説明

ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体

【課題】ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能及び耐摩擦摩耗性の低下を抑制すると共に、二次収縮性及び耐軸穴摺動性を改良したポリオキシメチレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリオキシメチレン樹脂と(B)動架橋エラストマーとを特定の配合比で含有するポリオキシメチレン樹脂組成物であって、(A)成分は(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び/又は(A2)片末端に特定の基を有し、その基を除いた部分の数平均分子量が1万〜50万であるポリオキシメチレンの線状重合体と、(A3)特定の化学構造を有し数平均分子量が1万〜50万であるポリオキシメチレンブロック共重合体とからなり、かつ、(A3)成分に対する(A1)成分及び(A2)成分の合計の含有割合が質量基準で95/5〜5/95であり、(B)成分の圧縮永久歪(C−Set、100℃)が90〜10%であるポリオキシメチレン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン樹脂は結晶化しやすく、その成形品は剛性、耐熱性、耐クリープといった機械的性質及び耐摩擦摩耗性に優れることから、自動車部品、電気・電子部品などに広く用いられている。しかしながら、ポリオキシメチレン樹脂は結晶性樹脂であるため、成形後に長時間放置したり高温雰囲気下に曝したりすると、後収縮、すなわち二次収縮による寸法変化を生じるという問題がある。
【0003】
ポリオキシメチレン樹脂にはホモポリマーとコポリマーとが存在し、ホモポリマーは結晶化度が高いため、硬く強靭であり、コポリマーよりも機械的性質及び耐摩擦摩耗性に優れている。ところが、ホモポリマーは成形収縮、特に二次収縮がコポリマーよりも大きいため、大口径ギヤなど厳しい寸法精度を要求される部品においてはコポリマーが用いられている。
【0004】
この二次収縮を改良する方法としては、従来、ポリオキシメチレン樹脂に無機フィラーを配合してポリオキシメチレン樹脂組成物を調製する方法が知られている。しかし、無機フィラーを配合したポリオキシメチレン樹脂組成物は、機械的特性、特に、伸度や耐衝撃性に劣ると共に、成形性が悪く、ウエルド強度も低いため、精密部品材料として使用し難い欠点を有する。
【0005】
二次収縮を改良する他の方法として、特許文献1では、ポリオキシメチレンホモポリマー5〜40重量%とポリオキシメチレンランダムコポリマー95〜60重量%とを混合することにより低二次収縮性を達成しようとする方法が提案されている。また、特許文献2では、融点が167℃以上171℃以下のポリアセタールコポリマーであり、かつ該ポリアセタールコポリマーに含有されるクロロホルムにより抽出される低分子量ポリアセタールが5000ppm以下のポリアセタールコポリマーが提案されている。
【特許文献1】特開平4−108848号公報
【特許文献2】特開2001−011196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ポリオキシメチレンホモポリマーの添加によりポリオキシメチレンコポリマーの二次収縮性の改良を意図したものであり、ポリオキシメチレンホモポリマーの特性を十分に活かしたものではない。また、特許文献2は、ポリアセタールコポリマーを出発点として、そのコポリマー成分を減らすことによってホモポリマーに近づけようとしたものであり、ホモポリマー自体の改良を目指したものではない。上述のように、ポリオキシメチレンホモポリマーの二次収縮の改良を目指した提案は未だなされていない。したがって、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能及び耐摩擦摩耗性の低下を抑制しつつ、二次収縮性を改良したポリオキシメチレン樹脂組成物が提案されていないのが実情である。
【0007】
本発明は上記のような状況のもとでなされたものであって、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能及び耐摩擦摩耗性の低下を抑制すると共に、二次収縮性及び耐軸穴摺動性を改良したポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能及び耐摩擦摩耗性の低下を抑制しつつ、二次収縮性を改良すべく鋭意検討した。その結果、特定のポリオキシメチレンホモポリマー及び/又は特定のポリオキシメチレンブロック共重合体と特定の動架橋エラストマーとを特定の割合で併用することで、樹脂組成物の二次収縮性が小さくなり、その耐軸穴摺動性が優れたものとなることを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1〜7の発明に関する。
1. ポリオキシメチレン樹脂100質量部と、動架橋エラストマー0.01〜10質量部と、を含有するポリオキシメチレン樹脂組成物であって、
前記ポリオキシメチレン樹脂は、
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、及び/又は、(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体であって、片末端に下記一般式(1)で表される1価の基及び下記一般式(2)で表される1価の基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、その基を除いた部分の数平均分子量が10000〜500000である線状重合体、と、
(A3)下記一般式(3)で表される数平均分子量が10000〜500000であるポリオキシメチレンブロック共重合体と、
からなり、かつ、前記ポリオキシメチレンブロック共重合体に対する前記ポリオキシメチレンホモポリマー及び前記ポリオキシメチレンの線状重合体の合計の含有割合が、質量基準で95/5〜5/95であり、
前記動架橋エラストマーの圧縮永久歪(C−Set、100℃)が90〜10%であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
【化1】

【化2】

(式(1)及び(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示す。mは2〜6の整数を示し、nは1〜1000の整数を示す。)
【化3】

(式(3)中、Gは下記一般式(3a)
【化4】

(式(3a)中、R4は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。pは2〜6の整数を示し、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。q及びrはそれぞれ正の数を示し、qとrとの合計100モル%に対してqは2〜98モル%、rは2〜98モル%であり、−(CH(CH2CH3)CHCH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。)
で表される2価の基を示し、ヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合を有してもよく、数平均分子量500〜10000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンの両末端の水素原子を脱離した2価の基を示す。Eは、下記一般式(4)
【化5】

(式(4)中、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。tは2〜6の整数を示し、s及びuはそれぞれ正の数を示し、sとuとの合計100モル%に対してsは95〜99.9モル%、uは5〜0.1モル%であり、−((C(R52tO)−単位は−(CH2O)−単位に対してランダムに存在する。)
で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000である。)
【0010】
2. 前記ポリオキシメチレンブロック共重合体に対する前記ポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンの線状重合体の合計の含有割合が、質量基準で95/5〜50/50である、1.のポリオキシメチレン樹脂組成物。
3. 前記ポリオキシメチレン樹脂と前記動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して潤滑剤0.05〜10質量部を更に含有する、1.又は2.のポリオキシメチレン樹脂組成物。
4. 前記潤滑剤は、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、3.のポリオキシメチレン樹脂組成物。
5. 前記ポリオキシメチレン樹脂と前記動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して体積平均粒子径10μm以下の無機充填剤0.01〜10質量部を更に含有する、1.〜4.のいずれか一つのポリオキシメチレン樹脂組成物。
6. 前記無機充填剤は、体積平均粒子径が5μm以下のものである、5.のポリオキシメチレン樹脂組成物。
7. 1.〜6.のいずれか一つのポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ポリオキシメチレンホモポリマーの優れた機械的性能及び耐摩擦摩耗性の低下を抑制すると共に、二次収縮性及び耐軸穴摺動性を改良したポリオキシメチレン樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
【0013】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリオキシメチレン樹脂100質量部と、動架橋エラストマー0.01〜10質量部とを含有するものである。本実施形態に係るポリオキシメチレン樹脂は、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、及び/又は、(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体と、(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体と、からなる。
【0014】
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー
ポリオキシメチレンホモポリマーは、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを常法により重合し、得られた重合体の両末端をエーテル基又はエステル基により封鎖したものである。好適なポリオキシメチレンホモポリマーの数平均分子量は、10000〜500000である。
【0015】
(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体
本実施形態に係る特定のポリオキシメチレンの線状重合体は、オキシメチレン単位の繰返しよりなる線状重合体の片末端が、下記一般式(1)で表されるアルコールへのアルキレンオキシド付加物残基、
【化6】

及び、下記一般式(2)で表されるカルボン酸へのアルキレンオキシド付加物残基
【化7】

からなる群より選ばれる少なくとも1種の末端基で封鎖された変性オキシメチレン重合体である。この変性オキシメチレン重合体は、末端基を除く数平均分子量が10000〜500000である。
【0016】
ここで、式(1)及び(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示す。mは2〜6の整数を示し、2〜5が好ましい。また、nは1〜1000の整数を示し、10〜250が好ましい。上記一般式(1)で表される基は、アルコールのアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基であり、上記一般式(2)で表される基は、カルボン酸のアルキレンオキシド付加物から水素原子を脱離した残基である。
【0018】
このポリオキシメチレンホモポリマーは、その片末端がアルコールのアルキレンオキシド付加物残渣及びカルボン酸のアルキレンオキシド付加物残渣よりなる群から選ばれた化合物で封鎖されたものであり、特開昭57−31918号公報に開示されたブロックポリマーが例示される。より具体的には、C1837O(CH2CH2O)401837、C1123CO2(CH2CH20)30H、C1837O(CH2CH2O)70H、C1837O(CH2CH2O)40Hなどが挙げられる。
【0019】
本実施形態に係る上記ポリオキシメチレンの線状重合体の数平均分子量は、成形加工、耐久性の観点から10000〜500000であり、より好ましくは10000〜200000である。ここで、本明細書において、数平均分子量はGPCにより測定される。
【0020】
(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体
ポリオキシメチレンブロック共重合体は、下記一般式(3)で表される数平均分子量10000〜500000の共重合体であり、具体的には、WO01/09213号パンフレットに開示されたポリオキシメチレンブロック共重合体が挙げられ、その公報に記載の方法により調製される。
【化8】

【0021】
ここで、式(3)中、Gは下記一般式(3a)
【化9】

で表される2価の基を示し、ヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合を有してもよく、両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンの両末端の水素原子を脱離した2価の基を示す。上述の両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンの数平均分子量は500〜10000である。また、上記不飽和結合としては、例えば炭素−炭素二重結合が挙げられる。
【0022】
上記一般式(3a)中、R4は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
また、pは2〜6の整数を示し、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。q、rはそれぞれ正の数を示し、qとrとの合計100モル%に対してqは2〜98モル%、rは2〜98モル%であり、−(CH(CH2CH3)CHCH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。
【0024】
また、Eは、下記一般式(4)
【化10】

で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000であり、好ましくは20000〜100000である。ここで、式(4)中、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
tは2〜6の整数を示す。また、s、uはそれぞれ正の数を示し、sとuとの合計100モル%に対してsは95〜99.9モル%、uは5〜0.1モル%であり、−((C(R52tO)−単位は−(CH2O)−単位に対してランダムに存在する。
【0026】
本実施形態に係る上記ポリオキシメチレンブロック共重合体の数平均分子量は、成形加工、耐久性の観点から10000〜500000であり、より好ましくは10000〜200000である。
【0027】
本実施形態に係るポリオキシメチレン樹脂は、下記のポリオキシメチレンコポリマーや分岐ポリマーを含有してもよい。そのようなポリマーとしては、例えば、ホルムアルデヒド又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマールとを共重合させて得られた炭素数2〜8のオキシアルキレン単位を、オキシメチレン100モル%に対して0.1〜40モル%含有するオキシメチレンコポリマー、並びに、分岐状分子鎖を有するポリオキシメチレンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0028】
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体及び(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体の配合割合について、(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体に対する(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体の合計の含有割合(((A1)+(A2))/(A3))が、質量基準で95/5〜5/95であり、95/5〜20/80であると好ましく、95/5〜30/70であるとより好ましく、90/10〜50/50であると特に好ましい。((A1)+(A2))/(A3)が、95/5以下であることにより二次収縮性の改良効果が十分となり、5/95以上であることにより耐摩擦摩耗性が十分に良好となる。また、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマーに対する(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体の配合割合((A2)/(A1))も、本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物から得られる成形体の機械的特性(剛性)と耐摩擦摩耗性とに影響を与える。この配合割合は、各ポリマーの種類や物性、あるいはその成形体に必要とされる特性を考慮して、100/0〜0/100の範囲で任意で選択すればよい。すなわち、本実施形態のポリオキシメチレン樹脂は、(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー及び(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体のいずれか一方のみを含有してもよく、それらの両方を含有してもよい。
【0029】
また、本実施形態に係るポリオキシメチレン樹脂のメルトフローレイト(ISO 1133 Dに準拠)は、成形加工の面から0.5g/10分以上であると好ましく、耐久性の面から100g/10分以下であると好ましく、より好ましくは1.0g/10分〜80g/10分、更に好ましくは5g/10分〜60g/10分、特に好ましくは7g/10分〜50g/10分の範囲である。さらに、本実施形態に係る(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、(A2)特定のポリオキシメチレンの線状重合体及び(A3)特定のポリオキシメチレンブロック共重合体の各々のメルトフローレイトも、同様の観点から上記と同じ範囲であることが好ましい。
【0030】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、従来のポリオキシメチレン樹脂組成物に含まれる安定剤、例えば、熱安定剤、耐候(光)安定剤等の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。熱安定剤としては、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒドの捕捉剤、ギ酸の捕捉剤、並びにこれらの併用が、その効果をより有効に発揮するので好ましい。
【0031】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)が挙げられる。
【0032】
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、例えば、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミドも挙げられる。
【0033】
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでも、トリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0034】
ホルムアルデヒドの捕捉剤、ギ酸の捕捉剤としては、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体、(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、及びカルボン酸塩が挙げられる。(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体としては、例えば、ジシアンジアミド、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂(例えばナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等)、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミドが挙げられる。これらの中では、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミドが好ましく、ポリアミド樹脂及びポリ−β−アラニンが更に好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0035】
(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、及びカルボン酸塩としては、例えば、マグネシウム、カルシウム又はバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、カルボン酸塩が挙げられる。より具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、硼酸マグネシウム、及び上記金属の脂肪酸塩が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0036】
耐候(光)安定剤としては、(イ)ベンゾトリアゾール系物質、(ロ)シュウ酸アニリド系物質及び(ハ)ヒンダードアミン系物質が好ましい。(イ)ベンゾトリアゾール系物質としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0037】
これらの中で、好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0038】
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0039】
(ハ)ヒンダードアミン系物質としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,26,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。
【0040】
また、ヒンダードアミン系物質として、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレンも挙げられる。
【0041】
さらに、ヒンダードアミン系物質として、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレートも挙げられる、これらの中で好ましくは、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。上記ヒンダードアミン系物質は1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0042】
耐候(光)安定剤としては、上記ベンゾトリアゾール系物質とシュウ酸アニリド系物質とヒンダードアミン系物質の組合せが特に好ましい。
【0043】
上記安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物における安定剤の好ましい組合せは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、特にトリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)及び/又はテトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン)と、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体、特にポリアミド樹脂及び/又はポリ−β−アラニンとの組合せである。この場合、安定剤の添加量は、ポリオキシメチレン樹脂100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜0.5質量部、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体0.1〜0.5質量部であると好ましい。
【0044】
本実施形態に係る動架橋エラストマーは、圧縮永久歪(C−セット、100℃、以下同様。)が90〜10%の動架橋エラストマーである。
【0045】
本実施形態に係る動架橋エラストマーは好ましくはポリオレフィン系及び/又はスチレン系の動架橋エラストマーであり、上記圧縮永久歪が90〜10%の範囲であれば、特に制限はない。この圧縮永久歪は、好ましくは80〜20%の範囲であり、より好ましくは70〜30%の範囲である。圧縮永久歪が10%以上であることによりポリオキシメチレン樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性が十分となり、90%以下であることにより樹脂組成物の二次収縮が良好となる。なお、圧縮永久歪は、JIS K6301に準拠して測定される。
【0046】
本実施形態に係る動架橋エラストマーは、例えば、ラジカル架橋性エラストマーとラジカル架橋性を示さない樹脂とをラジカル開始剤の存在下で溶融混練しながら、ラジカル架橋性エラストマーを架橋することにより製造される。より具体的には、この動架橋エラストマーは、下記(1)〜(5)に代表される方法で製造され得る。また、柔軟性の指標である動架橋エラストマーの硬度(ASTM D2240タイプAに準拠)はその目的にもよるが、30〜90であると好ましい。この硬度が30以上であることにより、本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物から得られる成形体は機械的性能、特に耐衝撃性や伸度が良好となり、90以下であることにより、本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物の硬度が良好なものとなる。
【0047】
(1)特開昭59−006236号公報に記載されている、オレフィン系ゴム及びオレフィン系樹脂を有機パーオキサイドで部分架橋せしめ、これにA−(B−A)n型のブロック共重合体を配合して動架橋エラストマーを得る方法。
(2)特開平03−292342号公報に記載されている、油添オレフィン共重合体ゴムと、オレフィン樹脂と、軟化剤とを有機過酸化物で架橋した後に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを添加して動架橋エラストマーを得る方法。
(3)特開平07−11067号公報に記載されている、架橋ゴム含有熱可塑性エラストマーとスチレン系ブロック共重合体と軟化剤とポリオレフィン系樹脂とを混合して動架橋エラストマーを得る方法。
(4)特開平10−287775号公報に記載されている、特定のエチレン−αオレフィン共重合体、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなり水素添加してなるブロック共重合体、プロピレン系重合体、及び、ゴム用オイルからなる混合物をラジカル開始剤及び架橋助剤により架橋して、低硬度熱可塑性エラストマー組成物である動架橋エラストマーを得る方法。
(5)国際公開WO2000/61681号パンフレットに記載されている、メタロセン触媒を用いて製造したエチレン−αオレフィン共重合体とオレフィン系樹脂とからなり、架橋度が50%以上であるエチレン−αオレフィン共重合体に、後から熱可塑性エラストマーを添加してゴム組成物である動架橋エラストマーを得る方法。
これらの中では、架橋度を高く制御できる(5)の方法が、動架橋エラストマーを得る方法として最も有効である。
【0048】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、(C)潤滑剤を含有すると好ましい。これにより、良好な摺動性が得られる。この潤滑剤は、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であると好ましい。
【0049】
アルコールとして、1価アルコール及び多価アルコールが挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。1価アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコールなどの飽和若しくは不飽和の1価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0050】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0051】
脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、及びこれらの混合物が挙げられる。あるいは、これらの脂肪酸を含有する1種又は2種以上の天然に存在する脂肪酸であってもよく、上記例示した脂肪酸とこの天然に存在する脂肪酸との混合物であってもよい。
【0052】
あるいは、これらの脂肪酸の水素原子がヒドロキシ基で置換されたものであってもよい。さらには、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
【0053】
アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、例えば、下記に示すアルコールと脂肪酸とのエステルが挙げられる。アルコールとしては、1価アルコール及び多価アルコールが挙げられる。1価アルコールとして、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和若しくは不飽和の1価アルコールが挙げられる。
【0054】
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールが挙げられ、より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。
【0055】
脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、及びこれらの混合物が挙げられる。あるいは、これらの脂肪酸を含有する1種又は2種以上の天然に存在する脂肪酸であってもよく、上記例示した脂肪酸とこの天然に存在する脂肪酸との混合物であってもよい。
【0056】
あるいは、これらの脂肪酸の水素原子がヒドロキシ基で置換されたものであってもよい。さらには、合成脂肪族アルコールであるユニリンアルコールの末端をカルボキシル変性した合成脂肪酸でもよい。
【0057】
上記アルコール、脂肪酸、及び、アルコールと脂肪酸とのエステルの中では、炭素数12以上の脂肪酸とアルコールとのエステルが好ましく、炭素数12以上の脂肪酸と炭素数10以上のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数12〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールとのエステルが更に好ましい。
【0058】
アルコールとジカルボン酸とのエステルとしては、下記のアルコールとジカルボン酸とのモノエステル及びジエステル並びにそれらの混合物が挙げられる。アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、メリシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、デシルミリスチルアルコール、デシルステアリルアルコール、ユニリンアルコール等の飽和若しくは不飽和の第1級アルコールが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸が挙げられる。これらのアルコールとジカルボン酸とのエステルの中では、炭素数10以上のアルコールとジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0059】
ポリオキシアルキレングリコールとしては、下記の3種類の化合物が挙げられる。まず、第1のポリオキシアルキレングリコールとして、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。その具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロックコポリマーが挙げられる。これらの重縮合物1分子当たりで重合したモノマーの数の好ましい範囲は5〜1000であり、より好ましい範囲は10〜500である。
【0060】
次に、第2のポリオキシアルキレングリコールとして、第1のポリオキシアルキレングリコールと脂肪族アルコールとのエーテル化合物が挙げられる。第2のポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:5〜50)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:4〜50)が挙げられる。
【0061】
第3のポリオキシアルキレングリコールとして、第1のポリオキシアルキレングリコールと高級脂肪酸とのエステル化合物が挙げられる。第3のポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレート(1分子当たりで重合したエチレンオキサイドの数:2〜50)が挙げられる。
【0062】
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化11】

ここで、式(5)中、R6、R7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基及びエーテル基からなる群より選ばれる化学種であり、複数のR6及びR7は互いに同一であっても異なっていてもよい。vは平均重合度であり、10〜500を示す。アルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基が挙げられる。エーテル基としては、例えば、エチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基が挙げられる。
【0063】
上記オレフィン化合物を構成するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のオレフィン系モノマーが挙げられる。
【0064】
または、上記オレフィン化合物を構成するモノマーとしては、例えば、アレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等のジオレフィン系モノマーも挙げられる。さらには、上記オレフィン化合物は、これらのオレフィン系モノマー及びジオレフィン系モノマーのうちの2種以上を共重合して得られる化合物であってもよい。上述のオレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合、熱安定性向上の観点から、慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
【0065】
オレフィン化合物を構成するオレフィン単位の平均重合度vは10〜500であり、好ましくは15〜300であり、更に好ましくは15〜100である。平均重合度vが10よりも小さいと、長期の摺動特性が低下する傾向にあると共に、金型汚染性への影響が大きくなる傾向にある。平均重合度vが500よりも大きい場合は、成形体の初期の摺動特性が低下する傾向にある。
【0066】
シリコーン化合物としては、シリコーンガム、並びに、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂が挙げられる。
【0067】
シリコーンガムとしては、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。かかるシリコーンガムを、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエチレン樹脂などの樹脂に予め高濃度に配合したマスターバッチも市販されており、これを用いてもよい。
【化12】

ここで、式(6)中、メチル基は、水素原子、アルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基、反応性置換基であるヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基、アリル基、ポリエーテル基、フッ素含有アルキル基で置換されてもよく、あるいは、これらの基を有する置換基で置換されてもよい。xは平均重合度であり、1000〜10000を示す。平均重合度xが1000未満であったり、10000を超えたりすると、成形体の耐摺動性が低下する傾向にある。
【0068】
ポリオレフィン系樹脂にシリコーンガムをグラフト反応させた樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン系樹脂にビニル基やアリル基を含有するシリコーンガムをグラフトさせたものである。そのような樹脂として、東レダウコーニング(株)から、BY27−201、BY27−202、BY27−213、BY27−218、BY27−219、BY27−220(以上、いずれも商品名)などのグレードが市販されており、入手可能である。
【0069】
これらシリコーン化合物は、電気接点汚染の観点より、環状低分子モノマーやオリゴマー(D4〜D20)の含有量を極力少なくしたものが好ましい。
【0070】
潤滑剤としてのポリオレフィン系樹脂は、下記一般式(7)で表されるオレフィン系化合物の単独重合体、又は2種以上のそのオレフィン系化合物の共重合体、あるいは、それらの変性体であると好ましい。
【化13】

ここで、式(7)中、R8は水素原子又はメチル基を示し、R9は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシル基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、又はビニル基を示す。
【0071】
かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエンの水添物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。また、上記共重合体としては、例えば、他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたグラフト共重合体、より具体的には、ポリエチレン−g−ポリスチレン、エチレングリシジルメタアクリレート共重合体−g−ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体−g−ポリスチレン、低密度ポリエチレン−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、ポリプロピレン−g−アクリロニトリルストレン共重合体、エチレングリシジルメタアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体が挙げられる。あるいは、上記変性体としては、上述のオレフィン系樹脂をα,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸等)又はその酸無水物で、必要により過酸化物を併用して変性したものが挙げられる。さらには、ポリオレフィン系樹脂として、上記オレフィン系化合物と酸無水物とを共重合したものであってもよい。
【0072】
これらの中では、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン−g−ポリスチレン、低密度ポリエチレン−g−アクリロニトリルスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体−g−アクリロニトリルスチレン共重合体が好ましい。これらポリオレフィン系樹脂は、特に制限されないが、メルトフローレイト(JIS K7210−4に準拠)が0.01g/10分〜150g/10分であると好ましく、さらに好ましくは0.1g/10分〜120g/10分であり、特に好ましくは0.5g/10分〜100g/10分である。メルトフローレイトが0.01g/10分以上であることにより、成形体の耐摺動性が良好であり、150g/10分以下であることにより、成形体に剥離が生じ難い。
【0073】
潤滑剤を本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物に含有する場合、その配合割合は、上述のポリオキシメチレン樹脂と動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.05〜10質量部であり、更に好ましくは0.1〜7質量部であり、特に好ましくは0.1〜5質量部である。これらの潤滑剤が必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられると、成形品は摺動相手材に対応した性能が得られやすくなる。
【0074】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、更に無機充填剤を含有すると好ましい。この無機充填剤は、体積平均粒子径が10μm以下であると好ましく、その形状としては、例えば針状、粒子状、板状が挙げられる。針状の無機充填剤としては、例えば、チタン酸カリ、酸化亜鉛、酸化チタン等のウイスカー、針状ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、微細カーボン繊維、カーボンナノチューブが挙げられる。粒子状の無機充填剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト(珪酸カルシウム)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、金属(好ましくは、Ti、Cr、Sb、Ni、Zn、Fe、Co、Al及びCuからなる群より選ばれる2種以上)の複合酸化物、アルミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。板状の無機充填剤としては、例えば、マイカ、グラファイトが挙げられる。これらの無機充填剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0075】
無機充填剤を本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物に添加する目的は、表面硬度の改良、導電性の付与、剛性の改良及び着色などが挙げられ、所望の目的を達成すべく無機充填剤が選択されればよい。無機充填剤は表面処理されたもの、又は表面処理されていないもののいずれも用いられる。ただし、成形品表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施された無機充填剤が好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。表面処理剤としては、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が挙げられる。より具体的には、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネートが挙げられる。また、無機充填剤をポリオキシメチレン樹脂組成物中により良好に分散するために、無機充填剤を予め高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩などで分散処理したもの、あるいは、無機充填剤をポリオキシメチレン樹脂や他の樹脂と予め混練して得られるマスターバッチを用いることも当然可能である。
【0076】
本実施形態に係る無機充填剤は、耐摩擦摩耗性の観点から、その体積平均粒子径が10μm以下のものであると好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下である。その体積平均粒子径が10μmを超えると耐摩擦摩耗性が低下する傾向にある。無機充填剤の体積平均粒子径はレーザー回折法により測定される。
【0077】
無機充填剤を本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物に含有する場合、その配合割合は、ポリオキシメチレン樹脂と動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であると好ましく、より好ましくは0.1〜7重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。この配合割合が0.01質量部未満であると、無機充填剤による機械的特性の向上効果が低下する傾向にあり、10質量部を超えると耐摩擦摩耗性や成形品外観が低下する傾向にある。
【0078】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来のポリオキシメチレン樹脂組成物に用いられる各種の添加剤、例えば、潤滑材、耐衝撃改良材、他樹脂、結晶核剤、離型剤、染料、顔料などを含有してもよい。
【0079】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、上述の各成分を一般的に使用されている溶融混練機を用いて溶融混練することで製造される。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機が挙げられる。溶融混練時の加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のために不活性ガスによる置換や、一段及び多段ベントで脱気することが好ましい。
【0080】
本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物を所望の形状に成形することによって、成形体が得られる。その成形方法としては、射出成形法、ホットランナー射出成形法、アウトサート成形法、インサート成形法、ガスアシスト中空射出成形法、金型の高周波加熱射出成形法、圧縮成形法、インフレーション成形、ブロー成形、押出成形、あるいは、押出成形品の切削加工等の成形法が挙げられる。本実施形態の成形体は、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物を用いる以外は従来と同様の成形方法によって得られるものであり、その用途に応じて、上述の成形方法を用いて所望の形状に成形して得られる。
【0081】
以上説明した本実施形態のポリオキシメチレン樹脂組成物は、機械的性能及び耐摺動性に優れたポリオキシメチレンホモポリマーの特徴を保持しつつ、その二次収縮を改良したものである。したがって、このポリオキシメチレン樹脂組成物は、ポリオキシメチレンホモポリマーの用途拡大に寄与するものであり、その成形体は、精密機器、家電・OA機器、自動車、工業材料などの部品に好適である。
【0082】
より具体的には、その成形体は、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受けおよびガイド等に代表される機構部品、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板、プリンターおよび複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品、VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ及びデジタルカメラに代表されるカメラ又はビデオ機器用部品、カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む。)、DVD(Digital Video Disk、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(Ramdom Access Memory)、DVD−Audioを含む)、その他の光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器、携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品、電気機器用部品、電子機器用部品に有用である。
【0083】
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。始めに、実施例及び比較例で用いた各成分及び評価方法について説明する。
【0085】
[A.ポリオキシメチレン樹脂]
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマーとして、メルトフローレイトが35.0g/10分(ISO 1133 Dに準拠)である両末端がアセチル基で封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマー(旭化成ケミカルズ社製、商品名「テナック7010」、GPC測定による数平均分子量:54000)を準備した。
【0086】
(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体
(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体を下記のようにして調製した。まず、十分に脱水乾燥されたパラホルムアルデヒドを150℃で熱分解させ、冷却トラップを数回通すことにより、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを得た。このホルムアルデヒドガスと、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC1837O(CH2CH2O)70H(ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物)及び触媒であるテトラブチルアンモニウムアセテートのトルエン溶液とを、それぞれ同時に3時間連続して重合機に供給し、重合体を製造した。この際の重合温度は60℃に維持した。なお、ホルムアルデヒドガスの供給量を1時間当たり110質量部として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを微量添加したC1837O(CH2CH2O)70H(ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物)及びテトラブチルアンモニウムアセテートのトルエン溶液の供給量を1時間当たり500質量部とした。また、トルエン中におけるテトラブチルアンモニウムアセテートの濃度は1.0×10-4モル/L、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加したC1837O(CH2CH2O)70Hの濃度は5.0×10-3モル/Lとした。得られた重合体を含むトルエン溶液を供給量に見合って連続的に抜き出し、重合体をろ過によりトルエンから分離した。
【0087】
ろ過後の重合体をアセトンで十分洗浄した後60℃にて真空乾燥し、289質量部の白色の重合体を得た。こうして得られた重合体のうち50質量部を無水酢酸500質量部、酢酸カリウム0.1質量部と混合して139℃にて3時間加熱し、冷却した。その後、上述と同様にアセトンで重合体を十分に洗浄し、同様に乾燥して、ポリオキシメチレンの線状重合体49質量部を回収した。
回収した重合体100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるトリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)(チバガイギー社製、商品名「IRGANOX245」)0.5質量部、ポリ−β−アラニン0.5質量部を添加混合して、ベント付き単軸押出機で溶融混錬してすることにより、重合体組成物を得た。得られた重合体組成物は、そのメルトフローレイトが17.0g/10分(ISO 1133 Dに準拠)、GPC測定による数平均分子量が67000であった。
【0088】
(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体
(A3)ポリオキシメチレンブロック共重合体を下記のようにして調製した。まず、熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸のパドル型連続重合機を80℃に調整し、水及びギ酸を合わせて4ppm添加したトリオキサンを40モル/時間で、同時にコモノマーである環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを2モル/時間で重合機に供給した。それと同時に、重合触媒として、シクロヘキサンに溶解させた三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対して5×10-5モルになるように、また、連鎖移動剤として、下記式(8)
【化14】

で表される両末端ヒドロキシル基水素添加ポリブタジエン(Mn=2330)をトリオキサン1モルに対し1×10-3モルになるように連続的に重合機に供給し重合を行った。
【0089】
次いで、重合機から排出されたポリマーをトリエチルアミン1%水溶液中に投入し重合触媒の失活を完全に行った。その後、そのポリマーをろ過、洗浄して粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。得られた粗ポリオキシメチレン共重合体の全量に対し、第4級アンモニウム化合物として、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムギ酸塩を窒素の量に換算して20質量ppmになるよう添加し、均一に混合した後、120℃で乾燥した。
【0090】
次に、乾燥後の粗ポリオキシメチレン共重合体100質量部に対し、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.5質量部を添加し、ベント付き2軸スクリュー式押出機に供給した。押出機中の溶融している粗ポリオキシメチレン共重合体に必要に応じて水及びトリエチルアミンを添加し、押出機の設定温度を200℃、押出機における滞留時間を5分間に設定して粗ポリオキシメチレン共重合体の不安定末端部を分解した。不安定末端部を分解して得られたポリオキシメチレン共重合体は、ベント真空度20Torrの条件下で脱揮され、押出機ダイス部よりストランドとして押し出されペレット化された。得られたポリオキメチレンブロック共重合体はメルトフローレイト9.3g/10分(ISO 1133 Dに準拠)、GPC測定による数平均分子量が79000であった。
【0091】
(A4)ポリオキシメチレンコポリマー
メルトフローレイト9.1g/10分(ISO 1133 Dに準拠)であるポリオキシメチレンコポリマー(旭化成ケミカルズ社製、商品名「テナック−C 4520」、GPC測定による数平均分子量:83000)を準備した。
【0092】
[B.動架橋エラストマー]
(B1)ラジカル架橋性エラストマーとしてエンゲージ8180(商品名、デュポンダウエラストマーズ社製、エチレンとオクテンとの共重合体、αオレフィンの共重合体比率28重量%、密度0.863g/cm3、ショアA硬度66)100質量部と、ラジカル架橋性エラストマーとしてブロック共重合体(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン構造を有する共重合体(以下「SBS」と表記する。)、スチレン含有量20質量%、数平均分子量51000、ポリブタジエン部分の水素添加率99%)30質量部、ラジカル架橋性を示さない樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「MA2」、ASTM D1238に準拠したメルトインデックス15g/10分)40質量部を十分に混合した。得られた混合物を、バレル中央部に注入口を有する2軸押出機(40mmφ、L/D=47、混練部をバレル中央部の両側に配置、シリンダー温度220℃)のホッパーに投入した。次いで、押出機の中央部の両側の注入口より、ラジカル開始剤(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ25B」)0.4質量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン1.3質量部とをポンプで注入した後、加熱混練して架橋反応させ、更にペレット化して組成物ペレットを得た。この得られた組成物ペレット170質量部を再び2軸押出機(シリンダー温度220℃)のホッパーに投入し、押出機の中央部にある注入口より所定量のオイル(パラフィン系)を110質量部の割合で注入した。これらを加熱溶融混練し、さらにペレット化して、動架橋エラストマーを得た。得られた動架橋エラストマーを200℃での圧縮成形により2mm厚のシート状に成形し、各種機械特性を測定した。その結果を下記、及び表1に示す。
1) 引張破断強度(JIS K6251に準拠、23℃で測定):6.3MPa
2) 引張破断伸度(JIS K6251に準拠、23℃で測定):360%
3) 圧縮永久歪(JIS K6301に準拠、100℃×22時間で測定):34%
4) 表面硬度(2mm厚のシートを4枚重ね、ASTM D2240に準拠して測定):66
【0093】
(B2〜B4)表1に示す組成に代えた以外はB1と同様にして動架橋エラストマーを製造し、同様にして各種機械的特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0094】
[C.潤滑剤]
潤滑剤として下記のものを準備した。
(C1)エチレンプロピレン液状コポリマー(分子量600)
(C2)エチレンブテン共重合体(三井化学社製、商品名「タフマーA70090」)
(C3)ミリスチン酸セチルエステル
(C4)アジピン酸ジラウレート
(C5)シリコーングラフト化ポリオレフィン樹脂(東レダウコーニング社製、商品名「BY27−219」)
【0095】
[D.無機充填剤]
無機充填剤として下記のものを準備した。
(D1)レーザー回折法で測定した体積平均粒子径が3μmであるウォラストナイト
(D2)レーザー回折法で測定した体積平均粒子径が200nmである炭酸カルシウム
【0096】
[評価方法]
(1)各種物性評価
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100GN」)を用いて、金型温度90℃、冷却時間30秒間の条件で、乾燥した上記ペレットから物性評価用ISO試験片を成形した。このISO試験片を用いて下記の試験を行った。
1)引張強度、伸度:ISO 527に準拠して測定。
2)曲げ強度、弾性率:ISO 527に準拠して測定。
3)シャルピー衝撃強度:ISO 179に準拠して測定。
4)メルトフローレイト(MFR):ISO 1133 Dに準拠して測定。
【0097】
(2)二次収縮
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、平板(長さ130mm×幅110mm×厚さ3mm)状の金型及びシリンダー温度200℃に設定された5オンス成形機(東芝機械(株)製、商品名「IS−100GN」)を用いて、金型温度80℃、冷却時間20秒間の条件で、乾燥した上記ペレットから試験片を成形した。得られた試験片を23℃、湿度50%の恒温室で24時間放置し、流動方向(T1−1)及び直角方向(T1−2)の長さを測定した。次に、70℃に設定されたオーブンで上記試験片を4時間加熱し、再び恒温室で上記と同様に条件で24時間放置し、流動方向(T2−1)及び直角方向(T2−2)の長さを測定した。得られた長さから、以下の式にて平板での二次収縮を求めた。
二次収縮=((((T1−1)−(T2−1))+((T1−2)−(T2−2)))÷2)×1000 〔μm〕
【0098】
(3)軸穴摺動性
実施例及び比較例で得られたペレットを80℃で3時間乾燥した。その後、シリンダー温度200℃に設定された1オンス成形機(東洋機械金属(株)製、商品名「TI−30G2」)を用いて、金型温度70℃、冷却時間10秒間の条件で、乾燥した上記ペレットから6mmf×17mmの軸穴を有するギヤ付きのプーリーを成形した。このプーリーをSUS製シャフトにセットして、樹脂製小型軸受摩擦摩耗試験機(神鋼造機(株)製)を用い、荷重1kg、回転数600rpmで間欠運転(ON:44秒間/OFF:1秒間)を行った。18万回転後のSUSシャフトの傷付き性(摩耗)を目視して、下記の基準に従ってランク付けした。
◎:傷が無い
○:傷が殆どない
△:細い線状の傷あり
×:太い線状の傷あり
【0099】
(4)摺動性
上記「(1)各種物性評価」と同様にして得られたISO成形片を、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製、商品名「AFT−15MS」)にセットして、荷重2kg、線速度30mm/秒、往復距離20mm及び環境温度60℃の条件で5000回往復し、摩擦係数と摩耗量とを測定した。摺動相手材としては、ポリオキシメチレン樹脂試験片(旭化成工業(株)製、商品名「テナック−C4520」を直径5mmの円筒状に成形した試験片、先端R=2.5mm)を用いた。
【0100】
(実施例1)
(A1)成分85重量部と(A2)成分10重量部と(A3)成分5重量部とからなる(A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部と、(B1)成分2重量部とをブレンダーで均一に混合してポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、210℃に設定されたL/D=42の26mmφ二軸押出機を用いて、スクリュー回転数100rpm、10kg/時間の条件で溶融混練しつつ押し出した。押し出された樹脂組成物はストランドカッターでペレットに成形した。このペレットについて上記評価を行った。その結果を表2に示す。
【0101】
(実施例2〜9)
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表2に示す。
【0102】
(比較例1〜7)
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表3に示す。
【0103】
(実施例10〜18)
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表4に示す。
【0104】
(実施例19〜23、比較例8〜11)
ポリオキシメチレン樹脂組成物の組成を表5に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを得、そのペレットについて上記評価を行った。その結果を表5に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は、それを成形、切削、又は成形・切削加工して、機構部品(ギヤ、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、関節、軸、軸受け、キーステム、キートップからなる群より選ばれる少なくとも一種)、アウトサートシャーシの樹脂部品、シャーシ、トレー及び側板からなる群より選ばれた少なくとも一種の部品を得ることができ、これらの部品は下記の用途に有用である。
(1)プリンター及び複写機に代表されるOA機器に使用される部品。
(2)VTR及びビデオムービーに代表されるビデオ機器に使用される部品。
(3)カセットプレーヤー、LD、MD、CD(含CD−ROM、CD−R、CD−RW)、DVD(含DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−Audio)、ナビゲーションシステム及びモバイルコンピューターに代表される音楽、映像、又は情報機器に使用される部品。
(4)携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器に使用される部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシメチレン樹脂100質量部と、動架橋エラストマー0.01〜10質量部と、を含有するポリオキシメチレン樹脂組成物であって、
前記ポリオキシメチレン樹脂は、
(A1)ポリオキシメチレンホモポリマー、及び/又は、(A2)ポリオキシメチレンの線状重合体であって、片末端に下記一般式(1)で表される1価の基及び下記一般式(2)で表される1価の基からなる群より選ばれる1種以上の基を有し、その基を除いた部分の数平均分子量が10000〜500000である線状重合体、と、
(A3)下記一般式(3)で表される数平均分子量が10000〜500000であるポリオキシメチレンブロック共重合体と、
からなり、かつ、前記ポリオキシメチレンブロック共重合体に対する前記ポリオキシメチレンホモポリマー及び前記ポリオキシメチレンの線状重合体の合計の含有割合が、質量基準で95/5〜5/95であり、
前記動架橋エラストマーの圧縮永久歪(C−Set、100℃)が90〜10%であるポリオキシメチレン樹脂組成物。
【化1】

【化2】

(式(1)及び(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示す。mは2〜6の整数を示し、nは1〜1000の整数を示す。)
【化3】

(式(3)中、Gは下記一般式(3a)
【化4】

(式(3a)中、R4は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。pは2〜6の整数を示し、2つのpは各々同一であっても異なっていてもよい。q及びrはそれぞれ正の数を示し、qとrとの合計100モル%に対してqは2〜98モル%、rは2〜98モル%であり、−(CH(CH2CH3)CHCH2)−単位及び−(CH2CH2CH2CH2)−単位はそれぞれランダム又はブロックで存在する。)
で表される2価の基を示し、ヨウ素価20g−I2/100g以下の不飽和結合を有してもよく、数平均分子量500〜10000である両末端をヒドロキシアルキル化された水素添加液状ポリブタジエンの両末端の水素原子を脱離した2価の基を示す。Eは、下記一般式(4)
【化5】

(式(4)中、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基からなる群より選ばれる1種の化学種を示し、複数のR5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。tは2〜6の整数を示し、s及びuはそれぞれ正の数を示し、sとuとの合計100モル%に対してsは95〜99.9モル%、uは5〜0.1モル%であり、−((C(R52tO)−単位は−(CH2O)−単位に対してランダムに存在する。)
で表される1価の基を示し、2つのEの平均の数平均分子量は5000〜250000である。)
【請求項2】
前記ポリオキシメチレンブロック共重合体に対する前記ポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンの線状重合体の合計の含有割合が、質量基準で95/5〜50/50である、請求項1に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシメチレン樹脂と前記動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して潤滑剤0.05〜10質量部を更に含有する、請求項1又は2に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項4】
前記潤滑剤は、アルコール、脂肪酸、アルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン化合物及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシメチレン樹脂と前記動架橋エラストマーとの合計100質量部に対して体積平均粒子径10μm以下の無機充填剤0.01〜10質量部を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤は、体積平均粒子径が5μm以下のものである、請求項5に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。

【公開番号】特開2010−53229(P2010−53229A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218590(P2008−218590)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】