説明

ポリフェノール含有量が高いリンゴ

本発明は、高濃度のポリフェノールを含んでなるリンゴ、そのリンゴを得る方法、および、リンゴの、心臓血管病、結腸癌および消化器系健康の治療または予防方法としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度のポリフェノールを含むリンゴ、そのリンゴを得る方法に、およびリンゴの、心臓血管病、結腸癌および消化器系健康の治療または予防方法としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管病(CVD)および癌は、世界的な、2種類の主要な死の原因である。
【0003】
CVDは罹患率および死亡率を高める主な原因であり、ヨーロッパ連合では年間169兆ユーロを費やし(Lealら (2006) Eur. Heart J. 27(13): 1610−9)、米国では、the American Heart Associationが、7,130万人の米国人が一種以上の形態のCVDを有すると見積もっている。
【0004】
世界保健機関によれば、世界中で毎年約7.6百万(または13%)の人々が癌で死亡している。特に、肺、胃、肝臓、結腸および乳房の癌が、これらの死の半分以上を占めている。
【0005】
疫学的証拠により、果実や野菜が豊富な食事は、これらの慢性的病気に対する重大な保護効果を与えることが示されている。この保護効果の多くは、ポリフェノールと呼ばれる、果実や野菜に共通して見られる植物性化学物質の大区分に帰せられる。
【0006】
ポリフェノールは、それらの、アレルゲン、ウイルス、および発癌物質に対する体の反応を変化させる能力を立証する強力な実験的証拠により、天然の生物学的応答調節剤と呼ばれている。ポリフェノールは、抗アレルギー、抗炎症、抗菌および抗癌活性を示す。さらに、ポリフェノールは、強力な酸化防止剤として作用し、酸化性およびフリーラジカル性損傷を防止し、酸化性ストレスに関連する様々な病気を防止するのに役立つ。
【0007】
しかし、大部分の人々は、ポリフェノールにより与えられる健康上の有益性を得るのに十分な量を消費していないことが推定されている。例えば、米国における現在の平均的な毎日のエピカテキン摂取量は、提案されているCVDの危険性を下げるのに必要な投与量の2〜4分の1である。(Guら (2004) J Nutr 134(3): 613−7、PriorおよびGu (2005) Phytochemistry 66(18): 2264−80)。その結果、食事による摂取量を増加することが、重要な健康上の目標として掲げられている。
【0008】
リンゴは、重要なポリフェノールの供給源であり、提案されているCVDの危険性を下げるのに必要な投与量の約10%を与えることができる(上記Guら(2004))。しかし、ポリフェノールの濃度および分布は、それぞれの種類で劇的に変動する(表1参照)。事実、最近の多くのデザート用リンゴは、ポリフェノール含有量が1000mg/kg未満である。
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明の目的は、ポリフェノールレベルを増加したリンゴを提供することである。
【0010】
そこで、本発明の一態様により、総ポリフェノール含有量が5000mg/kgを超えるリンゴを提供する。
【0011】
本発明の第一の態様では、総ポリフェノール含有量が10000mg/kgを超えるリンゴを提供する。
【0012】
一実施態様では、ポリフェノール含有量が10000〜100000mg/kgである。別の実施態様では、ポリフェノール含有量が10000〜50000mg/kgである。従って、これらのリンゴは、他の報告されている新鮮重量供給源のどれよりもポリフェノール濃度が遙かに高い。これらのリンゴは、人々の食事におけるポリフェノールの大供給源となり、従って、消費者は、ポリフェノール摂取の増加による健康上の有益性を得ることができる。無論、本明細書における「ポリフェノール含有量」は、新鮮重量含有量を意味する。乾燥重量含有量に対する等価範囲は、上記の新鮮重量含有量より約5〜7倍高ことになろう。
【0013】
一実施態様では、リンゴは、「レッド−カットスルー」リンゴを含む。無論、用語「レッド−カットスルー」は、この分野で良く知られており、赤い果肉を有するリンゴを意味する。
【0014】
ここで使用する用語ポリフェノールは、分子1個あたり2個以上のフェノール基が存在することを特徴とする化学物質の一群を意味する。一実施態様では、ポリフェノールは、フラボノイドの亜群を包含する。
【0015】
5000を超える天然のフラボノイドが、様々な植物から確認されている。これらの物質は、それらの化学構造に応じて分類することができ、様々な亜綱に分類することができる。一実施態様では、フラボノイドとしては、
(a)下記式(I)に示す化学的骨格を使用するフラボノン(例えばヘスペレチン、ナリンゲニン、エリオジクチオル)、
【化1】

(b)下記式(II)に示す化学的骨格を有するイソフラボノン(例えばゲニステイン、ダイドゼイン、グリシテイン)、
【化2】

(c)下記式(III)に示す化学的骨格を有するフラボン(例えばルテオリン、アピゲニン、タンゲリチン)、
【化3】

(d)下記式(IV)に示す化学的骨格を有するフラボノール(例えばクェルセティン、ケムフェロール、ミリセチン、イソラムネチン、パチポドール、ラムナジン)、
【化4】

(e)下記式(V)に示す化学的骨格を有するフラバン−3−オール(例えばカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン)、
【化5】

(f)下記式(VI)に示す化学的骨格を有するフラバン−3,4−ジオール、
【化6】

(g)下記式(VII)に示す化学的骨格を有するジヒドロフラバノール、
【化7】

(h)下記式(VIII)に示す化学的骨格を有するアントシアニジン(例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビニジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペツニジン)、
【化8】

(i)下記式(IX)に示す化学的骨格を有するアントシアニン、
【化9】

式中、sugarはグルコース、アラビノース、ガラクトース、等から選択することができる。
【0016】
本発明の一実施態様においては、フラボノイドは、プロアントシアニジンを包含する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オール小単位から構成されたバイオポリマーである。重合体は、主として4および8位置および4および6位置を通して結合される。別の実施態様では、プロアントシアニジンは、4,8結合した重合体であり、下記式(X)に示す構造を有する。
【化10】

【0017】
本発明の一実施態様においては、フラボノイドとしては、アントシアニジン、プロアントシアニジン、フラバノール、フラボノール、フラボン、フラバノンおよびイソフラボンが挙げられる。別の実施態様においては、フラボノイドは、フラバノールおよびプロアントシアニジンを包含する。
【0018】
本発明の一実施態様においては、フラバン−3−オールは、下記式(V)aに示す構造を有する。
【化11】

式中、Rは水素またはOH基を表す。
【0019】
本発明の一実施態様においては、フラバン−3−オールは、下記式(V)bに示す構造を有する。
【化12】

式中、Rは上に規定した通りである。
【0020】
上記式(V)bの、Rが水素を表す化合物は、エピカテキンと呼ばれ、上記式(V)bの、RがOH基を表す化合物は、エピガロカテキンと呼ばれる。
【0021】
本発明の一実施態様においては、フラバン−3−オールは、下記式(V)cに示す構造を有する。
【化13】

式中、Rは上に規定した通りである。
【0022】
上記式(V)cの、Rが水素を表す化合物は、カテキンと呼ばれ、上記式(V)cの、RがOH基を表す化合物は、ガロカテキンと呼ばれる。
【0023】
本発明の一実施態様においては、アントシアニジンは、下記式(VIII)aに示す構造を有するシアニジンを包含する。
【化14】

【0024】
本発明の一実施態様においては、フラボノイドは、下記式(VIII)bに示す構造を有するデルフィニジンを包含する。
【化15】

【0025】
本発明の一実施態様においては、プロアントシアニジンは、下記式(X)aに示す構造を有する。
【化16】

式中、Rは上に規定した通りであり、n=2〜30である。
【0026】
本発明の一実施態様では、n>10(即ち11〜30)である。別の実施態様においては、上記式(X)aの化合物は、分子量が1000を超える。さらに別の実施態様では、上記式(X)aの化合物は、分子量が>1000で、<9000(例えば>3000で、<9000)である。
【0027】
プロアントシアニジンは、プロシアニジンおよびプロデルフィニジンの亜群を包含し、酸加水分解により、これらの物質は、それぞれシアニジンおよびデルフィニジンを生成する。
【0028】
<処理の方法>
本発明のポリフェノールは、数多くの健康上の有益性を示すことが立証されている。例えば、疫学的研究は、高フラボノイド摂取量が、CVDの危険性低下につながることを示唆しており(Artsら(2001) Epidemiology 12(6):668−675、Sessoら Am.J.Clin.Nutr 77:1400−8、Minkら(2007) Am.Clin.Nutr 85(3):895−909)、これは、フラボノイドの、ヒトの内皮機能を改良し、血小板凝固を抑制する能力の結果であろう(Keenら (2005) Am.J.Clin.Nutr 81(上記): 298S−303S、Vita J A(2005) Am.J.Clin.Nutr 81(上記): 292S−7S、Heptinstallら(2006) J Cardiovasc Pharmacol 47 Suppl 2: S197−205)。
【0029】
しかし、分子量が600を超える分子は、腸壁を通過するには大き過ぎるので、小腸における血流中にはほとんど吸収されないことが、最近の証拠により示唆されている。例えば、ヒトの研究で観察されているカテキンおよびエピカテキンに関するTmax値は、これらの低分子量化合物が、主として小腸で吸収されることを示唆している(Donovan ら(1999),J.Nutr.,129(9),1662−1668、Richelleら(1999) Eur.J.Clin.Nutr.53(1):22−26、Leeら(2002),Cancer Epidemiol.Biomark.Prev.,11(10 Pt 1):1025−1032)。さらに、(+)−カテキンモノマーは、(−)−エピカテキンモノマーと比較して生物学的利用能が比較的低いことが示されている(Shoji Tら(2006)J.Agric.Food Chem. 54(3): 884−92)。
【0030】
オリゴマー状および重合体状プロアントシアニジンは、小腸であまり吸収されないようであるが、プロシアニジンB1(エピカテキン−(4β−8)−カテキン)およびB2(エピカテキン−(4β−8)−エピカテキン)は、両方共、ヒト血漿中で低レベルで検出されている。二量体B5(エピカテキン−(4β−6)−エピカテキン)は、チョコレート消費後の血漿中に検出できなかった(Holtら (2002), Am.J.Clin. Nutr.,76,798−804)。重合度がテトラマーより大きいプロアントシアニジンを血漿中に検出した研究は無い。従って、プロシアニジンオリゴマーおよび重合体(上記式(X)aの、n>2の化合物)は、小腸で吸収されるポリフェノールの10%未満になり、従って、CVDの危険性を下げることには貢献しそうもない(Deprezら(2001),Antioxidants and Redox Signalling,3,957−967、Shojiら(2006)上記)。実際、最近の試験により、CVDの危険性低下とプロアントシアニジン消費の間には、一貫したつながりがないことが示されている(Williamsonら(2005) Am.J.Clin.Nutr.81(上記),243S−255S)。
【0031】
代わりに、これらの分子は、ほとんど分解せずに結腸に通ると考えられている(Rios, L.ら(2002)Am.J.Clin.Nutr.,76,1106−1110)。この段階で、これらの分子は、腸内マイクロフローラにより消化され、効果的なプレバイオティックとして作用するか、または結腸癌を抑制することができる。傍証として、リンゴのプロシアニジン(上記式(X)aの化合物)は、実験室動物の結腸における前癌病変数を大きく低減させ(American Association for Cancer Research, Third Annual International Conference)、リンゴのプロシアニジン(上記式(X)aの、n>9の化合物)は、結腸癌細胞生存を82%低下させる(Kroonら(2004)Am.J.Clin.Nutr.,80(1):15−21)ことが示されている。
【0032】
従って、この知見に基づき、ポリフェノールを低分子量ポリフェノールおよび高分子量ポリフェノールに分離することが適切である。
【0033】
本発明の一実施態様においては、低分子量ポリフェノールは、分子量が600未満である単量体(上記式(I)〜(IX)の化合物)および二量体(上記式(X)aの、n=2である化合物)を含んでなる。別の実施態様においては、低分子量ポリフェノールは、分子量が300未満である単量体(上記式(I)〜(IX)の化合物)を含んでなる。
【0034】
本発明の一実施態様においては、低分子量ポリフェノールの濃度は、総ポリフェノール含有量の22%強を構成する。一実施態様においては、低分子量ポリフェノールは、総ポリフェノール含有量の22%〜40%を構成する。別の実施態様においては、低分子量ポリフェノールが、総ポリフェノール含有量の22%〜40%を構成し、低分子量ポリフェノールの少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%が、式(V)aの化合物を含んでなる。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様においては、低分子量ポリフェノールが、総ポリフェノール含有量の22%〜40%を構成し、低分子量ポリフェノールの少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%が、式(V)bの、R1が水素を表す化合物(例えばエピカテキンアルファ異性体)を含んでなる。
【0036】
本発明の一実施態様においては、高分子量ポリフェノールは、分子量が600を超えるオリゴマーおよび重合体(上記式IVの、n>2である化合物)を含んでなる。別の実施態様においては、高分子量ポリフェノールは、分子量が300を超えるオリゴマーおよび重合体(上記式IVの、n>1である化合物)を含んでなる。
【0037】
このように、低分子量ポリフェノールは、心臓血管病の効果的な予防または治療に使用できると考えられる。さらに、高分子量ポリフェノールは、結腸癌の効果的な予防または治療に使用できることも考えられる。
【0038】
無論、上記のリンゴは、そのような高含有量の、そのようなポリフェノールの両方の種類を含んでなるので、リンゴは、心臓血管病または結腸癌の予防または治療に有効であると考えられる。
【0039】
また、リンゴから多くのリンゴ抽出物、例えばリンゴスライス、リンゴパルプ、リンゴジュース、等、ならびに様々な乾燥抽出物を、当業者には周知の方法により調製することができる。従って、得られるリンゴ抽出物は、典型的には高濃度のポリフェノールを含んでなる。そこで、本発明の一態様において、上に規定するリンゴから調製された、ポリフェノールを含んでなるリンゴ抽出物を提供する。そのようなリンゴ抽出物は、リンゴと同様の治療的効果を有すると考えられる。
【0040】
リンゴから、当業者に周知の方法により、一種以上のポリフェノールを単離できることも分かる。そのようなポリフェノール単離物は、上記の治療的効果を有する。
【0041】
従って、別の態様においては、心臓血管病または結腸癌の予防または治療に使用するための、上に規定するリンゴ、リンゴ抽出物またはポリフェノール単離物を提供する。
【0042】
別の態様においては、心臓血管病または結腸癌の予防または治療に使用するための薬剤の製造における、上に規定するリンゴ、リンゴ抽出物またはポリフェノール単離物の使用を提供する。
【0043】
本発明のさらに別の態様においては、上に規定するリンゴ、リンゴ抽出物またはポリフェノール単離物の投与を含んでなる、心臓血管病または結腸癌の治療または予防方法を提供する。
【0044】
本発明のさらに別の態様においては、心臓血管病または結腸癌の予防または治療に使用するための、リンゴ、リンゴ抽出物またはポリフェノール単離物を含んでなる薬学的組成物を提供する。
【0045】
無論、本明細書で使用する用語「治療」および「治療する」は、症状、例えば病気または障害、と戦うための患者の管理および監督を意味する。この用語は、患者を苦しめている特定の症状に対する治療、例えば症状または合併症を軽減する、病気、障害または症状の進行を遅らせる、症状および合併症を軽減または緩和する、および/または病気、障害または症状を治癒または排除する、ならびに症状を防止するための活性化合物の投与、の全てを包含し、防止は、病気、症状、または障害と戦うための患者の管理および監督として理解し、症状または合併症の開始を阻止するための活性化合物の投与を包含する。治療すべき患者は、好ましくは哺乳動物とりわけ人間であるが、動物、例えば犬、猫、牛、羊、馬および豚も包含することができる。
組合せ治療
【0046】
多くの病気は、治療で、同時に投与されるか、または順次投与される2種類以上の薬剤を使用して治療される。従って、本発明のリンゴ、抽出物またはポリフェノール単離物を、上に記載する病気の一種を別の病気と組み合わせるか、あるいは病気の治療で通常使用される他の確立された治療に対する補助として行うか、またはそれと併用する治療方法で使用することも、本発明の範囲内に入る。一実施態様においては、上に記載するリンゴ、抽出物またはポリフェノール単離物を、一種以上の別の治療薬剤との組合せで含んでなる薬学的組成物を提供する。
【0047】
同様に、本発明のリンゴ、抽出物またはポリフェノール単離物を、上に記載する病気の一種類の治療に通常使用する他の治療的に活性な化合物と組み合わせて、病気用の薬剤の製造に使用することも本発明の範囲内に入る。
【0048】
組合せ治療は、当業者が必要または好都合と考える全ての方法で行うことができ、本発明の目的には、組合せで使用する化合物の順序、量、反復または相対的な量に関する制限は、全く考えていない。
【0049】
<合成方法>
従って、本発明は、上記のリンゴを得る方法であって、レッド−スルーナシ状果実(red−through pome fruit)をリンゴと交配させる工程を含んでなる、方法を提供する。
【0050】
無論、「レッド−スルーナシ状果実」とは、赤色果肉を有し、rosaceae科のmaloideae亜科にある被子植物により生産される果実を意味する。そのようなレッド−スルーナシ状果実の例としては、クラブアップル(Malus)およびホーソーン(Crataegus、例えばCrataegus oxyacantha)がある。一実施態様では、レッド−スルーナシ状果実はホーソーン(Crataegus、例えばCrataegus oxyacantha)である。ホーソーンから本発明のリンゴを生産する利点は、ホーソーン果実が、典型的には直径が20mm未満であり、高い表面積:体積比を有し、従って、凍結乾燥させ易いことである。従って、ホーソーン果実は、得られるリンゴに高濃度のポリフェノールを与え、そのため、心臓血管病に対する自然の治療薬として提案されている(Walker, A.F.ら(2002)Phytother Res.16,48−54)。
【0051】
無論、レッド−スルーナシ状果実は、どのような好適なリンゴとでも交配させることができる。リンゴの選択は、得られるリンゴの所望の特性(例えば甘さ、堅さ、等)により大きく左右される。一実施態様においては、レッド−スルーナシ状果実をクラブアップル(Malus)と交配させる。
【0052】
典型的には、本発明の方法は、各段階における介入を必要とする。例えば、交配工程に続いて、得られるリンゴに、それらのリンゴが下記の3区分、即ち、
(1)総ポリフェノール含有量10,000〜20,000mg/kg、より典型的には12,000〜14,000mg/kg(新鮮重量ベースで)を特徴とする果実、
(2)総ポリフェノール含有量20,000〜100,000mg/kg、より典型的には15,000〜40,000mg/kg(新鮮重量ベースで)を特徴とする果実、および
(3)総ポリフェノール含有量10,000mg/kgまで、より典型的には9,000〜10,000mg/kg(新鮮重量ベースで)までを特徴とする果実、
に分類できるまで、ポリフェノール調整を行うべきである。
【0053】
典型的には、リンゴが上記の3区分に分類された後、本発明の方法は、増殖工程を行い、生育できるリンゴを得ることを必要とする。
【0054】
<組成物>
本発明の一実施態様においては、本発明の高分子量ポリフェノールは、他のプレバイオティック試剤、例えば単糖、二糖および多糖類、との組合せで使用することができる。従って、本発明の別の態様では、一種以上の高分子量ポリフェノールおよび一種以上の単糖、二糖または多糖を含んでなるプレバイオティック組成物を提供する。好適な糖類は、下記式(XI)に示す構造を有するオリゴフルクトースである。
【化17】

式中、nは、典型的には2〜14、好適には2〜10、例えば2〜8である。
【0055】
本発明の別の実施態様においては、本発明の高分子量ポリフェノールは、様々な単糖、二糖および多糖を与えるリンゴ抽出物との組合せで使用することができる。
【0056】
ポリフェノールを、他のプレバイオティック試剤またはリンゴ抽出物との組合せで使用する場合、これらの成分は、順次または同時に、いずれかの都合の良い経路で投与することができる。この組合せには、マイクロフローラを刺激する利点があり、これによって消化管の健康、消化管機能、カルシウム吸収および免疫応答を改良すると共に、結腸癌の危険性をさらに下げるのに役立つ(上記のRiosら)。
【0057】
本発明の一態様において、本発明は、リンゴ抽出物またはポリフェノール単離物および/または上記の組合せ(以下、本発明の組成物と呼ぶ)を含んでなる剤形を提供する。
【0058】
本発明の組成物は、都合の良いことに、単独でも、あるいは薬学的に許容され得るキャリヤーまたは添加剤との組合せでも投与できる。本発明の組成物は、従来の技術、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995に開示されている技術により、薬学的に許容され得るキャリヤーまたは希釈剤ならびに他の公知の佐剤および添加剤と共に処方することができる。
【0059】
好適な薬学的キャリヤーとしては、不活性固体希釈剤または充填材、無菌水溶液および各種の有機溶剤がある。固体キャリヤーの例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびセルロースの低級アルキルエーテルである。液体キャリヤーの例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水である。
【0060】
同様に、キャリヤーまたは希釈剤は、この分野で公知のいずれかの徐放性材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル、を単独で、またはワックスと混合して包含することができる。本発明の組成物および薬学的に許容され得るキャリヤーを組み合わせることにより形成される薬学的組成物は、開示される投与経路に好適な様々な剤形で容易に投与される。処方物は、薬学の分野で公知の方法により、単位剤形で都合良く与えることができる。
【0061】
従って、別の態様においては、心臓血管病の治療で使用するための、一種以上の低分子量ポリフェノール、または薬学的に許容され得る塩、もしくはそれらのプロドラッグ、および一種以上の薬学的に許容され得るキャリヤー、添加剤、または希釈剤を含んでなる剤形を提供する。
【0062】
従って、別の態様においては、結腸癌の治療で使用するための、一種以上の高分子量ポリフェノール、または薬学的に許容され得る塩、もしくはそれらのプロドラッグ、および一種以上の薬学的に許容され得るキャリヤー、添加剤、または希釈剤を含んでなる剤形を提供する。
【0063】
剤形は、いずれかの好適な経路、例えば経口、直腸内、経鼻、肺、局所的(バッカルおよび舌下を包含する)、経皮、槽内、腹腔内、膣内および非経口(皮下、筋肉内、胞膜内(intrathecal)、静脈内および皮内を包含する)経路により投与するように処方することができ、経口経路が好ましい。無論、好ましい経路は、治療すべき患者の一般的な症状および年齢、治療すべき症状の性質、および選択された活性成分によって異なる。
【0064】
局所使用には、本発明の化合物を含むスプレー、クリーム、軟膏、ゼリー、ジェル、吸入薬、皮膚貼剤、植込剤、懸濁剤の溶液等が考えられる。この用途には、局所用途は、含嗽剤および洗口剤を含むものとする。
【0065】
経口投与用の組成物としては、固体剤形、例えば硬質または軟質カプセル、錠剤、糖剤、トローチ剤、散剤、顆粒剤、および液体剤形、例えば予め決められた量の本発明の組成物をそれぞれ含み、好適な添加剤を包含することができる、水剤、乳剤、水性または油性懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤が挙げられる。経口使用を意図する組成物は、公知のいずれかの方法により調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練された、舌に快い製剤を与えるために、甘味料、着香料、着色剤、および保存剤からなる群から選択された一種以上の試剤を含むことができる。
【0066】
水性懸濁剤は、本発明の組成物を、水性懸濁剤の製造に好適な添加剤との混合物で含むことができる。そのような添加剤は、懸濁化剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムであり、分散剤または湿潤剤は、天然リン脂質、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチル−エンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸および無水ヘキシトールに由来する部分エステルの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートでよい。水性懸濁剤は、一種以上の着色剤、一種以上の着香料、および一種以上の甘味料、例えばスクロースまたはサッカリン、も含むことができる。
【0067】
油性懸濁剤は、本発明の組成物を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはやし油、あるいは鉱油、例えば液体パラフィン、中に懸濁させることにより、処方することができる。油性懸濁剤は、粘稠化剤、例えばみつろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコール、を含むことができる。甘味料、例えば上記の甘味料、および着香料を加え、舌に快い経口製剤を製造することができる。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、の添加により保存することができる。
【0068】
水を加えることにより水性懸濁剤を調製するのに好適な分散性粉末および顆粒により、本発明の組成物が、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および一種以上の保存剤との混合物で得られる。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、すでに上に記載した材料により代表される。これらの材料は、緩衝剤、例えばクエン酸塩およびリン酸塩緩衝剤、炭酸塩、例えば重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムまたはアンモニウム、およびソリン酸(solic acid)、例えばクエン酸または酸性クエン酸塩、から形成される発泡剤も含むことができる。他の添加剤、例えば甘味料、着香料、および着色剤も存在できる。
【0069】
本発明の薬学的組成物は、水中油型乳剤の形態にあってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油または落花生油、あるいは鉱油、例えば液体パラフィン、またはそれらの混合物でよい。好適な乳化剤は、天然ガム、例えばアカシアガムまたはトラガカントガム、天然リン脂質、例えば大豆、レシチン、および脂肪酸および無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および該部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、でよい。乳剤は、甘味料および着香料も含むことができる。
【0070】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースで処方することができる。そのような処方物は、粘滑剤、保存剤および着香料および着色剤も含むことができる。薬学的組成物は、無菌の注射できる水性または油脂性懸濁剤の形態にあってもよい。この懸濁剤は、公知の方法により、上記の好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して処方することができる。無菌の注射できる製剤は、無毒性の非経口投与可能な希釈剤または溶剤に入れた無菌の注射できる溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールに入れた溶液、でよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶剤としては、水、Ringer溶液、および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌の固定された油が、溶剤または懸濁化媒体として都合良く使用される。この目的には、合成モノまたはジグリセリドを使用する全ての穏やかな固定油を使用できる。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸、は注射剤の調製に使用される。
【0071】
別の実施態様においては、ポリフェノール含有画分およびポリフェノール単離物を乾燥、例えば噴霧乾燥または温度30℃未満で、例えば20℃未満で、真空下で乾燥、および所望により凍結乾燥させ、固体剤形に処方することができる。
【0072】
錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に好適な、無毒性の薬学的に許容され得る添加剤との混合物で含むことができる。これらの添加剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム、造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸、結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク、でよい。
【0073】
錠剤は、被覆しなくても、あるいは公知の技術により被覆し、胃腸管中における崩壊および吸収を遅延させ、それによって、長期間の持続作用を与えてもよい。
【0074】
経口使用する処方物は、活性成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン、と混合する硬質ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分を水または油媒体、例えば落花生油、液体パラフィン、またはオリーブ油と混合する軟質ゼラチンカプセルとして形成することもできる。
【0075】
非経口投与用の剤形としては、無菌の水性および非水性の注射できる溶液、分散液、懸濁液ならびに無菌の、使用前に無菌の注射できる溶液または懸濁液に再構成する粉末がある。そのような水性溶液は、必要であれば適宜緩衝し、液体希釈剤を先ず十分な食塩水またはグルコースで等張にすべきである。水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に好適である。使用する無菌水性媒体は、すべて、当業者には公知の標準的な技術により容易に入手できる。デポ注射できる処方物も本発明の範囲内に入る。
【0076】
化合物を直腸内投与するための組成物は、坐剤の形態にあってもよい。これらの組成物は、本発明の組成物を、常温では固体であるが、直腸内温度では液体になり、従って直腸内で融解し、本発明の組成物を放出する、好適な非刺激性添加剤と混合することにより、調製することができる。そのような材料としては、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールがある。
【0077】
本発明の化合物またはそれらの組成物は、一般的に、意図する結果を達成するのに有効な量で、例えば処置する特定の病気を治療または防止するのに有効な量で使用する。これらの化合物は、治療的に投与し、治療上の有益性を達成することができる。治療上の有益性とは、治療している、原因となる障害の根絶または緩和および/または原因となる障害に関連する機構の一つ以上を根絶または緩和することを意味する。治療上の有益性は、改善が見られるか、否かに関係なく、病気の進行を止めること、または遅延させることも含む。
【0078】
正確な投与量は、投与の頻度および様式、処置している患者の性別、年齢、体重および一般的な症状、処置している症状の性質および重度、および同時に処置すべき病気、その他の、当業者には明らかなファクターによって異なる。有効投与量は、当業者が十分に決定することができる。
【0079】
本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和化合物またはプロドラッグを、同じ病気状態に対して活性な第二治療試剤と併用する場合、各化合物の投与量は、化合物を単独で使用する場合の量とは異なる場合がある。適切な投与量は、当業者が容易に決定できる。
【0080】
別の態様においては、本発明は、リンゴ抽出物、および/またはポリフェノール単離物および/または上記の組合せを含んでなる、食用組成物、例えば飲料、例えば果実ジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトドリンク、ミルクドリンク、茶、等、または固体食品、例えば食品スナックバー、例えばフルーツバー、ナッツバーおよび穀類バー、穀類、デザート、チョコレート(例えばミルクおよびダーク)バー等を提供する。
【0081】
本発明の一実施態様においては、食用組成物は、他の栄養、例えばビタミン、ミネラル、およびプレバイオティック、例えばオリゴフルクトースおよびリンゴ繊維、およびプロバイオティックをさらに含んでなることができる。
【0082】
本発明の一実施態様においては、食用組成物は、上に規定する液体剤形として処方する。別の実施態様においては、液体剤形は、粘稠化剤、等張化剤および緩衝剤をさらに含んでなることができる。
【0083】
好適な等張化剤の例としては、特定強度の溶液、例えば等張溶液を与えるのに使用できる砂糖および塩化ナトリウムがある。好適な緩衝剤の例としては、クエン酸塩およびリン酸塩がある。
【0084】
従って、別の態様においては、心臓血管病の予防または治療に使用するための、上記の食用組成物を提供する。
【0085】
別の態様では、心臓血管病および/または結腸癌の予防または治療に使用するための薬剤の製造における、上記の食用組成物を提供する。
【0086】
本発明のさらに別の実施態様においては、上に規定する食用組成物の投与を含んでなる、心臓血管病および/または結腸癌の治療または予防方法を提供する。
【0087】
さらに別の実施態様においては、心臓血管病および/または結腸癌の予防または治療に使用するための、上に規定する食用組成物を含んでなる、薬学的組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、2.5時間試験の結果を示す。これらの図は、抽出物を含む試験飲料を消費する群(n=10)の動脈剛性率(SI、図1)が、比較群と比較した時、統計的に改善された(即ち減少した)ことを示している。
【図2】図2は、2.5時間試験の結果を示す。これらの図は、抽出物を含む試験飲料を消費する群(n=10)の血管年齢(図2)が、比較群と比較した時、統計的に改善された(即ち減少した)ことを示している。
【実施例】
【0089】
ここで本発明を下記の非限定的な例により説明する。
【0090】
例1 ポリフェノール含有量が高いリンゴの製造
ホーソーン(Crataegus oxyacantha)から得た果実をクラブアップル(Malus)と上記のように交配させた。得られた果実を、ポリフェノール含有量について調査し、結果を、市販のリンゴと比較して表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
結果の試料、n=420、それぞれ個々の木の外側(北、東、南および西位置)、木の最上部、底部および中央から採取した7個の個別果実からなる3試料の平均として。
【0093】
注意すべきは、表1は、総ポリフェノール含有量を指すが、(−)−エピカテキン、(+)−カテキン、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体および重合体からなるフラバン−3−オール単量体および重合体だけを測定した。従って、総ポリフェノール含有量は、表1に示す量よりも、遙かに大きいと思われる。
【0094】
表1に示す結果から、本発明のリンゴA〜Iは、市販のリンゴよりも、ポリフェノール含有量が大きいことが分かる。
【0095】
例2 エピカテキン抽出物による心臓血管研究
10名の健康な志願者を募集し、本発明の方法により得たエピカテキン抽出物の、血管音、従って、心臓血管機能を改善する手段としての効果を試験した。5名の志願者にプラセボフルーツ飲料を与え、5名の志願者に同じ試験飲料であるが、1mg/kg体重((−)−エピカテキン単位に対して)を加えたものを与えた。血管音は、非侵襲的デジタル血量測定法により得た反射率およびデジタル体積パルスの連続的な、試験者に依存しない、自動分析に対するアルゴリズムにより連続的に定量した。データは、相対剛性率SI(m/s)として表し、血管の年齢と相関させた。パルス波は、指髄(finger pulp)を通した赤色および赤外光の透過率により測定した。第一導関数の局所的最小値を決定し、それによって、対応するパルスの変わり目(=変曲点)を求めた。反射率は、変わり目(=変曲点)後の第三〜第七データ点の平均から計算した。
【0096】
図1および2は、2.5時間試験の結果を示す。これらの図は、抽出物を含む試験飲料を消費する群(n=10)の動脈剛性率(SI、図1)および血管年齢(図2)が、比較群と比較した時、統計的に改善された(即ち減少した)ことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
総ポリフェノール含有量が10000mg/kgを超えるリンゴ。
【請求項2】
総ポリフェノール含有量が10000〜100000mg/kgである、請求項1に記載のリンゴ。
【請求項3】
総ポリフェノール含有量が10000〜50000mg/kgである、請求項1または2に記載のリンゴ。
【請求項4】
前記リンゴが、レッド−カットスルーリンゴを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリンゴ。
【請求項5】
前記ポリフェノールがフラボノイドを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリンゴ。
【請求項6】
前記フラボノイドがフラバン−3−オールおよびプロアントシアニジンを含んでなる、請求項5に記載のリンゴ。
【請求項7】
前記フラバン−3−オールが、下記式(V)a:
【化1】

(式中、Rは水素またはOH基を表す)
で表される化合物を含んでなる、請求項6に記載のリンゴ。
【請求項8】
前記プロアントシアニジンが、下記式(X)a:
【化2】

(式中、Rは水素またはOH基を表し、n=2〜30である)
で表される化合物を含んでなる、請求項6に記載のリンゴ。
【請求項9】
低分子量ポリフェノールが、前記総ポリフェノール含有量の22%強を構成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のリンゴ。
【請求項10】
低分子量ポリフェノールが、前記総ポリフェノール含有量の22%〜40%を構成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のリンゴ。
【請求項11】
前記低分子量ポリフェノールが、前記総ポリフェノール含有量の22%〜40%を構成し、前記低分子量ポリフェノールの少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%が、前記式(V)aの化合物を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のリンゴ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のリンゴから製造されたポリフェノールを含んでなるリンゴ抽出物。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のリンゴから製造されたポリフェノール単離物。
【請求項14】
心臓血管病または結腸癌の予防または治療用の薬剤の製造に使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載のリンゴ、リンゴ抽出物、またはポリフェノール単離物。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のリンゴを得る方法であって、レッド−スルーナシ状果実をリンゴと交配させる工程を含んでなる、方法。
【請求項16】
前記レッド−スルーナシ状果実がホーソーンであり、前記リンゴがクラブアップルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項12に記載のリンゴ抽出物、および/または請求項13に記載のポリフェノール単離物および一種以上のプレバイオティック試剤を含んでなるプレバイオティック組成物。
【請求項18】
請求項12に記載のリンゴ抽出物、および/または請求項13に記載のポリフェノール単離物を含んでなる剤形。
【請求項19】
心臓血管病の治療用薬剤の製造で使用するための、一種以上の低分子量ポリフェノール、または薬学的に許容され得る塩、もしくはそれらのプロドラッグ、および一種以上の薬学的に許容され得るキャリヤー、添加剤、または希釈剤を含んでなる、請求項13に記載のポリフェノール単離物を含んでなる剤形。
【請求項20】
結腸癌の治療用薬剤の製造で使用するための、一種以上の高分子量ポリフェノール、または薬学的に許容され得る塩、もしくはそれらのプロドラッグ、および一種以上の薬学的に許容され得るキャリヤー、添加剤、または希釈剤を含んでなる、請求項13に記載のポリフェノール単離物を含んでなる剤形。
【請求項21】
請求項12に記載のリンゴ抽出物、および/または請求項13に記載のポリフェノール単離物を含んでなる食用組成物。
【請求項22】
他の栄養、例えばビタミン、ミネラル、およびプレバイオティックおよびプロバイオティックをさらに含んでなる、請求項21に記載の食用組成物。
【請求項23】
飲料、例えば果実ジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトドリンクおよびミルクドリンクまたは固体食品、例えば食品スナックバー、例えばフルーツバー、ナッツバーおよび穀類バー、穀類、デザートである、請求項21または22に記載の食用組成物。
【請求項24】
液体剤形として処方される、請求項23に記載の食用組成物。
【請求項25】
前記液体剤形が、粘稠化剤、等張化剤、緩衝剤をさらに含んでなる、請求項24に記載の食用組成物。
【請求項26】
心臓血管病または結腸癌の予防または治療に使用するための、請求項21〜25のいずれか一項に記載の食用組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−500016(P2010−500016A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523344(P2009−523344)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003025
【国際公開番号】WO2008/017845
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509039080)コーエッセンス、リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CORESSENCE LIMITED
【Fターム(参考)】