説明

ポリカチオン−ポリアニオンの複合体、組成物およびその使用方法

本発明の一態様は、ある疾患に罹患する患者の治療のための高分子電解質分子を含む組成物および方法に関する。本発明の態様は、ある高分子電解質の組成物の治療における使用に関する。本発明に従って、例えば、細胞増殖を抑制または停止し、細胞を破壊し(例えば、壊死またはアポトーシス経路を介して)、線維症を促進し、またはそれらの組合せを実施するために高分子電解質の組成物を使用してもよい。本発明の一態様では、高分子電解質の特定の毒性(例えば、細胞毒性)を治療に活用する。ある実施形態では、対象の体内における、他の領域で望ましくない毒性を最小化しながら、対象の体内における既定領域を高分子電解質毒性の標的にするために本発明の組成物および方法を使用する。ある実施形態では、本発明は、高分子電解質の組成物を使用する、肺容量減少療法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、2005年11月2日出願の米国仮特許出願第60/732,987号の優先権を主張し、それを参照することによりその全体を本願に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明のある態様は、治療法における特定の高分子電解質組成物の使用に関する。本発明に従って、高分子電解質の組成物を使用して、細胞増殖を抑制または停止し、細胞を破壊し(例えば、壊死またはアポトーシス経路を介して)、線維症を促進し、またはこれらを組み合わせて行ってもよい。本発明の一態様では、高分子電解質の特定の毒性作用(例、細胞毒性)を治療の目的に利用する。ある実施形態では、対象の体内の他の領域での望ましくない毒性を最小限にしながら、対象の体内の所定の領域に対する高分子電解質毒性を標的として、本発明の組成物および方法を使用する。
【背景技術】
【0003】
肺気腫は、150万から200万人の米国人に発症する慢性閉塞性肺疾患(COPD)のうち最も多い病型であリ、この値は世界的な患者数の3〜4倍に相当する(非特許文献1及び2)。 肺気腫は、吸入毒素に応答して炎症細胞から酵素が放出されることに起因する、末梢気道および肺実質の破壊により特徴付けられる(非特許文献3)。通常、喫煙によって本炎症過程が開始されるが、肺気腫がかなり進行した段階に到達する場合、継続的に喫煙していなくても、弱まることなく進行する傾向がある(非特許文献4)。
【0004】
肺気腫の組織の損傷の誘起に関与する酵素の種類は、プロテアーゼとして知られている。これらの酵素は体内で炎症細胞により合成され、放出時には、機械的完全性および弾性を肺へ提供するコラーゲンおよび弾力繊維を分解する役割を果たす(非特許文献5)。これらの酵素の作用の結果生じる構造変化は、不可逆的、蓄積的であり、呼吸予備力が制限され、機能的能力が低下する患者を最終的に放置する、肺機能の喪失と関連している(非特許文献6及び7)。
【0005】
有効な治療法が存在するぜんそくや慢性気管支炎などのCOPDの他の一般的な病型とは対照的に、従来の治療法は、肺気腫を患う患者には、効果が限られている。肺気腫、ぜんそく、および慢性気管支炎のそれぞれは、慢性気流閉塞を引き起こし、運動能力を制限し、息切れを起こすが、ぜんそくおよび慢性気管支炎における異常部位および異常の性質は、肺気腫のものとは根本的に異なる。ぜんそくおよび慢性気管支炎では、平滑筋収縮および粘液分泌過多に起因する気道狭窄によって、気流通過の制限が引き起こされる。気道平滑筋を緩和し、蓄積分泌物を緩和する薬剤は、呼吸機能を向上させ、症状を緩和させるという点で有効である。このように作用する薬剤としては、β拮抗薬および吸入抗コリン薬、経口用テオフィリン製剤、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイド、および粘液溶解薬が挙げられる。
【0006】
対照的に、肺気腫の気流通過の制限の主原因は、気道狭窄または気道閉塞ではなく、組織の破壊の結果としての弾性反動力の喪失である。弾性反動力の喪失は、十分に息を吐き出す能力障害をきたし、過膨脹およびガス捕集を引き起こす。気管支拡張薬、抗炎症薬、および粘液溶解薬は、肺気腫を患う患者に頻繁に処方されるが、主として気道疾患によって引き起こされる閉塞を対象とするため、一般に用途が限られている。肺気腫の気流通過の制限の主原因である弾性反動力の喪失に対処する方法はない(非特許文献8)。
【0007】
進行肺気腫に対する薬学的治療が期待はずれである一方、肺気腫の非医学的な治療が近年明らかになり、臨床効果を示している。本治療は、肺容量減少手術(LVRS)である(非特許文献9)。
【0008】
LVRSは、本来、肺気腫に対する手術療法として、Dr. Otto Brantiganにより1950年代後半に提案された。概念は、肺気腫では、肺が柔軟性のない胸腔に対して「大き過ぎる」ため、肺組織の切除術によって肺の大きさを縮小させて、胸部内に適合させ、機能させることを提案する、臨床的観察から生じた。LVRSの最初の実験は、この手術が症状的かつ機能的に、多くの患者に役立つことが確認された。残念ながら、16%の手術死亡率に加えて、向上の客観的な転帰が提供されないことから、LVRSの最初の放棄につながった。
【0009】
LVRSは、肺気腫を患う患者へのさらに厳しい術前の評価基準および最新の術後管理スキームを適用したDr. Joel Cooperの尽力によって、1994年に一般的な臨床応用が許可された(非特許文献10)。Cooper氏により、LVRSを施された進行肺気腫を患う20人の患者群における肺機能および運動能力における劇的な向上が報告された。90日の検証で死亡は確認されず、生理的および機能的向上は薬物療法のみを行ったものに比べて顕著に良好であった。
【0010】
他のほとんどのセンタでは、劇的な利点はあまり報告されてないものの、LVRSは、呼吸機能および運動能力の向上、日常生活に支障を来たすような呼吸困難の症状の軽減、および進行肺気腫を患う患者の生活の質の向上において、効果的であることが証明されている(非特許文献11〜15)。多数のコホート研究、最近完成した小規模の無作為化臨床試験、および全米肺気腫治療試験(NETT)において、容量減少の利点が確認された(非特許文献16〜19)。平均して75〜80%の患者について、LVRSへの有益な臨床反応が認められた(3ヶ月の検証で、FEVにおいて12%以上の向上と一般に定義される)。一般に、ピーク応答は、術後3ヶ月から6ヶ月の間に生じ、向上は、数年持続した(非特許文献20及び21)。NETTからの結果は、肺気腫を患う患者の一部、特に、上葉の疾患を患い、運動能力が減少した患者において、29ヶ月での死亡率が減少したことをさらに示した。
【0011】
総じて、これらのデータは、LVRSが多くの患者の生活の質および運動能力を向上させ、進行肺気腫を患う、はるかに少数の患者における死亡率を減少させることを示している。残念ながら、NETTはまた、生活の質で調整した生存年数の転帰の期間を考慮すると、その処置は非常に高額であり、LVRSは5〜6%の90日の死亡率に関連することを確認した(非特許文献22〜26)。さらには、LVRS後の死亡率は、一般的(40〜50%)であり、長期的な術後の空気漏れ、呼吸不全、肺炎、心不整脈、および消化管の合併症が多発することが挙げられる。同一の生理学的効果を生じることが可能な、侵襲性が少なく、より費用のかからない代替法が望ましい。
【0012】
肺容量減少を達成するためにヒドロゲル系の方式が開発および試験されており、その有効性が、健全なヒツジおよび実験的肺気腫を患うヒツジの双方において確認された(非特許文献27)。本方式は、気管支鏡を使用し、ダブルルーメンカテーテルを介して肺へ投与することが可能な急速に重合される、フィブリン系のヒドロゲルを使用する。フィブリン系の方式は、側副換気を効果的に閉塞させ、界面活性を抑制して虚脱を促進し、4〜6週間に渡って継続するリモデリングプロセスを開始する。治療は、一貫して、有効な肺容量の減少をもたらす。これらの研究では、肺容量減少療法を行なうため、肺において、フィブリン系のヒドロゲルの使用の安全性および有効性が確認された。
【非特許文献1】American Thoracic Society Consensus Committee “Standards for the diagnosis and care of patients with chronic obstructive pulmonary disease,” Am. J. Resp. Crit. Care Med. 1995, 152, 78-83
【非特許文献2】Pauwels, R., et al. “Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease,” Am. J. Resp. Crit. Care Med. 2001, 163, 1256-1271
【非特許文献3】Stockley, R. “Neutrophils and protease/antiprotease imbalance,” Am. J. Resp. Crit. Care Med. 1999, 160, S49-S52
【非特許文献4】Rutgers, S.R., et al. “Ongoing airway inflammation inpatients with COPD who do not currently smoke,” Thorax 2000, 55, 12-18
【非特許文献5】Jeffery, P. “Structural and inflammatory changes in COPD: a comparison with asthma,” Thorax 1998, 53, 129-136
【非特許文献6】Spencer, S. et al. “Health status deterioration inpatients with chronic obstructive pulmonary disease,” Am. J. Resp. Crit. Care Med. 2001, 163, 122-128;
【非特許文献7】Moy, M.L., et al. “Health-related quality of life improves following pulmonary rehabilitation and lung volume reduction surgery,” Chest 1999, 115, 383-389
【非特許文献8】Barnes, P. “Chronic Obstructive Pulmonary Disease,” N. Engl. J. Med. 2000, 343(4), 269-280
【非特許文献9】Flaherty, K.R. and F J. Martinez “Lung volume reduction surgery for emphysema,” Clin. Chest Med. 2000, 21(4), 819-48
【非特許文献10】Cooper, J.D., et al. “Bilateral pneumonectomy for chornic obstructive pulmonary disease,” J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 1995, 109, 106-119
【非特許文献11】Gelb, A.F., et al. “Mechanism of short-term improvement in lung function after emphysema resection,” Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1996, 154, 945-51
【非特許文献12】Gelb, A.F., et al. “Serial lung function and elastic recoil 2 years after lung volume reduction surgery for emphysema,” Chest 1998, 113(6), 1497-506
【非特許文献13】Criner, G. and G.E. D'Alonzo, Jr., “Lung volume reduction surgery: finding its role in the treatment of patients with severe COPD,” J. Am. Osteopath. Assoc. 1998, 98(7), 371
【非特許文献14】Brenner, M., et al. “Lung volume reduction surgery for emphysema,” Chest 1996, 110(1), 205-18
【非特許文献15】Ingenito, E.P., et al. “Relationship between preoperative inspiratory lung resistance and the outcome of lung-volume-reduction surgery for emphysema,” N. Engl. J. Med. 1998, 338, 1181-1185
【非特許文献16】Goodnight-White, S., et al. “Prospective randomized controlled trial comparing bilateral volume reduction surgery to medical therapy alone inpatients with severe emphysema,” Chest 2000, 118(Suppl 4), 1028
【非特許文献17】Geddes, D., et al. “L-effects of lung volume reduction surgery inpatients with emphysema,” N. Eng. J. Med. 2000, 343, 239-245
【非特許文献18】Pompeo, E., et al. “Reduction pneumoplasty versus respiratory rehabilitation in severe emphysema: a randomized study,” Ann. Thorac. Surg. 2000, 2000(70), 948-954
【非特許文献19】Fishman, A., et al. “A randomized trial comparing lung-volume-reduction surgery with medical therapy for severe emphysema,” N. Eng. J. Med. 2003, 348(21): 2059-73
【非特許文献20】Cooper, J.D. and S.S. Lefrak “Lung-reduction surgery: 5 years on,” Lancet 1999, 353(Suppl 1), 26-27
【非特許文献21】Gelb, A.F., et al. “Lung function 4 years after lung volume reduction surgery for emphysema,” Chest 1999, 116(6), 1608-15
【非特許文献22】Chatila, W., S. Furukawa, and G.J. Criner, “Acute respiratory failure after lung volume reduction surgery,” Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2000, 162, 1292-6
【非特許文献23】Cordova, F.C. and G.J. Criner, “Surgery for chronic obstructive pulmonary disease: the place for lung volume reduction and transplantation,” Curr. Opin. Pulm. Med. 2001, 7(2), 93-104
【非特許文献24】Swanson, S.J., et al. “No-cut thoracoscopic lung placation: a new technique for lung volume reduction surgery,” J. Am. Coll. Surg. 1997, 185(1), 25-32
【非特許文献25】Sema, D.L., et al. “Survival after unilateral versus bilateral lung volume reduction surgery for emphysema,” J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 1999, 118(6), 1101-9
【非特許文献26】Fishman, A., et al. “A randomized trial comparing lung-volume-reduction surgery with medical therapy for severe emphysema,” N. Engl. J. Med. 2003, 348(21), 2059-73
【非特許文献27】Ingenito, E.P., et al. “Bronchoscopic Lung Volume Reduction Using Tissue Engineering Principles,” Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2003, 167, 771-778
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
肺容量減少を達成する機構である硬化療法では、特定の体内腔(例えば、血管または卵管)へ化学性刺激物(硬化剤)を注入し、炎症、結合組織の増殖(すなわち、線維症)、および内腔の最終閉塞を引き起こす。代表的な硬化剤としては、浄化剤、浸透圧性薬剤、および化学性刺激物が挙げられる。テトラデシル硫酸ナトリウム(Sotradecol)、ポリドカノール(Aethoxysclerol)、モルイン酸ナトリウム(Scleromate)、およびオレイン酸エタノールアミン(Ethamolin)などの浄化剤は、静脈細胞膜を分解する。塩化ナトリウム溶液およびデキストロース(Sclerodex)を含む塩化ナトリウム溶液などの浸透圧性薬剤は、水収支をシフトさせることにより細胞を損傷する。クロメート化されたグリセリン(Sclermo)、過酸化物およびポリヨード化されたヨウ素などの化学性刺激物は、細胞壁を損傷する。また、タルクは硬化剤として肺に使用することもできる(例、胸膜癒着術)。エタノールおよび酢酸は、硬化剤として血管に使用される。しかしながら、これらは、効果的な局所性硬化療法用の組成物および方法の、本技術分野における必要性が残されている。こういった組成物および方法を、ここに開示する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある態様は、治療法における特定の高分子電解質組成物の使用に関する。本発明に従って、高分子電解質の組成物を使用して、細胞増殖を抑制または停止し、細胞を破壊し(例えば、壊死またはアポトーシス経路を介して)、線維症を促進し、またはこれらを組み合わせて行ってもよい。本発明の一態様では、高分子電解質の特定の毒性作用(例、細胞毒性)を治療の目的に利用する。ある実施形態では、対象の体内の他の領域での望ましくない毒性を最小限にしながら、対象の体内の所定の領域に対する高分子電解質毒性を標的として、本発明の組成物および方法を使用する。
【0015】
本発明に従う対象は、哺乳動物であってよい。例えば、対象は、ヒト、ペット、家庭動物、農場動物であって構わない。ある実施形態では、対象は、犬、猫、馬、ヒツジ、ヤギ、霊長類、牛、豚、ラット、マウス、または他の動物であって差し支えない。
【0016】
治療することができる疾病は、異常細胞の成長および/または増殖が望ましくない、任意の状態であって構わない。治療法には、さらなる成長または増殖の予防または異常細胞または組織の致死が含まれてもよい。他の実施形態では、治療することができる疾病は、線維症(例えば、瘢痕)が有用であろう任意の状態を含んで差し支えない。例えば、異常組織の機械的性質に関連する状態(例、肺気腫)では、瘢痕を促進することにより治療して差し支えない。最後に、瘢痕は、創傷治癒、組織と組織の結合、および/または組織移植の結合が役立つ状態下での治療であってもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、細胞成長を抑制し、細胞を破壊し、および/または線維症を促進するために十分な活性を保持しながら、カチオンの毒性(例、細胞傷害性)作用を減少する1つ以上の追加の化合物と組み合わせてポリカチオンを提供して差し支えない。ある実施形態では、ポリカチオンは、ポリカチオンの電荷と釣り合う対イオン(例、ポリアニオン)と複合体を形成してもよい。従って、いくつかの実施形態では、正味の正電荷が減少したポリカチオン複合体を療法治療に使用して構わない。
【0018】
本発明のいくつかの態様では、対象に投与する場合、ゲル(例えば、ヒドロゲル)または他の固定化製剤(クリーム、充てん材など)にポリカチオンを提供して、一般の毒性の副作用を低減させて差し支えない。いくつかの実施形態では、固定化製剤は、治療上のポリカチオンの遅延放出を提供する。
【0019】
当然ながら、本発明の組成物に1つ以上の追加の化合物(例えば、治療的化合物、安定化化合物、抗生物質、成長因子など)、緩衝液、塩、界面活性剤、抗界面活性剤、脂質、賦形剤、および/または他の適切な化合物を含めてもよいことが理解されるべきである。ある実施形態では、本発明の組成物を殺菌してもよい。本願に記載されるように、本発明の製剤は、過度の毒性の副作用を引き起こすことなく、治療に役立てることができる特定の毒性または他の作用を保持するために必要とされる正電荷の閾値数を保持しながら、ポリカチオンにおける正電荷の数を減らすため(特定の毒性の強度を減らすため)に使用して構わない。いくつかの実施形態では、ポリカチオンにおける正電荷の数は、ポリカチオンをアニオン(例、ポリアニオン)と複合体化させたり、正電荷の数を減少する特定の塩またはpH条件を使用したり、ポリカチオンを修飾して、正電荷の数を減少させたり、および/または他の適切な技術を試用してポリカチオンにおける正電荷の数を減少させて差し支えない。
【0020】
ある実施形態では、本発明の組成物は、体内の組織と接触する際に、次の応答のうち1つ以上を利用して、促進させて差し支えない:硬化症(硬化した組織)、繊維症(過度の線維性結合組織)、創傷治癒、組織密閉、局所微小血管血栓症(血液凝固)、細胞壊死または細胞自然死(細胞死)、腫瘍の緩解、細胞溶解、またはその組合せ。
【0021】
本発明の他の利点および新規の特性は、本発明の様々な限定されない実施形態についての以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のある態様は、ある疾患に罹患する患者の治療に関連する組成物および方法、さらに具体的に言えば、ある疾患に罹患する患者の治療に関連する1つ以上のポリカチオン(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)を含む組成物および方法に関する。場合によっては、体内の標的領域内の特定の反応(例えば、硬化症および線維症)を誘発するポリカチオンを含む組成物を投与することにより、前記疾患を治療することができる。ポリカチオンの組成物は、望ましい特定の反応により変化しうる。ある実施形態では、体内の局所領域において、ポリカチオン組成物を投与することが望ましい。従って、治療薬の局所送達を誘発するために特定の形態(例えば、ゲル)で、前記ポリカチオン組成物を投与して差し支えない。
【0023】
いくつかのポリカチオンは、特定の濃度において、細胞に対して毒性があり、瘢痕、繊維症、および体内における通常好ましくない他の生理学的反応を生じることがある。しかしながら、これらのポリカチオンが、体内のある罹患領域へ制御可能なように、かつ、局所的に投与される場合、ポリカチオンにより誘発された生理学的反応は、治療上有益であって差し支えない。例えば、患者に投与する場合、ポリリジンは、瘢痕および一般毒性(例、腎臓毒性)を生じてもよい。しかしながら、本発明のある態様によれば、特定の病状を有する患者は、罹患領域に瘢痕などの損傷を生じることにより治療され手差し支えなく、ポリカチオンは、効果的であってよく、下記にさらに詳細に述べるように、症状の好転を生じてもよい。ポリカチオンを含む組成物を投与することにより、体内の特定の罹患領域に瘢痕を生じうる。体内の他の非罹患領域に有害な影響を及ぼすことを避けるために、局所的に組成物を投与することが好ましい。いくつかの実施形態では、本願に記載されるように、有益な治療効果を保持しながら、毒性を減らすために、ポリカチオンをポリアニオンと複合体化させる。
【0024】
本発明の一態様は、体内のある罹患領域に毒性があって差し支えないが、非毒性の治療用複合体に定められる量のポリカチオンを含む組成物に関連するが、罹患領域に治療効果を生じうる。ある実施形態では、複合化されたポリカチオンは、正味の正電荷を保持する。しかしながら、前記正味の正電荷は、複合化していないポリカチオンの正味の正電荷よりも小さい。
【0025】
本発明の一態様は、体内のある罹患領域に毒性があって差し支えない量のポリカチオンを含む組成物に関連するが、非毒性の量のポリカチオンの放出を生じる形態で提供され、それにより罹患領域に治療効果を生じる。
【0026】
本発明の別の態様は、ポリカチオンを含む組成物を治療に使用することによる、哺乳類の体内における特定の反応の誘発に関連する。そのような反応としては、下記に詳細に述べるように、硬化症、繊維症、創傷治癒、組織密閉、組織シーリング、局所微小血管血栓症、細胞壊死などが挙げられる。
【0027】
本発明はまた、ポリカチオンを含む組成物を使用する、ある病状の治療に関連する。一態様では、ポリカチオン組成物は、肺の罹患部の限局性繊維症を促進することにより肺気腫(慢性閉塞性肺疾患(COPD))を治療するのに使用される。場合によっては、限局性繊維症は、肺容量減少(LVR)を達成するための手段である。
【0028】
一実施形態では、ポリカチオン組成物は、適切な形態で(例えば、ゲル、溶液、または懸濁液)肺の標的罹患領域へ投与される。ポリカチオン組成物は、場合によっては、細胞破壊組成物としての役目を果たすものであってよい。一特定の実施形態では、ポリカチオンは、罹患領域の上皮細胞へ損傷を生じる効果的な量で、ゲルから制御可能的に放出される。肺の標的部の全部または一部において、上皮バリアーを除去することにより、肺容量減少の効果(例えば、BLVR)が向上することが示されている。呼吸機能が肺の一部を損傷または除去することにより向上することは反直感的であるように思われるかもしれないが、過度に膨張した組織(異質性肺気腫を患う患者に認められるように)を摘出することにより、肺の隣接領域をさらに通常よりも膨張することができる。つまり、この膨張は、反動およびガス交換を向上させうる。同質性肺気腫を患う患者でさえ、異常肺の切除によって、肺容量の全体的な減少、弾性反動力の増加、および通常の方向へ静的コンプライアンス曲線の変動を生じるため、LVRの恩恵を受ける[Hoppin, Am. J. Resp. Crit. Care Med. 1997, 155, 520-525]。
【0029】
本発明の態様によれば、以下に詳細を論述するように、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−L−アルギニン、ポリ−オルニチン、ポリ−エチルアミンなどを含むがそれらに限定されない、様々なポリカチオンを使用して差し支えない。様々な濃度(例えば、0.1%〜5.0%、または約0.5%、または約1%、または約2%)を使用してもよい。ポリカチオンの効能に応じて、高濃度または低濃度で使用してもよい。別異のポリカチオンは、別異の効能を有していてよいことが理解されるべきである。本願に記載される本発明のポリカチオン組成物を他の治療用途に使用してもよい。
【0030】
定義
便宜上、本発明の詳細な説明の前に、詳述、実施例、および添付の特許請求の範囲に使用される用語をここにまとめる。開示の注意の観点から、当業者により理解されるように、これらの定義が読まれるべきである。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる不定冠詞「a」および「an」は、それとは反対に明白に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解するべきである。
【0032】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる語句「および/または」は、非常に結合した要素の「一方または両方」を意味することを理解するべきであり、すなわち、要素は、場合によっては、接続的に示され、他の場合によっては、選言的に示される。「および/または」に記載される多数の要素は、同一方法において解釈されるべきであり、すなわち、要素の「1つ以上」が非常に結合している。他の要素は、特異的に同定された要素も関連するか関連しないかに関わらず、任意的に「および/または」の句により明示的に特定された要素以外を示してもよい。従って、限定されない実施例として、「構成する」などの制限のない語句とともに使用される場合、「Aおよび/またはB」の記述は、一実施形態では、Aのみ(B以外の要素を任意的に含む)、別の実施形態では、Bのみ(A以外の要素を任意的に含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(他の要素を任意的に含む)などを意味することができる。
【0033】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる「または」は、上記で定義されるように、「および/または」と同一の意味を有することを理解するべきである。例えば、リストの項目が分離している場合、「または」または「および/または」は、含有している、すなわち、少なくとも1つを含むとともに、1つ以上、複数の要素または要素のリスト、任意的に、追加のリストに載っていない項目もまた含むこともあるとして解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちのまさに1つ」などのそれとは反対に明白に示されない唯一の用語、または特許請求項の範囲で使用される場合、「から成る」は、複数の要素または要素のリストのまさに1つの含有を意味するであろう。一般に、本明細書で用いられる「または」とは、「一方」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちのまさに1つ」などの相互排他的な用語により優先される場合、相互排他的な代替(すなわち、「両方ではなく、1つまたはその他」)を示すとしてのみ、解釈される。「基本的に〜から成る」は、特許請求項の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに関して、要素のリスト内に明示的に記載された、それぞれおよびすべての少なくとも1つの要素を含む必要はないが、要素のリストのいずれの要素の組み合わせに限定されない、リストのいずれの1つ以上の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味することを理解するべきである。本定義はまた、明示的に特定された要素も関連するか関連しないかに関わらず、語句「少なくとも1つ」を意味する、要素のリスト内に明示的に記載された要素以外を任意的に示してもよい。従って、限定されない例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」または「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」は、一実施形態では、少なくとも1つに、Bがないが1つ以上のAを任意的に含み(B以外の要素を任意的に含む)、別の実施形態では、少なくとも1つに、Aがないが1つ以上のBを任意的に含み(A以外の要素を任意的に含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つに、1つ以上のAを任意的に含み、少なくとも1つに1つ以上のBを任意的に含む(他の要素を任意的に含む)などを意味することができる。
【0035】
また、それとは反対に明白に示されない限り、1つ以上のステップまたは行為を含む本願の特許請求項に主張されたいずれの方法において、方法のステップまたは行為の順序は、前記方法のステップまたは行為が記載された順序に限定される必要がないことも理解されるべきである。
【0036】
上記の明細書に加えて、特許請求の範囲では、「備える」、「含む」、「運搬する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「持つ」、「を含んで成る」などのすべての移行句は、制限のない、すなわち、それらを含むがそれらに限定されないことを意味する。移行句「から成る」および「実質的に〜から成る」のみが、米国特許審査手続便覧庁マニュアル第2111.03条に記載の閉鎖的および半閉鎖的移行句である。
【0037】
「アミノ酸」とは、アミノ酸類似体および誘導体を含めたアミノ官能基および酸性官能基の両方を含む、自然か人工かに関わらない、すべての化合物を含有することが意図されている。ある実施形態では、本発明に検討されたアミノ酸は、タンパク質に認められる天然のアミノ酸、または前記アミノ酸の天然の同化または異化生成物であり、アミノ基およびカルボキシル基を含む。
【0038】
天然のアミノ酸は、アミノ酸の俗称に対応し、以下のリストに従って、従来の3文字および/または1文字の略号により完全に特定される。アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、グニシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、およびバリン(Val)。略号は、ペプチド技術で受け入れられ、IUPAC−IUB生化学命名委員会で推奨される。
【0039】
「アミノ酸」には、C末端またはN末端保護されたアミノ酸誘導体(例、N末端またはC末端保護基を有する修飾)に加えて、さらに、類似体、誘導体、および本願に付託されるいずれの特定のアミノ酸の同族体を含む。
【0040】
本明細書で用いられる「ペプチド」または「ポリ」アミノ酸とは、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合により結合された一連のアミノ酸残基を意味する。これらの用語は、ペプチド類似体、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬およびペプチド変異体を含むことを目的とする。「ペプチド」または「ポリ」アミノ酸とは、いずれの長さのペプチドをも含むと考えられる。
【0041】
本明細書で用いられる「ペプチド類似体」とは、1つ以上の非天然のアミノ酸を含むペプチドを意味する。非天然のアミノ酸の例としては、D−アミノ酸(すなわち、天然の型とは逆のキラリティーのアミノ酸)、N−α−メチルアミノ酸、C−α−メチルアミノ、β−メチルアミノ酸、β−アラニン(β−Ala)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、4−アミノ酪酸(γ−Abu)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、6−アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、オルニチン(orn)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、α−アミノイソ酪酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、3−アミノプロピオン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸(2,3−diaP)、D−またはL−フェニルグニシン、D−またはL−2−ナフチルアラニン(2−Nal)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Tic)、D−またはL−2−チエニルアラニン(Thi)、D−またはL−3−チエニルアラニン、D−またはL−1−,2−,3−または4−ピレニルアラニン、D−またはL−(2−ピリジニル)−アラニン、D−またはL−(3−ピリジニル)−アラニン、D−またはL−(2−ピラジニル)−アラニン、D−またはL−(4−イソプロピル)−フェニルグニシン、D−(トリフルオロメチル)−フェニルグニシン、D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、D−p−フルオロフェニルアラニン、D−またはL−p−ビフェニルアラニン、D−またはL−p−メトキシビフェニルアラニン、メチオニンスルホキシド(MSO)およびホモアルギニン(Har)が挙げられるがそれらに限定されない。他の例には、D−またはL−−2−インドール(アルキル)アラニンおよびD−またはL−アルキルアラニンが含まれ、ここで前記アルキルは、置換または非置換の、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、またはイソペンチル、およびホスホノ化または硫酸化された(例えば、−SO3H)非カルボン酸アミノ酸である。
【0042】
非天然のアミノ酸の他の例として、3−(2−クロロフェニル)−アラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−ブロモ−フェニルアラニン、3−ブロモ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、3−メチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、2,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−ニトロ−フェニルアラニン、3−ニトロ−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、2,4−ジニトロ−フェニルアラニン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロノルハルマン−3−カルボン酸、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、ペンタフルオロフェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン、2,4,5−トリフルオロ−フェニルアラニン、2−トリフルオロメチル−フェニルアラニン、3−トリフルオロメチル−フェニルアラニン、4−トリフルオロメチル−フェニルアラニン、2−シアノ−フェニアラニン、3−シアノ−フェニアラニン、4−シアノ−フェニアラニン、2−ヨード−フェニアラニン、3−ヨード−フェニアラニン、4−ヨード−フェニアラニン、4−メトキシフェニルアラニン、2−アミノメチル−フェニルアラニン、3−アミノメチル−フェニルアラニン、4−アミノメチル−フェニルアラニン、2−カルバモイル−フェニルアラニン、3−カルバモイル−フェニルアラニン、4−カルバモイル−フェニルアラニン、m−チロシン、4−アミノ−フェニルアラニン、スチリルアラニン、2−アミノ−5−フェニル−ペンタン酸、9−アントリルアラニン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、4,4’−ジフェニルアラニン、ベンゾイルフェニルアラニン、α−メチル−フェニルアラニン、α−メチル−4−フルオロ−フェニルアラニン、4−チアゾリルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、2−チエニルアラニン、2−(5−ブロモチエニル)−アラニン、3−チエニルアラニン、2−フリルアラニン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、アリルグリシン、2−アミノ−4−ブロモ−4−ペンテン酸、プロパギルグリシン、4−アミノシクロペンタ−2−エンカルボン酸、3−アミノシクロペンタンカルボン酸、7−アミノ−ヘプタン酸、ジプロピルグリシン、ピペコリン酸、アゼチジン−3−カルボン酸、シクロプロピルグリシン、シクロプロピルアラニン、2−メトキシ−フェニルグニシン、2−チエニルグリシン、3−チエニルグリシン、α−ベンジル−プロリン、α−(2−フルオロ−ベンジル)−プロリン、α−(3−フルオロ−ベンジル)−プロリン、α−(4−フルオロ−ベンジル)−プロリン、α−(2−クロロ−ベンジル)−プロリン、α−(3−クロロ−ベンジル)−プロリン、α−(4−クロロ−ベンジル)−プロリン、α−(2−ブロモ−ベンジル)−プロリン、α−(3−ブロモ−ベンジル)−プロリン、α−(4−ブロモ−ベンジル)−プロリン、α−フェネチル−プロリン、α−(2−メチル−ベンジル)−プロリン、α−(3−メチル−ベンジル)−プロリン、α−(4−メチル−ベンジル)−プロリン、α−(2−ニトロ−ベンジル)−プロリン、α−(3−ニトロ−ベンジル)−プロリン、α−(4−ニトロ−ベンジル)−プロリン、α−(1−ナフタレニルメチル)−プロリン、α−(2−ナフタレニルメチル)−プロリン、α−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−プロリン、α−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−プロリン、α−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−プロリン、α−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、α−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、α−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、α−(2−シアノ−ベンジル)−プロリン、α−(3−シアノ−ベンジル)−プロリン、α−(4−シアノ−ベンジル)−プロリン、α−(2−ヨード−ベンジル)−プロリン、α−(3−ヨード−ベンジル)−プロリン、α−(4−ヨード−ベンジル)−プロリン、α−(3−フェニル−アリル)−プロリン、α−(3−フェニル−プロピル)−プロリン、α−(4−tert−ブチル−ベンジル)−プロリン、α−ベンズヒドリル−プロリン、α−(4−ビフェニルメチル)−プロリン、α−(4−チアゾリルメチル)−プロリン、α−(3−ベンゾ[b]チオフェニルメチル)−プロリン、α−(2−チオフェニルメチル)−プロリン、α−(5−ブロモ−2−チオフェニルメチル)−プロリン、α−(3−チオフェニルメチル)−プロリン、α−(2−フラニルメチル)−プロリン、α−(2−ピリジニルメチル)−プロリン、α−(3−ピリジニルメチル)−プロリン、α−(4−ピリジニルメチル)−プロリン、α−アリル−プロリン、α−プロピニル−プロリン、γ−ベンジル−プロリン、γ−(2−フルオロ−ベンジル)−プロリン、γ−(3−フルオロ−ベンジル)−プロリン、γ−(4−フルオロ−ベンジル)−プロリン、γ−(2−クロロ−ベンジル)−プロリン、γ−(3−クロロ−ベンジル)−プロリン、γ−(4−クロロ−ベンジル)−プロリン、γ−(2−ブロモ−ベンジル)−プロリン、γ−(3−ブロモ−ベンジル)−プロリン、γ−(4−ブロモ−ベンジル)−プロリン、γ−(2−メチル−ベンジル)−プロリン、γ−(3−メチル−ベンジル)−プロリン、γ−(4−メチル−ベンジル)−プロリン、γ−(2−ニトロ−ベンジル)−プロリン、γ−(3−ニトロ−ベンジル)−プロリン、γ−(4−ニトロ−ベンジル)−プロリン、γ−(1−ナフタレニルメチル)−プロリン、γ−(2−ナフタレニルメチル)−プロリン、γ−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−プロリン、γ−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−プロリン、γ−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−プロリン、γ−(2−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、γ−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、γ−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−プロリン、γ−(2−シアノ−ベンジル)−プロリン、γ−(3−シアノ−ベンジル)−プロリン、γ−(4−シアノ−ベンジル)−プロリン、γ−(2−ヨード−ベンジル)−プロリン、γ−(3−ヨード−ベンジル)−プロリン、γ−(4−ヨード−ベンジル)−プロリン、γ−(3−フェニル−アリル−ベンジル)−プロリン、γ−(3−フェニル−プロピル−ベンジル)−プロリン、γ−(4−tert−ブチル−ベンジル)−プロリン、γ−ベンズヒドリル−プロリン、γ−(4−ビフェニルメチル)−プロリン、γ−(4−チアゾリルメチル)−プロリン、γ−(3−ベンゾチオイエニルメチル)−プロリン、γ−(2−チエニルメチル)−プロリン、γ−(3−チエニルメチル)−プロリン、γ−(2−フラニルメチル)−プロリン、γ−(2−ピリジニルメチル)−プロリン、γ−(3−ピリジニルメチル)−プロリン、γ−(4−ピリジニルメチル)−プロリン、γ−アリル−プロリン、γ−プロピニル−プロリン、trans−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−クロロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−クロロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−ブロモ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−ブロモ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−ブロモ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−メチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−メチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−メチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−ニトロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−ニトロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−ニトロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(1−ナフチル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−ナフチル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2,5−ジクロロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2,3−ジクロロ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−シアノ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−シアノ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−シアノ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−ヒドリキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−ヒドリキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−ヒドリキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−ピリジニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−ピリジニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(4−ピリジニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−チエニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(3−チエニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−(2−フラニル)−ピロリジン−3−カルボン酸、trans−4−イソプロピル−ピロリジン−3−カルボン酸、4−ホスホノメチル−フェニルアラニン、ベンジル−トレオニンリン酸、(1’−アミノ−2−フェニル−エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−シクロヘキシル−エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−[3−ブロモ−フェニル]エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−[3,5−ジフルオロ−フェニル]エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−[4−カルバモイル−フェニル]エチル)オキシラン、(1’−アミノ−2−[ベンジルオキシ−エチル])オキシラン、(1’−アミノ−2−[4−ニトロ−フェニル]エチル)オキシラン、(1’−アミノ−3−フェニル−プロピル)オキシラン、(1’−アミノ−3−フェニル−プロピル)オキシラン、および/または塩および/またはその保護基変異体が挙げられる。
【0043】
本明細書で用いられる「ペプチド誘導体」とは、天然のアミノ酸の一部には通常ない、追加の化学的基または生化学的基を含むペプチドを意味する。ペプチド誘導体には、アミノ末端および/またはカルボキシ末端および/または1つ以上のアミノ酸側鎖が、環状ペプチド、二重ペプチド、ペプチドのマルチマー、他のタンパク質または担体に融合されたペプチド、糖化ペプチド、リン酸化ペプチド、親油性基に共役したペプチド(例えば、カプロイル、ラウリル、ステアロイル基)および抗体または他の生物学的配位子に共役したペプチドに加えて、適切な化学的置換基と誘導体化されるペプチドを含む。ペプチドを誘導体化するために使用してもよい化学的置換基の例として、アルキル、シクロアルキルおよびアリール基、アルカノイルおよびアロイル、エステル、アミド、ハロゲン、ヒドロキシル、カルバミルなどを含むアシル基が挙げられるがそれらに限定されない。前記置換基はまた、Fmoc(フルオレニルメチル−O−CO−)、カルボベンゾキシ(ベンジル−O−CO−)、モノメトキシスクシニル、ナフチル−NH−CO−、アセチルアミノ−カプロイルおよびアダマンチル−NH−CO−などの封鎖基であってよい。他の誘導体としては、C末端ヒドロキシメチル誘導体、O修飾誘導体(例えば、C末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)およびアルキルアミドおよびヒドラジドなどの置換アミドを含むN末端修飾誘導体が挙げられる。前記置換基は、本願に詳述されるように「保護基」であって構わない。
【0044】
本明細書で用いられる「ペプチド模倣薬」とは、ペプチドに構造的に類似する化合物を意味し、ペプチドの機能を模倣する化学的基を含む。例えば、ペプチドは機能活性を有する2つの荷電した化学的基を含む場合、模倣薬には、荷電した化学的基が三次元空間に保持されているため、空間的定位および拘束構造に2つの荷電した化学的基が配置されている。従って、ペプチド模倣薬とは、アイソスターを含むことを目的とする。本明細書で用いられる「アイソスター」とは、例えば、構造がペプチドに特異的な結合部位に適合するなどの化学的構造の立体構造が類似であるため、ペプチドと置換することができる化学的構造を意味する。ペプチド模倣薬の例としては、1つ以上の骨格修飾を含むペプチド(すなわち、アミド結合模倣薬)が挙げられ、当技術分野で周知である。アミド結合模倣薬の例としては、−CHNH−、−CHS−、−CHCH−、−CH=CH−(cisおよびtrans)、−COCH−、−CH(OH)CH−、−CHSO−、−CS−NH−および−NH−CO−(すなわち、逆ペプチド結合)が挙げられるがそれらに限定されない(例えば、Spatola, Vega Data Vol. 1, Issue 3, (1983); Spatola, in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids Peptides and Proteins, Weinstein, ed., Marcel Dekker, New York, p. 267 (1983); Morley, J. S., Trends Pharm. Sci. pp. 463-468 (1980); Hudson et al., Int. J. Pept. Prot. Res. 14:177-185 (1979); Spatola et al., Life Sci. 38:1243-1249 (1986); Hann, J; Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 307-314 (1982); Almquist et al., J. Med Chem. 23:1392-1398 (1980); Jennings-White et al., Tetrahedron Lett. 23:2533 (1982); Szelke et al., 欧州特許第0045665号明細書 (1982); Holladay et al., Tetrahedron Lett. 24:4401-4404 (1983); 及びHruby, Life Sci. 31:189-199 (1982)を参照)。ペプチド模倣薬の他の例としては、1つ以上のベンゾジアゼピン分子と置換されたペプチド(例えば、James, G. L. et al. (1993) Science 260:1937-1942を参照)およびラクタムまたは他の環状構造を形成するために交差結合した骨格を含むペプチドが挙げられる。
【0045】
「コントラスト促進剤」とは、例えば、X線撮影または蛍光板透視による前記物質をモニタおよび検出するための方法により、哺乳類の対象に注入中に、モニタすることができる物質を意味する。コントラスト促進剤の例は、放射線不透過物質である。放射線不透過物質を含むコントラスト促進剤は、水溶性か不水溶性のどちらであってもよい。水溶性放射線不透過物質の例としては、メトリザミド、イオパミドール、ヨータラム酸ナトリウム、ヨードミドナトリウム、およびメグルミンが挙げられる。不水溶性放射線不透過物質の例としては、金、チタン、銀、ステンレス鋼、その酸化物、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの金属および金属酸化物が挙げられる。
【0046】
本明細書で用いられる「ヒドロゲル」とは、水溶性であって、水が分散媒するコロイド状ゲルとしてしばしば認められる、網目状のポリマー鎖を意味する。つまり、ヒドロゲルは、三次元網目構造のポリマー鎖と高分子間の空間を満たす水から成る二成分系または多成分系であり、質量の過半数(通常、約80%より大きい)が封入された水により提供される。ヒドロゲルは、高吸水性天然高分子または合成高分子から成る。
【0047】
本明細書で用いられる「炭水化物」(または、同等に、「糖」)は、例えば、カルボニル基の減少により、カルボン酸への1つ以上の末端基の酸化により、1つ以上のヒドロキシ基の置換により、水素原子、アミノ基、チオール基、または類似のヘテロ原子基などにより、糖類(単糖類、オリゴ糖および多糖類を含む)および/または1つ以上の単糖類に由来する分子(オリゴマーまたはポリマーを含む)である。「炭水化物」とはまた、これらの化合物の誘導体を含む。炭水化物の限定されない例としては、アロース(「All」)、アルトロース(「Alt」)、アラビノース(「Ara」)、エリトロース、エリトルロース、フルクトース(「Fru」、フコサミン(「FucN」、フコース(「Fuc」)、ガラクトサミン(「GalN」、ガラクトース(「Gal」、グルコサミン(「GlcN」)、グルコサミニトール(「GlcN−ol」、グルコース(「Glc」)、グリセルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシプロパナール、グリセロール(「Gro」)、プロパン−1,2,3−トリオール、グリセロン(「1,3−ジヒドロキシアセトン」)、1,3−ジヒドロキシプロパノン、グロース(「Gul」)、イドース(「Ido」)、リキソース(「Lyx」、マンノサミン(「ManN」、マンノース(「Man」、プシコース(「Psi」)、キノボース(「Qui」)、キノボサミン、ラムニトール(「Rha−ol」、ラムノサミン(「RhaN」)、ラムノース(「Rha」、リボース(「Rib」、リブロース(「Rul」、シアル酸(「Sia」または「Neu」)、ソルボース(「Sor」)、タガトース(「Tag」)、タロース(「Tal」)、酒石酸、エリトラル酸/トレアル酸、トレオース、キシロース(「Xyl」)、またはキシルロース(「Xul」)が挙げられる。場合によっては、前記炭水化物は、ペントース(すなわち、5つの炭素を有する)またはヘキソース(すなわち、6つの炭素を有する)であってよく、ある例では、前記炭水化物は、例えば、上記のものを含む、ペントースおよび/またはヘキソース単位を含むオリゴ糖であってよい。
【0048】
「単糖類」は、1つの糖単位を含む炭水化物または炭水化物誘導体である。同様に、「2糖類」「3糖類」「4糖類」「5糖類」などはそれぞれ、2、3、4、5つの糖単位を有する。本明細書で用いられる「多糖類」は、多数の糖単位を有する。場合によっては、前記炭水化物は、マルチメリック、すなわち、1つ以上の糖類鎖を含む。
【0049】
本明細書で用いられる「アルギン酸」は、ワカメの様々な種(褐藻類)から得る天然の親水性コロイド状多糖類である。それは、白色から黄色みがかった茶色の繊維状、粒子の粗い、粒子の細かい、または粉体形状で生じる。それは、β−1,4−結合D−マンヌロン酸およびα−1,4−結合L−グルクロン酸の主に残渣から成る線状コポリマーである。これらのモノマーは、しばしば、交互の一連の2つの酸モノマーに近づける領域により分離されたホモポリマー封鎖に配列される。構造単位の式量は、176.13である(理論上、200が実平均値である)。高分子の式量は、約10,000から約600,000である(標準平均値)。「アルギン酸ナトリウム」および「アルギン酸カリウム」は、アルギン酸の塩である。
【0050】
本明細書で用いられる「ジェランガム」は、シュードモナス・エロディア菌による炭水化物の純培養発酵により生成され、イソプロピルアルコールで回復することにより精製され、乾燥、粉砕された高分子質量多糖類樹脂である。前記高分子質量多糖類樹脂は、主に、1つのラムノース、1つのグルクロン酸、および2つのグルコース単位から成る4糖類繰り返し単位であり、Oグリコシドを結合したエステルとしてアシル(グリセルおよびアセチル)基で置換される。前記グルクロン酸は、混合カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩に中和される。普通、発酵方法によって生じる化合物を含む少量の窒素を含む。約500,000の式量を有する。「ジェランナトリウム」および「ジェランカリウム」は、ジェランガムの塩である。
【0051】
本明細書で用いられる「ポリビニルアルコール」(PVA)は、酢酸などのポリビニールエステルの加水分解により合成された水溶性ポリマーであり、繊維の製剤に使用される。PVAは、ヒドロキシル基を伴う、一部またはすべてのアセチル基の置換において生じる酢酸ビニールなどの全部または一部の加水分解から生成される熱可塑性物質である。例えば、−[CHCH(OH)]CHCH(COOCH)−であり、nはゼロまたは自然数である。ある実施形態では、ポリビニルアルコール(PVA)は、ポリ酢酸ビニール(PVAc)ポリマーの加水分解後、酢酸ビニール(VAM)の重合により生成された合成樹脂である。重合度は、溶液内の分子量および粘度を決定する。加水分解度(鹸化)は、ポリ酢酸ビニールの転換の範囲をポリビニルアルコールに表す。例えば、n(加水分解度)は、約68.2から約99.8モル%の範囲であってよく、MW(重量平均分子量)は、約10,000から約190,000の範囲であってよい。
【0052】
本明細書で用いられる「ヒアルロン酸」(HA)は、グルクロン酸およびN−アセチルグルコサミンの繰り返し二量体単位から成るポリマーである。それは、極めて高い分子量(最高数百万ダルトン)であってよく、細胞外基質に認められる複合プロテオグリカン会合体のコアを形成する。HAは、β−1−3およびβ−1−4グリコシド結合により交互に結合したグルクロン酸(GlcUA)およびN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)から成る、線形、非分岐、ポリアニオン系2糖単位から成る。それは、グリコサミノグリカン系の一員であり、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびヘパラン硫酸が挙げられる。本系の他の員とは違って、タンパク質への共有結合は認められなかった。中性水溶液へ取り入れる場合、水素結合形成が水分子と隣接したカルボキシルとN−アセチル基との間で生じる。これは、ポリマーへ立体配座剛性を与え、その柔軟性を制限する。前記水素結合形成は、ポリマー固有の水結合および保持能力を生じる。また、前記水結合能力は、分子の分子量に直接関連するということになる。最高6リットルの水が1グラムあたりのHAに結合してもよい。HA溶液は、特徴として粘弾性と偽塑性を有する。本流動学では、粘性ゲルを形成するポリマーの非常に薄い溶液内にでさえ認められる。生体材料としての使用において重要であるHA溶液の粘弾性特性は、濃度およびHA鎖の分子量により制御される。異なるソースからのHA鎖の分子量は、多分散であり、10から10Daの範囲で極めて変わりやすい。生成される場合、細胞膜を通じてHAの押し出しは、自発的なポリマー伸長および従って、極めて高い分子量の分子を認める。
【0053】
本明細書で用いられる「コンドロイチン硫酸」(CS)は、2つの交互の単糖類であるD−グルクロン酸(GlcA)およびN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNac)を含む可変長の非分岐鎖多糖類を意味する。いくつかのGlcA残渣は、L−イズロン酸(IdoA)にエピ化され、その結果として生じる2糖類はデルマタン硫酸を意味する。それぞれの単糖類は、非硫酸処理、1度の硫酸処理、または2度の硫酸処理であってもよい。通常、N−アセチル−ガラクトサミンの4位および6位のヒドロキシルは、硫酸化される。硫酸化は、特定のスルホトランスフェラーゼにより媒介される。
【0054】
本明細書で用いられる「ヘパラン硫酸」は、炭水化物のグリコサミノグリカン系の一員を意味し、ヘパリンに対する構造に極めて近似する。両方とも硫酸化された可変的な反復2糖単位から成る。ヘパラン硫酸およびヘパリンで生じる主な2糖単位は、GlcA−GlcNAc、GlcA−GlcNS、IdoA−GlcNS、IdoA(2S)−GlcNS、IdoA−GlcNS(6S)、およびIdoA(2S)−GlcNS(6S)であり、ここで、GlcAは、β−L−グルクロン酸であり、IdoAは、α−L−イズロン酸であり、IdoA(2S)は、2−O−スルホ−α−L−イズロン酸であり、GlcNAcは、2−デオキシ−2−アセトアミド−α−D−グルコピラノシルであり、GlcNSは、2−デオキシ−2−スルファミド−α−D−グルコピラノシルであり、GlcNS(6S)は、2−デオキシ−2−スルファミド−α−D−グルコピラノシル−6−O−硫酸である。
【0055】
本明細書で用いられる「ペントサン硫酸」は、糖鎖キシロースの硫酸鎖である。
【0056】
本明細書で用いられる「ケラタン硫酸」はまた、ケラト硫酸と称され、角膜、軟骨、および骨に特に認められる硫酸のグリコサミノグリカンのいずれかである。
【0057】
本明細書で用いられる「ムコポリサッカライドポリサルフェート」は、2−アセトアミド−2−デオキシ−D−ガラクト−D−グルクロノグリカンポリサルフェートを重合させる。
【0058】
本明細書で用いられる「カラギーナン」は、3−結合−β−D−ガラクトピラノースと4−結合−α−D−ガラクトピラノースの交互の単位から成る。カラギーナンは、正規構造であるが不明確な構造である約25,000のガラクトース誘導体の線状ポリマーであり、発生源および抽出条件によって決まる。理想的な構造は下記に記載され、例えば、κ−カラギーナンは、ι−カラギーナンに関連する二量体の少量の比率を含むことが認められている。
【0059】
κ−カラギーナン(カッパ−カラギーナン)は、−(1→3)−β−D−ガラクトピラノース−4−サルフェート−(1→4)−3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトピラノース−(1→3)−である。κ−カラギーナンは、熱帯海藻のカッパフィカス属アルベレッチー種(キリンサイ属コットーニィ種としてまた知られる)からほとんど分離されたμ−カラギーナンからのアルカリ脱離により生成される。実験的な電荷/二量体は、1よりもむしろ0.82の分子のアンヒドロガラクトースを含み、1.0よりもむしろ1.03である。
【0060】
ι−カラギーナン(イオタ−カラギーナン)は、−(1→3)−β−D−ガラクトピラノース−4−サルフェート−(1→4)−3,6−アンヒドロ−α−D−ガラクトピラノース−2−サルフェート−1→3)−である。ι−カラギーナンは、フィリピン諸島の海藻のキリンサイ属denticulatum種(スピノサム種としてまた知られる)からほとんど分離されたμ−カラギーナンからのアルカリ脱離により生成される。実験的な電荷/二量体は、1よりもむしろ0.59の分子のアンヒドロガラクトースを含み、2.0よりもむしろ1.49である。ι−カラギーナンの二重らせんの三次元構造は、半ねじれ、平行、三重、右まわりの二重らせんを形成する場合、β−D−ガラクトピラノース−4−サルフェート単位間の鎖間のO2−H・・・O−5およびO6−H・・・O−2の水素結合により安定化され、決定される。
【0061】
λ−カラギーナン(ラムダ−カラギーナン)は、−(1→3)−β−D−ガラクトピラノース−2−サルフェート−(1→4)−α−D−ガラクトピラノース−2,6−ジサルフェート−(1→3)である。λ−カラギーナン(Gigartina pistillataまたはChondrus crispusから主に取り出す)は、アルカリ脱離により、θ−カラギーナン(シータ−カラギーナン)に変換されるが、ι−カラギーナンおよびκ−カラギーナンの産出よりもはるかに低速である。実験的な電荷/二量体は、0よりもむしろ0.16の分子のアンヒドロガラクトースを含み、3.0よりもむしろ2.09である。
【0062】
すべてのカラギーナンは、極めて柔軟性のある分子であり、高濃度で、二重らせんゾーンを形成するために互いに絡み付いている。κ−およびι−カラギーナンのゲル生成は、ゲル誘発およびゲル強化のKまたはCa2+のそれぞれの陽イオンを伴う熱性溶液から冷却溶液において、らせん形成を含み(相分離のため、Naは、κ−カラギーナンを伴う弱いゲルを形成するための凝集過程に関与するが、Naではない)、らせん形成を援助するだけでなく、続いて接合ゾーンを形成するため、らせん形の間で凝集連結を援助する。κ−カラギーナンの最強のゲルは、Li、Na、Mg2+、Ca2+、またはSr2+よりもむしろKにより形成される。 3,6−アンヒドロ−結合の不完全形成は、非架橋型α−結合ガラクトース残渣が立体構造に反転してもよい場合、らせん形成の限度を減らすであろう。
【0063】
語句「多分散性度」は、特定のポリマーに対する、「重量平均分子量」と「数平均分子量」との比率を意味し、ポリマー試料における個別分子の配分を示す。
【0064】
語句「重量平均分子量」は、ポリマーの分子量の特定量を意味する。前記重量平均分子量は、以下のように、ポリマー分子の数の分子量を決定し、これらの重量の平方を加え、分子の総重量で割ることにより算出される。
【0065】
語句「数平均分子量」は、ポリマーの分子量の特定量を意味する。前記数平均分子量は、個別ポリマー分子の分子量の共通平均である。nポリマー分子の分子量を測定し、重量を加え、nで割ることにより、決定される。
【0066】
ポリカチオン硬化剤
ある実施形態では、本発明は、肺組織を損傷する化合物を使用する。例えば、いくつかの実施形態では、硬化剤は、組成物投与の一環として使用することができる。いくつかの実施形態では、前記硬化剤は、単独で投与してもよく、または、本発明の他の成分と同時に、その前に、またはその後に別々に投与してもよい。前記硬化剤は、損傷した肺組織の領域の密閉を促進するために、瘢痕組織形成、および/または線維芽細胞の増殖、および/またはコラーゲン合成をもたらすために役立てることができる。ある実施形態では、本発明に使用してもよい硬化剤は、ポリカチオンである。ポリカチオンを使用し、また、ポリアニオンも使用してよい場合、ポリカチオンの細胞毒性は、使用するポリカチオン量およびポリアニオン量を変更することにより、「調節」することができる。本発明の高分子電解質については、以下に詳細を論述する。
【0067】
高分子電解質は、その繰り返し単位が電解質基を有しているポリマーである。これらの基は、一部またはすべてのポリマーの繰り返し単位を変化させながら、水溶液(例えば、水)内に解離することができる。前記電離後のポリマー種は、その繰り返し単位が正または負に帯電する場合、それぞれポリカチオンまたはポリアニオンと称される。電離後に正電荷および負電荷の両方を有するポリマーを生じさせる高分子電解質は、両性高分子電解質、またはポリ両性電解質と称される。「ポリイオン」または「ポリイオンの」という総称は、不特定の電荷を有する、電解で解離されたポリマーを称するのに使用される。ポリマーから解離するイオンは、対イオンとして知られる。
【0068】
ポリイオンは、さらに「弱い」および「強い」タイプに分けることができる。「強い」ポリイオンは、最適なpH値に対する溶液内でその電荷を完全に保持するものである。「弱い」ポリイオンは、約2から約10の範囲のpH値では、電荷を水媒体へと運搬する、または水媒体から運搬するプロトンにより、実質的に変化することができるものである。従って、弱いポリイオンは、溶液内で完全に帯電されなくてもよく、その分数電荷は、溶液のpHを変化することにより修正することができる。
【0069】
ポリカチオンは、複数の正電荷および正味の正電荷を有する、任意の様々な化合物であってよい。本発明のある実施形態では、ポリカチオンは、ポリアミノ酸としても知られる、合成ポリペプチドの種類でもよい。合成ポリペプチドは、リジン、アルギニン、またはヒスチジンなどの1種類の正に帯電した(すなわち、塩基性の)アミノ酸のホモポリマー、または2種類以上の正に帯電したアミノ酸のヘテロポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ポリ−D−リジン、ポリ−L−リジン、ポリ−DL−リジン、ポリアルギニン、およびポリヒスチジンであってもよい。さらに、前記ポリマーは、オルニチン、5−ヒドロキシリジンなどの1つ以上の正に帯電した非標準アミノ酸を含んでいてもよい。すなわち、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸塩)など、他の基を用いてポリペプチドを官能基化してもよい。任意のアミノ酸、または結合アミノ酸は、線状、分岐、または架橋鎖に重合して、本明細書に記載される組成物および方法に有用な成分であるポリカチオン性ポリペプチドを生成することができる。前記ポリカチオン性ポリペプチドは、少なくとも100のアミノ酸残基、少なくとも200のアミノ酸残基、少なくとも300のアミノ酸残基、少なくとも500のアミノ酸残基、少なくとも750のアミノ酸残基、少なくとも1,000のアミノ酸残基、少なくとも2,000のアミノ酸残基、少なくとも3,000のアミノ酸残基、少なくとも4,000のアミノ酸残基、あるいはそれ以上(例えば、約20から約150のアミノ酸残基、約50から約150のアミノ酸残基、または約50から約100のアミノ酸残基)を含んでいて差し支えない。合成ポリペプチドは、当業者にに既知の方法、例えば、化学的合成法または組み換え法により、生成することができる。
【0070】
本発明のポリカチオン性ポリペプチドは、繰り返し単位間の異なる相互連結度を有していて差し支えない。一実施形態では、ポリカチオン性ポリペプチドは、繰り返し単位の単一連鎖から成るポリマーである、線状ポリマーである。別の実施形態では、ポリカチオン性ポリペプチドは、繰り返し単位の主鎖に接続される繰り返し単位の側鎖を含むポリマーである、分岐ポリマーである(モノマーにすでに示される側鎖とは異なることがある)。別の実施形態では、ポリカチオン性ポリペプチドは、重合化される間に形成される(すなわち、モノマーの選択により)か、重合後(すなわち、特異試薬を追加することにより)のどちらかで、鎖間の相互接続を含むポリマーである、架橋ポリマーである。さらに別の実施形態では、ポリカチオン性ポリペプチドは、全ポリマーが単一分子である、または単一分子でありうるように、鎖間に多くの相互接続を含む架橋ポリマーである、網状ポリマーである。
【0071】
ポリカチオン組成物は、実質的に単分散または実質的に多分散であってもよい。実質的に単分散組成物は、ポリマー分子を含み、実質的にすべての分子は、同一の鎖長を有する。実質的に多分散組成物は、様々な鎖長(および従って、分子量)を有するポリマー分子を含む。
【0072】
ポリカチオンは、広範囲に及ぶ分子量を有することができる。ポリカチオン組成物におけるポリカチオンの分子量は、特定のポリカチオン組成物(例えば、ポリペプチド)、ポリカチオンの放出率(例、ゲルから)、望ましい効力度により異なる。いくつかの実施形態では、ポリカチオンの分子量は、約10kDより大きく、約15kDより大きく、約20kDより大きく、約2kDより大きく、約30kDより大きく、約40kDより大きく、約50kDより大きく、または約60kDより大きく、約70kDより大きく、約80kDより大きく、約90kDより大きく、約100kDより大きく、約150kDより大きく、約200kDより大きく、またはさらに多いことが可能である。他の実施形態では、ポリカチオンの分子量は、10〜500kD、10〜250kD、または10〜200kDであることができる。しかしながら、本発明がこの点において限定されない場合、他の大きさを使用してもよい。分子量は、当業者の方法である、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または多角度レーザー光散乱法などの方法により、決定することができる。
【0073】
ポリカチオンの相対塩基度は、変更することができる。場合によっては、ポリカチオン組成物は、「強い」ポリイオンを含み、最適なpH値の溶液でその電荷を完全に保持するものである。他の事例では、ポリカチオン組成物は、「弱い」ポリカチオンを含み、すなわち、その電荷は、約2から約10の範囲のpH値では、水媒体へと運搬する、または水媒体から運搬するプロトンにより、実質的に変化することができるものである。異なる塩基性度のポリカチオンを、本発明のポリカチオン組成物に使用して差し支えない。ポリカチオンは、例えば、2〜10、6〜10、または8〜10のpKb値を有していてもよい。
【0074】
ポリカチオンは、組成物中で、および/または標的領域へ運搬する場合、様々な溶解度(例、水溶性の様々な溶解度)を有することができる。ポリカチオンの溶解度は、例えば、ポリアニオンとポリカチオンとの複合体を形成することにより、溶媒を変化させることにより(例、溶媒のイオン強度を変化させることにより)、および温度を変化させることにより、変化させることができる。ポリカチオンは、固体(例えば、沈殿物)、ゲル、または溶液としてポリカチオン組成物中に存在することができる。
【0075】
必要に応じて、ポリカチオンは、ポリカチオン組成物の適量の薬剤と組み合わせることができる。薬剤は、ポリカチオンの効果に加えて望ましい全身的な効果または局所的な効果を誘発させてもよいことを意味する、薬理活性であって差し支えなく、または薬剤は、薬理不活性であってもよい。一実施形態では、前記薬剤は、ポリカチオン組成物中でポリカチオンと複合体を形成する。別の実施形態では、前記薬剤は、ポリカチオンまたは組成物の別の成分の担体剤として作用してもよい。別の実施形態では、前記薬剤は、ポリカチオン組成物から標的領域へのポリカチオンの放出を制御して差し支えない。別の実施形態では、前記薬剤は、ポリカチオンまたは組成物中の別の成分の効能を調節(例、増加または減少する)することができる。一部の事例では、前記薬剤は、上記の1つ以上の機能を有し、または、前記薬剤を異なる目的の組成物に添加してもよい。
【0076】
一部の事例では、前記薬剤は、ポリアニオンである。任意の様々なポリアニオンを使用して差し支えなく、限定されない例として、コンドロイチン硫酸、ヘパリン/ヘパラン硫酸、ケラチン硫酸、デルマタン硫酸、およびヒアルロン酸などのグリコサミノグリカン、ポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸などの合成ポリペプチド、およびランダムに構造化された核酸が挙げられる。もちろん、薬剤の量、分子量、分岐度などは、変更することができる。
【0077】
本発明のある実施形態によれば、ポリカチオンは、ポリアニオンなどの薬剤と複合体を形成することができる。ポリカチオンおよびポリアニオンは、弱く、または強く複合体化させることができる。いくつかの例では、標的領域へのポリカチオンの運搬率および/またはポリカチオンの効能は、適切なポリアニオンとポリカチオンとが複合体を形成することにより、制御することができる。例えば、ポリリジンは、コンドロイチン硫酸(CS)と複合体を形成することができ、組成物におけるポリリジンの毒性を、CSを適量添加することにより減少させることができる。好ましい実施形態では、すべてではないが、ポリカチオンの正電荷の一部(例、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%など)を平衡させるのに十分な量のポリアニオンを加える。当然ながら、ポリカチオンの正電荷数およびポリアニオンの負電荷数を決定し、また、結果として生じる複合体が正味の正電荷を保持するように、加えられるべき各分子の量を算出することができることが理解されよう。例えば、ポリリジンおよびコンドロイチン硫酸の同量の添加は、正味の正電荷を有する複合体(リジンおよびコンドロイチン硫酸の分子量およびリジン部分あたり+1およびコンドロイチン硫酸部分あたり−2の電荷に基づく)を生じる。いくつかの実施形態では、約100kDの大きさのポリリジン分子を使用する。使用されているポリカチオンの大きさによって、所定の量の対イオンで複合体化した後に保持されるポリカチオンの分子あたりの正味の荷電が、ある程度、決定されるであろう。
【0078】
場合によっては、ポリカチオンおよびポリアニオンは、ナノ粒子状に複合体化することができる。一実施形態では、ポリカチオンおよびポリアニオンは、ミセル状に複合体化され、その大きさは、ポリマーの鎖長を変更することにより修正することができる。別の実施形態では、ポリカチオンおよびポリアニオンは、高分子電解質多層(PEM)を形成することができる。PEMは、ポリカチオンおよびポリカチオンの交互層を含む多層複合体である。1つ以上の層は、患者の標的領域に運搬できる治療効果のある化合物であって差し支えなく、またはそれを含めてもよい。
【0079】
別の実施形態では、ポリカチオン組成物は、ポリカチオンが全体的に正味の正電荷を有するが、その多くの正電荷が中和されているポリカチオンを含む。例えば、組成物の平均的なポリカチオンは、その10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、または95〜99%の正電荷が中和されていて差し支えない。
【0080】
本発明の態様では、投与のための複数の異なる形態でポリカチオン組成物を提供することができる。例えば、ポリカチオン組成物は、固体、溶液、懸濁液、泡、またはゲル状であって構わない。
【0081】
ある態様では、対象に投与する場合、局所的に投与可能な形態でポリカチオン組成物を提供してもよい(例えば、実質的に対象の体内の投与領域に限定される)。しかしながら、いくつかの実施形態では、いずれの担体化合物または基質材料も用いない(例えば、ゲルまたはクリームなどのない)、溶液または固体(例えば、粉末)として、本発明のポリカチオン組成物を提供および投与してもよいことが理解されるべきである。
【0082】
従って、本発明の態様は、体内の特定の領域内でポリカチオンを局部集中させるための方法および組成物を含む。いくつかの例では、局在性によって、ポリカチオンが毒性であるかもしれない循環血液中に、有害量のポリカチオンが漏出するのを防ぐことができる。局在性はまた、投与の特異部位に対するポリカチオンの効能(例えば、硬化症および繊維症)を制限してもよい。一特定の態様では、ゲルを含むポリカチオン組成物の投与により局在性を達成することができる。別の態様では、ポリカチオンをポリアニオンなどの第2の種類と合わせることにより局在性を達成することができる。
【0083】
ある実施形態では、生物分解可能な高分子電解質(ポリカチオンおよびポリアニオン)を使用することができる。本明細書で用いられる「生物分解可能な物質」は、患者において、分解、減成、吸収、浸食、腐食、融食、および/または他の分解過程が行なわれる物質である。例えば、前記高分子電解質は、生理学的条件下で、約1週間から約12週間、約1週間から約6週間、約1週間から約4週間、約2週間から約10週間、約2週間から約5週間、または約2週間から約4週間のうちに分解することができる。
【0084】
投与形態
本発明の態様では、投与のための複数の異なる形態でポリカチオン組成物を提供することができる。例えば、ポリカチオン組成物は、固体、溶液、懸濁液、泡、またはゲル状であってもよい。
【0085】
ある態様では、対象に投与する場合、局所的に投与できる形態でポリカチオン組成物を提供して差し支えない(例えば、実質的に対象の体内の投与領域に限定される)。しかしながら、いくつかの実施形態では、いずれの担体化合物または基質材料を用いないえば(例、ゲルまたはクリームなどのない)、溶液または固体(例えば、粉末)として、本発明のポリカチオン組成物を提供および投与して構わない。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリカチオン組成物をゲルと併用して提供する。ポリカチオンは、ゲル基質内で可溶性であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ゲル基質の1つ以上の成分と相互に作用して差し支えない。前記ゲルは、生体適合性を有する物質であってもよく、選択された性質の異なる治療用途にとっての順守性および融通性を考慮して設計することができる。場合によっては、前記ゲルはまた、生体分解性である。
【0087】
本発明に従って、様々な種類のゲルを使用することができ、限定なしないが、ヒドロゲル、アルギン酸塩、アクリルアミド、アガロース、その混合物などが挙げられる。ゲルには、生物学的、生化学的、および/または合成品またはその組合せが含まれて差し支えない。例えば、ゲルは、フィブリン、コラーゲン、ケラチン、ゼラチンなどのタンパク質ベースのゲル、でんぷん、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロースまたはセルロースなどの炭水化物によって生じるゲル、および/またはその生物学的に適合する誘導体であってよい。
【0088】
一実施形態では、前記ゲルは、投与の特定部位で急速に重合化されて差し支えない。ゲルの重合化率は、ゲルの化学組成構造(例えば、分岐度)、分子量を変更することにより、制御することができる。化学的に、または光、熱、酸素曝露(例、空気)、または他の方法により、ゲルを重合することができる。ある実施形態では、ゲルは、重合により硬質機械的固体を形成してもよい。
【0089】
当然ながら、1つ以上の別の投与形態(例えば、クリーム、コロイド状製剤、粘性製剤など)も使用できる。
【0090】
別の態様では、本発明は、ポリカチオンは、毒性を示すかもしれない循環血液中に、物質の漏出を防ぐために、ポリカチオンを1つ以上のポリアニオンと複合体化することにより、1つ以上のポリカチオンの効果が、実質的に投与の特定部位に限定されることを保証する方法を提供する。ある実施形態では、ポリカチオン−ポリアニオン複合体を、特定部位に運搬および保持することが可能な(例えば、急速にヒドロゲルを重合化することにより)注入系(例えば、ヒドロゲル注入系)に取り入れてもよい。前記ヒドロゲルは、生物学的ヒドロゲルまたは合成ヒドロゲルであってよい。
【0091】
ある実施形態では、本発明の用途に好適なヒドロゲルは、架橋剤の添加によって架橋する、すなわち、別のエネルギー源を必要としない。2つの溶液が混合されるまでゲル化は起こらないため、前記系は、架橋過程の良好な制御を可能にする。必要に応じて、ポリマー溶液に、染料またはヒドロゲルを視覚化するための他の手段を含めてもよい。架橋可能な溶液はまた、ヒドロゲルは、薬物運搬の賦形剤になるように、結果として生じるヒドロゲルに生物活性薬または治療的化合物を封入してもよい。
【0092】
架橋能力以外のヒドロゲル系の性質は、好ましくは、示された生体適合性および毒性のなさに基づいて選択されるべきである。さらに、ヒドロゲルの前駆体溶液には、有害または毒性の溶媒を含むべきではない。ヒドロゲルの前駆体溶液は、緩衝等張食塩水などの生理的に適合溶液に適用可能にするために実質的に水溶性であることが好ましい。また、体内から回収する必要がないように、前記ヒドロゲルは、生体分解性があることが好ましい。本明細書で用いられる生体分解性とは、通常の生理学的条件下で、ヒドロゲルを代謝または分泌するのに十分な小さい分子へ予測可能に分解することを意味する。
【0093】
本発明の選択された組成物
本発明の一態様は、ポリカチオンおよびポリアニオンを含む組成物であって、XとYとの比率は約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積である組成物に関する。
【0094】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記組成物は、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0095】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記組成物は、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0096】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記組成物は、環境温度または生理的温度において固体である。
【0097】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含む。
【0098】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、フィブリノゲンをさらに含む。
【0099】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含む。
【0100】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、トロンビンをさらに含む。
【0101】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、塩化カルシウムをさらに含む。
【0102】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、フィブリンとトロンビン、フィブリノゲンとトロンビン、ポリビニルアルコールとボラート、ポリビニルアルコールとボロネート、アルギン酸塩とカルシウム、またはジェランとマグネシウムの組合せから形成されるヒドロゲルを含む。
【0103】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、フィブリノゲンとトロンビンの組合せから形成されるヒドロゲルをさらに含む。
【0104】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0105】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0106】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有する。
【0107】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸である。
【0108】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0109】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0110】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0111】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0112】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0113】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0114】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0115】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0116】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0117】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択される。
【0118】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysである。
【0119】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、Lysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0120】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)である。
【0121】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Lys)である。
【0122】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(L−Lys)である。
【0123】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0124】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0125】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0126】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0127】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0128】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0129】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有する。
【0130】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類である。
【0131】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約5の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0132】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0133】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0134】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0135】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0136】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0137】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0138】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0139】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0140】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0141】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0142】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記糖類は、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択される。
【0143】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類は硫酸化されている。
【0144】
前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類はカルボキシメチル化されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【0145】
前記ポリアニオンは、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択される多糖類であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【0146】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリカチオンは、コンドロイチン硫酸である。
【0147】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸である。
【0148】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0149】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0150】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0151】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0152】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0153】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0154】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0155】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0156】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0157】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択される。
【0158】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0159】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Glu)である。
【0160】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Asp)である。
【0161】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0162】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0163】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0164】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0165】
上述の組成物に、1つ以上の抗生物質を含ませて、伝染病を予防するために役立てることができる。あるいは、またはさらに、抗生物質は、他の投与法で投与することができる(例、経口または筋肉注射でによって投与してもよい)。
【0166】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択される。
【0167】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、テトラサイクリンである。
【0168】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、コントラスト促進剤をさらに含む。
【0169】
ある実施形態では、本発明は前述の組成物に関するものであって、コントラスト促進剤をさらに含み、前記コントラスト促進剤は、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択される。
【0170】
本発明の選択された方法
本発明の態様は、体内のある領域内でポリカチオンを局部集中させるための方法および組成物を含む。いくつかの例では、局在性は、ポリカチオンが毒性を示すかもしれない循環血液中への有害量のポリカチオンの漏出を防ぐことができる。局在性はまた、投与の特定部位に対するポリカチオンの効能(例えば、硬化症および線維症)を制限してもよい。一特定の態様では、ポリアニオンなどの第2の種類とポリカチオンを合わせることにより局在性を達成することができる。
【0171】
厳密な曝露時間は、特定の使用により変更してもよい。曝露時間は、体内にポリカチオン組成物を投与する形態により変更することができる。ゲルの形態におけるポリカチオン組成物に関しては、曝露時間は、場合によっては、ヒドロゲルの減成により定義されることがある。ゲルの減成時間は、例えば、架橋結合したゲルの密度を変更することにより調節することができる。従って、いくつかの実施形態では、約1日、約1週間、約2週間、約1ヶ月間、または数ヶ月間、対象の組織部位で保持する形態で、本発明のポリカチオン組成物を提供してもよい。
【0172】
本発明の一態様は、対象の標的領域で瘢痕および線維症を誘発する方法に関するものであって、前記対象の標的領域に組成物量を投与する工程を含み、前記組成物はポリカチオンおよびポリアニオンを含み、XとYとの比率は約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積である。
【0173】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記標的領域は、肺組織および卵管から成る群より選択される。
【0174】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記標的領域は、肺組織を含む。
【0175】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記対象は、ヒトである。
【0176】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記対象は、肺気腫である。
【0177】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記対象は、前記肺に外傷を負っている。
【0178】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、マルチルーメンカテーテルを経由して投与される。
【0179】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、ダブルルーメンカテーテルを経由して投与される。
【0180】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記投与量は、約5mLから約300mLである。
【0181】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記投与量は、約10mLから約100mLである。
【0182】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記投与量は、約10mLから約50mLである。
【0183】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0184】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0185】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、環境温度または生理的温度において固体である。
【0186】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0187】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0188】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有する。
【0189】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸である。
【0190】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0191】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0192】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0193】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0194】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0195】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0196】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0197】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0198】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0199】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択される。
【0200】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysである。
【0201】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、Lysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0202】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)である。
【0203】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Lys)である。
【0204】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(L−Lys)である。
【0205】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0206】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0207】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0208】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0209】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0210】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0211】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリカチオンは、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有する。
【0212】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類である。
【0213】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約5つの糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0214】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0215】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0216】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0217】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0218】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0219】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0220】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0221】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0222】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0223】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0224】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記糖類は、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択される。
【0225】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類は硫酸化されている。
【0226】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類はカルボキシメチル化されている。
【0227】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択される多糖類である。
【0228】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、コンドロイチン硫酸である。
【0229】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸である。
【0230】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0231】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0232】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0233】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0234】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0235】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0236】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0237】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0238】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0239】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択される。
【0240】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0241】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Glu)である。
【0242】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Asp)である。
【0243】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0244】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0245】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0246】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0247】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含む。
【0248】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、フィブリノゲンを含む。
【0249】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含む。
【0250】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、トロンビンを含む。
【0251】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択される。
【0252】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、テトラサイクリンである。
【0253】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、コントラスト促進剤を含む。
【0254】
ある実施形態では、本発明は前述の方法に関するものであって、前記組成物は、コントラスト促進剤をさらに含み、前記コントラスト促進剤は、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択される。
【0255】
本発明の選択されたキット
本発明の一態様は、キットに関するものであって、ポリカチオンおよびポリアニオンを含む組成物を含む容器、および肺容量減少療法におけるその使用説明書を備え、XとYとの比率は約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積である。
【0256】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0257】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成る。
【0258】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、環境温度または生理的温度において固体である。
【0259】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含む。
【0260】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、フィブリノゲンを含む。
【0261】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含む。
【0262】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、トロンビンをさらに含む。
【0263】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記組成物は、塩化カルシウムをさらに含む。
【0264】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含む第2容器を備える。
【0265】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、フィブリノゲンをさらに含む第2容器を備える。
【0266】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含む第2容器を備える。
【0267】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、トロンビンをさらに含む第2容器を備える。
【0268】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0269】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0270】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有する。
【0271】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸である。
【0272】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0273】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0274】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0275】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0276】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0277】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0278】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0279】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0280】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0281】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択される。
【0282】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysである。
【0283】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、Lysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0284】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)である。
【0285】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(L−Lys)である。
【0286】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、ポリ(Orn)である。
【0287】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0288】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0289】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0290】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリカチオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0291】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有する。
【0292】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有する。
【0293】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有する。
【0294】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類である。
【0295】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約5の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0296】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0297】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0298】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0299】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0300】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0301】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0302】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0303】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0304】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0305】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記ポリアニオンは、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基である。
【0306】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、前記糖類は、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択される。
【0307】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類は硫酸化されている。
【0308】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、多糖類であり、複数の前記糖類はカルボキシメチル化されている。
【0309】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択される多糖類である。
【0310】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、コンドロイチン硫酸である。
【0311】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸である。
【0312】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0313】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0314】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0315】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0316】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0317】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0318】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0319】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0320】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリカチオンは、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基である。
【0321】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上はAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択される。
【0322】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸は、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、CysまたはHisである。
【0323】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Glu)である。
【0324】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、ポリ(Asp)である。
【0325】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解する。
【0326】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解する。
【0327】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解する。
【0328】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記ポリアニオンは、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解する。
【0329】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記第1容器は、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択される。
【0330】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記第1容器は、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬は、テトラサイクリンである。
【0331】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記第1容器は、さらに、コントラスト促進剤を含む。
【0332】
ある実施形態では、本発明は前述のキットに関するものであって、前記第1容器は、さらに、コントラスト促進剤を含み、前記コントラスト促進剤は、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択される。
【0333】
選択した追加の治療への応用
肺気腫の治療に有用であることに加えて(例えば、上述のように、および以下の実施例において)、本発明の組成物を他の治療用途に使用してもよい。
【0334】
ほんの一例として、多数の抗生物質および抗菌剤のいずれかを、本発明の方法に使用するヒドロゲルに含めてもよい。本発明の方法に使用される組成物に含めるのに好ましい抗菌薬としては、ラクタム剤、キノロン剤、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、トリクロサン、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、塩酸テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタムブトール、イセチオン酸ヘキサミジン、メトロニダソール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾールおよびアマンファジンなどの塩が挙げられる。
【0335】
本発明の別の態様では、ポリカチオン性ヒドロゲル組成物を用いて胸水を治療してもよい。胸水は、例えば、悪性胸水および、良性ではあるが再発性の胸水などの薬物療法に難治性のものであって構わない。胸膜腔内にポリカチオン性ヒドロゲル組成物を投与して硬化症を起こすなどの方法によって、胸水を治療してもよい。
【0336】
本発明の別の態様は、ポリカチオン性ヒドロゲル組成物を使用して、術後および外傷後の創傷出血を治療することを含む。外傷付近にポリカチオン性ヒドロゲル組成物を投与するなどの方法によって瘢痕などの反応を誘発し、創傷出血を治療してもよい。
【0337】
本発明の別の態様は、ポリカチオン性ヒドロゲル組成物を用いて、腔内出血を治療することを含む。腔内出血の例としては、食道または胃からの上部胃腸の出血、直腸または大腸の痔核または腫瘤からの下部胃腸の出血、および腹腔内の癌からの腹膜の出血が挙げられる。出血部位付近および/または出血部位にポリカチオン性ヒドロゲル組成物を投与するなどの方法によって局所微小血管血栓症および/または急速瘢痕形成を促進して、腔内出血を治療してもよい。
【0338】
当然ながら、療法のすべての種類に使用されるポリカチオン濃度は、実験的に最適化することができる。さらには、曝露時間およびポリカチオン性ヒドロゲル組成物の種類(例えば、標的領域に特定の反応を誘発する能力)は、考慮すべき重要なことである。特定の用途では、適切なポリカチオン濃度は、50%から90%が細胞溶解(好ましくは約80%が細胞溶解)するように、選択されて差し支えない。溶解を誘発するために必要とされる濃度は、もちろん、ポリカチオン性ヒドロゲル組成物を曝露する細胞の型により異なるであろう。従って、体内の種々の領域で生じ、種々の細胞型によって特徴付けられる種々の疾病は、患者の特定領域内で所望の反応を生じるために1つ以上の所定のポリカチオンのための様々な濃度、量、または曝露時間を必要としてもよい。いくつかの実施形態では、以下のインビトロ測定法を使用して、ポリカチオンの適切な濃度を決定することができる。1つのフラスコ内の細胞(例、線維芽細胞3T3細胞、上皮A549細胞、または体内の標的領域を示す他の細胞)をトリプシン処理し、細胞懸濁液を1/10に分割し、フラスコ内で約80%の密集度まで成長させる。ポリカチオン性ヒドロゲル組成物(例えば、溶液、懸濁液、固体またはゲルの形態で)をこのフラスコに加え、洗浄前に約2分間放置することができる。例えば、等張食塩水内にポリカチオンを提供してもよい。一実施形態では、ポリカチオンを洗浄し(例えば、等張液を使用)、溶解細胞の比率を求める。Trypanまたは別の染色液を使用して、細胞を着色してもよい。溶解細胞の比率は、ポリカチオン曝露の前後に、フラスコの表面(細胞を成長させた表面)を比較することにより算出することができる。溶解率は、ポリカチオンで除去されたフラスコ表面の比率を算出することにより概算することができる。異なるポリカチオン濃度を試験することにより、望ましい溶解度を生じる濃度を特定することができる。
【0339】
多くのポリカチオンでは、様々な濃度が有効であって構わない。例えば、ある実施形態では、0.25%から2%のポリ−L−リジンを使用して差し支えない。しかしながら、他の濃度もまた使用してもよい(例、0.1%〜5.0%)。ポリカチオンの効能、組織への曝露時間、ポリカチオンの放出率、治療された疾病の型などにより高濃度または低濃度で使用して差し支えない。例えば、さらに強力なポリカチオンを使用する場合、またはさらに長時間曝露する場合には、低濃度で使用してもよい。より大きい分子量、および/または高い電荷密度(すなわち、より大きい数の荷電群)を有する場合、特定のポリカチオンはさらに強力であってよい。
【0340】
本明細書で用いられる化合物の「効能(効力)」とは、特定の細胞群または体内の標的領域に所望の結果を生じさせる化合物の能力のことをいう。本発明の一態様では、ポリカチオンの効能とは、細胞死など、細胞に毒性作用を生じるポリカチオンの能力のことをいう。1つの特定の実施形態では、1つ以上のポリカチオンの異なる濃度を含むゲル上で細胞を成長させる(例えば、細胞懸濁液を1/10に分割し、3%のフィブリノゲンゲル上に施す)ことにより、効能を評価して構わない。一部の事例では、前記細胞は、その後、約72時間培養される。低濃度で、ポリカチオンによって細胞接着を促進してもよい。しかしながら、高濃度では、ポリカチオンは毒性反応を有することがあり、すなわち、ポリカチオンによって細胞を一網打尽にし、致死させて差し支えない。本発明の一態様によれば、毒性反応を有し、細胞増殖を妨げ、および/または細胞を致死させるポリカチオン濃度を選択して、罹患患者の治療用のポリカチオン性ヒドロゲル組成物に含めてもよい。毒性反応は、当然、ポリカチオン性ヒドロゲル組成物を曝露する細胞の型により異なるであろう。従って、体内の種々の領域で生じ、種々の細胞型によって特徴付けられる様々な疾病には、患者の特定領域内で所望の反応を誘引するために、様々な濃度のポリカチオンが必要とされて差し支えない。
【実施例】
【0341】
これまで、本発明について一般的に記述してきたが、以下の実施例を参照することにより、さらに容易に理解されよう。それらは、本発明の特定の態様および実施形態の説明を目的として含まれるだけであり、本発明を限定することを目的としない。
【0342】
実施例1−−様々なポリアニオンを伴うポリ−L−リジンの複合体形成挙動
[a]ポリリジン+コンドロイチン硫酸:pH7.4の50mMトリス緩衝液5mLに、50mgのポリリジンを溶解した。この溶液に、pH7.4の50mMトリス緩衝液5mLに溶解させた25mgまたは75mgのコンドロイチン硫酸のいずれかを加えた。すぐに沈殿物を形成した。RP−HPLCでポリリジンの含有について上清を分析し、約0.1mg/mL未満(検出限界)がそれぞれの事例で認められた。これらの結果は、ポリアニオンコンドロイチン硫酸を加えることにより、98%を超えるポリリジンが沈殿しうることを示している。
【0343】
[b]ポリリジン+ポリグルタミン酸:ポリアニオンにポリグルタミン酸を用いて同一の実験を反復し、同一の結果を得た。
【0344】
[c]ポリリジン+アルギン酸塩:ポリアニオンにアルギン酸塩を用いて同一の実験を反復し、同一の結果を得た。
【0345】
実施例2−−ヒドロゲルから複合体の放出
フィブリンのヒドロゲルからのポリリジンおよびコンドロイチン硫酸の複合体の放出特性を特徴付けるために、ポリ−L−リジン放出量についてインビトロで評価した。
【0346】
65mg/mLのフィブリノゲンを含む2mLのフィブリノゲン溶液に4mLの12.5mg/mLのコンドロイチン硫酸溶液を加え、混合後、2mLの25mg/mLポリリジン溶液を加えた。ポリリジンとコンドロイチン硫酸との沈殿物を形成した。1,000単位のトロンビンを加えて溶液を重合した。フィブリンのヒドロゲルのリン酸緩衝生理食塩抽出液からの試料を、重合してから1、2、3、6、24および48時間の各時点で採取し、抽出試料を、RP−HPLCでポリリジンについて分析した。評価したいずれの時点でも、抽出物中にポリリジンは検出されなかった。
【0347】
ポリリジンおよびコンドロイチン硫酸の同一の相対量で、ヒドロゲル製剤を含むポリビニルアルコールについて同一の実験を反復した。リン酸緩衝生理食塩抽出液からの試料では、RP−HPLCで検出可能なポリリジンが全く示されなかった。
【0348】
実施例3−−ポリリジンを伴うインビボ実験
ポリリジンは周知の繊維化剤であり、局所肺外傷を誘発し、肺容量減少をもたらす瘢痕および繊維症を誘発する目的で用いられた。
【0349】
亜区域あたり100mg、30mgおよび10mgで、フィブリンゲル基質内の気管支鏡を介して肺の12の亜区域内にポリリジンを輸送した(図1の1群、2群および3群)。使用したポリリジンの分子量は、20,000〜80,000 Daであり、平均分子量は55,000 Daであった。合計10頭のヒツジを治療した。
【0350】
100mgのポリリジンを含む治療/ポリリジンの治療は、重度の肺外傷に加えて、腎症としての腎臓毒性の兆候および梗塞を生じた。10および30mgのポリリジンを含む製剤/ポリリジンの治療は、許容範囲の肺応答を生じたが、腎臓毒性を伴った。
【0351】
合計3頭のヒツジにおいては(図1の4群)、低分子量のPLLの代わりに高分子量(80,000〜130,000Da、平均分子量100,000)のポリリジンを使用しても、腎臓毒性を防げなかった。
【0352】
ポリリジンにより生じた特徴的病変は、腎梗塞であり、ポリカチオン障害に関する文献に報告されたものと一致する。基準の正常腎機能で試験した動物において、カチオン障害によって生じる腎障害は、無症候性を示す。検視で腎臓障害が認められる動物における本研究では、血清BUNまたはクレアチニン、または尿検査または尿のタンパク質とクレアチニンとの比率に異常は観察されなかった。従って、これらの臨床病理学試験は、ポリリジンによって生じるポリカチオン腎損傷を検出するには、感度が十分ではなかった。肺治療後、ポリカチオン腎臓毒性が生じ、それは、治療から数日内の検視でしか検出することができない。ポリカチオン性物質だけを含む製剤を用いた本研究において試験したすべての動物は、検視時に大きな腎臓障害の肉眼的な証拠を示した。特徴的急性病変は、出血を伴う腎梗塞であると思われた。病変は、カチオン曝露の数日(3〜7日)内に現れた。検視結果は、毒性についての最も感度のよいマーカーである。
【0353】
実施例4−−ポリアニオンコンドロイチン硫酸を用いたインビボ実験
肺の12の亜区域内のそれぞれに100mgのコンドロイチン硫酸を含むフィブリンゲルを使用し、4頭のヒツジを治療した(図1の5群)。2頭は、8日目に解剖し、残りの2頭は、4週間目に解剖した。ポリリジンの代わりにコンドロイチン硫酸のみを含む治療を受けた動物には、腎臓障害がなかった。しかしながら、これらの動物における肺応答は最小限であり、効果は不十分であった。
【0354】
これらの実験は、ポリリジンが、望ましい局所毒性に関与しているが、全身的な腎臓毒性の原因でもある特異的物質であることを立証している。本結論は、様々な濃度における、ポリリジンを含まないすべての製剤が、肺の効率および腎臓障害に関与している一方で、ポリリジンを使用しない製剤は腎臓毒性を生じないが、肺について効果がないことを示す観察結果に基づいている。
【0355】
実施例5−−ポリ−L−リジンおよびコンドロイチン硫酸のその場沈殿を用いたインビボ実験
4頭のヒツジの一連の実験(図1の6群)では、コンドロイチン硫酸およびポリリジン溶液のその場沈殿を、ダブルルーメンカテーテルを抜け出させるようにして行った。最終濃度が20mg/mLになるようにトロンビン溶液にポリリジンを加える一方、最終濃度が20mg/mLになるようにフィブリノゲン溶液にコンドロイチン硫酸を加えた。溶液は共に5mLであり、亜区域あたり合計10mLをヒツジの肺の亜区域内にダブルルーメンカテーテルを通じて注入した。
【0356】
治療したヒツジでは、肺容量の減少を伴う優れた肺応答が認められた。しかしながら、腎臓障害が認められ、局所毒性を維持しながらポリリジンの全身毒性を調節するその場沈殿法は不成功であった。
【0357】
合計4頭のヒツジ(図1の7群)では、全身性ヘパリンを用いて循環血液中でポリリジンを複合体化し、腎臓毒性の減少または予防を試みた。試験した投与量では、腎臓障害を予防しなかった。
【0358】
コンドロイチン硫酸の含有量に対するポリリジンの含有量を10分の1にした場合(図1の8群)は、腎臓障害の発生を防いだが、肺応答が排除された。
【0359】
実施例6−−沈殿したポリリジン/コンドロイチン硫酸を用いたインビボ実験
フィブリノゲン溶液中でコンドロイチン硫酸およびポリリジンを沈殿させることにより、検視において肉眼的な腎臓障害の存在が検出されるような腎臓毒性が排除されるように思われた。フィブリノゲン:トロンビンの比率が9:1.4である製剤の急速かつ完全な重合を、コンドロイチン硫酸のポリリジンに対する様々な比を用いて行った。
【0360】
10mLのフィブリノゲン溶液中のコンドロイチン硫酸とポリリジンとの沈殿および1,000単位のトロンビンを伴う重合は、腎梗塞の発生を防いだ。この沈殿法を使用して、1mg/mL〜5mg/mLのコンドロイチン硫酸濃度で、1mg/mL〜10mg/mLの様々なポリリジン濃度におけるポリリジン関連の腎臓毒性を防いだ(図1の9群〜13群)。
【0361】
13mg/mLのヒトフィブリノゲン、5mg/mLのコンドロイチン硫酸ナトリウム、5mg/mLのポリ−L−リジンを含む製剤を使用し、84の亜区域部位で、8頭の継続的な動物に肺容量の減少治療を行い、1000Uの活性ヒトトロンビンを用いてその場重合を行った(図1の13群)。本治療は、突発的な局所組織毒性の所見がなく、腎臓毒性の所見がない、萎縮した肺病変を生じた。
【0362】
実施例7−−ポリ(Lys、Glu)を用いたインビボ実験
コポリマーに負電荷を取り入れて、コンドロイチン硫酸とポリリジンの沈殿を模倣し、それにより前記系の複雑性を軽減させてもよい。リジンおよびグルタミン酸のコポリマー(分子量150,000〜300,000;Lys:Gluの比率4:1)を使用し、本取り組みを試験した。
【0363】
本コポリマーを使用して局所および/または全身毒性を調節できるかどうかを評価する目的で、5mg/mLのポリ(Lys、Glu)を使用して3匹のラットを治療した。治療には、200U/mLのトロンビンを用いて重合された28.6mg/mLのフィブリノゲンが含まれた。すべてのラットに麻酔をかけ、経口気管内に挿管した。気管支鏡誘導を用いて、肺の標的部位内にダブルルーメンカテーテルを配置した。試薬を肺に注入し、カテーテルを除去した。各動物を麻酔から覚醒させ、ケージに戻した。1週間後、すべての動物を安楽死させた。胸腔から肺を除去する前に、胸膜の瘢痕の範囲を評価した。その後、肺全体を除去し、十分に膨張させ、治療により生じた局所の実質性炎および瘢痕の範囲を判断するために視覚的に評価した。また、腎臓を摘出し、ポリカチオン投与後、全身毒性の結果として発現しうる皮質障害および梗塞の存在について評価した。
【0364】
コポリマーを与えられたラットは、有意な局所肺の病変を示さず、腎臓障害として現れる全身毒性の発生はなかった。
【0365】
結果は、カチオンおよびアニオンの両部分から成るコポリマーが、全身毒性を全く示さなかったが、肺容量の減少剤として効果を示さないことを示した。
【0366】
実施例8−−ポリオルニチンを用いたインビボ実験
ラットにポリオルニチンを用いると、肺容量が減少した。
【0367】
沈殿を使用して局所および/または全身毒性を調節できるかどうかを判断するために、2.5mg/mLのポリオルニチンで4匹のラットを治療し、2.5mg/mLのコンドロイチン硫酸で沈殿させた2.5mg/mLのポリオルニチンで3匹のラットを治療した。治療には、200U/mLのトロンビンを用いて重合した28.6mg/mLのフィブリノゲンが含まれた。すべてのラットに麻酔をかけ、経口気管内に挿管した。気管支鏡誘導を用いて肺の標的部位にダブルルーメンカテーテルを配置した。試薬を肺に注入し、カテーテルを除去した。各動物を麻酔から覚醒させ、ケージに戻した。1週間後、すべての動物を安楽死させた。胸腔から肺を除去する前に、胸膜の瘢痕の範囲を評価した。その後、肺全体を除去し、十分に膨張させ、治療により生じた局所の実質性炎および瘢痕の範囲を測定するために視覚的に評価した。また、腎臓を摘出し、ポリカチオン投与後に全身毒性の結果として発現しうる皮質障害および梗塞の存在について評価した。
【0368】
ポリオルニチンを与えられたラットは、有意な局所毒性および腎臓障害として現れる全身毒性を示した。沈殿させたポリオルニチンを与えられたラットでは、腎臓障害の発生が減少した。
【0369】
結果は、ポリアニオンとポリカチオンの沈殿は、局所障害の重症度、および全身毒性の発生を有意に減少させることを示した。
【0370】
実施例9−−PVA/ボラートを用いたインビボ実験
肺における局所の瘢痕、収縮、容量の減少を生じさせる目的で、沈殿したポリカチオン/ポリアニオンの安全性および有効性についても、非フィブリンヒドロゲル系を使用して試験した。4%のホウ酸ナトリウムで重合した5mg/mLのコンドロイチン硫酸で沈殿させた5mg/mLのポリ−L−リジンを含む4%ポリビニルアルコール(PVA)について評価した。麻酔投与、光ファイバーの挿管、人工呼吸器の援助開始後、健康な実験に未使用のヒツジの12の亜区域部位で気管支内投与による治療を行った。
【0371】
6頭のヒツジに、PVAゲルを酸素と組み合わせた発泡体を投与し(3頭)、あるいはゲルとして直接投与し(3頭)、PVAを評価した。結果は、治療部位および重要臓器の検視評価により治療の安全性を評価した、1週間まで入手可能であり、肺容量の治療に関連する変化についてのX線評価および肺応答の検視評価により効能を評価した。
【0372】
結果は、PVAの発泡体またはゲルで沈殿させたポリリジン/コンドロイチン硫酸が、治療部位において肺の虚脱の局所領域に関連する効果的な容量減少を生じたことを示した。発泡体あるいはゲルとして投与された、10mLの注入によるPVA治療は、0.7〜1.2%の容量減少/部位に関連した。試験した6頭の動物には、全身毒性の証拠がなかった。具体的には、腎臓、肝臓、心臓、副腎、または膵臓の障害の検視証拠はなかった。
【0373】
これらのデータは、ポリリジンなどのポリカチオンとコンドロイチン硫酸などのポリアニオンの沈殿は、フィブリンゲル以外のヒドロゲル系で行なわれ、局所組織障害に影響を及ぼすためにインビボで輸送され、全身毒性を生じることなく肺容量の減少を達成することが可能であることを示す。
【0374】
実施例10−−肺容量減少を達成するための肺気腫を患う患者におけるポリ−L−リジン/コンドロイチン硫酸の複合体の試験
進行肺気腫を患う患者における肺容量の減少を達成するためのポリアニオンと複合したポリカチオンを使用して、制御された局所組織障害を生じさせる系は、最初の臨床試験を発展させ、完了させた。本製剤では、柔軟性のある気管支鏡を使用し、気道内に配置されたカテーテルを介して気管支内に、13mg/mLのヒトフィブリノゲン、0.5mg/mLの水性テトラサイクリン塩酸塩、5mg/mLのポリ−L−リジン酢酸、および5mg/mLのコンドロイチン硫酸を含む懸濁液を、1500単位のヒトトロンビンを含む塩化カルシウム溶液とともに同時投与した。フィブリノゲン−トロンビンの混合物は、その場重合し、治療の部位でゲルを生成した。沈殿したポリリジン/コンドロイチン硫酸は、局所障害を生じ、肺の損傷部位を虚脱し、かつ、傷つけた。
【0375】
6人の患者に本製剤を使用して、単一肺における4つの亜区域内の気道部位を治療した。胸部のCT画像を6週間実施し、治療部位における局所瘢痕の証拠を示した。瘢痕形成の実施例は、図2のCT画像に示される。
【0376】
生理学的測定は、肺容量の減少(RV/TLCの比率は、平均4%減少)および肺活量の向上(平均13%の増加)を示し、その両方は、臨床的に有意であると見なされ、一方的な肺容量減少手術と十分比較できる。
【0377】
ポリカチオン性の損傷により生じうる、可能性のある腎臓毒性を評価するために、基準、治療前、治療1日後、治療1週間後に腎臓超音波検査を行った。腎機能における変化または腎臓組織損傷の証拠を評価するために、基準、治療1日後、および1週間後に、血中尿素窒素(BUN)および血清クレアチニン値、および尿検査を評価した。腎臓超音波の研究では、腎梗塞の形成においてポリカチオン障害を示す治療後の変化の証拠がないことが示された。BUNおよびクレアチニンを含む腎機能の研究では、治療1日後、または1週間後には悪影響がなかった。尿検査の研究では、腎損傷の証拠は示されなかった。追加の臨床病理学試験では、心臓、肝臓、または血液系において治療の悪影響の証拠がないことがさらに示された。
【0378】
これらの結果は、ヒドロゲル投与前に、ポリアニオン(本例では、コンドロイチン硫酸)で沈殿させる場合、治療上の肺容量減少を生じるために、肺気腫を患う患者の肺にフィブリンハイドロゲルにより、ポリカチオン性ポリ−L−リジンを安全に投与することができることを確認した。
【0379】
参考文献の援用
米国特許第6,610,043号、同第6,709,401号、同第6,682,520号の各明細書、米国特許出願公開第2002/0147462号、同第2003/0018351号、同第2003/0228344号、同第2004/0200484号、同第2004/0038868号、および同第2005/0239685号の各明細書のすべてを参照することにより、その全体を本願に援用する。さらに、本願に引用されるすべての米国特許および米国特許出願公開も、参照することにより本願に援用する。
【0380】
等価
本発明のいくつかの実施形態を本願に記載し、論証するが、当業者は、他の様々な手段、および/または、機能を実施および/または結果を得るための構造、および/または本願に記載された1つ以上の利点を容易に予測するであろう。こういった変化、および/または修正はそれぞれ、本発明の範囲内であると見なされる。さらに一般的には、当業者は、本願に記載されるすべてのパラメータ、寸法、物質、および構造が典型例であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、物質、および/または構造は、本発明の教示の特定用途によるものであることを容易に理解するであろう。当業者は、通常の実験だけを使用することにより、本願に記載される本発明の特定の実施形態に多くの同等物を認識する、または確認することが可能である。従って、前述の実施形態が実施例のみの目的として、添付の特許請求の範囲およびその同等の範囲内において、本発明は、明確に記載され、請求される場合以外のものを実施してもよいことを理解するであろう。本発明は、本願に記載されるそれぞれの個別の特性、システム、品目、物質、キット、および/または方法を対象にする。さらに、前記特性、システム、品目、物質、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上の前記特性、系、品目、物質、キット、および/または方法のいずれの組合せも、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0381】
【図1】ポリリジンおよびコンドロイチン硫酸を使用する、生体内のフィブリンゲルの実験結果の集計。「*」は、全身ヘパリンを投与したことを示す(7群を参照)。
【図2】肺気腫の治療に対して、局所組織障害および肺容量の減少を生じるためにフィブリンヒドロゲルに運搬した、ポリリジン/コンドロイチン硫酸沈殿物を受ける患者において、基準[A]および治療してから6週間後[B]の冠状断CT画像。実施例10を参照。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカチオンおよびポリアニオンを含む組成物であって、XとYとの比率が約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記組成物が、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、環境温度または生理的温度において固体であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
フィブリノゲンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
トロンビンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
塩化カルシウムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
フィブリンとトロンビン、フィブリノゲンとトロンビン、ポリビニルアルコールとボラート、ポリビニルアルコールとボロネート、アルギン酸塩とカルシウム、またはジェランとマグネシウムの組合せから形成されるヒドロゲルを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
フィブリノゲンとトロンビンの組合せから形成されるヒドロゲルをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群よりそれぞれ独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、XはLysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記ポリカチオンが、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリカチオンがポリ(Lys)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリカチオンがポリ(L−Lys)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリアニオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記ポリアニオンが、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記ポリアニオンが、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記ポリアニオンが多糖類であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約5の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項44】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項45】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項46】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項47】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンがは、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項48】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項49】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項50】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記糖類が、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項51】
前記ポリアニオンが多糖類であり、複数の前記糖類が硫酸化されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項52】
前記ポリアニオンが多糖類であり、複数の前記糖類がカルボキシメチル化されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項53】
前記ポリアニオンが、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項54】
前記ポリアニオンがコンドロイチン硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項55】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項56】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項57】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項58】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項59】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項60】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項61】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項62】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項63】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項64】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項65】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群よりそれぞれ独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項66】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項67】
前記ポリアニオンがポリ(Glu)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項68】
前記ポリアニオンがポリ(Asp)であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項69】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項70】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項71】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項72】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項73】
抗感染薬をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物であって、前記抗感染薬が、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項74】
抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬がテトラサイクリンであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項75】
コントラスト促進剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項76】
コントラスト促進剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物であって、前記コントラスト促進剤が、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項77】
対象の標的領域で瘢痕および線維症を誘発する方法であって、前記対象の標的領域に組成物量を投与する工程を含み、前記組成物がポリカチオンおよびポリアニオンを含み、XとYとの比率が約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積であることを特徴とする方法。
【請求項78】
前記標的領域が、肺組織および卵管から成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記標的領域が、肺組織を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記対象が、ヒトであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記対象が、肺気腫に罹患していることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、前記肺に外傷を負っていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記組成物が、マルチルーメンカテーテルを経由して投与されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記組成物が、ダブルルーメンカテーテルを経由して投与されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記投与量が、約5mLから約300mLであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項86】
前記投与量が、約10mLから約100mLであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記投与量が、約10mLから約50mLであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項88】
前記組成物が、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記組成物が、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記組成物が、環境温度または生理的温度において固体であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項92】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項93】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項94】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項77に記載の組成物。
【請求項95】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項96】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項97】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項99】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項100】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項101】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項102】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項103】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項104】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項105】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項106】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、Lysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項107】
前記ポリカチオンが、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項108】
前記ポリカチオンがポリ(Lys)であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項109】
前記ポリカチオンがポリ(L−Lys)であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項110】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項111】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項112】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項113】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項114】
前記ポリアニオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項115】
前記ポリアニオンが、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項116】
前記ポリアニオンが、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項117】
前記ポリアニオンが多糖類であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項118】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約5の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項119】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項120】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項121】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項122】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項123】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項124】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項125】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項126】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項127】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項128】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記ポリアニオンが、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項129】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、前記糖類が、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項130】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、複数の前記糖類が硫酸化されていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項131】
前記ポリアニオンが多糖類であり、かつ、複数の前記糖類がカルボキシメチル化されていることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項132】
前記ポリアニオンが、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項133】
前記ポリアニオンがコンドロイチン硫酸であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項134】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項135】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項136】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項137】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項138】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項139】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項140】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項141】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項142】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項143】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項144】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項145】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項146】
前記ポリアニオンがポリ(Glu)であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項147】
前記ポリアニオンがポリ(Asp)であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項148】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項149】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項150】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項151】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項152】
前記組成物が、フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランをさらに含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項153】
前記組成物が、さらにフィブリノゲンを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項154】
前記組成物が、さらにトロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項155】
前記組成物が、さらにトロンビンを含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項156】
前記組成物が、さらに抗感染薬を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法であって、前記抗感染薬が、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項157】
前記組成物が、さらに抗感染薬を含み、前記抗感染薬がテトラサイクリンであることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項158】
前記組成物が、さらにコントラスト促進剤を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項159】
前記組成物が、さらにコントラスト促進剤を含むことを特徴とする請求項77に記載の方法であって、前記コントラスト促進剤が、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項160】
ポリカチオンおよびポリアニオンを含む組成物を含む容器、および肺容量減少療法におけるその使用説明書を備えるキットであって、XとYとの比率が約1より大きく、Xは、ポリカチオンの質量とポリカチオンの質量あたりの電荷の比率の積であり、Yは、ポリアニオンの質量とポリアニオンの質量あたりの電荷の比率の積であることを特徴とするキット。
【請求項161】
前記組成物が、実質的に、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項162】
前記組成物が、前記ポリカチオンおよび前記ポリアニオンから成ることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項163】
前記組成物が、環境温度または生理的温度において固体であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項164】
前記組成物が、さらにフィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランを含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項165】
前記組成物が、さらにフィブリノゲンを含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項166】
前記組成物が、さらにトロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムを含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項167】
前記組成物が、さらにトロンビンを含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項168】
前記組成物が、さらに塩化カルシウムを含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項169】
フィブリン、フィブリノゲン、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩またはジェランを含むさらに第2容器を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項170】
フィブリノゲンを含む第2容器をさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項171】
トロンビン、ボラート、ボロネート、カルシウム、またはマグネシウムをさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項172】
トロンビンを含む第2容器をさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項173】
前記ポリカチオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項174】
前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項175】
前記ポリカチオンは、約10kDより大きく、約200kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項176】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項177】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項178】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項179】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項180】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項181】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項182】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項183】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項184】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項185】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項186】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がLys、Orn、HisおよびArgから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がAspおよびGluから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項187】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してLys、Orn、HisまたはArgであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、またはCysであることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項188】
前記ポリカチオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、Lysであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項189】
前記ポリカチオンが、ポリ(Lys)、ポリ(Orn)、ポリ(Arg)またはポリ(His)であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項190】
前記ポリカチオンが、ポリ(L−Lys)であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項191】
前記ポリカチオンが、ポリ(Orn)であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項192】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項193】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項194】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項195】
前記ポリカチオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項196】
前記ポリアニオンが、約10kDより大きく、約500kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項197】
前記ポリアニオンは、約20kDより大きく、約250kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項198】
前記ポリアニオンは、約20kDより大きく、約100kDより小さい分子量を有することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項199】
前記ポリアニオンが多糖類であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項200】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約5の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項201】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約20の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項202】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約50の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項203】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約100の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項204】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約200の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項205】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約300の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項206】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項207】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約750の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項208】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約1,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項209】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約1,500の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項210】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記ポリアニオンが、少なくとも約2,000の糖類残基であって、約2,500より少ない糖類残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項211】
前記ポリアニオンが多糖類であり、前記糖類が、セルロース、キシロース、N−アセチルラクトサミン、グルクロン酸、マンヌロン酸、およびグルロン酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項212】
前記ポリアニオンが多糖類であり、複数の前記糖類は硫酸化されていることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項213】
前記ポリアニオンが糖類であり、複数の前記糖類がカルボキシメチル化されていることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項214】
前記ポリアニオンが、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ペントサン硫酸、ケラタン硫酸、ムコポリサッカライドポリサルフェート、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースから成る群より選択されることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項215】
前記ポリアニオンがコンドロイチン硫酸であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項216】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項217】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約50のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項218】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約100のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項219】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約200のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項220】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約300のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項221】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約500のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項222】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約750のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項223】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約1,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項224】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約2,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項225】
前記ポリアニオンがポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリカチオンが、少なくとも約3,000のアミノ酸残基であって、約4,000より少ないアミノ酸残基を含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項226】
前記ポリアニオンがアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、Asp、Glu、Lys、Orn、Arg、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、およびHisから成る群より独立して選択された複数のアミノ酸を含み、前記アミノ酸の約25%以上がAspおよびGluから成る群より独立して選択され、さらに、前記アミノ酸の約5%以下がLys、Orn、およびArgから成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項227】
前記ポリアニオンが、ポリアミノ酸であり、かつ、前記ポリアミノ酸が、ポリ(X−Y)、ポリ(X−Y−Y)またはポリ(X−Y−Y−Y)により表され、Xは、それぞれ存在ごとに独立してAspまたはGluであり、Yは、それぞれ存在ごとに独立してGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Asn、Gln、Ser、Thr、Tyr、Cys、またはHisであることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項228】
前記ポリアニオンがポリ(Glu)であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項229】
前記ポリアニオンがポリ(Asp)であることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項230】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約12週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項231】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約6週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項232】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約1週間から約4週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項233】
前記ポリアニオンが、生理学的条件下、約2週間から約5週間で分解することを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項234】
前記第1容器が、抗感染薬をさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキットであって、前記抗感染薬が、アミノグリコシド抗生物質、テトラサイクリン、スルホンアミド、p−アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン、キノロン、β−ラクタム、β−ラクタマーゼ阻害剤、クロラフェニコール、マクロライド、ペニシリン、セファロスポリン、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン、クロファジミン、サリドマイド、ポリエン抗真菌剤、フルシトシン、イミダゾール、トリアゾール、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾールシクロピラックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、およびテルビナフィン、またはその組合せから成る群より選択されることを特徴とする請求項77に記載のキット。
【請求項235】
前記第1容器が、抗感染薬をさらに含み、前記抗感染薬がテトラサイクリンであることを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項236】
前記第1容器が、コントラスト促進剤をさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキット。
【請求項237】
前記第1容器が、コントラスト促進剤をさらに含むことを特徴とする請求項160に記載のキットであって、前記コントラスト促進剤が、放射線不透過物質、常磁性体、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種を含む物質から成る群より選択されることを特徴とする請求項160に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−514860(P2009−514860A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538948(P2008−538948)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042338
【国際公開番号】WO2007/055950
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(504336010)エアリス セラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】