオン酸エチル(7.6L、0.048ミリモル)を添加し、そして混合物をアルゴン下に40℃で一夜攪拌した。反応溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮させた。2−プロパノールとジエチルエーテル(1:1)の混合物への添加により残留物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ別しそして真空中で乾燥した。収量:0.89g。
【0187】
分岐状m−PEG酸エステル(0.89g)を1N水酸化ナトリウム20mLに溶解しそして溶液を室温で一夜攪拌した。混合物のpHを6N塩酸の添加により2.5に調節し、そして混合物をジクロロメタン(10mL、5mL及び5mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮しそしてジエチルエーテル中に沈殿させた。生成物m−PEG吉草酸をろ過により集めそして真空下に乾燥した。収量:0.64g。
【0188】
分岐状m−PEG酸(0.64g、0.032ミリモル)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いでN−ヒドロキシスクシンイミド(11mg、0.098ミリモル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(20mg、0.099ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に室温で一夜攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮しそして2−プロパノールとジエチルエーテルの混合物(1:1)で沈殿させた。生成物を真空中で一夜乾燥した。収量:表題の化合物0.58g。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】


〔式中、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数であり、そしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の化合物又はAが水素である場合のその加水分解可能なエステル。
【請求項2】
式:
【化2】


〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは請求項1で定義されたとおりである〕
を有する請求項1の化合物。
【請求項3】
化合物が、式:
【化3】


〔式中、A、R、PAG、R、R、m及びnは請求項1で定義されたとおりである〕
を有する請求項1の化合物。
【請求項4】
式:
【化4】


〔式中、Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、wは1〜3の整数であり、そしてR及びRの1つは低級アルキルでありそして他方は水素又は低級アルキルであり、そしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の化合物又はAが水素である場合のその加水分解可能なエステル。
【請求項5】
化合物が、
【化5】


〔式中、A、R、PAG、R、R及びwは請求項4で定義されたとおりである〕
である請求項4の化合物。
【請求項6】
式:
【化6】


〔式中、Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、Aは水素又は活性化された離脱基であり、この離脱基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成し、PAG1はポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は約500〜約25,000ダルトンの分子量を有し、yは0〜3の整数でありそしてvは1〜3の整数であり、そしてkは1〜2の整数である〕
の化合物又はAが水素である場合のその加水分解可能なエステル。
【請求項7】
化合物が、式:
【化7】


〔式中、R、PAG、A、v、y及びkが請求項6で定義したとおりである〕
を有する請求項6の化合物。
【請求項8】
式:
【化8】


〔式中、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数でありそしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の活性化されたエステルを製造する方法であって、式:
【化9】


〔式中、R及びPAGは上記のとおりであり、そしてVは−OH又は−NHである〕
の化合物を、式:
【化10】


〔式中、Rは加水分解可能なエステル保護基を形成し、そしてYはハロゲン化物でありそしてR、R、m及びnは上記のとおりである〕
の化合物と縮合させて、式:
【化11】


〔式中、R、PAG、X、R、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ、該エステルを加水分解して、式:
【化12】


〔式中、R、PAG、X、R、R、m及びnは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成させ、そして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法。
【請求項9】
式:
【化13】


〔式中、Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、wは1〜3の整数であり、そしてR及びRの1つは低級アルキルでありそして他方は水素又は低級アルキルであり、そしてAは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成する〕
の活性化されたエステルを製造する方法であって、式:
【化14】


〔式中、w、R、Rは上記のとおりであり、Yはハロゲン化物でありそしてRは加水分解可能なエステル保護基を形成する〕
の化合物を式:
【化15】


〔式中、R及びPAGは上記のとおりであり、Vは−OH又は−NHである〕
の化合物と縮合させて、式:
【化16】


〔式中、w、R、PAG、X、R、R及びRは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ、該エステルを加水分解して、式:
【化17】


〔式中、w、R、PAG、X、R、R及びRは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成させ、そして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法。
【請求項10】
式:
【化18】


〔式中、Rは水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、Aは水素又は活性化された離脱性基であり、この離脱性基はその結合した酸素原子と一緒になってエステルを形成し、PAGは末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は約500〜約25,000ダルトンの分子量を有し、yは0〜3の整数であり、vは1〜3の整数でありそしてkは1〜2の整数である〕
の活性化されたエステルの製造方法であって、式:
【化19】


〔式中、y及びvは上記のとおりであり、Yはハロゲン化物でありそしてRは加水分解可能なエステル保護基を形成する〕
の化合物を、式:
【化20】


〔式中、R、PAG及びkは上記のとおりであり、Vは−OH又は−NHである〕
の化合物と縮合させて、式:
【化21】


〔式中、R、PAG、X、R、k、v及びyは上記のとおりである〕
のエステルを生成させ、該エステルを加水分解して、式:
【化22】


〔式中、R、PAG、X、k、v及びyは上記のとおりである〕
の遊離酸を形成させ、そして該遊離酸をカップリング剤の存在下に活性化された離脱性基のハロゲン化物と反応させて該活性化されたエステルを生成させることを含む方法。
【請求項11】
式:
【化23】


〔式中、Pは末端ヒドロキシ基が除去されている末端ヒドロキシ基を有する生物薬剤の残基であり、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数である〕
のコンジュゲート。
【請求項12】
式:
【化24】


〔式中、Pは末端ヒドロキシ基が除去されている末端ヒドロキシ基を有する生物薬剤の残基であり、R、R及びRは個々に水素又は低級アルキルであり、Xは−O−又は−NH−であり、PAGはポリアルキレングリコールの末端ヒドロキシ基の両方の除去により生じるポリアルキレングリコールの二価の残基であり、この残基は1,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、nは0〜1の整数であり、mは4〜8の整数である〕
のコンジュゲート。
【請求項13】
Pが配列(配列番号1)を有するポリペプチドT−20である請求項12のコンジュゲート。
【請求項14】
本明細書に実質的に記載された新規な化合物、中間体、配合物、プロセス、方法及び使用。

【公開番号】特開2009−62516(P2009−62516A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−182692(P2008−182692)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【分割の表示】特願2004−525225(P2004−525225)の分割
【原出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】