説明

ポリウレタンエラストマー、その製造方法及び使用

本発明は、規定されたノード密度を有するポリウレタンエラストマー、特定のポリエーテルエステルポリオールを使用した該ポリウレタンエラストマーの製造方法、及びその使用、特に微孔質中実ポリウレタンエラストマー部材の製造のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定されたノード(架橋)密度を有するポリウレタンエラストマー、特定のポリエーテルエステルポリオールを使用した該ポリウレタンエラストマーの製造方法、及びその使用、特に微孔質中実ポリウレタンエラストマー部材の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるソフトセグメント中にポリエーテル基とポリエステル基の両方を同時に含むポリウレタンの種々の製法は、すでに記載されている。
【0003】
改良(Plominska-Michalak, B.; Lisoska, R.; Balas, A., Journal of Elastomers and Plastics (26) 1994, 327−334) は、ポリエーテル系NCOプレポリマーをポリエステルポリオールと反応させることにある。得られるポリウレタンエラストマーでは、摩耗が低減され、室温及び−15℃での長期曲げ強さが改良され、NCOプレポリマーの粘度は、ポリエステル系NCOプレポリマーに比べて低下する。しかしながら、反応成分間の粘度の差が大きいため、問題なく成分を混合することがより困難になることは、欠点である。別の欠点は、ポリウレタンエラストマーのいわゆるソフトセグメントにおける、最終特性を損なうミクロ相分離の危険性が内在することである。
【0004】
別の改良(DE-A 199 27 188)は、ポリオール処方中でのポリエーテルとポリエステルとの物理的混合を提案する。この方法では、純粋なポリエーテルポリウレタンに比べて改良された耐油性を有するポリウレタンを得ることができる。ポリオール処方の不適当な貯蔵寿命は不利である。何故なら、ポリエステルとポリエーテルとの低い相溶性により比較的短時間の内に微視的な偏析が起こるからである。そのような系のユーザは、貯蔵及び輸送の面で望ましくない困難を経験している。
【0005】
上記の欠点は、不連続合成方法:ポリエーテルへの付加、アルキレンオキシドによるポリエステルのアルコキシル化、アルキレンオキシドによる重縮合、2段階及び1段階重縮合により製造することができる分離に対して安定なポリエーテルエステルポリオールにより、解消される。
【0006】
しかしながら、実際には、そのようなポリエーテルエステルポリオールは、一般に良好な長期曲げ強さを有するポリウレタン(PU)を、特に加水分解的老化に付した場合、提供しないことが明らかである。
【0007】
US-A-5436314(ポリエーテルへの付加)では、強ブレンステッド酸の存在下に、カルボン酸又はその無水物をポリエーテルポリオールと反応させて、ランダムに分布したエステル基を有するポリエーテルエステルポリオールを得る。しかしながら、このような製品は、多くのポリエステルの良好な特性に実質的に寄与するが、異なる長さのポリメチレンセグメントを有さない。更に、強ブレンステッド酸の金属塩は、ポリエーテルエステルを汚染し、そのエステル結合の加水分解安定性を減少するので、ポリエーテルポリエステルを例えば靴底に使用すると、品質の低い製品しかできない。
【0008】
アルキレンオキシドによりポリエステルをアルコキシル化する場合、最初にポリエステルを調製し、次いで、これをアルキレンオキシドでアルコキシル化する。これが広く採用されている方法であるが、この方法では、3ブロックコポリマー、ポリエステル−ブロック−ポリエーテルポリオールが生じる。この方法の本質的な欠点は、そのような構成で製造されたポリエステル−ブロック−ポリエーテルポリオールは、エステル交換平衡にないことである。それ故に、ポリエステル−ブロック−ポリエーテルポリオールは、高温において転移し、その構造を失うことがある。このことは、貯蔵安定性に望ましくない影響を与える。
【0009】
DE-A 198 58 104 では、ポリエステルカルボン酸が、第1段階で環状エステル、アルコール及びカルボン酸から合成され、次の段階で、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドにより、好ましくは付加的な触媒を使用せずに、アルコキシル化される。生成物は、硬質発泡体の原料となる。ここで、生成物は、収縮を抑え、強さを増し、結晶化傾向を小さくする。このような利点は、しかしながら、少なくとも1種のポリオール成分又はイソシアネートが、高度の架橋したポリウレタン系の生成を可能にする2よりも著しく大きい数平均官能価を有する場合にのみ、得られる。この技術分野で一般に知られているように、その方法では、良好な性質、例えば良好な長期曲げ強さを有する微孔質エラストマーは得られない。さらに、第1合成段階のポリエステルポリオールを合成するための環状エステルは、増大したコストをかけることなく調製することはできない。何故なら、環状エステルは、直鎖及び環式エステルの混合物から抽出又は蒸留により得なければならないからであり、これが上記方法の主たる欠点である。
【0010】
US-A 4487853 では、中間体として酸の半エステルが、無水カルボン酸によるポリエーテルポリオールのエステル化により調製され、その後、アミン又はスズ化合物の触媒作用によりエトキシル化されて、エステル基が少なく末端第1級ヒドロキシル基の割合が高いポリエステル−コ−ポリエーテルポリオールが得られる。しかしながら、エステル基に対してエーテル基を大過剰で用いることは不利であって、典型的なポリエーテルエステルポリオール又はポリエステル−ブロック−ポリエーテルポリオールの利点が完全に実現できない。一般に高価である無水ジカルボン酸を、ポリウレタンエラストマーの重要な原料であるアジピン酸エステル合成の出発物質として使用しなければならない。
【0011】
複金属シアン化物触媒が、WO 2001/27185 では利用されている。複金属シアン化物触媒は、ほとんど副生成物及び不飽和末端基を伴うことなく、ポリエステロールからエーテルブロックを出発させることができる。生成物は、エーテル及びエステルと良好な混和性を有しており、同明細書は、界面活性剤又は相促進剤として推奨している。しかしながら、不利なことに、多数の末端第1級ヒドロキシル基を有するポリエーテルは複金属シアン化物触媒を用いては調製できないことが知られている。これは、エチレンオキシドの重合は少数のヒドロキシル官能基から出発し、高分子量ポリエチレンオキシド単位を構成するからである。この理由から、WO 2001/27185 に記載のポリエステル−ブロック−ポリエーテルポリオールは、特に低反応性の第2級ヒドロキシル基の大部分を有するポリオールが用途にとって十分である場合、ポリオール処方において限られた用途しかない。この制限は、多くの用途にとって重大な欠点である。
【0012】
DE-A 2110278(アルキレンオキシドによる重縮合)では、ポリエーテルポリオール、無水カルボン酸及びアルキレンオキシドを、ワンポット法で反応させて、ランダム分布したポリエーテル単位を有するポリエーテルエステルポリオールを得ている。方法の特性の故に、アルキレンオキシドは、誘導体化されたジメチレンブリッジのみを形成する。ブタンジオールエステル又はヘキサンジオールエステルで使用されるような、より長い炭素ブリッジは、不足している。その方法では、さらに高価な無水アジピン酸を使用しなければならない。
【0013】
DE-A 3437915(2段階重縮合)では、ポリエーテルポリオールをカルボン酸又はその無水物若しくはカルボン酸エステルと反応させてポリエステルカルボン酸を得、ポリエステルカルボン酸を、第2段階で脂肪族アルコールと反応させて、実際のポリエーテルエステルポリオールを得ている。その場合の不利益は、一方では多段階反応であり、他方では高価な無水カルボン酸誘導体である。類似の方法がDE-A 3437915 に記載されている。その場合、常套のポリエステルポリカルボン酸は、ポリエーテルポリオールから形成されず、ポリエーテルポリオール及び脂肪族アルカノールと反応される。
【0014】
EP-A 0 601 470(1段階重縮合)によれば、ポリカルボン酸、アルカンジオール混合物及びポリエーテルポリオールを縮合させて、ポリエーテルエステルポリオール中のエーテル基対エステル基の比が0.3〜1.5であるランダムに分布したポリエーテルエステルポリオールを得る。その方法の特定の利点は、そのようなポリエーテルエステルポリオールを使用して低減した曇りを有するポリウレタン軟質発泡体が製造できることである。同発明では、ポリエーテルエステルポリオールはポリイソシアネートと反応される。
【特許文献1】DE-A 199 27 188
【特許文献2】US-A-5436314
【特許文献3】DE-A 198 58 104
【特許文献4】WO 2001/27185
【特許文献5】DE-A 2110278
【特許文献6】DE-A 3437915
【特許文献7】EP-A 0 601 470
【非特許文献1】Plominska-Michalak, B.; Lisoska, R.; Balas, A., Journal of Elastomers and Plastics (26) 1994, 327−334
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、室温及び−15℃の両方で、及び加水分解老化(70℃及び大気湿度95%で7日間)の後に、改良された長期曲げ特性を有する微孔質ポリウレタンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、アルカンポリオール混合物及び特定のポリエーテルポリオールを含んでなり、数平均官能価が1.9〜2.5、好ましくは1.95〜2.1、特に好ましくは2.001〜2.08であり、エーテル基対エステル基の比が0.3〜2.5、好ましくは0.6〜2.0、特に好ましくは0.9〜1.5であるポリエーテルエステルポリオールは、ポリイソシアネートと反応して、非常に優れた長期曲げ強さを加水分解老化の前及び後に有する耐加水分解性ポリウレタンエラストマーを与え、ポリウレタンエラストマーのノード(結節)密度は0.1〜0.0001モル/kg、好ましくは0.08〜0.001モル/kg、特に好ましくは0.04〜0.01モル/kgであることが、見出された。
【0017】
ポリウレタンエラストマーの「ノード密度」(単位:モル/kg)は、ポリウレタンエラストマー1kgあたりの、該エラストマーの3価永久化学的架橋点の数(モル)と理解される。この為に、2を超える官能価を有するポリウレタンエラストマーの出発原料の全分子の量が含まれる。全ての架橋点を3価架橋点として処理することができるように、より高官能性の分子種の官能価は、別々に重み付けされる:3官能性分子は1、4官能性分子は2、5官能性分子は3、6官能性分子は4のように、重み付けされる。この定義によれば、1.21質量%の2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート及び98.79質量%の4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物との同等に発泡された成分ポリエステルジオール、1,4−ブタンジオール、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトールは、下記表に例として示した計算から理解されるように、0.69モル/kgのノード密度を有する。
【0018】
【表1】

【0019】
従って、本発明は、0.1〜0.0001モル/kg、好ましくは0.08〜0.001モル/kg、特に好ましくは0.04〜0.01モル/kgのノード密度を有するポリウレタンエラストマーであって、
a)
a1)12個以下の炭素原子を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体の少なくとも1種、
a2)1000〜6000g/モル、好ましくは2500〜5000g/モルの数平均分子量、1.7〜2.5の平均官能価及び70〜100%、好ましくは85〜96%の第1級OH基含有量を有するポリエーテルポリオールの少なくとも1種、並びに
a3)18〜750g/モル、好ましくは18〜400g/モル、特に62〜200g/モルの数平均分子量、2〜8の数平均官能価及び1分子あたり少なくとも2個の末端(第1級)OH基を有するポリオールの少なくとも1種
から重縮合により得られる、1000〜6000g/モル、好ましくは2500〜5000の数平均分子量、1.9〜2.5、好ましくは1.95〜2.1、特に好ましくは2.001〜2.08の数平均官能価、及びポリエーテルエステルのエーテル基対エステル基の比0.3〜2.5、好ましくは0.6〜2.0、特に好ましくは0.9〜1.5を有する少なくとも1種のポリエーテルエステルポリオール、
b)任意に、10〜149のOH価及び1.7〜4、好ましくは1.8〜3.5の平均官能価を有し、ポリマーポリオールに対して1〜50質量%、好ましくは1〜45質量%の充填剤を含むポリマーポリオール、
c)1.8〜2.1の平均官能価及び18〜750g/モル、好ましくは18〜400g/モル、特に好ましくは62〜200g/モルの数平均分子量を有する低分子量連鎖延長剤、並びに/若しくは2.2〜8、好ましくは2.5〜4の平均官能価及び18〜750g/モル、好ましくは18〜400g/モル、特に好ましくは62〜250g/モルの数平均分子量を有する架橋剤を
d)任意の触媒、
e)任意の発泡剤、及び
f)任意の添加剤
の存在下に、
g)
g1)有機ポリイソシアネート、
g2)変性ポリイソシアネート、
g3)g1)及び/又はg2)並びにポリオールx)に基づくNCOプレポリマー
(ただし、ポリオールx)は、x1)ポリエステルポリオール、x2)ポリエーテルエステルポリオール及びx3)x1)とx2)との混合物から選択される)
g4)g1)、g2)及びg3)の混合物
からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネート
と反応させることにより得ることができる、ポリウレタンエラストマー
を提供する。
【0020】
「ポリエーテルエステルポリオール」は、エーテル基、エステル基及びOH基を有する化合物を意味すると理解される。
【0021】
本発明に従って使用されるポリエーテルエステルポリオールa)は、1000〜6000g/モル、好ましくは2500〜5000の数平均分子量、1.9〜2.5、好ましくは1.95〜2.1、特に好ましくは2.001〜2.08の平均官能価、及びポリエーテルエステルのエーテル基対エステル基の比0.3〜2.5、好ましくは0.6〜2.0、特に好ましくは0.9〜1.5を有する。
【0022】
12個以下の炭素原子を有する有機ジカルボン酸a1)は、ポリエーテルエステルポリオールの製造に適しており、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸であり、これらは単独で又は混合物として使用される。挙げることができる例は、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、ピメリン酸及びセバシン酸、特にグルタル酸、フマル酸、コハク酸及びアジピン酸である。これらの無水物、更に1〜4個の炭素原子を有する低分子量1価アルコールとのエステル及び半エステルは、使用することができるこれら酸の誘導体の例である。
【0023】
ポリエーテルエステルポリオールの製造の為の成分a2)としては、出発分子、好ましくは多価アルコールのアルコキシル化により得ることができるポリエーテルポリオールが使用される。出発分子は、少なくとも2価であるが、場合により、より高い官能価、特に3価の出発分子を含んでいてよい。アルコキシル化は、通常2段階で行われる。アルコキシル化は、まず、好ましくはプロピレンオキシド、又はそれほど好ましくはないが1,2−ブチレンオキシド若しくは2,3−ブチレンオキシドにより、塩基性触媒又は複金属シアン化物触媒の存在下に行われ、次いで、エチレンオキシドによるエトキシル化が行われる。ポリエーテルポリオール中のエチレンオキシド含有量は、10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%である。
【0024】
成分a3)は、好ましくは、第1級OH基及び750g/モル以下、好ましくは18〜400g/モル、特に好ましくは62〜200g/モルの数平均分子量を有する、ジオールを包含し、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンテンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール及び2−ブチン−1,4−ジオール、更に、エーテルジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ジヘキシレングリコール、トリヘキシレングリコール、テトラヘキシレングリコール、並びにアルキレングリコール、例えばジエチレングリコールのオリゴマー混合物である。
【0025】
ジオールと共に、2超〜8,好ましくは2.1〜5、特に好ましくは3〜4の数平均官能価を有するポリオール、例えば、1,1,1−トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセロール、ソルビタン及びペンタエリトリトール、並びに750g/モル未満、好ましくは18〜400g/モル、特に好ましくは62〜200g/モルの数平均分子量を有し、トリオール又はテトラオールから出発したポリエチレンオキシドポリオールも使用できる。
【0026】
ジオールの群の個々の化合物は、単独で、又は他のジオール及びポリオールと組み合わせて、使用することができる。ジオール及びポリオールをポリエステルポリオールに添加しても反応せず、エステル化反応において重縮合平衡が達成されるまで反応しないとしても、ジオール及びポリオールをポリエステルポリオールに後で添加してよい。使用されるポリオールの相対量は、ポリエーテルエステルポリオールa)の所定の数平均ヒドロキシル官能価により制限される。
【0027】
ポリマー変性ポリオール、特にポリエーテル、ポリエステル又はポリエーテルエステルに基づくグラフトポリマーポリオールは、ポリマーポリオールb)として適している。適当なグラフト成分は、特にスチレン及び/又はアクリロニトリルに基づくものであり、それは、アクリロニトリル、スチレン又は好ましくはスチレンとアクリロニトリルとの混合物(例えば、90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の質量比)のインサイチュウ重合により調製される。分散相として、ポリマーポリオールに対して通常1〜50質量%、好ましくは1〜45質量%の充填剤(例えば、無機充填剤、ポリウレア(PHD)、ポリヒドラジド、結合t−アミノ基を有するポリウレタン及び/又はメラミン)を含むポリオール分散体も、成分b)として適している。
【0028】
本発明のポリウレタンエラストマーを製造するために、低分子量連鎖延長剤、2.2〜8の数平均官能価を有する架橋剤、及び連鎖延長剤と架橋剤との混合物を、付加的に成分c)として使用することができる。
【0029】
そのような連鎖延長剤及び架橋剤c)は、ポリウレタンエラストマーの機械的特性、特に硬さを調節するために使用される。適当な連鎖延長剤は、成分a3)に記載されているような化合物、更に、テレフタル酸の2〜4個の炭素原子を有するグリコールとのジエステル(例えば、テレフタル酸−ビス−2−ヒドロキシエチルエステル又はテレフタル酸−ビス−4−ヒドロキシブチルエステル)、ヒドロキノン又はレゾルシノールのヒドロキシアルキレンエーテル(例えば、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン又は1,3−(β−ヒドロキシエチル)レゾルシノール)、2〜12個の炭素原子を有するN−アルキルジアルカノールアミン(例えば、N−メチル−及びN−エチルジエタノールアミン)である。成分a3)として記載した架橋剤に加えて、架橋剤は、例えばトリオール、テトラオール、オリゴマーポリアルキレンポリオール、2.2〜8、好ましくは3〜4の官能価を有し、通常750g/モル以下、好ましくは18〜400g/モル、特に好ましくは62〜200g/モルの分子量を有する芳香族及び脂肪族アミン及びジアミンである。
【0030】
使用されるポリエン及びテトラオールの相対量は、ポリエーテルポリエステルポリオールa)の平均OH官能価と共に、本発明のポリウレタンエラストマーの所定ノード密度により制限される。
成分c)は、単独で又は混合物として使用できる。連鎖延長剤と架橋剤との混合物も使用できる。
【0031】
成分d)として、当業者には通常であるアミン触媒を使用することができ、その例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン及び高級同族体、1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン、N−メチル−N'−ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−β−フェニルエチルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ジアザビシクロウンデカン、モノシクロ及びビシクロアミジン、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルエーテル(例えば、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル)、アミド基(好ましくはホルムアミド基)を有する第3級アミン)などの、第3級アミンである。
【0032】
次のものも触媒とみなされる:
既知の第2級アミン(例えば、ジメチルアミン)とアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)又はケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)及びフェノール類(例えば、フェノール、N−ノニルフェノール又はビスフェノールA)から調製されるマンニッヒ塩基。イソシアネート基に対してツェレビチノフ活性である水素原子を有する触媒として第3級アミンは、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、それらとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド)との反応生成物、さらには第2級第3級アミンである。更に、炭素−珪素結合を有するシラアミンも触媒と使用でき、例えば、2,2,4−トリメチル−2−シラモルホリン及び1,3−ジエチルアミノメチルテトラメチルジシロキサンである。
【0033】
更に、窒素系塩基、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサヒドロトリアジンも考慮される。NCO基とツェレビチノフ活性水素原子との反応は、ラクタム及びアザラクタムによっても顕著に促進される。
【0034】
密なポリウレタンエラストマー、例えばポリウレタン靴底は、湿気及び物理的又は化学的発泡剤の不存在下に製造することができる。
【0035】
微孔質ポリウレタンエラストマーの製造には、発泡剤e)として、好ましくは水が使用され、水は、イソシアネート基g)とその場(インサイチュー)で反応して、二酸化炭素及びアミノ基を生成し、アミノ基は他のイソシアネート基と更に反応して尿素基を形成し、この場合、連鎖延長剤として機能する。
【0036】
所望の密度に調製するためにポリウレタン組成物に水を添加する場合、水は、成分a)〜f)の質量に対して、通常0.001〜3.0質量%、好ましくは0.01〜2.0質量%、特に0.05〜1.0質量%の量で使用される。
【0037】
発泡剤e)として、気体、若しくは発熱重付加反応の影響で蒸発し、常圧において−40℃〜120℃、好ましくは−30℃〜90℃の範囲に沸点を有する揮発性の高い無機又は有機化合物(物理的発泡剤)を、水の代わりに又は好ましくは水と共に、用いることができる。有機発泡剤としては、アセトン、酢酸エチル、ハロゲン置換アルカン又はパーハロゲン化アルカン(例えば、R134a、R141b、R365mfc、R245fa)、更にn−ブタン、イソブタン、イソペンタン、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン又はジエチルエーテルが例示でき、無機発泡剤としては、空気、二酸化炭素又は一酸化窒素が例示できる。発泡作用は、室温以上の温度で分解してガス(例えば、窒素及び/又は二酸化炭素)を発生する化合物、例えばアゾ化合物(アゾジカルボンアミド又はアゾビスイソ酪酸(ブチロ)ニトリルなど)、又はアンモニウムビカーボネート、アンモニウムカーバメート又は有機カルボン酸のアンモニウム塩(例えば、マロン酸、ホウ酸、蟻酸又はエタン酸のモノアンモニウム塩)のような塩を添加することによっても、生じさせることができる。発泡剤の更なる例及び発泡剤の使用に関する詳細は、R. Vieweg, A. Hoechtlen 編 "Kunststoff−Handbuch",第3版、第VII巻1993, 115−118頁及び710−715頁(Carl−Hanser−Verlag, ミュンヘン) に記載されている。
【0038】
固体発泡剤、単独で又は混合物として、例えば液体又は気体混合物として若しくは気体/液体混合物として使用される低沸点液体又は気体を使用する場合に好都合な量は、目的とする密度及び使用する水の量に当然依存する。必要な量は、実験的に容易に決定することができる。いずれも成分a)〜f)の質量に対して0.01〜35質量%、好ましくは0.1〜6質量%の量の固体、液体及び/又は気体は、通常十分な結果をもたらす。気体、例えば空気、二酸化炭素、窒素及び/又はヘリウムは、より高分子量のポリヒドロキシル化合物a)及びb)により、また成分d)及びf)により、またポリイソシアネートg)により、導入することができる。
【0039】
密な又は微孔質ポリウレタンエラストマーを製造する為の反応混合物には、添加剤f)を加えてもよい。それらの例は、乳化剤のような界面活性添加剤、発泡安定剤、気泡調節剤、難燃剤、核剤、酸化遅延剤、安定剤、滑剤及び離型剤、染料、分散助剤並びに顔料である。例えば、ひまし油スルホネートのナトリウム塩又は脂肪酸とアミンとの塩(例えば、オレイン酸ジエチルアミン又はステアリン酸ジエタノールアミン)を、乳化剤として使用できる。スルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸又はジナフチルメタンジスルホン酸)のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、若しくは脂肪酸(例えばリシノール酸)又はポリマー脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩も界面活性添加剤として共用できる。特に水溶性のポリエーテルシロキサンは、気泡安定剤として例示できる。このような化合物は、一般に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマーがポリジメチルシロキサン基と組み合わされるように、構成される。アロファネート基による複数の分枝を有するポリシロキサン−ポリオキシアルキレンコポリマーが特に好ましい。他の有機ポリシロキサン、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪アルコール、パラフィン油、ひまし油酸エステル又はリシノール酸エステル、スルホネート化ひまし油、落花生油、及び気泡調節剤、例えば、パラフィン、脂肪アルコール及びポリジメチルシロキサンも適している。乳化作用、充填剤の分散、気泡構造を改善する為に、及び/又はその安定化の為に、ポリオキシアルキレン基及びフルオロアルキル基を側鎖に有するオリゴマーポリアクリレートもやはり適している。界面活性物質は、高分子量ポリヒドロキシル化合物a)及びb)100質量部に対し、通常0.01〜5質量部の量で使用される。反応遅延剤、帯電防止剤(例えば、CataforTMCa 100)を加えてもよく、更に、既知の顔料又は染料及び難燃剤、耐老化及び耐候安定剤、可塑剤並びに静真菌剤及び静菌剤を加えてもよい。
【0040】
場合により使用され得る界面活性添加剤、気泡安定剤、気泡調節剤、反応遅延剤、安定剤、難燃剤、可塑剤、染料及び充填剤、並びに静真菌剤及び静菌剤の更なる例、及びこれら添加剤の使用態様や作用機序の詳細は、Vieweg, A. Hoechtlen 編 "Kunststoff−Handbuch",第3版、第VII巻1993, 118−124頁(Carl−Hanser−Verlag, ミュンヘン) に記載されている。
【0041】
成分g1)としては、下記式で示される脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族及び複素環式ポリイソシアネートが適している:
【化1】

(式中、nは2〜7、好ましくは2であり、Qは、2〜18個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、4〜15個、好ましくは5〜10個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個、好ましくは6〜13個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、又は8〜15個、好ましくは8〜13個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す。)
【0042】
以下のものが適している:1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート及びシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−1,3−及び−1,4−フェニレンジイソシアネート、パーヒドロ−2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、パーヒドロ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート(1,4−NDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)、1,4−ズレンジイソシアネート(DDI)、4,4'−スチルベンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2'−ジイソシアネート及びジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(MDI)、並びにジフェニルメタンジイソシアネート類の多核化合物。上記化合物及びそれらの異性体は、単独で又は混合物として使用できる。
【0043】
工業的に容易に入手できるポリイソシアネート、例えば2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びアニリン−ホルムアルデヒド縮合及びその後のホスゲン化により製造されるようなポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI)が、好ましく使用され、ポリイソシアネートは、単独で又は混合物として使用できる。
4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物が特に好ましい。
【0044】
変性ポリイソシアネートg2)としては、例えば、カルボジイミド基を有するポリイソシアネート(例えば、ビス(4,4−ジフェニルメタン)カルボジイミド)、アロファネート基を有するポリイソシアネート、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレタン基を有するポリイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、テロマー化反応により調製されたポリイソシアネート、上記イソシアネートとアセタールとの反応生成物、ポリマー脂肪酸エステルを含むポリイソシアネートを挙げることができる。
【0045】
2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネートから、4,4'−及び/又は2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートから、又はナフチレン−1,5−ジイソシアネートから誘導されるような変性ポリイソシアネート、並びにそれらの混合物が特に好ましい。
【0046】
ポリエステルポリオールx1)は、1種又はそれ以上のジカルボン酸a1)と、少なくとも1種又は複数のポリオール成分a3)、c)及び/又は他の短鎖ポリオールy)並びに少なくとも1種又は複数の長鎖ポリオール成分a2)又はz)との縮合により調製される。
【0047】
ポリエーテルエステルポリオールx2)は、ポリエーテルエステルポリオールa)と同じであってもよい。しかしながら、ポリエステルポリオールx2)は、1000〜6000g/モル、好ましくは2500〜5000g/モルの数平均分子量、1.7〜2.5の平均官能価、及び70%未満の第1級OH基を有するポリエーテルポリオールz)又はそれらの混合物に基づいて、調製することもできる。ポリエーテルポリオールz)は、出発分子、好ましくはアルコールのアルコキシル化により得られる。出発分子は、少なくとも2官能性であるが、より高い官能性、特に3官能性分子を含んでいてもよい。アルコキシル化は、2段階で行われる。アルコキシル化は、まずプロピレンオキシド、又は1,2−ブチレンオキシド若しくは2,3−ブチレンオキシドにより、塩基性触媒又は複金属シアン化物触媒の存在下に行われ、次いで、所望によりエトキシル化が行われる。ポリエーテル中のエチレンオキシド含有量は、0〜10質量%である。
【0048】
成分y)として、c)に関連して記載したような架橋剤及び連鎖延長剤並びに/若しくは2〜8の平均ヒドロキシ官能価、1又は2個の第2級ヒドロキシル基及び750g/モル未満の数平均分子量を有するポリオールを使用することができる。これらには、飽和及び不飽和脂肪族ジオール(例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール)、エーテルジオール(例えば、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ジ−1,2−ブチレングリコール、トリ−1,2−ブチレングリコール、テトラ−1,2−ブチレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、テトラ−1,3−ブチレングリコール)及びこれらのオリゴマー混合物が包含される。
【0049】
ジオールに加えて、トリオール又はテトラオール、例えば1,1,1−トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセロール及びペンタエリトリトールから出発した、750g/モル未満の平均分子量を有するポリプロピレンオキシドポリオールも使用できる。
【0050】
ジオールの群からの各化合物は、単独で又は別のジオール及び/又は多価ポリオールとの混合物として使用し得る。これらジオール又はポリオールは、結果として反応せず若しくはエステル化反応において重縮合平衡が達成されるまで反応しないならば、ポリエステルポリオールに後で添加することもできる。使用されるポリオールの相対量は、ポリエーテルエステルポリオールx2)の所定の数平均ヒドロキシ官能価及びポリウレタンエラストマーの所定のノード密度により制限される。
【0051】
ポリエステルポリオールx1)は、1種又はそれ以上のジカルボン酸a1)と少なくとも1種又は複数のポリオールa3)、c)及び/又はy)との縮合により調製する。
【0052】
また、本発明は、本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法を提供し、該方法は、
a)
a1)12個以下の炭素原子を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体の少なくとも1種、
a2)1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.7〜2.5の平均官能価及び70〜100%の第1級OH基含有量を有するポリエーテルポリオールの少なくとも1種、並びに
a3)18〜750g/モルの数平均分子量、2〜8の数平均官能価及び1分子あたり少なくとも2個の末端OH基を有するポリオールの少なくとも1種
から重縮合により得られる、1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.9〜2.5の数平均官能価、及びポリエーテルエステルのエーテル基対エステル基の比0.3〜2.5を有する少なくとも1種のポリエーテルエステルポリオール、
b)任意に、10〜149のOH価及び1.7〜4の平均官能価を有し、ポリマーポリオールに対して1〜50質量%の充填剤を含むポリマーポリオール、
c)1.8〜2.1の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する低分子量連鎖延長剤、並びに/若しくは2.2〜8の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する架橋剤を
d)任意の触媒、
e)任意の発泡剤、及び
f)任意の添加剤
の存在下に、
g)
g1)有機ポリイソシアネート、
g2)変性ポリイソシアネート、
g3)g1)及び/又はg2)並びにポリオールx)に基づくNCOプレポリマー
(ただし、ポリオールx)は、x1)ポリエステルポリオール、x2)ポリエーテルエステルポリオール及びx3)x1)とx2)との混合物から選択される)
g4)g1)、g2)及び/又はg3)の混合物
からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネート
と反応させることを特徴とする。
【0053】
ポリエーテルエステルポリオールa)又はx2)を製造するために、好ましくは、有機ポリカルボン酸、例えば芳香族及び好ましくは脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその誘導体とポリオールとを、触媒の不存在下又はエステル化触媒の存在下、有利には不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)中、溶液中、又は溶融物中、150〜300℃、好ましくは180〜230℃の温度で、所望により減圧下で、有利には10未満、好ましくは1未満の所望の酸価になるまで、重縮合させる。
【0054】
好ましい製造方法によれば、エステル化反応は、さらに縮合物が形成されなくなるまで、標準圧力で行われる。そして、触媒を添加し得る。反応は、500mbar未満、好ましくは2〜150mbarの圧力で完結される。エステル化触媒としては、鉄触媒、カドミウム触媒、コバルト触媒、鉛触媒、亜鉛触媒、アンチモン触媒、マグネシウム触媒、チタン触媒及び錫触媒が、例えば、金属酸化物又は金属塩の形で、使用される。また、重縮合は、縮合水の共沸除去を行う為に、希釈剤及び/又は連行剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンの存在下で行うこともできる。これら剤の混合物も同じく有用である。
【0055】
ポリエステルポリオールx1)を製造するために、有機ポリカルボン酸及び/又はその誘導体は、多価アルコールと共に、有利には、すべての時点でヒドロキシル基がカルボキシル基又はカルボキシル誘導体に対して数的に過剰に存在するような量比で使用される。
【0056】
本発明のポリウレタンエラストマーは、好ましくはプレポリマー法により製造され、この方法では、有利には、プレポリマーg3)が、少なくとも1種又は複数のポリオールx)を少なくとも1種又は複数のイソシアネートg1)及び所望により変性イソシアネートg2)、更に所望により短鎖ポリオールa3)及び/又はy)及び/又はc)と反応させることにより、製造される。
【0057】
本発明の中実又は微孔質ポリウレタンエラストマーを製造するために、成分g1)及び所望により成分g2)又は好ましくはNCOプレポリマーg3)を含むイソシアネートg)を、好ましくは、少なくとも1種のポリエーテルエステルポリオールa)並びに低分子量連鎖延長剤及び/又は架橋剤c)と、場合により触媒d)、発泡剤c)及び添加剤f)を加えて、反応させる。
【0058】
本発明のポリウレタンエラストマーを製造するために、イソシアネートg)のNCO基の、成分a)、b)、c)、d)及びf)、更に使用され得る化学的発泡剤e)の(イソシアネート基に対して反応性である)水素原子の合計に対する当量比が0.8:1〜1.2:1、好ましくは0.95:1〜1.15:1、特に1.00:1〜1.05:1となるような量で、成分を反応させる。
【0059】
本発明によれば、全ての成分は、それらのイソシアネート官能価及びヒドロキシル官能価を考慮して、得られるポリウレタンエラストマーが0.0001〜0.1モル/kg、好ましくは0.001〜0.08モル/kg、特に好ましくは0.01〜0.04モル/kgのノード密度を有するように、組み合わせられる。
【0060】
本発明のポリウレタンエラストマーは、好ましくは、靴のコンポーネント、特に靴底の製造に使用される。
【実施例】
【0061】
下記実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
ポリオール処方αとNCOプレポリマーβ(平均官能価2.01)の等量反応により、ポリウレタンエラストマーを製造した。ポリオール処方α及びNCOプレポリマーβの組成を表3に示す。本発明のポリウレタンエラストマーの物理的性質を表4に示す。
【0062】
ポリエーテルエステルポリオールの一般的な製造手順を、ポリエーテルエステルポリオールCを例にして、説明する。
4662g(53.7モル)のヒドロキシ官能性ポリエーテルP(ヒドロキシル価28;数平均ヒドロキシル官能価1.81;第1級ヒドロキシル基90モル%(出発分子としてプロピレングリコール;プロピレンオキシド68.7質量%;エチレンオキシド29.4質量%))、426g(4モル)のジエチレングリコール、417g(4.8モル)のエチレングリコール、767g(8.8モル)の1,4−ブタンジオール、15g(0.1モル)のトリメチロールプロパン、及び2461g(16.8モル)のアジピン酸を、攪拌機、充填カラム、環流冷却器及び温度計並びに真空ポンプ及び加熱マントルを備えた10リットル4口丸底フラスコ中で、装置に窒素を流しながら、溶融するまで加熱した。180℃での加熱を、さらに水が分離されなくなるまで続けた。次いで、200mgの塩化錫(II)を加え、ゆっくり減圧にし、温度を200℃に上昇させた。攪拌を200℃、5mbarで2時間続けて、反応を完了させた。0.3の酸価、34.6のヒドロキシル価及び930mPa.s(75℃)の粘度を有するポリエーテルエステルを得た。出発化合物、並びにポリエーテルエステルポリオール及びポリエステルポリオールの物理的データは表2に示す。
【0063】
ポリウレタン試験ピースは以下のようにして製造した:
低圧発泡装置内で歯車ミキサー(Stachelmischer)により3000rpmにおいて、55℃のポリオール処方αを、40℃のNCOプレポリマーβと混合した。混合物を、50℃に温度調節したアルミニウム製ヒンジ付き金型(200×140×10mm)に注入し、金型を冷却し、3.5分後にポリウレタンエラストマーを脱型した。
【0064】
24時間保存した後、ショアA硬さをDIN 53 505 に従って、得られたポリウレタンエラストマースラブ上のブルーゲルを用いて測定した。更に、DIN 53 522 に従い、Texon ストリップで裏打ちした試験ピース(2cm×15cm×1cm)の折り曲げ線でのステッチ幅2mmのステッチ様亀裂(Stichaufweitung)の発生を、30000回の曲げサイクル後に評価した。結果を表4に示す。曲げ耐久性試験は、室温及び−15℃で行った。加えて、試験ピースを大気湿度95%、70℃で7日間老化させ、70℃で24時間乾燥し、室温で24時間再状態調節し、その後、室温で曲げ耐久性試験に付した。摩耗量はDIN 53 516 に従って測定し、耐燃料性はEN 344 に従って評価した。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜0.0001モル/kgのノード密度を有するポリウレタンエラストマーであって、
a)
a1)12個以下の炭素原子を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体の少なくとも1種、
a2)1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.7〜2.5の平均官能価及び70〜100%の第1級OH基含有量を有するポリエーテルポリオールの少なくとも1種、並びに
a3)18〜750g/モルの数平均分子量、2〜8の数平均官能価及び1分子あたり少なくとも2個の末端OH基を有するポリオールの少なくとも1種
から重縮合により得られる、1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.9〜2.5の数平均官能価、及びポリエーテルエステルのエーテル基対エステル基の比0.3〜2.5を有する少なくとも1種のポリエーテルエステルポリオール、
b)任意に、10〜149のOH価及び1.7〜4の平均官能価を有し、ポリマーポリオールに対して1〜50質量%の充填剤を含むポリマーポリオール、
c)1.8〜2.1の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する低分子量連鎖延長剤、並びに/若しくは2.2〜8の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する架橋剤を
d)任意の触媒、
e)任意の発泡剤、及び
f)任意の添加剤
の存在下に、
g)
g1)有機ポリイソシアネート、
g2)変性ポリイソシアネート、
g3)g1)及び/又はg2)並びにポリオールx)に基づくNCOプレポリマー
(ただし、ポリオールx)は、x1)ポリエステルポリオール、x2)ポリエーテルエステルポリオール及びx3)x1)とx2)との混合物から選択される)
g4)g1)、g2)及び/又はg3)の混合物
からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネート
と反応させることにより得ることができる、ポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
ポリイソシアネートg1)は、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート又はそれらの混合物である請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
ポリオールa3)は、1,4−ブタンジオール、1,2−エタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリトリトール、トリエタノールアミン及びグリセロールからなる群から選択される請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【請求項4】
a)
a1)12個以下の炭素原子を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体の少なくとも1種、
a2)1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.7〜2.5の平均官能価及び70〜100%の第1級OH基含有量を有するポリエーテルポリオールの少なくとも1種、並びに
a3)18〜750g/モルの数平均分子量、2〜8の数平均官能価及び1分子あたり少なくとも2個の末端OH基を有するポリオールの少なくとも1種
から重縮合により得られる、1000〜6000g/モルの数平均分子量、1.9〜2.5の数平均官能価、及びポリエーテルエステルのエーテル基対エステル基の比0.3〜2.5を有する少なくとも1種のポリエーテルエステルポリオール、
b)任意に、10〜149のOH価及び1.7〜4の平均官能価を有し、ポリマーポリオールに対して1〜50質量%の充填剤を含むポリマーポリオール、
c)1.8〜2.1の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する低分子量連鎖延長剤、並びに/若しくは2.2〜8の平均官能価及び18〜750g/モルの数平均分子量を有する架橋剤を
d)任意の触媒、
e)任意の発泡剤、及び
f)任意の添加剤
の存在下に、
g)
g1)有機ポリイソシアネート、
g2)変性ポリイソシアネート、
g3)g1)及び/又はg2)並びにポリオールx)に基づくNCOプレポリマー
(ただし、ポリオールx)は、x1)ポリエステルポリオール、x2)ポリエーテルエステルポリオール及びx3)x1)とx2)との混合物から選択される)
g4)g1)、g2)及び/又はg3)の混合物
からなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネート
と反応させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。
【請求項5】
エラストマー成形品、特に180〜1200kg/mの密度を有する靴底の製造のための、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンエラストマーの使用。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタンエラストマーから製造された、工業製品及び消費財、特に靴底のためのエラストマー成形品。

【公表番号】特表2006−503941(P2006−503941A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545811(P2004−545811)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011107
【国際公開番号】WO2004/037882
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】