説明

ポリゴンモーターユニット、およびこれを備えた光走査装置、画像形成装置

【課題】ポリゴンミラーと該ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターとを支持する基板から効率的に放熱を行うと共に、該基板の位置決めを行う支持部の表面積の増大を抑制したポリゴンミラーユニットを提供する。
【解決手段】熱伝導プレート50は、上面部50aにおいて、ポリゴンモーターを備えたポリゴンモーター基板を支持する。上面部50aには、所定の高さをもって突設された第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55が配設され、該複数の凸部によって、ポリゴンモーター基板が支持される。また、ポリゴンモーター基板と上面部50aとの間には、ポリゴンモーターの回転軸が挿入される開口部52を囲むように、第1熱伝導シート60が圧縮されながら配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンモーターを備えたポリゴンモーターユニット、およびこれを備えた光走査装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリゴンモーターを備えたユニットとして、特許文献1に記載されているような露光ユニットが知られている。この技術では、露光ユニットは、底部と蓋部とを備えたハウジングと、回転駆動され、周面に照射される光を偏向し所定の対象に対して走査するポリゴンミラーと、該ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターと、駆動回路基板とを備える。ポリゴンミラーとポリゴンモーターとは、駆動回路基板に支持され、駆動回路基板はハウジングの底部に固定される。また、ハウジングの蓋部には、熱拡散部材が配設され、駆動回路基板と熱拡散部材との間に、ヒートパイプが接続される。ポリゴンモーターの回転に伴って生じた熱は、ヒートパイプを伝って、駆動回路基板から上方の熱拡散部材へと伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−215284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術のように、駆動回路基板に生じた熱をヒートパイプによって上方に伝達させる場合、ポリゴンミラーの上方空間が占有されるため、露光ユニットの占有スペースが増大してしまう。一方、駆動回路基板のハウジング底部側を利用して放熱する場合、駆動回路基板がハウジング底部に対して支持される支持部を介して、熱が伝達されることが考えられる。この場合、放熱を促進させるためには、支持部の表面積を増やすことが望まれる。しかし、駆動回路基板はポリゴンミラーを備えているため、該ポリゴンミラーの位置決めを兼ねる支持部には、高い位置決め精度が要求される。このため、支持部の表面積の増大は、高精度での加工が求められる面積の増大に繋がり、露光ユニットのコストアップをもたらしてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ポリゴンミラーと該ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターとを支持する基板から効率的に放熱を行うと共に、該基板の位置決めを行う支持部の表面積の増大を抑制したポリゴンミラーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るポリゴンモーターユニットは、回転駆動され、周面に照射される光を偏向し所定の対象に対して走査するポリゴンミラーと、軸部を有し該軸部回りに前記ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターと、第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを備え、前記第1の面に前記ポリゴンミラーと前記ポリゴンモーターとが搭載される基板と、基準位置が設定される位置決め部と、前記第2の面に対向する第3の面と、該第3の面から前記第2の面に向かって突設され、かつ、前記第2の面に当接して前記基準位置に対する前記基板の位置決めを行う凸部と、を備えた熱伝導部材と、前記第2の面と前記第3の面との間に配設され、復元力をもって前記第2の面と前記第3の面とに接触する、熱伝導材料から構成される弾性部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、第1の面に、ポリゴンミラーとポリゴンモーターとが搭載された基板は、熱伝導部材の第3の面から突設された凸部に当接される。この際、該凸部によって、熱伝導部材が有する基準位置に対する基板の位置決めが行われる。したがって、第2の面と第3の面とが直接当接する場合と比較して、位置決めのための接触面積が低減する。該接触部分には、位置決めのための高い加工精度が要求されるため、上記の接触面積が低減することによって、該加工部分が縮小される。また、第2の面と第3の面との間には、熱伝導材料から構成される弾性部材が配設される。弾性部材は、復元力をもって、第2の面と第3の面とに接触するため、微小領域での接触面積が増大し、基板から熱伝導部材への熱の伝達が促進される。したがって、ポリゴンミラーの温度が上昇し、偏向精度が悪化することが抑止される。
【0008】
上記の構成において、前記弾性部材は、前記軸部が配設される前記基板上の位置の周辺において、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることが望ましい。
【0009】
本構成によれば、弾性部材は、ポリゴンモーターの回転軸部が配設される基板上の位置の周辺において、第2の面と第3の面との間に配設される。このため、ポリゴンモーターの回転によって生じる熱が、より熱源に近い部分から、熱伝導部材側に伝達されることが可能となる。
【0010】
上記の構成において、前記軸部は、前記第1の面から前記第2の面を貫通し、前記第3の面に向かって突出するものであり、前記熱伝導部材は、前記第3の面に前記軸部に対向して形成された軸受け孔を有し、前記弾性部材は、前記軸受け孔を囲むように、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、弾性部材は、第2の面から第3の面に突出するポリゴンモーターの軸部を囲むように、第2の面と第3の面との間に配設される。このため、弾性部材は、軸部から輻射される輻射熱を内部に閉じ込める作用を備える。したがって、該熱を周囲に拡散させることなく、熱伝導部材側に伝達させることが可能となる。
【0012】
上記の構成において、前記基板は、前記第1の面に、前記ポリゴンモーターに駆動電流を出力するドライバ素子を備え、前記弾性部材は、前記ドライバ素子が配設される前記基板上の位置の周辺において、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、弾性部材は、ポリゴンモーターに駆動電流を出力することで発熱しやすいドライバ素子の位置の周辺において、前記第2の面と前記第3の面との間に配設される。したがって、ドライバ素子から発せられる熱が熱伝導部材側に伝達されやすく、ドライバ素子の温度上昇が抑止される。
【0014】
上記の構成において、前記熱伝導部材は、前記第3の面とは反対側の第4の面を備え、該第4の面に熱拡散用リブ部材を備えたヒートシンクであることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、弾性部材を伝って、熱伝導部材側に伝達された熱は、熱拡散用リブ部材を伝って、放熱される。このため、熱伝導部材の温度が上昇し、基板側からの熱伝達効率が低下することが抑制される。
【0016】
上記の構成において、前記第3の面から前記凸部が突設される高さをta、前記第2の面と前記第3の面との間に配設される前の、前記弾性部材の前記第3の面と直交する方向の厚みをtbとした場合、ta<tbを満たすことが望ましい。
【0017】
本構成によれば、弾性部材が、第2の面と第3の面との間で確実に圧縮されるため、微小領域での接触面積が増大し、基板から熱伝導部材への熱伝達が効率的に行われる。
【0018】
上記の構成において、前記凸部は、前記第2の面に対向するスクリュー穴を備え、前記基板は、前記スクリュー穴に対向して、前記第1の面から前記第2の面に貫通された貫通孔を備え、前記基板と前記熱伝導部材とは、前記貫通孔に挿通され、前記スクリュー穴に締結されるスクリューによって一体固定されることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、基板と熱伝導部材とがスクリューによって固定される。このため、第1基盤の位置決めが確実に行われると共に、弾性部材が好適に圧縮され、基板から熱伝導部材への熱伝達が効果的に実現される。
【0020】
上記の構成において、tb<2×taを満たすことが望ましい。
【0021】
本構成によれば、基板と熱伝導部材とがスクリューによって締結されるにあたり、弾性部材の高さtbによって、基板が傾斜することがないため、締結作業が容易に実行される。
【0022】
本発明の他の局面に係る光走査装置は、前記熱伝導部材を支持するハウジングと、前記ポリゴンミラーに対して、光を照射する光源と、上記の何れかに記載のポリゴンモーターユニットと、を有することを特徴とする。
【0023】
本構成によれば、第2の面と第3の面とが直接当接する場合と比較して、基板の位置決めのための接触面積が低減する。したがって、基板の位置決めのための加工面積が縮小された光走査装置が提供される。また、第2の面と第3の面との間には、熱伝導材料から構成される弾性部材が配設され、基板から熱伝導部材への熱の伝達が促進される。したがって、ポリゴンミラーの温度が上昇し、偏向精度が悪化することが抑止され、安定した光走査を実現することが可能となる。
【0024】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の光走査装置と、前記ポリゴンミラーによって走査され、表面に静電潜像が形成される像担持体と、を有することを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、基板の位置決めのための加工面積が縮小された光走査装置を備えた画像形成装置が提供される。また、第2の面と第3の面との間には、熱伝導材料から構成される弾性部材が配設され、基板から熱伝導部材への熱の伝達が促進される。したがって、ポリゴンミラーの温度が上昇し、偏向精度が悪化することが抑止され、像担持体上の静電潜像の精度が安定して維持される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ポリゴンミラーと該ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターとを支持する基板から効率的に放熱を行うと共に、該基板の位置決めを行う支持部の表面積の増大を抑制したポリゴンミラーユニットが提供される。したがって、ポリゴンミラーを備えた基板の位置決めのための加工面積が縮小される。また、ポリゴンミラーの温度が上昇し、偏向精度が悪化することが抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露光ユニットの上方斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る熱伝導プレートの上方斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る熱伝導プレートの上方斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るポリゴンミラーユニットの上方斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る熱伝導プレートの上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態にしたがう画像形成装置の斜視図である。図2は、図1に示される画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。図1及び図2に示される画像形成装置は、いわゆる胴内排紙型の複写機であるが、他の実施形態において、プリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。
【0029】
画像形成装置1は、略直方体形状の主筐体2を含む。主筐体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。連結筐体23は、主筐体2の右縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる排出空間24に印刷処理が施与されたシートが排出される。
【0030】
上部筐体22の正面方向に突出する操作部221は、例えば、LCDタッチパネル222を含む。操作部221は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。使用者は、例えば、LCDタッチパネル222を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。上部筐体22内には、主に原稿の画像を読み取るための機器や画像形成装置1の全体の制御を司る電子回路が収容される。
【0031】
上部筐体22の上に配設される原稿カバー223は、原稿を押さえるために用いられる。原稿カバー223は、上部筐体22に上下に回動可能に取り付けられる。使用者は、原稿カバー223を上方に回動させ、上部筐体22上に原稿を載置する。その後、使用者は操作部221を操作して、原稿の画像を上部筐体22内に配設された機器に読み取らせることができる。
【0032】
下部筐体21には、複数のシートを積載するシートトレイ250が配設される。シートトレイ250は、下部筐体21から正面方向に引出可能である。シートトレイ250内に収容されたシートPは、下部筐体21内で上方に送り出され、操作部221を通じて使用者によって入力された指示に基づき、下部筐体21内で画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。
【0033】
下部筐体21の右面には、トレイ212が回動可能に取り付けられる。図1に示されるように、トレイ212が下部筐体21の右方に突出する位置にあるとき、使用者はトレイ212上にシートを載置可能である。トレイ212上のシートは、操作部221を通じて使用者によって入力された指示に基づき、下部筐体21内に引き込まれた後、画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。トレイ212が上方に回動されると、下部筐体21の右面に凹設された収容空間203内にトレイ212が収容され、シートを下部筐体21内に引き込むための供給口を塞ぐ。
【0034】
下部筐体21は、シートに画像を形成するための様々な機器を収容する。また、連結筐体23は、画像形成処理が施与されたシートを排出空間24へ排出するための様々な機器を収容する。
【0035】
図2は、図1に示される画像形成装置1の内部構造を概略的に示す。上部筐体22は、走査機構224を収容する。使用者は、走査機構224を通じて、所望の原稿の画像を画像形成装置1に読み取らせることができる。走査機構224上には、上部筐体22の上面に取り付けられるコンタクトガラス225が配設される。原稿カバー223は、コンタクトガラス225上に載置された原稿を押さえるために用いられる。使用者が、操作部221を通じて、画像形成装置1を作動させると、走査機構224は、コンタクトガラス225上の原稿の画像を走査して読み取る。走査機構224によって読み取られた画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換される。画像形成装置1は、デジタル信号に基づき、シートに画像を形成する。
【0036】
下部筐体21には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bk、中間転写ユニット902、画像形成部903、露光ユニット8、定着ユニット97及び排紙ユニット96、搬送ユニット3が収容される。
【0037】
画像形成部903は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Bkを含む。これらコンテナの下方には、YMCBk各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Bkがそれぞれ配設される。
【0038】
画像形成部903は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
【0039】
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10Bk)、転写ローラー19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット8によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラー19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
【0040】
各現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラー11、12が回転可能に配置される。
【0041】
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラー11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラー11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラー11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
【0042】
2成分現像剤は、攪拌ローラー11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラー11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラー14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラー14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制され、更に上方の現像ローラー15にトナーを供給する。現像ローラー15上のトナー層は、磁気ローラー14と現像ローラー15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
【0043】
露光ユニット8は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部903の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。本実施形態に係る露光ユニット8については、後記で詳述する。
【0044】
中間転写ユニット902は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、シートトレイ250又はトレイ212(図1参照)から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラー922及び従動ローラー923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
【0045】
定着ユニット97は、中間転写ユニット902から二次転写されたシート上のトナー像に対し、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の上部(連結筐体23内)に形成された排紙ユニット96へ向けて排出される。
【0046】
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送されたシートを、排紙トレイとして用いられる下部筐体21の上面213上に排出する。
【0047】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る露光ユニット8の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る露光ユニット8の内部構造を示した斜視図である。露光ユニット8は、ハウジング80内にレーザーダイオード81と、レンズ部82、83と、ポリゴンモーターユニット7と、fθレンズ85、86と、折返し鏡87ととを備えている。
【0048】
レーザーダイオード81(光源)は、図外の画像メモリで生成されて出力された画像データ信号をレーザー光に変調して発射する。このレーザーダイオード81は、レーザー光の発射タイミング等の制御を行う回路基板88に電気的に接続されている。レンズ部82、83は、例えばコリメータレンズやプリズム等により構成されており、入射したレーザー光を平行光に変換する機能を有している。
【0049】
ポリゴンモーターユニット7は、基板上にモーター部71cとポリゴンミラー71bとを備える。モーター部71cは、駆動電流が入力され、所定の回転数で、ポリゴンミラー71bを回転させる。ポリゴンミラー71bは、平面視正五角形の平板状に形成されており、モーター部71cによって、回転されながらレンズ部83からのレーザー光をfθレンズ85に向けて偏向する。
【0050】
fθレンズ85、86は、互いのアーチ部分が対向するようにハウジング80内の適所に配設されており、ポリゴンミラー71bで偏向されたレーザー光を感光体ドラム17上で等速走査させる機能を有している。折返し鏡87は、fθレンズ86からのレーザー光を反射して感光体ドラム17に導くために設けられている。ポリゴンモーターユニット7については、後記で詳述する。
【0051】
この露光ユニット8では、レーザーダイオード81から射出されたレーザー光がレンズ部82、83を介してポリゴンミラー71bへと導かれる。そして、回転するポリゴンミラー71bに入射したレーザー光は、ポリゴンミラー71bの鏡面で反射偏向されたのちfθレンズ85、86を通って折返し鏡87で反射される。これにより、レーザー光は、所定の走査方向(図3の矢印A方向)に水平走査されながら前記走査方向と直交する軸心回り(図3の矢印B方向)に回転する感光体ドラム17(像担持体)のドラム面に導かれる。
【0052】
次に、図4〜6を参照して、ポリゴンモーターユニット7の第1の実施形態の構成について説明する。図4は、ポリゴンモーターユニット7を構成する熱伝導プレート50の上方斜視図であり、図5は、熱伝導プレート50に、第1熱伝導シート60が取り付けられた状態の上方斜視図である。また、図6は、熱伝導プレート50に、ポリゴンモーター基板70が取り付けられたポリゴンモーターユニット7全体の上方斜視図である。
【0053】
ポリゴンモーターユニット7は、熱伝導プレート50と、第1熱伝導シート60と、ポリゴンモーター基板70と、ポリゴンモーター71とを備える(図5)。ポリゴンモーターユニット7は、熱伝導プレート50とポリゴンモーター基板70との2枚の板状部材を備える。
【0054】
図4を参照して、熱伝導プレート50(熱伝導部材)は、2枚の板状部材から構成されるポリゴンモーターユニット7の一方の板状部材に相当する。熱伝導プレート50は、平面視で長方形の平板部材から構成される。熱伝導プレート50は、熱伝導率の高い金属材料から構成される。熱伝導プレート50は、長方形形状の一面を構成する上面部50a(第3の面)と、該上面部50aから立設され、前記長方形の長辺側の一対の側面である第1側面部50bおよび第2側面部50cと、該一対の側面部にそれぞれ連設され、前記長方形の短辺側で対向配置された前方部50dおよび後方部50eと、を備える。
【0055】
また、熱伝導プレート50は、前方部50d側に、平面視で略三角形状に延伸して配設される突き出し部50gを備える。突き出し部50gは、略中央に、上面部50aに対して垂直方向に、僅かな高さで円柱状に突設される第1締結部51a(位置決め部)を備える。一方、上面部50a上には、後方部50e側に沿った2つの角部の近傍に、第2締結部51b(位置決め部)および第3締結部51c(位置決め部)が配設される。該第2締結部51bおよび第3締結部51cも、上面部50aに対して垂直方向に、僅かな高さで円柱状に突設される。これら3つの締結部は、円板形状内部に、ネジ穴を有する。熱伝導プレート50は、該3つの締結部において、ハウジング(図3参照)にネジによって締結される。該3つの締結部において、熱伝導プレート50のハウジング80に対する基準位置が設定される。また、熱伝導プレート50は、開口部52(軸受け孔)を備える。
【0056】
上面部50aは、更に、第1凸部53(凸部)と、第2凸部54(凸部)と、第3凸部55(凸部)と、第1予備凸部56および第2予備凸部57と、を備える。
【0057】
第1凸部53は、開口部52よりも前方部50d側の位置に配設される。第1凸部53は、上面部50aに対して垂直方向に、僅かな高さで円柱状に突設される。第1凸部53は、上面にリング型形状からなる第1基準面53aと、該第1基準面53aの内側に形成された第1固定穴53b(スクリュー穴)とを備える。
【0058】
第2凸部54は、開口部52よりも後方部50e側であって、第2側面部50c近傍に配設される。第2凸部54は、上面部50aに対して垂直方向に、僅かな高さで、断面視で略楕円形状に突設される。第2凸部54は、上面に第2基準面54aと、該第2基準面54aの内側に隣接して形成された第2固定穴54b(スクリュー穴)と第1予備固定穴54cとを備える。
【0059】
第3凸部55は、開口部52よりも後方部50e側であって、第1側面部50b近傍に配設される。第3凸部55は、第1凸部53と同様に、上面部50aに対して垂直方向に、円板形状をもって突設される。第3凸部55は、上面にリング型形状からなる第3基準面55aと、該第3基準面55aの内側に形成された第3固定穴55b(スクリュー穴)とを備える。
【0060】
更に、第1凸部53の周辺には、第1凸部53を挟むように、第1凸部53と同様の形状を備えた第1予備凸部56と第2予備凸部57とが配設される。第1予備凸部56は、第1予備基準面56aと第2予備固定穴56bとを備え、第2予備凸部57は、第2予備基準面57aと第3予備固定穴57bとを備える。なお、本実施形態では、第1予備凸部56および第2予備凸部57、更に、第1予備固定穴54cは使用されない。これらは、第1凸部53などが欠損された場合に代用的に使用されることがある。また、熱伝導プレート50に搭載されるポリゴンモーター基板70の形状が異なる場合などに、第1凸部53などに代わって使用される。
【0061】
更に、上面部50aの裏面(第4の面)には、格子状のリブ部50f(放熱用リブ部材)が突設される。リブ部50fは、熱伝導プレート50に蓄積された熱を表面から放熱させる機能を備える。
【0062】
開口部52は、熱伝導プレート50において、上面部50aの中央部よりもやや前方部50d側の位置に、円形に開口して配設される。開口部52には、後記のポリゴンモーター71の回転軸(軸部)が挿通される。
【0063】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るポリゴンモーター基板70(基板)の構成について説明する。ポリゴンモーター基板70は、2枚の板状部材から構成されるポリゴンモーターユニット7の他方の板状部材に相当する。ポリゴンモーター基板70は、熱伝導プレート50よりもやや小さく、平面視で略長方形の板状部材からなる。ポリゴンモーター基板70の長方形形状の長辺と短辺とが、熱伝導プレート50の長方形形状の長辺と短辺とのそれぞれ略中央に位置するように、ポリゴンモーター基板70が熱伝導プレート50の上に重ねられ、固定される。
【0064】
ポリゴンモーター基板70の熱伝導プレート50側とは反対側に位置する設置面70h(第1の面)には、ポリゴンモーター71と、ドライバIC73と、コンデンサ74と、コネクター75とが搭載される。また、ポリゴンモーター基板70は、ポリゴンモーター71が搭載される略矩形状の第1基板部70aと、ドライバIC73とコンデンサ74とコネクター75とが搭載され、第1基板部70aに連設される第2基板部70bとに分類される。ポリゴンモーター基板70には、各種の樹脂基板材料が用いられる。
【0065】
ポリゴンモーター71は、第1基板部70aの略中央部に配設され、周囲に多面鏡を備えたポリゴンミラー71bと、該ポリゴンミラー71bを支持するヘッド部71aと、不図示の回転軸(軸部)を備え、ポリゴンミラー71bを回転させるモーター部71cと、を備える。該回転軸は、第1基板部70aのポリゴンミラー71bが搭載された面(第1の面)から反対側の面(第2の面)を貫通し、熱伝導プレート50側に突出している。該突出した回転軸は、熱伝導プレート50の開口部52に挿通される。モーター部71cに駆動電流が入力されると、回転軸回りにポリゴンミラー71bが回転され、所定の偏光動作を実行する。
【0066】
ドライバIC73は、第2基板部70bの第1基板部70aとの境界部に配置される。ドライバIC73は、モーター部71cに対して駆動電流を供給する。コンデンサ74は、ドライバIC73に入力される制御電流などを整流する。コネクター75は、画像形成装置1の装置本体と電気的に接続され、装置本体から入力される制御信号をポリゴンモーター基板70内に受け入れる。コンデンサ74およびコネクター75は、第2基板部70bのドライバIC73よりも先端側にそれぞれ隣接して配設される。
【0067】
前述のとおり、ポリゴンミラー71bは、モーター部71cによって、回転されながらレーザー光をfθレンズ85(図3)に向けて偏向する。fθレンズ85を通過したレーザー光は、感光体ドラム17上で走査される。したがって、ポリゴンミラー71bの多面鏡の位置は、感光体ドラム17上での静電潜像の画像精度に影響を与える。このため、ポリゴンミラー71bが搭載されるポリゴンモーター基板70の位置精度も、所定の範囲内に設定される必要がある。
【0068】
本実施形態では、熱伝導プレート50(図4)において、上面部50aから突設される第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55が、ポリゴンモーター基板70を支持すると共に、ポリゴンモーター基板70の位置決めを行う。すなわち、第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55における第1基準面53a、第2基準面54a、第3基準面55aが、第1基板部70aのポリゴンミラー71bが搭載された面(第1の面)とは反対側の面(第2の面)に当接する。第1基準面53a、第2基準面54a、第3基準面55aは、ポリゴンモーター基板70の位置決めを行うために、いずれも上面部50aから突出する高さtaが高い精度で管理されるとともに、その表面の平面度も所定の範囲内に設定される。本実施形態では、熱伝導プレート50がダイキャスト(金型鋳造法)で製造されたのち、第1基準面53a、第2基準面54a、第3基準面55aが、切削、研磨加工によって、最終的に形成される。
【0069】
ポリゴンモーター基板70には、熱伝導プレート50の第1固定穴53b、第2固定穴54b、第3固定穴55bに対応してそれぞれ形成された不図示のスクリュー穴を備える。そして、これらのスクリュー穴に挿通される第1スクリュー72a、第2スクリュー72b、第3スクリュー72c(図5参照)が、それぞれ熱伝導プレート50の第1固定穴53b、第2固定穴54b、第3固定穴55b(図4参照)に締結されることで、ポリゴンモーター基板70が、熱伝導プレート50に固定支持される。この際、第1スクリュー72a、第2スクリュー72b、第3スクリュー72cは、第1基板部70aのポリゴンモーター71を囲むように、各締結箇所が設定されている。すなわち、第1スクリュー72aは、第1基板部70aのうち、熱伝導プレート50の前方部50d側に位置する端部を締結する。一方、第2スクリュー72bと第3スクリュー72cとは、ポリゴンモーター71に対して、第1スクリュー72aの反対側であって、第1基板部70aの第2基板部70bとの境界付近を締結する。なお、第2基板部70bに配設されるドライバIC73、コンデンサ74、コネクター75は、高い精度で位置決めされる必要がないため、ポリゴンモーター基板70の固定箇所は、第2基板部70bには配設されず、第1基板部70aに配設される。
【0070】
このように、本実施形態では、熱伝導プレート50から突設される第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55によって、ポリゴンモーター基板70が支持されるとともに、ポリゴンモーター基板70の位置が決定される。この際、上面部50a全面でポリゴンモーター基板70を支持する場合と比較して、接触面積を小さくすることができるため、位置決めのための表面加工面積が縮小され、加工コストが低減される。
【0071】
更に、本実施形態では、図6に示すように、熱伝導プレート50の上面部50a上であって、開口部52の周辺には、平面視で矩形状の第1熱伝導シート60(弾性部材)が配設される。第1熱伝導シート60は、ポリゴンモーター71の回転に伴って発生する熱を、速やかに熱伝導プレート50側に伝達する機能を備える。第1熱伝導シート60は、開口部52に対応した円形穴を中央部に備えた弾性シートである。第1熱伝導シート60は、ポリゴンモーター71の回転軸が挿通される開口部52の周りを囲むように、熱伝導プレート50とポリゴンモーター基板70との間に配設される。第1熱伝導シート60には、各種の熱伝導材料が使用される。たとえば、高熱伝導性材料を含有したアクリル系樹脂などが使用され、特に、富士高分子工業(株)のサーコン(登録商標)が好適に使用される。
【0072】
第1熱伝導シート60が上面部50a上に載置された状態において、第1熱伝導シート60の上面部50aと直交する方向の厚さtbは、第1基準面53a、第2基準面54a、第3基準面55aの突出高さtaよりも大きくなるように設定されている(ta<tb)。そして、第1熱伝導シート60の上に、ポリゴンモーター基板70が重ねられ、第1スクリュー72a、第2スクリュー72b、第3スクリュー72cによって両者が固定されると、間に挟まれた第1熱伝導シート60は、厚さtbから厚さtaまで圧縮される。
【0073】
この際、第1熱伝導シート60は、弾性材料からなるため、膨張しようとする復元力をもって、上面部50aと、ポリゴンモーター基板70の裏面側に接触する。該復元力は、第1熱伝導シート60と、上面部50aまたはポリゴンモーター基板70の裏面側との微小領域における接触面積を増大させる。したがって、第1〜第3基準面の突出高さtaと、第1熱伝導シート60の厚さtbとが同じ場合(ta=tb)と比べて、ポリゴンモーター基板70から熱伝導プレート50への熱伝達が促進される。
【0074】
更に、第1熱伝導シート60は、ポリゴンモーター71の回転軸が挿通される開口部52の周りを囲むように配設されている。このため、第1熱伝導シート60は、該回転軸から周囲に発せられる輻射熱を内部に閉じ込める作用を備える。したがって、該輻射熱が周囲に拡散されることなく、熱伝導プレート50側に伝達される。
【0075】
なお、本実施形態では、第1熱伝導シート60の厚さtbは、第1〜第3基準面53a、54a、55aの突出高さtaの2倍以下になるように設定されている(tb<2×ta)。図6において、熱伝導プレート50上に置かれた第1熱伝導シート60の厚さtbが、第1〜第3基準面53a、54a、55aの突出高さtaの2倍よりも大きくなると、熱伝導プレート50上に重ねられたポリゴンモーター基板70の姿勢が不安定になる。また、この場合、第1スクリュー72a、第2スクリュー72b、第3スクリュー72cによって、ポリゴンモーター基板70が熱伝導プレート50に締結される際に、ポリゴンモーター基板70が傾いた状態で固定されることがある。したがって、第1熱伝導シート60の厚さtbが、第1〜第3基準面の突出高さtaの2倍以下とされることで、安定した組立作業が実現される。
【0076】
また、熱伝導プレート50側に伝達された熱は、上面部50aの裏面に格子状に配設されたリブ部50fの表面から、効果的に放熱される。したがって、熱伝導プレート50に熱が蓄積され、ポリゴンモーター基板70の温度よりも熱伝導プレート50の温度の方が高くなることが抑止される。このため、ポリゴンモーター基板70から熱伝導プレート50への熱伝達を持続させることが可能となる。
【0077】
次に、図5および図7を参照して、ポリゴンモーターユニット7の第2の実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係るポリゴンモーターユニット7を構成する熱伝導プレート50Aの上方斜視図である。第2の実施形態は、前記第1の実施形態と比較して、第1熱伝導シート60の代わりに、上面部50aに、第2熱伝導シート61が配設されている点が相違する。したがって、この第2熱伝導シート61について説明し、その他の点の説明は省略する。
【0078】
第2熱伝導シート61は、ポリゴンモーター基板70のドライバIC73が配設される位置(図5参照)の直下において、上面部50aに敷設される。そして、熱伝導プレート50Aとポリゴンモーター基板70とが、第1の実施形態と同様に互いに固定されると、第2熱伝導シート61は、ドライバIC73の下方に配置される。このため、ポリゴンモーター71に駆動電流を供給するにあたり、ドライバIC73の温度が上昇した場合であっても、ドライバIC73に蓄積される熱が、第2基板部70bから第2熱伝導シート61を介して、熱伝導プレート50A側に伝達される。したがって、ドライバIC73の温度上昇が抑制され、該温度上昇によるドライバIC73の動作不良が効果的に抑止される。
【0079】
また、第1の実施形態と同様に、ポリゴンモーター基板70の締結箇所は、第1基板部70aに配設されている(第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55)。このため、ドライバIC73の温度上昇によって、第2基板部70bの温度が上昇した場合、第2基板部70bが第1基板部70aに対して、反り上がってしまうことがある。このような場合でも、本実施形態では、上記のとおり、ドライバIC73から発せられる熱が、第2熱伝導シート61を伝って、熱伝導プレート50A側に伝達されるため、ポリゴンモーター基板70の変形が効果的に抑止される。
【0080】
上記の実施形態に係るポリゴンモーターユニット7では、ポリゴンモーター基板70の位置決めが、熱伝導プレート50の上面部50aから突設される第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55によって行われる。このため、上面部50aの全面でポリゴンモーター基板70を支持する場合と比較して、接触面積を小さくすることができるため、位置決めのための表面加工面積が縮小され、加工コストが低減される。
【0081】
一方、位置決めのための接触面積が縮小されることによって、ポリゴンモーター基板70から熱伝導プレート50への熱伝達経路が低減する。このような場合であっても、上記の実施形態では、第1熱伝導シート60および第2熱伝導シート61が、ポリゴンモーター基板70と熱伝導プレート50とに、膨張しようとする復元力を持って密着し、両者の間の熱伝達を効果的に中継する機能を備える。
【0082】
このため、ポリゴンモーター基板70に搭載されたポリゴンミラー71bの温度が上昇することなく、ポリゴンミラー71bによるレーザー光の偏向が精度良く実現される。この結果、感光体ドラム17上の静電潜像の精度が安定して維持される。
【0083】
以上、本発明の実施形態に係るポリゴンモーターユニット7及び該ポリゴンモーターユニット7を備えた露光ユニット8、画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0084】
(1)上記の実施形態では、第1熱伝導シート60および第2熱伝導シート61は、それぞれ、ポリゴンモーター71およびドライバIC73が配設されるポリゴンモーター基板70上の位置周辺において、熱伝導プレート50とポリゴンモーター基板70との間に配設された。しかし、熱伝導シートの配置は、これらに限定されるものではない。たとえば、熱伝導プレート50とポリゴンモーター基板70との間で、第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55を避けながら全面に配置されるものであってもよい。この場合でも、熱伝達のための接触面積が確保されながら、位置決めのための加工面積が、第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55に集約される。
【0085】
(2)上記の実施形態では、ポリゴンモーターユニット7を構成する2つの基板として、熱伝導プレート50とポリゴンモーター基板70とを示したが、これに限定されるものではない。たとえば、熱伝導プレート50は、露光ユニット8のハウジング80の底部であってもよい。この場合であっても、ハウジング80の底部から突設された第1凸部53、第2凸部54、第3凸部55によって、ポリゴンモーター基板70が支持される。また、ポリゴンモーター基板70とハウジング80の底部との間に配設された熱伝導シートが、ポリゴンモーター71が発する熱を効果的に、ハウジング80側に伝達する。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
22 上部筐体
225 コンタクトガラス
50、50A 熱伝導プレート(熱伝導部材)
50a 上面部(第3の面)
50f リブ部(放熱用リブ)
52 開口部(軸受け孔)
60 第1熱伝導シート(弾性部材)
61 第2熱伝導シート(弾性部材)
70 ポリゴンモーター基板(基板)
70h 設置面(第1の面)
71 ポリゴンモーター
71b ポリゴンミラー
72a 第1スクリュー(スクリュー)
72b 第2スクリュー(スクリュー)
72c 第3スクリュー(スクリュー)
73 ドライバIC(ドライバ素子)
8 露光ユニット(光走査装置)
80 ハウジング
81 レーザーダイオード(光源)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動され、周面に照射される光を偏向し所定の対象に対して走査するポリゴンミラーと、
軸部を有し該軸部回りに前記ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターと、
第1の面と、該第1の面とは反対側の第2の面とを備え、前記第1の面に前記ポリゴンミラーと前記ポリゴンモーターとが搭載される基板と、
基準位置が設定される位置決め部と、前記第2の面に対向する第3の面と、該第3の面から前記第2の面に向かって突設され、かつ、前記第2の面に当接して前記基準位置に対する前記基板の位置決めを行う凸部と、を備えた熱伝導部材と、
前記第2の面と前記第3の面との間に配設され、復元力をもって前記第2の面と前記第3の面とに接触する、熱伝導材料から構成される弾性部材と、
を有することを特徴とするポリゴンモーターユニット。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記軸部が配設される前記基板上の位置の周辺において、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項3】
前記軸部は、前記第1の面から前記第2の面を貫通し、前記第3の面に向かって突出するものであり、
前記熱伝導部材は、前記第3の面に前記軸部に対向して形成された軸受け孔を有し、
前記弾性部材は、前記軸受け孔を囲むように、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることを特徴とする請求項2に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項4】
前記基板は、前記第1の面に、前記ポリゴンモーターに駆動電流を出力するドライバ素子を備え、
前記弾性部材は、前記ドライバ素子が配設される前記基板上の位置の周辺において、前記第2の面と前記第3の面との間に配設されることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、前記第3の面とは反対側の第4の面を備え、該第4の面に放熱用リブ部材を備えたヒートシンクであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項6】
前記第3の面から前記凸部が突設される高さをta、前記第2の面と前記第3の面との間に配設される前の、前記弾性部材の前記第3の面と直交する方向の厚みをtbとした場合、ta<tbを満たすことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項7】
前記凸部は、前記第2の面に対向するスクリュー穴を備え、
前記基板は、前記スクリュー穴に対向して、前記第1の面から前記第2の面に貫通された貫通孔を備え、
前記基板と前記熱伝導部材とは、前記貫通孔に挿通され、前記スクリュー穴に締結されるスクリューによって一体固定されることを特徴とする請求項6に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項8】
tb<2×taを満たすことを特徴とする請求項7に記載のポリゴンモーターユニット。
【請求項9】
前記熱伝導部材を支持するハウジングと、
前記ポリゴンミラーに対して、光を照射する光源と、
請求項1乃至8の何れか1項に記載のポリゴンモーターユニットと、
を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光走査装置と、
前記ポリゴンミラーによって走査され、表面に静電潜像が形成される像担持体と、
を有することを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113982(P2013−113982A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259154(P2011−259154)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】