説明

ポリエーテルエステルブロック共重合体

【課題】構造部材に利用可能な表面硬度を有し、消音性及び摺動性に優れているポリエーテルエステルブロック共重合体を提供する。
【解決手段】(a)芳香族ジカルボン酸単位、(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位、並びに(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステルブロック共重合体であって、JIS K6253に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプD)が40以上78以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルエステルブロック共重合体、並びにそれを用いた消音性構造部材、自動車部品及び電気・電子機器部品に関する。詳しくは、エンジニアリングプラスチックとゴム弾性体の両方の特性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体、並びにそれを用いた消音性構造部材、自動車部品及び電気・電子機器部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルエステルブロック共重合体は、ハードセグメントとソフトセグメントとから構成される。主としてポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシアルキレングリコールエステルをソフトセグメントとして用いる。これらハードセグメントとソフトセグメントとを共重合させることによりポリエーテルエステルブロック共重合体を製造できる。この共重合体は、エンジニアリングプラスチックの特性(耐久性、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐オゾン性、成形加工性など)とゴム弾性体の特性(消音性、耐衝撃性、反発弾性、耐低温性、屈曲疲労性など)の両方を兼ね備えた物質であり、たとえば自動車部品、工業用部品、精密機械部品、電気・電子部品、繊維、フィルム、生活用品等に広く利用されている。その中でも特に、自動車部品、工業用部品、精密機械部品、電気・電子部品等の構造部材としての利用が進んでいる。
【0003】
一般的にポリエーテルエステルブロック共重合体に使用されるポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下「PTMG」と略称する場合がある。)が広く利用されているが、弾力性、耐熱性や耐低温性等は必ずしも満足できるものばかりではなかった。これらの課題を改善するために、各セグメントの選択及び組み合わせにより、引っ張られたりした時に弾性体として元の状態に戻る性質、即ち“弾性回復性”に優れた、ソフトセグメントとしてポリオキシテトラメチレングリコールエステルを用いたポリエーテルエステルブロック共重合体が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
更に、これらの課題を克服するために、ハードセグメントとしてポリブチレンテレフタレートを、ソフトセグメントとしてポリオキシトリメチレングリコールエステルを用い、ソフトセグメントを60〜90重量%含有するポリエーテルエステルブロック共重合体とすることにより前記の弾性回復性が非常に優れたものとなることが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3164168号公報
【特許文献2】米国特許第6562457号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によると、特許文献2で開示されているポリエーテルエステルブロック共重合体は表面硬度が軟らかく、消音性もポリオキシテトラメチレングリコールエステルをソフトセグメントとして用いたポリエーテルエステルブロック共重合体と比較して効果がないために、構造部材への利用が困難であった。
【0006】
本発明は、これらの課題を克服するべくなされたもので、表面硬度、消音性及び摺動性に優れたポリエーテルエステルブロック共重合体、並びにそれを用いた消音性構造部材、自動車部品及び電気・電子機器部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジカルボン酸単位、短鎖ジオール単位、及び長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステルブロック共重合体の各成分を調整することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、(a)芳香族ジカルボン酸単位、(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位、並びに(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステルブロック共重合体であって、JIS K6253に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプD)が40以上78以下であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体に存する。なお、デュロメータ硬さ(タイプD)は、共重合体成形品の表面硬度を数値で表わすための一つの指標である。
【0009】
また、本発明の別の要旨は、上述のポリエーテルエステルブロック共重合体を用いたことを特徴とする消音性構造部材と、この消音性構造部材を用いたことを特徴とする自動車部品及び電気・電子機器部品に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造部材に利用可能な表面硬度を有し、消音性及び摺動性に優れているポリエーテルエステルブロック共重合体、並びにそれを用いた消音性構造部材、自動車部品及び電気・電子機器部品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、(a)芳香族ジカルボン酸単位、(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位、並びに(c)ポリオキシトリメチレングリコール(以下「PO3G」と略称する場合がある。)を主体とする長鎖ジオール単位からなる。
【0013】
[I.ポリエーテルエステルブロック共重合体]
ポリエーテルエステルブロック共重合体は、結晶性を有するハードセグメントと、ハードセグメントに比べて分子運動性に富むソフトセグメントから構成される。本発明においては、前記のハードセグメントとソフトセグメントをより明確に区別する意味で、下記式(1)において表される単位をハードセグメントとし、下記式(2)において表される単位をソフトセグメントとした。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式(1)及び(2)中、
1は各々独立に、ベンゼン核を持つ炭素環式化合物及び/又は非ベンゼノイド芳香族化合物由来の化学構造を表わし、
2は、トリメチレン基及び又はテトラメチレン基を表わし、
nは、1以上1000以下の整数を表わす。
なお、ここで「ベンゼン核」とは、芳香族性を持つ炭素六員環を表わし、「非ベンゼノイド芳香族化合物」とは、アズレンや芳香族性を示す複素環式化合物等の、ベンゼン核を持たないが芳香族性を示す化合物を表わす。
【0016】
上記式(1)に表されるハードセグメントは、(a)芳香族ジカルボン酸単位と(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位からなるポリエステルである。また、上記式(2)に表されるソフトセグメントは、(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステルである。なお、公知文献の中には、ソフトセグメントをその主構成成分となる長鎖ジオール単位のみで表わしたものもある。
【0017】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率、即ち(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステル部分の全ポリエーテルエステルブロック共重合体に対する含有率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは23重量%以上で、通常60重量%未満、好ましくは59重量%以下、より好ましくは57重量%以下、更に好ましくは54重量%以下である。この際、前記のソフトセグメントの含有率が下限を下回ると、共重合体のソフトセグメントに由来する弾性体としての性質が小さくなる場合がある。一方、前記のソフトセグメントの含有率が上限を上回ると、共重合体の表面硬度が軟らかくなるため構造部材への利用が困難となる場合がある。
【0018】
なお、通常は、共重合体の製造時におけるモノマーの仕込み重量比が、得られる共重合体におけるモノマー成分の重量比とほぼ等しくなる。従って、共重合体中のソフトセグメントの重量含有率は、通常はモノマー原料の仕込み重量比から算出することができる。
【0019】
(1)(a)芳香族ジカルボン酸単位:
本発明の(a)芳香族ジカルボン酸単位の原料(以下、「(a´)芳香族ジカルボン酸成分」という)としては、ポリエステルの原料、特にポリエーテルエステルブロック共重合体の原料として一般的に用いられているものが使用でき、例えば、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸等が挙げられる。中でも、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、より好ましくはテレフタル酸である。これらの芳香族ジカルボン酸は通常、何れか一種を単独で用いるが、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルを用いる場合は、例えば、上記の芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステル等が用いられる。この中で好ましいものは、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートである。
【0020】
(2)(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位:
本発明の(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位の原料(以下、「(b′)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール成分」という)としては、1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールを単独で使用することが通常であるが、これらを任意の比率で併用しても構わない。中でも、1,4−ブタンジオールを単独で使用することが好ましい。
【0021】
(3)(c)長鎖ジオール単位:
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの構成単位の一部である(c)長鎖ジオール単位の原料(以下、「(c´)長鎖ジオール成分」という)としては、下記式(3)で表わされる構造のポリオキシトリメチレングリコールを使用する。
【0022】
【化2】

(上記式(3)中、nは、1以上1000以下の整数を表わす。)
【0023】
本発明に使用するポリオキシトリメチレングリコールの数平均分子量(Mn)は、通常400以上、好ましくは600以上、更に好ましくは800以上で、通常6000以下、好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、最も好ましくは2000以下である。この数平均分子量が小さ過ぎると、融点降下が激しくなって耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。一方、数平均分子量が大き過ぎると、ポリオキシトリメチレングリコールの粘度が上がるため、それを用いたポリエーテルエステルブロック共重合体中の相分離が顕著となり、共重合体成形物の物性が低下する場合がある。
【0024】
なお、ここでいう「数平均分子量(Mn)」は、ポリオキシトリメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール末端の水酸基を無水フタル酸でエステル化させ、未反応の無水フタル酸をフタル酸に分解後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで逆滴定(末端基滴定法)することにより水酸基価を求め、その値から算出したものである。
【0025】
前記のポリオキシトリメチレングリコールは、1,3−プロパンジオールを脱水縮重合、又は、トリメチレンオキシドの開環重合により合成することができるが、後者の方法は原料となるトリメチレンオキシドが高価なことから、前者の方法の1,3−プロパンジオールの脱水縮重合により合成することが好ましい。1,3−プロパンジオールの脱水縮重合物は、例えば、特開2004−182974号公報に開示されているように、1,3−プロパンジオールを酸及び塩基よりなる触媒の存在下で脱水縮合反応させる等の公知の方法により合成できる。
【0026】
また、本発明の(c´)長鎖ジオール成分は、前記のポリオキシトリメチレングリコールをその主体とするが、必要に応じて、それ以外のポリオキシアルキレングリコールで一部置換してもよい。かかる置換に用いられるポリオキシアルキレングリコールとして、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ(1,2−プロピレン)グリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとTHF(テトラヒドロフラン)のブロック又はランダム共重合体、ポリオキシ(2−メチル−1,3−プロピレン)グリコール、ポリオキシプロピレンジイミドジ酸等が挙げられる。但し、本発明においては前記ポリオキシトリメチレングリコールを(c´)長鎖ジオール成分の主体とすることを特徴とすることから、(c´)長鎖ジオール成分の全重量の内、前記ポリオキシトリメチレングリコールの含有率は、下限が通常60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、また、上限が通常100重量%以下である。前記ポリオキシトリメチレングリコールの含有率が前記より小さ過ぎると、本発明の消音性等の効果が発現しなくなる場合がある。
【0027】
[II.ポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法]
以下に、本発明のポリエーテルエステル共重合体を製造する方法について、詳細に説明する。
【0028】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する方法は特に制限されず、従来公知の任意の共重合ポリエステルの製造方法を採用することができる。具体例としては、(a´)芳香族ジカルボン酸成分、過剰量の(b´)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール成分及び(c´)長鎖ジオール成分を触媒の存在下でエステル交換反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法、或いは(a´)芳香族ジカルボン酸成分と(b´)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール成分及び(c´)長鎖ジオール成分を触媒の存在下エステル化反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法、予め短鎖ポリエステル(例えばポリブチレンテレフタレート)を作っておき、これに他の芳香族ジカルボン酸成分と(c´)長鎖ジオール成分を加えて重縮合する方法、二軸押出機等を用いて、他の共重合ポリエステルを加えてエステル交換する方法等が挙げられる。これらは何れの方法を選択してもよい。
【0029】
エステル交換反応又はエステル化反応と共重合反応に共通の触媒として、特に好ましい例としては、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チタネートに代表されるテトラアルキルチタネート、これらテトラアルキルチタネートとアルキレングリコールとの反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分解物、チタニウムヘキサアルコキサイドの金属塩、チタンのカルボン酸塩、チタニル化合物等のTi系触媒が挙げられる。また、その他の例としては、モノ−n−ブチルモノヒドロキシスズオキサイド、モノ−n−ブチルスズトリアセテート、モノ−n−ブチルスズモノオクチレート、モノ−n−ブチルスズモノアセテート等のモノアルキルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジフェニルスズオキサイド、ジフェニルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジオクチレート等のジアルキル(又はジアリール)スズ化合物等が挙げられる。この他、Mg、Pb、Zr、Zn、Sb、Ge、P等の金属化合物が有用である。これらの触媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に単独で使用する場合には、テトラアルキルチタネートが好適である。また、二種以上を組み合わせて使用する場合には、テトラアルキルチタネートと酢酸マグネシウムを用いることが好ましい。
【0030】
触媒の使用量は、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体に対して、下限が通常0.001重量%以上、好ましくは0.003重量%以上、また、上限が通常0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下である。この際、添加する触媒量が前記の下限を下回ると反応が進行しにくく生産性が悪くなる場合があり、前記の上限を上回ると、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体が着色したり、共重合体成形品の表面外観がブツ等により悪化する場合がある。
【0031】
これらの触媒は、エステル交換又はエステル化反応開始時に反応系に加える。その後、共重合反応時に再び触媒を反応系に加えてもよいが、加えなくてもよい。
【0032】
また、ジカルボン酸やジオールの一部として、ポリカルボン酸、多官能ヒドロキシ化合物、オキシ酸等の多官能成分が共重合されていてもよい。多官能成分は高粘度化成分として有効に作用し、その共重合体中の含有量は0モル%以上3モル%以下が好ましい。多官能成分の含有量が多過ぎると、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体がゲル化する場合があり、好ましくない。かかる多官能成分として用いることが出来るものには、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びそれらのエステル、酸無水物等を挙げることができる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
【0033】
また、酸化防止剤をポリエーテルエステルブロック共重合体の製造中又は製造後の任意の時期に加えることが出来る。特にポリオキシトリメチレングリコールが高温に曝される時点、例えば共重合反応に入る時点で、ポリオキシアルキレングリコールの酸化劣化を防止するために、共重合反応を阻害せず、また触媒の機能を損なわない限りにおいて、酸化防止剤を加えることが望ましい。これらの酸化防止剤としては、例えば、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや、次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系誘導体、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物等を用いることができる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
【0034】
これら酸化防止剤の使用量は、ポリエーテルエステルブロック共重合体100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上で、通常3重量部以下、好ましくは2重量部以下である。この際、これら酸化防止剤の使用量が前記の下限を下回ると酸化防止剤の効果が発現しにくくなる場合があり、前記の上限を上回ると、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体が着色したり、共重合体成形品の表面外観がブツ等により悪化する場合がある。
【0035】
また、ポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する際の反応条件は、公知の常用条件を用いることができる。例えば、触媒の存在下エステル交換反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法や、触媒の存在下エステル化反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法においては、以下の通りである。
【0036】
即ち、前段のエステル交換反応又はエステル化反応は、通常120℃以上、好ましくは140℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは240℃以下の反応温度で、通常1時間以上、5時間以下に亘って行なわれる。この際、前記の下限反応温度を下回ると反応が進行しにくく生産性が悪くなる場合があり、前記の上限反応温度を上回ると、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体が着色する場合がある。また、反応時間が短過ぎると、エステル交換反応又はエステル化反応が十分に進行していないために後続の重縮合反応が進行しない場合があり、反応時間が長過ぎると、それまでの間にエステル交換反応又はエステル化反応が十分に進行しているために生産効率が悪くなる場合がある。
【0037】
また、後段の重縮合反応は、通常10torr以下の減圧下、通常200℃以上、好ましくは220℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは270℃以下の反応温度で、通常1時間以上、6時間以下に亘って行なわれる。この際、前記の下限反応温度を下回ると反応が進行しにくく生産性が悪くなる場合があり、前記の上限反応温度を上回ると、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体が着色する場合がある。また、反応時間が短過ぎると、重縮合反応が十分に進行していないために生成する共重合体の重合度が極めて低くなる場合があり、反応時間が長過ぎると、生成する重合体が着色したり、解重合反応が起こり重合体の重合度が低下する場合がある。
【0038】
通常、上記のように溶融縮重合して得られた本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、その融点以上の温度で保持され、順次、反応缶等の反応器から吐出、ペレタイジング等の成形が行なわれる。なお、ここで得られたペレットは、必要に応じて、更に固相重合してもよい。
【0039】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する際には、上述の(a´)芳香族ジカルボン酸成分、(b´)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール成分、及び(c´)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール成分の他に、最終的に得られたポリエーテルエステルブロック共重合体に対し必要に応じて、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、任意の成分を配合することができる。具体的には、例えば、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、ケイソウ土、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等の充填剤や補強材;ステアリン酸亜鉛やステアリン酸ビスアマイド等の離型剤ないしは滑剤;着色の為のカーボンブラック、群青、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等の染顔料;オクタブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールポリカーボネート等の難燃化剤;ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤;ベンゾトリアゾール化合物等の紫外線吸収剤;炭酸ナトリウムなどの無機塩やクエン酸ナトリウムなどの有機塩等の発泡剤;エポキシ化合物やイソシアネート化合物等の架橋剤;鉱物油、植物油、シリコーンオイル、シリコーン樹脂等の粘度調整剤;置換アミド化合物、脂肪酸アミド化合物等の摺動性改良剤;導電性付与のための各種導電材等、公知の各種添加剤を用いることが出来る。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても構わない。
【0040】
[III.ポリエーテルエステルブロック共重合体の物性]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、下記の物性を有する。
【0041】
(1)表面硬度:
JIS K6253に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプD)は、成形品の表面硬度を数値で表わす一つの指標である。本測定項目は、測定試験片の成形法の違いによる分子配向の違いにより、その測定値が変化することが一般的に知られており、本発明においては、測定試験片として厚みが2mmの熱プレスシートを用いた測定値を基準として以下に詳細に記述する。
【0042】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、JIS K6253に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプD)が、通常下限が40以上、好ましくは42以上、更に好ましくは44以上で、通常上限が78以下、好ましくは76以下、更に好ましくは74以下、最も好ましくは65以下であることを特徴とする。この際、前記のデュロメータ硬さが下限を下回ると、共重合体の表面硬度が軟らかいため構造部材への利用が困難であり、また消音性において、ポリオキシテトラメチレングリコールエステルをソフトセグメントとして用いたポリエーテルエステルブロック共重合体等に比べた共重合体の優位性が小さくなる。一方、前記のデュロメータ硬さ上限を上回ると、共重合体の表面硬度が硬くなるため弾性体としての性質が小さくなる場合がある。
【0043】
(2)粘度:
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の溶液のインヘレント粘度(ηinh)は、通常0.30dl/g以上、好ましくは0.40dl/g以上、また、通常2.50dl/g以下、好ましくは2.40dl/g以下、更に好ましくは2.30dl/g以下である。この際、インヘレント粘度が下限を下回ると、構造部材としての共重合体成形品の物性が著しく低下する場合がある。一方、前記のインヘレント粘度が上限を上回ると、共重合体の流動性が低下するために構造部材として成形することが困難な場合がある。
なお、ポリエーテルエステルブロック共重合体の溶液のインヘレント粘度(ηinh)は、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとを1:1の重量割合で混合した溶媒に共重合体を溶解させ、得られた溶液の30℃における相対粘度(ηrel)を測定し、その相対粘度(ηrel)の自然対数を、下記の式(I)に示すように、溶液濃度(C)で割った値として求めることができる。
【0044】
【数1】

但し、上記式(I)において、ηrelは相対粘度を表わし、Cは溶液濃度(g/dl)を表わす。
【0045】
(3)末端カルボキシル基量:
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の末端カルボキシル基量(AV)は、通常70eq/ton以下、好ましくは65eq/ton以下、更に好ましくは60eq/ton以下である。この際、AVが上限を上回ると、耐加水分解性などの長期安定性が著しく低下する場合がある。
【0046】
(4)密度:
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の密度は、通常1.155g/cm3以上、好ましくは1.160g/cm3以上、より好ましくは1.165g/cm3以上、更に好ましくは1.170g/cm3以上、最も好ましくは1.175g/cm3以上、また、通常1.290g/cm3以下、好ましくは1.280g/cm3以下、更に好ましくは1.270g/cm3以下、最も好ましくは1.260g/cm3以下である。この際、前記の密度下限を下回ると、共重合体の表面硬度が軟らかくなるため構造部材への利用が困難となる場合がある。一方、密度が上限を上回ると、共重合体の表面硬度が硬くなるため弾性体としての性質が小さくなる場合がある。
【0047】
(5)消音性:
本発明においては、消音性を以下の2種類の特性(i),(ii)に分けて述べる。
(i)物体が衝突する際に発生する衝突音の騒音レベルを減少させる特性。
(ii)物体が衝突する際に発生する衝突音を短時間のうちに減衰させる特性。
【0048】
この2種類の特性(i),(ii)は、例えば、図1(a),(b)に示す構成の装置を用いて、同時に評価することができる。ここで、図1(a),(b)は、物体が衝突する際に発生する衝突音の騒音レベルを減少させる特性、及び、その衝突音を短時間に減衰させる特性を測定するための装置の構成の一例を説明するための図である。具体的に、図1(a)は、当該装置の要部を側方から見た図であり、符号1,2はかさ上げ台(角材)を表わし、符号3は鋼板を表わし、符号4は測定対象となるポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシート(これを以下「供試体」という場合がある。)を表わし、符号5は鉄球を表わし、符号6は電磁切離装置を表わし、符号7は騒音計を表わす。また、図1(b)は鋼板3及び供試体4を上方から見た図である。なお、鋼板3の上面から電磁切離装置6における鉄球5の切り離し部までの距離(図1(a)中の符号xで表わされる距離)は660mmであり、鋼板3の上面から騒音計7の測定部までの距離(図1(a)中の符号yで表わされる距離)は1000mmである。
【0049】
床上に高さ5mmの角材をかさ上げ台1,2として敷いて設置した鋼板3(SUS304製、30cm×10cm×1cm厚)の中央部に、ポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシート(75mm×75mm×2mm厚)の供試体4を置き、供試体4より高さ660mmの位置から、電磁切離装置6を用いて鉄球5(重さ5.4g)を自由落下させ、衝突した時に発生した騒音を騒音計7により測定する。そして、測定された騒音の最大騒音レベル(L)を求めると共に、最大騒音レベルの発生時点から0.2秒間における騒音レベルの減衰を騒音レベルの経時変化曲線として求め、得られた経時変化曲線を直線近似し、その直線の傾きの絶対値(D)を求める。得られた最大騒音レベル(L)及び騒音レベルの減衰直線(近似直線)の傾きの絶対値(D)を、供試体4を置かずに鉄球5が鋼板3に直接衝突する際の最大騒音レベル(L0)、及び、その際における前記と同様な方法で求めた騒音レベルの減衰直線の傾きの絶対値(D0)とそれぞれ比較する。
【0050】
供試体4を鋼板3の上に置いたことによって、供試体4を置かない場合と比べて減少した最大騒音レベルの値(L0−L)を“△L”と定義すると、前記の特性(i)(物体が衝突する際に発生する衝突音の騒音レベルを減少させる特性)は△Lの大小によって評価することができ、△Lの値が大きいほど消音性に優れている。△Lの値は、好ましくは0.5dB以上、より好ましくは1dB以上、最も好ましくは2dB以上である。△Lが前記の下限を下回ると、衝突音の騒音レベルの減少量が小さ過ぎるため、消音性の効果が小さい場合がある。
【0051】
また、供試体4を鋼板3の上に置いたことによって、供試体4を置かない場合と比べて増加した騒音レベルの減衰直線の傾きの絶対値(D−D0)を“△D”と定義すると、前記の特性(ii)(物体が衝突する際に発生する衝突音を短時間のうちに減衰させる特性)は△Dの大小で評価することができ、△Dの値が大きいほど消音性に優れている。△Dの値は、好ましくは1dB/sec以上、より好ましくは2dB/sec以上、最も好ましくは3dB/sec以上である。△Dが前記の下限を下回ると、衝突音の騒音レベルの減衰量が小さ過ぎるため、消音性の効果が小さい場合がある。
【0052】
(6)摺動性:
一般に構造部材の摺動性は、部材表面の摩擦係数が低いほど良好であるとされている。本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体を用いた構造部材同士が擦れ合う際の静摩擦係数の値は、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下であり、動摩擦係数の値は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である。各摩擦係数がこれらの範囲より大きくなると、構造部材同士が擦れ合う際のスティックスリップ等により異音発生の原因となる場合があり、好ましくない。
【0053】
[IV.ポリエーテルエステルブロック共重合体の用途]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、構造部材に利用可能な表面硬度を有し、また、消音性及び摺動性に優れているという特性を有する。このような特性を利用して、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、エンジン、モーターや冷却用ファン等から発生する騒音や異音を和らげる各種の消音性構造部材用の材料等として利用できる。
【0054】
具体的に、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、例えば、等速ジョイントブーツ、サスペンジョンブーツ、ラック&ピニオンブーツ、ステアリングロッドカバー、ケーブルインナーライナ、ケーブルアウタージャケット、ATスライドカバー、シートベルト部品、エンブレム、ドアラッチストライカー、リバンドストッパ、安全ベルトのラチェット、リーフスプリングブッシュ等の自動車部品;油圧用ホースや空圧用ホース等の各種ホース、各種シール・パッキン、フレキシブルカップリング、コンベアベルト、タイミングベルト、圧縮バネ等の工業用部品;ギヤ等の精密機械部品;携帯電話ハウジング、制振材、防振材、キーボードパット、導電性パット、OAロール、電話機カールコード、光ファイバ被覆、ギヤ等の電気・電子部品;ヘアーブラシ、ホットカーラー、スキー靴底、靴インナーソール等の生活用品;衣料用繊維、不織布や各種フィルター等の繊維製品;二軸延伸フィルムや導電性フィルム等のフィルム製品等として、好適に使用できる。
【0055】
これらの中でも、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、等速ジョイントブーツ、サスペンジョンブーツやラック&ピニオンブーツ等の、消音性と共に摺動性も要求される自動車部品や、モーターや冷却ファン等の、騒音対策が重要な電気・電子部品として、特に好適に使用できる。
【実施例】
【0056】
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0057】
[物性の評価方法]
まず、後述の各実施例及び比較例で得られたポリエーテルエステルブロック共重合体の各種物性の評価方法について、先にまとめて説明する。
【0058】
<インヘレント粘度(ηinh)>
ポリエーテルエステルブロック共重合体のペレット0.2gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンを1:1で混合した溶媒40mlに、110℃で攪拌しながら15分間かけて溶解し、この溶液の30℃における相対粘度(ηrel)を、ウベローデ型粘度計(センテック製全自動粘度計DT610)を用いて測定した。そして、下記式(I)に基づいて、その相対粘度(ηrel)の自然対数を溶液濃度(C)で割った値、すなわち、その溶液のインヘレント粘度(ηinh)を計算した。
【0059】
【数2】

但し、上記式(I)において、ηrelは相対粘度を表わし、Cは溶液濃度(g/dl)を表わす。
【0060】
<末端カルボキシル基量>
ポリエーテルエステルブロック共重合体のペレット0.5gを試験管に採取し、ベンジルアルコール25mlを加え、150℃で15分間かけて攪拌しながら溶解させ、得られた溶液を自動滴定装置(東亜DKK製AUT−501)によって、複合pH電極を用いて、0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液により滴定した。なお、0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液は、JIS K8006に準拠して調製・標定を行ない、ファクターを算出した。得られた滴定曲線の変曲点から滴定量を求め、下記式(II)に基づいてAVを算出した。
【0061】
【数3】

上記式(II)において、AVは末端カルボキシル基量(eq/ton)を表わし、Aは測定滴定量(ml)を表わし、Bはブランク滴定量(ml)を表わし、Fは0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液の力価を表わし、Wはポリエーテルエステルブロック共重合体重量(g)を表わす。
【0062】
<密度>
熱プレス成形機及び加圧可能な冷却水循環型冷却装置を用いて、下記成形条件にてポリエーテルエステルブロック共重合体の2mm厚の熱プレスシートを作製した後、JIS K7112(A法)に準拠し密度を測定した。
【0063】
ポリエーテルエステルブロック共重合体のペレットを用いて、熱プレス及び冷却を行なうことにより、2mm厚の熱プレスシートを作製した。この時の熱プレス工程の条件としては、熱プレス成形機を使用し、熱プレス成形機の設定温度を、実施例1、2及び6、比較例1〜4及び8記載の共重合体の場合は240℃とし、実施例3及び4、比較例5及び6記載の共重合体の場合は250℃とし、実施例5、比較例7及び9記載の共重合体の場合は260℃とした。また、予熱時間を7分、熱プレス圧力を4.4MPa、熱プレス時間を2分とした。また、冷却工程の条件は、冷却水循環型冷却装置を使用し、冷却圧力を14.7MPa、冷却時間を3分とした。
【0064】
<引張り破断強度>
上述の<密度>の欄に記載の方法で同様に成形したポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシートを試料として用いて、JIS K6251(3号ダンベル)に準拠し、引張り破断強度を測定した。
【0065】
<引張り破断伸び>
上述の<密度>の欄に記載の方法で同様に成形したポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシートを試料として用いて、JIS K6251(3号ダンベル)に準拠し、引張り破断伸びを測定した。
【0066】
<デュロメータ硬さ>
上述の<密度>の欄に記載の方法で同様に成形したポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシートを試料として用いて、JIS K6253に準拠し、デュロメータ硬さ(Dタイプ)を測定した。
【0067】
<消音性評価>
消音性を評価するため、上述の図1(a),(b)に示す構成の装置を用いて、物体が衝突する際に発生する衝突音の騒音レベルを減少させる特性、及び、その衝突音を短時間に減衰させる特性を、以下の手順により評価した。
【0068】
即ち、床上に高さ5mmの角材1,2をかさ上げ台として敷いて設置した鋼板3(SUS304製、30cm×10cm×1cm厚)の中央部に、上述の<密度>の欄に記載の方法で同様に成形したポリエーテルエステルブロック共重合体の熱プレスシート(75mm×75mm×2mm厚)の供試体4を置き、供試体4より高さ660mmの位置から、電磁切離装置6を用いて鉄球5(重さ5.4g)を自由落下させ、衝突した時に発生した最大騒音レベル(L)及び騒音レベルの経時変化を、精密騒音計7(リオン製NL−14)を用いて測定した。鉄球5の落下位置は供試体4の中央部を目標とし、鉄球5の落下位置及び落下速度を一定にするため、落下前の鉄球5は電磁切離装置6に装着し、電磁切離装置6にかかっている電磁気を遮断した瞬間に鉄球5が自由落下する仕組みとした。また、瞬間的な事象に対応するために、騒音レベルは時定数0.8msを使用して分析した。最大騒音レベルの発生時点から0.2秒間における騒音レベルの減衰を騒音レベルの経時変化曲線として求め、得られた経時変化曲線を直線近似し、得られた直線の傾きの絶対値(D)を求めた。
【0069】
また、上記と同様の方法にて、熱プレスシートの供試体4を置かずに鉄球5が鋼板3に直接衝突する際の最大騒音レベル(L0)と、騒音レベルの減衰直線(近似曲線)の傾きの絶対値(D0)を求めた。A特性補正した最大騒音レベル(L0)は、97.6dB(A)であり、前記の騒音レベル減衰直線の傾きの絶対値(D0)は、実施例1〜3及び比較例1〜5に関しては126.6dB/secで、実施例4〜6及び比較例6〜9に関しては146.3dB/secであった。なお、特性補正は、騒音計が有する特性補正機能により行なった。この機能は人が感じる音の大きさに近い音量が測定できるように設定された機能であり、「A特性」とは、騒音が40フォンの時を基準とした補正特性である。
【0070】
次に、熱プレスシートの供試体4を鋼板3の上に置いたことによって、供試体4を置かない場合と比べて減少した最大騒音レベルの値(L0−L)を“△L”、及び、供試体4を置かない場合と比べて増加した騒音レベル減衰直線の傾きの絶対値(D−D0)を“△D”と定義し、その値の大小によって消音性を評価した。なお、各測定は3回行ない、各測定値としてはその平均値を用いた。
【0071】
<摺動性評価>
ポリエーテルエステルブロック共重合体の摺動性を評価するために、HEIDON トライボギア TYPE=14DR(新東科学製)を用いて、静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、上述の密度に記載の方法で同様に成形した熱プレスシート2枚を重ねて、50g重の荷重をかけた状態で上方のシートを100mm/minのスピードで動かした際の熱プレスシートの静摩擦係数と動摩擦係数を求めた。
【0072】
[合成例1]
ポリエーテルエステルブロック共重合体の(c´)長鎖ジオール成分として、以下の手順により、ポリオキシトリメチレングリコール(Mn=1163)を合成した。なお、以下の記載においては、このポリオキシトリメチレングリコールを、記号「A」で表わす場合がある。
【0073】
即ち、蒸留精製した1,3−プロパンジオール50gを、蒸留管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた100ml四つ口フラスコに、窒素を100Nml/分で供給しながら仕込んだ。これに0.0348gの炭酸ナトリウムを仕込んだ後、攪拌しつつゆっくりと0.678gの濃硫酸(95%)を加えた。このフラスコをオイルバス中に浸し162℃に加熱した。液温を162℃±2℃に調節して11時間保持して反応させた後、フラスコをオイルバスから取り出し、室温まで放置して冷却した。反応の間に生成した水は窒素に同伴させて留去した。室温まで冷却された反応液を50gのテトラヒドロフランを用いて300mlのナス型フラスコに移し、これに50gの脱塩水を加えて1時間緩やかに還流させ、硫酸エステルの加水分解を行なった。室温まで放冷して冷却した後、2層に分離した下層(水層)を除去した。上層(油層)に0.5gの水酸化カルシウムを加えて室温で1時間攪拌した後、50gのトルエンを加えて60℃に加熱して、減圧下でテトラヒドロフラン、水及びトルエンを留去した。得られた油層を100gのトルエンに溶解し、0.45μmのフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液を60℃に加熱して6時間真空乾燥した。
【0074】
[実施例1]
攪拌機、留出管及び減圧装置を装備した反応器に、ジメチルテレフタレート(東京化成製)68.7g、1,4−ブタンジオール(東京化成製)39.8g、上記合成例1で調製したポリオキシトリメチレングリコール(A)78.0gを仕込み、窒素置換後、窒素雰囲気下150℃で30分かけて加熱溶融した。次いでテトラブチルチタネート(キシダ化学製)を1−ブタノールに6重量%にて溶解した溶液4.4ml(Ti原子換算で、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体に対して0.02重量%の触媒量に相当)を加え、回転数150rpmで攪拌しながら150℃で60分間保持した後、2時間かけて230℃に昇温し、230℃で15分間保持して、エステル交換反応を行なった。得られた溶融物中に、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を1,4−ブタンジオールに5重量%で分散したスラリー5.4gと、前記テトラブチルチタネート溶液1.1ml(Ti原子換算で、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体に対して0.005重量%の触媒量に相当)とを加え、更に45分間かけて245℃まで昇温させながら、85分間かけて1torrまで減圧し、その減圧条件下で順次、攪拌回転数を落としていきながら、所望のインヘレント粘度を有する共重合体が得られるまで重縮合反応を行なった。攪拌を止め、反応器内を窒素で常圧に復圧し、重縮合反応を停止した後、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体のストランドをペレタイザーにてペレット化し、得られたペレットを前述の[物性の評価方法]の欄に記載の各種の物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。なお、本重合においては、エステル交換反応を早めるために1,4−ブタンジオールを過剰に加えており、エステル交換反応開始前の反応器内の水酸基数とカルボン酸基数の比(水酸基数/カルボン酸基数)は、原料の仕込み重量から計算して1.6となっている。それを考慮に入れると生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率、即ち(a)芳香族ジカルボン酸単位と(c)長鎖ジオール単位とから構成されるポリエーテルエステル部分の全ポリエーテルエステルブロック共重合体に対する含有率は、原料の仕込み重量から計算すると57.9重量%となる。
【0075】
[実施例2]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート89.5g、1,4−ブタンジオール57.2g、ポリオキシトリメチレングリコール(A)52.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると38.9重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。
【0076】
[実施例3]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート107.8g、1,4−ブタンジオール72.6g、ポリオキシトリメチレングリコール(A)30.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると22.2重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。
【0077】
[実施例4]
実施例4及び後述する実施例5においては、合成例1記載の合成法に準拠して合成したポリオキシトリメチレングリコール(Mn=1962)を用いた。なお、以下の記載においては、このポリオキシトリメチレングリコールを、記号「C」で表わす場合がある。
【0078】
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート66.6g、1,4−ブタンジオール40.7g、ポリオキシトリメチレングリコール(C)78.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると55.5重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。
【0079】
[実施例5]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート88.1g、1,4−ブタンジオール57.9g、ポリオキシトリメチレングリコール(C)52.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると37.3重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。
【0080】
[実施例6]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート72.5g、1,3−プロパンジオール35.2g、ポリオキシトリメチレングリコール(A)78.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様であるが、イルガノックス1330は1,3−プロパンジオールで分散したスラリーとした。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると57.9重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表1に示す。
【0081】
[比較例1]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート52.8g、1,4−ブタンジオール26.5g、ポリオキシトリメチレングリコール(A)97.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると72.4重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0082】
[比較例2]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート53.8g、1,4−ブタンジオール26.1g、ポリオキシテトラメチレングリコール(三菱化学製PTMG1000、Mn=1011。なお、以下の記載においては、このポリオキシテトラメチレングリコールを、記号「B」で表わす場合がある。)97.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると73.5重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0083】
[比較例3]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート69.5g、1,4−ブタンジオール39.5g、ポリオキシテトラメチレングリコール(B)78.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると58.8重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0084】
[比較例4]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート90.0g、1,4−ブタンジオール57.0g、ポリオキシテトラメチレングリコール(B)52.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると39.5重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0085】
[比較例5]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート108.1g、1,4−ブタンジオール72.5g、ポリオキシテトラメチレングリコール(B)30.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると22.6重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0086】
[比較例6]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート66.5g、1,4−ブタンジオール40.7g、ポリオキシテトラメチレングリコール(三菱化学製PTMG2000、Mn=1968。なお、以下の記載においては、このポリオキシテトラメチレングリコールを、記号「D」で表わす場合がある。)78.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると22.6重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0087】
[比較例7]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート88.0g、1,4−ブタンジオール57.8g、ポリオキシテトラメチレングリコール(D)52.5gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様である。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると37.3重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0088】
[比較例8]
実施例1において、原料配合をジメチルテレフタレート73.2g、1,3−プロパンジオール34.9g、ポリオキシテトラメチレングリコール(B)78.0gに変更した以外は全て同様にして、エステル交換反応と重縮合反応を行なった。添加剤の種類及び調合比率も同様であるが、イルガノックス1330は1,3−プロパンジオールで分散したスラリーとした。この配合で生成するポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの含有率は、原料の仕込み重量から計算すると58.8重量%となる。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を同様にペレット化して、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0089】
[比較例9]
ソフトセグメントを含まずハードセグメントのみのPBT樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス製ノバデュラン5010R5を使用し、前述の各種物性評価に供した。その結果を後述の表2に示す。
【0090】
[評価結果]
以上の実施例1〜6及び比較例1〜9で得られたポリエーテルエステルブロック共重合体についての各種物性の評価結果を下記の表1及び表2に示した。なお、表1及び表2において、「DMT」はジメチルテレフタレートを表わし、「1,4-BG」は1,4−ブタンジオールを表わし、「1,3-PDO」は1,3−プロパンジオールを表わす。また、長鎖ジオール成分として用いたポリオキシトリメチレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコールを、上に定義したA〜Dの記号で示している(A及びCはポリオキシトリメチレングリコール(PO3G)を表わし、B及びDはポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)を表わす。)。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
上記表1及び表2の結果から、以下のことが明らかである。
即ち、各種物性測定に使用した熱プレスシートの表面硬度がほぼ等しい、実施例1と比較例3、実施例2と比較例4、及び、実施例3と比較例5のそれぞれの比較において、数平均分子量が1163のポリオキシトリメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた実施例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の方が、数平均分子量が1011のポリオキシテトラメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた比較例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体よりも、消音性及び摺動性に優れている。
【0094】
また、熱プレスシートの表面硬度がほぼ等しい、実施例4と比較例6、及び、実施例5と比較例7のそれぞれの比較において、数平均分子量が1962のポリオキシトリメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた実施例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の方が、数平均分子量が1968のポリオキシテトラメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた比較例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体よりも、消音性及び摺動性に優れている。
【0095】
更に、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートではなくポリトリメチレンテレフタレートである実施例6と比較例8の比較においても、ポリオキシトリメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた実施例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体の方が、ポリオキシテトラメチレングリコールを長鎖ジオール成分として用いた比較例記載のポリエーテルエステルブロック共重合体よりも、消音性に優れている。
【0096】
一方、比較例1及び比較例2においては、共重合体の熱プレスシートの表面硬度が軟らかいため構造部材への利用が共に困難であり、また消音性においても、前述のようなポリオキシテトラメチレングリコールを用いた時と比べたポリオキシトリメチレングリコールを用いたときの優位性が非常に小さくなる。
【0097】
最後に、ソフトセグメントを含まずハードセグメントのみのPBT樹脂を用いた比較例9は、共重合体の表面硬度が硬くなるため、弾性体としての性質が小さくなる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、各種の消音性構造部材用の材料として利用できる。具体的には、例えば、自動車部品、工業用部品、精密機械部品、電気・電子部品、生活用品、繊維製品、フィルム製品等の用途に好適に使用できる。中でも、消音性と共に摺動性も要求される自動車部品や、騒音対策が重要な電気・電子部品として、特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a),(b)は何れも、物体が衝突する際に発生する衝突音の騒音レベルを減少させる特性、及び、その衝突音を短時間に減衰させる特性を測定するための装置の構成の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0100】
1,2 かさ上げ台(角材)
3 鋼板
4 供試体
5 鉄球
6 電磁切離装置
7 騒音計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)芳香族ジカルボン酸単位、(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位、並びに(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位からなるポリエーテルエステルブロック共重合体であって、JIS K6253に準拠して測定したデュロメータ硬さ(タイプD)が40以上78以下であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項2】
(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位が、1,3−プロパンジオールの縮合物であることを特徴とする、請求項1記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項3】
(b)1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオール単位が、1,4−ブタンジオール単位であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体を用いたことを特徴とする、消音性構造部材。
【請求項5】
請求項4記載の消音性構造部材からなることを特徴とする、自動車部品。
【請求項6】
請求項4記載の消音性構造部材からなることを特徴とする、電気・電子機器部品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−316262(P2006−316262A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111856(P2006−111856)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】