説明

ポリウレタン製造用触媒及びポリウレタン製造方法

【課題】 従来法と比較して、ポリウレタン樹脂の密度、硬度及び初期キュアー性をあまり変えることなく、クリームタイムを遅延させて、反応プロファイルを初期に立ち上がりを遅くし、後半急激に反応が進むように改良されたポリウレタン樹脂製造用触媒、及びその触媒を使用するポリウレタン樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】 トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)と、グリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有するポリウレタン樹脂製造用触媒を用いて、ポリウレタン樹脂を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオールとポリイソシアネートを、触媒及び必要に応じて発泡剤、整泡剤、架橋剤等の存在下に反応させ、ポリウレタンを製造する為の触媒、並びにその触媒を使用するポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【0002】
本発明の触媒は、特に、軟質ポリウレタンフォーム製造用の触媒としての利用が期待される。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン樹脂は、主原料であるポリオールと有機ポリイソシアネート及び/又はイソシアネートプレポリマーを触媒及び必要に応じて消泡剤、界面活性剤、架橋剤、発泡剤等の存在下に反応させて製造されている。ポリウレタン樹脂は架橋構造を有する樹脂を形成可能であり、基材との密着性、可とう性、耐候性に優れるため、自動車、建築、家電、重防食、塗料、エラストマー、シーリング剤、接着剤等の用途に広く使用されている。
【0004】
ポリウレタン樹脂の製造にあたっては、ポリオールやポリイソシアネート等の原料を混合した後、金型へ充填したり、基材へ塗布して反応・硬化を起こさせる成形方法が一般的である。近年、生産性向上の目的から反応性を早くすることが要求されている。しかしながら、反応性を早めるとウレタン樹脂の硬化が即座に始まってしまうため、原料が金型の隅々まで流れず、成形不良になってしまったり、基材への塗布前に原料が硬化する等の問題が起こり易くなる。
【0005】
即ち、初期の反応性を抑えることにより、混合液の使用可使時間(ポットライフ)を長くし、金型への充填や基材への塗布を容易にし、ある一定時間経過後に急激な硬化性をもたらす、もしくは金型への充填後や基材への塗布後に加熱処理を行うことにより急激な硬化性をもたらす、いわゆる遅延性触媒が求められている。
【0006】
これらポリウレタン樹脂製造用触媒としては、第3級アミン触媒や金属触媒が広く使用されている。特にコーティング、接着剤、シーラント、エラストマー等の非発泡用途に用いられる触媒としては、その活性の高さ及びウレタン反応を促進することから、鉛触媒や有機スズ触媒等の金属触媒が用いられることが多く、主にジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDLと称する場合がある)又はスタナスオクトエートが多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
金属触媒は一般に毒性が高く、また希望する反応性即ち遅延性効果を得ることが難しいために、アミン触媒の使用が検討され、なかでも二環式第3級アミンに関する研究が盛んに行われているが(例えば、特許文献2、特許文献3参照)、該二環式第3級アミン触媒には、多くの問題点が指摘されている。
【0008】
例えば、二環式第3級アミンは水の存在下で容易に加水分解を起こすために、保存安定性が極めて低いという問題を有する。また、ポリオール、整泡剤等に触媒を混合した形態(プレミックス)で長期間保存した場合、吸水するために保存安定性が悪い問題がある。
【0009】
加水分解性に対する安定性を改良するために、二環式第3級アミンをフェノールや2−エチルヘキサン酸、ギ酸等の有機酸ブロック剤と混合させてアミン塩触媒の形態にしてウレタン用途に利用することが検討されている(例えば、特許文献4〜特許文献8参照)。
【0010】
しかしながら、二環式第3級アミンのフェノール塩を触媒として用いた場合、室温でのポットライフが長く、40℃〜60℃の硬化温度で急激な硬化が発現する特徴を示すが、加水分解に対する触媒の安定性が低く、長期間の保存安定性に問題があった。またフェノールは毒性が極めて高く、労働安全衛生法・施行例第18条有害物質にも該当するものであり、その有害性が懸念される。二環式第3級アミンのフェノール塩を触媒として用いた場合、ウレタン樹脂製品中へのフェノール残留が懸念されるため、代替ブロック剤の開発が強く要望されている。
【0011】
また、2−エチルヘキサン酸やギ酸等を二環式第3級アミンのブロック剤として用いた場合、フェノール塩と同様に室温でのポットライフが長く、40℃〜60℃の硬化温度にて急激な硬化を示し、かつフェノール塩よりも耐加水分解に優れる特徴を示すが、ポリイソシアネートとの反応により生成した炭酸ガスにより、ウレタン樹脂中に気泡を生じる致命的な欠陥がある。非発泡のウレタン用途で、気泡の発生は最終製品の欠陥となるため、気泡を生じることのない触媒の開発が強く要望されている。
【0012】
一方、本件出願人は、ポリウレタン製品中から排出されるアミンがほとんどないポリウレタン樹脂を生産性、成形性良く得ることができる触媒組成物として、下記一般式(1)で示されるアミン化合物と、下記一般式(2)又は一般式(3)で示されるアミン化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物について既に特許出願している(特許文献9参照)。
【0013】
【化1】

[上記式(1)中、R及びRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基、ジメチルアミノプロピル基又はジエチルアミノプロピル基を表す。但し、RとRが直接又は窒素原子若しくは酸素原子を介在して結合した環状構造を表してもよい。Rは炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。R及びRは各々独立して炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表す。]
【0014】
【化2】

[上記式(2)中、R及びRは各々独立してメチル基又は下記一般式(IV)で示される置換基を表す。n、pは1〜2の整数を表す。但し、R及びRが同時にメチル基になることはない。]
又は下記一般式(3)
【0015】
【化3】

[上記式(3)中、Rは下記一般式(4)で示される置換基を表す。n、pは1〜2の整数を表す。]
【0016】
【化4】

[上記式(4)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。qは1〜3の整数を表す。]
しかしながら、特許文献9に記載の触媒組成物は遅延性触媒ではなく、またこの触媒組成物を使用して製造される軟質ポリウレタンフォームは反発弾性が十分ではなく、その改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−279250号公報
【特許文献2】特開2001−40258号公報
【特許文献3】特開2001−72738号公報
【特許文献4】特開2002−3811号公報
【特許文献5】特開2003−137952号公報
【特許文献6】特開2003−140520号公報
【特許文献7】特開平5−295074号公報
【特許文献8】特開平9−52934号公報
【特許文献9】特開2008−74903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記した背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来法と比較して、ポリウレタン樹脂の密度、硬度及び初期キュアー性をあまり変えることなく、クリームタイムを遅延させて、反応プロファイルを初期に立ち上がりを遅くし、後半急激に反応が進むように改良されたポリウレタン樹脂製造用触媒、及びその触媒を使用するポリウレタン樹脂の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、有効な遅延性を持つポリウレタン反応触媒について鋭意検討した結果、特定の第3級アミン化合物と、グリセリン類を含有する触媒が、極めて有効な遅延性を示すことを見出し、更に特定のアミン化合物を併用することで、得られるフォームの反発弾性やヒステリシスロスが良好となることことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、以下に示すとおりのポリウレタン樹脂製造用触媒及びポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0021】
[1]トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)と、グリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有するポリウレタン樹脂製造用触媒。
【0022】
[2]トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)、下記一般式(1)
【0023】
【化5】

[上記式(1)中、R及びRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基、ジメチルアミノプロピル基又はジエチルアミノプロピル基を表す。但し、RとRが直接又は窒素原子若しくは酸素原子を介在して結合した環状構造を表してもよい。Rは炭素原子数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。R及びRは各々独立して炭素原子数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表す。]
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上のアミン化合物(B)、並びにグリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有するポリウレタン樹脂製造用触媒。
【0024】
[3]アミン化合物(B)が、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、及びN,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミンからなる群より選択されることを特徴とする上記[2]に記載のポリウレタン樹脂製造用触媒。
【0025】
[4]第3級アミン(A)が、ポリウレタン樹脂製造用触媒全体に対して、10〜40重量%含まれることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒。
【0026】
[5]ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【0027】
[6]ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒及び発泡剤の存在下で反応させることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒は、初期活性が弱いため、原料ポリオールと有機イソシアネートが混合されてから、フォームの形成反応が開始されるまでの時間が延長できる。その結果、大型モールドの隅々まで原料液を十分流しうるなど混合液の操作性や液流れ性などが改善できる。
【0029】
また、本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒は、フォームの形成反応が進み、反応温度が上昇すると、触媒活性能が発現される。この結果、触媒活性は著しく増大し、ウレタン反応により形成された泡を複雑なモールドの中へ欠肉することなく流動させる。このため、フォーム密度が中心部から表皮に向かってバランス良く分布し表皮がしっかりしたポリウレタンフォームが得られる。
【0030】
また、通常の遅延性触媒は酸ブロック剤を含む為、金属材質に対する腐食性が懸念されるが、本発明の遅延性触媒は、酸ブロック剤を含有していない為に、金属材質に対する腐食性がなく、触媒貯槽や発泡装置などのポリウレタン製造設備を侵すことがなく、生産性向上に役立つ。
【0031】
更に、上記アミン化合物(B)を含有する本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒を用いると、使用しない場合に比べ、得られるフォームの反発弾性やヒステリシスロスが良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の第一のポリウレタン樹脂製造用触媒は、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)と、グリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有することを特徴とする。
【0034】
また、本発明の第二のポリウレタン樹脂製造用触媒は、上記第3級アミン類(A)、下記一般式(1)
【0035】
【化6】

[上記式(1)中、R及びRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基、ジメチルアミノプロピル基又はジエチルアミノプロピル基を表す。但し、RとRが直接又は窒素原子若しくは酸素原子を介在して結合した環状構造を表してもよい。Rは炭素原子数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。R及びRは各々独立して炭素原子数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表す。]
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上のアミン化合物(B)、並びに上記グリセリン類(C)を含有することを特徴とする。
【0036】
上記一般式(1)で示されるアミン化合物は、例えば、ヒドロキシアルキル基を2以上有する第3級アミン化合物であり、対応するアミン化合物の1級アミノ基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを2〜6モル付加反応させて得られるものである。エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加モル数は触媒活性の点からは2モルが好ましい。
【0037】
上記一般式(1)で示されるアミン化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサデシルジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、4−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−1−ジエチルアミノペンタン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)−N’−メチルピペラジン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノプロピル)ピペリジン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノプロピル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ビス(ジエチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサデシルジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ−1−ジエチルアミノペンタン、N,N−ジエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル)ピペリジン、N−(N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル)−N’−メチルピペラジン、N−(N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノプロピル)ピペリジン、N−(N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノプロピル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ビス(ジエチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン等が挙げられる。
【0038】
これらのうち、触媒活性が高く特に好ましいものは、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミンである。
【0039】
本発明の触媒に用いられるグリセリン系溶剤と第3級アミンの含有量比は、触媒全体に対しての第3級アミンの重量比が1〜70%であるが好ましくは10〜40%である。理由は、クリームタイムが更に遅延化するからである。
【0040】
本発明の触媒には、上記した第3級アミン(A)、アミン化合物(B)以外の触媒(以下、「他の触媒」と称する。)を併用して用いることができる。他の触媒としては、従来公知の第3級アミン類や、第4級アンモニウム塩類、有機金属触媒、カルボン酸金属塩等を挙げることができる。ただし、有機金属触媒は、上記した問題があるため、その使用量を減らすか、又は使用しないことが望ましい。また、本発明の触媒として、上記一般式(2)又は一般式(3)で示されるアミン化合物を特に使用する必要はない。
【0041】
第3級アミン類としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルオクタメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルウンデカメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、キヌクリジン、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン化合物類が挙げられる。
【0042】
第4級アンモニウム塩類としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
【0043】
有機金属触媒としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
【0044】
カルボン酸金属塩としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。カルボン酸としては、特に限定するものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、アジピン酸等の脂肪族モノ及びジカルボン酸類、安息香酸、フタル酸等の芳香族モノ及びジカルボン酸類等が好適な例として挙げられる。また、カルボン酸塩を形成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好適な例として挙げられる。
【0045】
他の触媒の使用量は、特に限定するものではないが、第3級アミン(A)1重量部に対して、0〜3重量部であることが望ましい。
【0046】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒は、遅延性触媒として、軟質スラブフォーム、軟質モールドフォーム、半硬質フォーム、インテグラルスキンフォーム、硬質フォーム、及びポリウレタンエラストマーのいずれの用途にも使用することができる。
【0047】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記した本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒の存在下で反応させることをその特徴とする。
【0048】
また、本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記したポリウレタン樹脂製造用触媒及び発泡剤の存在下で反応させることをその特徴とする。
【0049】
本発明の製造方法に使用されるポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更には含リンポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
【0050】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等)を出発原料として、これにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドを付加させることにより得られるものが挙げられる(例えば、Gunter Oertel著、「Polyurethane Handbook」、1985年版、第42〜53頁に記載の方法を参考のこと)。特に好ましいものとしては、グリセリンを出発原料とした分子量が3000〜12000程度のものである。
【0051】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とグリコールの反応から得られるもの、更には、ナイロン製造時の廃物、TMP、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治著、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」、初版、1987年、117頁の記載を参照のこと)。
【0052】
ポリマーポリオールとしては、例えば、上記したポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールが挙げられる(例えば、Gunter Oertel著、「Polyurethane Handbook」、1985年版、第75〜76頁の記載を参照のこと)。ポリマーポリオールとして特に好ましいものは、分子量が5000〜12000程度のものである。
【0053】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、従来公知の有機ポリイソシアネートでよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート及びこれらの混合体が挙げられる。TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニル−ポリメチレンジイソシアネートの混合体、及び/又は末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。
【0054】
これらのうち、軟質フォームの製造において、特に好ましいものはTDIとMDIの混合物であり、半硬質フォーム、インテグラルスキンフォーム、硬質フォームの製造において、特に好ましいものはMDIである。
【0055】
本発明の製造方法において、イソシアネートインデックス[=(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)(モル比)×100]は、特に限定するものではないが、軟質フォーム、半硬質フォーム及びインテグラルスキンフォームの製造では、一般に70〜130の範囲であり、硬質フォーム及びウレタンエラストマーの製造においては、一般に70〜250の範囲である。
【0056】
本発明の製造方法において、必要であれば、発泡剤を用いることができる。発泡剤としては、例えば、水及び/又はハロゲン化炭化水素が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、従来公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類が例示され、具体的には、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロトリフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等を使用することができる。
【0057】
特に好ましい発泡剤は水であり、その使用量は、目的とするポリウレタンフォームの密度により変わり得るが、ポリオール100重量部に対して、通常2重量部以上であり、更に好ましくは3〜8重量部の範囲である。
【0058】
本発明の製造方法において、必要であれば、整泡剤を用いることができる。整泡剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が好適なものとして挙げられ、その使用量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部の範囲である。
【0059】
本発明の製造方法において、必要であれば、架橋剤又はは鎖延長剤を使用することができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)等を挙げることができる。これらのうち、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0060】
また本発明の製造方法において、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤その他公知の添加剤等を使用することができる。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば通常使用される範囲で十分使用することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定して解釈されるものではない。
【0062】
グリセリン類を用いた本発明の触媒と、それ以外の低分子量の多価アルコールや低分子量のアミンポリオールを用いた触媒とを比較した例を以下に示す。
【0063】
実施例1〜2及び比較例1〜11.
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表1に示した原料配合比にて混合し、プレミックスAを調合した。
【0064】
【表1】

プレミックスA 79.5gを300mlポリエチレンカップに取り、更に表2に示す触媒を、反応性が下記のゲルタイムで60±1秒となる量添加し、25℃に温度調整した。
【0065】
別容器で25℃に温度調整したポリイソシアネート液(MDI)を、イソシアネートインデックス[=(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)(モル比)×100]が100となる量だけ、プレミックスAを入れた上記カップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。
【0066】
混合攪拌した混合液を60℃に温度調節した2Lポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を測定した。
【0067】
次に原料スケールをアップさせ、60℃に温度調節したモールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)内に、同様な操作にて、フォーム全密度が53kg/mとなるように混合液を入れ、蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から8分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームの硬度、フォームの全密度、コア密度、ヒステリシスロス及びフォームの圧縮永久歪を測定した。結果を表2に併せて示す。
【0068】
なお、各測定項目の測定方法は以下のとおりである。
【0069】
・反応性の測定項目
クリームタイム:発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定した。
ゲルタイム:反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定した。
ライズタイム:フォームの上昇が停止する時間を赤外線センサーにて測定した。
【0070】
・フォームの全密度、コア密度:モールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)で成型したフォームを23℃×7日養生後、寸法及び重量を測定し、フォームの全密度を求めた。また、このフォームからフォームカッターにて21×21×6cm寸法のフォームをサンプリングし、重量を測定して、フォームのコア密度を求めた。
【0071】
・フォームの硬度:コア密度を求めたフォームを用いて、23℃×16hrs以上状態調整後、フォームの硬度を測定した。引張試験機(エー・アンド・デイ社製、製品名:テンシロンRTM500)に圧縮用冶具(直径20cmの円盤)を装着し、フォームをセットした。予備圧縮として、300mm/min.の速度で円盤を昇降させ、フォーム厚みの40%に相当する圧縮操作を2回行った。フォームの硬度測定は、3回目に行う圧縮操作で40%圧縮時の圧縮応力を読み取り、フォームの硬度とした。
【0072】
・ヒステリシスロス:フォーム硬度を測定したフォーム及び試験機を用い、23℃雰囲気下で、以下のとおりヒステリシスロスを測定した。予備圧縮として、100mm/min.の速度で円盤を昇降させ、フォーム厚みの65%に相当する圧縮操作を1回行った。ヒステリシスロス測定は、2回目に行った圧縮操作で、加圧時の応力ひずみ曲線と除圧時の応力ひずみ曲線を得て、この操作で得た加圧時と除圧時の応力ひずみ曲線から個々の積分値を求め、ヒステリシスロス[=(加圧時の応力ひずみ曲線の積分値−除圧時の応力ひずみ曲線の積分値)/加圧時の応力ひずみ曲線の積分値×100]を求めた。ヒステリシスロスの少ないフォームを弾性が高いと判断した。
【0073】
・圧縮永久歪:コア密度(ヒステリシスロス)を測定したフォームから5×5×2.5cm寸法のフォームを4個カットし、試験前の厚みを測定した。試験はJIS K6401−1980に準じて、圧縮冶具を用いフォームを50%圧縮、70℃×22hrsの条件下に置き促進劣化処理を行った。処理後圧縮を解放し、23℃×30分の状態調整後、フォームの厚みを測定し、圧縮永久歪(ドライセット:Dry−CS)[=(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み×100]を求めた。
【0074】
実施例1〜2及び比較例1〜11の反応条件及び結果を表2に併せて示す。
【0075】
【表2】

表2から明らかなように、実施例1、2において、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムは、比較例1〜11の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムに比べ、7〜10秒長くなっており、初期反応が顕著に遅延化したことがわかる。
【0076】
実施例3〜4及び比較例12〜13.
表3に示す触媒を用い、実施例1〜2及び比較例1〜11と同様にして、発泡中の反応性を測定した。
【0077】
触媒組成比、触媒添加量、及び反応性の結果を表3に併せて示す。
【0078】
【表3】

表3から明らかなように、実施例3、4において、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムは、比較例12、13の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムに比べ、5〜10秒長くなっており、初期反応が顕著に遅延化したことがわかる。
【0079】
実施例5〜7及び比較例14.
トリエチレンジアミン量を一定にし、グリセリン量又はジプロピレングリコール量を変化させて、実施例1〜2及び比較例1〜11と同様に発泡中の反応性を測定し、それぞれの触媒の遅延化効果を調べた。
【0080】
【表4】

触媒組成比、触媒添加量、及び反応性の結果を表4に併せて示す。
【0081】
表4から明らかなように、本発明の触媒は、グリセリン量の増加に伴い遅延化効果が大きくなることを確認した。
【0082】
一方、比較例の触媒は、ジプロピレングリコール量を増やしても遅延効果は殆ど現れなかった。
【0083】
実施例8〜実施例10及び比較例15.
ポリオール、水、架橋剤、整泡剤を表5に示した原料配合比にて混合し、プレミックスA’を調合した。
【0084】
【表5】

プレミックスA’ 86.2gを300mlポリエチレンカップに取り、更に表6に示す触媒を各々反応性が下記のゲルタイムで56秒となる量を添加し20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液(TM80)をイソシアネートインデックス[=(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)(モル比)×100]が105となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を60℃に温度調節した2Lポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を測定した。
【0085】
次に原料スケールをアップさせ、同様な操作にて60℃に温度調節したモールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)内にフォーム全密度が51.5〜52Kg/m3となるように混合液を入れ、蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から10分後にフォームを脱型した。成型フォームからフォームの硬度、フォームの全密度・密度分布、コア密度、ヒステリシスロス、反発弾性、及びフォームの圧縮永久歪を測定し比較した。結果を表6に示す。なお、各測定項目の測定方法は、以下に示すフォームの密度分布、圧縮永久歪以外は、実施例1〜2及び比較例1〜11のとおりである。
【0086】
・フォームの密度分布:モールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)で成型したフォームを厚み方向に5等分し、個々のフォームの寸法及び重量を測定し、密度を求めた。フォームの密度分布は、中心部のフォームの密度と上部及び下部のフォームの密度の差を求め、更に上部と下部のフォームの密度差の差を求め、それらの差の小さいものを中心からバランス良く密度分布したフォームと判断した。
【0087】
・表皮がしっかりしたフォームの判定:モールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)で成型したフォームを厚み方向に5等分し、個々のフォームの寸法及び重量を測定し、密度を求めた。中心部のフォームの密度と上部及び下部のフォームの密度差を求め、その差が大きいものを表皮がしっかりしたフォームと判断した。
【0088】
・圧縮永久歪:コア密度(ヒステリシスロス)を測定したフォームから5×5×2.5cm寸法のフォームを4個カットし、試験前の厚みを測定する。試験はJIS K6401−1980に準じて、圧縮冶具を用いフォームを50%圧縮、70℃×22hrsの条件下に置き促進劣化処理を行った。処理後圧縮を解放し、23℃×30分の状態調整後、フォームの厚みを測定し、圧縮永久歪(ドライセット:Dry−CS)[=(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み×100]を求めた。同様に圧縮冶具を用いフォームを50%圧縮、50℃×22hr、95%湿度の条件下に置き促進劣化処理を行った。処理後圧縮を解放し、23℃×30分の状態調整後、フォームの厚みを測定し、圧縮永久歪(ウエットセット:Wet−CS)[=(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み×100]を求めた。
【0089】
実施例8及び比較例15の反応条件及び結果を表6に併せて示す。
【0090】
【表6】

表6から明らかなように、実施例8〜実施例10において、本発明の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムは、比較例15の触媒組成物を用いたポリウレタンフォームのクリームタイムに比べ、3〜4秒長くなっており、初期反応が顕著に遅延化したことがわかる。
【0091】
また、実施例8〜実施例10においては、上部の表皮密度と下部の表皮密度の差が6.4〜7.8kg/mと小さく、中心部から表皮に向かってバランス良く密度上昇が確認され、更に中心部の密度と上部の密度差が12.9〜14.1kg/m、下部の密度差が5.9〜7.3kg/mと表皮がしっかりしたフォームが得られた。
【0092】
一方、比較例15においては上部の表皮密度と下部の表皮密度の差が12.9kg/mと大きいことから密度分布のバランスが悪いことが確認され、更に中心部の密度と上部の密度差が16.7kg/mとあるものの、下部の密度差が3.8kg/mと小さいことから表皮が充分形成されていないことがわかった。
【0093】
さらに、実施例9、実施例10は、上記アミン化合物(B)に該当する、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミンを含有する触媒組成物であるが、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミンを含有しない触媒組成物を用いた実施例8に比べ、ヒステリシスロスや反発弾性が改善された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)と、グリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有するポリウレタン樹脂製造用触媒。
【請求項2】
トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,2−ジメチルイミダゾール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種又は二種以上の第3級アミン類(A)、下記一般式(1)
【化1】

(上記式(1)中、R及びRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基、ジメチルアミノプロピル基又はジエチルアミノプロピル基を表す。但し、RとRが直接又は窒素原子若しくは酸素原子を介在して結合した環状構造を表してもよい。Rは炭素原子数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。R及びRは各々独立して炭素原子数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表す。)
で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上のアミン化合物(B)、並びにグリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンからなる群より選ばれる一種又は二種以上のグリセリン類(C)を含有するポリウレタン樹脂製造用触媒。
【請求項3】
アミン化合物(B)が、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ネオペンタンジアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジアミン、N−(N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノエチル)ピペリジン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、及びN,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−N’,N’−ビス(ヒドロキシエチル)プロパンジアミンからなる群より選択されることを特徴とする請求項2記載のポリウレタン樹脂製造用触媒。
【請求項4】
第3級アミン(A)が、ポリウレタン樹脂製造用触媒全体に対して、10〜40重量%含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒。
【請求項5】
ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項6】
ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂製造用触媒及び発泡剤の存在下で反応させることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2011−105867(P2011−105867A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263001(P2009−263001)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】