ポリマインサートデバイスを伴う回転せん断バルブアセンブリ
【課題】ロータディバイス、及びステータディバイスを有する回転式せん断バルブにおいて、耐圧、耐久性を向上させたバルブを提供する。
【解決手段】金属製又はセラミック製のステータデバイス21、又は金属製又はセラミック製のロータデバイス25の少なくとも一方表面に、アルミナ、ジルコニアなどのトライポロジーコーティングが配され、ロータデバイス25、又はステータディバイス21の表面に受入溝85を形成し、受入溝85にPEEK又はナイロン等の材質に、又はこれらのエンジニアリングブレンド材質から形成されるポリマーインサートディバイス83を圧入した。
【解決手段】金属製又はセラミック製のステータデバイス21、又は金属製又はセラミック製のロータデバイス25の少なくとも一方表面に、アルミナ、ジルコニアなどのトライポロジーコーティングが配され、ロータデバイス25、又はステータディバイス21の表面に受入溝85を形成し、受入溝85にPEEK又はナイロン等の材質に、又はこれらのエンジニアリングブレンド材質から形成されるポリマーインサートディバイス83を圧入した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2010年7月9日に出願された特許出願第12/833,834号(代理人整理番号第RDYNP025号)に基づく一部継続出願であり、該特許出願は、更に、米国特許法第119条(e)に基づいて、いずれもTowerを発明者として「ROTARY SHEAR VALVE ASSEMBLY WITH HARD-ON-HARD SEAL SURFACES(ハード・オン・ハードのシール表面を伴う回転せん断バルブアセンブリ)」と題され尚且ついずれも参照によって本明細書に全体を組み込まれる2009年7月13日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/225,143号、2010年2月4日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/301,516号、及び2010年4月27日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/328,594号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、回転せん断バルブに関するものであり、特に、ハード・オン・ハードの(硬質材料と硬質材料とが接する)シール表面を取り入れたせん断バルブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の高圧液体クロマトグラフィせん断バルブは、金属製の要素と、ロータ/ステータ界面に流体密シールを形成するポリマ材料で構成されたロータデバイスとを用いるのが通例である。この組み合わせは、成果があるとことがわかっている一方で、圧力定格及びバルブ寿命において限界がある。例えば、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える高圧及び約10Kサイクルを超える寿命を要する用途は、たとえこの組み合わせを使用しても、始終達成して持続させることはできない。
【0004】
したがって、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える圧力を保持可能であるとともに50Kサイクルを超えるバルブ寿命を期待することができるせん断面バルブを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスを含む回転せん断バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、更に、1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスを含む。ステータ面及びロータ面のうちの一方は、外周縁において終結し、ロータ面及びステータ面のうちの他方は、ロータデバイスが回転軸周りにおいてステータデバイスに回転式に装着されたときに前記ステータ面及びロータ面のうちの一方の前記外周縁を半径方向に超えて広がる。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式である。本発明にしたがうと、バルブアセンブリは、前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスを含む。該インサートデバイスは、前記ロータ面及びステータ面のうちの他方に画定されたインサート受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。前記ステータ面及びロータ面のうちの一方の前記外周縁は、こうして、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にインサート露出面に接触する。
【0006】
具体的な一実施形態において、インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である。更に、受入溝及びインサートデバイスは、実質的に平坦なインサート露出面を実質的に平坦なロータ面及び実質的に平坦なステータ面のうちのもう一方に実質的に同一平面に位置決めするように協働する。
【0007】
別の一構成において、インサート受入溝の溝内径は、インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲である。
【0008】
更に別の具体的な一実施形態において、ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成され、該材料には、天然PAEK、充填PAEK(若しくはPEEK)、又はVESPEL(登録商標)などのポリイミド材料がある。
【0009】
更に別の一構成は、ステータ面及びロータ面を、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成されるものとして提供する。
【0010】
バルブアセンブリは、別の一実施形態において、更に、ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジ(潤滑)コーティングを含む。このようなコーティングは、例えば、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である。
【0011】
更に別の具体的な一構成において、バルブアセンブリは、更に、実質的に平坦なロータ面をステータデバイスの実質的に平坦なステータ面に実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式でロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを含む。
【0012】
本発明の別の一態様において、外周縁において終結する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面を画定するステータボスデバイスを有する回転せん断バルブアセンブリが提供される。更に、回転軸周りにおいてステータデバイスに回転式に装着されたときにステータ面の外周縁を半径方向に超えて広がるように構成された実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスが提供される。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式である。ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に、トライボロジコーティングが配される。更に、バルブアセンブリは、前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスを含む。該インサートデバイスは、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にステータ面の外周縁がインサート露出面に接触するように、ロータ面に画定された受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のアセンブリは、添付の図面と併せたときに、発明を実施するための最良の形態の以下の説明と添付の特許請求の範囲とから更に容易に明らかになる、その他の目的及び有利な特性を有する。
【0014】
【図1】本発明にしたがって設計された、金属製のロータ要素及び金属製のステータ要素の両方を取り入れたマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図である。
【0015】
【図2】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの底面斜視図である。
【0016】
【図3】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図であり、ステータリング及びステータ要素を取り外された状態でロータ要素を示している。
【0017】
【図4】図1のマイクロ流体バルブアセンブリを、ステータリングを取り外された状態で示した側面斜視図である。
【0018】
【図5】図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0019】
図5は、図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0020】
【図6】図5のロータアセンブリの拡大上面斜視図である。
【0021】
【図7】本発明にしたがって構築されたコンプライアンスアセンブリを取り入れた、図6のロータアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0022】
【図8】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの縮小分解底面斜視図である。
【0023】
【図9】代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0024】
【図10】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0025】
【図11】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリをステータ要素とともに示した分解上面斜視図である。
【0026】
【図12】図10のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0027】
【図13】図9のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0028】
【図14】図13のコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0029】
【図15】別の代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0030】
【図16】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解上面斜視図である。
【0031】
【図17】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0032】
【図18】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0033】
【図19】図15のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した側面図である。
【0034】
【図20】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解側面斜視図である。
【0035】
【図21】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0036】
【図22】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解底面斜視図である。
【0037】
【図23】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解上面斜視図である。
【0038】
【図24】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大上面図である。
【0039】
【図25】本発明にしたがったポリマインサートデバイスを取り入れた代替の一実施形態のバルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0040】
【図26】図25のロータデバイスの拡大上面斜視図であり、受入溝に挿入される前のポリマインサートデバイスを示している。
【0041】
【図27】図25のロータデバイスの上面斜視図であり、受入溝にプレス嵌めされた状態でポリマインサートデバイスを示している。
【0042】
【図28】図27のロータデバイスの拡大上面図である。
【0043】
【図29】図28のロータデバイスを断面で示した側面図である。
【0044】
【図30】図29のロータデバイス及びインサートデバイスの拡大部分上面斜視図である。
【0045】
【図31】図25のロータデバイス及びステータデバイスを僅かに分解した拡大部分上面斜視図であり、外縁部分を示している。
【0046】
【図32】位置合わせピンを組み込まれた、図25のバルブアセンブリの代替の一実施形態を断面で示した拡大部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、幾つかの具体的な実施形態を参照にして説明されるが、この説明は、発明を例示したものであり、発明を限定するものと解釈されるべきでない。当業者ならば、好ましい実施形態に対し、添付の特許請求の範囲に定められた発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることが可能である。より良い理解のために、ここに、各種の図面全体を通して、類似の構成要素が類似の参照符号によって示されることに留意せよ。
【0048】
概して図1〜8を参照すると、実質的に金属製又はセラミック製で且つ実質的に平坦なステータ面22を有するステータデバイス21を含む回転せん断バルブアセンブリ20が提供される。ステータデバイスは、対応するステータポート23においてステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルを画定する。バルブアセンブリ20は、更に、実質的に金属製又はセラミック製で且つ実質的に平坦なロータ面26を有するロータデバイス25を含む。本発明にしたがうと、ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に、トライボロジコーティングが配される。したがって、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の選択的な相対的回転のために、ロータデバイス25が回転軸周りにおいて回転式に装着されたときは、2つ以上のロータ位置の間における相対的回転の最中に、2つの金属面の間に流体密シールが形成される。
【0049】
したがって、一部にはトライボロジコーティングのおかげで、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約50Kサイクル)を維持可能でもある高圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))のためのメタル・オン・メタルの流体密シールがロータ/ステータ界面に形成される。ロータ面及び/又はステータ面のうちの少なくとも一方の上におけるこのようなトライボロジコーティングは、ステータデバイスとロータデバイスとの間の必然的な高圧縮圧力下において流体密で且つ低摩擦の耐久性シールが形成されることを可能にする。
【0050】
説明されるように、少なくともロータ面26及びステータ面22は、ともに、高圧縮力下における耐久性を高めるために、比較的剛性の材料で構成される。その他の構成では、ロータデバイス25及びステータデバイス21の全体が、実質的に剛性の材料で構成される。
【0051】
好ましくは、ロータデバイス及びステータデバイスは、ともに、316ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、又は工具鋼組成などの、金属組成で構成される。しかしながら、高いライフサイクル上限とともに同様な高圧能力を生み出すことを見いだされたその他の適切な剛性材料も、ロータ面26及び/又はステータ面22のうちの少なくとも一方の上に適切なトライボロジコーティングが配される限り適用可能である。このような適切な材料群の1つは、例えば、アルミナ、SSIC、ジルコニアなどの、セラミックである。ただし、ロータ及びステータが金属材料又はセラミック材料のいずれで構成されるにせよ、その材料は、トライボロジ材料をコーティング可能でなければならないことがわかる。
【0052】
ステータ面及び/又はロータ面のうちの少なくとも一方のコーティングは、これらの高圧用途において、ロータ/ステータ界面に流体密の低摩擦シールを形成するために必要であることを見いだされた。上述された所要の理由ゆえに、ロータ面及びステータ面は、実質的に剛性の材料組成を有するので、これらの剛性材料は、当然ながら、比較的非コンプライアブル(非柔軟性)である。
【0053】
ただし、このようなコーティングは、これらの高流体圧高圧縮力条件下における高いライフサイクルのために、十分な構造的完全性も示さなければならない。対向する剛性表面界面間における加圧流体密シールの形成にとって適切で且つ効果的なこのようなコーティングの1つが、トライボロジコーティングである。これらのコーティングは、高い強度(強靭性)及び低い摩擦性を示すとともに、液体クロマトグラフィにおいて使用される大半の化学物質に対して耐性であることを見いだされた。
【0054】
この用途に特に適した具体的なトライボロジコーティングの1つは、バルザース・エリコン(Balzers Oerlikon)によって提供される、BALINIT(登録商標)DLC STAR及びBALINIT(登録商標)DLC、又はイオンボンド(Ionbond)によって提供されるaDLCなどの、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である。ただし、これらの特性を示すその他のトライボロジコーティングも、適用可能である。
【0055】
本発明にしたがうと、ステータ面及びロータ面26は、そのうちの少なくとも一方が、又はそれらの両方が、トライボロジ材料をコーティングされる。具体的な一実施形態では、特定の条件下において、ステータボス27のステータ面22へのトライボロジコーティングの適用が、より強く且つより長持ちする流体密シールをロータ−ステータ界面に提供するのにとりわけ有利であることが見いだされた(図8)。例えば、高流体圧(すなわち、約18Kpsi(およそ1.24×108Pa)を超える)用途の場合は、流体密シールを維持するために、より高い軸圧縮力がロータ面26とステータ面22との間に必要である。バルブがセットされたときに(すなわち、圧力調整ナットが、或る減衰速度が達成されるまで調整されたときに、この速度は、通例、0.3μL/分である。流体圧は、ステータポート/ロータシール溝を通じてバルブに加えられる。バルブは、0.3μL/分の漏出速度において所要の圧力(この事例では15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))を保持したときに、「セット」される)、ばねアセンブリ30(調整ナット31及びばね座金32を含む(図8))によってシールに加えられる高圧は、ステータボス27の周縁部分によってコーティングシールの凹みを引き起こすことがある。したがって、ロータ面26が(例えば、ロータ面単独で又はステータ面とともに)コーティングされている場合は、これらの事例では、コーティングの亀裂、又はバルブの作動に伴う縁部分における離層に起因して、一貫性のない結果及び部品の損傷が観測されている。
【0056】
この凹みは、バルブの作動に伴って、凹み付近においてコーティングをロータシールから「剥離させる」又は離層させると考えられる。このコーティングが除去されるのに伴って、残骸、及び場合によっては未コーティングの金属が、残りのコーティングに引っ掻き傷を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうことが観測されている。ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0057】
ステータ面のみがトライボロジコーティングで被覆されているときは、これらの高圧用途下において、この劣化は観測されない。更に、より低圧(3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))では、ハード・オン・ハードバルブがこのような圧力において動作するゆえに、ステータシール及びロータシールは、ともに、(DLC又はそれ以外を)コーティングされて優れたシールを提供可能であると考えられる。シールに加えられるこれらの圧力は、低いと考えられるので、ロータシールは、凹んでコーティングを損なう事態を生じにくい。
【0058】
次に、代表的なせん断バルブアセンブリ20を図解された図1〜5及び図8を参照する。簡単に言うと、図8に最も良く示されるように、せん断バルブアセンブリは、通例、その中にロータアセンブリ29を回転式に配されるケースアセンブリ33(基本的に、バルブケースとステータリングとからなる)を含む。ロータアセンブリ29は、ドライブシャフト35と、ロータデバイス25をその上に着座させるように構成された末端側のヘッドアセンブリ36とを含む。力の集中と、ロータデバイスがヘッドアセンブリ36上において枢動する能力とを助長するために、ヘッドアセンブリは、その末端側表面38から僅かに直立する隆起した台又はパッド34を含む。この直立シャフトパッド34は、好ましくは円盤状であり、ロータデバイス25の接触表面40に直接接触して着座するように構成された実質的に平坦な着座表面39を有する。ただし、図5、図7、及び図8は、これらの間に、以下で詳しく説明される薄いコンプライアント要素すなわちシム部材44を配された状態で示されていることがわかる。
【0059】
この直立パッド34の直径は、ロータデバイスの接触表面40の直径未満であることが好ましい。しかしながら、この直径は、ロータデバイスの直径の約45%程度以上であることも好ましく、このような小さい直径は、ロータ面とステータ面とが完全に接触するように、ロータデバイスが微小なぐらつきを生じることを可能にする。したがって、以下で更に詳しく説明されるように、ロータデバイス25の接触表面40と、直立シャフトパッド34の着座表面39とは、互いに実質的に同一平面で接触する必要はない。具体的な一実施形態では、直立パッドの直径は、約0.200インチ(およそ5.08mm)から約0.368インチ(およそ9.35mm)の範囲、より好ましくは約0.230インチ(およそ5.84mm)であってよく、一方で、ロータデバイスの直径は、約0.600インチ(およそ15.2mm)から約0.625インチ(およそ15.9mm)の範囲であってよい。
【0060】
代表的な一構成では、戦略的に方向付けられた3本の合わせピン37が、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びている(図5〜7)。これらの合わせピン37は、円盤状のロータデバイス25をドライブシャフト35に対して装着及び位置合わせする働きをするロータデバイス25内の対応する通し穴41に、滑動式に受け入れられる。更に、これらの合わせピン37は、トルク伝達と、それゆえの、回転軸周りにおけるドライブシャフト35の回転に伴うロータデバイス25の回転とを可能にする。
【0061】
ステータデバイス21は、ステータボスのステータ面22をロータデバイス25のロータ面26に隣接及び接触するように位置決めする方式で、ナット43を介してケースアセンブリ33の末端側部分42に装着される。ロータ−ステータ界面においてロータデバイス25とステータデバイス21との間に圧縮力を生じさせるために、ケースアセンブリ33とドライブシャフト35のヘッドアセンブリとの間にばねアセンブリ30が組み込まれる。簡単に言うと、ケースアセンブリ33の基部側部分に、圧力調整ナット31が螺合される。圧力調整ナットの末端がばねスタック(すなわち、スタック状のばね座金32)を圧縮してヘッドアセンブリ36に押し付けるのに伴って、ロータデバイス25は、圧縮によってステータボス27へと押しつけられる。近年は、バルブの再構築という大きな利点を有する、圧力調整アセンブリを取り入れた新しい超高圧流体用途用のマイクロ流体バルブが開発されている。これらのアセンブリは、2010年6月14日に出願され、「REBUILDABLE MICRO-FLUIDIC VALVE ASSEMBLY(再構築可能なマイクロ流体バルブアセンブリ)」と題されたTower et al.への我々の米国特許出願第12/815,265号に開示されており、その全体が参照によって組み込まれる。
【0062】
次に、図3〜7を参照する。本発明にしたがうと、ステータデバイス21及びロータデバイス25は、ともに、金属材料で構成されて、メタル・オン・メタルのステータ−ロータ界面を形成している。もちろん、トライボロジコーティング(好ましくはDLC)が、真の金属間接触を隔てて、より高圧の状況下において流体密シールを形成する働きをしている。上記のように、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える用途の場合は、ステータ面22がコーティングされることが好ましく、一方で、約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約6Kpsi(およそ4.14×107Pa)未満の範囲の用途の場合は、ステータ面22、ロータ面26、又はそれらの面の両方のいずれかをコーティングすることができる。
【0063】
このコーティングされたメタル・オン・メタル構成では、これらのせん断面バルブ部品の剛性及び硬さゆえに、ステータデバイス及びロータデバイスの実質的に平坦な面を互いに実質的に平行に方向付けることが大いに有益である。しかしながら、このような実質的に平行な方向付けは、実現可能である一方で、法外な費用がかかる恐れがあり、したがって、実用的でない。部品公差の積もり重なりゆえに、金属ロータ面26は、実質的に平坦なステータ面に対して平らにすなわち実質的に平行で且つ同一平面に密着しない恐れがある、又はステータは、最初の場所で完全に平坦にならない恐れがある。
【0064】
したがって、本発明の別の態様にしたがうと、ロータアセンブリ29は、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けるためにロータ面26と協働するロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。コンプライアンスアセンブリ45は、例えば、ヘッドアセンブリ36とロータデバイス25(又は図9〜13の実施形態のロータ要素46などの、金属製若しくはセラミック製の、ロータデバイス25の少なくとも一部分)との間に配されて、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けることを可能にする方式で圧縮可能であるコンプライアント要素(例えば、図5〜8の実施形態のシム部材44、又は図9〜13の実施形態のサポートデバイス50)を含む。特定の一実施形態では、上記のように、コンプライアント要素は、隆起した台34の末端側着座表面39とロータアセンブリ29の接触表面40との間に配されたコンプライアントシム部材44によって提供される。したがって、ロータデバイス25に対するヘッドアセンブリ36の圧縮、及びそれゆえの、ステータ面に対するロータ面の圧縮の際に、実質的によりコンプライアント(柔軟)であるシム44は、ロータ面をステータ面に対してより同一平面に且つ平行に着座させる方式で圧縮される。したがって、上記のように、ロータデバイス25の接触表面40と直立シャフトパッド34の着座表面39との間における完全に同一平面での着座の必要性は、ロータ面とステータ面との間における同一平面で且つ密着した接触を保証するためにそれほど必要ではない。
【0065】
シム部材44の直径は、好ましくは、ロータデバイス25の接触表面40の直径未満であるが、ただし、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びる合わせピン37を受け入れてそれらのピン37と協働するように戦略的に位置合わせされた通し穴48を組み入れていなければならない(図5〜7)。ロータデバイス25と同様に、これらの合わせピン37は、シム44をヘッドアセンブリ36に対して装着、固定、及び位置合わせするために、シム44内の対応する通し穴48に滑動式に受け入れられる。
【0066】
図5、図7、及び図8に最も良く示されるように、シムは、多様な形状で構成可能である。例えば、シムは、従来の円形(図8)であってよい、又は効率的で且つ微小な三角形(図5及び図7)であってよい。
【0067】
シム44の材料組成は、ロータデバイスとステータデバイスとの間に加えられる大きな圧縮力に耐えるのに十分な構造的完全性を有することが望ましい。しかしながら、材料は、圧縮の作用時に、ロータ面をステータ面に対して実質的に同一平面で着座させることを可能にするのに十分にコンプライアブル(柔軟)でもなければならない。例えば、圧縮弾性率κは、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲であることが好ましい。特定の一実施形態では、シム44の材料組成は、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲の厚さを有するポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエルテル、又はポリカーボネートで構成可能である。
【0068】
図9〜12に示されるような、別の具体的な一実施形態のコンプライアンスアセンブリ45では、ロータデバイス25は、コンプライアントサポートデバイス50によって受け入れられて支持される金属製又はセラミック製の(挿入可能な)ロータ要素46を含む。この実施形態では、サポートデバイス50は、コンプライアント要素として機能し、したがって、挿入されたロータ要素46の裏側(すなわち基部側の面)に対するコンプライアントな裏当てを提供する。図10〜12は、金属製のロータ要素46が、ロータ溝47を含むとともに実質的に平坦な末端側向きロータ面26を有する円盤状であると好ましいことを、最も良く示している。
【0069】
サポートデバイス50は、その大部分が、図5〜7の実施形態にあるような代表的なロータデバイス25と同様に成形されている。サポートデバイスの末端側の面は、しかしながら、受入ソケット51を画定しており、その周縁の内部側壁52は、ロータ要素46の基部側の面54が受入ソケット51の末端側のソケット面55に接触してそれによって支持されるまで、ロータ要素46の外周のすなわち周縁の壁53をプレス嵌めによって受け入れるように、形成及び寸法決定される。
【0070】
コンプライアントな裏当て材料を提供することによって、少なくとも軸方向において、サポートデバイス50の接触表面は、ロータデバイス25とステータ面22との間に圧縮力が印加される際に幾らかのコンプライアンス(変形)又は圧縮を有するはずである。このような圧縮コンプライアンスは、実質的に平坦なロータ面26が実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行な向きに僅かに位置を移すことを可能にする。要するに、コンプライアント材料は、金属ロータ要素の裏側接触表面との接触ゆえに「移動」又は圧縮し、ポリマがロータ面とステータボスのステータ面との間のずれを吸収することを可能にする。ロータ面26は、すると、ステータボス面22に対して平らに且つ実質的に平行に密着及び合わさることができる。
【0071】
具体的な一実施形態では、サポートデバイス50は、好ましくは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の厚さであり、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有し、高い引張強度及び圧縮強度を示すポリマ材料で構成される。これらその他特性を示すこのようなコンプライアント材料は、微小なコンプライアンスを許容しつつ、ロータ要素46のロータ面26への軸方向における高圧縮力の伝達を更に可能にする。図13及び図14に最も良く示されるように、ロータ要素の周縁において、約1°又は約0.005インチ(およそ0.127mm)の程度のコンプライアンスが実現可能である。
【0072】
使用されるポリマ材料は、様々な用途に応じて可変である。高圧用途だとみなされるなかで低い方の範囲(例えば3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))であるかどうかによって、PEEKTM又はナイロンなどの、より軟質の未充填ポリマが適用可能である。反対に、より高圧の用途(例えば15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))の場合は、ポリマの引張強度及び圧縮強度を大幅に高めるカーボン充填ポリマ材料が必要とされるであろう。
【0073】
このような高強度ポリマサポート材料の1つは、PEEKTMとカーボンファイバとのエンジニアードブレンド(例えばカーボンが20〜30%のPEEKTMブレンド)である。このポリマ材料は、カーボンを充填されており、必須とされる高い引張強度及び圧縮強度を生み出す。したがって、バルブを密着させるために必要とされるばね座金32の高圧ゆえに、このPEEKTMブレンドは、現時点において好ましい材料である。ただし、その他のポリマベースの材料、又はひいては更に高強度のエラストマも使用可能であることがわかる。
【0074】
次に、図10及び図11を見ると、円盤状のロータ要素46は、概してキー係合される。これは、ロータ面26をドライブシャフト35に対して位置合わせするのみならず、サポートデバイス50の回転時においてロータ要素へのトルク伝達を促す働きもする。機械加工を容易にするために、ロータ要素46は、「D字」型であり、雌の受入ソケット51は、平らな部分の隅にエンドミルの半径ぶんの逃げをつけた変形「D字」型である。これら2つのパーツは、アーバープレスを使用して組み立てられる。アーバープレスは、2つのパーツをプレス嵌め(0.002インチ(およそ0.0508mm)のプレス嵌め)して合体させる。もちろん、外周縁は、金属シールインサートがポリマ裏当てにプレス嵌めされることを可能にする任意の形状であってよいことがわかる。
【0075】
次に、図16〜24を参照すると、ロータアセンブリ29は、対向するロータ面とステータ面とがステータボス27上で互いに密着する及び同一平面で合わさることを可能にする向きにロータ面を「搖動」及び/又は「枢動」させることを可能にする代替の一実施形態のロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。
【0076】
この構成では、簡単に説明すると、(図16及び図20〜23の実施形態において提供されるのと同様な)円盤状で金属製のロータ要素60が、ボールベアリング61上に枢動式に着座され、該ボールベアリング61は、更に、ドライブシャフト35のヘッドアセンブリ36の末端上に着座される。したがって、ドライブシャフト35に圧縮力が加えられるのに伴って、その力は、ボールベアリング61を介してロータ要素60に伝達される。ロータ/ステータ界面において、隣り合う対向する接触間の圧力が増大されると、ロータ要素60は、ロータ面をステータ面に対して実質的に平行に方向付けしなおす及び位置合わせすることを目指して微小な搖動又は枢動を生じる。
【0077】
枢動するロータ要素60の支持を容易にするために、ドライブリング62が提供される。該リングは、やはり、それが取って代わる従来のロータデバイスと同様に成形される。図16及び図17は、このドライブリングが、軸方向に伸びる受入孔63を含んでいること、及びその受入孔63に挿入されるロータ要素60をその中で軸方向に「浮遊」可能にすると同時にロータ要素60を回転軸周りにおける回転のためにドライブリング62に対して回転式に固定する方式で軸方向に受け入れるように受入孔63が形成されていることを、最も良く示している。
【0078】
したがって、受入孔63を画定する内部側壁66の内径は、ロータ要素60の微小な枢動を許容するために、ロータ要素60の外周壁67の直径を僅かに上回る。明瞭さを期するために、例えば、シールインサートの外径と、ドライブリングの内径との間は、約0.020インチ(およそ0.508mm)(各側0.010インチ(およそ0.254mm))である。これは、シールインサートがドライブリング内において各側0.010インチ(およそ0.254mm)ぶん側方に行き来することを可能にする。
【0079】
ボールベアリング61上における着座を支持するために、ロータ要素60の基部側向き表面は、ボールベアリングの一部分を受け入れるように形成、サイズ決定、及び寸法決定されたドーム状のボールソケット68を含む。この構成は、更に、ボールベアリング周りにおける且つドライブリング62に相対的な枢動を支持する役割も担っている。
【0080】
ドライブシャフト軸周りにおけるドライブリング62の回転に伴って、軸方向に浮遊するロータ要素60にトルクを伝達するために、ドライブリング62の内部側壁66から半径方向に孔63の中へ複数のガイドピン70が伸びている。これらの半径方向ガイドピン70は、ロータ要素の外周壁67に沿って軸方向に伸びている対応する細長い受入スロット71に滑動式に軸方向に受け入れられるように形成される。したがって、ドライブリングの回転に伴って、ガイドピン70は、この回転運動をロータ要素に直接伝達する。
【0081】
精密で且つ正確な、ロータ要素の回転変位及び回転運動のためには、ガイドピン70の直径と、対応する受入スロットの幅との間の許容差は、したがって、比較的小さいことが望ましい。具体的な一実施形態では、例えば、ガイドピンの直径と、スロットの幅との間の許容差は、およそ0.002インチ(およそ0.0508mm)(各側0.001インチ(およそ0.0254mm))である。例えば、もし、ガイドピンの直径が約0.029〜0.031インチ(およそ0.737〜0.787mm)であるように選択されたならば、ロータ要素内のガイドスロット71の幅は、約0.031〜0.033インチ(およそ0.787〜0.838mm)の範囲であるように選択されることが望ましい。このような比較的小さな許容差は、駆動シャフト軸周りにおけるドライブリング62の回転が実質的に直ちにロータ要素60に直接伝達されることを可能にする。したがって、ステータポート23に対するロータシール溝47の相対的位置は、正確に決定することができる。
【0082】
半径方向に相隔てられたこれらのガイドスロット71は、しかしながら、ガイドピン70の半径方向の長さを僅かに上回る深さぶん、ロータ要素の外周壁67内へ半径方向に伸びてもいる。この許容差は、上述された、ドライブリングの受入孔63内におけるロータデバイスの(各側約0.010インチ(およそ0.254mm)程度の)微小な側方運動を可能にするために、ガイドピン70が、対応するガイドスロットに対して僅かに出入りすることを許容する。したがって、ロータ要素60は、ボールベアリング周りにおける微小な枢動又は転がりに伴って、ガイドピン70に沿って滑動もする。ガイドピン70の、対応する受入スロット71に軸方向に沿ったこの相対的な軸方向運動(及び非常に微小な相対的な半径方向運動)は、受入孔内における側方への微小な運動と相まって、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に僅かに方向付けしなおすことを可能にする。したがって、図18〜21の実施形態の、ポリマを裏当てされたサポートデバイス50と異なり、この枢動式の実施形態によるコンプライアンスは、ロータ面がステータボス27のステータ面22に対して実質的に平行に且つ同一平面に方向付けしなおされるまでボールベアリング周りにおいて「運動」及び「枢動」する(すなわち転がる)ロータ要素シールインサートの能力によって提供される。
【0083】
これらのガイドピン70は、(図解されているような)ねじを有していても良い、又は、ドライブリング62の形成の際に成形若しくは圧延されてもよい。更に、図では、受入孔63の内部側壁66において半径方向に相隔てられた5本のガイドピン70が示されているが、コンプライアンスアセンブリ45は、(コンプライアンスがより限られるが)1本のガイドピン及びそれに対応するスロットのみでも機能することができる。しかしながら、より高いコンプライアンスを与えるためには、最低でも3本の、半径方向に相隔てられたガイドピン及びそれらに対応するガイドスロットが望ましいとされる。
【0084】
ヘッドアセンブリ36の末端側の面によって、やはり同様にボールベアリング61に対して着座するように形成された対向するドーム状ソケット72も画定される。好ましくは、この対向するドーム状ソケット72は、ドライブシャフト35の末端における対応する通路75にプレス嵌めされる挿入可能な合わせピン73によって提供される。
【0085】
次に、図18及び図19を参照すると、ばねアセンブリ30を介して、圧縮力がドライブシャフト35をステータデバイス21に向かって軸方向に押しつけるのに伴って、合わせピン73は、ボールベアリング61を圧縮する。すると、ボールベアリング61は、この軸方向の圧縮力をロータ要素60に伝達し、ロータ−ステータ界面において流体密シールを形成する。
【0086】
ボールベアリングに加えられる高い圧縮力に適応するためには、ボールベアリングの直径は、ロータ要素60の直径の少なくとも2分の1(好ましくは3分の2)であると望ましいことがわかる。これは、より小さい直径のボールベアリングの場合の、より集中的な力分布と比べて、ロータ要素のドーム状ソケット68において、より広範に圧縮力が分布されることを保証する。
【0087】
上述されたハード・オン・ハード回転バルブ(例えばメタル・オン・メタルバルブ又はセラミック・オン・メタルバルブ)に対し、超高圧(UHP)用途(例えば20kpsi(およそ1.38×108Pa)以上)において、DLCコーティングに代表されるトライボロジコーティングのテストを多数回にわたって試行することを通じて、特定の接触領域において、時期尚早なバルブ故障を促すトライボロジコーティングの摩耗の増加が観察された。一例では、図25〜31に最も良く見られるように、トライボロジコーティングの過剰な摩耗が観察された主要な領域は、ステータボス27の外周部分80(とりわけ外周縁81)である。この外側部分は、バルブの切り替え時に、極めて高い応力及びロータシールの最高速度に曝される。
【0088】
その結果、トライボロジコーティングの亀裂、剥離、又は離層が観察され、すると、除去された残骸、及び場合によっては未コーティングの金属は、残りのコーティングに引っ掻き傷を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうと考えられる。再度述べるが、ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0089】
本発明の別の態様にしたがうと、図25〜31に最も良く示されるように、ステータデバイス21及びロータデバイス25を含む、全体として20で指し示される回転せん断バルブアセンブリが開発されている。ステータデバイス21が、実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面22と、対応するステータポートにおいてステータ面22と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネル82とを画定する一方で、ロータデバイス25は、1本以上のロータチャネル47を画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面26を画定する。ステータ面22及びロータ面26のうちの一方(例えば、図25及び図31の特定の一実施形態ではステータ面22)は、外周縁81において終結し、ロータ面26及びステータ面22のうちの他方は、ロータデバイス25が回転軸周りにおいてステータデバイス21に回転式に装着されたときに当該ステータ面22及びロータ面26のうちの一方の外周縁81を半径方向に超えて広がる。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面26とステータ面22との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で協働する。本発明にしたがうと、バルブアセンブリ20は、全体として83で指し示されるポリマインサートデバイスを含み、該インサートデバイスは、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にステータ面22及びロータ面26のうちの一方(例えば、図25及び図31ではステータ面22)の外周縁81がインサートデバイス83に接触するように、ロータ面26及びステータ面22のうちの他方(例えば、図26及び図27ではロータ面26)に画定された受入溝85にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。インサートデバイス83は、具体的には、外周縁81(例えば、図31ではステータ面22)の径未満であるインサート内径と、外周縁の径を上回るインサート外径とを有する露出接触面86を画定する。
【0090】
したがって、周縁81において、ロータ面26とステータ面22との間のハード・オン・ハード(例えば、メタル・オン・メタル又はメタル・オン・セラミック)の接触は、原則的に、ポリマインサートデバイス83と硬質の周縁との間の接触に取って代わられる。この外周部分80における、金属製及び/又はセラミック製の周縁81と、ポリマインサートデバイスの露出接触面86との間の回転式の接触は、周縁81との流体密接触を可能にするとともに、そこで形成される高応力を実質的に吸収するための十分な変形を提供する。この外周部分80又は具体的には外周縁81におけるトライボロジコーティングは、こうして大幅に低い応力に曝されることになるので、トライボロジコーティングの摩耗、引っ掻き、及び/又は欠け落ちもまた、大幅に低減される。
【0091】
ステータ面22とインサートデバイスの露出接触面86との間の回転式の接触ゆえに、インサートデバイス83の重要な材料特性は、1つには、選択されたポリマが、UHP用途下のベアリング用途において優れた振る舞いをすることである。更に、選択されたインサートデバイスのポリマ材料は、高い圧縮強度(約1193kpsi(およそ8.23×109Pa)の弾性率と、約68.4kpsi(およそ4.71×108Pa)の圧縮率)を示されなければならない一方で、それは、ステータ面及び/又はロータ面のセラミック材料又は金属材料の圧縮強度を大幅に下回っていなければならない。これは、もちろん、これらの領域においてポリマインサートデバイス83が局所的に高応力を吸収することを可能にする。このような適切なポリマ材料の例として、天然ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、充填PAEK(例えば、PEEK(登録商標))、又はVESPEL(登録商標)などのポリイミド材料が挙げられる。
【0092】
簡潔に言うと、本発明のこの態様は、説明を簡単にするために、外周縁81がステータ面22又はロータ面26のうちのいずれか一方(例えば、図25及び図31ではステータ面22)に沿うように方向付けられ、ロータ面26又はステータ面22のうちの他方がその対向するインサートデバイス83を支持しているものとして例示及び説明をなされているが、これ以降の説明は、全て、ロータ面26にインサートデバイス83を配置することに関するものである。更に、図31は、例示を簡単にするために、ステータデバイス21及びロータデバイス25を互いから微小に位置をずらして示していることがわかる。バルブアセンブリ20の動作中、ロータ面26は、ステータ面22に回転式に接触すると考えられる。
【0093】
上記のように、この特定の一実施形態では、バルブアセンブリ20のステータデバイス21は、下方へ直立したステータボス27を組み入れている。このボスは、一部には、内向きに先細る環状の外周側壁87によって画定されて、円錐状の傾斜面を形成している。この実施形態では、この円錐状の側壁87は、ステータ面22と交わって、外周縁81を形成している。
【0094】
外周部分80と対向して接触する関係に位置決めされるのは、ポリマインサートデバイス83である。このインサートデバイスは、実質的に平坦な露出接触面86を有するリング状(図26〜29)であることが好ましく、実質的に平坦なロータ面26に画定された実質的に同様に環状の凹所すなわち受入溝85内にプレス嵌めによって配されるように構成される。この受入溝は、バルブ動作中に、インサートデバイスと協働して該インサートをロータデバイス25に固定して保持するように、及びステータ面22に対する圧縮接触の際に、ポリマインサートデバイス83の露出接触面86を実質的に平坦なロータ面26の面と実質的に同一平面に位置決めするように、サイズ決定及び寸法決定される。
【0095】
インサートデバイス83の接触面86に対するステータ周縁81の接触及び位置合わせを保証するために、環状溝85の溝内径縁89は、予想されるインサートデバイスとステータ外周縁81との間の接触線から半径方向に十分に内側に隔てられている。溝内径縁の半径方向位置は、しかしながら、上記の動作条件(すなわち、20kpsi(およそ1.38×108Pa)以上などの超高圧ハード・オン・ハード用途)下におけるステータ面22とロータ面との間の流体密シールの形成を可能にするために、ロータチャネル47の外縁88から十分に隔てられていなければならない。要するに、ロータチャネル外縁88と溝内径縁89との間の最小外側半径方向奥行きL1は、流体密シールの形成に十分でなければならない。図30及び図31に最も良く示されるような具体的な一実施形態では、ロータチャネル外縁88と溝内径縁89との間の最小外側半径方向奥行きL1は、少なくとも、ロータチャネル47の横断面寸法の幅WCと同程度の幅であることが望ましい。
【0096】
その一方で、溝内径縁89と、ステータ外周縁81との接触領域との間の最小内側半径方向奥行きL2は、ロータチャネル幅WCの少なくとも約2倍であることがわかる。このような最小内側半径方向奥行きL2は、ステータ外周縁81がインサートデバイス83の露出接触面86と回転式にベアリング接触することを保証する。
【0097】
同様に、溝外径縁90もやはり、外周部分80との間の、具体的にはステータ周縁81との間の接触を保証するために、やはりそこから半径方向外向きに十分に隔たれている。図31に最も良く示されるように、ステータ外周縁81との接触領域と、溝外径縁90との間の最小外側半径方向奥行きL3は、少なくとも、傾斜面の斜辺(すなわち、ステータボス側壁87)と同程度の長さであることが好ましい。
【0098】
上述されたように、ポリマインサートデバイス83は、プレス嵌めによって受け入れられるように受入溝85と協働する。したがって、インサートデバイス83の外殻と、受入溝85を画定する内壁とは、所定の許容差内において同様に成形、形成、及び寸法決定される。内径壁91周りにおけるインサートのプレス嵌め特性は、したがって、バルブアセンブリの動作中に受入溝85内にインサートを固定して保持するのに十分であると同時に、インサートデバイス83の構造的完全性を脅かすほどぴったりとは合わさっていないことが望ましい。特定の一実施形態では、例えば、受入溝85の内径壁91の直径は、インサートデバイス83の内壁92の直径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る程度であり、これは、溝内径壁にプレス嵌めされたときに、UHP用途におけるバルブ動作中にポリマインサートを適所に固定するのに適切である。
【0099】
比較すると、しかしながら、ポリマインサートデバイス83及び環状受入溝85は、溝外径が実際はインサートデバイスの外径を僅かに上回るように機械加工される。この許容差は、負荷を加えられたときにポリマインサートデバイス83が半径方向に拡張することを可能にする。例えば、受入溝85の外径壁93の直径は、インサートデバイスの外壁95の直径を約0.005インチ(およそ0.127mm)から約0.020インチ(およそ0.508mm)上回る範囲であり、更に好ましくは、約0.010インチ(およそ0.254mm)上回る範囲である。
【0100】
したがって、今述べた具体的な一実施形態では、インサート内壁92と溝内径壁91との界面は、プレス嵌め方式で協働し、インサート外壁95と溝外径壁93との界面は、拡張方式で協働する。しかしながら、インサート外壁95と溝外径壁93との界面が、上述のプレス嵌め方式で協働し、インサート内壁92と溝内径壁91との界面が、上述の拡張方式で協働することもある。更に別の構成では、内界面及び外界面の両方を、プレス嵌め方式で協働するように構成することができる。
【0101】
ポリマインサートデバイスの最小深さは、約0.050インチ(およそ1.27mm)の範囲から約0.140インチ(およそ3.55mm)の範囲の最大深さまでであるように選択され、より好ましくは、約0.050インチ(およそ1.27mm)である。ポリマインサートのこの深さは、以下で説明されるように、少なくとも初期の段階では、ロータ面よりも僅かに上方に突き出すのに十分であることが望ましい。
【0102】
しかしながら、製造及び組み立ての際に、インサートデバイス83の初期高さは、インサートデバイス83が受入溝85に完全に受け入れ及び挿入されたときに露出接触面86が実質的に平坦なロータ面26の上方に僅かに隆起しているように、受入溝85の高さよりも僅かに高いように選択される。ひとたびインサートデバイス83が、溝内径壁91周りにそしてロータデバイス25の受入溝85内にプレス嵌めされたら、非常に艶やかで、滑らかで、且つ実質的に平坦なロータ面表面を得るために、ロータシールに対してラッピング及びポリシングの工程が実施される。この手順は、ロータ面26とポリマ接触面86とが実質的に平坦で且つ互いに実質的に同一平面であることを保証する。このラッピング/ポリシング手順後、ロータシールは洗浄され、バルブアセンブリに組み付ける用意が整う。
【0103】
例として、特定の一実施形態において、上述のパラメータを適用すると、インサートデバイスの内径は、約0.128インチ(およそ3.25mm)から約0.129インチ(およそ3.28mm)であり、インサートデバイスの外径は、約0.225インチ(およそ5.72mm)である。比較すると、受入溝85の内径は、約0.130インチ(およそ3.30mm)であり、受入溝85の外径は、約0.235インチ(およそ5.97mm)である。
【0104】
図32に最も良くみられるように、バルブアセンブリ20は、ロータデバイス25とステータデバイス21との間の及びヘッドアセンブリ36に対する精密な位置合わせを促す位置合わせピン96を組み入れることができる。この位置合わせピン96は、シャフトパッド34から軸方向に直立しており、ロータデバイス25を軸方向に貫通している位置合わせ孔97に滑動式に受け入れられるように形成される。ロータ位置合わせ孔97と軸方向に位置合わせされるのは、ステータ位置合わせスロット98である。
【0105】
したがって、位置合わせピン96周りにおいてロータデバイス25とステータデバイス21とを組み立てる際に、ロータ面26とステータ面22とが容易に位置合わせされ、ステータ外周縁81が露出接触面86に正しく位置合わせされる。
【0106】
更に、本発明は、それを実施する好ましい形態及びそれに対する変更との関連において説明されているが、当業者にならば、以下の特許請求の範囲内でその他の多くの変更が可能であることが理解される。したがって、発明の範囲は、いかなる形でも上記の説明によって制限されることを意図しておらず、むしろ、専ら以下の特許請求の範囲を参照することによって決定される。例えば、本発明は、ハード・オン・ハードUHP用途にとりわけ適している一方で、バルブ寿命を延ばす手段として、より低圧のその他のハード・オン・ハード用途にも適用可能である。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2010年7月9日に出願された特許出願第12/833,834号(代理人整理番号第RDYNP025号)に基づく一部継続出願であり、該特許出願は、更に、米国特許法第119条(e)に基づいて、いずれもTowerを発明者として「ROTARY SHEAR VALVE ASSEMBLY WITH HARD-ON-HARD SEAL SURFACES(ハード・オン・ハードのシール表面を伴う回転せん断バルブアセンブリ)」と題され尚且ついずれも参照によって本明細書に全体を組み込まれる2009年7月13日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/225,143号、2010年2月4日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/301,516号、及び2010年4月27日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/328,594号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、回転せん断バルブに関するものであり、特に、ハード・オン・ハードの(硬質材料と硬質材料とが接する)シール表面を取り入れたせん断バルブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の高圧液体クロマトグラフィせん断バルブは、金属製の要素と、ロータ/ステータ界面に流体密シールを形成するポリマ材料で構成されたロータデバイスとを用いるのが通例である。この組み合わせは、成果があるとことがわかっている一方で、圧力定格及びバルブ寿命において限界がある。例えば、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える高圧及び約10Kサイクルを超える寿命を要する用途は、たとえこの組み合わせを使用しても、始終達成して持続させることはできない。
【0004】
したがって、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える圧力を保持可能であるとともに50Kサイクルを超えるバルブ寿命を期待することができるせん断面バルブを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスを含む回転せん断バルブアセンブリを提供する。バルブアセンブリは、更に、1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスを含む。ステータ面及びロータ面のうちの一方は、外周縁において終結し、ロータ面及びステータ面のうちの他方は、ロータデバイスが回転軸周りにおいてステータデバイスに回転式に装着されたときに前記ステータ面及びロータ面のうちの一方の前記外周縁を半径方向に超えて広がる。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式である。本発明にしたがうと、バルブアセンブリは、前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスを含む。該インサートデバイスは、前記ロータ面及びステータ面のうちの他方に画定されたインサート受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。前記ステータ面及びロータ面のうちの一方の前記外周縁は、こうして、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にインサート露出面に接触する。
【0006】
具体的な一実施形態において、インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である。更に、受入溝及びインサートデバイスは、実質的に平坦なインサート露出面を実質的に平坦なロータ面及び実質的に平坦なステータ面のうちのもう一方に実質的に同一平面に位置決めするように協働する。
【0007】
別の一構成において、インサート受入溝の溝内径は、インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲である。
【0008】
更に別の具体的な一実施形態において、ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成され、該材料には、天然PAEK、充填PAEK(若しくはPEEK)、又はVESPEL(登録商標)などのポリイミド材料がある。
【0009】
更に別の一構成は、ステータ面及びロータ面を、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成されるものとして提供する。
【0010】
バルブアセンブリは、別の一実施形態において、更に、ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジ(潤滑)コーティングを含む。このようなコーティングは、例えば、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である。
【0011】
更に別の具体的な一構成において、バルブアセンブリは、更に、実質的に平坦なロータ面をステータデバイスの実質的に平坦なステータ面に実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式でロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを含む。
【0012】
本発明の別の一態様において、外周縁において終結する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面を画定するステータボスデバイスを有する回転せん断バルブアセンブリが提供される。更に、回転軸周りにおいてステータデバイスに回転式に装着されたときにステータ面の外周縁を半径方向に超えて広がるように構成された実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスが提供される。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式である。ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に、トライボロジコーティングが配される。更に、バルブアセンブリは、前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスを含む。該インサートデバイスは、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にステータ面の外周縁がインサート露出面に接触するように、ロータ面に画定された受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のアセンブリは、添付の図面と併せたときに、発明を実施するための最良の形態の以下の説明と添付の特許請求の範囲とから更に容易に明らかになる、その他の目的及び有利な特性を有する。
【0014】
【図1】本発明にしたがって設計された、金属製のロータ要素及び金属製のステータ要素の両方を取り入れたマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図である。
【0015】
【図2】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの底面斜視図である。
【0016】
【図3】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図であり、ステータリング及びステータ要素を取り外された状態でロータ要素を示している。
【0017】
【図4】図1のマイクロ流体バルブアセンブリを、ステータリングを取り外された状態で示した側面斜視図である。
【0018】
【図5】図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0019】
図5は、図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0020】
【図6】図5のロータアセンブリの拡大上面斜視図である。
【0021】
【図7】本発明にしたがって構築されたコンプライアンスアセンブリを取り入れた、図6のロータアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0022】
【図8】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの縮小分解底面斜視図である。
【0023】
【図9】代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0024】
【図10】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0025】
【図11】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリをステータ要素とともに示した分解上面斜視図である。
【0026】
【図12】図10のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0027】
【図13】図9のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0028】
【図14】図13のコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0029】
【図15】別の代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0030】
【図16】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解上面斜視図である。
【0031】
【図17】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0032】
【図18】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0033】
【図19】図15のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した側面図である。
【0034】
【図20】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解側面斜視図である。
【0035】
【図21】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0036】
【図22】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解底面斜視図である。
【0037】
【図23】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解上面斜視図である。
【0038】
【図24】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大上面図である。
【0039】
【図25】本発明にしたがったポリマインサートデバイスを取り入れた代替の一実施形態のバルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0040】
【図26】図25のロータデバイスの拡大上面斜視図であり、受入溝に挿入される前のポリマインサートデバイスを示している。
【0041】
【図27】図25のロータデバイスの上面斜視図であり、受入溝にプレス嵌めされた状態でポリマインサートデバイスを示している。
【0042】
【図28】図27のロータデバイスの拡大上面図である。
【0043】
【図29】図28のロータデバイスを断面で示した側面図である。
【0044】
【図30】図29のロータデバイス及びインサートデバイスの拡大部分上面斜視図である。
【0045】
【図31】図25のロータデバイス及びステータデバイスを僅かに分解した拡大部分上面斜視図であり、外縁部分を示している。
【0046】
【図32】位置合わせピンを組み込まれた、図25のバルブアセンブリの代替の一実施形態を断面で示した拡大部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、幾つかの具体的な実施形態を参照にして説明されるが、この説明は、発明を例示したものであり、発明を限定するものと解釈されるべきでない。当業者ならば、好ましい実施形態に対し、添付の特許請求の範囲に定められた発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることが可能である。より良い理解のために、ここに、各種の図面全体を通して、類似の構成要素が類似の参照符号によって示されることに留意せよ。
【0048】
概して図1〜8を参照すると、実質的に金属製又はセラミック製で且つ実質的に平坦なステータ面22を有するステータデバイス21を含む回転せん断バルブアセンブリ20が提供される。ステータデバイスは、対応するステータポート23においてステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルを画定する。バルブアセンブリ20は、更に、実質的に金属製又はセラミック製で且つ実質的に平坦なロータ面26を有するロータデバイス25を含む。本発明にしたがうと、ロータ面及びステータ面のうちの少なくとも一方の上に、トライボロジコーティングが配される。したがって、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の選択的な相対的回転のために、ロータデバイス25が回転軸周りにおいて回転式に装着されたときは、2つ以上のロータ位置の間における相対的回転の最中に、2つの金属面の間に流体密シールが形成される。
【0049】
したがって、一部にはトライボロジコーティングのおかげで、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約50Kサイクル)を維持可能でもある高圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))のためのメタル・オン・メタルの流体密シールがロータ/ステータ界面に形成される。ロータ面及び/又はステータ面のうちの少なくとも一方の上におけるこのようなトライボロジコーティングは、ステータデバイスとロータデバイスとの間の必然的な高圧縮圧力下において流体密で且つ低摩擦の耐久性シールが形成されることを可能にする。
【0050】
説明されるように、少なくともロータ面26及びステータ面22は、ともに、高圧縮力下における耐久性を高めるために、比較的剛性の材料で構成される。その他の構成では、ロータデバイス25及びステータデバイス21の全体が、実質的に剛性の材料で構成される。
【0051】
好ましくは、ロータデバイス及びステータデバイスは、ともに、316ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、又は工具鋼組成などの、金属組成で構成される。しかしながら、高いライフサイクル上限とともに同様な高圧能力を生み出すことを見いだされたその他の適切な剛性材料も、ロータ面26及び/又はステータ面22のうちの少なくとも一方の上に適切なトライボロジコーティングが配される限り適用可能である。このような適切な材料群の1つは、例えば、アルミナ、SSIC、ジルコニアなどの、セラミックである。ただし、ロータ及びステータが金属材料又はセラミック材料のいずれで構成されるにせよ、その材料は、トライボロジ材料をコーティング可能でなければならないことがわかる。
【0052】
ステータ面及び/又はロータ面のうちの少なくとも一方のコーティングは、これらの高圧用途において、ロータ/ステータ界面に流体密の低摩擦シールを形成するために必要であることを見いだされた。上述された所要の理由ゆえに、ロータ面及びステータ面は、実質的に剛性の材料組成を有するので、これらの剛性材料は、当然ながら、比較的非コンプライアブル(非柔軟性)である。
【0053】
ただし、このようなコーティングは、これらの高流体圧高圧縮力条件下における高いライフサイクルのために、十分な構造的完全性も示さなければならない。対向する剛性表面界面間における加圧流体密シールの形成にとって適切で且つ効果的なこのようなコーティングの1つが、トライボロジコーティングである。これらのコーティングは、高い強度(強靭性)及び低い摩擦性を示すとともに、液体クロマトグラフィにおいて使用される大半の化学物質に対して耐性であることを見いだされた。
【0054】
この用途に特に適した具体的なトライボロジコーティングの1つは、バルザース・エリコン(Balzers Oerlikon)によって提供される、BALINIT(登録商標)DLC STAR及びBALINIT(登録商標)DLC、又はイオンボンド(Ionbond)によって提供されるaDLCなどの、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である。ただし、これらの特性を示すその他のトライボロジコーティングも、適用可能である。
【0055】
本発明にしたがうと、ステータ面及びロータ面26は、そのうちの少なくとも一方が、又はそれらの両方が、トライボロジ材料をコーティングされる。具体的な一実施形態では、特定の条件下において、ステータボス27のステータ面22へのトライボロジコーティングの適用が、より強く且つより長持ちする流体密シールをロータ−ステータ界面に提供するのにとりわけ有利であることが見いだされた(図8)。例えば、高流体圧(すなわち、約18Kpsi(およそ1.24×108Pa)を超える)用途の場合は、流体密シールを維持するために、より高い軸圧縮力がロータ面26とステータ面22との間に必要である。バルブがセットされたときに(すなわち、圧力調整ナットが、或る減衰速度が達成されるまで調整されたときに、この速度は、通例、0.3μL/分である。流体圧は、ステータポート/ロータシール溝を通じてバルブに加えられる。バルブは、0.3μL/分の漏出速度において所要の圧力(この事例では15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))を保持したときに、「セット」される)、ばねアセンブリ30(調整ナット31及びばね座金32を含む(図8))によってシールに加えられる高圧は、ステータボス27の周縁部分によってコーティングシールの凹みを引き起こすことがある。したがって、ロータ面26が(例えば、ロータ面単独で又はステータ面とともに)コーティングされている場合は、これらの事例では、コーティングの亀裂、又はバルブの作動に伴う縁部分における離層に起因して、一貫性のない結果及び部品の損傷が観測されている。
【0056】
この凹みは、バルブの作動に伴って、凹み付近においてコーティングをロータシールから「剥離させる」又は離層させると考えられる。このコーティングが除去されるのに伴って、残骸、及び場合によっては未コーティングの金属が、残りのコーティングに引っ掻き傷を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうことが観測されている。ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0057】
ステータ面のみがトライボロジコーティングで被覆されているときは、これらの高圧用途下において、この劣化は観測されない。更に、より低圧(3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))では、ハード・オン・ハードバルブがこのような圧力において動作するゆえに、ステータシール及びロータシールは、ともに、(DLC又はそれ以外を)コーティングされて優れたシールを提供可能であると考えられる。シールに加えられるこれらの圧力は、低いと考えられるので、ロータシールは、凹んでコーティングを損なう事態を生じにくい。
【0058】
次に、代表的なせん断バルブアセンブリ20を図解された図1〜5及び図8を参照する。簡単に言うと、図8に最も良く示されるように、せん断バルブアセンブリは、通例、その中にロータアセンブリ29を回転式に配されるケースアセンブリ33(基本的に、バルブケースとステータリングとからなる)を含む。ロータアセンブリ29は、ドライブシャフト35と、ロータデバイス25をその上に着座させるように構成された末端側のヘッドアセンブリ36とを含む。力の集中と、ロータデバイスがヘッドアセンブリ36上において枢動する能力とを助長するために、ヘッドアセンブリは、その末端側表面38から僅かに直立する隆起した台又はパッド34を含む。この直立シャフトパッド34は、好ましくは円盤状であり、ロータデバイス25の接触表面40に直接接触して着座するように構成された実質的に平坦な着座表面39を有する。ただし、図5、図7、及び図8は、これらの間に、以下で詳しく説明される薄いコンプライアント要素すなわちシム部材44を配された状態で示されていることがわかる。
【0059】
この直立パッド34の直径は、ロータデバイスの接触表面40の直径未満であることが好ましい。しかしながら、この直径は、ロータデバイスの直径の約45%程度以上であることも好ましく、このような小さい直径は、ロータ面とステータ面とが完全に接触するように、ロータデバイスが微小なぐらつきを生じることを可能にする。したがって、以下で更に詳しく説明されるように、ロータデバイス25の接触表面40と、直立シャフトパッド34の着座表面39とは、互いに実質的に同一平面で接触する必要はない。具体的な一実施形態では、直立パッドの直径は、約0.200インチ(およそ5.08mm)から約0.368インチ(およそ9.35mm)の範囲、より好ましくは約0.230インチ(およそ5.84mm)であってよく、一方で、ロータデバイスの直径は、約0.600インチ(およそ15.2mm)から約0.625インチ(およそ15.9mm)の範囲であってよい。
【0060】
代表的な一構成では、戦略的に方向付けられた3本の合わせピン37が、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びている(図5〜7)。これらの合わせピン37は、円盤状のロータデバイス25をドライブシャフト35に対して装着及び位置合わせする働きをするロータデバイス25内の対応する通し穴41に、滑動式に受け入れられる。更に、これらの合わせピン37は、トルク伝達と、それゆえの、回転軸周りにおけるドライブシャフト35の回転に伴うロータデバイス25の回転とを可能にする。
【0061】
ステータデバイス21は、ステータボスのステータ面22をロータデバイス25のロータ面26に隣接及び接触するように位置決めする方式で、ナット43を介してケースアセンブリ33の末端側部分42に装着される。ロータ−ステータ界面においてロータデバイス25とステータデバイス21との間に圧縮力を生じさせるために、ケースアセンブリ33とドライブシャフト35のヘッドアセンブリとの間にばねアセンブリ30が組み込まれる。簡単に言うと、ケースアセンブリ33の基部側部分に、圧力調整ナット31が螺合される。圧力調整ナットの末端がばねスタック(すなわち、スタック状のばね座金32)を圧縮してヘッドアセンブリ36に押し付けるのに伴って、ロータデバイス25は、圧縮によってステータボス27へと押しつけられる。近年は、バルブの再構築という大きな利点を有する、圧力調整アセンブリを取り入れた新しい超高圧流体用途用のマイクロ流体バルブが開発されている。これらのアセンブリは、2010年6月14日に出願され、「REBUILDABLE MICRO-FLUIDIC VALVE ASSEMBLY(再構築可能なマイクロ流体バルブアセンブリ)」と題されたTower et al.への我々の米国特許出願第12/815,265号に開示されており、その全体が参照によって組み込まれる。
【0062】
次に、図3〜7を参照する。本発明にしたがうと、ステータデバイス21及びロータデバイス25は、ともに、金属材料で構成されて、メタル・オン・メタルのステータ−ロータ界面を形成している。もちろん、トライボロジコーティング(好ましくはDLC)が、真の金属間接触を隔てて、より高圧の状況下において流体密シールを形成する働きをしている。上記のように、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える用途の場合は、ステータ面22がコーティングされることが好ましく、一方で、約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約6Kpsi(およそ4.14×107Pa)未満の範囲の用途の場合は、ステータ面22、ロータ面26、又はそれらの面の両方のいずれかをコーティングすることができる。
【0063】
このコーティングされたメタル・オン・メタル構成では、これらのせん断面バルブ部品の剛性及び硬さゆえに、ステータデバイス及びロータデバイスの実質的に平坦な面を互いに実質的に平行に方向付けることが大いに有益である。しかしながら、このような実質的に平行な方向付けは、実現可能である一方で、法外な費用がかかる恐れがあり、したがって、実用的でない。部品公差の積もり重なりゆえに、金属ロータ面26は、実質的に平坦なステータ面に対して平らにすなわち実質的に平行で且つ同一平面に密着しない恐れがある、又はステータは、最初の場所で完全に平坦にならない恐れがある。
【0064】
したがって、本発明の別の態様にしたがうと、ロータアセンブリ29は、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けるためにロータ面26と協働するロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。コンプライアンスアセンブリ45は、例えば、ヘッドアセンブリ36とロータデバイス25(又は図9〜13の実施形態のロータ要素46などの、金属製若しくはセラミック製の、ロータデバイス25の少なくとも一部分)との間に配されて、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けることを可能にする方式で圧縮可能であるコンプライアント要素(例えば、図5〜8の実施形態のシム部材44、又は図9〜13の実施形態のサポートデバイス50)を含む。特定の一実施形態では、上記のように、コンプライアント要素は、隆起した台34の末端側着座表面39とロータアセンブリ29の接触表面40との間に配されたコンプライアントシム部材44によって提供される。したがって、ロータデバイス25に対するヘッドアセンブリ36の圧縮、及びそれゆえの、ステータ面に対するロータ面の圧縮の際に、実質的によりコンプライアント(柔軟)であるシム44は、ロータ面をステータ面に対してより同一平面に且つ平行に着座させる方式で圧縮される。したがって、上記のように、ロータデバイス25の接触表面40と直立シャフトパッド34の着座表面39との間における完全に同一平面での着座の必要性は、ロータ面とステータ面との間における同一平面で且つ密着した接触を保証するためにそれほど必要ではない。
【0065】
シム部材44の直径は、好ましくは、ロータデバイス25の接触表面40の直径未満であるが、ただし、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びる合わせピン37を受け入れてそれらのピン37と協働するように戦略的に位置合わせされた通し穴48を組み入れていなければならない(図5〜7)。ロータデバイス25と同様に、これらの合わせピン37は、シム44をヘッドアセンブリ36に対して装着、固定、及び位置合わせするために、シム44内の対応する通し穴48に滑動式に受け入れられる。
【0066】
図5、図7、及び図8に最も良く示されるように、シムは、多様な形状で構成可能である。例えば、シムは、従来の円形(図8)であってよい、又は効率的で且つ微小な三角形(図5及び図7)であってよい。
【0067】
シム44の材料組成は、ロータデバイスとステータデバイスとの間に加えられる大きな圧縮力に耐えるのに十分な構造的完全性を有することが望ましい。しかしながら、材料は、圧縮の作用時に、ロータ面をステータ面に対して実質的に同一平面で着座させることを可能にするのに十分にコンプライアブル(柔軟)でもなければならない。例えば、圧縮弾性率κは、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲であることが好ましい。特定の一実施形態では、シム44の材料組成は、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲の厚さを有するポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエルテル、又はポリカーボネートで構成可能である。
【0068】
図9〜12に示されるような、別の具体的な一実施形態のコンプライアンスアセンブリ45では、ロータデバイス25は、コンプライアントサポートデバイス50によって受け入れられて支持される金属製又はセラミック製の(挿入可能な)ロータ要素46を含む。この実施形態では、サポートデバイス50は、コンプライアント要素として機能し、したがって、挿入されたロータ要素46の裏側(すなわち基部側の面)に対するコンプライアントな裏当てを提供する。図10〜12は、金属製のロータ要素46が、ロータ溝47を含むとともに実質的に平坦な末端側向きロータ面26を有する円盤状であると好ましいことを、最も良く示している。
【0069】
サポートデバイス50は、その大部分が、図5〜7の実施形態にあるような代表的なロータデバイス25と同様に成形されている。サポートデバイスの末端側の面は、しかしながら、受入ソケット51を画定しており、その周縁の内部側壁52は、ロータ要素46の基部側の面54が受入ソケット51の末端側のソケット面55に接触してそれによって支持されるまで、ロータ要素46の外周のすなわち周縁の壁53をプレス嵌めによって受け入れるように、形成及び寸法決定される。
【0070】
コンプライアントな裏当て材料を提供することによって、少なくとも軸方向において、サポートデバイス50の接触表面は、ロータデバイス25とステータ面22との間に圧縮力が印加される際に幾らかのコンプライアンス(変形)又は圧縮を有するはずである。このような圧縮コンプライアンスは、実質的に平坦なロータ面26が実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行な向きに僅かに位置を移すことを可能にする。要するに、コンプライアント材料は、金属ロータ要素の裏側接触表面との接触ゆえに「移動」又は圧縮し、ポリマがロータ面とステータボスのステータ面との間のずれを吸収することを可能にする。ロータ面26は、すると、ステータボス面22に対して平らに且つ実質的に平行に密着及び合わさることができる。
【0071】
具体的な一実施形態では、サポートデバイス50は、好ましくは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の厚さであり、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有し、高い引張強度及び圧縮強度を示すポリマ材料で構成される。これらその他特性を示すこのようなコンプライアント材料は、微小なコンプライアンスを許容しつつ、ロータ要素46のロータ面26への軸方向における高圧縮力の伝達を更に可能にする。図13及び図14に最も良く示されるように、ロータ要素の周縁において、約1°又は約0.005インチ(およそ0.127mm)の程度のコンプライアンスが実現可能である。
【0072】
使用されるポリマ材料は、様々な用途に応じて可変である。高圧用途だとみなされるなかで低い方の範囲(例えば3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))であるかどうかによって、PEEKTM又はナイロンなどの、より軟質の未充填ポリマが適用可能である。反対に、より高圧の用途(例えば15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))の場合は、ポリマの引張強度及び圧縮強度を大幅に高めるカーボン充填ポリマ材料が必要とされるであろう。
【0073】
このような高強度ポリマサポート材料の1つは、PEEKTMとカーボンファイバとのエンジニアードブレンド(例えばカーボンが20〜30%のPEEKTMブレンド)である。このポリマ材料は、カーボンを充填されており、必須とされる高い引張強度及び圧縮強度を生み出す。したがって、バルブを密着させるために必要とされるばね座金32の高圧ゆえに、このPEEKTMブレンドは、現時点において好ましい材料である。ただし、その他のポリマベースの材料、又はひいては更に高強度のエラストマも使用可能であることがわかる。
【0074】
次に、図10及び図11を見ると、円盤状のロータ要素46は、概してキー係合される。これは、ロータ面26をドライブシャフト35に対して位置合わせするのみならず、サポートデバイス50の回転時においてロータ要素へのトルク伝達を促す働きもする。機械加工を容易にするために、ロータ要素46は、「D字」型であり、雌の受入ソケット51は、平らな部分の隅にエンドミルの半径ぶんの逃げをつけた変形「D字」型である。これら2つのパーツは、アーバープレスを使用して組み立てられる。アーバープレスは、2つのパーツをプレス嵌め(0.002インチ(およそ0.0508mm)のプレス嵌め)して合体させる。もちろん、外周縁は、金属シールインサートがポリマ裏当てにプレス嵌めされることを可能にする任意の形状であってよいことがわかる。
【0075】
次に、図16〜24を参照すると、ロータアセンブリ29は、対向するロータ面とステータ面とがステータボス27上で互いに密着する及び同一平面で合わさることを可能にする向きにロータ面を「搖動」及び/又は「枢動」させることを可能にする代替の一実施形態のロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。
【0076】
この構成では、簡単に説明すると、(図16及び図20〜23の実施形態において提供されるのと同様な)円盤状で金属製のロータ要素60が、ボールベアリング61上に枢動式に着座され、該ボールベアリング61は、更に、ドライブシャフト35のヘッドアセンブリ36の末端上に着座される。したがって、ドライブシャフト35に圧縮力が加えられるのに伴って、その力は、ボールベアリング61を介してロータ要素60に伝達される。ロータ/ステータ界面において、隣り合う対向する接触間の圧力が増大されると、ロータ要素60は、ロータ面をステータ面に対して実質的に平行に方向付けしなおす及び位置合わせすることを目指して微小な搖動又は枢動を生じる。
【0077】
枢動するロータ要素60の支持を容易にするために、ドライブリング62が提供される。該リングは、やはり、それが取って代わる従来のロータデバイスと同様に成形される。図16及び図17は、このドライブリングが、軸方向に伸びる受入孔63を含んでいること、及びその受入孔63に挿入されるロータ要素60をその中で軸方向に「浮遊」可能にすると同時にロータ要素60を回転軸周りにおける回転のためにドライブリング62に対して回転式に固定する方式で軸方向に受け入れるように受入孔63が形成されていることを、最も良く示している。
【0078】
したがって、受入孔63を画定する内部側壁66の内径は、ロータ要素60の微小な枢動を許容するために、ロータ要素60の外周壁67の直径を僅かに上回る。明瞭さを期するために、例えば、シールインサートの外径と、ドライブリングの内径との間は、約0.020インチ(およそ0.508mm)(各側0.010インチ(およそ0.254mm))である。これは、シールインサートがドライブリング内において各側0.010インチ(およそ0.254mm)ぶん側方に行き来することを可能にする。
【0079】
ボールベアリング61上における着座を支持するために、ロータ要素60の基部側向き表面は、ボールベアリングの一部分を受け入れるように形成、サイズ決定、及び寸法決定されたドーム状のボールソケット68を含む。この構成は、更に、ボールベアリング周りにおける且つドライブリング62に相対的な枢動を支持する役割も担っている。
【0080】
ドライブシャフト軸周りにおけるドライブリング62の回転に伴って、軸方向に浮遊するロータ要素60にトルクを伝達するために、ドライブリング62の内部側壁66から半径方向に孔63の中へ複数のガイドピン70が伸びている。これらの半径方向ガイドピン70は、ロータ要素の外周壁67に沿って軸方向に伸びている対応する細長い受入スロット71に滑動式に軸方向に受け入れられるように形成される。したがって、ドライブリングの回転に伴って、ガイドピン70は、この回転運動をロータ要素に直接伝達する。
【0081】
精密で且つ正確な、ロータ要素の回転変位及び回転運動のためには、ガイドピン70の直径と、対応する受入スロットの幅との間の許容差は、したがって、比較的小さいことが望ましい。具体的な一実施形態では、例えば、ガイドピンの直径と、スロットの幅との間の許容差は、およそ0.002インチ(およそ0.0508mm)(各側0.001インチ(およそ0.0254mm))である。例えば、もし、ガイドピンの直径が約0.029〜0.031インチ(およそ0.737〜0.787mm)であるように選択されたならば、ロータ要素内のガイドスロット71の幅は、約0.031〜0.033インチ(およそ0.787〜0.838mm)の範囲であるように選択されることが望ましい。このような比較的小さな許容差は、駆動シャフト軸周りにおけるドライブリング62の回転が実質的に直ちにロータ要素60に直接伝達されることを可能にする。したがって、ステータポート23に対するロータシール溝47の相対的位置は、正確に決定することができる。
【0082】
半径方向に相隔てられたこれらのガイドスロット71は、しかしながら、ガイドピン70の半径方向の長さを僅かに上回る深さぶん、ロータ要素の外周壁67内へ半径方向に伸びてもいる。この許容差は、上述された、ドライブリングの受入孔63内におけるロータデバイスの(各側約0.010インチ(およそ0.254mm)程度の)微小な側方運動を可能にするために、ガイドピン70が、対応するガイドスロットに対して僅かに出入りすることを許容する。したがって、ロータ要素60は、ボールベアリング周りにおける微小な枢動又は転がりに伴って、ガイドピン70に沿って滑動もする。ガイドピン70の、対応する受入スロット71に軸方向に沿ったこの相対的な軸方向運動(及び非常に微小な相対的な半径方向運動)は、受入孔内における側方への微小な運動と相まって、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に僅かに方向付けしなおすことを可能にする。したがって、図18〜21の実施形態の、ポリマを裏当てされたサポートデバイス50と異なり、この枢動式の実施形態によるコンプライアンスは、ロータ面がステータボス27のステータ面22に対して実質的に平行に且つ同一平面に方向付けしなおされるまでボールベアリング周りにおいて「運動」及び「枢動」する(すなわち転がる)ロータ要素シールインサートの能力によって提供される。
【0083】
これらのガイドピン70は、(図解されているような)ねじを有していても良い、又は、ドライブリング62の形成の際に成形若しくは圧延されてもよい。更に、図では、受入孔63の内部側壁66において半径方向に相隔てられた5本のガイドピン70が示されているが、コンプライアンスアセンブリ45は、(コンプライアンスがより限られるが)1本のガイドピン及びそれに対応するスロットのみでも機能することができる。しかしながら、より高いコンプライアンスを与えるためには、最低でも3本の、半径方向に相隔てられたガイドピン及びそれらに対応するガイドスロットが望ましいとされる。
【0084】
ヘッドアセンブリ36の末端側の面によって、やはり同様にボールベアリング61に対して着座するように形成された対向するドーム状ソケット72も画定される。好ましくは、この対向するドーム状ソケット72は、ドライブシャフト35の末端における対応する通路75にプレス嵌めされる挿入可能な合わせピン73によって提供される。
【0085】
次に、図18及び図19を参照すると、ばねアセンブリ30を介して、圧縮力がドライブシャフト35をステータデバイス21に向かって軸方向に押しつけるのに伴って、合わせピン73は、ボールベアリング61を圧縮する。すると、ボールベアリング61は、この軸方向の圧縮力をロータ要素60に伝達し、ロータ−ステータ界面において流体密シールを形成する。
【0086】
ボールベアリングに加えられる高い圧縮力に適応するためには、ボールベアリングの直径は、ロータ要素60の直径の少なくとも2分の1(好ましくは3分の2)であると望ましいことがわかる。これは、より小さい直径のボールベアリングの場合の、より集中的な力分布と比べて、ロータ要素のドーム状ソケット68において、より広範に圧縮力が分布されることを保証する。
【0087】
上述されたハード・オン・ハード回転バルブ(例えばメタル・オン・メタルバルブ又はセラミック・オン・メタルバルブ)に対し、超高圧(UHP)用途(例えば20kpsi(およそ1.38×108Pa)以上)において、DLCコーティングに代表されるトライボロジコーティングのテストを多数回にわたって試行することを通じて、特定の接触領域において、時期尚早なバルブ故障を促すトライボロジコーティングの摩耗の増加が観察された。一例では、図25〜31に最も良く見られるように、トライボロジコーティングの過剰な摩耗が観察された主要な領域は、ステータボス27の外周部分80(とりわけ外周縁81)である。この外側部分は、バルブの切り替え時に、極めて高い応力及びロータシールの最高速度に曝される。
【0088】
その結果、トライボロジコーティングの亀裂、剥離、又は離層が観察され、すると、除去された残骸、及び場合によっては未コーティングの金属は、残りのコーティングに引っ掻き傷を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうと考えられる。再度述べるが、ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0089】
本発明の別の態様にしたがうと、図25〜31に最も良く示されるように、ステータデバイス21及びロータデバイス25を含む、全体として20で指し示される回転せん断バルブアセンブリが開発されている。ステータデバイス21が、実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面22と、対応するステータポートにおいてステータ面22と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネル82とを画定する一方で、ロータデバイス25は、1本以上のロータチャネル47を画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面26を画定する。ステータ面22及びロータ面26のうちの一方(例えば、図25及び図31の特定の一実施形態ではステータ面22)は、外周縁81において終結し、ロータ面26及びステータ面22のうちの他方は、ロータデバイス25が回転軸周りにおいてステータデバイス21に回転式に装着されたときに当該ステータ面22及びロータ面26のうちの一方の外周縁81を半径方向に超えて広がる。このような回転式の装着は、2つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面26とステータ面22との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で協働する。本発明にしたがうと、バルブアセンブリ20は、全体として83で指し示されるポリマインサートデバイスを含み、該インサートデバイスは、2つ以上のロータ位置間における相対的回転の最中にステータ面22及びロータ面26のうちの一方(例えば、図25及び図31ではステータ面22)の外周縁81がインサートデバイス83に接触するように、ロータ面26及びステータ面22のうちの他方(例えば、図26及び図27ではロータ面26)に画定された受入溝85にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定される。インサートデバイス83は、具体的には、外周縁81(例えば、図31ではステータ面22)の径未満であるインサート内径と、外周縁の径を上回るインサート外径とを有する露出接触面86を画定する。
【0090】
したがって、周縁81において、ロータ面26とステータ面22との間のハード・オン・ハード(例えば、メタル・オン・メタル又はメタル・オン・セラミック)の接触は、原則的に、ポリマインサートデバイス83と硬質の周縁との間の接触に取って代わられる。この外周部分80における、金属製及び/又はセラミック製の周縁81と、ポリマインサートデバイスの露出接触面86との間の回転式の接触は、周縁81との流体密接触を可能にするとともに、そこで形成される高応力を実質的に吸収するための十分な変形を提供する。この外周部分80又は具体的には外周縁81におけるトライボロジコーティングは、こうして大幅に低い応力に曝されることになるので、トライボロジコーティングの摩耗、引っ掻き、及び/又は欠け落ちもまた、大幅に低減される。
【0091】
ステータ面22とインサートデバイスの露出接触面86との間の回転式の接触ゆえに、インサートデバイス83の重要な材料特性は、1つには、選択されたポリマが、UHP用途下のベアリング用途において優れた振る舞いをすることである。更に、選択されたインサートデバイスのポリマ材料は、高い圧縮強度(約1193kpsi(およそ8.23×109Pa)の弾性率と、約68.4kpsi(およそ4.71×108Pa)の圧縮率)を示されなければならない一方で、それは、ステータ面及び/又はロータ面のセラミック材料又は金属材料の圧縮強度を大幅に下回っていなければならない。これは、もちろん、これらの領域においてポリマインサートデバイス83が局所的に高応力を吸収することを可能にする。このような適切なポリマ材料の例として、天然ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、充填PAEK(例えば、PEEK(登録商標))、又はVESPEL(登録商標)などのポリイミド材料が挙げられる。
【0092】
簡潔に言うと、本発明のこの態様は、説明を簡単にするために、外周縁81がステータ面22又はロータ面26のうちのいずれか一方(例えば、図25及び図31ではステータ面22)に沿うように方向付けられ、ロータ面26又はステータ面22のうちの他方がその対向するインサートデバイス83を支持しているものとして例示及び説明をなされているが、これ以降の説明は、全て、ロータ面26にインサートデバイス83を配置することに関するものである。更に、図31は、例示を簡単にするために、ステータデバイス21及びロータデバイス25を互いから微小に位置をずらして示していることがわかる。バルブアセンブリ20の動作中、ロータ面26は、ステータ面22に回転式に接触すると考えられる。
【0093】
上記のように、この特定の一実施形態では、バルブアセンブリ20のステータデバイス21は、下方へ直立したステータボス27を組み入れている。このボスは、一部には、内向きに先細る環状の外周側壁87によって画定されて、円錐状の傾斜面を形成している。この実施形態では、この円錐状の側壁87は、ステータ面22と交わって、外周縁81を形成している。
【0094】
外周部分80と対向して接触する関係に位置決めされるのは、ポリマインサートデバイス83である。このインサートデバイスは、実質的に平坦な露出接触面86を有するリング状(図26〜29)であることが好ましく、実質的に平坦なロータ面26に画定された実質的に同様に環状の凹所すなわち受入溝85内にプレス嵌めによって配されるように構成される。この受入溝は、バルブ動作中に、インサートデバイスと協働して該インサートをロータデバイス25に固定して保持するように、及びステータ面22に対する圧縮接触の際に、ポリマインサートデバイス83の露出接触面86を実質的に平坦なロータ面26の面と実質的に同一平面に位置決めするように、サイズ決定及び寸法決定される。
【0095】
インサートデバイス83の接触面86に対するステータ周縁81の接触及び位置合わせを保証するために、環状溝85の溝内径縁89は、予想されるインサートデバイスとステータ外周縁81との間の接触線から半径方向に十分に内側に隔てられている。溝内径縁の半径方向位置は、しかしながら、上記の動作条件(すなわち、20kpsi(およそ1.38×108Pa)以上などの超高圧ハード・オン・ハード用途)下におけるステータ面22とロータ面との間の流体密シールの形成を可能にするために、ロータチャネル47の外縁88から十分に隔てられていなければならない。要するに、ロータチャネル外縁88と溝内径縁89との間の最小外側半径方向奥行きL1は、流体密シールの形成に十分でなければならない。図30及び図31に最も良く示されるような具体的な一実施形態では、ロータチャネル外縁88と溝内径縁89との間の最小外側半径方向奥行きL1は、少なくとも、ロータチャネル47の横断面寸法の幅WCと同程度の幅であることが望ましい。
【0096】
その一方で、溝内径縁89と、ステータ外周縁81との接触領域との間の最小内側半径方向奥行きL2は、ロータチャネル幅WCの少なくとも約2倍であることがわかる。このような最小内側半径方向奥行きL2は、ステータ外周縁81がインサートデバイス83の露出接触面86と回転式にベアリング接触することを保証する。
【0097】
同様に、溝外径縁90もやはり、外周部分80との間の、具体的にはステータ周縁81との間の接触を保証するために、やはりそこから半径方向外向きに十分に隔たれている。図31に最も良く示されるように、ステータ外周縁81との接触領域と、溝外径縁90との間の最小外側半径方向奥行きL3は、少なくとも、傾斜面の斜辺(すなわち、ステータボス側壁87)と同程度の長さであることが好ましい。
【0098】
上述されたように、ポリマインサートデバイス83は、プレス嵌めによって受け入れられるように受入溝85と協働する。したがって、インサートデバイス83の外殻と、受入溝85を画定する内壁とは、所定の許容差内において同様に成形、形成、及び寸法決定される。内径壁91周りにおけるインサートのプレス嵌め特性は、したがって、バルブアセンブリの動作中に受入溝85内にインサートを固定して保持するのに十分であると同時に、インサートデバイス83の構造的完全性を脅かすほどぴったりとは合わさっていないことが望ましい。特定の一実施形態では、例えば、受入溝85の内径壁91の直径は、インサートデバイス83の内壁92の直径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る程度であり、これは、溝内径壁にプレス嵌めされたときに、UHP用途におけるバルブ動作中にポリマインサートを適所に固定するのに適切である。
【0099】
比較すると、しかしながら、ポリマインサートデバイス83及び環状受入溝85は、溝外径が実際はインサートデバイスの外径を僅かに上回るように機械加工される。この許容差は、負荷を加えられたときにポリマインサートデバイス83が半径方向に拡張することを可能にする。例えば、受入溝85の外径壁93の直径は、インサートデバイスの外壁95の直径を約0.005インチ(およそ0.127mm)から約0.020インチ(およそ0.508mm)上回る範囲であり、更に好ましくは、約0.010インチ(およそ0.254mm)上回る範囲である。
【0100】
したがって、今述べた具体的な一実施形態では、インサート内壁92と溝内径壁91との界面は、プレス嵌め方式で協働し、インサート外壁95と溝外径壁93との界面は、拡張方式で協働する。しかしながら、インサート外壁95と溝外径壁93との界面が、上述のプレス嵌め方式で協働し、インサート内壁92と溝内径壁91との界面が、上述の拡張方式で協働することもある。更に別の構成では、内界面及び外界面の両方を、プレス嵌め方式で協働するように構成することができる。
【0101】
ポリマインサートデバイスの最小深さは、約0.050インチ(およそ1.27mm)の範囲から約0.140インチ(およそ3.55mm)の範囲の最大深さまでであるように選択され、より好ましくは、約0.050インチ(およそ1.27mm)である。ポリマインサートのこの深さは、以下で説明されるように、少なくとも初期の段階では、ロータ面よりも僅かに上方に突き出すのに十分であることが望ましい。
【0102】
しかしながら、製造及び組み立ての際に、インサートデバイス83の初期高さは、インサートデバイス83が受入溝85に完全に受け入れ及び挿入されたときに露出接触面86が実質的に平坦なロータ面26の上方に僅かに隆起しているように、受入溝85の高さよりも僅かに高いように選択される。ひとたびインサートデバイス83が、溝内径壁91周りにそしてロータデバイス25の受入溝85内にプレス嵌めされたら、非常に艶やかで、滑らかで、且つ実質的に平坦なロータ面表面を得るために、ロータシールに対してラッピング及びポリシングの工程が実施される。この手順は、ロータ面26とポリマ接触面86とが実質的に平坦で且つ互いに実質的に同一平面であることを保証する。このラッピング/ポリシング手順後、ロータシールは洗浄され、バルブアセンブリに組み付ける用意が整う。
【0103】
例として、特定の一実施形態において、上述のパラメータを適用すると、インサートデバイスの内径は、約0.128インチ(およそ3.25mm)から約0.129インチ(およそ3.28mm)であり、インサートデバイスの外径は、約0.225インチ(およそ5.72mm)である。比較すると、受入溝85の内径は、約0.130インチ(およそ3.30mm)であり、受入溝85の外径は、約0.235インチ(およそ5.97mm)である。
【0104】
図32に最も良くみられるように、バルブアセンブリ20は、ロータデバイス25とステータデバイス21との間の及びヘッドアセンブリ36に対する精密な位置合わせを促す位置合わせピン96を組み入れることができる。この位置合わせピン96は、シャフトパッド34から軸方向に直立しており、ロータデバイス25を軸方向に貫通している位置合わせ孔97に滑動式に受け入れられるように形成される。ロータ位置合わせ孔97と軸方向に位置合わせされるのは、ステータ位置合わせスロット98である。
【0105】
したがって、位置合わせピン96周りにおいてロータデバイス25とステータデバイス21とを組み立てる際に、ロータ面26とステータ面22とが容易に位置合わせされ、ステータ外周縁81が露出接触面86に正しく位置合わせされる。
【0106】
更に、本発明は、それを実施する好ましい形態及びそれに対する変更との関連において説明されているが、当業者にならば、以下の特許請求の範囲内でその他の多くの変更が可能であることが理解される。したがって、発明の範囲は、いかなる形でも上記の説明によって制限されることを意図しておらず、むしろ、専ら以下の特許請求の範囲を参照することによって決定される。例えば、本発明は、ハード・オン・ハードUHP用途にとりわけ適している一方で、バルブ寿命を延ばす手段として、より低圧のその他のハード・オン・ハード用途にも適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転せん断バルブアセンブリであって、
実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスと、
1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスと、
2つ以上のロータ位置の間においてロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で前記ロータデバイスが回転軸周りにおいて前記ステータデバイスに回転式に装着されたときに、前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの一方が外周縁において終結するとともに、前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの他方が前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの前記一方の前記外周縁を半径方向に超えて広がり、
前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスであって、前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの前記一方の前記外周縁が前記2つ以上のロータ位置間における前記相対的回転の最中に前記インサート露出面に接触するように、前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの前記他方に画定されたインサート受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定されたポリマインサートデバイスと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である、バルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入溝及び前記インサートデバイスは、前記実質的に平坦なインサート露出面を前記実質的に平坦なロータ面及び前記実質的に平坦なステータ面のうちの前記他方に実質的に同一平面に位置決めするように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート受入溝の溝内径は、前記インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲であり、
前記インサート受入溝の溝外径は、前記インサートデバイスのインサート外径を約0.005インチ(およそ0.127mm)から約0.020インチ(およそ0.508mm)上回る範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、天然ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、充填PAEK、及びポリイミド材料のうちの1つで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータ面及び前記ロータ面の各々は、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成され、
前記バルブアセンブリは、更に、
前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジコーティングを備えるバルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面の上に配され、
前記受入溝は、前記実質的に平坦なロータ面に画定される、バルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式で前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【請求項11】
回転せん断バルブアセンブリであって、
外周縁において終結する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面を画定し、更に、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルを画定するステータボスデバイスと、
1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスであって、前記ロータ面は、2つ以上のロータ位置の間においてロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で前記ロータデバイスが回転軸周りにおいて前記ステータデバイスに回転式に装着されたときに、前記ステータ面の前記外周縁を半径方向に超えて広がる、ロータデバイスと、
前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジコーティングと、
前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスであって、前記2つ以上のロータ位置間における前記相対的回転の最中に前記ステータ面の前記外周縁が前記インサート露出面に接触するように、前記ロータ面に画定された受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定されたポリマインサートデバイスと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である、バルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入溝及び前記インサートデバイスは、前記実質的に平坦なインサート露出面を前記実質的に平坦なロータ面に実質的に同一平面に位置決めするように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート受入溝の溝内径は、前記インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項15】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、天然PAEK、充填PAEK、及びポリイミド材料のうちの1つで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項17】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータ面及び前記ロータ面の各々は、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成される、バルブアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面の上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項20】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式で前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【請求項1】
回転せん断バルブアセンブリであって、
実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスと、
1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスと、
2つ以上のロータ位置の間においてロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で前記ロータデバイスが回転軸周りにおいて前記ステータデバイスに回転式に装着されたときに、前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの一方が外周縁において終結するとともに、前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの他方が前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの前記一方の前記外周縁を半径方向に超えて広がり、
前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスであって、前記ステータ面及び前記ロータ面のうちの前記一方の前記外周縁が前記2つ以上のロータ位置間における前記相対的回転の最中に前記インサート露出面に接触するように、前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの前記他方に画定されたインサート受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定されたポリマインサートデバイスと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である、バルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入溝及び前記インサートデバイスは、前記実質的に平坦なインサート露出面を前記実質的に平坦なロータ面及び前記実質的に平坦なステータ面のうちの前記他方に実質的に同一平面に位置決めするように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート受入溝の溝内径は、前記インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲であり、
前記インサート受入溝の溝外径は、前記インサートデバイスのインサート外径を約0.005インチ(およそ0.127mm)から約0.020インチ(およそ0.508mm)上回る範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、天然ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、充填PAEK、及びポリイミド材料のうちの1つで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータ面及び前記ロータ面の各々は、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成され、
前記バルブアセンブリは、更に、
前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジコーティングを備えるバルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面の上に配され、
前記受入溝は、前記実質的に平坦なロータ面に画定される、バルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式で前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【請求項11】
回転せん断バルブアセンブリであって、
外周縁において終結する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なステータ面を画定し、更に、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本以上のステータチャネルを画定するステータボスデバイスと、
1本以上のロータチャネルを画定する実質的に硬質で且つ実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスであって、前記ロータ面は、2つ以上のロータ位置の間においてロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にする方式で前記ロータデバイスが回転軸周りにおいて前記ステータデバイスに回転式に装着されたときに、前記ステータ面の前記外周縁を半径方向に超えて広がる、ロータデバイスと、
前記ロータ面及び前記ステータ面のうちの少なくとも一方の上に配されたトライボロジコーティングと、
前記外周縁の径未満であるインサート内径と、前記外周縁を上回るインサート外径とを有する露出接触面を画定するポリマインサートデバイスであって、前記2つ以上のロータ位置間における前記相対的回転の最中に前記ステータ面の前記外周縁が前記インサート露出面に接触するように、前記ロータ面に画定された受入溝にプレス嵌めによって挿入されるように形成及び寸法決定されたポリマインサートデバイスと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート露出面は、ドーナツ状であり、実質的に平坦である、バルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入溝及び前記インサートデバイスは、前記実質的に平坦なインサート露出面を前記実質的に平坦なロータ面に実質的に同一平面に位置決めするように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載のバルブアセンブリであって、
前記インサート受入溝の溝内径は、前記インサートデバイスのインサート内径を約0.001インチ(およそ0.0254mm)から約0.002インチ(およそ0.0508mm)上回る範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項15】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、高圧縮強度材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、
前記ポリマインサートデバイスは、天然PAEK、充填PAEK、及びポリイミド材料のうちの1つで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項17】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータ面及び前記ロータ面の各々は、金属材料又はセラミック材料のうちの1つで実質的に構成される、バルブアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクカーボンコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面の上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項20】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付ける方式で前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−104563(P2013−104563A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−250375(P2012−250375)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(512009528)アイデックス・ヘルス・アンド・サイエンス・リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】IDEX HEALTH & SCIENCE LLC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250375(P2012−250375)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(512009528)アイデックス・ヘルス・アンド・サイエンス・リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】IDEX HEALTH & SCIENCE LLC
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]