説明

ポリエーテル側鎖およびヒドロキシアルキル構造単位および酸構造単位を有するコポリマー

本発明は、水硬結合剤のための流動化剤として適切な、イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位5〜55モル%、アクリル酸誘導体構造単位2〜90モル%およびヒドロキシアルキルアクリレート構造単位2〜90モル%を含有するコポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリマー、コポリマーの製造ならびに建築材料混合物に関する。
【0002】
粉末状の無機もしくは有機物質、例えば粘土、ケイ酸塩粉末、白亜、カーボンブラック、石粉、および水硬結合剤の水性懸濁液に、その加工性、つまり混練性、刷毛塗り特性、噴霧性、ポンプ輸送性または流動性を改善するために、しばしば分散剤の形の添加を添加することは公知である。このような添加剤は、固体凝集物の形成を防止し、すでに存在する粒子、および水和によって新たに形成される粒子を分散させて、加工性を改善することができる。この効果は特に水硬結合剤、たとえばセメント、石灰、石膏、半水和物または硬石膏を含有する建築材料混合物を製造する際に適切に利用される。
【0003】
前記の結合剤をベースとする建築材料混合物を、即時使用可能で加工可能な形にするためには通常、その後の水和プロセスもしくは硬化プロセスのために必要とされるよりも実質的に多くの練り水が必要である。コンクリート成形体中で、過剰の、後に蒸発すべき水によって形成される中空部の割合は、機械的強度および安定性の著しい劣化につながる。
【0004】
規定の加工コンシステンシーでこのような過剰の水割合を低減し、かつ/または加工性を規定の水/結合剤比において改善するために、一般に減水剤もしくは流動化剤とよばれる添加剤が使用される。このような添加剤として、実地では特に酸モノマーおよび/または酸誘導体モノマーと、ポリエーテルマクロモノマーとのラジカル共重合により製造されるコポリマーが使用される。
【0005】
WO2005/075529には、酸モノマー構造単位以外に、ポリエーテルマクロモノマー構造単位として、ビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)構造単位を有するコポリマーが記載されている。このようなコポリマータイプは、有利な適用特性を有しているため、高性能流動化剤として汎用されている。この関連において、種々のセメント、異なった混合手順、ならびに種々の適用温度の使用に対する強度もしくは普遍性が特に顕著である。この高性能流動化剤を含有しているコンクリートは、通常、特に良好な加工性によって優れている。
【0006】
これらのコポリマーのモノマー前駆生成物として使用されるビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)は、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのエトキシ化により得られる。4−ヒドロキシブチルビニルエーテルは、アセチレンの大規模工業的な後続生成物である。アセチレンを基礎とする化学(Reppe化学)は、エチレンを基礎とする化学によりほとんど取って代わられているという事実に基づいて、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの大規模工業的な生産は、なおReppe化学を運用している数少ない工業立地と結びついている。さらに4−ヒドロキシブチルビニルエーテルは、特に安全技術的な観点から高価なReppe化学から特に安価に製造することができるか、もしくは製造されるものではないことを常に出発点としなくてはならない。前記の事実は、相応してビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)ならびに相応するコポリマーの入手可能性およびコストに影響を及ぼす。
【0007】
従って本発明の課題は、水硬結合剤のための経済的な分散剤であって、特に流動化剤/減水剤として好適な分散剤を提供することである。
【0008】
前記課題は、
i)イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位α 5〜55モル%
ii)アクリル酸誘導体構造単位β 2〜90モル%および
iii)ヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ 2〜90モル%
を含有するコポリマーであって、前記イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αは、以下の一般式(Ia)
【化1】

[式中、
Aは、同じかまたは異なっており、Cx2x(x=2、3、4または5)により記載されるアルキレン基により表され、
aは、同じかまたは異なっており、5〜45の間の整数により表される]により表され、前記アクリル酸誘導体構造単位βは、以下の一般式(IIa)および/または(IIb)
【化2】

[式中、
Xは、同じかまたは異なっており、NH−(Cn2n)(n=1、2、3または4)により表されるか、またはO−(Cn2n)(n=1、2、3または4)により表され、
1は、同じかまたは異なっており、SO3H、PO32、OPO32および/またはC65−SO3Hにより表される]
【化3】

[式中、
2は、同じかまたは異なっており、OH、OM(M=Na、K、Caおよび/またはONH4により表される]
により表され、かつ前記ヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γは、以下の一般式(III)
【化4】

[式中、
3は、同じかまたは異なっており、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C5モノヒドロキシアルキル基により表される]により表されるものであるコポリマーによって解決される。
【0009】
一般式(Ia)により記載されるイソプレノールポリエーテル誘導体構造単位α中のa(アルコキシ基の数)の決定は、いわゆるMALDI−TOF−MS測定(MALDI−TOF−MSとは、atrix ssisted aser esorption/onization ime light assenpektroskopieの略号である)により行う。この関連で実施されるMALDI−TOF−MS測定は、337nmの窒素レーザーを備えた"Bruker Reflex III"により実施した。加速電圧は20kVであり、カチオンスペクトルの検出は反射板法で行った。マトリックスとして、ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を使用し、かつ塩としてMerck KGaAの塩化カリウムを使用した。試料調製は、固体調製物として行った。このために、そのつど相応する試料をスパチュラの先端分だけ、THF中に溶解した。溶解した試料のわずかな部分を引き続きスパチュラの先端分のDHBおよびスパチュラの先端分の塩化カリウムと共に乳鉢中で摺った。この混合物の一部をスパチュラで、試料ターゲット上に載せた。較正は、ペプチドであるブラジキニン10pm/μl、アンギオテンシンI 10pm/μl、アンギオテンシンII 10pm/μl、ニューロテンシン10pm/μl、およびACTH10pm/μlからなる(Pepmix)外部標準を用いて行った。これらのペプチドは、アセトニトリル20質量%、H2O 79.9質量%、およびギ酸0.1質量%からなる混合物中に溶解した。このPepmixを、さらにH2Oで希釈した。較正のためにPepmix 1μlを、DHB溶液1μlと共に、ターゲットのスポット上で混合した。DHB溶液のための溶剤として、メタノールと水との1:1の比の混合物を使用した。濃度は10mg/mlであった。
【0010】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αは、コポリマーの分散作用に決定的な影響を与える。相応するモノマー出発化合物の前駆生成物は、イソプレノール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)である。イソプレノールはオレフィン化学の産物であり、これはたとえばシトラールの合成の際に、中間生成物として大量に生じる。一般に言えることは、イソプレノールは、化学工業において大量に入手可能であり、安価な中間生成物であるとみなすことができることである。前記のことから、アルコキシル化されたイソプレノールをベースとする本発明によるコポリマーの、相応して高い経済的な魅力が導き出される。さらに、本発明によるコポリマーは、前記のとおりの高性能流動化剤の有利な適用特性を有していることが重要である。
【0011】
最後に、コポリマーの製造(重合プロセス)に関して、アルコキシル化されたイソプレノールは、ビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)と比較して、酸性の加水分解に対して抵抗性が特に高いことに基づいて、方法技術的にはより容易に取り扱いが可能であることに言及すべきである。
【0012】
多くの場合、イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αを表す一般式(Ia)中で、xは、2および/または3、有利には2により表される。従って、エトキシ基またはエトキシ基とプロポキシ基とからなる混合物が一般的である。
【0013】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αを表す一般式(Ia)中で、有利には全ての(AO)a側鎖部分の少なくとも20モル%に関して、特に有利には少なくとも35モル%に関して、a=6〜15であり、かつ有利には全ての(AO)a側鎖部分の別の少なくとも20モル%、特に有利には少なくとも35モル%に関して、a=19〜35である。これは、共重合の際に、2種類の異なったタイプのイソプレノールポリエーテル誘導体モノマーを使用することにより達成することができる。従って1つのタイプはたとえばaの頻度平均値が11であり、もう1つのタイプは相応して約24を有する。コポリマー中での長鎖のポリエーテル側鎖と短鎖のポリエーテル側鎖とのこのような混合物は、その適用性能を向上する。
【0014】
有利にはイソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αは、25〜50モル%の相対的な割合で、特に有利には30〜45モル%の割合で存在する。通常、アクリル酸誘導体構造単位βは、35〜60モル%、特に有利には40〜55モル%の相対的な割合で存在する。有利にはヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γは、2〜30モル%、特に有利には6〜23モル%の相対的な割合で存在する。
【0015】
多くの場合、アクリル酸誘導体構造単位βは、一般式(IIb)により表される。この場合、通常、R2は、OHにより表される。従って、アクリル酸誘導体構造単位βを生じるモノマーとして有利にはアクリル酸を使用する。
【0016】
有利な実施態様では、一般式(III)により表されるヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ中で、R3は、−CH2−CHOH−CH3、−CHCH3−CH2−OHおよび/または−CH2−CH2−OHにより表される。
【0017】
しばしば本発明によるコポリマーは、10000〜100000の質量平均分子量を有する。
【0018】
通常、本発明によるコポリマーは、水30〜95質量%および溶解した乾燥物質5〜70質量%を含有する水溶液として存在している。この場合、乾燥物質は通常、実質的に無水のコポリマーである。
【0019】
本発明によるコポリマーは、イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位α、アクリル酸誘導体構造単位β、およびヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ以外に、さらに少なくとも1の別の構造単位を有していてもよい。このような場合には、コポリマーは、一般式(IVa)
【化5】

により表されるイソプレノール構造単位α′を少なくとも1モル%含有していてよい。
【0020】
イソプレノール構造単位α′を共重合することにより、側鎖の密度ひいてはコポリマーの適用特性を変えることができる。
【0021】
本発明はさらに、レドックス開始剤の存在下に、溶剤として水を使用して、0〜40℃でラジカル溶液重合により本発明によるコポリマーを製造する方法にも関する。しかし本発明によるコポリマーは、その他の任意の方法により製造することもできる。
【0022】
さらに本発明は、本発明によるコポリマー、ならびに水硬結合剤および/または潜在的な水硬結合剤を含有する建築材料混合物にも関する。一般に水硬結合剤は、セメント、石灰、石膏、半水和物または硬石膏として、またはこれらの成分の混合物として、有利にはしかしセメントとして存在している。潜在的な水硬結合剤は通常、フライアッシュ、トラッスまたは高炉スラグとして存在している。
【0023】
本発明を以下では実施例に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明によるコポリマー(製造例1および2による)と、すでに実地で首尾よく使用されているコポリマー(比較例1および2による)とを、これらの性能に関して比較する。
【0025】
製造例1(例1) 本発明によるコポリマータイプ1
複数の供給手段、攪拌機および滴下漏斗を備えたガラス製反応器に、水87ml、マクロモノマー1(EO11モルを有する3−メチル−3−ブテン−1−オールのエトキシル化により製造)37.5gおよびマクロモノマー2(EO22モルを有する3−メチル−3−ブテン−1−オールのエトキシル化により製造)82.5g(溶液A)を装入し、16℃に温度調整する。水54.11g、アクリル酸(90%)19.34gおよびヒドロキシプロピルアクリレート(96%)7.02gからなる、予め準備され、部分的に中和された第二の溶液(溶液B)の部分量を、15分間でガラス製反応器中の溶液Aに添加した。さらに3−メルカプトプロピオン酸1.74gを反応器に添加した。ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物3gおよび水47gからなる第三の溶液(溶液C)を準備した。引き続き、数滴の水に溶解した硫酸鉄(II)七水和物46.5mg、ならびに30%の過酸化水素溶液2.87gを溶液Aに添加した。さらに、残りの溶液Bを45分間で、および溶液Cを60分間で、溶液Aに供給した。最後に、20%の水酸化ナトリウム溶液21mlを添加し、pH値を6.5に調整した。
【0026】
Mw=24500g/モルの平均モル質量、1.66の多分散度、および44.3%の固体含有率を有するコポリマーの水溶液が得られた。共重合されていない不飽和アルコールエトキシレートと比較したポリマーの収率は、95%である(ゲル透過クロマトグラフィー(以下、GPCとよぶ)により測定)。
【0027】
製造例2(例2) 本発明によるコポリマータイプ2
複数の供給手段、攪拌機および滴下漏斗を備えたガラス製反応器に、水87ml、マクロモノマー1(EO11モルを有する3−メチル−3−ブテン−1−オールのエトキシル化により製造)37.5gおよびマクロモノマー2(EO22モルを有する3−メチル−3−ブテン−1−オールのエトキシル化により製造)82.5g(溶液A)を装入し、14℃に温度調整する。水58.9g、アクリル酸(90%)16.6gおよびヒドロキシプロピルアクリレート(96%)11.7gからなる、予め準備され、部分的に中和された第二の溶液(溶液B)の部分量を、15分間でガラス製反応器中の溶液Aに添加した。残分は3−メルカプトプロピオン酸0.96gを補充した。さらに3−メルカプトプロピオン酸を反応器に添加した。ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物3gおよび水47gからなる第三の溶液(溶液C)を準備した。引き続き、14℃の温度で、数滴の水に溶解した硫酸鉄(II)七水和物46.5mg、ならびに30%の過酸化水素溶液2.87gを溶液Aに添加した。さらに、残りの溶液Bを45分間で、および溶液Cを60分間で溶液Aに供給した。最後に、20%の水酸化ナトリウム溶液16.5gを添加し、pH値を6.5に調整した。
【0028】
Mw=23000g/モルの平均モル質量、1.86の多分散度、および43.6%の固体含有率を有するコポリマーの水溶液が得られた。共重合されていない不飽和アルコールエトキシレートと比較したポリマーの収率は97.7%である(GPCにより測定)。
【0029】
比較例1 コポリマータイプ1に相応
ビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)、エチレン性不飽和カルボン酸およびエチレン性不飽和カルボン酸誘導体からなるコポリマーをベースとする市販のコンクリート用流動化剤Glenium(登録商標)Sky593(BASF Construction Polymers GmbH)(比較例1によるポリマー)は、コポリマータイプ1に対して関連性の高いポリマー構造を有している。
【0030】
比較例2 コポリマータイプ2に相応
ビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)、エチレン性不飽和カルボン酸およびエチレン性不飽和カルボン酸誘導体からなるコポリマーをベースとする市販のコンクリート用流動化剤Glenium(登録商標)Sky594(BASF Construction Polymers GmbH)(比較例2によるポリマー)は、コポリマータイプ2に対して関連性の高いポリマー構造を有している。
【0031】
まず得られた分子量分布および反応率に関する重合挙動を観察すべきである。第1表から、本発明によるポリマーの製造は、そのつど比較ポリマーの製造よりも若干高い反応率で行われることが明らかである。コンクリート中での良好な性能のためのもう1つの重要な基準は、ポリマーの平均モル質量である。
【0032】
【表1】

【0033】
第1表には、そのつど、Mwおよび多分散度(Pd)に関する値が記載されている。本発明による両方の生成物は、比較ポリマーの範囲内の平均モル質量を有している。多分散度は同様に比較可能な範囲内である。
【0034】
コポリマーをさらに評価するために、コンクリート試験を実施した。実験的な実施は、適用例1および2に記載されている。試験の際には、本発明によるコポリマーが、同一の試験条件下(w/c値、温度、骨材等)および同一の供給量において、良好な性能を有する、つまり同一の流動化作用ならびに時間の経過における同一のスランプ値を有しているかを試験する。
【0035】
コンクリート試験の実施
ポルトランドセメント(CEM I42.5R、Mergelstetten)280kgを、Fullerの篩い分け曲線に相応して、最大粒径16mmで、石灰岩粉末充填材であるCalcit MS 12 80kg、および本発明による生成物もしくは比較生成物を溶解された形で含有している水156.8kgの組成で丸い骨材と共に攪拌した。コンクリート混合物の製造直後に、スランプ値の測定ならびにその時間的な変化を、60分の時間にわたって測定した。
【0036】
試験の結果は以下の表に記載されている。
ポルトランドセメント(CEM I42.5R、Karlstadt)280kgを、Fullerの篩い分け曲線に相応して、最大粒径16mmで、石灰岩粉末充填材であるCalcit MS 12 80kg、および本発明による生成物もしくは比較生成物を溶解された形で含有している162.4kgの組成で丸い骨材と共に攪拌した。コンクリート混合物の製造直後に、スランプ値の測定ならびにその時間的な変化を、60分の時間にわたって測定した。
【0037】
試験の結果は以下の表に記載されている。
【0038】
【表2】

【0039】
第2表は、Mergerstettenセメントを使用したコンクリート試験の結果を示している。両方の実施例によるポリマーに関して、同一の供給量でほぼ同じ液化作用が観察された。さらに、60分間にわたるスランプ値は、比較ポリマーのものと同様にほぼ一定に維持することができる。Karlstadtセメントを使用した試験も、実施例のポリマーは参考例とほぼ同じ特性を示す(第3表)。
【0040】
【表3】

【0041】
この結果は、本発明によるコポリマーが、コンクリート中でのその特性に関して公知の高性能流動化剤と比較可能な特性を有していることを示している。さらに、種々のセメントを使用することにより、本発明によるコポリマーの強度/汎用性も確認される。
【0042】
【表4】

【0043】
第4表は、例1および相応する比較ポリマーに基づいたスランプ流れに関する結果を示している。同一の供給量を使用すると、ここでも比較可能な特性が観察される。これは本発明によるコポリマーの添加により、参考例として引き合いに出した効果的な高性能流動化剤を使用する場合と同様の比較可能なコンシステンシーおよび同様に良好な加工性を有するコンクリートが生じることの確認である。
【0044】
比較試験の結果の総合結果:
前記の試験は、本発明によるコポリマーをベースとする流動化剤の品質が優れていることを示している。その性能は、すでに実地で有利であることが判明している、ビニルオキシブチレンポリ(エチレングリコール)をベースとする高性能ポリマーに匹敵するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位α 5〜55モル%
ii)アクリル酸誘導体構造単位β 2〜90モル%および
iii)ヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ 2〜90モル%
を含有するコポリマーであって、前記イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αは、以下の一般式(Ia)
【化1】

[式中、
Aは、同じかまたは異なっており、Cx2x(x=2、3、4または5)により記載されるアルキレン基により表され、
aは、同じかまたは異なっており、5〜45の間の整数により表される]により表され、前記アクリル酸誘導体構造単位βは、以下の一般式(IIa)および/または(IIb)
【化2】

[式中、
Xは、同じかまたは異なっており、NH−(Cn2n)(n=1、2、3または4)により表されるか、またはO−(Cn2n)(n=1、2、3または4)により表され、
1は、同じかまたは異なっており、SO3H、PO32、OPO32および/またはC65−SO3Hにより表される]
【化3】

[式中、
2は、同じかまたは異なっており、OH、OM(M=Na、K、Caおよび/またはONH4により表される]
により表され、かつ前記ヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γは、以下の一般式(III)
【化4】

[式中、
3は、同じかまたは異なっており、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のC1〜C5モノヒドロキシアルキル基により表される]により表されるものであるコポリマー。
【請求項2】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αを表す一般式(Ia)中で、xが、2および/または3、有利には2により表されることを特徴とする、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αを表す一般式(Ia)中で、全ての(AO)a側鎖部分の少なくとも20モル%に関して、有利には少なくとも35モル%に関して、a=6〜15であり、かつ全ての(AO)a側鎖部分の別の少なくとも20モル%、有利には少なくとも35モル%に関して、a=19〜35であることを特徴とする、請求項1または2記載のコポリマー。
【請求項4】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位αが、25〜50モル%、有利には30〜45モル%の相対的な割合で存在していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項5】
アクリル酸誘導体構造単位βが、35〜60モル%、有利には40〜55モル%の相対的な割合で存在していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項6】
ヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γが、2〜30モル%、有利には6〜23モル%の割合で存在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項7】
アクリル酸誘導体構造単位βが、一般式(IIb)により表されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項8】
アクリル酸誘導体構造単位βが、一般式(IIb)により表され、かつR2が、OHにより表されることを特徴とする、請求項7記載のコポリマー。
【請求項9】
一般式(III)により表されるヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ中で、R3が、−CH2−CHOH−CH3、−CHCH3−CH2−OHおよび/または−CH2−CH2−OHにより表されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項10】
質量平均分子量10000〜100000を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項11】
水30〜95質量%および溶解した乾燥物質5〜70質量%を含有する水溶液として存在する、請求項1から10までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項12】
イソプレノールポリエーテル誘導体構造単位α、アクリル酸誘導体構造単位β、およびヒドロキシアルキルアクリレート構造単位γ以外に、さらに少なくとも1の別の構造単位を有していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項13】
iv)一般式(IVa)
【化5】

により表されるイソプレノール構造単位α′を少なくとも1モル%含有していることを特徴とする、請求項12記載のコポリマー。
【請求項14】
レドックス開始剤の存在下で、溶剤として水を使用する、0〜40℃でのラジカル溶液重合による、請求項1から13までのいずれか1項記載のコポリマーの製法。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか1項記載のコポリマーならびに水硬結合剤および/または潜在的な水硬結合剤を含有する、建築材料混合物。
【請求項16】
水硬結合剤が、セメント、石灰、半水和物、硬石膏または石膏として、有利にはセメントとして存在していることを特徴とする、請求項15記載の建築材料混合物。
【請求項17】
潜在的な水硬結合剤が、フライアッシュ、トラッスまたは高炉スラグとして存在していることを特徴とする、請求項15記載の建築材料混合物。

【公表番号】特表2011−525936(P2011−525936A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546273(P2010−546273)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050261
【国際公開番号】WO2009/100957
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】