説明

ポリオキシメチレン樹脂組成物およびその成形体

【課題】ポリオキシメチレンホモポリマーの二次収縮を機械物性、摺動性能を損なうことなく改良したポリオキシメチレン樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A1)ポリオキシメチレンホモポリマーと(A2)ポリオキシメチレンブロック重合体及び(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体とからなり、((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜20/80重良比の範囲であり、さらに(B)潤滑剤、(C)無機充填剤からなるポリオキシメチレン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械物性、摺動性に優れたポリオキシメチレンホモポリマーの二次収縮を大幅に改良したもので、本発明の組成物は精密機器、家電・OA機器、自動車、工業材料などの部品に好適である。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン樹脂は結晶化し易く、成形品は剛性、耐熱性、耐クリープといった機械的性質と優れた摩擦摩耗性能に優れることから、自動車部品、電気・電子部品などに広く用いられている。しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂は結晶性樹脂であるため、成形後に長時間放置したり、高温雰囲気下に曝すと後収縮、すなわち二次収縮による寸法変化を生じること言う問題があった。
【0003】
ポリオキシメチレン樹脂はホモポリマーとコポリマーが存在し、ホモポリマーは結晶化度が高いため硬く強靭で、機械的性質と摩擦摩耗性能はコポリマーより優位であるが、成形収縮特に二次収縮がコポリマーに較べて大きく、このため、大口径ギヤなど大きく寸法精度を要求される部品においてはコポリマーが用いられている。
【0004】
この二次収縮を改良する方法としては、従来無機フィラーを配合する方法が知られている。しかし、無機フィラーを配合したポリオキシメチレン樹脂組成物は機械的特性、特に、伸度や耐衝撃性が劣るとともに、成形性が悪く、ウエルド強度も低く、精密部品としては使用し難い欠点を有する。他の方法としては、特許文献1には、ポリオキシメチレンホモポリマー5〜40重量%とポリオキシメチレンランダムコポリマー95〜60重量%とを混合することにより低二次収縮性を達成しようとする提案がなされている。
【0005】
しかしながら、この方法はポリオキシメチレンコポリマーの二次収縮性をポリオキシメチレンホモポリマーの添加で改良したもので、ポリオキシメチレンホモポリマーの特性を活かしたものではなかった特許文献2に、融点が167以上171℃以下のポリアセタールコポリマーであり、さらにクロロホルムにより抽出される低分子量ポリアセタールが5000ppm以下のポリアセタールコポリマーが提案されているが、これは、コポリマー成分を減らす事によってホモポリマーに近づけようとする試みであり、ホモポリマー自身の改良を目指したものではない。
以上のような状況で、ポリオキシメチレンホモポリマーの二次収縮の改良を目指した提案は未だなされていないのが実情である。
【0006】
【特許文献1】特開平4−108848号公報
【特許文献2】特開2001−011196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような状況のもとでなされたものであって、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能と摩擦摩耗性を損なうことなく、二次収縮を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能と摩擦摩耗性を損なうことなく、二次収縮を改良すべく鋭意検討した結果、特定のポリオキシメチレンホモポリマーブロック共重合体と特定のポリオキシメチレンコポリマーブロック共重合体を特定の割合で併用することで、二次収縮が小さくなることを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1〜7の発明に関する。
1.(A1)、(A2)および(A3)からなり、((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜5/95重量比の範囲であり、(A1)と(A2)の比率が100/0〜0/100重量比の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
(A1);ポリオキシメチレンホモポリマー
(A2);オキシメチレン単位の繰り返しよりなる線状重合体での片末端が、下記一般式(1)で表されるアルコールへのアルキレンオキシド付加物残基または下記一般式(2)で表されるカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残基で封鎖されており、末端基を除く数平均分子量が10,000〜500,000であるポリオキシメチレンブロック重合体。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

(上記一般式(1)および(2)中、R、Rは、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ、各々同一であっても異なっていても良い。又、異なる炭素原子に結合したR、Rも各々同一であっても異なっていても良い。Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれる。m=2〜6、n=1〜1,000)
【0012】
(A3);下記一般式(3)で示される数平均分子量10,000〜500,000のポリオキシメチレンブロック共重合体。
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、A以外(以下Bブロックという)は、q=2〜98モル%、r=2〜98モル%、q+r=100モル%であり、qはrに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基。但し、Bブロックはヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合をもつものであってもよい。p=2〜6から選ばれる整数であり、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記一般式(4)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。
【0015】
【化4】

【0016】
(Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。tは2〜6から選ばれる整数である。s=95〜99.9モル%、u=5〜0.1モル%、s+u=100モル%、uはsに対してランダムに存在する。式(3)中、2つのAブロックの平均の数平均分子量は5、000〜250、000))
【0017】
2.((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜20/80重量比の範囲である上記1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
3.さらに(A1)、(A2)および(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)潤滑剤 0.05〜20重量部を添加してなる上記1または2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
4.(B)潤滑剤がアルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である上記3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
5.さらに、(A1)、(A2)および(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して(C)平均粒子径10μm以下の無機充填剤を0.1〜150重量部を添加してなる上記1〜4の何れか記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
6.(C)無機充填剤が平均粒子径5μ以下のものである上記5記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
7.上記1〜6の何れかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は機械物性、摺動性に優れると共に改良された二次収縮性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の(A)成分に用いられるポリオキシメチレン樹脂は、下記の(A1)、(A2)及び(A3)の各成分からなる。前記各成分について説明すると以下の通りである。
【0020】
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー:
ホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の両末端をエーテル、エステル基により封鎖したものである。
【0021】
(A2)ポリオキシメチレンブロック重合体;
オキシメチレン単位の繰り返しよりなる線状重合体の片末端が、下記一般式(1)で表されるアルコールへのアルキレンオキシド付加物残基は下記一般式(2)で表されるカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残基で封鎖されており、末端基を除く数平均分子量が10,000〜500,000であるオキシメチレン重合体である。
【0022】
【化1】

【0023】
【化2】

(上記一般式(1)および(2)中、R、Rは、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ、各々同一であっても異なっていても良い。又、異なる炭素原子に結合したR、Rも各々同一であっても異なっていても良い。Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれる。m=2〜6、n=1〜1,000)
【0024】
具体的には、ポリオキシメチレンホモポリマーの末端がアルコールヘのアルキレンオキシド付加物残渣及びカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残渣よりなる群から選ばれた化合物で封鎖されたものであり、特開昭57−31918号公報に開示されたブロックポリマーである。
【0025】
(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体;
下記一般式(3)で示される数平均分子量10,000〜
500,000のポリオキシメチレンブロック共重合体であり、具体的には、国際公開第01/09213号公報に開示されたポリオキシメチレンブロック共重合体である。
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、A以外(以下Bブロックという)は、q=2〜98モル%、r=2〜98モル%、q+r=100モル%であり、qはrに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基。但し、Bブロックはヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合をもつものであってもよい。p=2〜6から選ばれる整数であり、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記式(4)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。
【0028】
【化4】

【0029】
(Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。tは2〜6から選ばれる整数である。s=95〜99.9モル%、u=5〜0.1モル%、s+u=100モル%、uはsに対してランダムに存在する。)式(3)中、2つのAブロックの平均数平均分子量は5、000〜250、000である。)また、(A3)は、その効果を損なわない範囲で、(A4)ポリオキシメチレンコポリマーを含んでいても良い。
【0030】
(A4)ポリオキシメチレンコポリマー;
ホルムアルデヒド、またはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し、重合体の両末端をエーテル、エステル基により封鎖したホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒドまたはその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールなどとを共重合させて得られた炭素数2〜8のオキシアルキレン単位をオキシメチレンに対して、0.1〜40モル%を含有するものである。
【0031】
前記、(A1)、(A2)及び(A3)の配合割合は、((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜20/80重量比の範囲であり、95/5〜30/70重量比の範囲が好ましく、90/10〜50/50重量比の範囲が特に好ましい。(A3)の添加量が、5重量比以上で二次収縮の改良効果が充分となり、80重量比以下では摩耗性が良好である。(A1)と(A2)との比率は剛性と摩擦摩耗性へ影響を与えるが、その目的により100/0〜0/100の範囲で任意で選択することが可能である。
【0032】
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び/又は(A2)ポリオキシメチレンブロック重合体に、(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体を添加することにより二次収縮が改良される原因は現在解明中であるが、そのメカニズムは以下と推測される。
1)(A3)はブロック成分が球晶からはじき出されて非常に微細に分散した特異な構造である。
2)これと(A1)及び/又は(A2)成分と混合することにより、結晶と微細に分散したブロック成分により、結晶状態に影響を与えているためと推測される。
【0033】
また、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物のメルトフローレイト(ISO 1133 D条件で測定)は、成形加工の面から0.5g/10分以上であり、耐久性の面から100g/10分以下であって、好ましくは1.0〜80g/10分、さらに好ましくは5〜60g/10分、最も好ましくは7〜50g/10分の範囲である。
【0034】
本発明の(A1)、(A2)および(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂組成物には、従来のポリオキシメチレン樹脂に使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤等を単独、またはこれらを組み合わせて用いることが出来る。熱安定剤としては、酸化防止剤、ホルムアルデヒドやぎ酸の捕捉剤およびこれらの併用が効果を発揮する。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0035】
例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)である。
【0036】
また、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等がある。
【0037】
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでも、トリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。
【0038】
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体、(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられる。
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体としては、ジシアンジアミド、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂(例えばナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等)、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの中では、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミドが好ましく、ポリアミド樹脂とポリ−β−アラニンがさらに好ましい。
【0039】
(ロ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、およびカルボン酸塩としては、例えば、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、カルボン酸塩が挙げられる。具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、硼酸マグネシウム、および脂肪酸塩である。
【0040】
耐候(光)安定剤としては、(イ)ベンゾトリアゾール系物質、(ロ)シュウ酸アニリド系物質及び(ハ)ヒンダードアミン系物質が好ましい。
(イ)ベンゾトリアゾール系物質としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0041】
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0042】
(ハ)ヒンダードアミン系物質としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,26,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。
【0043】
また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレンが挙げられる。
【0044】
また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート等が挙げられ、好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。上記ヒンダードアミン系物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また上記ベンゾトリアゾール系物質、シュウ酸アニリド系物質とヒンダードアミン系物質の組合せが最も好ましい。
【0045】
本発明の樹脂組成物における安定剤の好ましい組み合わせは、「ヒンダードフェノール(特にトリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン))」と「ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体(特にポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン)」との併用である。その添加量は、ポリオキシメチレン樹脂に対して、「ヒンダードフェノール」0.1〜0.5重量%、「ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体」0.1〜0.5重量%の範囲である。
【0046】
本発明の(B)成分に用いられる潤滑剤はアルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である。
【0047】
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールである。1価アルコールの例としてはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコールなどの飽和または不飽和アルコールがあげられる。
【0048】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールがあげられる。
【0049】
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
【0050】
アルコールと脂肪酸のエステルとしては下記に示すアルコールと脂肪酸とのエステルである。アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールであり、例えば1価アルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和アルコールが挙げられる。
【0051】
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール等があげられる。
【0052】
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸が挙げられ、かかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。これら、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸のエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルがさらに好ましい。
【0053】
アルコールとジカルボン酸のエステルはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和・不飽和の一級アルコールとシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等のジカルボン酸とのモノエステル、ジエステル及びこれらの混合物である。これらのアルコールとジカルボン酸のエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0054】
ポリオキシアルキレングリコール化合物としては、3種類の化合物が挙げられる。第1のグループとしては、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合モル数の好ましい範囲は5〜1000、より好ましい範囲は10〜500である。
【0055】
第2のグループは、第1のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。
【0056】
第3のグループは、第1のグループと高級脂肪酸とのエステル化合物である。
例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)等が挙げられる。
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物とは以下の一般式(5)で示される化合物である。
【0057】
【化5】

【0058】
(R、Rは水素、アルキル基、アリール基、エーテル基より選ばれ、各々同一でも異なっていても良い。vは平均重合度で10〜500である。アルキル基としては、例えばエチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等であり、アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基等がある。またエーテル基としては例えばエチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がある。)
【0059】
具体的にオレフィン化合物を構成するモノマーとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等で表されるオレフィン系モノマーである。
【0060】
またはアレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等で表されるジオレフィン系モノマーがある。これらオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる化合物であってもかまわない。オレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合は熱安定性向上の観点から慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
【0061】
オレフィン化合物を構成するオレフィン単位の平均重合度vは10〜500の間にある必要があり、好ましくは15〜300の範囲であり、さらに好ましくは15〜100の範囲である。平均重合度nが10より小さい場合は長期の摺動特性が低下すると共に金型汚染性へも悪影響を与えるため好ましくない。vが500より大きい場合は、初期の摺動特性が大きく低下するため好ましくない。
【0062】
シリコーン化合物としては、シリコーンガム及びポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂を挙げることができる。
シリコーンガムは下記の化学式(6)で示される化合物であり、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエチレン樹脂などの樹脂に高濃度に予め配合したマスターバッチも市販されている。
【0063】
【化6】

【0064】
(式中のメチル基は水素、アルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基や反応性置換基であるヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基、アリル基、ポリエーテル基、フッ素含有アルキル基などを有する置換基で置換されていても良い。式中xは平均重合度を示し、x=1000〜10000の範囲である。xが1000未満や10000を超える範囲は摺動性能が不十分なため好ましくない。)
【0065】
ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン系樹脂にビニル基やアリル基を含有するシリコーンガムをグラフトさせたもので、東レダウコーニング(株)から、BY27−201、BY27−202、BY27−213、BY27−218、BY27−219、BY27−220などのグレードが市販されている。
【0066】
これらシリコーン化合物は電気接点汚染の観点より環状低分子モノマーやオリゴマー(D4〜D20)の含有量を極力少なくしたものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、下記一般式(7)で示すオレフィン系化合物のホモ重合体、または共重合体、あるいはその変性体を挙げることができる。
【0067】
【化7】

〔式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を意味する。〕
【0068】
具体的には、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエンの水添物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。共重合体、変性体としては、他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたグラフト共重合体(例えば、ポリエチレン−g−ポリスチレン、エチレングリシジルメタアクリレート共重合体−g−ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体−g−ポリスチレン、低密度ポリエチレン−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、ポリプロピレン−g−アクリロニトリルストレン共重合体、エチレングリシジルメタアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体など)、α,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸等)/またはその酸無水物で(必要により過酸化物を併用して)変性したもの、および、オレフィンと酸無水物を共重合したものが挙げられる。これらの中でポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン−g−ポリスチレン、低密度ポリエチレン−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体が好ましい。
【0069】
これらポリオレフィン系重合体は特に制限されないが、メルトフローレイト(JIS K7210−4条件)は0.01〜150g/10分の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜120g/10分の範囲であり、最も好ましくは0.5〜100g/10分の範囲である。メルトフローレイトが0.01g/10分以上では、摺動性能が良好であり、150g/10分以下ではハクリが生じにくく好ましい。
【0070】
これらの潤滑剤を用いる場合の配合割合は(A1)、(A2)及び(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部であり、さらに好ましくは0.1〜7重量部、最も好ましくは0.1〜5重量部である。また、これらの潤滑剤は組み合わせて使用することで摺動相手材に対応した性能が得られる。
【0071】
本発明の(D)成分に用いられる平均粒子径10μm以下の無機充填剤としては、針状、粒子状、板状の無機充填剤が用いられる。
針状フィラーとしては、チタン酸カリ、酸化亜鉛、酸化チタン等のウイスカー、針状ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、微細カーボン繊維、カーボンナノチューブ等であり、粒子状フィラーとしては、 黒鉛、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、金属(Ti、Cr、Sb、Ni、Zn、Fe、Co、Al及びCuから選ばれる2種以上)の複合酸化物、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末、等があげられる。
板状フィラーとしては、マイカやグラファイトが挙げられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。
【0072】
無機充填剤を添加する目的は表面硬度の改良、導電性の付与、剛性の改良及び着色など目的は様々であり、目的により選択が可能である。これらの充填剤は表面処理されたもの、表面処理されていないもの、何れも使用可能であるが、成形品表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施されたものの使用が好ましい場合がある。
【0073】
表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的には、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
また、樹脂への分散性の改良を目的に高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩などで分散処理したものやポリオキシメチレン樹脂や他の樹脂と予め混練したマスターバッチを使用することも当然可能である。
【0074】
本発明における無機充填剤としては摩擦摩耗性の観点から体積平均粒子径が10μm以下のものが用いられ、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。10μmを超えると摩擦摩耗性が悪化するため好ましくない。これら充填剤を用いる場合の添加割合は(A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲で用いられ、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。0.1重量部未満では効果が不十分であり、50重量部を超えると摩擦摩耗性や成形品外観に悪影響を与えるため好ましくない。
【0075】
さらに本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリオキシメチレン樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、潤滑材、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを用いることが出来る。
【0076】
本発明の樹脂組成物の製造方法は一般的に使用されている溶融混練機を用いることができる。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等を挙げることができる。このときの加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や、一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
【0077】
本発明の樹脂組成物の成形方法は、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形、或いは押出成形品の切削加工等の成形法で成形することが出来る。
【0078】
本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は、機械的性能および摺動性に優れたポリオキシメチレンホモポリマーの特徴を保持しつつ、二次収縮を改良したものであり、ポリオキシメチレンホモポリマーの用途拡大に寄与するものである。
【0079】
具体的には、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受けおよびガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンターおよび複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラおよびデジタルカメラに代表されるカメラまたはビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk )、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Video Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(Random Access Memory )、DVD−Audioを含む〕、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステムおよびモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像または情報機器、携帯電話およびファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品に有用である。
【実施例】
【0080】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。はじめに、実施例および比較例で使用する成分の内容と評価方法を以下に示す。
<使用成分>
A.ポリオキシメチレン樹脂
(A−1)ポリオキシメチレンホモポリマー;
メルトフローレイト10.0g/10min(ISO 1133 D条件)である両末端がアセチル基で封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマー(旭化成ケミカルズ社製 テナック4010)
【0081】
(A−2)ポリオキシメチレンブロック重合体;
充分に脱水乾燥されたパラホルムアルデヒドを150℃で熱分解させ、冷却トラップを数回通す事により、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを得た。ホルムアルデヒドガスと、2,6−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC1837O(CHCHO)70H(ステアリルアルコールへのエチレンオキシド付加物)およびテトラブチルアンモニウムアセテート(触媒)を含有するトルエンとを、それぞれ同時に3時間連続して供給し、重合体を製造した。重合温度は60℃を維持した。なお、ホルムアルデヒドの供給量は、1時間当たり110重量部とし、テトラブチルアンモニウムアセテートと2,6−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC1837O(CHCHO)70H(ステアリルアルコールへのエチレンオキシド付加物)の供給量は500重量部とした。また、トルエン中におけるテトラブチルアンモニウムアセテートの濃度は1.0×10−4、2,6−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC1837O(CHCHO)70Hの濃度は5.0×10−3モル/リッターとした。重合体を含むトルエンを供給量に見合って連続的に抜き出し、重合体をろ過により分離した。
重合体アセトンで充分洗浄した後60℃にて真空乾燥し、289重量部の白色重合体を得た。こうして得られた重合体を50重量部を無水酢酸500重量部、酢酸カリウム0.1重量部と共に139℃にて3時間加熱し、冷却後、同様に洗浄し、乾燥後、重合体49重量部を回収した。この重合体100重量部に対して、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート](チバガイギー社製IRGANOX245)0.5重量部、ポリ−β−アラニン0.5重量部を添加混合し、ベント付き単軸押出機で溶融混錬することにより、ポリオキシメチレンブロック重合体(A−2)を得た。得られた重合体は、メルトフローレイト9.3g/10分(ISO 1133 D条件)であった。
【0082】
(A−3)ポリオキシメチレンブロック共重合体;
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整し、水+蟻酸=4ppmであるトリオキサンを40モル/hrで、同時に環状ホルマールとして1、3−ジオキソランを2モル/hrで重合機に供給し、重合触媒としてシクロヘキサンに溶解下させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対し5×10−5モルになるように、また連鎖移動剤として、下記化学式(8)で表される両末端ヒドロキシル基水素添加ポリブタジエン(Mn=2330)
【化8】

【0083】
をトリオキサン1モルに対し1×10−3モルになるように連続的にフィードし重合を行った。重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った後、そのポリマーを濾過、洗浄し、濾過洗浄後の粗ポリオキシメチレン共重合体1重量部に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム蟻酸塩を窒素の量に換算して20重量ppmになるよう添加し、均一に混合した後120℃で乾燥した。
次に、上記乾燥粗ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、酸化防止剤としてトリエチレングリコールービス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.5重量部を添加し、ベント付き2軸スクリュー式押出機に供給した。押出機中の溶融しているポリオキシメチレン共重合体に必要に応じて水および/またはトリエチルアミンを添加し、押出機の設定温度200℃、押出機における滞留時間5分で不安定末端部の分解を行った。不安定末端部の分解されたポリオキシメチレン共重合体はベント真空度20Torrの条件下に脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押し出されペレタイズされた。得られたポリオキメチレン共重合体はメルトフローレイト9.3g/10分(ISO 1133 D条件)であった。
【0084】
(A−4)ポリオキシメチレンコポリマー;
メルトフローレイト9.6g/10min(ISO 1133 D条件)であるポリオキシメチレンコポリマー(旭化成ケミカルズ社製、テナック−C 4520)
【0085】
B.潤滑剤
(B−1);エチレンプロピレン液状コポリマー(分子量600)
(B−2);エチレンブテン共重合体(三井化学社製、タフマーA70090)
(B−3);シリコーングラフト化ポリオレフィン樹脂(東レダウコーニング社製、BY27−219)
(B−4);ミリスチン酸セチルエステル
(B−5);ポリスチレングラフト低密度ポリエチレン樹脂(日本油脂株式会社製、モディパーA1100)
【0086】
C.無機充填剤材
(C−1);レーザー回折法で測定した体積平均粒子径3μmのウォラストナイト
(C−2);レーザー回折法で測定した体積平均粒子径3μmのヒドロキシアパタイト
(C−3);レーザー回折法で測定した体積平均粒子径200nmの炭酸カルシウム
【0087】
[評価方法]
(1)物性評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製 IS−100GN)を用いて、金型温度80℃、冷却時間30秒の条件で物性評価用試験片を成形した。この試験片を用いて下記の試験を行った。
1)引張強度、伸度;ISO 527に基づいて測定。
2)曲げ強度、弾性率;ISO 527に基づいて測定。
3)シャルピー衝撃強度;ISO 179に基づいて測定。
4)メルトフローレイト;ISO 1133D条件に基づいて測定。
【0088】
(2)二次収縮率
ISO試験片を用い、(1)に記載の条件で成形した成形片を23℃、湿度50%の恒温室で24hr放置し、流動方向の長さ(T1)を測定した。次に、70℃に設定されたオーブンで上記試験片を3Hrs加熱し、再び恒温室で24hrs放置し、長さ(T2)を測定した。成形金型の試験片長さ(T0)を用いて、以下を求めた。
二次収縮率=((T1)−(T2))/(T0)
【0089】
(3)摺動性能
(1)で得た成形片を用いて、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製 AFT−15MS型)を用いて荷重2kg、線速度30mm/sec、往復距離20mmおよび環境温度60℃で5000回往復し、摩擦係数と摩耗量を測定した。相手材料としては、ポリオキシメチレン樹脂試験片(旭化成工業(株)製テナック−C4520を用いて成形した直径5mmの円筒状で先端R=2.5mm)を用いた。
【0090】
[実施例1]
(A−1)成分95重量部と(A−3)成分5重量部をブレンダーで均一ブレンドした後、200℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数100rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表1に示す。
【0091】
[実施例2〜5]
実施例1の(A−1)成分と(A−3)成分を表1に示す量に変更し、実施例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
(A−1)、(A−2)、(A−3)及び(A−4)成分を用いて、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
【0092】
[実施例6〜10]
実施例1の(A−1)成分、(A−3)成分を表2に示す成分と量に変更する以外は、実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
[比較例6]
実施例1の(A−1)成分、(A−3)成分を表2に示す成分と量に変更する以外は、実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
【0093】
[実施例11〜13]
実施例1の(A−1)成分、(A−3)成分を表2に示す成分と量に変更する以外は、実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
[実施例14]
(A−1)成分90重量部、(A−3)成分10重量部及び(B−1)成分3重量部をブレンダーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数100rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表3に示す。
【0094】
[実施例15、16]
実施例14の(A−1)成分、(A−3)成分を表3に示す量に変更する以外は、実施例14と全く同様に実施した。結果を表3に示す。
[実施例17〜19]
実施例14の(A−1)成分、(A−3)成分を表3に示す成分と量に変更する以外は、実施例14と全く同様に実施した。結果を表3に示す。
[比較例7〜9]
実施例14の(A−1)成分、(A−3)成分を用いることに代えて(A−1)、(A−2)または(A−3)成分のみを用いる以外は、実施例14と全く同様に実施した。結果を表3に示す。
[実施例20〜23]
実施例15の(B−1)成分を表4に示す成分に変更する以外は、実施例15と全く同様に実施した。結果を表4に示す。
[実施例24]
実施例18の(B−1)成分を(B−3)成分に変更する以外は、実施例18と全く同様に実施した。結果を表4に示す。
【0095】
[実施例25]
(A−2)成分70重量部、(A−3)成分30重量部、(B−1)成分3重量部及び(C−1)成分3重量部を、ブレンダーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いてスクリュー回転数100rpm、10kg/hrで溶融混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとした。このペレットを用いて測定を行い、結果を表4に示す。
[実施例26、27]
実施例25の(C−1)成分を(C−2)、(C−3)成分に変更する以外は、実施例25と全く同様に実施した。結果を表4に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のポリオキメチレン組成物を成形、切削、または成形・切削加工して得られる機構部品(ギヤ、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、関節、軸、軸受け、キーステム、キートップからなる群から選ばれる少なくとも一種)、アウトサートシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー及び側板からなる群から選ばれた少なくとも一種の部品であり、下記の用途に有用な材料である。
(1)プリンター及び複写機に代表されるOA機器に使用される部品
(2)VTRおよびビデオムービーに代表されるビデオ機器に使用される部品
(3)カセットプレーヤー、LD、MD、CD(含CD−ROM、CD−R、CD−RW)、DVD(含DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−Audio)、ナビゲーションシステムおよびモバイルコンピューターに代表される音楽、映像、または情報機器に使用される部品
(4)携帯電話、およびファクシミリに代表される通信機器に使用される部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A1)、(A2)および(A3)からなり、((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜5/95重量比の範囲であり、(A1)と(A2)の比率が100/0〜0/100重量比の範囲であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
(A1);ポリオキシメチレンホモポリマー
(A2);オキシメチレン単位の繰り返しよりなる線状重合体の片末端が、下記一般式(1)で表されるアルコールへのアルキレンオキシド付加物残基または下記一般式(2)で表されるカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残基で封鎖されており、末端基を除く数平均分子量が10,000〜500,000であるポリオキシメチレンブロック重合体。
【化1】

【化2】

(上記一般式(1)および(2)中、R、Rは、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ、各々同一であっても異なっていても良い。又、異なる炭素原子に結合したR、Rも各々同一であっても異なっていても良い。Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれる。m=2〜6、n=1〜1,000)
(A3);下記一般式(3)で示される数平均分子量10,000〜500,000のポリオキシメチレンブロック共重合体。
【化3】

(式中、A以外(以下Bブロックという)は、q=2〜98モル%、r=2〜98モル%、q+r=100モル%であり、qはrに対してランダムあるいはブロックで存在し、数平均分子量500〜10、000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエン残基。但し、Bブロックはヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合をもつものであってもよい。p=2〜6から選ばれる整数であり、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。R4は水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。Aは、下記一般式(4)で表されるポリオキシメチレン共重合体残基。
【化4】

(Rは水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基より選ばれ各々同一であっても異なっていてもよい。tは2〜6から選ばれる整数である。s=95〜99.9モル%、u=5〜0.1モル%、s+u=100モル%、uはsに対してランダムに存在する。式(3)中、2つのAブロックの平均数平均分子量は5、000〜250、000))
【請求項2】
((A1)+(A2))/(A3)が95/5〜20/80重量比の範囲である請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項3】
さらに(A1)、(A2)および(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、(B)潤滑剤0.05〜20重量部を添加してなる請求項1または2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項4】
(B)潤滑剤がアルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種である請求項3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(A1)、(A2)および(A3)からなるポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して(C)平均粒子径10μm以下の無機充填剤を0.1〜150重量部を添加してなる請求項1〜4の何れかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項6】
(C)無機充填剤が平均粒子径5μ以下のものである請求項5記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。

【公開番号】特開2008−260821(P2008−260821A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103671(P2007−103671)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】