説明

ポリオレフィンナノコンポジット材料

下記成分:(A)結晶性又は半結晶性ポリオレフィン樹脂;及び(B)層化したナノサイズ無機充填剤を含むポリオレフィンナノコンポジット材料であって、層化無機充填剤の無機分の量がポリオレフィン樹脂(A)100重量部当り0.02〜3重量部であり、成分(A)の溶融流量値MFR(1)対ポリオレフィンナノコンポジット材料の溶融流量値MFR(2)のMFR(1)/MFR(2)比は少なくとも1.02である、前記ポリオレフィンコンポジット材料。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン及び少なくとも1つのナノサイズ無機充填剤を含むポリオレフィンナノコンポジット材料、並びにこのような材料の製造方法に関する。さらに詳細には、ナノコンポジット材料は有機粘土、ハイドロタルサイトまたはその他の層化された無機充填剤を含有する。本発明は、さらに、前記ナノコンポジット材料から形成された物品、特に繊維やフィルムに、及び当該繊維やフィルムの製造方法にも関する。さらに、詳細には、本発明は靭性、破断点伸び及び柔軟度の良好なバランスを示す繊維に関する。さらに、本発明は良好なバリヤー特性、収縮性及び引裂強さ並びに光学特性を示すフィルムにも関する。
【0002】
本明細書中で使用する「ナノサイズ充填剤」という用語は、少なくとも1つの寸法(長さ、幅又は厚さ)が約0.2〜約250ナノメートルの範囲の充填剤を意味する。
繊維の定義には、連続繊維、スパンレイド(spunlaid)法で製造された短繊維及び/又はフィラメント、テープ並びにモノフィラメント等がある。
【0003】
本発明では、ポリオレフィン繊維は、布用用途や衛生製品の使用に特に適している。
フィルムの定義には、キャスト、インフレート及び二軸延伸フィルム、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルム(biaxially oriented polypropylene films: BOPP)等があり、食品やたばこ包装用及びテープの使用に適している。
【0004】
ポリオレフィン樹脂及び少量のナノサイズ無機充填剤を含む複合材料は既に公知である。ポリオレフィンナノコンポジット材料の機械特性を改良するために異なる化学物質の前記2成分間の相容現象を向上させる。努力がなされてきた。
【0005】
例えば、米国特許第5910523号は、半結晶性ポリオレフィン及びナノサイズ無機充填剤を含むポリオレフィンナノコンポジット材料を記載し、ここで、該充填剤の表面は官能化された化合物で改質されている。
【0006】
WO 01/96467号は、グラフトコポリマーを含むポリオレフィンナノコンポジット材料を記載する。このグラフトコポリマーの製造は有機粘土の共存下で行い、その結果、生成物の機械特性に有意な改良が達成される。
【0007】
しかし、現在まで、ファイバーに使用されるポリオレフィンコンポジット材料は、上述のようなバランスの取れた性能を有するポリオレフィンファイバーを提供できなかった。さらに、従来ナノコンポジット材料によりもたらされる最も深刻な問題は、紡糸するのが困難なことである。
【0008】
本発明は、現在までに使用されたコンポジット材料の物理化学的特性と異なる特性を示すポリオレフィンコンポジット材料を提供することにより、ファイバーの製造における上述ポリオレフィンナノコンポジット材料の使用に関連する欠点を克服する。
【0009】
本発明のポリオレフィンコンポジット材料の追加の大きな利点は、当該材料が許容できる紡糸挙動を有する良好な延伸能力を示すことである。
ポリオレフィンコンポジット材料のフィルム製造についての使用も公知である。充填剤粒子の平均直径が約0.5〜40μmの範囲であるとき、ポリオレフィンコンポジット材料は、特に破損しやすいフィルムが製造される傾向を示すことが周知である(欧州特許第0659815号参照)。充填剤の添加が空隙を生じさせ、ワックスで満たされない限り、フィルムの透過性を増し得ることは同様に周知である(WO9903673参照)。したがって、充填剤の添加は、得られたフィルムの空隙、脆性及び不透明性を生じさせることが予期される。
【0010】
充填剤がナノサイズ充填剤のとき同じ効果が予測される。特に、二軸延伸フィルムについてゲル又はフィルム破損の形成を避けるナノサイズ充填剤の良好な分散を得るのは依然として困難である。
【0011】
本発明のポリオレフィンコンポジット材料を用いて製造したフィルムは、驚いたことに、通常の加工特性、良好な光学及び物理的−機械的特性並びに改良したバリヤー特性を発揮する。
【0012】
したがって、本発明は下記の成分を含むポリオレフィンナノコンポジット材料を提供する。前記成分は、
(A)結晶性又は半結晶性ポリオレフィン樹脂;及び
(B)層化した無機物(その好適な例は層状珪酸塩)を含むか又は実質的に層化した無機物から構成されるナノサイズ充填剤を含み、ここで、層化した無機物の無機分(すなわち、好適な例の珪酸塩)の量は、ポリオレフィン樹脂(A)の100重量部当たり0.02〜3、好ましくは、0.03〜3重量部であり、成分(A)の溶融流量値MFR(1)対ポリオレフィンナノコンポジット材料の溶融流量値MFR(2)のMFR(1)/MFR(2)比は、少なくとも1.02、好ましくは、少なくとも1.05、より好ましくは、少なくとも、1.1、さらにより好ましくは、少なくとも1.3、特に、1.02〜2、又は、1.05〜、又は1.1〜、又は、1.3〜2である。
【0013】
本発明のコンポジット材料は、典型的には、下記の特性を示す:
− 成分(A)で測定した値に関して、少なくとも1〜100%、好ましくは、20〜100%の曲げ弾性率の改善;
− 成分(A)で測定した値に関して、5〜50℃、好ましくは、10〜50℃の範囲の加熱撓み温度の改善;典型的には、組成物のHDTは、成分(A)がポリプロピレンであるとき、80℃よりも高い;
− 1〜800dg/分のMFR(2)値;の特性を示す。
【0014】
成分(A)、すなわち、ポリオレフィン樹脂は、好ましくは、プロピレンホモポリマー、又は、例えば、コポリマー若しくはターポリマーのような、プロピレンと、エチレン及び線状若しくは分枝状C4〜C8α−オレフィンから選択されるα−オレフィンとのランダム共重合体(interpolymer)のいずれかである。成分(A)は前記ポリマーの混合物であることもでき、この場合、混合比は重要でない。好ましくは、α−オレフィンは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン及び4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択される。コモノマー含量の好適な量は、0.5〜15wt%の範囲である。好適なポリオレフィン樹脂はプロピレンホモポリマーである。前記プロピレンポリマーはアイソタクチック型の立体規則性を示す。成分(A)はポリエチレン及びポリブテン−1から有利に選択できる。
【0015】
成分(A)がポリプロピレンであるとき、結晶性又は半結晶性ポリオレフィン樹脂の周囲温度(すなわち、約25℃)のキシレン中の不溶性は、55wt%より高い。成分(A)の溶融流量値は、好ましくは、5〜50g/10分の範囲で変動する。ポリオレフィンナノコンポジットは、化学的分解を受けて溶融流量を増加させることもできる。成分(A)がポリエチレンのとき、当該成分(A)の溶融流量値は、好ましくは、0.1〜10g/10分の範囲で変動する。成分(A)がポリブテン−1のとき、当該成分(A)の溶融流量値は、好ましくは、0.2〜50g/10分の範囲で変動する。
【0016】
溶融流量値(MFR)は、適切なISO 1133法に準ずる方法、特に、ポリプロピレンポリマーについて、230℃、216kgの条件のISO 1133に準ずる方法で、そして、1−ブテン又はエチレンポリマーについて、190℃、216kgの条件のISO 1133法に準ずる方法で測定される。前記ポリオレフィン樹脂は、高度に立体特異性のチグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒のような適切な触媒の存在下で関連モノマーの重合により製造する。特に、前記ポリオレフィン樹脂は、例えば、TiCl3に基づく触媒、又は塩化マグネシウムに担持したハロゲン化チタン化合物(特に、TiCl4)、及び適切な助触媒(特に、アルミニウムのアルキル化合物)を用いる低圧力チグラー・ナッタ重合により得ることができる。
【0017】
成分(B)、すなわち、層化無機充填物は、好ましくは、ナノヒドロタルサイト又はフィロシリケートから選択される。このような珪酸塩の特に好適な例はスメクタイトクレー及びナノゼオライトである。スメクタイトクレーには、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ベイデライト、ヘクトライト、ボヘマイト及びステベンサイト等がある。スメクタイトの他に本発明で使用できるクレーは、特に、カオリン、アタプルガイトクレー及びベントナイトクレー等がある。モンモリロナイトクレーが好適である。
【0018】
本発明のナノコンポジット材料の製造に使用される層化した無機充填剤(特に、層状珪酸塩)は、通常、有機成分部分を含む。有機成分部分の量は広く変動でき、カチオン交換容量(cationic exchange capacity: CEC)に関して表すことができる。本発明のポリオレフィンナノコンポジット材料に使用すべき好適な層化無機充填剤は、脱水状態の無機充填剤100g当たり70〜140、より好ましくは、120ミリ等量を超える範囲のCECを有する。
【0019】
有機成分として使用すべき好適な有機化合物は、例えば、ジメチル脱水素化タロー第四級アンモニウム塩のような有機アンモニウム塩である。
有機化合物は、メタルカチオン(特に、Na+及びCa++のような)を存在させるのではなくて、前記CEC値に実質的に等しい量で層化無機構造中に導入され、したがって、本発明のナノコンポジット材料の製造に使用される層化無機充填剤は、一般に、脱水状態で層化した無機充填剤100g当たり70〜140の範囲、より好ましくは、120ミリ等量を超える量で有機成分部分(1種以上の有機化合物から構成される)を含む。重量に関して、有機成分の量は、一般に、層化無機充填剤の総量に関して約45%以下であり、ここで、無機物自身は脱水形であると考えられる。それよりも高い有機成分の含量を排除しない、事実、良好な結果は、有機成分が40〜60重量%の場合も得られる。特に、層化無機充填剤が層状珪酸塩であるとき、層状珪酸塩は、好ましくは、無機部分のみを考慮するポリオレフィン樹脂(A)100重量部当たり0.1〜3重量部(pw)の量である。それは、無機充填剤の無機成分と有機成分とを考慮して計算すると、ポリオレフィン樹脂(A)の100重量部当たり0.2〜6重量部の無機充填剤の量である。
【0020】
ポリオレフィン樹脂(A)100重量部当り0.02〜0.1重量部(pw)のより低い範囲の無機充填剤含量(無機部分)は、当該材料の最大紡糸能力及びフィルターを変化させることなく長紡糸時間を必要とするとき、ファイバー用途で特に好適である。層状珪酸塩の上記の総ての量は脱水状態を基準にする。
【0021】
ポリオレフィンナノコンポジット材料は、場合により、ポリオレフィン樹脂中に無機充填剤をより良く分散させるために相容化剤(compatibilizer)を含ませることができる。相容化剤の例は極性モノマーを含むコポリマーである。極性モノマーは、好ましくは、カルボキシル基及び酸無水物のようなカルボキシル基の誘導体から選択される少なくとも一つの官能基を含有するものから選択される。一つ以上の官能基を有する上記極性モノマーの例は、不飽和二カルボン酸、特に、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸及び無水テトラヒドロフタル酸、無水フマル酸、前記無水酸類の相当する酸及び前記酸のC1〜C10線状及び分枝状ジアルキルエステルであり、無水マレイン酸が好適である。特に好適なものは、主鎖ポリマーがエチレン及びC3〜C10α−オレフィンから選択されるオレフィンのポリマーである場合のグラフト化コポリマーである。主鎖ポリマーは、好ましくは、成分(A)と同じオレフィン(類)から構成される。極性モノマーは、一般に、前記オレフィンに、グラフト化ポリオレフィンの総重量に関して0.4〜1.5重量%の量でグラフト化する。匹敵する量の遊離形態の極性モノマーもさらに存在できる。適切なグラフトコポリマーの例はポリプロピレン−g−無水マレイン酸である。
【0022】
存在する場合、相容化剤の量は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂成分(A)の重量に関して、0.5〜15重量%、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲である。より少量の相容化剤は排除されない。事実、ポリオレフィン樹脂成分(A)の重量に関して、極性モノマーの量が0.05〜1%、特に0.2〜0.4重量%でも良好な結果が得られる。
【0023】
本発明のポリオレフィンナノコンポジット材料中に存在する別の成分は当業界で慣用的に使用される添加剤、例えば、抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、静電防止剤、難燃剤、増量剤、成核剤、顔料、防汚剤(anti-soiling agent)、光増感剤等である。
【0024】
本発明の別の実施態様は、前記ポリオレフィンナノコンポジット材料の製造法である。本発明のナノコンポジット材料は、ポリオレフィン成分(A)、成分(B)及び相容化剤のような任意的追加成分を機械的にブレンドすることにより製造される。層化無機成分(B)は、純粋(無希釈)形態のポリオレフィン成分(A)にブレンドでき(一工程プロセス)、或いは、好ましくは、マスターバッチの一部としてブレンドできる。後者の場合、成分(B)は、ポリオレフィン成分(A)と同じ若しくは異なることのできるポリマー樹脂中に予め分散する。このようにして調製したマスターバッチは、次いで、ポリマー成分(A)と混合する。成分(B)は、好ましくは、成分(A)が溶融状態のときに成分(A)に加える。
【0025】
本発明のナノコンポジット組成物は慣用の装置を使用して製造できる。例えば、Buss押出機、一軸若しくは長さ/直径比が40を超える二軸スクリュー押出機のような押出機又はバンバリーミキサーのようなミキサーである。好適な押出機は、低い剪断応力値を発生することのできるスクリューを備えているものである。低値の長さ/直径比の押出機を持つものは特に排除されない。事実、長さ/直径比が15を超えるものから特に良好な結果が得ることができる。
【0026】
本発明のポリオレフィンナノコンポジット材料の製造法は少なくとも下記の2段階を含む:
1)ポリオレフィン樹脂と層化した無機充填剤(B)とを混合することによりマスターバッチを製造すること;及び
2)段階(1)で製造したマスターバッチとポリオレフィン成分(A)とを混合することの2段階である。ポリオレフィン樹脂が溶融状態の時に、好ましくは、当該ポリオレフィンにナノサイズ充填剤を加える。押出機中で、この充填剤をポリマーの溶融後に配置されたフィーダーで加える。相容化剤及び上記添加剤を段階(1)、段階(2)又は両段階のいずれかの間に加えることができる。相容化剤は、好ましくは、層化無機充填剤を加える前の段階(1)の間に加える。相容化剤及びその他の添加剤は、好ましくは、マスターバッチの成分であり、成分(A)が固体状態の時に成分(A)に加える。
【0027】
前記プロセスはポリオレフィンマトリックス中にナノコンポジットを均一に分散させ、無機充填剤(B)の高度剥脱(exfoliation)をもたらす。
マスターバッチ中の層化無機充填剤の量は、マスターバッチの総重量に関して、好ましくは、2〜40重量%、より好ましくは、2〜20重量%の無機充填剤(脱水体)である。
【0028】
上記プロセス段階(1)及び(2)は、好ましくは、下記の条件下で行う:
− ポリマー軟化温度よりも高い温度、特に、少なくとも180℃、好ましくは180〜200℃で混合;
− 30〜300秒-1、好ましくは、30〜150秒-1の範囲の剪断混合速度;
− 混合機中に80秒以上の滞留時間
である。
【0029】
ポリオレフィンマトリックス中で高度剥脱を示すナノサイズ充填剤の均一分散は、1段階プロセスでも得ることができる。
好適な1段階プロセスは、溶融ポリオレフィン成分(A)に直接未稀釈無機充填剤成分(B)の添加を含む。相容化剤及び他の添加剤(任意に添加できる)は、好ましくは、成分(A)を添加してから、ポリオレフィン(A)が依然として固体状態の時に、層化無機充填剤(B)の添加工程を行う。
【0030】
上記2段階プロセスについて報告した押出条件は、1工程プロセスにも適している。
本発明の別の実施態様は上述ポリオレフィンナノコンポジット材料から作られる繊維であり、したがって、前記材料を含むか当該材料から実質的に構成される。
【0031】
さらに本発明の別の実施態様は前記繊維を含む不織布である。
本発明の未延伸フィラメントは、典型的には、次の特性バランスを示す。すなわち、22cN/texよりも高いテナシィティー値(tenacity value)及び230%よりも高い破断点伸び値を示す。驚いたことに、通常は軟質性が悪くなる高テナシィティー値にもかかわらず、当該繊維の良好な軟質性も達成する。
【0032】
スパンボンド用途又は部分配向ヤーンに使用されるポリオレフィンの
【0033】
【数1】

【0034】
値がGPCにより測定して、典型的には2〜6,好ましくは2〜4であり、MFRが8〜150g/10分、好ましくは、12〜60g/10分である。
溶融拭込繊維(melt-blown fibers)の製造用のポリオレフィンナノコンポジット材料のMFR値が100g/10分以上、好ましくは、400g/10分以上であり、
【0035】
【数2】

【0036】
値が2〜10、好ましくは、2〜6である。
熱結合プロセス(thermalbonding processes)における繊維に使用されるポリオレフィンナノコンポジット材料の
【0037】
【数3】

【0038】
値は典型的には2〜10、好ましくは、4〜0であり、MFR値は4〜25g/10分、好ましくは、6〜25g/10分である。
本発明のさらに別の実施態様は、上述ポリオレフィンナノコンポジット材料から製造された二軸延伸、インフレーション又はキャストフィルムであり、したがって当該フィルムはポリオレフィンナノコンポジット材料を含むか実質的に当該材料から構成される。
【0039】
特に好適なものはBOPPフィルムであり、本発明に従って製造するとき、典型的には、O2、CO2及び水蒸気のような気体に関して改良したバリヤー特性を示す。特に、ナノサイズ充填剤を含有しない参照材料に関して、少なくとも15%のO2バリヤー活性の向上を観察する。
【0040】
本発明のBOPPフィルムの延伸適性は、延伸プロセス温度における参照材料に関してナノサイズ充填剤の添加でも悪化しない。典型的には、BOPPプロセスに使用されるポリオレフィンナノコンポジット材料の
【0041】
【数4】

【0042】
値は、4〜8であり、MFR値は1.5〜5g/10分である。
以下に特定の実施例を示すが、例証のためであり、本発明を限定するものではない。
下記の分析方法は、詳細な記述及び実施例中で報告した特性を決定するために使用した。
溶融流量(MFR): ISO法1133(ポリプロピレンについて230℃、2.16kg)に準拠。
25℃におけるキシレン可溶性及び不溶性画分: 135℃で攪拌下250mlのキシレンに2.5gのポリマーを溶解させる。20分後、継続攪拌下溶液を25℃に冷却し、次いで、30分間静置する。ろ紙で沈殿物を濾過し、窒素流中で溶液を蒸発させ、残留物を恒量に達するまで80℃真空下乾燥させる。室温で可溶ポリマー及び不溶ポリマーの重量割合を算出する。
曲げ弾性率: ISO 178に準拠。
密度: ISO 1183の準拠。
加熱撓み温度: ISO 75に準拠。
破断点伸び: ISO 527に準拠。
フィラメントタイター(Titre of filaments): 10cm長のロービングから、50繊維をランダムに選択し、秤量する。前記50繊維の総重量(mgで表す)に2を乗じ、それにより、デシテックスのタイターを得る。
フィラメントのテナシィティー及び伸び(破断点): 500mのロービングから、100mm長のセグメントを切断する。このセグメントから、テストする単繊維をランダムに選択する。テストする各単繊維をInstronダイナモメーター(1122型)のクランプに固定し(クランプ間の距離は20mm)、100%より低い伸びについて牽引速度20mm/分で、100%より大きい伸びについて牽引速度50mm/分張力をかけて破断させる。最終強度(破断点の荷重)及び破断点伸びを測定する。テナシィティーは下記の式を使用して誘導する。
【0043】
【数5】

【0044】
繊維軟質度: 触感により決定(パネル試験);軟質度感触を、「標準」(+)〜「非常に柔らかい」(+++)と増加する順に分類する。
フィルム曇り度: ASTM D−1003に準拠。
フィルム光沢: ISO 2813に準拠。
フィルム張力特性(引張弾性率、破断点応力、破断点伸び、降伏強さ、降伏点伸び、極限強さ): ISO 527−1,−2に準拠。
ゲル数: ASTM D−3354−93に準拠。
フィルムの摩擦係数(COF): ISO/DIS 8295に準拠。
エルメンドルフ: ISO 6383−2に準拠。
フィルム浸透性(ガス透過率): ASTM D1434−82(2003)に準拠。
【0045】
実施例1
段階(1):マスターバッチの製造
長さ/直径比が17の単軸スクリューBuss70押出機中で下記の成分を混合することによりマスターバッチを調製した。すなわち、当該成分は
1)チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造した、25℃で約3重量%のキシレン可溶性を示すアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR12)及び繊維のための慣用安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス88重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー5重量%;及び
3)ポリプロピレンにグラフトさせた0.7重量%の無水マレイン酸を有する無水マレイン酸−g−ポリプロピレン7重量%
である。
【0046】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:200℃;
− 押出機中の滞留時間:1.5分
− 剪断混合:100秒-1
である。
段階(2)ポリオレフィンナノコンポジット材料の製造
マスターバッチの製造後、下記の成分を混合することにより、段階(1)プロセスで使用したのと同じ型の押出機中でポリオレフィンナノコンポジット材料を製造した。すなわち、当該成分は
1)マスターバッチ中のマトリックスに使用したのと同じ型のアイソタクチックプロピレンホモポリマー97重量部(pw);及び
2)上で調製したマスターバッチ3pw
である。
【0047】
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、280℃の温度、1500m/分の紡糸速度及び0.4g/分・孔の一定出力で行った。次いで、得られた繊維を2250m/分最終引取速度に対して、1:15の延伸比で延伸した。最大紡糸可能速度は3900m/分だった。
【0048】
表1は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、並びにポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性及びポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0049】
実施例2及び比較例1(1c)
表1で報告したマスターバッチの量の変更以外は実施例1を繰り返した。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例3及び4並びに比較例3(3c)
段階(2)のポリオレフィンナノコンポジット材料の製造に使用したポリオレフィンマトリックスを変更させて実施例1を繰り返した。段階(2)で使用したポリオレフィンマトリックスは、シングルサイトメタロセン触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造し、
【0052】
【数6】

【0053】
値が3の分子量分布を有するアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR15)である。段階(2)で加えたマスターバッチの量を表2で報告したように変化させた。
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。紡糸温度は紡糸条件に合わせて変化させた。実施例3に対して実施例4ではFiber−MachineのHead Temperatureを上昇させることにより最大紡糸可能速度の増加が得られた。
【0054】
表2は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、並びにポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性及びポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0055】
【表2】

【0056】
実施例5
段階(1):マスターバッチの製造
長さ/直径比が27の二軸スクリュー押出機中で下記の成分を混合することによりマスターバッチを調製した。すなわち、当該成分は
1)チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造した、25℃で約3重量%のキシレン可溶性を示すアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR25)及び繊維のための慣用安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス88重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー5重量%;及び
3)ポリプロピレンにグラフトさせた0.7重量%の無水マレイン酸を有する無水マレイン酸−g−ポリプロピレン7重量%
である。
【0057】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:200℃;
− 押出機中の滞留時間:1.5分
− 剪断混合:100秒-1
である。
段階(2)ポリオレフィンナノコンポジット材料の製造
マスターバッチの製造後、下記の成分を混合することにより、段階(1)プロセスで使用したのと同じ型の押出機中でポリオレフィンナノコンポジット材料を製造した。すなわち、当該成分は
1)PCT特許出願WO2004/029342に記載されている方法にしたがって製造し、MFRが28.4及び25℃のキシレン中の可溶性が約11重量%の、エチレンを5重量%含有するランダムコポリマー97重量部(pw);及び
2)上で調製したマスターバッチ3pw
である。
【0058】
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、240℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0059】
表3は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0060】
実施例6及び比較例5(5c)
表3で報告した通りにマスターバッチの量を変化させた以外は実施例5を繰り返した。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例7〜11及び比較例7(7c)
長さ/直径比が27の二軸スクリュー押出機を使用して段階(1)でマスターバッチ及び段階(2)でナノコンポジット材料を製造する実施例5を繰り返した。両段階(1)及び(2)で使用したポリオレフィンマトリックスは、チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造し、25℃のキシレン中の可溶性が約3.5重量%のアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR29.2)である。
【0063】
段階(2)で加えたマスターバッチの量は表4で報告した通りに変化させた。
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、255℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0064】
表4は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性(ペレット)並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0065】
ペレット及び繊維のMFR値を比較することにより観察されるように、紡糸中の繊維劣化にナノサイズ充填剤は影響を与えない。
【0066】
【表4】

【0067】
実施例12〜16及比較例12(12c)
長さ/直径比が27の二軸スクリュー押出機を使用して段階(1)でマスターバッチ及び段階(2)でナノコンポジット材料を製造する実施例5を繰り返した。両段階(1)及び(2)で使用したポリオレフィンマトリックスは、シングルサイトメタロセン触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造し、
【0068】
【数7】

【0069】
値が3の分子量分布を有するアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR28.4)である。段階(2)で加えたマスターバッチの量を表5で報告したように変化させた。
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、255℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0070】
表5は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸プロセス条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0071】
【表5】

【0072】
実施例17〜19及び比較例17(17c)
下記を使用して実施例5を繰り返した。すなわち、
− 段階(1)のマスターバッチの製造について、チグラー・ナッタ触媒の存在下でブテン−1を重合することにより製造し、127℃の溶融温度を有するポリブテンホモポリマー(MFR4)及び慣用の繊維用安定剤配合物;並びに
− 段階(2)のポリオレフィンナノコンポジット材料の製造について、チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造し、25℃のキシレン中の可溶性が約3.9重量%であるアイソタクチックプロピレンホモポリマー(MFR25)
を使用して実施例5を繰り返した。
【0073】
段階(2)で加えるマスターバッチの量は、表6に報告するように変化させた。
下記の条件で実施例5と同様に二軸スクリュー押出機中で段階(1)及び(2)で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:180℃
− 押出機中の滞留時間:1.5分
− 剪断混合:100秒-1
だった。
【0074】
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、250℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0075】
表6は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸プロセス条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0076】
【表6】

【0077】
実施例20〜22及び比較例20(20c)
下記を使用して実施例17を繰り返した。すなわち、
− 段階(1)のマスターバッチの製造について実施例17と同じポリブテンホモポリマー;及び
− 段階(2)のポリオレフィンナノコンポジット材料の製造について、シングルサイトメタロセン触媒の存在下でプロピレンを重合することにより製造し、分子量分布
【0078】
【数8】

【0079】
値が3のアイソタクチックプロピレンホモポリマーを使用した。
段階(2)で加えるマスターバッチの量は、表7に報告するように変化させた。
段階(1)及び(2)の押出を実施例17と同じ条件で行った。
【0080】
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、250℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0081】
表7は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸プロセス条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0082】
【表7】

【0083】
実施例21〜23及び比較例21(21c)
下記を使用して実施例17を繰り返した。すなわち、
− 段階(1)のマスターバッチの製造及び段階(2)のポリオレフィンナノコンポジット材料の製造について、実施例17で使用したのと同じポリブテンホモポリマーを使用した。
【0084】
段階(2)で加えるマスターバッチの量は、表8に報告するように変化させた。
段階(1)及び(2)の押出を実施例17と同じ条件で行った。
繊維の製造
上述のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料をLeonardパイロットプラント中で紡糸し、連続繊維を製造した。紡糸工程は、210℃の温度、2700m/分の紡糸速度及び0.6g/分・孔の一定出力で行った。
【0085】
表8は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中の充填剤及び相容化剤の量、紡糸プロセス条件、ポリオレフィンナノコンポジット材料自身の特性並びにポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造した繊維の特性を報告する。
【0086】
【表8】

【0087】
実施例24
段階(1):マスターバッチの製造
長さ/直径比が27の二軸スクリュー押出機中で下記の成分を混合することによりマスターバッチを調製した。すなわち、当該成分は
1)チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造した、25℃で約4重量%のキシレン可溶性を示すアイソタクチックプロピレンホモポリマー及び慣用安定剤配合物(MFR1.8dg/分)含有するポリオレフィンマトリックス88重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite15Aで市販されている有機クレー5重量%;及び
3)ポリプロピレンにグラフトされた0.7重量%の無水マレイン酸を有する無水マレイン酸−g−ポリプロピレン7重量%
である。
【0088】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:210℃;
− 押出機中の滞留時間:2分
− 剪断混合:150秒-1
である。
段階(2)ポリオレフィンナノコンポジット材料の製造
マスターバッチの製造後、下記の成分を混合することにより、段階(1)プロセスで使用したのと同じ型の押出機中でポリオレフィンナノコンポジット材料を製造した。すなわち、当該成分は
1)マスターバッチ中のマトリックスに使用したのと同じ型のアイソタクチックプロピレンホモポリマー95重量部(pw);及び
2)上で調製したマスターバッチ5%pw
である。
【0089】
BOPPフィルムの製造
上記のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料を200℃のCARVERマシンで圧縮成形し、1mm厚さ及び60×60mmのプラークを得、次いで、TM−Longマシンを使用して150℃のオーブン温度で双方の方向で7×7の延伸比で延伸して21〜23μm厚さのBOPPを得た。
【0090】
表9は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中のナノ充填剤の量及びポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造したBOPPフィルムの特性を報告する。
実施例25及び比較例24(24c)
表9に報告した通りに変更したマスターバッチの量以外は実施例24を繰り返した。
【0091】
表9bは、BOPPフィルムを測定したガスバリヤー特性を報告する。
【0092】
【表9a】

【0093】
【表9b】

【0094】
実施例26
−1工程プロセス:
長さ/直径比27の二軸スクリュー押出機中で、ナノコンポジット材料を下記の成分を混合することにより製造した。すなわち、当該成分は、
1)スラリープロセスでチグラー・ナッタ触媒の存在下でエチレンを重合することにより製造し、密度0.957g/cm3(ISO 1183)及びMFR 0.38(230℃/5Kg、ISO 1133)を示す高密度PE(HDPE)からなり、慣用の安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス99.3重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー0.3重量%;及び
3)ポリエチレンと共重合した4重量%のアクリル酸及び7重量%のブチルアクリレートを有するエチレンとアクリル酸及びブチルアクリレートとのコポリマー0.4重量%
である。
【0095】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:200℃
− 押出機中の滞留時間:2分
− 剪断混合:150秒-1
である。
【0096】
インフレートフィルムの製造
上記のようにして得たポリオレフィンナノコンポジット材料を、ダイ直径80mm及びダイギャップ1.2mmの古典的インフレートフィルム用マシーン中で、220℃の溶融温度でブローンアップ比4:1で押出し、20℃の冷却空気温度を用いて、100μm厚さのフィルムを得た。
【0097】
表10は得られたインフレートフィルムの特性を報告する。
比較例26(26c)
表10で報告したようにナノ充填剤を添加しなかった以外は実施例26を繰り返した。
【0098】
【表10】

【0099】
比較例27及び比較例27(27c)
−1工程プロセス:
長さ/直径比27の二軸スクリュー押出機中で、ナノコンポジット材料を下記の成分を混合することにより製造した。すなわち、当該成分は、
1)スラリープロセスでチグラー・ナッタ触媒の存在下でエチレンを重合することにより製造し、密度0.946g/cm3(ISO 1183)及びMFR 1.8(230℃/5Kg、ISO 1133)を示す高密度PE(HDPE)からなり、慣用の安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス99.4重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー0.3重量%;及び
3)ポリエチレンと共重合した4重量%のアクリル酸及び7重量%のブチルアクリレートを有するエチレンとアクリル酸及びブチルアクリレートとのコポリマー0.3重量%
である。
【0100】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:190℃
− 押出機中の滞留時間:2分
− 剪断混合:200秒-1
である。
【0101】
キャストフィルムの製造
上記のようにして得たポリオレフィンナノコンポジット材料を、ダイ長さ50mmの古典的キャストフィルムマシーン中で溶融温度210℃押出し、チルロール温度50℃及びエアナイフ冷却15℃を用いて50μm厚さフィルムを得た。表11はキャストフィルム特性を報告する。
【0102】
比較例27(27c)
表11で報告したようにナノサイズ充填剤を添加しなかった以外は実施例27を繰り返した。
【0103】
【表11】

【0104】
実施例28
−1工程プロセス:
長さ/直径比27の二軸スクリュー押出機中で、ナノコンポジット材料を下記の成分を混合することにより製造した。すなわち、当該成分は、
1)チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合することにより製造し、25℃のキシレン可溶性が約4重量%であるアイソタクチックプロピレンホモポリマーからなり、慣用の安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス(MFR/L 1.8(dg/分))97.6重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー1重量%;及び
3)ポリプロピレンにグラフトさせた無水マレイン酸0.7重量%を有する無水マレイン酸−g−ポリプロピレン1.4重量%
である。
【0105】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:220℃
− 押出機中の滞留時間:2分
− 剪断混合:200秒-1
である。
【0106】
BOPPフィルムの製造
上記のようにして得られたポリオレフィンナノコンポジット材料を200℃のCARVERマシンで圧縮成形し、1mm厚さ及び60×60mmのプラークを得、次いで、TM−Longマシンを使用して150℃のオーブン温度で双方の方向で7×7の延伸比で延伸して21〜23μm厚さのBOPPフィルムを得た。
【0107】
表12は、最終ポリオレフィンナノコンポジット材料中のナノサイズ充填剤及び当該ポリオレフィンナノコンポジット材料を用いて製造したBOPPフィルムの特性を報告する。
【0108】
実施例29及び比較例28(28c)
表12で報告した通りに装填したマスターバッチの量以外実施例28を繰り返した。
表12bは、当該表中に報告した通りの異なる厚さののBOPPフィルムについて測定したガスバリヤー特性を報告する。
【0109】
【表12a】

【0110】
【表12b】

【0111】
実施例30
−1工程プロセス:
長さ/直径比27の二軸スクリュー押出機中で、ナノコンポジット材料を下記の成分を混合することにより製造した。すなわち、当該成分は、
1)チグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合することにより製造し、25℃のキシレン可溶性が約3重量%であるアイソタクチックプロピレンホモポリマーからなり、慣用の安定剤配合物を含有するポリオレフィンマトリックス(MFR11(dg/分))99.3重量%;
2)43重量%の有機成分(有機アンモニウム塩)を含有する、Southern Clay Products製商標Cloisite 15Aで市販されている有機クレー0.3重量%;及び
3)ポリプロピレンにグラフトさせた無水マレイン酸0.7重量%を有する無水マレイン酸−g−ポリプロピレン0.4重量%
である。
【0112】
下記の条件で押出を行った。すなわち、当該条件は、
− 押出温度:200℃
− 押出機中の滞留時間:2分
− 剪断混合:150秒-1
である。
【0113】
キャストフィルムの製造
上記のようにして得たポリオレフィンナノコンポジット材料を、ダイ長さ50mmの古典的キャストフィルムマシーン中で溶融温度220℃押出し、チルロール温度20℃及びエアナイフ冷却15℃を用いて50μm厚さフィルムを得た。表13はキャストフィルム特性を報告する。
【0114】
比較例30(30c)
表13で報告したようにナノ充填剤を添加しなかった以外は実施例30を繰り返した。
【0115】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分:
(A)結晶性又は半結晶性ポリオレフィン樹脂;及び
(B)層化した無機物を含むナノサイズ充填剤
を含むポリオレフィンナノコンポジット材料であって、層化無機物の無機分の量がポリオレフィン樹脂(A)100重量部当り0.02〜3重量部であり、成分(A)の溶融流量値MFR(1)対ポリオレフィンナノコンポジット材料の溶融流量値MFR(2)のMFR(1)/MFR(2)比は少なくとも1.02である、前記ポリオレフィンコンポジット材料。
【請求項2】
成分(B)が層状珪酸塩である請求項1に記載のポリオレフィンコンポジット材料。
【請求項3】
層化無機物の無機分の量はポリオレフィン樹脂(A)100重量部当り0.03〜3重量部である請求項1に記載のポリオレフィンコンポジット材料。
【請求項4】
グラフト化ポリオレフィンから選択される相容化剤をさらに含む請求項1記載の材料。
【請求項5】
請求項1に記載のポリオレフィンコンポジット材料の製造方法であって、
1)ポリオレフィン樹脂とナノサイズ無機充填剤(B)とを混合することによりマスターバッチを製造すること;及び
2)段階(1)で製造したマスターバッチとポリオレフィン成分(A)とを混合すること
を含む前記材料の製造方法。
【請求項6】
前記ナノサイズ無機充填剤(B)をポリオレフィン樹脂が溶融状態のときに当該ポリオレフィンに加える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
溶融ポリオレフィン成分(A)に直接的に未稀釈無機充填剤(B)を添加する一工程を含む請求項1に記載のポリオレフィンコンポジット材料の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のナノコンポジット材料を含む繊維。
【請求項9】
請求項8に記載の繊維を含む不織布。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載のナノコンポジット材料を含むフィルム。

【公表番号】特表2008−542511(P2008−542511A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515178(P2008−515178)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062635
【国際公開番号】WO2006/131450
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506126071)バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (138)
【Fターム(参考)】