説明

ポリエステル製造への使用に適したカルボン酸/ジオール混合物の製造方法

本発明は、スラリー又ケーク状カルボン酸生成物から、実質的に乾燥したカルボン酸固体を、単離することなく、カルボン酸/ジオール混合物を得る方法に関する。より詳しくは、本発明は、ポリエステル又はコポリエステル製造用の出発原料として適当なテレフタル酸/ジオール混合物をスラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を、単離することなく、得る方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー又ケーク状のカルボン酸生成物から、実質的に乾燥したカルボン酸固体を単離せずにカルボン酸/ジオール混合物を得る方法に関する。より詳しくは、本発明は、ポリエステル又はコポリエステル製造用の出発原料として適当なテレフタル酸/ジオール混合物をスラリー又はケーク状のテレフタル酸生成物から、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を単離することなく、得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)及び他のポリエステル又はコポリエステルを製造するという目的に従って、多くの特許文献が、出発原料として適当なカルボン酸/ジオール混合物の製造方法を記載している。一般に、これらの発明は、精製テレフタル酸固体及び液体エチレングリコールの具体的な混合手法を記載している。更に、文献の実質的部分が、PET及び他のポリエステル又はコポリエステルの製造に適当な粉末の形態での精製テレフタル酸の製造に向けられている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、ポリエステル又はコポリエステル製造用の出発原料として適当なカルボン酸/ジオール混合物を、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から、実質的に乾燥したカルボン酸固体を単離することなく、得る方法を記載することにある。より詳細には、本発明の目的は、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を単離することなく、ポリエステル又はコポリエステルの製造用の出発原料として適当なテレフタル酸/ジオール混合物を得る方法を記載することにある。
【0004】
通常、精製テレフタル酸固体は、粗製テレフタル酸を製造する多段法において製造される。p−キシレンの液相酸化によって、粗製テレフタル酸が製造される。粗製テレフタル酸は、商業用PETの出発原料として直接使用するのに充分な品質を有さない。代わりに、粗製テレフタル酸は通常、精製テレフタル酸固体に精製される。
【0005】
テレフタル酸精製方法においては、通常、4−カルボキシルベンズアルデヒドを、より水溶性の誘導体であるp−トルイル酸に転化するために、且つ特徴的な黄色の化合物を無色誘導体に転化するために、粗製テレフタル酸を水中に溶解し、水素添加する。最終精製テレフタル酸生成物中の有意量(significant)の4−カルボキシベンズアルデヒド又はp−トルイル酸は、いずれもPETの製造においてテレフタル酸とエチレングリコールとの間の縮合反応において連鎖停止剤として働くおそれがあるので、重合プロセスには特に有害である。典型的な精製テレフタル酸は、重量に基づき25百万分率(ppm)未満の4−カルボキシベンズアルデヒド及び150ppm未満のp−トルイル酸を含む。
【0006】
商業用PET製造用の出発材料として適当なテレフタル酸を製造するための、水素添加を用いない多数の他の方法が開発されている。典型的には、テレフタル酸の製造方法は、通常、酢酸溶剤中でp−キシレンを触媒酸化し、次いでテレフタル酸を濾過及び乾燥することを含む。
【0007】
スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物からのPET製造に許容され得るテレフタル酸/ジオール混合物の生成は、乾燥テレフタル酸粉末とは実質的に異なる問題を提起する。
【0008】
典型的には、酢酸溶剤中におけるp−キシレンの触媒酸化によって製造されるテレフタル酸(TPA)は、残留触媒(例えば、コバルト、マンガン及び臭素化合物)を含むスラリー又はケーク状テレフタル酸生成物を生じる。スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から実質的に乾燥しているTPA固体を製造する一般的方法においては、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物を濾過して、TPA固形分から酢酸液体の相当量を分離する。残留触媒は、通常、触媒を含まない酢酸、水又は他の溶剤で湿潤ケークを洗浄する(すすぐ)ことによって、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から分離する。TPA固体は乾燥によって単離する。
【0009】
本発明において、現在使用されている方法よりも工程数を少なくする新規方法が開発された。本発明の主な有用性は、テレフタル酸粉末の単離及び乾燥に関連する資本コスト及び運転コストの減少である。酢酸溶剤中におけるp−キシレンの触媒酸化によるテレフタル酸の製造に関する従来のアプローチにおいては、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物は濾過し、洗浄し、次いで乾燥して、PET製造用の出発原料として適当なテレフタル酸粉末が生成する。
【0010】
本発明の一実施態様においては、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物は濾過して、溶剤を含むテレフタル酸ケーク及び溶剤母液流を生成する。次いで、溶剤を含むテレフタル酸ケークを水で洗浄して(すすいで)、残留金属触媒材料を回収し、且つ水湿潤テレフタル酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体を生成する。水湿潤テレフタル酸ケークを次に、ジオールと合して、商業的PETプロセスにおいて出発原料として適当なテレフタル酸/ジオール混合物を生成する。テレフタル酸固体の単離及び乾燥のための従来のプロセスを排除することによって、テレフタル酸粉末の製造に必要な装置及びエネルギーも排除される。
【0011】
本発明の意外であって、一見矛盾しているように見える別の側面は、酢酸及びエチレングリコール溶剤への水の添加のメリットである。一般に、テレフタル酸の従来の製造方法においては、酸化プロセスにおいて生成する水の除去が必要である。典型的には、酸化溶剤としての酢酸の使用は、酢酸及び水を分離する追加のプロセス工程を必要とする。酢酸と水との混合物の製造は、酢酸溶剤からテレフタル酸を乾燥させることによってそれを回避できる場合には、一見矛盾するように見える。
【0012】
更に、エチレングリコールによるTPAのエステル化によるPETの製造方法においては、水が反応副生成物として発生する。一般に、エステル化プロセスにおいて生成された水は、エチレングリコール及び水を分離する追加のプロセス工程によって除去することが必要である。エチレングリコールと水との混合物の製造は、TPAと共に水を投入しないことによって、それを回避できる場合には、一見矛盾するように見える。しかし、本発明の利益は、従来のTPA及びPET製造方法の場合には通常エチレングリコール/水分離系及び酢酸/水分離系が存在するという前提に基づく。本発明において、TPA乾燥の排除に関連する価値は、従来のTPA製造方法に比べた場合に非常に有益である。
【0013】
本発明は、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から、実質的に乾燥したカルボン酸固体を単離することなく、カルボン酸/ジオール混合物を得る方法に関する。更に詳細には、本発明は、商業用PETの製造用の供給原料として適当なテレフタル酸/エチレングリコール混合物の製造方法に関する。この方法は、現在使用されている方法よりもエネルギーを節約し、且つ工程数を少なくすることができる。具体的には、本発明は、エチレングリコールによる水の直接置換を組み込む。置換工程を組み込むと、精製テレフタル酸固体の単離の必要がなくなり、商業的精製テレフタル酸プロセスにおいて通常見られる結晶化、固液分離、乾燥及び固形分処理装置の必要性をなくすことができた。
【0014】
本発明の目的は、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から、実質的に乾燥したカルボン酸固体を単離することなく、カルボン酸/ジオール混合物を製造する方法を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、実質的に乾燥したカルボン酸固体を単離することなく、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から、ポリエステル又はコポリエステルの製造用の出発原料として適当なカルボン酸/ジオール混合物を製造する方法を提供する。
【0016】
本発明の別の目的は、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を単離することなく、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物からテレフタル酸/ジオール混合物を製造する方法を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を単離することなく、テレフタル酸溶剤スラリー又はケークからテレフタル酸/エチレングリコール混合物を製造する方法を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、カルボン酸/ジオール混合ゾーンの使用によって水湿潤テレフタル酸ケークから水を除去することによって、実質的に乾燥したテレフタル酸固体を単離することなく、テレフタル酸/エチレングリコール混合物を製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の第一の実施態様において、
(a)液体交換ゾーンにおいて、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、水湿潤カルボン酸ケーク、母液流、溶剤母液流及び溶剤/水副生成物液体流を形成し;
(b)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中において前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の別の実施態様において
(a)溶剤液体交換ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、溶剤を含むカルボン酸ケーク、母液流及び溶剤母液流を形成し;
(b)水洗ゾーン中で、溶剤を含むカルボン酸ケークに水を加えて、水湿潤カルボン酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(c)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0021】
本発明の別の実施態様において、
(a)固液分離ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤―水液体交換ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、水湿潤カルボン酸ケーク、溶剤母液流及び溶剤/水副生成物液体流を形成し;
(c)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の少なくとも一部を除去することによって、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の別の実施態様において、
(a)溶剤−水液体交換ゾーン中で、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から溶剤を除去し;前記スラリー又はケーク状カルボン酸生成中の溶剤の相当部分を水と交換して、水湿潤カルボン酸ケークを形成し;
(b)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0023】
本発明の別の実施態様において、
(a)溶剤洗浄ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、酢酸を含むテレフタル酸ケークを形成し;
(b)水洗ゾーン中で、酢酸を含むテレフタル酸ケークから溶剤の相当部分を除去して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し;
(c)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の別の実施態様において、
(a)溶剤液体交換ゾーン中で、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から溶剤を除去し;前記スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物中の溶剤の相当部分を水と交換して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し;
(b)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0025】
本発明の別の実施態様において、
(a)溶剤洗浄ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、酢酸を含むテレフタル酸ケークを形成し(前記溶剤洗浄ゾーンは約40℃〜約155℃の温度で操作される少なくとも1つの固液分離装置を含む);
(b)水洗ゾーン中で、酢酸を含むテレフタル酸ケークから溶剤の相当部分を除去して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し(前記水洗ゾーンは約40℃〜約155℃の温度で操作される少なくとも1つの固液分離装置を含む);
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、テレフタル酸/ジオール混合物を形成し(前記添加は約40℃〜約290℃の温度で行い、前記ジオールはエチレングリコールである)
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0026】
本発明の別の実施態様において、
(a)固液分離ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤洗浄ゾーン中で、前記スラリー又はケーク状カルボン酸生成物に溶剤を添加して、溶剤を含むカルボン酸ケーク及び溶剤母液流を生成し;
(c)水洗ゾーン中で、溶剤を含むカルボン酸ケークに水を添加して、水湿潤カルボン酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(d)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(e)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0027】
本発明の別の実施態様において、
(a)固液分離ゾーン中で、粗製テレフタル酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤洗浄ゾーン中で、前記スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物に溶剤を添加して、溶剤を含むテレフタル酸ケーク及び溶剤母液流を生成し;
(c)水洗ゾーン中で、溶剤を含むテレフタル酸ケークに水を添加して、水湿潤テレフタル酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(d)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(e)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して水の一部を除去することによって、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法が提供される。
【0028】
これら及び他の目的は、当業界における通常の知識を有する他の人には、本明細書の開示を読めばより明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1に示される本発明の一実施態様において、カルボン酸/ジオール混合物200の製造方法が提供される。この方法は、以下の工程を含む。
工程(a)は、場合によっては、固液置換ゾーン40においてカルボン酸スラリー30から不純物を除去して、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物70及び母液流60を形成することを含む。
【0030】
カルボン酸スラリー30は、少なくとも1種のカルボン酸、触媒、少なくとも1種の溶剤及び不純物を含む。不純物は、典型的には、少なくとも1種又はそれ以上の下記化合物、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、トリメリット酸(TMA)、及び2,6−ジカルボキシフルオレノン(2,6−DCF)を含む。適当な溶剤としては、炭素数が好ましくは2〜6の脂肪族モノカルボン酸、又は安息香酸及びそれらの混合物並びにこれらの化合物と水との混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、溶剤は、酢酸と水との、約5:1〜約99:1の比の、好ましくは約8:1〜約49:1の比の混合物である。本明細書全体を通して、酢酸を溶剤と称するものとする。しかし、前に開示したもののような、他の適当な溶剤も使用できることを理解されたい。溶剤は一般に酢酸を含むが、前記の任意の溶剤であることもできる。
【0031】
カルボン酸スラリー30は、酸化ゾーン中で芳香族供給原料を酸化することによって生成できる。一実施態様において、芳香族供給原料はp−キシレンを含む。酸化ゾーンは少なくとも1つの酸化反応器を含み、カルボン酸スラリーは少なくとも1種のカルボン酸を含む。酸化反応器は、約120℃〜約250℃、好ましくは約140℃〜約170℃の温度で操作できる。典型的には、芳香族供給原料はp−キシレンを含み、カルボン酸はテレフタル酸を含む。本発明の一実施態様において、酸化ゾーンは気泡塔を含む。
【0032】
従って、例えば、テレフタル酸を用いる場合には、カルボン酸スラリー30はテレフタル酸スラリーと称し、カルボン酸/ジオール混合物200はテレフタル酸/ジオール混合物と称するものとする。
【0033】
カルボン酸は、有機前駆体化合物の制御酸化によって製造された任意のカルボン酸を含む。例えばカルボン酸は炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が8〜12の脂環式ジカルボン酸を含む。適当なカルボン酸の他の例としては、テレフタル酸、安息香酸、p−トルイル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニル−3,4’−ジカルボン酸、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0034】
テレフタル酸スラリーは、常法に従って適当な酸化触媒の存在下に、p−キシレンの液相酸化によって合成する。適当な触媒としては、選択された溶剤中に可溶なコバルト、マンガン及び臭素化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施態様において、触媒はコバルト、臭素及びマンガンを含んでなる。コバルトとマンガンは合わせて、液体中で約100重量ppm〜約2700重量ppmの濃度であることができる。臭素は、液体中で約1000重量ppm〜約2500重量ppmの濃度であることができる。
【0035】
カルボン酸スラリー30は、カルボン酸スラリー30中に含まれる液体の一部を除去することができる固液置換ゾーン40に供給して、導管70中においてスラリー又はケーク状カルボン酸生成物を生成させる。導管70中におけるスラリー又はケーク状カルボン酸生成物の生成のための液体の一部除去は、公知の任意の手段で実施できる。一部とは、液体の少なくとも5重量%が除去されることを意味する。典型的には、固液置換ゾーン40は、デカンタ形遠心分離機、回転円盤形遠心分離機、ベルトフィルター、回転真空濾過機などからなる群から選ばれた固液分離装置を含んでなる。導管30中のカルボン酸スラリーは、少なくとも1つの固液分離装置を含んでなる固液置換ゾーン40に供給される。固液分離装置は、約50℃〜約200℃、好ましくは140℃〜約170℃の温度で操作できる。固液分離装置は、約0psig〜約200psigの圧力で操作できる。固液置換ゾーン40中の固液分離装置は、連続式でも回分式でも操作できるが、商業的方法には連続法が好ましいことがわかるであろう。
【0036】
不純物は、固液置換ゾーン40から母液流中に移し、ライン60を経て回収する。本発明の一実施態様においては、追加溶剤をライン50を経て固液置換ゾーン40に供給して、カルボン酸スラリー30を再スラリー化し且つスラリー又はケーク状カルボン酸生成物70を形成させる。テレフタル酸スラリーを固液分離ゾーン40中で用いる場合には、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物が生成する。スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物は典型的にはテレフタル酸及び酢酸を含む。母液60は、固液置換ゾーン40からライン60を経て回収し、溶剤、典型的には酢酸、触媒及び臭素化合物を含む。ライン60中の母液は、ライン(図示せず)を経て酸化溶剤から不純物を分離するためのプロセスに送るか、又はライン(図示せず)を経て触媒系に再循還することができる。化学処理工業において一般に使用される、母液60からの不純物除去方法の1つは、再循還流の一部を抜き取るか又は「パージする」方法である。典型的にはパージ流は単に廃棄するか、或いは経済的に見合うならば、有用な成分を回収しながら不所望の不純物を除去する種々の処理に供する。不純物除去方法の例としては、米国特許第4,939,297号及び同第4,356,319号が挙げられ、これらは引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0037】
工程(b)は、溶剤洗浄ゾーン80中において、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物70から残留不純物を除去して、溶剤を含むカルボン酸ケーク110及び溶剤母液流100を形成する。
【0038】
導管70は、カルボン酸、残留不純物及び溶剤を含むスラリー又はケーク状カルボン酸生成物70を含む。残留不純物は、残留触媒(典型的にはコバルト、マンガン又は臭素を含むが、これらに限定するものではない)を含む。適当な溶剤としては、炭素数が好ましくは2〜6の脂肪族モノカルボン酸、又は安息香酸及びそれらの混合物並びにこれらの化合物と水との混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、溶剤は、主に酢酸及び/又は若干の水を含む。酢酸対水の比は、50:50〜98:2(質量比,酢酸:水)、より好ましくは85:15〜95:5、最も好ましくは90:10〜97:3の範囲であることができる。適当なカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0039】
スラリー又はケーク状カルボン酸生成物70は、カルボン酸が10〜90重量%の範囲である。好ましくは、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物70は、スラリーに関してはカルボン酸が25〜40重量%の範囲であり、ケーク状生成物に関してはカルボン酸が70〜90重量%の範囲である。最も好ましくは、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物70は、カルボン酸が30〜40重量%の範囲である。次いで、導管70中のスラリー又はケーク状カルボン酸生成物は、溶剤洗浄ゾーン80に導入し、そこで溶剤の相当部分が、導管100中の溶剤母液流中に回収される。溶剤母液102は溶剤の相当部分を含む。本発明の一実施態様において、追加溶剤を導管90を経て、溶剤洗浄ゾーン80におけるスラリー又はケーク状カルボン酸生成物70の流れに対して向流に添加できる。溶剤向流洗浄の段階量(amount of stages)は、溶剤を含むカルボン酸ケークを所望の純度に生成するのに必要な任意の段階量であることができる。典型的には溶剤向流洗浄における段階量は、約1〜約8、好ましくは約2〜約6、最も好ましくは約2〜約4であることができる。1より多い段階による洗浄に関しては、向流が好ましい。溶剤向流洗浄は、溶剤向流洗浄が使用されない場合の方法に比較して使用溶剤量が典型的には少ないので、好ましい。
【0040】
溶剤洗浄ゾーン80は、固形分と液体とを効率よく分離できる少なくとも1つの固液分離装置を含む。固液分離装置は、典型的には、以下の型の装置を含むが、これらに限定するものではない:遠心分離機、サイクロン、回転式ドラムフィルター、ベルトフィルター、プレスフィルターなど。溶剤洗浄ゾーン80は、約40℃〜155℃の温度範囲内において作動できる少なくとも1つの固液分離装置110を含む。好ましくは、固液分離装置110は、約80℃〜約150℃の温度範囲内で作動できる。最も好ましくは、固液分離装置110は、約90℃〜約150℃の温度範囲内で作動できる。溶剤を含むカルボン酸ケーク110が生成し、溶剤を含む前記カルボン酸ケーク110の水分組成は、水分が0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の範囲であることができる。場合によっては、残留溶剤を、ガス置換工程によって除去して、洗浄による溶剤の混入を最小にすることができる。カルボン酸がテレフタル酸であり且つ溶剤が酢酸である場合には、酢酸を含むテレフタル酸ケークが生成する。
【0041】
工程(c)は、場合によっては、水洗ゾーン120中で、溶剤を含むカルボン酸ケーク110から溶剤の相当部分を除去して、水湿潤カルボン酸ケーク100及び溶剤/水副生成物液体流140を形成することを含む。
【0042】
次いで、溶剤を含むカルボン酸ケーク110は、水洗ゾーン120中で残留量の溶剤と共に水による又は実質的に水による洗浄又は「すすぎ」に供する。ここで、溶剤の相当部分は水と置き換えられて、水湿潤カルボン酸ケーク150が形成される。水湿潤カルボン酸ケーク150は、水分が好ましくは約0.5%〜約30%、より好ましくは約1〜約20%、最も好ましくは約1%〜約10%の範囲である。水湿潤カルボン酸ケーク150の残留水分中に含まれる溶剤は、質量ベースで約2%未満でなければならない。更に、水湿潤カルボン酸ケーク150中に含まれる、導管70中のスラリー又はケーク状カルボン酸生成物中でp−キシレン酸化の触媒として典型的に用いられる任意の金属は1%未満、好ましくは100重量ppm未満、最も好ましくは10重量ppm未満でなければならず、水湿潤カルボン酸ケーク150中に残留しなければならない。金属の例としては、コバルト及びマンガンが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0043】
洗浄水は、導管130を経て水洗ゾーン120中に導入する。洗浄水は、溶剤を含むカルボン酸ケーク110中の固形分の比率が約0.1:1〜約1.5:1の範囲、好ましくは約0.1:1〜約0.6:1の範囲、最も好ましくは約0.2:1〜約0.4:1の範囲の質量供給量(mass feed rate)を連続的に含まなければならない。洗浄水の温度及び圧力に制限はなく、蒸発した水、蒸気又は水と蒸気との組合せを洗浄剤として使用することも含む。本発明の一実施態様において、洗浄水は、溶剤を含むカルボン酸ケークに対して向流で導入する。
【0044】
追加の洗浄水は導管130を経て、水洗ゾーン120中の、溶剤を含むカルボン酸ケーク110の流れに対して向流に添加することができる。水向流洗浄の段階量は、水湿潤カルボン酸ケークを所望の純度に生成するのに必要な任意の段階量であることができる。典型的には、水向流洗浄における段階量は、約1〜約8、好ましくは約2〜約6、最も好ましくは約2〜約4であることができる。1より多い段階による洗浄の場合には、向流が好ましい。水向流洗浄は、水向流洗浄を用いない方法に比べて使用水量が典型的に少ないので、好ましい。
【0045】
水洗ゾーンは、固液分離装置120を含む。固液分離装置は典型的には、以下の型の装置を含むことができるが、これらに限定するものではない。遠心分離機、サイクロン、回転式ドラムフィルター、ベルトフィルター、プレスフィルターなど。固液分離装置は約40℃〜約155℃の温度範囲内で操作することができる。好ましくは、第2の固液分離装置は、約80℃〜約150℃の温度範囲内で作動できる。最も好ましくは、第2の固液分離装置は約90℃〜約150℃の温度範囲内で作動できる。
【0046】
場合によっては、水洗ゾーン120からの溶剤/水副生成物液体を、溶剤洗浄ゾーン80によって生成した溶剤母液流から分離する。
【0047】
工程(d)は水湿潤カルボンケーク150を蒸気シールゾーン160に向けることを含む。
【0048】
水湿潤カルボン酸ケーク150は、蒸気シール装置を含む蒸気シールゾーン160に通し、導管170を経て蒸気シール装置から出る。蒸気シール装置は、水湿潤カルボン酸ケーク150を向流洗浄ゾーン120から出すが、カルボン酸/ジオール混合ゾーン180からのジオールが、向流洗浄ゾーン又は蒸気シールゾーン160の前に配置された任意の処理ゾーンに入るのを防ぐ。蒸気シール装置は、公知の任意の装置であることができる。例としては、エアロックバルブ及び固体運搬押出機が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0049】
工程(e)は、カルボン酸/ジオール混合ゾーン180において、水湿潤カルボン酸ケーク170に少なくとも1種のジオールを添加して、水の、水湿潤カルボン酸ケーク170からの部分を除去して、カルボン酸/ジオール混合物200を形成することを含む。
【0050】
最後に、この時点では実質的に溶剤を含まない水湿潤カルボン酸ケーク170を、カルボン酸混合ゾーン180中でジオール190と合して、PET及び他のポリエステル又はコポリエステルの製造に適当なカルボン酸/ジオール混合物200を形成する。カルボン酸/ジオール混合物200を生成するために水湿潤カルボン酸ケーク170とジオール190とを密着させる必要がある装置を含む以外は、カルボン酸/ジオール混合ゾーン180に制限はない。このような装置の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー、PETエステル化反応器など。湿潤カルボン酸ケークを装置中に導入するために、固体排出装置を使用することもできるであろう。装置が作動可能な温度範囲に特別の制限もない。しかし、装置の温度は、PETエステル化反応器内で一般的に見られる温度である約280℃を超えないことが好ましい。
【0051】
主要スラリー化液体としての水を場合によっては置換するように、導管190中の少なくとも1種のジオールを導入できる。これは、水を気化させるのに充分な温度でジオールを導管190を経て飽和液体として導入することによって実施できる。本発明の一実施態様において、導管190中のジオールは、飽和又は過飽和蒸気として導入する。導管190中のジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である。好ましくは、導管190中のジオールはエチレングリコールである。図1に示した系内において、実質的に乾燥しているカルボン酸固体は形成されないことに留意されたい。カルボン酸乾燥固体を形成しないことの主な利点は、固形分取扱装置の排除である。固形分取扱装置の例としては、乾燥機、コンベヤーシステム及びサイロが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明の他の実施態様において、工程(a)、工程(b)及び工程(c)は、図2に示すように、液体交換ゾーン250として知られる1つのゾーン中に一体化することができる。液体交換ゾーン250は、前述の固液分離ゾーン40、溶剤洗浄ゾーン80及び水洗ゾーン120の一体化機能を行うことができる少なくとも1つの固液分離装置を含む。工程(b)及び工程(c)はまた、図3に示すように、溶剤−水液体交換ゾーン260として知られる1つのゾーン中に一体化することができる。最後に、工程(a)及び工程(b)は、図4に示すように、溶剤液体交換ゾーン270として知られる1つのゾーン中に一体化できる。前記実施態様のそれぞれは、前述の一体化ゾーンの機能を行うことができる少なくとも1つの固液分離装置を含む。液体交換ゾーン250、又は溶剤−水液体交換ゾーン260、又は溶剤液体交換ゾーン270に使用できる装置の例としては、以下の型の装置が挙げられるが、これらに限定するものではない。遠心分離機、サイクロン、フィルターなど及びそれらの組合せ。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施態様である、カルボン酸/ジオール混合物の製造方法を示す。
【図2】本発明の別の実施態様である、液体交換ゾーンの使用によるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法を示す。
【図3】本発明の別の実施態様である、溶剤−水液体交換ゾーンの使用によるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法を示す。
【図4】本発明の別の実施態様である、溶剤液体交換ゾーンの使用によるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液体交換ゾーンにおいて、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、水湿潤カルボン酸ケーク、母液流、溶剤母液流及び溶剤/水副生成物液体流を形成し;
(b)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中において前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項2】
前記カルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カルボン酸がテレフタル酸であり且つ前記ジオールがエチレングリコールである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)溶剤液体交換ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、溶剤を含むカルボン酸ケーク、母液流及び溶剤母液流を形成し;
(b)水洗ゾーン中で、溶剤を含むカルボン酸ケークに水を加えて、水湿潤カルボン酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(c)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項7】
前記カルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記カルボン酸がテレフタル酸であり且つ前記ジオールがエチレングリコールである請求項6に記載の方法。
【請求項11】
(a)固液分離ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤―水液体交換ゾーン中で、前記スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、水湿潤カルボン酸ケーク、溶剤母液流及び溶剤/水副生成物液体流を形成し;
(c)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項12】
前記カルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記カルボン酸がテレフタル酸であり且つ前記ジオールがエチレングリコールである請求項11に記載の方法。
【請求項16】
(a)溶剤−水液体交換ゾーン中で、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物から溶剤を除去し;前記スラリー又はケーク状カルボン酸生成中の溶剤の相当部分を水と交換して、水湿潤カルボン酸ケークを形成し;
(b)前記水湿潤カルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項17】
前記カルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
(a)溶剤洗浄ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、酢酸を含むテレフタル酸ケークを形成し;
(b)水洗ゾーン中で、酢酸を含むテレフタル酸ケークから溶剤の相当部分を除去して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し;
(c)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項21】
前記溶剤洗浄ゾーンが約40℃〜約155℃の温度で操作される固液分離装置を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記水洗ゾーンが、約40℃〜約155℃の温度で操作される固液分離装置を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記添加を、約40℃〜約290℃の温度で行う請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ジオールがエチレングリコールである請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが、攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項20に記載の方法。
【請求項27】
(a)溶剤−水液体交換ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から溶剤を除去し;前記スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物中の溶剤の相当部分を水と交換して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し;
(b)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(c)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項28】
前記溶剤液体交換ゾーンが約40℃〜約155℃の温度で操作される固液分離装置を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記添加を、約40℃〜約290℃の温度で行う請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記ジオールがエチレングリコールである請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項27に記載の方法。
【請求項33】
(a)溶剤洗浄ゾーン中で、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物から不純物を除去して、酢酸を含むテレフタル酸ケークを形成し(前記溶剤洗浄ゾーンは約40℃〜約155℃の温度で操作される少なくとも1つの固液分離装置を含む);
(b)水洗ゾーン中で、酢酸を含むテレフタル酸ケークから溶剤の相当部分を除去して、水湿潤テレフタル酸ケークを形成し(前記水洗ゾーンは、約40℃〜約155℃の温度で操作される少なくとも1つの固液分離装置を含む);
(c)前記水湿潤テレフタル酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(d)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、テレフタル酸/ジオール混合物を形成し(この添加は約40℃〜約290℃の温度で行い、前記ジオールはエチレングリコールである)
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項34】
(a)固液分離ゾーン中で、カルボン酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状カルボン酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤洗浄ゾーン中で、前記スラリー又はケーク状カルボン酸生成物に溶剤を添加して、溶剤を含むカルボン酸ケーク及び溶剤母液流を生成し;
(c)場合によっては、水洗ゾーン中で、溶剤を含むカルボン酸ケークに水を添加して、水湿潤カルボン酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(d)前記水湿潤カルボン酸ケーク又は溶剤を含むカルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(e)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤カルボン酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、カルボン酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるカルボン酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項35】
前記カルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記カルボン酸がテレフタル酸であり且つ前記ジオールがエチレングリコールである請求項34に記載の方法。
【請求項39】
(a)固液分離ゾーン中で、テレフタル酸スラリーから不純物を除去して、スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物及び母液流を形成し;
(b)溶剤洗浄ゾーン中で、前記スラリー又はケーク状テレフタル酸生成物に溶剤を添加して、溶剤を含むテレフタル酸ケーク及び溶剤母液流を生成し;
(c)場合によっては、水洗ゾーン中で、溶剤を含むテレフタル酸ケークに水を添加して、水湿潤テレフタル酸ケーク及び溶剤/水副生成物液体流を生成し;
(d)前記水湿潤テレフタル酸ケーク又は溶剤を含むカルボン酸ケークを蒸気シールゾーンに向け;そして
(e)カルボン酸/ジオール混合ゾーン中で、前記水湿潤テレフタル酸ケークに少なくとも1種のジオールを添加して、テレフタル酸/ジオール混合物を形成する
ことを含んでなるテレフタル酸/ジオール混合物の製造方法。
【請求項40】
前記溶剤洗浄ゾーンが約40℃〜約155℃の温度で操作される固液分離装置を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記水洗浄ゾーンが、約40℃〜約155℃の温度で操作される固液分離装置を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記添加を約40℃〜約290℃の温度で行う請求項39又は40に記載の方法。
【請求項43】
前記ジオールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、n−ブチレングリコール、i−ブチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記ジオールがエチレングリコールである請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記カルボン酸/ジオール混合ゾーンが攪拌槽、スタティックミキサー、スクリューコンベヤー及びPETエステル化反応器からなる群から選ばれる少なくとも1つの装置を含む請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記溶剤を、前記スラリー又はケーク状カルボン酸生成物の流れに対して向流で添加する34又は39に記載の方法。
【請求項47】
前記水を、溶剤を含む前記カルボン酸ケークの流れに対して向流で添加する34又は39に記載の方法。
【請求項48】
前記水を、溶剤を含む前記カルボン酸ケークの流れに対して向流で添加する46に記載の方法。
【請求項49】
前記水洗ゾーンが約2〜約4段階の水向流洗浄を含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記溶剤洗浄ゾーンが約2〜約4段階の溶剤向流洗浄を含む請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記水洗ゾーンが約2〜約4段階の水向流洗浄を含む請求項47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−523228(P2007−523228A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549484(P2006−549484)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000697
【国際公開番号】WO2005/070525
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】