説明

ポリエステル混繊糸布帛

【課題】薄地素材では実現できないふくらみを有し、ソフトで肌に優しく手触り感に優れた布帛を提供する。
【解決手段】イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯がポリスチレン、鞘がポリエステルの芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛で構成され、該混繊糸は、総繊度が40デシテックス以下で、下記a〜cの要件を満足していることを特徴とする。a.撚り係数(α)が1,500〜16,000の範囲の実撚を有しており、b.構成している該ポリエステルマルチフィラメント(A)を、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が覆う度合いを表す被覆率が40〜80%であり、c.構成している該ポリエステルマルチフィラメント(A)と、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)の単糸繊度の最大値(dmax)と最小値(dmin)の比率が1≦dmax/dmin≦5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルを主成分とする布帛に関するものである。さらに詳しくは主として布帛の内層部分に少なくともイソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメントで構成され、かつ主に布帛の表層部が芯にポリスチレンポリマーを鞘にポリエステルポリマーが配置された芯/鞘型複合マルチフィラメントで構成されており、該混繊糸の総繊度が40デシテックス以下と非常に細い繊度で、かつ有撚でありながらソフトなタッチで肌にやさしく軽くてふくらみ感に優れた布帛に関するものである。これらの特徴によりドレス、ブラウス、スカートなどエレガントな用途に活用できる素材を提供できる。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル素材は、寸法安定性、ウォシュアンドウエア性などの特長を有するために、衣料用素材として薄地から中厚地にいたるまで幅広く用いられている。その特長を活かしつつ、風合いを向上させるため熱収縮差を利用して織編物にふくらみ感を与えた異収縮混繊糸が用いられている。
【0003】
異収縮混繊糸の構成としては、2種類以上の糸が共に収縮性をもつ完全延伸糸でありながら熱処理により収縮の大なるフィラメントと収縮の小なるフィラメントを組み合わせることが必要となる。異収縮混繊糸の風合い向上のための主要因としては糸長差を利用することが必須となるが、熱収縮率を充分に大きくすると、ふくらみ感はでるものの芯のある硬い風合いになりやすい欠点がでる。
【0004】
この点を改善し、かつふくらみやソフト感に富む布帛を得る手段として、熱処理により収縮するフィラメントと自発伸長性を示すフィラメントとを混繊あるいは合撚した糸条を用いて製織編し、染色加工工程等の熱処理により自発伸長性糸条を織編物表面へ浮き出させることで、糸長差に加え自発伸長糸が有するソフト感を風合い向上につなげる提案が数多くされている。例えば特公平4−1097号公報(特許文献1)、特公平4−18051号公報(特許文献2)等が提案され一応の効果を収めているが、これらに提案された手法は自発伸長性を付与させるために、自発伸長糸となる糸条をいったん別工程で弛緩熱処理等により低速加工で得た後に収縮糸と混繊、あるいは合撚するもので高コストとならざるを得ないものであった。また、これらの複合糸においては、ふくらみやソフト感に富むため布帛は比較的中厚地となり薄地での展開はほとんどなされていないのが現状である。異収縮混繊糸でありながら従来にないソフト感に優れドライなタッチを有した織編物の提案がされているものに特開2001−123358号公報(特許文献3)があるが、該混繊糸は167デシテックス以下となっているものの、薄地の用途展開における特徴は特に記載されていない。
【0005】
一般に、従来からある薄地用途に用いられている布帛の繊度としては、単独糸で構成される56デシテックス以下のものが使用される場合が多く、また上記のような糸長差のある混繊糸を用いることもなく、風合いは強撚を有したドライ感を強調した清涼感のあるものの展開が多い。現在市場で展開されている細繊度糸の組合せによる混繊糸や複合糸を構成する場合であっても、総繊度が40デシテックス以下となるような組合せでかつ糸長差を発現させることは非常に困難である。
【特許文献1】特公平4−1097号公報
【特許文献2】特公平4−18051号公報
【特許文献3】特開2001−123358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来糸から得られる織編物の現状を鑑み、従来の透けやすい薄地素材では実現できなかったふくらみを有し、かつソフトで肌に優しい手触り感に優れたポリエステル混繊糸布帛を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために次の構成を有する。すなわち、本発明のポリエステル混繊糸布帛は、イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯にポリスチレンポリマー、鞘にポリエステルポリマーが配置された芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との混繊糸で、かつ、その総繊度が40デシテックス以下である該混繊糸を少なくとも一部に用いて構成されてなり、かつ下記a〜cの要件を満足していることを特徴とするものである。
a.該混繊糸の撚り係数(α)が1,500〜16,000の範囲の実撚を有しており、
b.該混繊糸を構成している該ポリエステルマルチフィラメント(A)を、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が覆う度合いを表す被覆率が40〜80%であり、
c.該ポリエステルマルチフィラメント(A)及び該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)を構成する繊維の単繊維繊度の最大値(dmax)と最小値(dmin)の比率が1≦dmax/dmin≦5である。
【0008】
かかるポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様としては、
(1)前記混繊糸の該ポリエステルマルチフィラメント(A)と該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との間の分解糸糸長差が10%以上40%以下であり、かつ該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)のポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーの重量比率が2:98〜15:85であること、
(2)該ポリエステル混繊糸布帛の嵩高係数が1.2〜2.0であること、
(3)前記ポリエステル混繊糸布帛が、布帛−布帛の静止摩擦係数が1.0〜1.5であり、かつ動摩擦応力と静摩擦応力の差が15〜50gであることを特徴とする布帛。
(5)カバーファクターの総和が1,000〜2,000で、かつ透け感指数が40%以上であること、
(4)前記ポリエステル混繊糸布帛が、布帛−布帛の静止摩擦係数が1.0〜1.5であり,かつ動摩擦応力と静摩擦応力の差が15〜50gであること、
(5)前記ポリエステル混繊糸布帛が、カバーファクターの総和が1,000〜2,000であり、かつ透け感指数が40%以上であること、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、総繊度が40デシテックス以下からなる異収縮混繊糸でありながら、糸長差のみならず構成繊維間に収縮率差以外の物性差を付与することで、従来の透けやすい薄地素材では実現できなかったふくらみがあり、かつソフトで肌に優しい手触り感に優れたポリエステル混繊糸布帛を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、前記課題、つまり従来の透けやすい薄地素材では実現できなかったふくらみを有し、かつソフトで肌に優しい手触り感に優れたポリエステル混繊糸布帛について、鋭意検討し、まず、異収縮混繊糸の総繊度を40デシテックス以下の細繊度とし、さらに糸長差のみならず構成繊維間に収縮率差以外の物性差を付与すること、すなわち、該混繊糸の撚り係数(α)、該混繊糸における該ポリエステルマルチフィラメント(A)の該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)による被覆率、該混繊糸の該ポリエステルマルチフィラメント(A)と、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)の単糸繊度の最大値(dmax)と最小値(dmin)の比率という3つの物性を特定化してみたところ、高級感に満たされた感触を有するポリエステル混繊糸布帛に到達し得たものである。
【0011】
これまで婦人用途に用いられるエレガントで高級な天然素材として絹がある。従来からあるこの絹繊維を用いた織物の特徴に美しい光沢と豊かな感触あるいは優雅なドレープ性などがある。これらの特徴の要因は、主に蛋白質からなる三角断面形状の繊維フィブロインの材質に由来することや布帛の構造にある。
【0012】
絹織物の特徴ある構造を作りだすには、絹の繊維本体であるフィブロインの周囲に約20%固着しているセリシンを精練により除去して、織物中の繊維間空隙を多く作ることをしたり、絹繊維が繊維の直径方向に約17%水膨潤することを利用して絹織物中の繊維間空隙を多く作ることである。さらに、絹繊維はわずかな捲縮を有していることや、天然繊維のため繊度のばらつきをもった不均一な繊維であることも繊維間空隙を多く作れる大きな要因と考えられる。このように織物中に適度な空隙を有することでせん断性が向上し、ふくらみ感、ソフトなタッチ、反発性のある布帛構造をつくり、絹独特の特徴を醸し出してくるのである。
【0013】
一方、合成繊維においては、緊張熱処理により繊維が収縮し、繊維間空隙が少なくなるような方法でしか織物を仕上げられないために高級感がある絹様な織物を得るのはこれまでなかなか困難であった。
【0014】
また、絹の三角断面形状の繊維フィブロインの材質に由来する特性には「絹鳴り」がある。これは絹繊維にきしみがあって発生する音のことを現したもので、絹の繊維同士が密着した状態から力が加わって滑る状態になることを繰り返すことで発生する現象のことであり、絹を手で揉んでみると「ククク・・・」といった快い刺激を肌で感じることができる。
【0015】
このような絹の特長を合成繊維を用いた布帛で発生させるには、布帛表面の凹凸状態や構造に起因する接触点の差すなわち凹凸の差にあるわけで、嵩高性が高く低荷重下での接触数を多くすることで可能となり、本発明のポリエステル混繊糸を用いて繊維間空隙を増加させたり、繊維を細繊度化することで実現可能にすることができるのである。
【0016】
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)(以下、単にポリエステルマルチフィラメント(A)と記すことがある)と、芯成分にポリスチレンポリマー、鞘成分にポリエステルポリマーが配置された芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)(以下、単に芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)を記すことがある)とで構成されたポリエステル混繊糸を、一部もしくは全部に含ませて構成されたものである。なお、本発明において混繊糸とは、エアーなどによる混繊や合撚等によって得た糸をも含むものである。
【0017】
本発明のポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等あげられるが、ポリエチレンテレフタレートが最も汎用性があり好ましい。
【0018】
かかるポリエステル混繊糸におけるポリエステルマルチフィラメント(A)は、第3成分が共重合されたポリエステルから形成されている。第3成分を共重合したポリエステルを用いることにより、高収縮性が向上し低収縮糸との収縮差が拡大し、布帛のふくらみを向上することができるため、第3成分としてはイソフタル酸を用いることが好ましい。
【0019】
イソフタル酸が共重合されたポリエステルは、ホモポリエステルに比べ結晶性が低く抑えられており、繊維の収縮性が高められたものであるため、かかるポリエステルマルチフィラメント(A)を用いて混繊糸を構成すると、布帛にふくらみを付与するために必要な糸長差を得る際の芯糸成分となるばかりでなく、染料の吸尽性が良いために染まりやすく、後述する芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との間の染着差を減少させるという効果を奏するものである。かかる効果を有効に発揮させるためには、かかるポリエステルマルチフィラメント(A)としては、少なくともイソフタル酸が3〜12mol%共重合されていることが好ましいが、さらに高収縮性や染着性を向上させるために2・2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン等を同時に共重合していても良い。
【0020】
芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)とは、芯成分にポリスチレンポリマーを2〜15重量%、鞘成分にはポリエステルポリマーの重合比率が98〜85%で配された芯鞘複合糸である。ここにポリスチレンを用いるのは、紡糸工程の冷却固化過程におけるポリエステルポリマーの配向を抑制する効果を利用して、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)を低収縮化し、高収縮特性をもつポリエステルマルチフィラメント(A)との糸長差を拡大し、布帛のふくらみを増大させるためである。
【0021】
該ポリスチレンポリマーは繊維表面に露出していないことが好ましく、偏心あるいは同心円型であってもかまわないが、複合安定性を考慮すると同心円型が好ましい。また、ポリスチレンポリマーはポリエステルポリマーに比較して低比重であるため、軽量化できる効果も兼ね備えており衣料用に適したものである。
【0022】
本発明の混繊糸の製造方法の一例としては、高収縮側糸に共重合されたポリエステル糸を配したポリエステルマルチフィラメント(A)を、低収縮側糸には芯成分にポリスチレンポリマー、鞘成分にはポリエステルポリマーが配された芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)を同一口金から紡糸混繊することで得られる。この時、紡速2500〜4000m/分で溶融紡糸して高配向未延伸糸を得、その後通常の方法によって延伸倍率1.3〜2.0倍で延伸し巻き取りを行うことで得ることができるものである。
【0023】
本発明は、これらのイソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯成分にポリスチレンポリマー、鞘成分にポリエステルポリマーが芯/鞘型に複合されたマルチフィラメント(B)とが混繊された混繊糸を少なくとも一部に使用した布帛であり、糸条が混繊されていることで、高次工程の取扱い性が向上するものである。
【0024】
本発明におけるポリエステル混繊糸を得るためには、従来のようにポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)とを別々に紡糸−延伸した後に高次工程で混繊あるいは合撚するなどの手法も採用されるが、安価に得るためには個々に紡糸したものを同時に延伸混繊する場合や、さらに好ましくは複合紡糸口金を使用し、前述のポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)とを同時に紡糸−延伸混繊する方法を採用することである。この一発紡糸混繊方法は、従来の手法のように各々の糸条を単独で紡糸し、巻き上げた後に別工程でエアー混繊あるいは合撚等によって得られる糸に対して非常に低コストであるため、結果的に安価でかつ風合いに優れた布帛を提供できることになるのである。
【0025】
かくして得られる本発明におけるポリエステル混繊糸は、総繊度40デシテックス以下という特徴的な太さに制御したことにより、初めて、従来にない滑らかなタッチとふくらみからなるソフトな風合いを有する布帛を提供することができたものである。
【0026】
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、混繊糸の総繊度を40デシテックス以下に限定することによって、布帛の厚さが薄くなり、更にしなやかさが強調されるものである。しなやかな風合いに起因する曲げの硬さは、繊度の2乗に比例するものでり、繊維が細ければ細いほど曲げ硬さが減少ししなやかさが増してくる。すなわち、芯/鞘型の混繊糸において製糸性に問題がない程度に繊度を細くした原糸を用いた布帛は、曲げ柔らかくしなやかで触った時の滑らかさや芯/鞘型の糸長差によるふくらみ感がある高級感あるタッチとなるのである。さらに、原糸が細くて均一化されているため布帛の表面がより高級感あるものとなる。
【0027】
本発明のポリエステル混繊糸布帛を構成している前述の混繊糸は下記式に示す撚係数(α)において1,500〜16,000の範囲で実撚を有していることが、前記高級感に満たされた感触を得る上から重要である。すなわち、撚係数αが1,500以上であれば、撚糸による曲げ回復性が良くなり、いわゆる反発性が向上することになる。
【0028】
該混繊糸は総繊度が40デシテックス以下と細いため撚係数αが16,000を越えると、折角の糸長差を撚で吸収してしまうことになり、解撚によるふくらみ感が不足して針金のような硬い風合いになり好ましくない。
ここで、撚係数α=T×D0.5
T:撚り数(t/m)。
D:混繊糸の繊度(dtex)。
【0029】
本発明を構成する混繊糸は、ポリエステルマルチフィラメント(A)を芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が覆う構造、すなわち、ポリエステルマルチフィラメント(A)が芯糸、芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が鞘糸となった混繊糸である。芯糸を構成する糸を鞘糸を構成する糸で巻き付けた場合に巻き付ける比率により、より良い手触りが実現できるもので、本発明を構成する混繊糸では、芯糸のポリエステルマルチフィラメント(A)を、鞘糸側の芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が覆う被覆率が40〜80%であることが、鞘糸のソフト感を活かし、前記高級感に満たされた感触を得る上から重要である。該被覆率が40%未満では、芯糸の硬さが布帛の表面にでて風合いは硬化する。また、該被覆率が80%を越えると、フカツキとなり布帛としては好ましくない。より好ましくは被覆率が50%〜70%である。この被覆率の測定方法は後述する。
【0030】
本発明のポリエステル混繊糸は、総繊度40デシテックス以下という特徴的な太さに制御されたものであるが、このように総繊度が細い場合には特に製糸の安定性を考え、ポリエステルマルチフィラメント(A)及び芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)を構成する繊維の単繊維繊度の最大値(dmax)と最小値(dmin)比率が下記条件を満たすことが重要である。
1≦dmax/dmin≦5
繊度差を有した混繊糸においては、繊度差が大きくなるとイラツキといわれる現象が発生する。この現象が発生するのは染色時の染着差や光沢差によるもので、好ましくない現象であり高級感のあるシルクライクな織物にするためには、dmax/dminの比率が5以下であることが重要である。また、製糸性を考慮した場合かかる比率、dmax/dminが5を越えるとフィラメントの単糸切れや毛羽が発生するおそれがある。dmax/dminが1以下であれば、特長のないものになってしまい好ましくない。より好ましくは1.8≦dmax/dminであり、一方、dmax/dmin≦4である。
【0031】
本発明における混繊糸を構成しているポリエステルマルチフィラメント(A)と芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)のフィラメントの繊度およびフィラメントの繊度差は、上記総繊度及び繊度比率を満たす限り特に限定されるものではなく、後加工手法や用途に従い任意に選択できる。
【0032】
さらに本発明におけるポリエステル混繊糸は、ポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との間の分解糸糸長差が10%以上40%以下であることが好ましい。かかる分解糸糸長差が10%に満たなければ十分なふくらみ感を有しておらず、一方40%を越えると、ふくらみを通り越してふかつきを感じるだけでなく、布帛の一般物性、とくにピリングの発生や、縫製時のアイロンやプレスにより、布帛表面に位置する繊維が挫屈し、アイロンによるアタリの発生などが見られるため好ましくない。これらの理由により分解糸糸長差はさらに好ましくは15%以上30%以下であるのがよい。なお、本発明における分解糸糸長差とは、糸を布帛から取り出して分解して求めた値をいう。
【0033】
ここで本発明の芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)に使用される芯/鞘型に複合されたポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーの重量比率は、好ましくは2:98〜15:85の範囲とするものである。これはポリスチレンポリマーが繊維表面に現れず、かつ前述のポリスチレンがポリエステルの配向を抑制する効果を満足する範囲となるからであり、芯部に位置するポリスチレンポリマーが鞘部に位置するポリエステルポリマーに対し重量比率で2%に満たなければポリエステルの配向を抑制する効果が十分でなく、また15%を越えると、芯/鞘型に複合紡糸したとしても、染色時の揉み作用や、アルカリ減量加工などにより、ポリスチレンが露出し、布帛が白茶けたり、フィブリル化が発生したりするため好ましくないのである。
【0034】
なお、本発明の布帛を構成する該ポリエステルマルチフィラメント(A)と芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)の混繊糸の断面形状に特に限定はなく、軽量感を向上させるためにポリエステルマルチフィラメント(A)は中空部分を有していたり、また優雅な光沢感やノングリッター性を付与するためにポリエステルマルチフィラメント(A)と芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)は三角、四角あるいは八角などの多角異形断面糸などであっても良い。
【0035】
本発明のポリエステル混繊糸布帛の嵩高係数は1.2〜2.0であることが好ましい。嵩高係数が1.2未満であると混繊糸にふくらみがなく撚糸の硬さが強調された風合いになり、嵩高係数が2.0を越えると糸長差が多くふかつきになり好ましくない。より好ましくは嵩高係数が1.3〜1.8である。
【0036】
また、次に示す摩擦特性においても嵩高性が低い場合には、布帛が薄くてぺったりしたものとなり単に摩擦応力だけが高くなり、擦れたときの抵抗だけが高くキシミ感にはならないのである。
【0037】
上記の嵩高係数の測定方法は、布帛の経糸またはおよび緯糸の断面を走査型電子顕微鏡写真100倍で撮り、写真上で糸長差が発生している個々の鞘糸の表面および裏面にそれぞれ接線を引き無荷重下での実質厚さ(T0)を換算する。次にJISL−1096に準じて240g/cmの荷重下で測定した厚さ(T1)を求める。嵩高性は無荷重下での実質厚さ(T0)を荷重240g/cm時の厚さ(T1)で除したものである。
【0038】
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、総繊度40デシテックス以下からなる混繊糸を用いたことにより、従来にない滑らかなタッチとふくらみからなるソフトな風合いを出現せしめたものであるが、このタッチを醸し出す大きな要因には摩擦特性がある。
【0039】
布表面の摩擦特性は、風合いや着用感に関係する重要な特性であるが、それらは構成している原糸や繊維の特性により異なる。
【0040】
通常衣服を着用した場合、手や肌などと衣服が接触することにより布の粗さや表面の凹凸を容易に感じることができる。さらに、布の感触を知る場合には指先を布表面で動かして布表面の凹凸や粗さと指先の指紋の引っかかりで滑らかさやソフト感、キシミ感など感じるとることができるものである。
【0041】
繊維同士が接触した状態から力が加わって滑る状態になることを繰り返すことで発生する「絹鳴り」現象と同様の現象を感じることができるのである。
【0042】
摩擦応力には、静摩擦応力と動摩擦応力とがある。重ね合わせた布帛の一方向に一定速度で移動させた時、最初密着してつり合っているため動かないが、ある程度以上に力が加わるとその均衡がとれずに動きだす。この動きだした後の極大値が静摩擦応力であり、その後もさらに一定速度で移動させていくと摩擦応力が低減していくが、この滑り運動の摩擦力が動摩擦応力で現されるものである。これら静摩擦応力を押圧荷重で除したものが静止摩擦係数であり、動摩擦応力を押圧荷重で除したものが動摩擦係数である。
【0043】
摩擦特性は、これら静止摩擦係数や動摩擦係数によって表すことができる。
本発明のポリエステル混繊糸布帛においては、布帛と布帛を摺り合わせた摩擦特性の静摩擦係数が1.0〜1.5であるのが好ましく、かつ動摩擦応力と静摩擦応力の差が15〜50gであることが好ましい。通常、滑り出した時の最大摩擦である静摩擦力は一定速度で移動していく時の摩擦すなわち動摩擦力より大きいが、静摩擦力が大きすぎると引っかかりが大きすぎて絹様の上品なキシミ感とはならなず、かえって抵抗が多きいだけのカサカサした触感となってしまう。また、静摩擦力が低いと抵抗のない滑るだけの感覚でキシミ感とはほど遠いものである。静摩擦力と動摩擦力の差が小さくてもまた大きくても、一定速度で移動させた場合の滑り抵抗が少ないことを示しており、キシミ感として感じにくい。本発明のポリエステル混繊糸布帛は、静止摩擦係数は1.0〜1.5が好ましく、更に好ましくは1.1以上、1.4以下である。また、本発明のポリエステル混繊糸布帛においては、動摩擦係数と静摩擦係数の差は15〜50gであることが好ましく、20g以上がより好ましい。また45g以下がより好ましい。これは、布帛の静止摩擦応力が高くなるももの、表面が平滑状態になりやすくなっているために一旦滑り出した摩擦応力は低くなりやすくなるもので、これらの摩擦特性が独特の風合い特性を現しているものである。
【0044】
本発明に使用されるポリエステル混繊糸は、総繊度が40デシテックス以下と細く、かつ、後述する測定方法による糸長差が大きいため、布帛同士を中表に重ねてその上に荷重を置いた場合、布帛表面にふくらみを有する混繊糸が弾性変形をおこし、接触面積が増えて平滑な表面となるため摩擦力が大きくなり、通常考えられるよりも高い摩擦特性を持つのが特徴である。これに対して、総繊度が40デシテックスを越える混繊糸からなる布帛では静止摩擦係数が低く、特徴のない風合いとなるものである。
【0045】
また、本発明の混繊糸布帛は軽く羽織るような外衣(ブラウス、ワンピースなど)により適した素材であり、着圧が比較的軽いものである。従って、摩擦特性評価において押圧荷重は約5g/cmとして、実着用により近い状態での肌触りを客観的に評価しようとしたものである。
【0046】
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、薄地でふくらみに優れ、かつ透け感のある風合いの特徴を活かすためには、やや粗密度の布帛設計が好ましく、次式に示すカバーファクターの総和が1,000〜2,000であることが好ましい。かかるカバーファクターの総和が1,000未満では布帛にした場合、目ズレ、目ヨレなどの布帛物性が懸念され、逆に2,000を越えると糸長差によるソフトで肌に優しいタッチにならないので好ましくない。
カバーファクター=タテ糸密度×(タテ糸繊度デシテックス)0.5+ヨコ糸密度×(ヨコ糸繊度デシテックス)0.5
また、本発明のポリエステル混繊糸布帛は、後述する測定方法により測定される透け感の指数が40%以上であることが好ましい。通常の単なる細繊度使いの強撚布帛では、カバーファクターがやや粗めの撚糸織物、例えばシフォンジョーゼットなどにおいては透けやすいと考えられるが、染色加工工程における解撚によりシボが発生し、経糸と緯糸の交錯点の隙間間隔がランダムになり必ずしも透けやすくはならないのである。
【0047】
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、構成する混繊糸が大きな糸長差をもち、かつ透け感の指数が40%以上であるため、見た目と実際に触った時の感覚が非常にことなる新規なものとなる。さらに透け感の指数が45%以上であると、見た目に清涼でありながら非常にソフトな滑らかな風合いとなり触感(官能)がより好ましい。すなわち、従来の実撚を有した薄地の布帛とはまったく異なったふくらみ感がつよいものでありながら、透け感のある新規な風合いとなる。
【0048】
なお実施例記載の各物性値を含め、本発明における各物性は以下の測定方法によるものである。
【0049】
(1)被覆率
布帛の表面を走査型電子顕微鏡写真100倍で撮り、写真上でランダムに該混繊糸を5箇所サンプリングする。芯糸と鞘糸を識別し、UCHIDA(株)製 DIGITAL PLANIMATER KP−90で芯糸と鞘糸それぞれの糸側面の面積を測定する。
被覆率(%)=(鞘糸面積/糸全体の面積)×100
測定回数5回の平均値をもってその測定値とする。
【0050】
(2) 分解糸糸長差
布帛から適当な長さの糸を取り出し、繊維自体が伸びないように注意深く単糸1本1本に分解する。グリセリンを塗布したスケール板上に分解した単糸をのせて、くせがなくなる程度に伸ばして単糸1本の長さLをはかる(1mm単位まで)。長さの短い単糸群と長い単糸群に分類し、短い単糸群の平均長をL1、長い単糸群の平均長をL2として次式により算出する。
分解糸糸長差(%)={(L2−L1)/L2}×100
測定回数5回の平均値をもってその測定値とする。
【0051】
(3)嵩高係数
布帛のタテまたはおよびヨコの断面を走査型電子顕微鏡写真100倍で撮り、写真上で糸長差が発生している鞘糸の表面および裏面にそれぞれ接線を引き無荷重下での実質厚さ(T0)を換算する。
次に布帛の厚さをJIS L―1096「一般織物試験方法」に準じて測定し、この値を(T1)とし、下記式、
嵩高係数=T0/T1
で嵩高係数を求める。
【0052】
(4)摩擦特性
定速伸長形引張試験機を用い、測定した。測定方法の概略を図3に示す。
【0053】
サンプルサイズはたて×よこが15cm×5cm(大きいサイズ)と12cm×4.5cm(小さいサイズ)を1組とする。図3に示すように、平板(2)に大きいサイズのサンプル(3)を載せ、さらにその上に小さいサイズのサンプル(4)を重ね、さらにその上に9cm×4cmの185gの重量を持った重錘(5)を載せる。次に、この重錘を定速伸長形引張試験機により引っ張り、摩擦応力を測定する。なお、定速伸長形引張試験機の引張速度は5mm/minとし、30秒間移動させ測定する。
【0054】
試験開始後の極大値である静摩擦応力を読みとり(整数位まで)、この静摩擦応力を押圧荷重で除したものを静止摩擦係数とする。
静止摩擦係数=静摩擦応力/185g
その後の運動摩擦力を動摩擦応力とし、10秒間の動摩擦応力の平均値を読みとった(整数位まで)。
【0055】
(5)透け感の指数
ミノルタ(株)「CM−3600d」試験器(もしくはそれと同等の機器)により測定する。測定条件は反射とし、ターゲットマスクは通常のLAV:25.4mmを使用して測定する。
【0056】
まず、該混繊糸を使用した布帛の、晒し品または白染色仕上げ品を8枚重ねにした時のL値が80以上のものを用いる。標準白板(装置の備品)を布帛の裏に当てた時のLT値および標準測定方法(サンプル押さえ部分が黒色)で測定した時のLB値を5回の平均値をもとめ、次式によりスケ感の指数(%)を求める。
スケ感の指数(%)=標準白板を布帛の裏に当てた時のLT値―標準仕様条件で測定したLB値
透けやすい布帛ほど標準白板を布帛の裏に当てた時のL値が高くなり、標準方法により求めたL値が低くなるため、スケ感の指数の値が大きくなる。
【実施例】
【0057】
次に、本発明を実施例より具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、各特性値は上記(1)〜(5)の測定方法で測定した。
【0058】
(実施例1)
高収縮糸を形成するポリマーとしては、イソフタル酸を7モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、低収縮糸を形成するポリマーには、鞘部に極限粘度0.65のホモPETを芯部に東洋スチレン「ト−ヨースチロールG−15L」(中粘度)を用いた。それぞれ高収縮側と低収縮側のポリマーを溶融し、低収縮側のホモPETがポリスチレンを芯/鞘型に被覆するように設計した複合紡糸口金を使用し、これら3成分を紡速3000m/minで溶融紡糸して高収縮側の糸を32dtex−7フィラメント、低収縮側の糸32dtex−13フィラメントとなるように収縮差混繊未延伸糸を得た。得られた未延伸糸の延伸熱処理は通常の方法によって1.8倍で延伸した。
【0059】
イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)が16.5dtex−7フィラメント、芯にポリスチレンポリマー、鞘にポリエステルポリマーが配置された芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が16.5dtex−13フィラメントであった。この時dmax/dminは1.86、ホモPETとポリスチレンを芯とし、前記芯/鞘型複合糸におけるポリスチレンとホモPETとの重量比は4:96とした。
【0060】
該ポリエステル混繊糸に撚り方向がそれぞれSとZ方向となるように撚数1400t/mで撚をかけた。該糸を経糸および緯糸に2本交互に配したシフォンジョーゼットの平織物を製織した。
【0061】
製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、20%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後、160℃でファイナルセットし、タテヨコのそれぞれの密度が112本/2.54cm、110本/2.54cmで、目付が32g/cm、厚さが0.22mmであった。
【0062】
得られた混繊糸を走査型電子顕微鏡で観察したところ、織物断面は図1の形態を示しており、経糸・緯糸ともに非常に糸長差の大きい構造で、この織物を分解した経糸分解糸の糸長差等は18.2%で、被覆率が53%、嵩高性が1.5であった。織物はふくらみと張り腰を有しており、静止摩擦係数が1.37、動摩擦応力と静止摩擦応力の差が35gで特に微妙な表面タッチと反発性にすぐれた風合いを持つものであった。
【0063】
(比較例1)
極限粘度0.63のホモPETを溶融し、紡速1350m/minで溶融紡糸して95dtex−24フィラメントの未延伸糸を得た。その後、得られた未延伸糸を通常法によって2.87倍に延伸して、芯/鞘型に複合していないPET単独の33dtex−24フィラメントの糸とした。
【0064】
実施例1と同様にS・Zそれぞれの方向に撚数1400t/mの撚りをかけ、経糸・緯糸に用いて、2本交互に配したシフォンジョーゼットの平織物を製織した。製織した布帛は実施例1と同様の加工をした。
【0065】
得られた混繊糸を走査型電子顕微鏡で観察したところ織物断面は、嵩高性が1.0であった。織物にはふくらみがなく撚糸の解撚によるシャリ味が強く、静止摩擦係数が1.8、動摩擦応力と静止摩擦応力の差が80gで、硬い風合いを持つものであった。
【0066】
各布帛の物性を表1に示す。
【0067】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のポリエステル混繊糸布帛の断面の繊維の形状の一例を示す図面代用写真(顕微鏡写真)である。
【図2】本発明のポリエステル混繊糸布帛の表面の繊維の形状の一例を示す図面代用写真(顕微鏡写真)である。
【図3】実施例における摩擦特性の測定方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
A ポリエステルマルチフィラメント(A)
B 芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)
1 ロードセル
2 平板
3 サンプル(大)
4 サンプル(小)
5 重錘(185g)
6 牽引用糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(A)と、芯成分にポリスチレンポリマー、鞘成分にポリエステルポリマーが配置された芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との混繊糸で、かつ、その総繊度が40デシテックス以下である該混繊糸を少なくとも一部に用いて構成されてなり、かつ下記a〜cの要件を満足していることを特徴とするポリエステル混繊糸布帛。
a.該混繊糸の撚り係数(α)が1,500〜16,000の範囲の実撚を有しており、
b.該混繊糸を構成している該ポリエステルマルチフィラメント(A)を、該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)が覆う度合いを表す被覆率が40〜80%であり、
c.該ポリエステルマルチフィラメント(A)及び該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)構成するフィラメントの単繊維繊度の最大値(dmax)と最小値(dmin)の比率が1≦dmax/dmin≦5である。
【請求項2】
前記ポリエステルマルチフィラメント(A)と前記芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)との間の分解糸糸長差が10%以上40%以下であり、かつ該芯/鞘型複合マルチフィラメント(B)のポリスチレンポリマーとポリエステルポリマーの重量比率が2:98〜15:85である請求項1に記載のポリエステル混繊糸布帛。
【請求項3】
嵩高係数が1.2〜2.0であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル混繊糸布帛。
【請求項4】
布帛−布帛の静止摩擦係数が1.0〜1.5であり、かつ動摩擦応力と静摩擦応力の差が15〜50gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。
【請求項5】
カバーファクターの総和が1,000〜2,000であり、かつ透け感指数が40%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−223166(P2008−223166A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61544(P2007−61544)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】