説明

ポリオルソ−メチルフェノール類の製造方法

【課 題】高耐熱性かつ良成形性をもつ、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂原料、液晶表示素子、及びフォトレジスト等の高機能化合物原料等の用途に有用であるポリオルソ−メチルフェノール類を、容易に入手し得る原料を用いると共に、工業的に容易に、高純度かつ収率よく得ることのできる製造方法の提供。
【解決手段】ポリフェノールに、2級アミン及びホルムアルデヒドを反応させて、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールを得(第一工程)、次いで得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールのアミノメチル基を水素化触媒の存在下に水素化分解反応(第二工程)に付することによって、目的とするポリオルソ−メチルフェノールを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリメチルフェノール類の製造方法に関し、詳しくは、高耐熱性かつ良成形性をもつ、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂原料、液晶表示素子、及びフォトレジスト等の高機能化合物原料等の用途に有用であるポリオルソ−メチルフェノール類を工業的に容易に、高純度、かつ収率よく得ることのできる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリメチルフェノール類の製造方法として、例えば、ビス型のポリメチルフェノール類を製造する方法としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシー3,3’−ジメチルジフェニルエーテルは、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテルを原料として、これをホルミル化し、次いでメチル化して得る方法、あるいは、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテルをアルキル化し、次いでホルミル化、メチル化を経て、最後に脱アルキル化して得る方法が記載されている(特開2003−238470号公報)。
しかしながら、この方法は工程が長く煩雑で、目的物の収率も低くなる。
また、ジメチルージヒドロキシジフェニルエーテルを製造する方法として、2−メチルヒドロキノンを原料とし、これをモンモリナイト触媒の存在下に脱水2量化して得る方法が記載されている(特開昭49−55635号公報)。
【0003】
同様に、ジメチルージヒドロキシジフェニルエーテルを製造する方法として、2−メチルヒドロキノンを合成雲母触媒の存在下に脱水2量化して得る方法も記載されている(特開昭59−206326号公報)。
しかしながら、これらの方法は、原料が高価で、転化率も低く、しかも目的物は異性体の混合物として得られる。
【0004】
さらに、Journal Of American Chemical Society Vol.61 2664 (1961)には、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンを製造する方法として、オルソクレゾールフタレインを原料とし、これをKOHでアルカリ加水分解して得る方法が記載されている。
しかしながら、この方法も、高価で工業的に入手困難な原料を用い、しかも収率も低いものである。
また、トリス形のポリメチルフェノール類を製造する方法として、例えば、Journal Of American Chemical Society Vol.47 2022 (1925)には、3,3’,3”−トリメチル−4,4’,4”−トリヒドロキシフェニルメタンを製造する方法として、オルソクレゾールと4塩化炭素を原料とし、これを塩化亜鉛触媒の存在下に反応させて3,3’,3”−トリメチルアウリン(0-Cresaurin)を得、次いでこれを還元して得る方法が記載されている。
しかしながら、この方法によれば、工程が長く、また目的物の収率も低い。
従って、ポリオルソ−メチルフェノール類の製造方法としては、上記いずれの方法においても、経済性が低く工業的に有利な製造方法ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリオルソ−メチルフェノール類の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、工業的に容易に入手し得る原料を用いると共に、工業的に実施の容易な反応条件下に反応を行って、ポリオルソ−メチルフェノール類、特にビス−オルソ−メチルフェノール類、トリス−オルソ−メチルフェノール類、テトラキス−オルソ−メチルフェノール類を高収率、高純度で製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、一般式(1)のポリフェノール化合物に、2級アミンの存在下、ホルムアルデヒドを反応させて、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類を得(第一工程)、次いで得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類のアミノメチル基を水素化触媒の存在下に水素化分解する(第二工程)ことを特徴とする下記一般式(2)で表されるポリオルソ−メチルフェノール類の製造方法が提供される。
【0007】
【化3】

一般式(1)
(式中、Xは、―O−基、―S−基、カルボニル基、芳香族炭化水素基、又は炭素原子数1〜12の飽和炭化水素基を示し、nは2〜4の整数を示す。)
【0008】
【化4】


一般式(2)
(式中、X及びnは一般式(1)のそれと同じである。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入手容易なポリフェノール類を出発原料とし、2つの簡潔で工業的に実施容易な工程を経て、ポリオルソ−メチルフェノール類を収率よく高純度品として得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の、ポリオルソ−メチルフェノール類の製造方法によれば、出発原料として、下記一般式(1)のポリフェノール化合物を用いる。
本発明の製造方法において、出発原料であるポリフェノール化合物の純度は、特に制限はなく、工業製品純度のものでも、あるいはまた、例えば、純度95%以下80%以上の粗製品純度のものであってもよい。
本発明の製造方法によれば、下記一般式(1)のポリフェノール化合物に、2級アミンの存在下、ホルムアルデヒドを反応させて、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類を得る第一工程と、得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類のアミノメチル基を水素化触媒の存在下に水素化分解する第二工程を順次行って、目的とする下記一般式(2)で表されるポリオルソ−メチルフェノール類を得る。
上記第一工程において用いられる一般式(1)のポリフェノール化合物は次式で示される。
【0011】
【化5】

一般式(1)
【0012】
Xは、―O−基、―S−基、カルボニル基、芳香族炭化水素基、又は炭素原子数1〜12の飽和炭化水素基を示す。炭素原子数1〜12の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の2価、3価又は4価の飽和炭化水素基であり、具体的には、例えば、Xが2価の飽和炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、イソプロピリデン基、1−メチル−1,1−プロピリデン基、1,2−ジメチル−1,1−プロピリデン基、2−メチル(1−メチルエチル)−1,1−プロピリデン基、1-メチル−1,1−ヘプチリデン基、1,1−ヘキシリデン基等の鎖状アルキリデン基、又はアルキレン基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシリデン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロアルキリデン基、又はシクロアルキレン基等が挙げられる。
【0013】
また、Xが3価の飽和炭化水素基としては、メチン基(基1)、エチリジン基(基2)、プロピリジン基、プロパン−1,2,2−トリル基(基4)、ブタン−1,3,3−トリル基(基5)等の3価の分枝鎖状又は直鎖状飽和炭化水素基、シクロペンタン1,1,4−トリル基、シクロヘキサン−1,1,4−トリル基(基3)等の3価の環状飽和炭化水素基が挙げられる。
【0014】
【化6】


基1 基2 基3 基4 基5
【0015】
さらに、Xが4価の飽和炭化水素基としては、メタンテトライル基(基8)、エタン−1,1,2,2−テトライル基(基6)、プロパン−1,2,2,3−テトライル基等の4価の分枝鎖状又は直鎖状飽和炭化水素基、シクロヘキサン1,1,4,4−テトライル基(基7)等の4価の環状飽和炭化水素基が挙げられる。
【0016】
【化7】


基6 基7 基8
【0017】
芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニレン基、ベンゼントリイル基、ベンゼンテトライル基、ビフェニレン基等が挙げられる。
また、nは2〜4の整数を示し、Xの遊離原子価に応じて、Xが2価の基の場合、nは2であり、Xが3価の基の場合、nは3であり、同様に、Xが4価の基の場合、nは4である。従って、Xが2価の基である―O−基、―S−基、又はカルボニル基の場合はnは2である。
このような上記一般式(1)のポリフェノール化合物としては、具体的には、例えば、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン
トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン
1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン
1,1,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン
1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン
1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニル
等が挙げられる。
【0018】
上記第一工程において用いられるホルムアルデヒドは、その使用形態はとくに制限はなく、例えば、35%ホルマリン水溶液、あるいはパラホルム等として用いられてもよい。
また、使用量は、通常、原料の一般式(1)で示されるポリフェノール1モルに対して、ポリフェノールのヒドロキシル基のモル数と等量モル(一般式(1)におけるn数モル)〜2等量モル倍の範囲、好ましくは1〜1.5等量モル倍の範囲、更に好ましくは1〜1.2等量モル倍の範囲で用いられる。
【0019】
また、本発明の製造方法の第一工程において用いられる2級アミンは、具体的には例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン等の鎖状2級アミン、ピペリジン、ピロリジン、エチレンイミン、モルホリン等の環状2級アミン、ジエタノールアミン等のアルコール性2級アミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、N-プロピルシクロヘキシルアミン、N-ブチルシクロヘキシルアミン、N-イソプロピルシクロヘキシルアミン、N-イソブチルシクロヘキシルアミン、N-sec-ブチルシクロヘキシルアミン、N-ヘキシルシクロヘキシルアミン、N-2-エチルヘキシルシクロヘキシルアミン等の脂環基含有2級アミン、ジフェニルアミン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N-ブチルアニリン、N-イソプロピルアニリン、N-イソブチルアニリン、N-sec-ブチルアニリン、N-ヘキシルアニリン、N-2-エチルヘキシルアニリン等の芳香族2級アミン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは環状アミンで、特に好ましくはモルホリンである。
【0020】
このような2級アミンは、通常、原料の一般式(1)で示されるポリフェノール1モルに対して、ポリフェノールのヒドロキシル基のモル数と等量モル(一般式(1)におけるn数モル)〜2等量モル倍の範囲、好ましくは1〜1.5等量モル倍の範囲、更に好ましくは1〜1.25等量モル倍の範囲で用いられる。
また、上記2級アミン/ホルムアルデヒドのモル比は、等量のモル量近傍、例えば1/1〜1.2/1で用いることが好ましい。
一方、本発明の製造法における第一工程の反応において、溶媒は用いても良いし、また用いなくても良い。例えば、反応液に流動性があれば溶媒を用いなくても良い。しかしながら溶媒を用いる場合は、溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。このような溶媒は通常、ポリフェノール100重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部の範囲、より好ましくは、100〜200重量部の範囲で用いられる。本発明の上記第一工程の反応においては、好ましくは、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒を用いれば、反応後、冷却、晶析をするだけで、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールが、高純度、高収率で容易に結晶として得られ、晶析等による精製工程が容易になるので好ましい。
反応温度は、通常、−50℃〜150℃の範囲であり、反応温度が高すぎると、フェニル核に結合したヒドロキシ基に対し、両方のオルソ位置がアミノメチル化された副生物が増加し、好ましくない。
また、反応温度は、原料ポリフェノールや使用溶媒等により適宜選択されるが、例えば、一般式(1)で表される原料ポリフェノールにおいて、X基がエーテル基あるいはカルボニル基の場合、50℃〜100℃の範囲、特に70℃〜90℃の範囲が好ましく、同様にXが飽和炭化水素基の場合で、溶媒として芳香族炭化水素を用いる場合、反応途中で目的物の結晶が析出して目的物の選択率が向上する理由で、通常、20℃〜60℃の範囲、特に30℃〜50℃の範囲が好ましい。
【0021】
上記第一工程の反応は、いわゆるマンニッヒ反応であり、ホルムアルデヒドと2級アミン及びポリフェノールの脱水縮合反応により、ヒドロキシ基置換フェニル環が3級アミノメチル化される。この反応においては、ポリフェノールのフェニル環に結合したヒドロキシル基の隣りのオルソ位置の炭素原子に結合している水素が活性であり、容易にマンニッヒ反応によりアミノメチル化されるが、その一方がアミノメチル化されると同芳香環の水素原子が安定化し、さらなるアミノメチル化は起こり難くなる。さらには、オルソ位の片方のみがアミノメチル化されたポリヒドロキシフェニル類は溶解性が低いため、ジアミノメチル化物が結晶として反応中に析出し、それ以上のアミノアルキル化が進み難くなる。これらの理由により、高い選択率で片側のオルソ位置だけがアミノメチル化されるものと思われる。
【0022】
上記第一工程の反応及び第二工程の反応は、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルにホルムアルデヒドとモルホリンを反応させて3,3’−ジモルホリノメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルを得、次いで、水素化触媒でモルホリノメチル基を水素化分解して、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルを得る場合は、下記反応式で表される。
【0023】
第一工程
【化8】


第二工程
【化9】

【0024】
上記、アミノメチル化反応(第一工程)において、原料の添加順序に特に制限はないが、例えば、原料のポリフェノールを不活性ガス雰囲気中で、トルエン等の有機溶媒中に添加した後、これに、撹拌下、2級アミンを添加し、次いで、温度を30〜90℃程度に昇温させてホルムアルデヒドを添加して、あるいは、2級アミンとホルムアルデヒドを同時に添加して、撹拌下に反応を行うことにより、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールを高選択率で得ることができる。
反応の選択率は、通常、60〜90%程度である。
得られた反応終了混合物はそのまま、あるいは蒸留等により適宜、濃縮して、次の第二工程の反応の原料として用いてもよい。あるいはまた、反応終了混合物から、再結晶等の方法により、反応生成物であるポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールを、分離、精製して、高純度品とした後、次の第二工程の反応の原料として用いてもよい。反応終了混合物から目的物を精製する方法としては、例えば、反応中に結晶が析出してくる場合は、そのまま冷却して濾過すれば目的物を得ることができる。または、反応終了混合物中の反応溶媒を濃縮後、別の溶媒を加えて晶析精製する。晶析の際、副生物が先に析出する場合があるので、その場合は不純物を濾別して除去することが好ましい。
【0025】
あるいはまた、反応終了混合物に溶媒を追加添加して目的物が溶解した油層を水洗し、溶媒とともに低沸点の原料(アミン、ホルムアルデヒド)を蒸留で除去し、目的物を蒸留残液として得ることもできる。このような操作は必要に応じて、複数回行うか、又は適宜組み合わせて行ってもよい。
本発明の製造方法においては、上記第一工程の反応で得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールのアミノメチル基を、第二工程の反応において、触媒の存在下に水素化分解する。これにより、本発明の目的物である、上記一般式(2)で表されるポリオルソ−メチルフェノールを高純度で、収率良く得ることができる。
上記一般式(2)において、式中、X及びnは一般式(1)のそれと同じであり、従って、使用する原料のポリフェノールに対応した、ポリオルソ−メチルフェノールが得られる。
このような、本発明の製造方法において得られる、目的物であるポリオルソ-メチルフェノールとしては、具体的には、例えば、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン
トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン
1,3,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン
1,1,4−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン
1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン
3,3”−ジメチル−4,4”−ヒドロキシ−p−ターフェニル
等が挙げられる。
【0026】
これらのうち、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,3,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が好ましく、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルが特に好ましい。
上記ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールを、水素化触媒の存在下に選択的水素化分解する第二工程の反応において、用いられる水素化触媒としては、従来より知られている水素化触媒を用いることができる。従って、例えば、ラネーニッケル、還元ニッケル、ニッケル担持触媒等のニッケル触媒、ラネーコバルト、還元コバルト、コバルト担持触媒等のコバルト触媒、ラネー銅等の銅触媒、酸化パラジウム、パラジウム黒、カーボン担持パラジウム触媒等のパラジウム触媒、プラチナ黒、カーボン担持プラチナ等のプラチナ触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、クロム触媒、銅クロム触媒等が用いられる。これらのなかでは、特に、パラジウム等の白金族触媒が好ましく、特にパラジウム触媒や、パラジウムとプラチナの混合触媒が好ましく用いられる。
【0027】
また、上記パラジウム触媒としては、具体的には、0.1〜10重量%程度のパラジウム金属をカーボン、アルミナ、活性白土等の担体に担持させたパラジウム担持触媒、助触媒としての酸成分をパラジウム成分と共に担体に担持させた酸成分含有パラジウム触媒、又は触媒成分としてのパラジウム成分を担体に担持させたパラジウム触媒と助触媒として酸成分とを組合わせたもの等、又は塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化トリス−トリフェニルフォスフィンロジウム等の、貴金属錯体触媒等を挙げることができる。本発明において用いられるパラジウム触媒は、その形態において、特に限定されるものではなく、粉末状、錠剤状等の適宜の形態のものが用いられる。
【0028】
本発明によれば、水素化触媒は、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部、好ましくは、1.0〜5.0重量部の範囲で用いられる。助触媒は、用いなくて良いが、好ましくは、助触媒として、酸成分を用いることが好ましく、これらは、通常、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール100重量部に対して、0.01〜100重量部、好ましくは、0.05〜10重量部の範囲で用いられる。
上記酸成分としては、具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸等の有機酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸等の鉱酸が挙げられる。
このような水素化触媒の存在下、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールの選択的水素化分解を行うに際しては、系内を窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで置換した後、水素置換して行うことが望ましい。
【0029】
水素化反応は、通常、反応温度20〜180℃、好ましくは、60〜140℃の温度において、反応圧力0.1〜1.5MPa(ゲージ圧)、好ましくは、0.2〜1MPa(ゲージ圧)の水素圧の下、行なわれる。好ましくは、系内に水素を補充して、系内の水素圧を一定に保ちながら反応を行い、系内における水素の吸収が止んだ時点で反応を終了すればよい。反応時間は、通常、0.5〜20時間、好ましくは、2〜15時間の範囲である。
上記水素化反応に際して、溶媒は、必要に応じて用いても良い。溶媒を用いる場合、溶媒としては、水、アルコール、エステル、炭化水素、エーテル又は酢酸等の有機酸等、あるいはモルホリン等の有機アミン等が用いられる。
上記水素化反応工程においては、反応に際し、溶媒として有機酸又はアルコールを用いると、反応の選択性を高めることができ、しかも出発原料や生成目的物がこれらの溶媒に溶解しやすいので、反応操作に都合も良く、好ましい。
【0030】
このような溶媒としては、具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール等の脂肪族アルコールを挙げることができる。これらのなかでは、特に酢酸等の低級飽和脂肪族カルボン酸、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一級飽和脂肪族アルコールが好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組合わせて用いられる。
このような溶媒は、通常、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール100重量部に対して、50〜1000重量部、好ましくは、100〜300重量部の範囲で用いられる。
【0031】
上記第二工程の水素化分解反応は、例えば、オートクレーブ中、第一工程で得られた、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール、溶媒及び水素化触媒を仕込み、温度90〜130℃において、容器内を1.0MPa程度の水素圧に保ちつつ、反応を行うことにより、ポリオルソ−メチルフェノールを得ることができる。反応の選択率は、通常90〜100%程度である。
反応終了後、得られた反応混合物から、常法に従って、触媒を分離した後、必要に応じて、触媒を分離した反応液から、溶媒及び水素化分解反応で生成した2級アミンを、常圧又は減圧下に蒸留した後、残留反応液に晶析溶媒を加え、目的物の結晶を析出させ、その後、濾過等の方法によって目的物の高純度品を得るか、あるいはまた、触媒を分離した反応液から、溶媒を常圧又は減圧下に蒸留して除去した後、晶析溶剤を加えるかして、同時に、酢酸水等の酸を加えて脱離2級アミン塩基を中和した後、水層を分離し、得られた有機層から、目的物の結晶を析出させ、その後濾過等の方法によって、目的物のポリオルソ−メチルフェノールを分離、精製して、高純度品を得ることができる。
【0032】
本発明の製造法においては、上記の精製工程によって得られた留出液や晶析液からの、濾液に含まれる2級アミン含有液は、そのままあるいは、精留等の処理を行い、精製することで、第一工程の2級アミン原料として再度使うことができるため、2級アミンを循環使用することができる。
かくして、本発明によれば、ポリフェノールに、2級アミン及びホルムアルデヒドを反応させて、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールを得(第一工程)、次いで得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノールのアミノメチル基を水素化触媒の存在下に水素化分解反応(第二工程)に付することによって、目的とするポリオルソ−メチルフェノールを工業的に実施容易な反応条件でしかも簡潔な工程で、収率よく高純度品を得ることができる。
【0033】
<実施例>
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DM−DHPEと略称)の製造;
(第一工程)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた1L容量の四つ口フラスコに4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DHPEと略称)50.5g(0.25モル)とトルエン81.3gを仕込み、これに、撹拌下、25℃において、モルホリン47.9g(0.55モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、内温を80℃に昇温し、その温度を保ちながら、35%ホルマリン45.0g(0.25モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに撹拌を続けると、途中で結晶が析出した。このようにして後撹拌を8時間行った後、さらに、これにモルホリン6.5g(0.075モル)と35%ホルマリン6.4g(0.075モル)を10分かけて滴下した。その後、同温度でさらに撹拌下に8時間反応を行った。得られた反応終了混合液を高速液体クロマトグラフィー(HPLCと略称)により分析したところ、原料DHPEの反応率は100%、DHPEに対する生成物3,3’−ジ(モルホリノメチル)−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DAM−DHPEと略称)の選択率は81.2%であった。
この反応終了混合液を徐冷し、析出した結晶を濾過、乾燥して、反応生成物DAM−DHPE73.1gを白色結晶として得た。純度は97.1%(HPLC分析による)で、DHPEに対する収率は71モル%であった。
DAM-DHPEの同定データ
プロトンNMR分析(400MHz、重DMSO溶媒)
【0035】
【化10】

【0036】
【表1】

【0037】
(第二工程)
撹拌機、温度計を備えた1L容量のオートクレーブに、上記第一工程の反応で得られた3,3’−ジ(モルホリノメチル)−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル60.0g(0.146モル)、2−プロパノール180g及び10%パラジウム担持カーボン触媒(湿潤品)0.6gを仕込み、室温下で、窒素で容器内の空気を置換し、続いて水素で容器内の窒素を置換した。その後、温度を110℃〜140℃に昇温し、内圧を0.86〜1.34MPa(ゲージ圧)を保つように水素を吹き込みながら、撹拌下に6時間反応させた。
得られた反応終了混合液を高速液体クロマトグラフィー分析により確認したところDAM−DHPE反応率は100%、DAM−DHPEに対する目的物のDM−DHPEの選択率は92.9%であった。
反応終了後、得られた反応終了混合液から、触媒を濾別除去した後、これを、撹拌機、温度計及び留出管を備えた1Lの四つ口フラスコに移した。その後、フラスコ内に窒素を導入し、窒素気流下に昇温して、触媒除去後の反応混合物から、2−プロパノール及びモルホリンを留去した後、これにメチルエチルケトンを添加した。メチルエチルケトンを添加した混合液を塩酸水で中和、水層を分液した後、得られた油層を水洗した。水洗後の油層からメチルエチルケトンを留去し、その後トルエンを添加した後、これを冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、目的物である3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル28.8g(高速液体クロマトグラフィー分析による純度96%)を粉末結晶として得た。原料DAM−DHPEに対する収率は82.3モル%であった。 DM-DHPEの同定データ
プロトンNMR分析(400MHz、重DMSO溶媒)
【0038】
【化11】

【0039】
【表2】

【実施例2】
【0040】
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン(DM−DHPKと略称)の製造;
(第一工程)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた1L容量の四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン(DHPK)53.5g(0.25モル)、トルエン86.1gを仕込み、これに、撹拌下、室温においてモルホリン47.9g(0.55モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、内温を80℃に昇温し、その温度を保ちながら、35%ホルマリン45.0g(0.525モル)を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、同温度でさらに後撹拌を6時間行った後、さらに、これにモルホリン6.5g(0.075モル)と35%ホルマリン6.4g(0.075モル)をそれぞれ10分かけて滴下した。その後、同温度でさらに撹拌下に3時間反応を行い、次いでさらに、これにモルホリン6.5g(0.075モル)と35%ホルマリン6.4g(0.075モル)をそれぞれ10分かけて滴下し、同温度でさらに3時間撹拌下に反応を行い反応を完結した。
得られた反応終了液をHPLCにより分析したところ、DHPK反応率は100%、DHPKに対する3,3’−ジ(モルホリノメチル)−4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン(DAM-DHPK)の選択率は61.1%であった。
この反応終了液を徐冷して、析出した結晶を濾別除去し、反応性生物を含む濾液を得た。
得られた濾液をエバポレーターで減圧濃縮し、DAM-DHPK51.4gを黄土色アメ状固体として得た。DHPKに対する収率は44.6モル%で、純度は89.4%(HPLC分析による)、分子量(質量分析法による)は411(M−H)であった。
【0041】
(第二工程)
撹拌機、温度計を備えたオートクレーブに、第一工程で得られた3,3’−ジ(モルホリノメチル)−4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン51.4g、2−プロパノール 154.2g及び10%パラジウム担持カーボン触媒(湿潤品)0.8gを仕込み、室温下で、窒素で容器内の空気を置換し、続いて水素で容器内の窒素を置換した。その後、温度を110℃に昇温し、内圧を0.98〜1.0MPaに保つように水素を吹き込みながら撹拌下に6時間反応を行った。
得られた反応終了混合液を高速液体クロマトグラフィー分析により確認したところ、DAM−DHPKの反応率は100%、DAM−DHPKに対するDM−DHPKの選択率は77.8%であった。
【0042】
この反応終了混合液から、触媒を濾別除去した後、これを、撹拌機、温度計及び留出管を備えた1Lの四つ口フラスコに移した。その後、フラスコ内に窒素を導入し、窒素気流下に昇温して、触媒除去後の反応混合物から、2−プロパノール及びモルホリンを留去した後、これにメチルエチルケトンを添加した。メチルエチルケトンを添加した混合液を塩酸水で中和、水層を分液した後、得られた油層を水洗した。水洗後の油層からメチルエチルケトンを留去し、その後トルエンを添加した後、これを冷却し、析出した結晶を濾別した。得られた粗結晶をメチルイソブチルケトンに加温溶解した後、冷却し、析出した結晶を濾過、乾燥して、目的物の3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン4.7gを粉末結晶として得た。高速液体クロマトグラフィー分析による純度は89.8%で、DAM−DHPKに対する収率は15.6モル%であった。
DM-DHPKの同定データ
分子量(質量分析法) 241(M−H)
プロトンNMR分析(400MHz、重DMSO溶媒)
【0043】
【化12】

【0044】
【表3】

【実施例3】
【0045】
トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの製造
(第1工程)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン43.8g(0.15モル)、トルエン70.1gを仕込み、これに、撹拌下、25℃においてモルホリン43.1g(0.495モル)を30分かけて滴下した。その後、内温を40℃まで上昇させ、39〜45℃を保ちながら35%ホルマリン40.5g(0.473モル)を1時間かけて滴下した。内温を40〜42℃に保ちながら後撹拌を続けると途中で結晶が析出した。
このような後撹拌を16時間続けた後、これにさらに、モルホリン5.9g(0.068モル)と35%ホルマリン5.8g(0.068モル)をそれぞれ10分かけて滴下し、同温度において6時間撹拌を続けて反応を終了した。
得られた反応終了混合液をHPLCにより分析したところ、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンの反応率は100%、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンに対する生成物トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタンの選択率は63.9%であった。
この反応終了混合液を徐冷し、析出した結晶を濾過、乾燥して、トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタン59.0gを白色結晶として得た。トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンに対するは収率57mol%で、HPLCによる純度は85.2%であった。
【0046】
次いで、この粗結晶を更にトルエンで再結晶精製して、HPLCによる純度が93.6%の白色結晶のトリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタン37.4gを得た。
トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタンの同定データ
分子量(質量分析法) 588(M−H)
プロトンNMR分析(400MHz、重DMSO溶媒)
【0047】
【化13】

【0048】
【表4】

【0049】
(第二工程)
撹拌機、温度計を備えた1L容量のオートクレーブに、上記第一工程の反応で得られた、純度93.6%(HPLC法による)のトリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタン36.7g、2−プロパノール 146.8g、10%パラジウム担持カーボン触媒(湿潤品)0.4gを仕込み、室温下で、窒素で容器内の空気を置換し、続いて水素で容器内の窒素を置換した。その後、温度を127℃に昇温し、温度を127〜130℃、内圧を1.28〜1.32MPa(ゲージ圧)を保つように水素を吹き込みながら、撹拌下に3時間反応させた。
【0050】
得られた反応終了混合液をHPLCにより分析したところ、トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタン反応率は100%、トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタンに対する目的物のトリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの選択率は99.2%であった。
この反応終了混合液から、触媒を濾別除去した後、これを、撹拌機、温度計及び留出管を備えた1Lの四つ口フラスコに移した。その後、フラスコ内に窒素を導入し、窒素気流下に昇温して、触媒除去後の反応混合物から、2−プロパノール及びモルホリンを留去した後、これにメチルエチルケトンを添加した。メチルエチルケトンを添加した混合液を塩酸水で中和、水層を分液した後、得られた油層を水洗した。水洗後の油層からメチルエチルケトンを留去し、その後トルエンとメチルイソブチルケトンを添加した後、これを冷却し、析出した結晶を濾別した。目的物のトリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン17.7gを粉末結晶として得た。高速液体クロマトグラフィー分析による純度は94.2%で、原料トリス(4−ヒドロキシ−3−モルホリノメチルフェニル)メタンに対する収率は85.6モル%であった。
トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンの同定データ
分子量(質量分析法) 333(M−H)
プロトンNMR分析(400MHz、重DMSO溶媒)
【0051】
【化14】

【0052】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)のポリフェノール化合物に、2級アミンの存在下、ホルムアルデヒドを反応させて、ポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類を得(第一工程)、次いで得られたポリ(オルソ−アミノメチル)フェノール類のアミノメチル基を水素化触媒の存在下に水素化分解する(第二工程)ことを特徴とする下記一般式(2)で表されるポリオルソ−メチルフェノール類の製造方法。
【化1】

一般式(1)
(式中、Xは、―O−基、―S−基、カルボニル基、芳香族炭化水素基、又は炭素原子数1〜12の飽和炭化水素基を示し、nは2〜4の整数を示す。)
【化2】

一般式(2)
(式中、X及びnは一般式(1)のそれと同じである。)

【公開番号】特開2007−210906(P2007−210906A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30185(P2006−30185)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000243272)本州化学工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】