説明

ポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法

【課題】高い硬度を有すると共に、良好な透明性と平滑性とを有し、且つ、造膜性に優れたポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法を提供する。
【解決手段】被着体上に水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物とを含有する水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布して硬化塗膜を製造する方法であって、前記水性ポリウレタン系樹脂組成物中に架橋剤を添加し、重合性基を有する化合物を重合することにより、水性ポリウレタン系樹脂組成物を硬化することから成るポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法に関し、詳しくは、高い硬度と良好な透明性および平滑性とを有し、且つ、造膜性に優れたポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装作業が容易で特殊な塗装機器を必要とせず、且つ、仕上り感も良いポリウレタン系樹脂組成物として、有機溶剤性ポリウレタン樹脂組成物と水性ポリウレタン樹脂組成物とがある。有機溶剤性ポリウレタン樹脂組成物は、有機溶剤の揮発により作業環境が汚染するという問題を有することから、水性ポリウレタン樹脂組成物が注目されている。そして、水性ポリウレタン樹脂組成物を塗布してポリウレタン系樹脂硬化塗膜を製造する方法として、ポリエチレン系不飽和モノマー含有ビニルモノマーをカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーに加えて水に分散した後に、遊離基ラジカル開始剤を加え、加熱して前記ビニルモノマーが重合した水性ポリウレタン−ビニルポリマー分散液を塗布するポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法が提案されている。
【特許文献1】特開平5−132535
【0003】
しかしながら、このポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法では、塗布前に、加熱によってビニルモノマーの重合が既に終了している水性ポリウレタン−ビニルポリマー含有分散液を塗布しているため、得られた塗膜は、硬度が十分とは云えない欠点がある。また、高硬度の塗膜の製造は、樹脂を構成する原料を適宜選択することにより可能であるが、この場合、造膜助剤としての有機溶剤の使用なしに造膜性の優れた塗膜を得ることは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的は、高い硬度を有すると共に、良好な透明性と平滑性とを有し、且つ、造膜性に優れたポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物と架橋剤とを含有する水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体上に塗布した後に重合性基を有する化合物を重合させると、意外にも、得られた塗膜が高い硬度を有すると共に、良好な透明性と平滑性とを有し、且つ、造膜性に優れているとの知見を得、本発明を完成するに至った。すなわち、水性ポリウレタン系樹脂組成物中では水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物と架橋剤とは、被着体上に塗布する以前は結合しておらず、それぞれ単独で存在しており、そして、当該組成物を被着体上に塗布した後に、架橋剤の存在下に重合性基を有する化合物をレドックス重合、嫌気重合、酸化重合、配位重合などにより重合させて、ポリウレタン系樹脂硬化塗膜を形成する。その際、水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物の重合体とが、結合を介さずに存在するか又は一部が結合しているために、得られた硬化塗膜は、高い硬度と良好な透明性と平滑性とを有し、且つ、造膜性に優れている。
【0006】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、被着体上に水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物とを含有する水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布して硬化塗膜を製造する方法であって、前記水性ポリウレタン系樹脂組成物中に架橋剤を添加し、重合性基を有する化合物を重合することにより、水性ポリウレタン系樹脂組成物を硬化することを特徴とするポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、高い硬度を有すると共に、良好な透明性と平滑性とを有するポリウレタン系樹脂硬化塗膜を得ることが出来る。さらに、被着体への優れた密着性と造膜性とを示すと共に、優れた耐候性、耐溶剤性、耐水性、顔料分散性などを示すポリウレタン系樹脂硬化塗膜を製造することが出来る。また、本発明の製造方法は、有機溶剤の揮発による作業環境汚染ない方法であって、優れた環境対応性を発揮することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。以下に記載する構成要件は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、これらの内容に限定はされない。なお、本明細書において、重合性基を有する化合物が遊離した状態で配合されていない水性ポリウレタン樹脂を「水性ポリウレタン樹脂」と、重合性基を有する化合物と架橋剤と水性ポリウレタン樹脂とが配合されている水分散体を「水性ポリウレタン系樹脂組成物」と、水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体に塗布し硬化させたものを「ポリウレタン系樹脂硬化塗膜」と表現する。なお、本発明で使用する水性ポリウレタン樹脂は、二重結合または三重結合をポリウレタン分子鎖中に含有していてもよい。
【0009】
先ず、被着体上に塗布する水性ポリウレタン系樹脂組成物とに含有されている水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)と架橋剤(c)とについて説明する。
【0010】
本発明で使用する水性ポリウレタン樹脂(a)は、平均分散粒子径が通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。なお、平均分散粒子径の下限値は、10μmが好ましい。平均分散粒子径が500μm超える場合は、分散安定性の悪化や樹脂物性の悪化などの不具合が生じることがある。水性ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、通常5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000である。水性ポリウレタン樹脂の不揮発分は、通常20〜70重量%、好ましくは25〜60重量%である。
【0011】
水性ポリウレタン樹脂(a)は、公知の方法によって製造することが出来る。例えば、分子内にイオン塩形成基と2個以上の水酸基またはアミノ基とを有する化合物と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、分子内に2個以上の水酸基を有するポリオール化合物と分子中にイソシアネート基と反応し得る活性水素原子を2個以上有する鎖延長剤とを主原料として水性ポリウレタン樹脂を製造する。
【0012】
分子内にイオン塩形成基および2個以上の水酸基またはアミノ基を有する化合物としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基または3級アミノ基を有する化合物であり、具体的には、グリコール酸、リンゴ酸、グリシン、アラニン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸などのヒドロキシ酸、アミノカルボン酸、多価ヒドロキシ酸類、タウリン、スルファミン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸などのアミノスルホン酸、ヒドロキシスルホン酸、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン等が挙げられる。特に、汎用的で、良好な樹脂性能が得られる2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸が好適である。以下、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を使用して説明する。
【0013】
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸としては、例えば、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸が挙げられ、中でも、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸が好適である。以下、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸をDMPA(ジメチロールプロピオン酸)、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸をDMBA(ジメチロ−ルブタン酸)と略する。なお、DMBAは、DMPAに比べて水、有機溶剤、ポリオール化合物などに対する溶解度が非常に優れており、DMPAの約20倍の溶解度を示すものがある。例えば、N−メチルピロリドン(NMP)に対する溶解度は、NMP100gに対してDMPAが34g/20℃、51g/50℃、75g/80℃しか溶解しないのに対し、DMBAの溶解度は、92g/20℃、164g/50℃、291g/80℃と飛躍的に増加する。これにより、DMBAは、有機溶剤使用量の低減や無溶剤化に非常に有効である。
【0014】
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸によりウレタンプレポリマー中に組み込まれるカルボキシル基の量は、カルボキシル基1個当たりに対するウレタンプレポリマーの平均分子量で表すと、通常500〜4000である。ウレタンプレポリマーの平均分子量が500未満の場合は、得られるポリウレタン樹脂の塗膜物性や耐水性が悪くなり好ましくない。また、ウレタンプレポリマーの平均分子量が4000を超える場合は、ウレタンプレポリマーの自己乳化性が不足して分散粒子の平均粒子径が大きくなり、その結果、分散安定性が悪くなるばかりでなく、緻密な塗膜が形成し難い傾向がある。
【0015】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−又はm−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物などの脂環式ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、必要に応じて、上記ポリイソシアネート化合物の多量体またはトリメチロールプロパン等の多官能ポリオールとの反応物である多官能イソシアネート化合物などを併用してもよい。
【0016】
上記のポリイソシアネート化合物の中で、ウレタンプレポリマーを水に分散する際のイソシアネート基と水との反応性および得られる樹脂の耐候性の点から、脂肪族系または脂環式系イソシアネートが好ましく、特に、重合性基を有する化合物との相溶性の点から、脂環式イソシアネートが好ましい。
【0017】
分子内に水酸基を2個以上有するポリオール化合物としては、1分子中に水酸基を2個以上有するものであれば、特に制限はなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。具体的には、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、低分子量ジオールと二塩基酸の重縮合より得られる化合物と、低分子量ジオールを開始剤として二塩基酸の開環反応により得られる化合物とが挙げられる。低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。前者の重縮合に使用される二塩基酸として、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。また、後者の開環反応に使用される二塩基酸としては、ポリε−カプロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール系ポリカーボネートポリオール、炭素数4〜6の混合ジオール系ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。ポリブタジエンポリオールとしては、1,4−ポリブタジエンと1,2−ポリブタジエンから成るポリオールが挙げられる。水添ポリブタジエンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオールを水素添加したパラフィン骨格を持ったものが挙げられる。
【0020】
なお、上述のポリオール類の中で、取り扱い易さの点から、非結晶性または液状のものがより好ましい。また、上述のポリオール化合物は、単独または2種以上を組み合わせて使用することが出来る。また、必要に応じて、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の短鎖ジオール、あるいは、トリメチロールプロパン、グリセリン等の短鎖トリオール又はこれらにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ε−カプロラクトン等を付加した3官能ポリオールを上述のポリオール化合物と併用してもよい。
【0021】
ポリオールの平均分子量は、通常500〜10,000、好ましくは500〜4,000である。平均分子量が500未満の場合は、ポリオールとしての機能が発揮されないことがあり、平均分子量10,000を超える場合は、得られたウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、その結果、水分散時に凝集物の発生や分散不良を引き起こすことがある。
【0022】
活性水素原子を2個以上有する鎖延長剤としては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、m−キシリレンジアミン、フェニレンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリエチレンポリアミン類;ヒドラジン、ピペラジン及びヒドラジンとアジピン酸やフタル酸とのジヒドラジド化合物などが挙げられる。また、前述の短鎖ジオール、短鎖トリオール、3官能ポリオール等を使用してもよく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール等を前述のポリアミン化合物と併用してもよい。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
水性ポリウレタン樹脂(a)の製造工程は、プレポリマー合成工程、中和工程、水分散工程および鎖延長工程から成るが、プレポリマー合成工程を最初に行うことを除いて他の工程は、どの順で実施してもよい。最も一般的な製造工程は、プレポリマー合成工程、中和工程、水分散工程、鎖延長工程を順次行う方法である。
【0024】
先ず、プレポリマー合成工程を説明する。例えば、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸、ポリイソシアネート化合物、分子内に水酸基を2個以上有するポリオール化合物および必要に応じて、短鎖ジオールを反応させて末端にNCO基を有するウレタンプレポリマーを製造する。
【0025】
ウレタンプレポリマー製造のための反応温度は、通常20〜120℃、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜95℃である。温度が40℃未満の場合は、原料の溶解性が悪く反応速度が遅くなる傾向がある。また、温度が100℃を超える場合は、カルボキシル基とイソシアネート基との反応が起き易くなり、ウレタンプレポリマー中にゲル状物が生じたり、全体がゲル化したりすることがある。
【0026】
反応時間は、各段階の反応における反応温度、固形分量などに依存し一概に定まらないが、通常1〜40時間程度である。なお、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸としてDMPAを使用した場合は、DMBAの場合に比べてウレタンプレポリマー反応の反応時間が長くなることがある。
【0027】
ウレタンプレポリマーの合成において、ポリイソシアネート化合物のNCO基とポリオール化合物の水酸基の当量比(NCO:OH)は、通常1.1:1〜30:1、好ましくは1.1:1〜15:1の範囲である。
【0028】
重合性基を有する化合物(b)をウレタンプレポリマー製造時に存在させることによって、ウレタンプレポリマーの粘度が低下し、乳化・分散の操作を容易にすることが出来る。そのため、ポリウレタン樹脂の製造において、有機溶媒の使用は、必ずしも必要ではない。
【0029】
なお、上述の様に有機溶媒を通常使用しなくてもよいが、使用する場合は、ポリウレタン樹脂の水性化後に除去しやすい様に沸点が50〜120℃のものが好適である。例えば、アセトン(沸点56.3℃)、メチルエチルケトン(沸点79.6℃)、メチルイソブチルケトン(沸点117℃)、テトラヒドラフラン(沸点66℃)1,4−ジオキサン(沸点101.4℃)、酢酸エチル(沸点76.8℃)、トルエン(沸点110.6℃)等が挙げられる。中でも、ポリウレタン樹脂の溶解性が良いことおよび除去が容易なことを考慮するに、アセトン、メチルエチルケトンが好ましく、アセトンがより好ましい。なお、ウレタンプレポリマーの製造時にDMPAを使用した場合は、その溶解性の低さから上記有機溶媒を用いることが好ましいが、DMBAを使用した場合は、その高い溶解性のため有機溶媒を用いる必要はない。
【0030】
ウレタンプレポリマー合成の初期から有機溶剤を使用した場合は、最終的に生成する水性ポリウレタン樹脂が軟らかくなる傾向(モジュラスの変化)がある。すなわち、ウレタンプレポリマー合成時に有機溶剤を使用すると、プウレタンプレポリマー分子鎖成分の配列、ウレタンプレポリマー分子量などが変化するため、最終的に生成した水性ポリウレタン樹脂の塗膜は、応力に対する伸びが大きくなる欠点、また、塗膜硬度が低下する欠点を有することがある。
【0031】
有機溶媒を使用する代わりに重合性基を有する化合物(b)を使用してウレタンプレポリマーを合成した場合、ウレタンプレポリマーを合成した後の任意の工程で重合性基を有する化合物(b)を重合開始剤・熱・光などにより重合することが出来る。
【0032】
上述のウレタンプレポリマーは、イオン性基を有することにより自己乳化性ポリマーである。それ故、重合性基を有する化合物(b)が疎水性化合物である場合、ウレタンプレポリマーが乳化剤としての作用をして重合性基を有する化合物(b)を水分散化(マイクロカプセル化)させる。すなわち、水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)とは、重合性基を有する化合物(b)のコア部と自己乳化性の水性ポリウレタン樹脂(a)のシェル部とから成るコア・シェル構造をなしている。
【0033】
ウレタンプレポリマーと重合性基を有する化合物(b)との割合(重量比)は、ウレタンプレポリマー:重合性基を有する化合物(b)で通常10:90〜99:1、好ましく30:70〜95:5である。ウレタンプレポリマーと重合性基を有する化合物(b)との重量比が10:90未満の場合は、ポリウレタン樹脂の特性である優れた機械的物性、基材への密着性、耐摩耗性、柔軟性などを得ることが困難であり、重量比が99:1を超える場合は、塗膜硬度、造膜性、耐候性などが悪化することがある。
【0034】
一般に、重合性基を有する化合物(b)の乳化において使用されるドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の外部乳化剤は、樹脂硬化塗膜の耐水性や基材への密着性の点から、基本的に不要である。しかしながら、水性ポリウレタン系樹脂組成物の分散安定性または重合性基を有する化合物(b)を重合させる際の安定性を向上させるために、少量の外部乳化剤を添加してもよい。
【0035】
また、自己乳化性の水性ポリウレタン樹脂(a)として、外部乳化剤を使用して強制乳化法により製造した水性ポリウレタン樹脂も利用することも出来る。
【0036】
水性ポリウレタン系樹脂組成物は、水性ポリウレタン樹脂(a)のカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する硬化剤を含んでいてもよい。そのような硬化剤としては、水溶性、水分散性または疎水性化合物であってもよく、カルボキシル基と反応する官能基として、例えば、エポキシ基、カルボジミド基、オキサゾリン基、アジリジン基などを有する化合物、アミノ基やヒドロキシル基と反応する官能基として、例えば、エポキシ基、イソシアネート基などを有する化合物が挙げられる。硬化剤は、単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。当該硬化剤を使用することによって、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基が反応して架橋密度が向上するため、一層高い耐久性を有する樹脂が得られる。また、親水性基が消失することによって、樹脂の耐水性が一層向上する。
【0037】
プレポリマー反応は、無触媒でもよいが、反応促進のために、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機金属触媒、トリエチレンジアミン、トルエチルアミン、トリブチルアミン、等の第3級アミン触媒を使用してもよい。
【0038】
また、重合性基を有する化合物(b)の存在下でウレタンプレポリマーを製造する場合は、熱による重合性基を有する化合物(b)の重合を防ぐために、空気の存在下で重合禁止剤を使用するのが好ましい。使用する重合禁止剤の量は、重合性基を有する化合物(b)に対して、通常10〜2000ppm、好ましくは10〜1000ppmの範囲である。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、p−ベンゾキノン、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノリン、N、N−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4、4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、フェニル−β−ナフチルアミン、2、2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル)フェノール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジフェニルピクリルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、イオウ、ニトロ化合物などのラジカル重合禁止剤が挙げられる。
【0039】
次に、中和工程、水分散工程および鎖延長工程を説明する。ウレタンプレポリマーを製造した後、塩基性物質を加えてウレタンプレポリマー鎖中のカルボキシル基を中和し、水に溶解または分散させ、鎖延長剤でウレタンプレポリマーを鎖延長する。また、ウレタンプレポリマー製造後、引き続き鎖延長剤またはポリイソシアネート化合物により鎖延長し、塩基性物質を加えてウレタンプレポリマー鎖中のカルボキシル基を中和し、水に溶解または分散させてもよい。
【0040】
例えば、得られたウレタンプレポリマーに塩基性物質を加えてウレタンプレポリマー鎖中のカルボキシル基を中和する。塩基性物質としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン等の3級アミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アンモニア、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩などが挙げられる。これら中で、3級アミン、アルカノールアミンが好適である。塩基性物質の使用量は、ウレタンプレポリマーのカルボキシル基1当量に対し通常0.5〜1.2当量である。
【0041】
次いで、中和処理されたウレタンプレポリマーを水に分散する。ウレタンプレポリマーを水に分散する方法としては、通常の撹拌機を使用して行われる。撹拌機としては、アンカー型、パドル型、タービン型などの撹拌翼を有する撹拌機を使用することが出来る。また、より小さい粒子径の均一な水分散体を得るためには、ホモミキサー、ホモディスパー、ホモジナイザー、ラインミキサー等を使用することが出来る。
【0042】
使用する水としては、脱塩水が好ましい。脱塩水中の金属含有量は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の合計含有量が通常5ppm以下、好ましくは2ppm以下であり、周期表の第3属から14属の範囲の金属含有量の合計が通常5ppm以下、好ましくは2ppm以下である。
【0043】
上述の様にして得られた水性ポリウレタン樹脂(a)は、共重合性を有する二重結合、三重結合、架橋性を有するケト基、ヒドラジノ基、ポリアルコキシシラノ基、グリシジル基、カルボジミド基などの官能基を有していてもよい。水性ポリウレタン樹脂(a)に前記官能基を導入する方法としては、例えば、NCO基と反応し得る活性水素と上記官能基を有する化合物をウレタンプレポリマーと反応させる方法、前記官能基を有するポリイソシアネート化合物、分子内に水酸基を2個以上有するポリオール化合物を使用する方法などが挙げられる。
【0044】
本発明の水性ポリウレタン系樹脂組成物を構成する重合性基を有する化合物(b)としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの付加重合、配位重合などが可能な化合物、例えば、重合性の二重結合や三重結合を有する化合物が挙げられる。
【0045】
重合性基を有する化合物(b)として、以下の化合物を例示することが出来る。イソシアネートと反応する基を有しない化合物としては、以下の化合物が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、ポリエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0046】
更に、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアミド基を有する化合物が挙げられる。
【0047】
また、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等の三級アミノ基を有するモノマー、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の窒素を含有するモノマー;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸フェニル、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系モノマー;ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の含珪素モノマー;オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の含フッ素モノマー等が挙げられる。
【0048】
更に、ジビニルベンゼン、アクリル酸亜鉛、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加体のトリアクリレート等の多官能の不飽和二重結合を有する化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル等のビニルエーテル類;プロピオール酸エステル、プロパルギルアルコール等の三重結合含有化合物;NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエン共重合体)、クロロスルホン化ポリエチレン等のエラストマー;塩化ビニリデン;(メタ)アリルクロライド;プロピオン酸ビニル;ビニルピロリドン;ニビルカプロラクタム;ビニルカルバゾール;ビニル−1−イミダゾール;ジビニルエチレン尿素;テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
また、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート等の酸化重合性の化合物が挙げられる。
【0050】
イソシアネートと反応する基を有する化合物としては、以下の化合物が挙げられる。なお、以下に記載の化合物は、イソシアネート基と共存しない系、すなわち、水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物とが結合しない条件でのみ使用することが出来る。
【0051】
水酸基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、エポキシアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が例示でき、カルボキシル基を有する化合物として、(メタ)アクリル酸などが例示でき、アミノ基を有する化合物として、アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド等が例示でき、グリシジル基を有する化合物として、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、ビニルシクロへキセンモノエポキシド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。
【0052】
水性ポリウレタン系樹脂組成物中の重合性基を有する化合物(b)の量は、水性ポリウレタン樹脂固形分との重量比(水性ポリウレタン樹脂固形分:重合性基を有する化合物(b))で通常99:1〜40:60、好ましくは95:5〜50:50、より好ましくは90:10〜60:40の範囲である。
【0053】
本発明の水性ポリウレタン系樹脂組成物に含有される架橋剤(c)としては、カルボキシル基、アミノ基、ケト基、ヒドロキシル基などの官能基と反応し得る化合物が使用でき、例えば、カルボジミド架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、金属イオン、イソシアネート架橋剤、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド架橋剤などが挙げられる。中でも、常温での硬化性、安全性から、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジミド架橋剤、ヒドラジド架橋剤が好ましく、特に、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド架橋剤がより好ましい。
【0054】
水性ポリウレタン系樹脂組成物中の架橋剤(c)の量は、水性ポリウレタン系樹脂組成物に含まれる上記官能基に対して通常0.01〜3当量、好ましくは0.1〜2当量である。架橋剤の性状にもよるが、架橋剤の量が多すぎる場合は、経済性に劣るだけでなく、水溶性の架橋剤の場合は、耐水性の悪化の原因となる。
【0055】
本発明のポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法は、少なくとも水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)とを含有する水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体上に塗布して硬化塗膜を製造する方法であって、水性ポリウレタン系樹脂組成物が硬化する際に、架橋剤(c)を存在させ、重合性基を有する化合物(b)を重合させることを特徴とする。
【0056】
先ず、水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)との混合について説明する。水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)との混合方法は、特に制限はないが、例えば、(1)水性ポリウレタン樹脂(a)を製造する際に、重合性基を有する化合物(b)とを添加・混合する方法、(2)水性ポリウレタン樹脂(a)を製造した後に、重合性基を有する化合物(b)とを添加・混合する方法の何れであってもよい。中でも、水性ポリウレタン樹脂(a)を製造する際に、重合性基を有する化合物(b)を添加・混合する方法が好適である。また、(1)および(2)の方法において、水性ポリウレタン樹脂(a)と重合性基を有する化合物(b)とを混合した後、重合性基を有する化合物(b)の一部を重合する方法も採用できる。
【0057】
水性ポリウレタン樹脂(a)を製造する際に、重合性基を有する化合物(b)を添加・混合する方法ににおいて、重合性基を有する化合物(b)は、例えば、上述のウレタンプレポリマーを合成する前、合成中または合成後、中和工程、水分散工程、鎖延長工程までの何れの工程で添加してもよい。
【0058】
また、重合性基を有する化合物(b)の添加は、1回でまたは複数回に亘って行ってもよい。複数回に亘って添加する場合、例えば、ウレタンプレポリマーと重合性基を有する化合物(b)との混合溶液にさらに重合性基を有する化合物(b)を添加する場合、添加時期は特に限定されず、例えば、ウレタンプレポリマー中和の前、中和時または中和後の任意の時期に、また、中和したウレタンプレポリマーの水分散時または後、鎖延長が完了するまでに重合性基を有する化合物(b)を追加することが出来る。なお、追加する重合性基を有する化合物(b)は、先に添加された重合性基を有する化合物(b)と同種、異種または2種以上の混合物であってもよい。
【0059】
架橋剤(c)の添加、混合の方法としては、水性ポリウレタン樹脂を製造した後に、架橋剤(c)を添加・混合する方法が好適である。
【0060】
重合性基を有する化合物(b)および架橋剤(c)の混合は、通常の撹拌機を使用して行われる。撹拌機としては、例えば、アンカー型、パドル型、タービン型などの撹拌翼を有する撹拌機を使用することが出来る。また、より小さい粒子径の均一な水分散体を得るためには、ホモミキサー、ホモディスパー、ホモジナイザー、ラインミキサー等を使用することが出来る。
【0061】
また、水性ポリウレタン系樹脂組成物には、重合性基を有する化合物(b)の重合を促進するために、公知の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤としては、水溶性重合開始剤および油溶性重合開始剤を使用でき、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジンカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの無機過酸化物などが挙げられる。
【0062】
前記の有機または無機過酸化物は、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用してもよい。レドックス系開始剤として使用するための還元剤としては、ジエチレンチオ尿素、ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、メルカプトベンズイミダゾール等のチオ尿素類、アミン類、ヒドラジン又はヒドラジド類、ショ糖類、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛などの銅、鉄、コバルト、バナジウム等の脂肪酸塩類、銅アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、バナジウムアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート等の金属錯体、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリット等が挙げられる。
【0063】
重合開始剤の使用量は、重合性基を有する化合物(b)に対して通常0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
【0064】
さらに、水性ポリウレタン系樹脂組成物には、上述の重合開始剤(主に有機過酸化物)に加えて硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、o−ベンゾイックスルフィミド類などの有機スルホンイミド類、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルパラトルイジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノン、N,N−ジメチルアニリン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、等のアミン類、塩化銅、オクチル酸銅などの有機金属塩類等が例示され、また、必要に応じて第2級や第3級アミン等の促進剤を併用してもよい。
【0065】
また、重合性基を有する化合物(b)の重合における分子量を調節する目的で公知の連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ドデシルメルカプタン、チオグリセリン等を添加してもよい。
【0066】
また、水性ポリウレタン系樹脂組成物には、安定化剤を含有してもよい。安定化剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノール類などの重合禁止剤、有機キレート剤、高分子キレート剤などのキレート剤などが挙げられる。
【0067】
有機キレート剤としては、NTA(nitrilotriacetic acid)、EDTA(ethylene diamine tetraaceticacid)、DTPA(diethylene triamine pentaacetic acid)、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸またはその塩;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタミン酸、乳酸、DMPA(ジメチロールプロピオン酸)、DMBA(ジメチロールブタン酸)、グルコン酸などのヒドロキシカルボン酸またはその塩;CMT(carboxymethyltartronate)、CMOS(carboxymetyl oxysuccinate)等のエーテルカルボン酸またはその塩;CETSA(carboxyethylthiosuccinate)等のチオエーテルカルボン酸またはその塩などが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。これらの中で、グリシン、アラニン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、CETSA又はその塩が好ましい。
【0068】
高分子キレート剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、α−ヒドロキシアクリル酸、イタコン酸の重合体またはそれらの共重合体およびそれらの塩、デンプン、セルロース又はその他分子中に酸素原子を含む天然のポリマーを酸化した化合物、カルボキシメチル化した化合物、カルボキシル基を導入した化合物またはその塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。これらの中で、アクリル酸、無水マレイン酸の重合体、共重合体またはその塩が好ましい。
【0069】
また、本発明の水性ポリウレタン系樹脂組成物には、各用途に応じ、顔料、染料、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、耐光安定剤、難燃剤、黄変防止剤、製膜助剤、有機溶剤などの公知の添加剤を配合してもよい。配合割合は、水性ポリウレタン系樹脂組成物の不揮発分が通常1.0〜99.0重量%程度の範囲になる量である。また、硬化塗膜の乾燥時の造膜性および塗膜の柔軟性や伸びを向上させるために、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ系などの可塑剤を添加してもよい。
【0070】
本発明の方法では、上述の様に調製した水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体上に塗布した後に、架橋剤(c)の存在下に重合性基を有する化合物(b)を重合させることが重要である。
【0071】
すなわち、水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体上に塗布し、架橋剤(c)の存在下に重合性基を有する化合物(b)を重合(オリゴマー化)しながら硬化してポリウレタン系樹脂硬化塗膜を形成する。そして、架橋剤(c)の存在下に重合性基を有する化合物(b)を重合(オリゴマー化)しながら硬化することによって得られたポリウレタン系樹脂硬化塗膜は、従来の重合性基を有する化合物(b)を重合した後に水性ポリウレタン系樹脂組成物を被着体上に塗布して硬化して得られたポリウレタン系樹脂硬化塗膜よりも一層硬度が高くなる。
【0072】
水性ポリウレタン系樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、刷毛塗り、ロール塗り、スプレー塗り、流し塗りまたは浸漬法等の方法が挙げられる。被着体に対する塗布量は、特に制限はないが、通常固形分で0.0001〜0.1g/cm、好ましくは0.0001〜0.05g/cmである。
【0073】
本発明における重合性基を有する化合物(b)の重合方法として、レドックス重合、嫌気重合、酸化重合、配位重合などが適用できる。中でも、レドックス重合する方法が好ましい。
【0074】
なお、前記嫌気重合は、水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布して水が揮発する際に、水性ポリウレタン系樹脂組成物中の重合性基を有する化合物(b)が水中でまたは外気から遮断された状態で重合する方法である。また、前記酸化重合は、水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布して水が揮発する際に、水性ポリウレタン系樹脂組成物中の重合性基を有する化合物(b)を空気中の酸素により酸化することで重合する方法である。
【0075】
なお、重合速度、重合度などを高くする目的で、水性ポリウレタン系樹脂組成物に重合開始剤を含有させてもよい。また、被着体に重合開始剤を塗布した後に、水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布する方法、重合開始剤を含有する水性ポリウレタン樹脂を塗布した被着体と水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布した被着体とを接着する方法などの様に、重合開始剤が被着体上で重合性基を有する化合物(b)に作用する形態で重合開始剤を存在させてもよい。使用する重合開始剤としては、前述の重合開始剤が使用できる。重合性基を有する化合物(b)の重合時における重合開始剤の存在量は、重合性基を有する化合物(b)に対して通常0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
【0076】
重合性基を有する化合物(b)を重合、硬化するための温度および時間は、特に制限はなく、公知の条件を使用できる。例えば、重合、硬化のための温度は、重合方法・条件などに依存して一概に定まらないけれども、通常10〜50℃で、時間は、通常1分〜7日間程度である。また、重合性基を有する化合物(b)を重合する雰囲気は、実施する重合方法による公知の条件を適用できる。
【0077】
本発明における重合性基を有する化合物(b)の重合は、上述のように熱や光のエネルギーを与えることなく実施することが出来る。すなわち、本発明の方法によれば、紫外線発生装置やオーブン等の機器を使用することなく、高硬度のポリウレタン系樹脂硬化塗膜を得ることが出来る。しかしながら、重合速度、重合度などを高くする目的で、熱や光などのエネルギーを与えてもよい。
【0078】
被着体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの成形体又はその表面処理物、ポリエステルの成形体又はその表面処理物、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリアミド、ABS、PPO(ポリフェニレンオキサイド)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベークライト、発泡ポリスチレン等のプラスチック、それらのブレンドまたは変性物の成形体などが挙げられる。また、金属蒸着プラスチック成形体、鋼またはその表面処理物、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金などの金属、ガラス、セラミックス、スレート板、硅カル板などの無機質材料、段ボール紙、板紙、クラフト紙などの紙質材料、プレコートメタル、電着塗装板、モルタル、コンクリート、木質材料などが挙げられる。中でも、木質材料が好ましく、例えば、木材、中質繊維板、ハードボード、パーティクルボード、合板などの単板やボ−ド類またはこれらの加工品が好適である。
【0079】
本発明の方法は、フラッシュパネル、化粧合板、プレハブパネル、集成材などの接着や表面処理に利用でき、線貼り、ホゾ、ダボ、トメ、ハギ、角木、その他の組み立てや家具組み立てなどの木材工業に適用することが可能である。
【0080】
また、本発明の方法は、木材用塗料、屋外塗装用塗料、現場施工用塗料などの様に加熱乾燥することができない施工、および、紫外線などを照射することができない施工にも好適である。
【実施例】
【0081】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断らない限り「%」は重量%、「比」は重量比を意味する。
【0082】
鉛筆硬度とは、鉛筆(三菱鉛筆社製「ユニ」(商品名))の6B〜9Hの新しい鉛筆を使用し、その鉛筆の一端の芯を芯部分を尖らすことなく露出させ、且つ、他端を保持して露出した芯と塗膜の塗布面との接触角度を約30度に保ちながら、鉛筆の自重のみの加重でゆっくりと移動させ、そのときの塗膜面の傷の発生の有無を目視で観測した。そして、傷を発生させないもっとも堅い鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。
【0083】
実施例1:
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート115.7g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)119.8g、平均分子量1000のポリカーボネートジオール(クラレ(株)製「C1090」(商品名))53.7g、シクロヘキサンジメタノール38.7g、ジメチロールブタン酸(DMBA)(日本化成製)19.1g、p−メトキシフェノール0.02gを投入し、液温90℃で撹拌してウレタンプレポリマーを製造した。4時間撹拌した後、イソシアネート基の含有量を滴定により測定した結果、理論NCO%に達していたので、液温を40℃まで冷却した。40℃に到達してからトリエチルアミン13.0gを加えて中和し、30分撹拌した。脱塩水を20分間かけて滴下してウレタンプレポリマーを水に転相させて分散した。次に、ヒドラジン1水和物4.8gに脱塩水19.9gを加えて希釈した水溶液を7分間かけて滴下して鎖延長し、40℃で3時間撹拌した。フラスコに窒素ガスを導入しながら、過硫酸カリウム1.51gを脱塩水48.6gに溶解して得た水溶液を加え、温度を75℃に保ちながら、重合性基を有する化合物の重合を3時間行い、固形分 35.5重量%の水性ポリウレタン樹脂を得た。
【0084】
次に、上記水性ポリウレタン樹脂を撹拌しながら、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート14.0g、ジアセトンアクリルアミド 35.0g、アジピン酸ジヒドラジド(ヒドラジド架橋剤)18.0gを添加し、30分間撹拌した。撹拌後1日静置しても相分離などがなく、分散安定良好な水性ポリウレタン系樹脂組成物を得た。
【0085】
次いで、過硫酸カリウム3.5gを添加し、ガラス板に塗布し、遮光した恒温室内に放置した。恒温室内は、温度25℃で湿度40%であった。1日放置後の塗膜は、造膜性良好で、透明で濁り等がなく、高光沢であり、鉛筆硬度は3Hと高硬度であった。
【0086】
実施例2:
実施例1で得られたの水性ポリウレタン樹脂に、4−ヒドロキシブチルアクリレート35.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート14.0g、ジアセトンアクリルアミド35.0g、アジピン酸ジヒドラジド(ヒドラジド架橋剤)18.0g、オキサゾリン架橋剤(株式会社日本触媒製「エポクロスWS−500」(商品名))7.0gを添加し、30分間撹拌した。撹拌後1日静置しても相分離などがなく、分散安定良好な水性ポリウレタン系樹脂組成物を得た。
【0087】
次いで、過硫酸カリウム 3.5gを添加しガラス板に塗布し、遮光した恒温室内に放置した。恒温室内は25℃で湿度40%であった。1日放置後の塗膜は、造膜性良好で、透明で濁り等がなく、高光沢であり、鉛筆硬度は3Hと高硬度であった。更に、塗膜を25℃の純水に1日浸漬した結果、塗膜の白化等なく耐水性に優れていた。
【0088】
比較例1:
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコにイソホロンジイソシアネート(IPDI)106.3g、平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製「PTMG2000」(商品名))239.2g、ジメチロールブタン酸(DMBA、日本化成製)35.4gを仕込み、80℃まで昇温してウレタンプレポリマーの反応を行った。
【0089】
得られたウレタンプレポリマー溶液を40℃まで冷却すると、非常に高粘度であり撹拌が困難であったため、N−メチルピロリドン95.2gを添加して粘度を低下させた。その後、トリエチルアミン20.6gを均一に混合して中和し、次いで、脱塩水665.0gを滴下してウレタンプレポリマー溶液を水に転相させて分散した。転相が終了した後、80%ヒドラジン・水和物7.5gに脱塩水30.8gを加えて稀釈した水溶液を添加し、ウレタンプレポリマーを鎖延長した。生成した水性ポリウレタン樹脂は均一な乳白色液で凝集物などは認められなかった。
【0090】
次いで、クメンハイドロパーオキサイドを添加しないで、得られた水性ポリウレタン樹脂をガラス板に塗布し、遮光した温度25℃で湿度40%の恒温室内に放置して硬化した。得られた塗膜は、透明で濁り等がなく、高光沢であったが、鉛筆硬度が6B以下であり、高硬度の塗膜は得られなかった。また、N−メチルピロリドンを使用したため、塗膜製造時に有機溶剤の揮発が認められた。
【0091】
比較例2:
冷却管、温度計、仕込み口、撹拌装置を備えた4つ口の2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート115.7g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)119.8g、平均分子量1000のポリカーボネートジオール(クラレ(株)製「C1090」(商品名))53.7g、シクロヘキサンジメタノール38.7g、ジメチロールブタン酸(DMBA)(日本化成製)19.1g、p−メトキシフェノール0.02gを投入し、液温90℃で撹拌してウレタンプレポリマーを製造した。4時間撹拌した後、イソシアネート基の含有量を滴定により測定した結果、理論NCO%に達していたので、液温を40℃まで冷却した。40℃に到達してからトリエチルアミン13.0gを加えて中和し、30分撹拌した。次に、脱塩水を20分間かけて滴下してウレタンプレポリマーを水に転相させて分散した。ヒドラジン1水和物4.8gに脱塩水19.9gを加えて希釈した水溶液を7分間かけて滴下して鎖延長し、40℃で3時間撹拌した。フラスコに窒素ガスを導入しながら、過硫酸カリウム1.51gを脱塩水48.6gに溶解した水溶液を加え、温度を75℃に保ちながら重合性基を有する化合物の重合を3時間行い、固形分35.5重量%の水性ポリウレタン樹脂を得た。
【0092】
次いで、クメンハイドロパーオキサイドを添加しないで、得られた水性ポリウレタン樹脂をガラス板に塗布し、遮光した温度25℃で湿度40%の恒温室内に放置して硬化した。得られた塗膜は細かくひび割れが生じ、平滑な連続膜は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体上に水性ポリウレタン樹脂と重合性基を有する化合物とを含有する水性ポリウレタン系樹脂組成物を塗布して硬化塗膜を製造する方法であって、前記水性ポリウレタン系樹脂組成物中に架橋剤を添加し、重合性基を有する化合物を重合することにより、水性ポリウレタン系樹脂組成物を硬化することを特徴とするポリウレタン系樹脂硬化塗膜の製造方法。
【請求項2】
重合性基を有する化合物がアクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
重合性基を有する化合物がジアセトンアクリルアミドである請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
架橋剤がヒドラジド架橋剤である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
架橋剤がアジピン酸ジヒドラジドである請求項1又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
重合性基を有する化合物の重合が、レドックス重合、嫌気重合、酸化重合および配位重合の何れかで行われる請求項1に記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−255635(P2006−255635A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78713(P2005−78713)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000230652)日本化成株式会社 (85)
【Fターム(参考)】