説明

ポリエステルナノ複合材を製造するプロセス

向上した機械的性質を有するポリエステルナノ複合材は、繊維状粘土、ナトリウム塩、任意選択により少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマー、および少なくとも1種類のポリエステルポリマーの混合物を溶融配合し;任意選択により、そのナノ複合材組成物を固相重合にかけてポリエステル分子量を増加することによって製造される。ポリエステルナノ複合材は、最終樹脂組成物で望まれるよりも高い濃度の繊維状粘土を含有する溶融配合マスターバッチから製造することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示内容は、繊維状粘土ナノ充填材およびポリエステルを含むポリエステルナノ複合材を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ複合材は、ナノメートルサイズの粒子、すなわち約1〜数百ナノメートルの寸法を有する粒子で強化されたポリマーである。
【0003】
ポリマー層状シリケートナノ複合材には、ポリマーマトリックス中に層状粘土鉱物充填材が組み込まれる。層状シリケートは、タクトイドとして知られる規則的なパケットにスタックされた数百の薄い小板層で構成される。これらの小板のそれぞれが、大きなアスペクト比(直径/厚さ約100〜1000)を特徴とする。したがって、粘土が個々の小板としてポリマーマトリックス全体に均一に分散され、展開される場合、ポリマーと充填材との接触表面積が大きいことから、強度、曲げ弾性率およびヤング率、および加熱撓み温度の劇的な増加が、非常に低い充填材添加率(10重量%未満)で確認される。さらに、小板の表面積が大きいことによって、ポリマー材料を通って透過する時に拡散種が流動しなければならない経路のねじれが大幅に増加することから、バリヤ性が大幅に向上する。
【0004】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、同時係属中の特許文献1では、ポリエステルマトリックス中に繊維状粘土分子を分散させる方法であって、繊維状粘土と、少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーと、少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの混合物を溶融配合して、ナノ複合材組成物を製造すること;任意選択により前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加すること;による方法が開示されている。マスターバッチからポリエステルナノ複合材組成物を製造する方法であって、最終樹脂組成物で望まれるよりも高い濃度の繊維状粘土を含有するナノ複合材組成物を製造するために、繊維状粘土と、少なくとも1種類のポリエステルオリゴマーと、少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの混合物を溶融配合する工程;任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程;前記ナノ複合材組成物をポリエステルポリマーと、任意選択により追加の成分と、さらに溶融配合する工程;を含む方法がさらに記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20080315453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
向上した機械的性質を有するポリエステル/繊維状粘土ナノ複合材料を製造するプロセスが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
a.繊維状粘土、
b.少なくとも1種類のナトリウム塩、
c.任意選択により、少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマー、
d.少なくとも1種類のポリエステルポリマー、
の混合物を溶融混合して、ナノ複合材組成物を製造する工程;任意選択により前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程;
を含む、ポリエステルナノ複合材を製造する方法に関する。
【0008】
本発明はさらに、マスターバッチからポリエステルナノ複合材組成物を製造する方法であって、繊維状粘土と、少なくとも1種類のナトリウム塩と、任意選択により少なくとも1種類のポリエステルオリゴマーと、少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの混合物を溶融配合して、最終樹脂組成物で望まれるよりも高い濃度の繊維状粘土を含有するナノ複合材組成物を製造する工程;任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程;前記ナノ複合材組成物をポリエステルポリマーと、任意選択により追加の成分と、さらに溶融配合する工程;を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の開示内容の文脈において、多くの用語が用いられる。
【0010】
本明細書で使用される「ナノ複合材」または「ポリマーナノ複合材」という用語は、0.1〜100nm範囲の少なくとも1つの寸法を有する、ポリマー材料全体に分散された粒子(「ナノ粒子」)を含有するポリマー材料を意味する。ナノ粒子が分散されるポリマー材料は、「ポリマーマトリックス」と呼ばれることが多い。「ポリエステル複合材」という用語は、そのポリマー材料が少なくとも1種類のポリエステルを含む、ナノ複合材を意味する。
【0011】
本明細書で使用される「繊維状粘土」という用語は、プレートまたは粒状構造とは対照的に、主に長い、細長い繊維(中空繊維であることもできる)を特徴とする、天然および合成粘土を意味する。
【0012】
「展開(exfoliate)]」という用語は文字通り、一定の尺度で薄層板または破片を放つこと、あるいは葉を開くことによって、またはあたかも葉を開くように広げる、または伸張することを意味する。スメクチック粘土の場合には、「展開(exfoliation)」とは、スメクチック粘土からの小板の分離、ならびにポリマーマトリックス全体へのこれらの小板の分散を意味する。繊維状粘土に対して、本明細書で使用される「展開(exfoliation)」または「展開された(exfoliated)」とは、ナノメートル直径の繊維への繊維束または凝集体の分離を意味し、その繊維はポリマーマトリックス全体に分散される。
【0013】
本明細書で使用される「TSPP」という用語は、ピロリン酸四ナトリウムを意味する。「TSPP十水和物」は、具体的にはNa・10HOを意味する。TSPPは、無水物状態のNaでも入手可能である。
【0014】
本明細書で使用される「ポリエステル」とは、反復単位を連結する基のうち50%を超える基がエステル基である、縮合ポリマーを意味する。したがって、連結基のうち半分を超える基がエステル基である限り、ポリエステル類は、ポリエステル、ポリ(エステル−アミド)およびポリ(エステル−イミド)を含み得る。好ましくは、連結基の少なくとも70%がエステルであり、さらに好ましくは、連結基の少なくとも90%がエステルであり、特に好ましくは、連結基の本質的にすべてがエステルである。エステル連結基の割合は、ポリエステルを製造するために使用されるモノマーのモル比によって第一次近似で推定することができる。
【0015】
本明細書で使用される「PET」とは、ジオール反復単位の少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%がエチレングリコールからであり、かつジカルボン酸反復単位の少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%がテレフタル酸からである、ポリエステルを意味する。
【0016】
本明細書で使用される「オリゴマー」とは、同一または異なる式の特定可能な構造反復単位2つ以上を含有する分子を意味する。
【0017】
本明細書で使用される「直鎖状ポリエステルオリゴマー」とは、大環式ポリエステルオリゴマーを除くオリゴマー材料を意味し、それ自体で、またはモノマーの存在下にて高分子量ポリエステルに重合することができる。
【0018】
本明細書で使用される「ポリエステル成分」とは、ナノ複合材中に存在するすべてのポリエステル部分、すなわち直鎖状オリゴマー+ポリマーの合計を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「樹脂」とは、ポリマーと、少なくとも1種類の追加の成分(例えば、充填材、難燃剤、強化剤、可塑剤等)とを含む組成物を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「溶融混合」とは、せん断応力を溶融物にかけて、溶融物を含む成分を混合することを意味する。少なくとも1つの成分が溶融される限り、溶融混合プロセス中、1つまたは複数の成分(例えば、粘土、ガラス繊維)は、溶融していない状態のままであってもよい。本明細書で使用される「溶融混合」、「配合」、および「溶融配合」という用語は、同義である。
【0021】
本明細書で使用される「ドライブレンド」という用語は、一般に溶融混合前に、溶融していない成分を互いに混合することを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「段階的供給」という用語は、溶融混合プロセスの異なる段階で成分が別々に供給されることを意味する。例えば、2つの異なる成分が、押出機の1つの供給口に供給され、第3の成分は、第1供給口の下流の第2供給口に供給されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「分割供給」という用語は、成分の総量を2つ以上の部分に分割し、溶融混合プロセスの異なる段階で分割分が別々に供給されることを意味する。例えば、成分は3つに分割され、その分割分それぞれが、押出機の異なる供給口に供給される。数値が本明細書に記載されている場合、別段の指定がない限り、その範囲は、その終点、およびその範囲内のすべての整数および分数を含むことが意図される。範囲を定義する場合に、本発明の範囲が記載される特定の値に限定されることは意図されない。
【0024】
本明細書に記載の本発明の一態様は、繊維状粘土、少なくとも1種類のナトリウム塩、任意選択により少なくとも1種類のポリエステルオリゴマー、および少なくとも1種類のポリエステルポリマーの混合物を溶融配合してナノ複合材組成物を製造する工程;任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程;を含む、ポリエステルナノ複合材を製造する方法に関する。
【0025】
本明細書に記載の本発明の他の態様は、マスターバッチからポリエステルナノ複合材組成物を製造する方法であって、繊維状粘土と、少なくとも1種類のナトリウム塩と、任意選択により少なくとも1種類のポリエステルオリゴマーと、少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの混合物を溶融配合して、最終樹脂組成物で望まれるよりも高い濃度の繊維状粘土を含有するナノ複合材組成物を製造する工程;任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程;前記ナノ複合材組成物をポリエステルポリマーと、任意選択により追加の成分と、さらに溶融配合する工程;を含む方法である。
【0026】
ポリエステルナノ複合材の製造
繊維状粘土
ナノ複合材組成物は、繊維状粘土を約0.1〜約40重量%含有する。繊維状粘土は、プレートまたは粒状構造とは対照的に、主に長い、細長い繊維(中空繊維であることができる)を特徴とする、天然および合成粘土を含む。個々の繊維は一般に、長さ約0.2〜5マイクロメートルの範囲であり、約5〜200ナノメートルの範囲の直径を有する。かかる繊維状粘土は一般に、アルミノケイ酸塩、ケイ酸マグネシウムおよびマグネシウムアルミノケイ酸塩として存在する。繊維状粘土の例としては、限定されないが:アタパルジャイト(パリゴルスカイト)、海泡石、ハロイサイト、エンデライト、クリソタイルアスベスト、およびイモゴライトが挙げられる。高い長さ対直径比、入手し易さ、および低コストを兼ね備えることから、単独での、または混合物としての海泡石およびアタパルジャイトが魅力的である。
【0027】
海泡石[MgSi15(OH)・6(HO)]は、その繊維状構造から高いアスペクト比を示す水和ケイ酸マグネシウム充填材である。海泡石は、ケイ酸塩の中でも特有であり、長い木ずり状結晶で構成され、そのシリカ鎖は繊維の軸に対して平衡に走る。この材料は、2つの形、αおよびβ形からなると示されている。α形は、繊維の長い束であることが知られており、β形は、非晶質凝集体として存在する。
【0028】
アタパルジャイト(パリゴルスカイトとしても知られる)がわずかに小さな単位格子を有することを除いては、アタパルジャイトは、海泡石とほぼ構造的かつ化学的に同一である。本明細書で使用される「繊維状粘土」という用語は、アタパルジャイトならびに海泡石自体を含む。
【0029】
繊維状粘土は、層状繊維状材料であり、その各層は、マグネシウムイオンを含有する八面体単位の中央シートに結合する四面体シリカ単位の2つのシートで構成される(例えば、L.Bokobza et al.,Polymer International,53,1060−1065(2004)の図1および図2を参照されたい)。繊維は互いに結合して、繊維束を形成し、次に凝集体を形成することができる。これらの凝集体は、微粉化または化学修飾などの工業プロセス(例えば、欧州特許第170,299号明細書(Tolsa,S.A.)参照)によってばらばらに破壊され、ナノメートル直径の繊維、すなわち剥離繊維状粘土が製造される。
【0030】
本発明で使用される繊維状粘土の量は、組成物の繊維状粘土とポリエステル成分に対して約0.1〜約40重量%の範囲である。選択される具体的な量は、当技術分野ではよく理解されるように、ナノ複合材の使用目的に応じて異なる。
【0031】
繊維状粘土は、高純度(「レオロジー的グレード」)、未被覆形態(Tolsa Group,(Madrid,Spain)から市販のPANGEL(登録商標)S9海泡石粘土)で入手可能であり、あるいはより一般的には、粘土をより「有機親和性」とするため、すなわち低極性ないし中極性のシステムとより相溶性とするために、有機材料で処理される(例えば、Tolsa Groupから市販のPANGEL(登録商標)B20海泡石粘土)。繊維状粘土のかかるコーティングの一例は、欧州特許出願第221,225号明細書に開示される、塩化ジメチルベンジルアルキルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩である。
【0032】
本明細書に記載のプロセスで使用される繊維状粘土は一般に、未修飾である;すなわち、繊維状粘土の表面が有機化合物(例えば、その表面の極性を低くするために、オニウム化合物など)で処理されていない。かかるオニウム化合物は、PETなどのポリエステルを処理するために用いられる温度で劣化する傾向がある。
【0033】
実施形態において、欧州特許出願第A−0454222号明細書および欧州特許出願第A−0170299号明細書に記載のように、繊維状粘土はレオロジー的グレードであり、Tolsa,S.A.,(Madrid,Spain)によって商標PANGEL(登録商標)で市販されている。それに記載される「レオロジー的グレード」とは、120m/gを超える比表面積(N,BET)および一般的な繊維寸法:長さ200〜2000nm、幅10〜30nm、および厚さ5〜10nmを有する繊維状粘土を意味する。
【0034】
レオロジー的グレードの海泡石は、海泡石繊維の破壊を実質的に防ぐ特別な微粉化プロセスを用いることによって、天然から得られ、その結果、海泡石は水および他の極性液体に容易に分散し、高度の不規則性、300m/gを超える高い比表面積および活性中心との水素架橋を比較的容易に形成でき、非常に高い水保持能力をそれに付与する吸着のための高密度の活性中心を有する外部表面を有する。レオロジー的グレードの海泡石ナノ粒子のミクロ繊維の性質によって、海泡石は高い多孔性および低い見掛け密度を有する材料となる。
【0035】
さらに、レオロジー的グレードの海泡石は、非常に低い陽イオン交換能力(10〜20ミリ当量/100g)を有し、電解質との相互作用が非常に弱く、その結果レオロジー的グレードの海泡石は、塩がその中に見られる媒体中の塩の存在によって実質的に影響を受けず、したがって、広いpH範囲で安定な状態である。
【0036】
レオロジー的グレードの海泡石の上記の品質は、例えば、The firm Engelhard Corporation,(United States)によって製造かつ市販されるATTAGEL商品の領域(例えばATTAGEL 40およびATTAGEL 50)、およびFloridin CompanyのMIN−U−GEL領域など、40ミクロンより小さな粒径のレオロジー的グレードのアタパルジャイトにも起因し得る。
【0037】
一般に、本発明で使用される繊維状粘土の量は、組成物の繊維状粘土とポリエステル成分に対して約0.1〜約40重量%の範囲である。選択される具体的な量は、当技術分野ではよく理解されるように、ナノ複合材組成物の使用目的に応じて異なる。例えば、フィルムでは、所望の光学的性質を保つために、できる限り少量の繊維状粘土を使用することが有利である。
【0038】
本明細書に記載の方法は、比較的高い濃度の繊維状粘土、一般に15〜30重量%を含有する、ナノ複合材組成物の「マスターバッチ」の製造に特に有用である。次に、マスターバッチは追加のポリエステル(レットダウン)と、任意選択により他の成分と混合されて、所望の低濃度の繊維状粘土を含有する樹脂組成物が製造される。レットダウン比は、所望のレベルの分散充填材粒子が最終生成物中に存在するように選択される。例えば、繊維状粘土を30重量%含有するナノ複合材組成物マスターバッチが使用される。次いで、繊維状粘土3重量%有する組成物が必要な場合には、その3重量%を含有する組成物は、30%マスターバッチ1重量部を「純粋な」ポリエステル9重量部と、すなわち、追加のポリマー9部とマスターバッチ1部のレットダウン比で溶融混合することによって製造される。追加のポリマーまたは重合性ポリマー約0.5〜20部とマスターバッチ1部のレットダウン重量比、特に約1〜10:1またはさらには約2〜6:1が簡便である場合が多い。これは便利なことに、成分を溶融し、それらを混合することによって、またはドライブレンドを形成し、続いて加熱し、溶融混合することによって行われる。溶融混合中、他の成分を添加して、所望の最終組成物を形成することもできる。
【0039】
ナノ複合材中の繊維状粘土の量は好ましくは、繊維状粘土+ポリエステル成分の重量に対して約0.1〜約35重量%である。一部の実施形態において、繊維状粘土は、以下の:0.1、5、10、15、20、25、30、35および40重量%のいずれか2つの間の(任意選択によりいずれか2つを含む)量で存在する。
【0040】
ナトリウム塩
少なくとも1種類のナトリウム塩が、繊維状粘土の重量に対して約0.5〜約12重量%の範囲の量で添加され、「繊維状粘土の重量に対する重量%」は、繊維状粘土重量でナトリウム塩の重量を割り、それを100倍したものとして定義される。例えば、ナトリウム塩4グラム+繊維状粘土50グラムは、繊維状粘土の重量に対してナトリウム塩2重量%となる。一部の実施形態において、ナトリウム塩は、繊維状粘土の重量に対して、以下の重量%:0.5、1、3、5、7、9、11、および12重量%のいずれか2つの間の(任意選択によりいずれか2つを含む)量で存在する。適切なナトリウム塩の例としては、限定されないが、ピロリン酸四ナトリウム(「TSPP」)、リン酸三ナトリウム(「TSP」、NaPO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、およびその混合物が挙げられる。TSPPは、無水物状態Na[CAS登録番号7722−88−5]または水和物状態「TSPP十水和物」Na・10HO[CAS登録番号13472−36−1]であることができる。受け取った状態のまま(フレーク)で使用されるか、または所望のように粉末に粉砕される。
【0041】
ポリエステル
本明細書に記載のプロセスで使用するのに適している、直鎖状ポリエステルオリゴマーおよびポリエステルポリマーが以下に記述される。ポリエステルポリマーの分子量は、最終組成物の最終用途に応じて異なる。一般に、その数平均分子量(M)は、約12,000〜約50,000である。
【0042】
直鎖状ポリエステルオリゴマーとしては、例えば、直鎖状ポリエステルのオリゴマーおよび重合性ポリエステルモノマーのオリゴマーが挙げられる。メチルエステルまたはカルボン酸基を除去するために行われる場合、例えば、ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸をエチレングリコールと反応させることによって、通常、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートと様々なオリゴマーとの混合物:ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのオリゴマー、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(カルボキシル基を含有する)のオリゴマー、およびさらに鎖延長することができるポリエステルオリゴマーが得られる。一般に、かかるオリゴマーは、平均重合度(モノマー単位の平均数)約20以下、さらに一般的には約10以下を有する。直鎖状ポリエステルオリゴマーは、ポリエステルポリマー製造プロセスの副生成物として得られる(例えば、S.Hansen and K.B.Atwood,“Polyester Fibers,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,A.Seidel ed.,5thedition,vol.20,1−31(2006)参照)。代替方法としては、ポリエステルポリマーを分解(「クラッキング」)することによって、例えばDavid E.Nikles,Medhat S.Farahat in “New Motivation for the Depolymerization Products Derived from Poly(Ethyene Terephthalate)(PET)Waste:a Review”(Macromolecular.Materials and Engineering,290,13−30(2005))に記載のようにアルコーリシスによって、または解糖によって製造することができる(例えば、Kinetics of glycolysis of poly(Ethyene terephthalate melts,”J.R.Campanelli,M.R.Kamal,and D.G.Cooper,Journal of Applied Polymer Science,54(11),1731−40,(1994)参照)。
【0043】
これらのプロセスによって得られる直鎖状ポリエステルオリゴマーはおそらく、広い分子量分布を有し、かつ測定可能な量のモノマー種を含有する。直鎖状ポリエステルオリゴマーは、モノマー種(例えば、エチレングリコール、ビス−ヒドロキシテレフタル酸)をポリエステルポリマーと繊維状粘土との混合物に添加し、次いで溶融混合することによって、本明細書に記載のプロセスにおいてその場で(in situ)製造することもできる。
【0044】
ポリエステル(大部分またはすべてのエステル結合性基を有する)は通常、1つまたは複数のジカルボン酸および1つまたは複数のジオールから誘導される。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、係属中の米国特許出願第11/312068号明細書に記載のように、重合性ポリエステルモノマーから、または大環式もしくは直鎖状ポリエステルオリゴマーから、それらを製造することもできる。
【0045】
本明細書に記載の本発明の実施に使用されるポリエステルは、非晶質、結晶質、半結晶質、異方性(つまり、液晶性)、または等方性であるか、またはこれらのモフォロジーの混合物を含有し得る。本発明の実施に使用するのに最も適しているポリエステルは、等方性熱可塑性ポリエステルホモポリマーおよびコポリマー(ブロックとランダムの両方)を含む。
【0046】
ジオールおよびヒドロカルビル二酸またはかかる二酸のエステルを含有する反応混合物からのポリエステルの製造は、A.J.East,M.Golden,and S.Makhija in the Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,J.I.Kroschwitz exec.ed.,M.Howe−Grant,ed.,4th edition(1996),vol.19,609−653に記載のように当技術分野でよく知られている。中でも適している二酸(および相当するエステル)は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、およびその誘導体、例えば、そのジメチル、ジエチル、またはジプロピルエステルからなる群から選択される。
【0047】
ジオール成分として用いることができるグリコールの代表的ないくつかの例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、イソソルビド、ナフタレングリコール、ビフェノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、およびジオールまたはポリオールとアルキレンオキシドとの反応生成物である、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのより長鎖のジオールおよびポリオールが挙げられる。これらの種のアルキル置換およびクロロ置換型も使用することができる。
【0048】
本発明で使用するのに適しているポリエステルは、重合性ポリエステルモノマーを含有する反応混合物から直接製造することもできる。前記重合性ポリエステルモノマーの代表的ないくつかの例としては、ヒドロキシ酸、例えばヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸および乳酸;ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(4−ヒドロキシブチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレンジオエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]イソフタレート、ビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]テレフタレート、およびビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]イソフタレート、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート、およびラクチドが挙げられる。これらの種のアルキル置換およびクロロ置換型も使用することができる。
【0049】
大環式ポリエステルオリゴマーを含有する反応混合物から、ポリエステルポリマーを直接製造することもできる。適切な大環式ポリエステルオリゴマーの例としては、限定されないが、1,4−ブチレンテレフタレート(CBT);1,3−プロピレンテレフタレート(CPT);1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(CCT);エチレンテレフタレート(CET);1,2−エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート(CEN)の大環式ポリエステルオリゴマー;テレフタル酸およびジエチレングリコールの環状エステル二量体(CPEOT);および上記の構造反復単位の2つ以上を含む大環式コオリゴエステル;が挙げられる。これらの種のアルキル置換およびクロロ置換型も使用することができる。
【0050】
このポリエステルは、分枝状または非分枝状であり、ホモポリマーまたはコポリマー、または少なくとも1種類のかかるホモポリマーもしくはコポリマーを含むポリマーブレンドであることができる。
【0051】
具体的なポリエステルの例としては、限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールブロックを有する熱可塑性エラストマーポリエステル(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.,(Wilmington,DE 19898 USA)からHYTREL(登録商標)として市販されている)、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)、およびポリ乳酸(PLA)が挙げられる。
【0052】
ポリエステル成分は、直鎖状オリゴマー約0〜約99重量%およびポリエステルポリマー約100〜約1重量%である。一部の実施形態において、直鎖状オリゴマーは、ポリエステル成分に対して以下の:0、5、10、13、15、17、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、および99重量%のいずれか2つの間の(任意選択によりいずれか2つを含む)量で存在する。一部の実施形態において、ポリエステルポリマーは、ポリエステル成分に対して以下の:100、95、90、87、85、83、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5および1重量%のいずれか2つの間の(任意選択によりいずれか2つを含む)量で存在する。
【0053】
溶融混合プロセス条件
本明細書に記載のプロセスにおいて、繊維状粘土、少なくとも1種類のナトリウム塩、少なくとも1種類のポリエステルポリマー、任意選択により少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーを含む混合物が形成される。混合物は溶融混合され(すなわち、溶融混合物にせん断応力がかけられる)、任意選択により固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加させる。バッチ式または連続式で熱可塑性材料を溶融混合するのに一般的なプロセス装置が使用される。かかる装置の例としては、ニーダー(例えば、Buss AG,(Pratteln,Switzerland)製のBuss Co−Kneader)、押出機(一軸スクリュー、二軸スクリュー、多軸スクリュー)、Banbury(登録商標)Mixer、Farrel(登録商標)Continuous mixer(Banbury(登録商標)およびFarrel(登録商標)は、Farrel Corporation,(Ansonia,Connecticut,USA)の登録商標である)等が挙げられる。(現在、Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,(Stuttgart,Germany)の一部である)Werner & Pfleiderer製のZSK機械などの二軸スクリュー押出機が一般に使用される。二軸スクリュー押出機を使用する処理に関しては、スクリューデザインは、運搬、溶融、混合、均質化、分散、脱揮発成分(つまり、オフガス)、より線加工、およびペレット化の一般的なポリエステル処理操作を包含する。最適な混合強度は、ミキサーの構成、混合される温度、組成等に応じて異なり、当業者によって容易に決定される。
【0054】
ナノ複合材の成分は、多くの異なる方法で押出機に導入されてもよい。成分の混合物は直ちに、後部供給口に供給されてもよい。一部の実施形態において、個々の成分は、別々の供給口に供給されてもよい(「段階的供給」;例えば、1つの成分は1つの供給口に供給され、他の2つの成分は第2の供給口に供給される)。他の実施形態において、いずれか1つの成分(直鎖状ポリエステルオリゴマー、ポリエステルポリマー、繊維状粘土、ナトリウム塩、任意の成分)の供給は、2つ以上の流れに分割され、複数の供給口に供給されてもよい(「分割供給」)。さらに他の実施形態において、段階的供給および分割供給プロセスの両方が用いられてもよい。
【0055】
他の実施形態において、連続した2つ以上の押出機を使用して、1つまたは複数の配合工程をそれぞれ行うことができる。代替方法としては、押出機の「アウトプット」としても知られる、押出し組成物の一部またはすべてを同じ押出機を通して1回または複数回再供給し、最終組成物を製造することができる。
【0056】
押出し条件は、具体的な組成物、つまり具体的な材料および相対量に応じて調節される。例えば、押出し温度は、直鎖状ポリエステルオリゴマーの濃度および添加する時にオリゴマーが固形であるか、または溶融状態であるかどうかに応じて、適切な溶融強度を維持するために調節する必要がある。かかる考慮すべき事項は、当業者によって十分に理解され、異なる組成物に容易に合わせることができる。
【0057】
得られるナノ複合材におけるポリマー材料の分子量は、多くの公知のアプローチのいずれかによって、またはこれらのアプローチのいずれか、例えば鎖延長、反応押出し、押出しレットダウン、固相重合またはアニーリング、不活性ガス流下でのアニーリング、真空アニーリング、溶融反応器におけるレットダウン等の組み合わせによって増加させてもよい。分子量を増加するかかるプロセスの生産性は、直鎖状ポリエステルオリゴマー上の末端基の存在によって高められる。固相重合(「固相重合」とも呼ばれる「SSP」)が一般に用いられる(例えば、A.East,“Polyesters,Thermoplasic”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,A.Seidel ed.,5thedition,vol.20,31−95(2006)参照)。
【0058】
ナノ複合材組成物と溶融混合される任意の成分
ナノ複合材は、限定されないが、安定剤、酸化防止剤、強化剤、顔料、他の充填材、可塑剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、および他のポリマーなど、追加の成分を含有し得る。
【0059】
ポリエステルおよび繊維状粘土に加えた成分を含有するナノ複合材組成物は、様々な方法で製造することができる。高濃度の繊維状粘土を有するポリエステルナノ複合材マスターバッチは、本明細書に記載のプロセスを用いて製造され、次いで、追加のポリエステルと溶融混合することによってレットダウンされ、次いで所望の追加成分と溶融混合されることができる(プロセスA)。代替方法としては、かつより経済的には、追加のポリエステルおよび所望の追加成分とマスターバッチを単に、同時に溶融混合することができる(プロセスB)。他の変形形態(プロセスC)では、ポリエステルナノ複合材を所望の最終繊維状粘土濃度で製造し、それを所望の追加成分と別個の工程で溶融混合するか、あるいは(プロセスD)ナノ複合材が製造される時、すべての成分を含ませることによって、最終組成物を製造することができる。他の変形形態は、これらのアプローチを併せ持ってもよい;例えば、ナノ複合材マスターバッチが調製される場合には安定剤を含ませてもよく、マスターバッチが追加のポリエステルとレットダウンされる場合には、難燃剤が添加されてもよい。これらまたは他のプロセスのどれが用いられるかは、経済的側面および追加の成分の性質などの因子に応じて異なり、当業者によって容易に決定される。例えば、プロセスBは、処理工程が2つであるのに対してAは3つであることから、プロセスAよりも経済的である。プロセスDは、一部の状況で、例えば追加の成分が比較的揮発性であるか、または熱安定性の境界線上にある場合には簡便であり得る。プロセスCでは、製造者には組成物の配合にいくらかの融通性が与えられるのに対して、プロセスAまたはBにおけるマスターバッチの使用は、広い範囲にわたって粘土含有率を容易に変化させることによって、より融通が利く。
【0060】
適切であると考えられる場合、様々な理由のうちの1つまたは複数の理由で、後部供給口ではなく、押出機の1つまたは複数の下流箇所にて成分を添加し、例えば、充填材などの固体の消耗を低減し、分散を向上させ、装置の摩耗を減らし、比較的熱に不安定な成分の熱履歴を減らし、かつ/または揮発性成分の蒸発による損失を低減させてもよい。
【0061】
繊維状粘土を除く固体粒状充填材
繊維状粘土/ナトリウム塩/ポリエステル混合物の押出し中に、他の固体充填材を添加するか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の工程で溶融混合することができる。
【0062】
かかる充填材は、溶融混合条件下で組成物中に分散するために十分に細粒化しなければならない。一般に、固体粒状充填材は、顔料、補強剤、および充填材など、熱可塑性組成物で既に使用されていてもよい材料である。固体粒状充填材は、たとえば組成物のポリマーに対する固体粒状充填材の付着を向上させるサイジングおよび/またはコーティングを、その上にコーティングされていても、されていなくてもよい。固体粒状充填材は有機であっても、または無機であってもよい。有効な固体粒状充填材としては、粘土(海泡石およびアタパルジャイト以外)、タルク、珪灰石、マイカ、および炭酸カルシウムなどの無機物;繊維、ミルドグラス、中実球または中空球などの様々な形態;カーボンブラック、炭素繊維、グラフェンシート(剥離グラファイト、酸化グラファイト)、カーボンナノチューブまたはナノダイヤモンドなどの炭素;二酸化チタン;短繊維、フィブリルまたはフィブリド状のアラミド;酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどの難燃剤、および適切な不融性有機化合物が挙げられる。
【0063】
固体粒状材料は従来から、例えば二軸スクリュー押出機またはBussニーダーでナノ複合材と溶融混合されてもよい。しかしながら、粒状材料は、ポリエステルナノ複合材を形成するプロセスに添加してもよく、すなわち、ポリマー/繊維状粘土/直鎖状オリゴマー/ナトリウム塩混合物の形成の一部として添加してもよい。多量の粒状材料が添加される場合には、溶融混合プロセスを受けて材料の粘度が増加するかもしれず、処理するのが難しいほど材料の粘度が増加しないように注意を払うべきではあるが、粒状材料を繊維状粘土と同時に添加してもよい。
【0064】
可塑剤
繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に可塑剤を添加するか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の工程で溶融混合することができる。可塑剤は、ポリマーに添加した場合に、一般にそのガラス転移温度を下げることによって、ポリマーをより柔軟にする化合物である。
【0065】
可塑剤は一般に、融点約50℃以下、(平均)分子量2000以下を有する化合物または化合物の混合物である。一般に、可塑剤は、組成物中のポリエステルの重量に対して0〜約5重量%である。有用な具体的な可塑剤としては、数平均分子量約946を有するポリ(エチレングリコール400)ジ−2−エチルヘキサノエートおよびポリ(エチレングリコール)ジラウレートが挙げられる。
【0066】
強化剤
強化剤は、繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に添加されるか、または別個の工程において形成されたナノ複合材組成物と溶融混合することができる。
【0067】
ポリマーを強化するために使用される材料はよく知られている。この分野の多くの参考文献の中の2つの例は、Polymer Blends−Volume 2:Performance,D.R.Paul and C.B.Bucknall,eds.,John Wiley & Sons(2000)およびRubber−toughened Plastics(Advances in Chemistry Series No.222),C.K.Riew(ed.),American Chemical Society(1989)である。
【0068】
本発明の組成物における任意の1つの成分は、ポリマー強化剤である。これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第11/312065号明細書に記載のように、一般にエラストマーであるか、または比較的低い融点、一般に200℃未満、好ましくは150℃未満を有するポリマーであって、ポリエステル(および、任意選択により存在する他のポリマー)と反応し得る官能基をそれに付けているポリマーである。存在する官能基を含有するポリマー強化剤の量は、ポリエステルの重量に対して約1〜約20%である。適切な強化剤の例としては、エチレンのコポリマー、エチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレート、およびグリシジルメタクリレートなど参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,753,980号明細書に記載の強化剤が挙げられる。
【0069】
ポリマー強化剤は一般に、官能基を含有するモノマーを約0.5〜約20重量%、しばしば約1.0〜約15重量%、またはさらには官能基を含有するモノマーを約7〜約13重量%含有する。
【0070】
他のポリマー
他のポリマーは、繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に添加されるか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の段階において溶融混合することができる。
【0071】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第11/642182号明細書に記載のように、ポリエステルナノ複合材は多種多様な他のポリマーとブレンドすることができる。かかる他のポリマーとしては、オレフィンホモポリマーおよびコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンコポリマー、液晶ポリマー、フッ素化ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ゴム、ポリカーボネート、ポリアクリレート、テルペン樹脂、ポリアセタール、スチレン含有コポリマー、クマロン/インデンコポリマー等、およびその組み合わせが挙げられる。
【0072】
エポキシ化合物または樹脂
他の成分のもう1つの種類はエポキシ化合物または樹脂である。場合によっては、エポキシ化合物または樹脂は溶融粘度を安定させ、かつ/または組成物の色彩安定性を向上させると考えられている。一般に、かかる化合物または樹脂は平均分子量約1000未満を有する。エポキシ材料は通常、組成物全体に対して0〜約1.0重量%のレベルで存在する。それは、繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に添加されるか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の段階において溶融混合することができる。
【0073】
有用なエポキシ化合物または樹脂の例としては、限定されないが、Epon(登録商標)1002F、1009Fまたは1031(Resolution Performance Products,(Houston,Texas));およびAraldite(登録商標)GT7099またはGT6099(Huntsman Advanced Materials Americas Inc.,(Los Angeles,California))が挙げられる。
【0074】
加水分解安定剤
加水分解安定剤は、繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に添加されるか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の段階において溶融混合することができる。
【0075】
ポリエステルナノ複合材は、特にモノフィラメントを形成するためにそれが使用される場合、有効量の加水分解安定化添加剤で安定化することができる。加水分解安定化添加剤は、加水分解劣化に対するポリエステルナノ複合材の安定性を高める公知の材料であることができる。加水分解安定化添加剤の例としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる係属中の米国特許出願第11/642182号明細書に記載のように、ジアゾメタン、カルボジイミド、エポキシド、環状カーボネート、オキサゾリン、アジリジン、ケテンイミン、イソシアネート、アルコキシ末端キャップ化ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0076】
一般に、使用される加水分解安定化添加剤の量は、ポリエステルナノ複合材に対して0.1〜10.0重量%である。一般に、使用される加水分解安定化添加剤の量は、0.2〜4.0重量%の範囲である。
【0077】
他の添加剤
他の成分は、繊維状粘土/直鎖状ポリエステルオリゴマー/ポリエステルポリマーの押出し中に添加されるか、または形成されたナノ複合材組成物と別個の段階において溶融混合される。かかる成分は、目的の最終用途の必要に応じて、熱可塑性材料において通常使用される量で本発明の組成物に添加されてもよい。かかる材料の例としては、限定されないが、酸化防止剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、(塗装)接着性向上剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、加工助剤、ワックス、色安定剤、顔料、核生成剤、染料、二酸化チタンおよび硫化亜鉛などの艶消剤、シリカなどの粘着防止剤、帯電防止剤、光沢剤、窒化ケイ素、金属イオン封鎖剤、汚れ防止剤、シリコーン油、界面活性剤、防汚剤、粘度調整剤、およびジルコニウム酸が挙げられる。
【0078】
成分および/成分量は、本明細書における他の成分および/または成分量と組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0079】
例えば、押出機などの追加の形成デバイスに直接、生成物を供給するか、または追加のポリマーストリームと同時供給して、成形物品、限定されないが、モノフィラメント、マルチフィラメント糸、フィルム、シート、ペレット、および管材料などを形成することによって、本明細書に記載のポリエステルナノ複合材組成物を製造するプロセスを更なる形成プロセスと一体化することもできる。一例は、モノフィラメントを製造するための一体化連続プロセスであり、その押出機のアウトプットは直接、フィラメント押出機に供給されるか、または追加のポリマーストリームと共にフィラメント押出機に同時供給される。
【0080】
用途
本発明によって製造されるナノ複合材組成物を含む物品は、限定されないが、射出成形、押出し成形、吹込み成形、熱成形、溶液流延、またはフィルムインフレーション法など当技術分野で公知の手段によって製造してもよい。それらは特に、外観部品、包装、モノフィラメント、およびエンジニアリングプラスチックが一般に使用される他の用途において有用である。
【0081】
外観部品
本明細書に記載の組成物(しばしば、追加の任意の成分が存在する場合)は、その表面外観が重要である部品である、「外観部品」として特に有用である。かかる部品としては、フェンダー、自動車ボディーパネル、フェイシア、ボンネット、タンクフラップおよび他の外装部品:内部自動車パネル;自動車照明器具(例えば、ベゼル(bezel));家電品(例えば、冷蔵庫、食器洗浄器、洗濯機、衣類乾燥機、ミキサー、ドライヤー、コーヒーメーカー、トースターおよびカメラ)の部品、例えばハンドル、コントロールパネル、外枠(ケース)、洗濯槽および外装部品、内部および外部冷蔵庫パネル、および食器洗浄器のフロントパネルまたは内部パネル;ドリルまたはノコギリなどの電動工具ハウジング;パーソナルコンピューターハウジング、プリンターハウジング、周辺装置ハウジング、サーバーハウジングなどの電子キャビネットおよびハウジング;列車、トラクター、芝刈り機、トラック、スノーモービル、航空機および船などの乗り物用の外部および内部パネル;建物用の装飾内部パネル;会社および/または家庭の椅子およびテーブルなどの家具;および電話および他の電話装置が挙げられる。上記のように、これらの部品は塗装してもよいし、組成物の色で未塗装のままでもよい。
【0082】
非外観部品
非外観部品も、これらの組成物で製造されてもよい。これらは、その表面外観が重要ではない部品である。かかる部品としては、いわゆるエンジニアリング熱可塑性材料で作られた部品、特に剛性、靱性、および引張り強さなどの組成物の物理的性質を高めるように設計されている材料で充填されている部品が挙げられる。その例としては、限定されないが、電気コネクター、配電箱またはフューズのカバー、ラジエーターグリルのサポート、プリント回路基板、プラグ、スイッチ、キーボード構成部品、小さな電気モーター構成部品、ディストリビュータ・キャップ、ボビン、巻型、ローター、風防ワイパーアーム、ヘッドライト取り付け台、他の付属品、およびコンベアベルトの連結部品が挙げられる。
【0083】
少なくとも1種類のポリエステルが熱可塑性エラストマーである場合、強度、靱性、可撓性、および歪みからの回復の望ましい組み合わせ、優れた組み合わせを有することから、ナノ複合材には、曲げ、屈曲、押し、回転、脈動、衝突、または反動などの、いくつかの種類の機械的反復運動を伴う用途での使用が見出されるであろう(East,op.cit.参照)。用途の例としては、限定されないが、水圧ホース、鉄道車両の連結器、リリースバインダー(release binder)、自動真空制御管、ドアロックバンパー、貨車緩衝装置、ヘッドフォン;特殊繊維、フィルム、およびシート;ジャケッティング、自動車緩衝装置、貨車用のダイヤフラム、波形プラスチック管材料、鉄道緩衝器、自動電気窓の駆動テープ、CVJトランク、レクリエーション用履物、導電性ゴム、電線被覆、エネルギー管理装置、受話器のコード、圧縮バネパッド、ワイヤークランプ、拳銃用ケース、駆動ベルト、ランフラットタイヤ挿入物、および医療用フィルムが挙げられる。
【0084】
包装
本明細書に記載のプロセスによって製造されるナノ複合材組成物は、フィルム、シート、容器、膜、ラミネート、ペレット、コーティング、およびフォームなどの、包装用途で有用な成形物品に形成することができる。限定されないが、射出成形、(同時)押出し成形、吹込み成形、熱成形、溶液流延、貼合せまたはフィルムインフレーション法など、当技術分野で公知の手段によって、物品を製造してもよい。物品は、射出延伸ブロー成形ボトルであってもよい。
【0085】
本明細書に記載のプロセスによって製造されるナノ複合材組成物を含む物品の例としては、限定されないが、食品、パーソナルケア(健康および衛生)製品、および化粧品用の包装が挙げられる。包装とは、パッケージ全体またはパッケージの構成要素のいずれかを意味する。包装の構成要素の例としては、限定されないが、包装フィルム、収縮バッグ、収縮包装;限定されないが「CPET」(結晶質ポリエチレンテレフタレート)トレイなどのトレイ、限定されないが、冷凍食品のトレイ;トレイ/容器組立品、交換可能および交換不可能なキャップ、蓋、および飲料瓶の首が挙げられる。包装は、缶、ボトル、広口瓶、袋、化粧品パッケージ、または端が密閉されたチューブなど、特定の用途に適した形状をとってもよい。食品用包装の他の例としては、限定されないが、熱い飲み物用のボトルおよび例えばジュースおよびスポーツドリンク用の広口瓶;例えば、野菜スープ、缶詰シチュー、肉および豆用のプラスチック缶が挙げられる。
【0086】
包装は、限定されないが、押出し成形、同時押出し成形、熱成形、射出成形、貼合せ法、または吹込み成形法などの当技術分野で公知の手段によって製造されてもよい。
【0087】
パーソナルケア製品および化粧品包装の具体的ないくつかの例としては、限定されないが、食品、ならびに処方薬および非処方薬カプセル剤および丸剤;液剤、クリーム剤、ローション剤、散剤、シャンプー、コンディショナー、脱臭剤、制汗剤および眼、耳、鼻、喉、膣、尿路、肛門、皮膚およびヘアコンタクト(haircontact)用の懸濁剤;およびリップ製品用のボトル、広口瓶、およびキャップが挙げられる。
【0088】
モノフィラメント繊維およびマルチフィラメント糸
ポリマーモノフィラメントは、ゴム物品、釣糸、歯ブラシの毛、塗装用のはけの毛等の強化材として使用される。さらに、モノフィラメントから製造される織布は、例えば工業用ベルトおよび抄紙機衣類で使用される。ポリ(エチレンテレフタレート)(「PET」)フィラメントは、タイヤコード、複合材、ベルト、および繊維素材などの工業用途でも用いられる。
【0089】
本明細書に記載のポリエステルナノ複合材を含むマルチフィラメント糸は、当技術分野でよく知られている、マルチフィラメントポリエステルヤーンを製造する一般的なプロセスのいずれかを用いて製造することができる(例えば、Reese,Glen,“Polyesters,Fibers”in Encyclopedia of Polymer Science and Technology,John Wiley & Sons,Inc.(2002),vol.3,652−678;米国特許第3,409,496号明細書、米国特許第4,933,427号明細書、米国特許第4,929,698号明細書、米国特許第5,061,422号明細書、米国特許第5,277.858号明
細書;英国特許第1,162,506号明細書参照)。織物フィラメントヤーンは、高速で製造される連続ヤーンであり、シート状外観を有する生地に使用される。工業用フィラメントヤーンは、ゴムの強化および高強度の工業用生地に使用される。
【実施例】
【0090】
本発明は、以下の実施例でさらに定義される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に実例として挙げられていることを理解されたい。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を把握し、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えて、様々な用途および条件にそれを合わせることができる。
【0091】
略語の意味は以下のとおりである:「bk」は破断を意味し、「h」は時間を意味し、「IV」は固有粘度を意味し、「kg」はキログラムを意味し、「lb」はポンドを意味する。「MB」はマスターバッチを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「MPa」はメガパスカルを意味し、「N」はニュートンを意味し、「PET」はポリ(エチレンテレフタレート)を意味し、「pph」はポンド/時間を意味し、「RPM」は毎分回転数を意味し、「SD」は標準偏差を意味し、「TSP」はリン酸三ナトリウムを意味し、「TSPP」はピロリン酸四ナトリウムを意味し、「wt%」は重量パーセント(重量%)を意味する。
【0092】
材料
直鎖状PETオリゴマーは、PET製造プロセスの副生成物として、E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.(Wilmington,Delaware,USA)から入手した。この材料は、アセトンで抽出し、ガスクロマトグラフィーによって決定された遊離グリコール5.2%を含有した。マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(「MALDI」)による特徴付けから、このポリエステルはモノマー(つまり、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート)4%、重合度2〜14を有するオリゴマー95%、14を超える重合度を有するオリゴマー1%であることが示された。
【0093】
Crystar(登録商標)3905 PETホモポリマー(IV=0.62)、およびCrystar(登録商標)5005 PETホモポリマー(IV=0.85)は、E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.,(Wilmington,Delaware,USA)から入手された。PETホモポリマー(IV=0.95、グレード9506)をM&G Polymers USA LLC(Houston,Texas,USA)から入手した。
【0094】
TSPおよびTSPP十水和物をAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin,USA)から入手した。無水TSPPをBHS Marketing(Salt Lake City,Utah,USA)から入手した。炭酸ナトリウムをEMD Chemicals(Gibbstown,New Jersey,USA)から入手した。
【0095】
Pangel(登録商標)S−9海泡石をEM Sullivan Associates,Inc.(Paoli,Pa,USA)、製造元の販売業者Tolsa S.A.(Madrid 28001,Spain)から購入した。Pangel(登録商標)S−9は、未修飾表面を有する海泡石のレオロジー的グレードである。
【0096】
Licowax(登録商標)PE520ポリエチレンワックス、離型剤をClariant(Muttenz,Switzerland)から入手した。
【0097】
Irganox(登録商標)1010酸化防止剤をCiba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)から入手した。
【0098】
特徴付けの方法
50:50(重量%)トリフルオロ酢酸:ジクロロメタン酸溶媒システム0.5g/100mLの濃度で、室温にてGoodyear R−103B法によって、ポリエステルポリマーの固有粘度を決定した。
【0099】
温度265〜280℃を有するNissei 3000射出成形機で金型温度120℃にて乾燥ポリエステルナノ複合材樹脂から、ISO 1A多目的試験片(厚さ4mm)を成形した。ISO 527の手順に従って、引張速度5mm/分にて成形試験片の引張り特性を測定した。1条件につき最低でも5つの試験片を試験した。
【0100】
試料の調製
マスターバッチ
指定される以外は、30mm Werner & Pfleiderer13バレル二軸スクリュー押出機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,(Stuttgart,Germany))を使用して、ポリエステルナノ複合材マスターバッチを製造した。表に示される量で、Pangel(登録商標)S−9海泡石と、乾燥Crystar(登録商標)PETペレットと、存在する場合には直鎖状PETオリゴマーとの組み合わせに、ナトリウム塩を配合した。2つの別々の較正された重量減少供給機(ナトリウム塩、海泡石、およびオリゴマーフレークにはK−Tron T−35 Twin−Screw;PETペレットにはK−Tron S−200,K−Tron International,(Pitman,New Jersey,USA))を用いて、押出機の後部供給口に、成分を同時に添加した。表に示される適切な量のナトリウム塩、海泡石(20重量%)、および存在する場合にはオリゴマー(16重量%)を最初に、ポリエチレン袋内で互いにブレンドし、次いでK−Tron T−35供給機に添加した。バレル温度は240〜280℃の範囲であり、スクリュー回転数は300RPMであった。45度−1/8インチ(3.2mm)単口ダイを使用した。得られたストランドを水浴中でクエンチし、Conair 304ペレタイザー(The Conair Group,Inc.,(Pittsburgh,Pennsylvania,USA))でペレット化した。
【0101】
次いで、窒素を循環させたオーブン(Blue M Model 336,General Signal Co.)内でその樹脂を固相重合した。温度を室温から235℃に3時間にわたって上昇させ、次いで24時間一定に維持した。次いで、ヒーターを止め、冷却後にペレットを取り出した。
【0102】
所望の樹脂組成物を達成するための、追加のPETとのレットダウン
次いで、固相重合されたこれらのマスターバッチペレットをポリエチレン袋内で乾燥Crystar(登録商標)PET、Licowax(登録商標)PE520(Clariant)、およびIrganox(登録商標)1010とドライブレンドし、海泡石3重量%、Licowax(登録商標)1重量%、およびIrganox(登録商標)1010 0.25重量%の最終濃度を有するポリエステルナノ複合材を製造した。次いで、これらのドライブレンドそれぞれを1つのK−Tron S−200供給機を用いて、30mm Werner & Pfleiderer 13−barrel二軸スクリュー押出機の後部供給口に30pph(13.6kg/時)、スクリュー回転数250RPMにて供給した。バレル温度を270℃に設定した。3/16インチ(4.8mm)単口ダイを使用した。得られたストランドを水浴中でクエンチし、Conair 304ペレタイザーでペレット化した。次いで、得られたペレットを乾燥させた。
【0103】
実施例において、すべての部は重量部である。
【0104】
実施例1〜2、比較例A
実施例1および2は、海泡石およびTSPP十水和物粉末を含有するマスターバッチからのポリエステルナノ複合材の製造を実証している。比較例Aにおいて、TSPP十水和物を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。
【0105】
マスターバッチとレットダウンの両方にCrystar(登録商標)3905PETと、ナトリウム塩としてTSPP十水和物とを使用して、上述のように、ナノ複合材樹脂および試験片を製造した。Reitzハンマーミル(12,000RPM、1/16インチ(1.59mm)ダイ穴スクリーン)を使用して、受け取った状態のフレークから粉砕されているTSPP十水和物を粉砕粉末として導入した。マスターバッチは、直鎖状オリゴマー16重量%、海泡石20重量%を含有した。実施例の全マスターバッチ配合速度は20ポンド/時(9.1kg/時)であり、比較例Aでは30ポンド/時(13.6kg/時)であった。試験片の組成および引張り特性を表1に示す。引張り試験の結果から、引張り強さと破断点伸びのどちらにも著しい単調増加が示され、TSPP十水和物を添加した場合には、弾性率の有意な変化はなかった。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例3〜4、比較例B
実施例3および4は、海泡石およびTSPP十水和物フレーク(つまり、未粉砕)を含有するマスターバッチからのポリエステルナノ複合材の製造を実証する。比較例Bにおいて、TSPP十水和物を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。
【0108】
TSPP十水和物が粉砕粉末としてではなく、そのままの大きなフレークとして導入されたことを除いては、上述のように、マスターバッチとレットダウンの両方にCrystar(登録商標)3905 PETと、ナトリウム塩としてTSPP十水和物とを使用して、樹脂および試験片を製造した。マスターバッチは、直鎖状オリゴマー16重量%および海泡石20重量%を含有した。さらに、マスターバッチ配合押出機では、平均濾過等級7マイクロメーターおよび絶対濾過等級10マイクロメーターのDynalloy(登録商標)Filter Medium X5(Pall Inc.)を取り囲む、20および40メッシュのスクリーンを用いたスクリーンパックを備えたダイを使用した。全マスターバッチ配合速度は20pph(9.1kg/時)であった。試験片の組成および引張り特性を表2に示す。表2に示す試験結果から、引張り強さと破断点伸びのどちらにも著しい単調増加が示され、TSPP十水和物を添加した場合には、弾性率の有意な変化はなかった。
【0109】
【表2】

【0110】
実施例5〜10、比較例C
実施例5から10は、海泡石およびTSPP十水和物フレーク(つまり、未粉砕)または粉末を含有するマスターバッチから、ポリエステルナノ複合材を製造する追加の実施例である。比較例Cにおいて、TSPP十水和物を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。
【0111】
上述のように、マスターバッチとレットダウンの両方にCrystar(登録商標)3905 PETと、ナトリウム塩としてTSPP十水和物とを使用して、樹脂および試験片を製造した。粉砕粉末またはフレークとして、表3に示すように、5、7.5、または10重量%(海泡石に対して)のレベルでTSPP十水和物を導入した。マスターバッチは、直鎖状オリゴマー16重量%、海泡石20重量%を含有した。全マスターバッチ配合速度は40pph(18.2kg/時)であった。表3の引張り試験の結果から、引張り強さと破断点伸びのどちらにも著しい増加が示され、TSPP十水和物を添加した場合には、TSPP十水和物の物理的形状に関わらず、弾性率の有意な変化はなかった。
【0112】
【表3】

【0113】
実施例11、比較例D
実施例11では、直鎖状オリゴマーを添加することなく、ポリエステルナノ複合材組成物にTSPP十水和物を添加して得られる向上した特性を例証する。比較例Dにおいて、TSPP十水和物を含有せず、直鎖状オリゴマーが添加されていないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。上記と同じ手順に従った。全マスターバッチ配合速度は40pph(18.2kg/時)であった。
【0114】
【表4】

【0115】
実施例12〜21、比較例DおよびE
実施例12から20では、ナノ複合材の特性に対するPET分子量およびナトリウム塩の種類の影響を実証する。
【0116】
使用される場合、TSPP十水和物をそのままフレークとして導入し、表5に示すように0または16重量%でオリゴマーを導入し、全マスターバッチ配合速度は40pph(18.2kg/時)であり、表5に示すように、ある範囲のナトリウム塩:TSPP十水和物、リン酸三ナトリウム(TSP)、および炭酸ナトリウムNaCOを使用し、配合およびレットダウンの両方に使用されたPETグレードがCrystar(登録商標)3905(IV=0.62)またはCrystar(登録商標)5005(IV=0.85)、高分子量PETグレードであることを除いては、樹脂および試験片を上述のように製造した。比較例Eにおいて、Crystar(登録商標)5005、直鎖状オリゴマー16重量%を含有し、ナトリウム塩を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。比較例Fにおいて、Crystar(登録商標)5005を含有し、直鎖状オリゴマーは添加されず、ナトリウム塩を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造した。
【0117】
【表5】

【0118】
表6に示すように、より高分子量グレードのCrystar(登録商標)5005を使用することによって、Crystar(登録商標)3905を使用した場合に認められる脆性の破断ではなく、引張り試験中に延性の破断が生じる(つまり、試験片が降伏した)。したがって、破断ひずみは2つの様式:脆性様式で破断した試験片の平均破断ひずみ(すなわち、試験機がつかみ部の距離を増加し続けるため試験片が破断したことから、応力がゼロに減少した時、この場合の応力は伸び計で測定された)および延性様式で破断した試験片の平均公称破断ひずみ(試験機がつかみ部の距離を増加し続ける間に応力が有限値まで減少した場合に、つかみ部の分離から破断ひずみが測定された)で報告される。さらに、平均総破断エネルギーは、応力−ひずみ曲線下の面積として計算した。この結果から、オリゴマー16%を含有する場合とオリゴマーを含有しない場合の各塩は、応力および総破断エネルギーの増加に有効であることが実証されている。
【0119】
【表6】

【0120】
実施例22〜33
実施例22から33では、ナノ複合材の特性に対するPET分子量およびナトリウム塩の種類の影響を実証する。
【0121】
TSPP十水和物または無水TSPPのいずれかをそのままのフレークとして5重量%(海泡石に対して)のレベルで導入し、オリゴマーを使用せず、PETの異なる分子量グレード(IV=0.85または0.95)をマスターバッチ、続いてレットダウンの製造に使用し、マスターバッチの一部がレットダウン前に固相重合されていないことを除いては、上述のように樹脂および試験片を製造した。全マスターバッチ配合速度は40ポンド/時(18.2kg/時)であった。具体的な条件を表7に示す(「MB」はマスターバッチを意味する)。表8に示す引張り試験の結果から、TSPP十水和物と無水TSPPの間に有効性の有意な差はなく;マスターバッチの固相重合によって、弾性率が影響を受けることなく破断ひずみが増加し;その結果に著しく影響を及ぼすことなく、ある範囲のPET分子量をマスターバッチの製造またはレットダウンに用いることができること;が示されている。
【0122】
【表7】

【0123】
【表8】

【0124】
実施例34〜37、比較例GおよびH
実施例34から37では、ナノ複合材の特性に対するPET分子量、固相重合、および押出機のバレル長さの影響を実証する。
【0125】
上述の手順と同じ手順を用いて、マスターバッチを調製した。しかしながら、13バレル押出機の代わりに、9バレル30mm Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,(Stuttgart,Germany))を使用した。表9に示すように、異なる分子量のPETグレード(IV=0.85および0.95)を用いて、マスターバッチおよびレットダウンを調製し、レットダウンの前に、一部のマスターバッチを固相重合した。全マスターバッチ配合速度は40ポンド/時(18.2kg/時)であった。無水TSPPをそのままのフレーク状でレベル5重量%(海泡石に対して)にて導入した。比較例GおよびHにおいて、ナトリウム塩を含有しないマスターバッチから、対照ポリエステルナノ複合材を製造し、同一条件で配合した。
【0126】
表10の結果から、この異なる押出機構成において無水TSPPを添加した場合に、破断ひずみが著しく向上することが示されている。
【0127】
【表9】

【0128】
【表10】

【0129】
ある範囲の数値が本明細書に記載されている場合、その範囲は、範囲内のその終点および個々のすべての整数および分数を含み、それらの終点および内部整数および小数の様々な可能性のあるすべての組み合わせによって形成される、より狭い範囲のそれぞれも含み、その狭い範囲のそれぞれがあたかも明示されているがごとく、指定範囲内の値の大きな群の部分群を同程度まで形成する。記載の値よりも大きい、ある範囲の数値が本明細書に記載されている場合、それにもかかわらず、その範囲は限定されており、本明細書に記載の本発明の文脈内で操作可能な値によって、その上限値が束縛される。記載の値よりも小さい、ある範囲の数値が本明細書に記載されている場合、それにもかかわらず、その範囲は、ゼロではない値によってその下限値が束縛される。
【0130】
本明細書において別段の指定がない限り、またはそれと反対に使用の状況によって指示されていない限り、その主題の実施形態が、特定の特徴または要素を含む、包含する、含有する、それらで構成される、またはそれらによって構成される、またはそれらから成るとして記載または記述されている場合、明確に記載または記述されるものに加えて、1つまたは複数の特徴または要素が実施形態に存在し得る。しかしながら、その主題の代替の実施形態は、特定の特徴または要素から本質的になるものとして記載または記述される場合があり、その実施形態において、実施形態の操作の原理または実施形態の顕著な特徴を実質的に変化させる特徴または要素は存在しない。その主題の更なる代替の実施形態が特定の特徴または要素からなるものとして記載または記述される場合があり、その実施形態において、またはその非現実的な変形形態において、具体的に記載または記述される特徴または要素のみ存在する。
【0131】
この明細書において、別段の指定がない限り、またはそれと反対に使用の状況によって指示されていない限り、
(a)特に「約」という用語によって修飾されている場合、本明細書に記載の量、サイズ、範囲、配合、パラメーター、および他の量および特徴は正確である必要はなく、近似であってもよく、かつ/または指定よりも大きいまたは小さい場合があり、許容差、換算係数、端数処理、測定誤差等を反映し、かつ本発明の文脈内で、指定値と機能的かつ/または操作可能な等価を有する、その外部の値の中の記載の値内に包含され;
(b)部、パーセンテージまたは比のすべての数量は、重量による部、パーセンテージまたは比として示され;
(c)本発明の要素または特徴の存在の記載または説明に関する不定冠詞「1つ(a)」または「1種類(an)」の使用は、要素または特徴の存在を数の上で1つに限定せず;
(d)「含む(include)」、「包含する(includes)」および「含有する(including)」という言葉は、実際にはそうではない場合には、それらが「制限されることなく」というフレーズをあたかも伴うがごとく判読および解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)繊維状粘土;
(b)ナトリウム塩;
(c)少なくとも1種類のポリエステルポリマー;および
(d)任意選択により、少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマー;の混合物を溶融混合する工程と、
任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、ポリエステル分子量を増加する工程と、
を含む、ポリエステルナノ複合材組成物を製造する方法。
【請求項2】
前記繊維状粘土が、海泡石、アタパルジャイト、またはその混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーと前記少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの重量比が、約0:100〜約99:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
繊維状粘土の量が、前記繊維状粘土と、前記任意の少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーと、前記少なくとも1種類のポリエステルポリマーとの重量に対して約0.1〜約40重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ナトリウム塩の量が、前記繊維状粘土の重量に対して約0.5〜約12重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナトリウム塩が、無水ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム十水和物、リン酸三ナトリウム、または炭酸ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記任意の少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーおよび/または前記少なくとも1種類のポリエステルポリマーが、分枝状または非分枝状、ホモポリマーまたはコポリマー、または少なくとも1種類のかかるホモポリマーもしくはコポリマーを含むポリマーブレンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記任意の少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーおよび/または前記少なくとも1種類のポリエステルポリマーが、以下の:
(a)1つまたは複数のジオールおよび1つまたは複数のヒドロカルビル二酸またはかかる二酸のエステルを含有する反応混合物から製造されるポリエステルであって、前記ジオールが、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、イソソルビド、ナフタレングリコール、ビフェノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、およびジオールまたはポリオールとアルキレンオキシドとの反応生成物である、より長鎖のジオールおよびポリオール、および前記ジオールのアルキル置換およびクロロ置換型からなる群から選択され;かつ前記二酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、および前記二酸のアルキル置換およびクロロ置換型からなる群から選択される、ポリエステル;
(b)ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(4−ヒドロキシブチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレンジオエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタレート、ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]イソフタレート、ビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]テレフタレート、およびビス[(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル]イソフタレート、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート、ラクチド、および前記重合性ポリエステルモノマーのアルキル置換およびクロロ置換型からなる群から選択される、1種または複数種の重合性ポリエステルモノマーを含有する反応混合物から製造されるポリエステル;
(c)1,4−ブチレンテレフタレート、1,3−プロピレンテレフタレート、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート、1,2−エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、テレフタル酸とジエチレングリコールとの環状エステル二量体、上記の構造反復単位の2つ以上を含む大環式コオリゴエステル、および前記大環式ポリエステルオリゴマーのアルキル置換およびクロロ置換型の大環式ポリエステルオリゴマーからなる群から選択される大環式ポリエステルオリゴマーを含有する反応混合物から直接製造されるポリエステル;
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の直鎖状ポリエステルオリゴマーおよび/または前記少なくとも1種類のポリエステルポリマーが、以下の:ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)ブロックとポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールブロックを有する熱可塑性エラストマーポリエステル、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)、およびポリ乳酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維状粘土が未修飾である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物の前記溶融混合が、押出し組成物を形成する、少なくとも1つの二軸スクリュー押出機を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つの二軸スクリュー押出機の前記押出し組成物の一部またはすべてが、同じ押出機を通して1回または複数回再供給される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階的供給をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの成分を分割供給することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
追加の形成デバイスに、前記押出機の前記押出し組成物を供給し、または前記押出し組成物を追加のポリマーストリームと共に同時供給し、成形物品を形成する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の形成デバイスが押出機である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記成形物品が、モノフィラメント、マルチフィラメント糸、フィルム、シート、管材料、およびペレットからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
繊維状粘土、ナトリウム塩、任意選択により少なくとも1種類のポリエステルオリゴマー、および少なくとも1種類のポリエステルポリマーの混合物を溶融配合して、最終樹脂組成物で望まれるよりも高い濃度の繊維状粘土を含有するナノ複合材組成物を製造する工程;任意選択により、前記ナノ複合材組成物を固相重合にかけて、前記ポリエステル分子量を増加する工程;前記ナノ複合材組成物をポリエステルポリマーと、任意選択により追加の成分とさらに溶融配合する工程;を含む、マスターバッチからポリエステルナノ複合材組成物を製造する方法。
【請求項19】
前記物品が、射出成形、(同時)押出し成形、吹込み成形、熱成形、溶液流延、貼合せ、およびフィルムインフレーションからなる群から選択される少なくとも1種類の方法を用いて形成される、請求項1または請求項18に記載の方法によって製造されるポリエステルナノ複合材組成物を含む成形物品。
【請求項20】
(a)自動車ボディーパネル、フェンダー、フェイシア、ボンネット、タンクフラップおよび他の外装部品:内部自動車パネル;自動車照明器具(ベゼル);家電品のハンドル、コントロールパネル、外枠(ケース)、洗濯槽および外装部品、内部および外部冷蔵庫パネル、および食器洗浄器のフロントパネルまたは内部パネル;電動工具ハウジング;電子キャビネットおよびハウジング;乗り物用の外部および内部パネル;建物用の装飾内部パネル;会社および家庭の家具;電話および他の電話装置;からなる群から選択される外観部品;
(b)i)電気コネクター、配電箱またはフューズのカバー、ラジエーターグリルのサポート、ヘッドランプ取り付け台、プリント回路基板、プラグ、スイッチ、キーボード構成部品、小さな電気モーター構成部品、ディストリビュータ・キャップ、ボビン、巻型、ローター、風防ワイパーアーム、ヘッドライト取り付け台、他の付属品、コンベアベルトの連結部品、水圧ホース、鉄道車両の連結器、リリースバインダー、自動真空制御管、ドアロックバンパー、貨車緩衝装置、ヘッドフォン;特殊繊維、フィルム、およびシート;ジャケッティング、自動車緩衝装置、貨車用のダイヤフラム、波形プラスチック管材料、鉄道緩衝器、自動電気窓の駆動テープ、CVJトランク、レクリエーション用履物、導電性ゴム、電線被覆、エネルギー管理装置、受話器のコード、圧縮バネパッド、ワイヤークランプ、拳銃用ケース、駆動ベルト、ランフラットタイヤ挿入物、および医療用フィルム;からなる群から選択される非外観部品;
(c)包装フィルム、ライナー、収縮バッグ、収縮包装;冷凍食品のトレイ、CPETトレイ、他のトレイ/容器組立品、交換可能および交換不可能なキャップ、蓋、飲料瓶の首、缶、箱、ボトル、広口瓶、袋、化粧品パッケージ、または端が密閉されたチューブ、熱い飲み物用のボトルおよび広口瓶、プラスチック缶;からなる群から選択される包装;
(d)モノフィラメント、マルチフィラメント糸、釣糸、歯ブラシの毛、塗装用のはけの毛、工業用ベルトおよびモノフィラメントから製造される織布を含む抄紙機衣類、タイヤコード、複合材、ベルト、繊維素材、強化ゴム、および高強度工業用生地;
からなる群から選択される、請求項19に記載の成形物品。

【公表番号】特表2012−532226(P2012−532226A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518568(P2012−518568)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040286
【国際公開番号】WO2011/008511
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】