説明

ポリマーポリオールの製造方法

【課題】従来の製造方法は、ポリマーの体積均粒子径が1μm以上のポリマーポリオールしか得られない。その結果、そのポリマーポリオールを用いたウレタン樹脂(例えば、ウレタンフォーム)の硬さ、切断伸度及び引裂き強度が不十分となる。
【解決手段】ポリマーの粒子がポリオール(C)中に分散されてなるポリマーポリオールの製造方法であって、熱可塑性ポリマー(A)を、分散剤(E)の存在下、及び必要によりさらに可塑剤(F)の存在下、回転式分散混合装置及び高圧式分散混合装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置(B)を用いて、80℃〜200℃で、ポリオール(C)中に分散させる工程(I)を含んでなるポリマーポリオールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーポリオールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオール中にポリマーを分散させる方法させる方法としては、単一ミキサー内で、予備成形されたポリマー樹脂およびポリオールを、前記ポリマー樹脂が前記ポリオールに分散している初期分散体を形成するのに充分な熱および充分なせん断力の条件下で接触させる工程を含む方法(例えば特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−510855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、その方法により得られるポリマーポリオールにおいて、ポリマーの体積均粒子径が1μm以上のものしか得られない。その結果、そのポリマーポリオールを用いたウレタン樹脂(例えば、ウレタンフォーム)の硬さ、切断伸度及び引裂き強度が不十分となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者ら、上記の問題点を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリマーの粒子がポリオール(C)中に分散されてなるポリマーポリオールの製造方法であって、熱可塑性ポリマー(A)を、分散剤(E)の存在下、回転式分散混合装置及び高圧式分散混合装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置(B)を用いて、80℃〜200℃で、ポリオール(C)中に分散させる工程(I)を含んでなることを要旨とする。
また本発明は、ポリマーの粒子がポリオール(C)中に分散されてなるポリマーポリオールの製造方法であって、熱可塑性ポリマー(A)を、分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下、回転式分散混合装置及び高圧式分散混合装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置(B)を用いて、80℃〜200℃で、ポリオール(C)中に分散させる工程(I)を含んでなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により、ポリマーの体積均粒子径が1μm未満のポリマーポリオールが得られる。そして、本発明のポリマーポリオールを用いたウレタン樹脂(例えば、ウレタンフォーム)は、ウレタン樹脂の硬さ、切断伸度及び引裂き強度が十分となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の製造方法は、熱可塑性ポリマー(A)を、分散混合装置(B)を用いてポリオール(C)中に分散させる。分散装置(B)としては、回転式分散混合装置(B1)及び高圧式分散混合装置(B2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置である。
【0008】
(B1)の主たる分散原理は、駆動部の回転等によって粒子に外部から剪断力を与えて粉砕し、分散させるという原理である。また(B1)は、常圧又は加圧下で稼働させることができる。駆動部の駆動形態としては、回転が好ましい。
【0009】
回転式分散混合装置(B1)としては、TKホモミキサー(プライミクス(株)製)、クレアミックス(エムテクニック(株)製)、フィルミックス(プライミクス(株)製)、ウルトラターラックス(IKA(株)製)、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー(日本精機(株)製)等が例示される。
【0010】
高圧式分散混合装置(B2)としては、分散体を高圧に保持しつつ絞り部を高速で通過せしめることにより、そのときに発生する剪断力やキャビテーションによる衝撃力で分散体に存在する粒子をさらに微分散させる機構のものである。
また、(B2)としては、上記機構の他、該機構において絞り部を通過せしめた溶液をダイヤモンド等の基板上に衝突させる機構を更に付加した機構や、水性分散体を対向する二つの絞り部より噴出せしめて衝突させる機構等を有するものも該当する。
【0011】
高圧式分散混合装置(B2)としては、超高圧ホモジナイザー(IKA社製)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業(株)製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)及びガウリンホモジナイザー(ガウリン社製)等が例示される。
【0012】
分散混合装置(B)としては、これらの(B1)及び(B2)からなる群より選ばれる2種類以上の装置を併用してもかまわない。
【0013】
熱可塑性ポリマー(A)は、ポリビニル樹脂(A―1)、ポリエステル樹脂(A−2)及びポリアミド樹脂(A−3)等が含まれる。
【0014】
ポリビニル樹脂(A−1)には、以下のビニルモノマー(m1)〜(m7)を公知の重合法(ラジカル重合法、チーグラー触媒重合法及びメタロセン触媒重合法等)により(共)重合させて得られる樹脂が挙げられる。
【0015】
(m1)脂肪族炭化水素ビニルモノマー
炭素数2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のアルケン(エチレン、プロピレン及び1−オクテン等)及び炭素数4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜5)のアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。
(m2)芳香族ビニルモノマー
スチレン及びその誘導体、例えば、スチレン(以下、Stと略す)、o−、m−又はp−アルキル(炭素数1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(炭素数1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)及びハロゲン化スチレン(クロロスチレン等 )。
【0016】
(m3)(メタ)アクリルモノマー
アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート{メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等}、モノ−又はジ−アルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート{ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等}、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミド等。
なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下同様である。また、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミドも同様にそれぞれ、メタクリロニトリル及び/又はアクリロニトリル(以下、アクリロニトリルをACNと略す)、並びにメタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを意味し、以下同様である。
【0017】
(m4)その他の不飽和モノ−又はジ−カルボン酸
炭素数2〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15)の不飽和モノ−又はジ−カルボン酸等[クロトン酸、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等]及びその誘導体[モノ−又はジ−アルキル(炭素数1〜20)エステル、酸無水物(無水マレイン酸等)及びイミド(マレイン酸イミド等)等]。
(m5)不飽和アルコールのカルボン酸エステル
ビニルアルコール及び(メタ)アリルアルコール等のカルボン酸(炭素数2〜4)エステル(酢酸ビニル等)。
なお、(メタ)アリルは、メタリル及び/又はアリルを意味し、以下同様である。
(m6)不飽和アルコールのアルキルエーテル
ビニルアルコール及び(メタ)アリルアルコール等のアルキル(炭素数1〜20)エーテル等。
(m7)ハロゲン含有ビニルモノマー
塩化ビニル、塩化ビニリデン及びクロロプレン等。
【0018】
(A−1)としては、ポリオレフィン樹脂(A11)、ポリスチレン樹脂(A12)、アクリル樹脂(A13)及びフッ素樹脂(A14)等が含まれる。
【0019】
(A11)としては、アルケンの1種以上の(共)重合体及びアルケンの1種以上と(m2)〜(m7)の1種以上(重量比:5/95〜95/5、好ましくは50/50〜90/10)との共重合体(A111);並びにアルカジエンの1種以上の(共)重合体及びアルカジエンと(m2)〜(m7)の1種以上との共重合体(A112)等が含まれる。
【0020】
(A111)としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン及び/又はエチレンと他のアルケンの1種以上との共重合体(ランダム又はブロック)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)並びにエチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)等が挙げられる。
(A111)のうち、ポリマーの粒子径の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン及びエチレン/プロピレン共重合体が好ましい。
(A112)としては、ポリブタジエンゴム(BR)、St/ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ACN/ブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)等が挙げられ、ポリマーの粒子径の観点から、SBRが好ましい。
【0021】
(A12)としては、(m2)の1種以上の(共)重合体及び(m2)の1種以上と(m3)〜(m7)の1種以上(重量比:5/95〜95/5、好ましくは50/50〜90/10)との共重合体等が含まれる。
【0022】
(A12)としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエン及び(m2)とメチルメタクリレート、ACN及びブタジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体[St/ACN共重合体(AS樹脂)、ACN/ブタジエン/St共重合体(ABS樹脂)、St/メタクリル酸メチル/ACN共重合体及びメタクリル酸メチル/ブタジエン/St共重合体(MBS樹脂)等]等が挙げられる。
【0023】
(A13)としては、(m3)の1種以上の(共)重合体(ポリメチルメタクリレート及びポリブチルアクリレート等)及び(m3)の1種以上と(m4)〜(m7)の1種以上(重量比:5/95〜95/5、好ましくは50/50〜90/10)との共重合体等が含まれる。
【0024】
フッ素系樹脂(A14)としては、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの二元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとの三元共重合体及び(m1)とテトラフルオロエチレンの交互共重合体等が挙げられる。
【0025】
ポリエステル樹脂(A−2)としては、エチレングリコール、ブチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノール等のジオールとテレフタル酸及びアジピン酸等のジカルボン酸の重縮合によるポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリブチレンアジペート及びポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル並びにε−カプロラクトン等の開環重合によるポリ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0026】
ポリアミド樹脂(A−3)としては、ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ω−ラウロラクタムの開環重合又は12−アミノドデカン酸の縮重合によるナイロン12、及び前記ナイロンのうち2種類以上の成分を含有する共重合ナイロン等が挙げられる。
【0027】
これらポリマーのうち、ウレタンフォームの物性への影響が少ない観点から、(A1)が好ましい。
【0028】
(A)の140℃における粘度は、ポリマーの粒子径の観点から、2,000,000mPa・s以下が好ましい。
【0029】
ポリオール(C)は、ポリマーポリオールの製造に用いられる公知のポリオール(特開2007−191682号公報及び特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724A1)等)が使用できる。例えば、少なくとも2個(ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2〜8個)の活性水素含有化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸及びリン酸等)にアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加した構造の化合物(c1)及びこれらの混合物が挙げられる。ポリウレタン製造時の生産性の観点から、これらのうちで得られるポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、好ましいものは、多価アルコールにAOが付加された構造の化合物である。
【0030】
多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール{脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール);及び脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール}、炭素数3〜20の3価アルコール{脂肪族トリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びヘキサントリオール等のアルカントリオール};炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコール{脂肪族ポリオール(例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール及びそれら若しくはアルカントリオールの分子内若しくは分子間脱水物;並びにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース及びメチルグルコシド等の糖類及びその誘導体)}が挙げられる。
【0031】
多価(2〜8価又はそれ以上)フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);例えば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
【0032】
アミンとしては、アルカノールアミン、ポリアミン及びモノアミン等が含まれる。
アルカノールアミンとしては、炭素数2〜20のモノ−、ジ−及びトリ−アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びイソプロパノールアミン)等が挙げられる。
ポリアミン(1級及び2級アミノ基の数:2〜8個又はそれ以上)としては、脂肪族アミンとして、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン、トリアルキレンテトラミン、テトラアルキレンペンタミン、ペンタアルキレンヘキサミン及びヘキサアルキレンヘプタミン等)等が挙げられる。
また、ポリアミンとしては、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式ポリアミン(例えば、ピペラジン及びアミノエチルピペラジン)等が挙げられる。
モノアミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミン及びオクチルアミン);炭素数6〜20の芳香族モノアミン(例えば、アニリン及びトルイジン);炭素数4〜20の脂環式モノアミン(例えば、シクロヘキシルアミン);炭素数4〜20の複素環式モノアミン(例えば、ピペリジン)等が挙げられる。
【0033】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸及びアゼライン酸等)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸及びイソフタル酸等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0034】
これらの活性水素含有化合物の中で、得られるポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、多価アルコールが好ましい。
【0035】
活性水素含有化合物に付加させるAOとしては、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、炭素数2〜8のものが好ましく、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド(以下、BOと略す)、スチレンオキサイド(以下、SOと略す)等及びこれらの2種以上の併用(ブロック及び/又はランダム付加)が挙げられる。ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは、PO又はPOとEOとの併用(EO含量が25重量%以下)である。
【0036】
上記ポリオ−ルの具体例としては、公知(特開2007−191682号公報等)のものが挙げられ、上記活性水素含有化合物にPOを付加したもの、POと他のAO(好ましくはEO)を下記の様式で付加したもの、並びにこれらの付加化合物とポリカルボン酸又はリン酸とのエステル化物等が挙げられる。
(1)PO−AOの順序でブロック付加したもの
(2)PO−AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(3)AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(4)PO−AO−POの順序でブロック付加したもの
(5)PO及びAOを混合付加したランダム付加物
(6)米国特許第4226756号明細書記載の順序でランダム又はブロック付加したもの
【0037】
その他ポリオールとして、上記ポリオールと少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素化合物が、ポリイソシアネートを介して結合されてなる含窒素結合含有不飽和ポリオール[特開2002−308920号公報(対応米国特許第6756414号)等に反応性分散剤として記載されているもの{後述する(c2)を含む}]が使用でき、ポリマーの粒子径の観点から、後述する不飽和ポリオール(c2)が好ましい。
【0038】
(c2)は、飽和のポリオール(p)と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素化合物(q)が、ポリイソシアネート(r)を介して結合されてなり、1分子中のNCO基に由来する含窒素結合の数に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4である含窒素結合含有不飽和ポリオールである。
【0039】
(c2)を構成する(p)としては、前記(c1)として例示したものと同様のものが使用できる。(p)と(c1)とは同一であっても異なっていてもよい。
(p)の1分子中の水酸基の数は、少なくとも2個が好ましく、ポリマー粒子の(c1)中での分散安定性の観点から、さらに好ましくは2〜8個、次にさらに好ましくは3〜4個であり、(p)の水酸基当量は、分散安定性の観点から、1,000〜3,000が好ましく、さらに好ましくは1,500〜2,500である。
【0040】
(c2)を得るのに用いる(q)は、1個の活性水素含有基と少なくとも1個の重合性不飽和基を有する化合物である。活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基及びSH基等があるが、ポリマー粒子安定性の観点から、特に水酸基が好ましい。
【0041】
(q)のエチレン性不飽和基はポリマー微粒子を形成する重合体に組み込まれやすい観点から、重合性二重結合が好ましく、また1分子中のエチレン性不飽和基の数は1〜3個、特に1個が好ましい。即ち、(q)として好ましいものは、重合性二重結合を1個有する不飽和モノヒドロキシ化合物である。
上記不飽和モノヒドロキシ化合物としては、モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素、不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステル、不飽和2価アルコールとモノカルボン酸とのモノエステル、アルケニル側鎖基を有するフェノール、不飽和ポリエーテルモノオール等が挙げられる。
【0042】
モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素としては、C3〜6のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オール等;アルキノール、例えばプロパギルアルコール等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のC3〜8の不飽和モノカルボン酸と、前記2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のC2〜12の2価アルコール)とのモノエステルが挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
【0043】
不飽和2価アルコールとモノカルボン酸のモノエステルとしては、例えば、ブテンジオールの酢酸モノエステル等の、C3〜8の不飽和2価アルコールとC2〜12モノカルボン酸とのモノエステルが挙げられる。
アルケニル側鎖基を有するフェノールとしては、例えばオキシスチレン、ヒドロキシα−メチルスチレン等のアルケニル基のCが2〜8のアルケニル側鎖基を有するフェノールが挙げられる。
不飽和ポリエーテルモノオールとしては、前記モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素もしくは前記アルケニル側鎖基を有するフェノールのアルキレンオキサイド(C2〜8)1〜50モル付加物〔例えばポリオキシエチレン(重合度2〜10)モノアリルエーテル〕等が挙げられる。
【0044】
不飽和モノヒドロキシ化合物以外の(q)の例としては、以下のものが挙げられる。
アミノ基、イミノ基を有する(q)としては、モノ−及びジ−(メタ)アリルアミン、アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート〔アミノエチル(メタ)アクリレート等〕、モノアルキル(C1〜12)アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート〔モノメチルアミノエチル−メタクリレート等〕;カルボキシル基を有する(q)としては、前記不飽和モノカルボン酸;SH基を有する(q)としては、前記不飽和モノヒドロキシ化合物に相当する(OHがSHに置き換わった)化合物が挙げられる。重合性不飽和基を2個以上有する(q)の例としては、前記3価、4〜8価又はそれ以上の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル又は前記不飽和カルボン酸とのポリエステル〔例えばトリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンジ(メタ)アクリレート等〕が挙げられる。
【0045】
分散安定性の観点から、これらのうち好ましい化合物は、C3〜6のアルケノール、C3〜8の不飽和モノカルボン酸とC2〜12の2価アルコールとのモノエステル及びアルケニル側鎖基を有するフェノールであり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはブチレングリコールとのモノエステル;アリルアルコール;及びヒドロキシα−メチルスチレンであり、特に好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、(q)の分子量は特に限定されないが、ポリマーポリオールの粘度の観点から、1,000以下が好ましく、特に好ましくは500以下である。
【0046】
ポリイソシアネート(r)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、芳香族ポリイソシアネート(r1)、脂肪族ポリイソシアネート(r2)、脂環式ポリイソシアネート(r3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(r4)、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等)(r5)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0047】
(r1)としては、C(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、C6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノジフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)との縮合生成物;主生成物のジアミノジフェニルメタンと副生成物である少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物:例えばポリアリルポリイソシアネート(PAPI)等]、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等が挙げられる。
(r2)としては、C2〜18の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
(r3)としては、C4〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
(r4)としては、C8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
(r5)としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI及びひまし油変性MDI等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂の物性の観点から、これらのうちで好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましくは2,4−及び/又は2,6−TDIである。
【0049】
(c2)の含窒素結合は、イソシアネート基と活性水素含有基との反応によって生じるものであり、活性水素含有基が水酸基である場合、主にウレタン結合が生成し、アミノ基である場合、主に尿素結合が生成する。カルボキシル基の場合はアミド結合、SH基の場合はチオウレタン結合が生成する。これらの基以外に、他の結合、例えば、ビューレット結合、アロファネート結合等が生成していてもよい。
この含窒素結合は飽和のポリオール(p)の水酸基とポリイソシアネート(r)のイソシアネート基との反応で生じるものと、不飽和単官能活性水素化合物(q)の活性水素含有基と(r)のイソシアネート基との反応で生じるものとがある。
【0050】
(c2)は、下記式によって求められる、1分子中の(r)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4となるような割合で、(p)、(q)及び(r)を反応させたものである。
1分子中の(r)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値=
[(q)のモル数×(q)の不飽和基数]/[(r)のモル数×(r)のNCO基数]
1分子中の(r)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値の値は、さらに好ましくは0.1〜0.3であり、とくに好ましくは0.2〜0.3である。不飽和基数の比の平均値の値が上記範囲内であると、ポリマーポリオールの分散安定性がとくに良好となる。
【0051】
分散剤(E)としては、数平均分子量(以下、Mnと略す)が1,000以上(好ましくは1,000〜10,000)の種々のもの、例えばポリマーポリオールの製造で使用されている公知の分散剤{特開2005−162791号公報及び特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}や酸変成ポリオレフィン等を使用することができ、(E)には、St又はACNと共重合し得るエチレン性不飽和基を有する反応性分散剤、及びSt又はACNとは共重合しない非反応性分散剤が含まれる。
【0052】
分散剤(E)の具体例としては、〔1〕ポリオールの水酸基の少なくとも一部を、メチレンジハライド及び/又はエチレンジハライドと反応させて高分子量化し、該反応物にさらにエチレン性不飽和基含有化合物を反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリオール{特開平08−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}等のマクロマータイプの分散剤;〔2〕ポリオールとの溶解度パラメーターの差が1.0以下のポリオール親和性セグメント2個以上を側鎖とし、エチレン性不飽和化合物の重合体との溶解度パラメーターの差が2.0以下のポリマー微粒子親和性セグメントを主鎖とするグラフト型重合体(特開平05−059134号公報等に記載のもの)等の、ポリオールとオリゴマーを結合させたグラフトタイプの分散剤;〔3〕ポリオールの水酸基の少なくとも一部をメチレンジハライド及び/又はエチレンジハライドと反応させて高分子量化した変性ポリオール(特開平07−196749号公報等に記載のもの)等の高分子量ポリオールタイプの分散剤;〔4〕数平均分子量が1,000〜1,000,000であり、その少なくとも一部がポリオールに可溶性であるビニル系オリゴマー、及びこのオリゴマーと上記〔1〕のエチレン性不飽和基含有変性ポリエーテルポリオールを併用する分散剤{例えば特開平09−77968号公報)等のオリゴマータイプの分散剤。後述する(e1)を含む};〔5〕酸変成ポリオレフィン等が挙げられる。
これらの中でポリマーの粒子径の観点から、〔1〕、〔4〕及び〔5〕が好ましく、さらに好ましくは、〔5〕である。
【0053】
また、これらの中でポリマーの粒子径の観点から、下記の(e1)及び(e2)が特に好ましい。
(e1)数平均分子量が1,000〜1,000,000のビニルオリゴマー。
(e2)酸変成ポリオレフィン
【0054】
(e1)はエチレン性不飽和化合物を重合して得られるビニルオリゴマーである。(e1)を構成するエチレン性不飽和化合物は、前述したビニルモノマー(m1)〜(m7)と同様のものが使用できる。
【0055】
(e1)のMnは、ポリマー粒子の粒子径の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン基準で、1,000〜1,000,000であり、好ましくは100,000〜950,000であり、さらに好ましくは150,000〜900,000、特に好ましくは200,000〜250,000である。また、(e1)は、ポリマーの粒子径の観点から、ポリオール(C)に可溶性[(e1)と(C)の合計重量に基づき5重量%の(e1)を(C)に均一混合した混合物のレーザー光の透過率が10%以上]であることが望ましい。
なお、(e1)のMnは、以下の方法で測定される。
遠心分離用50ml遠沈管に、ポリマーポリオール約5gを精秤し、メタノール50gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール50gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を得る。この沈降物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン基準で数平均分子量を測定し、(e1)のMnとする。
【0056】
(e1)の製造は、数平均分子量が1,000〜1,000,000となるよう重合度を調節する点を除いて、通常のエチレン性不飽和化合物の重合方法で行うことができる。例えば必要により溶媒中で、ビニルモノマーを公知のラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法である。また、(e1)はポリオール(C)中でビニルモノマーを重合させて得られるものでもよく、この場合の重合濃度は1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量%である。重合で得られたものを精製処理することなくそのままポリマーポリオールの製造に使用してもよい。ラジカル重合開始剤は比較的多量に使用され、例えば全ビニルモノマーの重量に基づいて好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0057】
上記重合反応に必要により用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等が挙げられる。
これらの溶媒のうちで、粘度及び製造されるポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール及びn−ブタノールが好ましい。
【0058】
また、必要により連鎖移動剤、例えば、アルキルメルカプタン(ドデシルメルカプタン及びメルカプトエタノール等)、アルコール(イソプロピルアルコール、メタノール及び2−ブタノール等)、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素及びクロロホルム等)及び特開昭55−31880号公報記載のエノールエーテルの存在下に重合を行うことができる。重合はバッチ式でも連続式でも行うことができる。重合反応は、ラジカル重合開始剤の分解温度以上(通常50〜250℃、好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜180℃)で行うことができ、大気圧下又は加圧下においても行うことができる。
【0059】
(e2)は、エチレン性不飽和ジカルボン酸(s)をポリオレフィン(t)に付加させたものである。(s)としては、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びこれらの無水物等が挙げられる。これらのうち、ポリマーの粒子径の観点から、無水マレイン酸が好ましい。
ポリオレフィン(t)としては、ポリエチレン樹脂[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及びエチレンと他の1種以上のビニル化合物(α−オレフィン、酢酸 ビニル、メタアクリル酸及びアクリル酸等)との共重合体等]、ポリプロピレン樹脂(ポリプロピレン及びプロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等)、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、及びこれら2種以上の混合物等が挙げられる。
ポリオレフィン(t)の数平均分子量は、ポリマーの粒子径の観点から、500〜100,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000である。
また、ポリオレフィン(t)のうち好ましいものは、高分子量ポリオレフィンの熱減成により得られる低分子量ポリオレフィン樹脂である。特にポリマーの粒子径の観点から、熱減成法により得られる低分子量ポリエチレン系樹脂がさらに好ましい。このような低分子量ポリエチレンのMnは、1,000〜20,000である。
エチレン性不飽和ジカルボン酸(s)のポリオレフィン(t)に付加される量は、得られた(e2)の重量に基づいて、ポリマーの粒子径の観点から、0.5〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。(s)の(t)に付加される量は、得られた(e2)の重量に基づいて、ポリマーの粒子径の観点から、0.5〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。
【0060】
分散剤(E)の使用量は、熱可塑性ポリマー(A)に対してポリマーの粒子径の観点から5〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜10重量%である。
【0061】
可塑剤(F)としては、熱可塑性樹脂用の公知の可塑剤等が使用でき、パラフィン、ワックス及び高級アルコール等が挙げられる。これらのうち、(A)及び(C)に対する相溶性の観点から、高級アルコールが好ましい。高級アルコールの例としては、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール及びラルリルアルコール等が挙げられる。
【0062】
可塑剤(F)の使用量は、ウレタンフォームの物性の観点から、ポリマーポリオールの重量に対して、25重量%未満が好ましく、さらに好ましくは、15重量%未満である。
【0063】
以下にポリマーポリオールの製造方法について説明する。
分散装置(B−1)を使用する場合は、ポリオール(C)を予め容器に投入しておき分散時の温度まで昇温する。容器は、とくに制限がなく、開放系の容器を用いても、耐圧式のオートクレーブ等の密閉系の容器を用いても構わない。その容器に、熱可塑性ポリマー(A)及び分散剤(E)並びに必要により可塑剤(F)を投入し、分散時の温度に温調する。この際の投入する順序は特に制限が無い。
この容器に投入したものを温調したまま装置(B−1)を使用して、15000rpm〜20000rpmの撹拌速度で撹拌する。撹拌時間は、ポリマーの粒子径の観点から5分〜30分が好ましい。
その後、容器内容物を冷却しポリマーポリオールを得る。その冷却の方法としては、ポリマーの粒子径の観点から、撹拌しながら冷却する方法及び容器内容物を液体窒素に投入し冷却する方法が好ましく、さらに好ましくは、液体窒素に投入し冷却する方法である。
【0064】
分散装置(B−2)を使用する場合は、(B−1)を使用する場合と同様にして、ポリオール(C)、熱可塑性ポリマー(A)及び分散剤(E)並びに必要により可塑剤(F)を容器に投入し、全材料を配合する。その後、容器内容物を(B−2)に投入し(B−2)で分散処理を行う。その時の圧力は、粒子径の観点から、100MPa〜150MPaが好ましい。
分散処理の後、分散処理した物を冷却しポリマーポリオールを得る。その冷却の方法としては、ポリマーの粒子径の観点から、撹拌しながら冷却する方法及び容器内容物を液体窒素に投入し冷却する方法が好ましく、さらに好ましくは、液体窒素に投入し冷却する方法である。
【0065】
工程(I)における熱可塑性ポリマー(A)の使用量(重量%)は、後述するポリウレタン樹脂の機械物性及びポリオール中のポリマーの凝集防止の観点から、工程(I)における熱可塑性ポリマー(A)、ポリオール(C)及び分散剤(E)並びに必要により使用する可塑剤(F)の合計重量を基準として、30〜60が好ましく、さらに好ましくは32〜58、特に好ましくは35〜56、最も好ましくは38〜55である。
【0066】
工程(I)におけるポリオール(C)の使用量(重量%)は、ポリマー粒子の凝集防止及び得られるポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、工程(I)における熱可塑性ポリマー(A)、ポリオール(C)及び分散剤(E)並びに必要により使用する可塑剤(F)の合計重量を基準として、40〜70が好ましく、好ましくは42〜68、特に好ましくは44〜65、最も好ましくは45〜62である。
【0067】
熱可塑性ポリマー(A)をポリオール(C)中に分散させる工程(I)の温度としては、80℃から200℃であり、連続相であるポリオール(C)の分解又は劣化等を防ぐ観点及びポリマーポリオール中のポリマーの粒子径の観点から、好ましくは120〜150℃、さらに好ましくは130〜150℃、次にさらに好ましくは140〜150℃である。200℃を超えると、連続相であるポリオール(C)の分解や劣化が起こる。また80℃未満では、ポリマーポリオール中のポリマーの粒子径が大きくなる。
【0068】
工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、分散剤(E)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物とポリオール(C)との界面張力が、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、0〜4mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは0〜2mN/mである。
工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、分散剤(E)、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物と可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物との界面張力が、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、0〜4mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは、0〜2mN/mである。
なお、界面張力は以下の方法により測定される。
【0069】
[界面張力の測定法]
工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、分散剤(E)と熱可塑性ポリマー(A)を測定セルに入れ所定の温度に温調する。そこへ所定の温度に温調されたポリオール(C)を所定の温度に温調しながら滴下し自動表面張力計(協和界面科学製;形式CB−A3、Wilhelmy法)により測定する。
工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、分散剤(E)、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)を測定セルに入れ所定の温度に温調する。そこへ別途、ポリオール(C)と可塑剤(F)を別のビーカーで所定の温度に温調し混合したものを所定の温度に温調しながら滴下し自動表面張力計(協和界面科学製;形式CB−A3、Wilhelmy法)により測定する。
なお、界面張力の測定における、熱可塑性ポリマー(A)、ポリオール(C)、分散剤(E)及び可塑剤(F)の使用量は、ポリマーポリオールの製造方法において使用するこれらの物の重量比と同じ重量比となるように使用する。また、可塑剤(F)を使用する際の使用量は、セルに入れる量とポリオール(C)に混合する量が同量になるようにする。
【0070】
工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、熱可塑性ポリマー(A)の粘度(mPa・s)は、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、150〜2,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは150〜200、000、次にさらに好ましくは180〜350である。
工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物の粘度(mPa・s)は、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、150〜2,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは150〜200、000、次にさらに好ましくは180〜350である。
なお、上記の粘度の測定における、熱可塑性ポリマー(A)、分散剤(E)及び可塑剤(F)の使用量は、ポリマーポリオールの製造方法において使用するこれらの物の重量比と同じ重量比となるように使用する。
【0071】
工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、ポリオール(C)の粘度(mPa・s)は、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、5〜200であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100である。
工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物の粘度(mPa・s)は、ポリマーの粒子径の観点から、工程(I)の温度において、5〜200であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100である。
なお、上記の粘度の測定における、ポリオール(C)及び可塑剤(F)の使用量は、ポリマーポリオールの製造方法において使用するこれらの物の重量比と同じ重量比となるように使用する。
【0072】
本発明のポリマーポリオールの製造方法において、ポリマーの粒子径の観点から、下記Lの値が、0.02以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.0002〜0.018、次にさらに好ましくは0.002〜0.013である。
【0073】
Lは、粘度A/粘度C≧1の時は下記式(1)から、粘度A/粘度C<1の時は下記式(2)から求められる値である。
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)0.84 (1)
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)-0.84 (2)
【0074】
Lの値の算出において、粘度A(mPa・s)は、工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度における熱可塑性ポリマー(A)の粘度を意味し、工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度における可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物の粘度を意味する。
【0075】
Lの値の算出において、粘度C(mPa・s)は、工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度におけるポリオール(C)の粘度を意味し、工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度における可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物の粘度を意味する。
【0076】
Lの値の算出において、界面張力は、工程(I)を分散剤(E)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度における分散剤(E)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物とポリオール(C)との界面張力を意味し、工程(I)を分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下で行う場合は、工程(I)の温度における分散剤(E)、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物と可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物との界面張力を意味する。
【0077】
Lの値の算出において、線速度(m/s)は、分散装置が回転式分散混合装置の場合は、2NDπ{N=回転数(回/s)、D=撹拌羽根の半径(m)}を意味し、分散装置が高圧式分散混合装置の場合は、供給速度(m3/s)/管の平均断面積(m2)を意味する。
【0078】
本発明の製造方法により得られたポリマーポリオール(D)に、さらにポリオールを必要に応じて添加しても構わない。その際の添加するポリオールは前記のポリオール(C)を用いることができる。
【0079】
その他の添加物として、溶媒などが上げられる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。
これらの溶媒のうちで、粘度及び製造されるポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、好ましいのはトルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、n−ブタノールである。
その他の添加物を添加する場合、公知の方法で添加混合することができる。
【0080】
本発明の製造方法により得られるポリマーポリオールに含まれるポリマー粒子の形状は特に限定なく、球状、回転楕円体状、平板状等いずれの形状でもよいが、ポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、球状が好ましい。
【0081】
ポリマー粒子の体積平均粒子径(R)(μm)は、重合体ポリオールの粘度及びポリウレタン樹脂物性の観点から、0.1〜0.9が好ましく、さらに好ましくは0.25〜0.8、次にさらに好ましくは0.3〜0.7、特に好ましくは0.4〜0.6である。
なお、体積平均粒子径は、後述する方法により測定される。
【0082】
ポリマーポリオール中のポリマー粒子含有量(重量%)は、後述するポリウレタン樹脂の機械物性及びポリオール中のポリマーの凝集防止の観点から、30〜60が好ましく、さらに好ましくは32〜58、特に好ましくは35〜56、最も好ましくは38〜55である。
なお、ポリマー粒子含有量(重量%)は、後述する方法で測定される。
【0083】
ポリマーポリオール中のポリオール(C)の含有量(重量%)は、ポリマー粒子の凝集防止及び得られるポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、40〜70が好ましく、好ましくは42〜68、特に好ましくは44〜65、最も好ましくは45〜62である。
【0084】
ポリマー粒子含有量(重量%)は下記の方法で測定される。
【0085】
<ポリマー粒子含有量(重量%)>
遠心分離用50ml遠沈管に、ポリマーポリオール約5gを精秤し、ポリマーポリオール重量(W5)とする。メタノール50gを加えて混合する。冷却遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール50gを加えて混合し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W6)とする。次式で算出した値を、ポリマー粒子含有量(重量%)とする。

ポリマー粒子含有量(重量%)=(W6)×100/(W5)
【0086】
本発明において、ポリマー粒子の粒子径の算術標準偏差は、ポリマーポリオールの製造のし易さ並びにポリウレタン樹脂の機械物性及びポリウレタン樹脂製造装置の目詰まり低減の観点から、0.6以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6、次にさらに好ましくは0.12〜0.6、特に好ましくは0.15〜0.6、最も好ましくは0.20〜0.58である。なお、上記算術標準偏差は、体積基準による算術標準偏差であり、後述する方法により測定される。
【0087】
上記体積基準による算術標準偏差とは、Mie散乱理論(Light Scattering by Small Particles, Dover Publ., 1981)により体積基準の粒度分布から、下記の式で算出された算術標準偏差を指す。なお、測定及び算出における体積基準の粒度分布は、0.040〜262μmの範囲を65分割(0.040〜0.044μm、0.044〜0.050μm、0.051〜0.057μm、0.058〜0.066μm、0.067〜0.075μm、0.076〜0.086μm、0.087〜0.099μm、0.100〜0.114μm、0.115〜0.130μm、0.131〜0.149μm、0.150〜0.171μm、0.172〜0.196μm、0.197〜0.225μm、0.226〜0.258μm、0.259〜0.295μm、0.296〜0.338μm、0.339〜0.388μm、0.389〜0.449μm、0.450〜0.509μm、0.510〜0.583μm、0.584〜0.668μm、0.669〜0.765μm、0.766〜0.876μm、0.877〜1.004μm、1.005〜1.150μm、1.151〜1.317μm、1.318〜1.509μm、1,510〜1.728μm、1.729〜1.980μm、1.981〜2.268μm、2.269〜2.598μm、2.599〜2.975μm、2.976〜3.408μm、3.409〜3.904μm、3.905〜4.471μm、4.472〜5.121μm、5.122〜5.866μm、5.867〜6.719μm、6.720〜7.696μm、7.697〜8.815μm、8.816〜10.096μm、10.097〜11.564μm、11.565〜13.245μm、13.246〜15.171μm、15.172〜17.376μm、17.377〜19.903μm、19.904〜22.796μm、22.797〜26.110μm、26.111〜29.906μm、29.907〜34.254μm、34.255〜39.233μm、39.234〜44.937μm、44.938〜51.470μm、51.471〜58.952μm、58.953〜67.522μm、67.523〜77.338μm、77.339〜88.582μm、88.583〜101.459μm、101.460〜116.209μm、116.210〜133.102μm、133.103〜152.452μm、152.453〜174.615μm、174.616〜199.999μm、200.000〜229.074μm、229.075〜262.375μmの65分割。なお、例えば「0.040〜0.044μm」の記載は、「0.040μmより大きく、0.044μm以下」であることを示す。)して求める。
【0088】
算術標準偏差
=[Σ{(X(J)−算術平均粒子径(μm)}2×q(J)/100]1/2
【0089】
算術平均粒子径(μm) = Σ{q(J)×X(J)}/Σ{q(J)}
【0090】
式中、Jは粒子径範囲の分割番号(1〜65)、すなわち、上記65分割した粒子径範囲の値の小さいものから順に連番を付した粒子径範囲の番号;X(J)は、該分割番号J番目の粒子径範囲の中心値;q(J)は、該分割番号J番目の粒子径範囲の粒子の頻度(体積%)である。
【0091】
本発明の製造方法により得られたポリマーポリオールは、ポリウレタン(ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンフォーム等)の製造に使用するポリオールとして用いることができる。すなわち、本発明の製造方法により得られたポリマーポリオール又はこれを含むポリオール成分(Po)及びポリイソシアネートからなるイソシアネート成分(Is)を、公知の方法(例えば特開2004−263192号公報に記載の方法)等で反応させてポリウレタンを得ることができる。
【実施例】
【0092】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、部、及び比は、特に断りのない限り、それぞれ、重量部、及び重量比を示す。
【0093】
実施例及び比較例に使用した原料の組成、混合装置、記号等は次のとおりである。
(1)熱可塑性ポリマー
(A−1):低分子ポリエチレン、数平均分子量=2000〔商品名「サンワックス151P」、三洋化成工業(株)製〕
(A−2):低密度ポリエチレン、〔商品名「スミカセン G807」、住友化学(株)製〕
(2)分散混合装置
(B−1)クレアミックス[エムエムテクニック(株)製〕。撹拌羽根の直径=1.2cm。
(B−2)超高圧ホモジナイザー[IKA社製〕。管の平均断面積=1cm2
(3)ポリオール
(C−1):ペンタエリスリトールにPO−EOの順にブロック付加させた、水酸基価=32、末端EO単位含量=14重量%のポリオール(末端1級化率=74モル%)〔商品名「ポリオール50」、三洋化成工業(株)製〕0.14モルと、2−ヒドロキシメタクリレート0.07モルとをTDI0.16モルでジョイントして得られる水酸基価=20、不飽和基数/含窒素基数=0.22の含窒素結合含有不飽和ポリオール〔特開2002−308920号公報参照〕
(C−2):グリセリンにPO−EO−POの順にブロック付加させた、水酸基価=56、内部EO単位含量=5.5%のポリオール(末端1級化率=2モル%)〔商品名「サンニックス(登録商標)GP−3030」、三洋化成工業(株)製〕
(3)分散剤
(E−1):無水マレイン酸変成ポリエチレン、数平均分子量=3300〔商品名「ユーメックス―2000」、三洋化成工業(株)製〕
(4)可塑剤
(F−1):オレイルアルコール〔商品名「アンジエコール90N」、新日本理化(株)製〕
(4)ポリイソシアネート
TDI−80:商品名「コロネートT−80」〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(5)触媒
触媒A:商品名「DABCO」(トリエチレンジアミン)〔日本乳化剤(株)製〕
触媒B:商品名「ネオスタンU−28」(オクチル酸第1スズ)〔日東化成(株)製〕
(6)整泡剤
商品名「SRX−280A」(ポリエーテルシロキサン重合体)〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
【0094】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<体積平均粒子径>
得られたポリマーポリオールを、レーザー光の透過率が70〜90%となるように、その製造に用いたポリオールで希釈し、下記の粒度分布測定装置にて体積平均粒子径(μm)を測定した。
装置 :堀場製作所製 LA−750
測定原理 :Mie散乱理論
測定範囲 :0.04μm〜262μm
溶液注入量:He−Neレーザー
測定時間 :20秒
【0095】
<体積平均粒子径>
以下の式による。
体積平均粒子径(μm) = Σ〔q(J)×X(J)〕/Σ〔q(J)〕
J :粒子径分割番号(1〜85)
q(J):頻度分布値(%)
X(J):粒子径分割番号J番目の粒子径(μm)
【0096】
実施例1 [ポリマーポリオール(D−1)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−1)と分散剤(E−1)を、表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを、全量投入し、分散混合装置(B−1)を用い、分散温度140℃で、回転速度20,000rpmで15分撹拌させた。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−1)を得た。
(D−1)の体積平均粒子径、界面張力{(A−1)30部及び(E−1)2.6部の混合物とポリオール(C−1)51部及びポリオール(C−2)19部の混合物との分散温度(140℃)における界面張力}、(A−1)及び(C−1)の分散温度(140℃)における粘度(表中、それぞれ粘度A、粘度Cと記載)を測定した結果を表2に示す。
【0097】
実施例2 [ポリマーポリオール(D−2)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−1)と分散剤(E−1)を表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを全量投入する。これを150MPaの圧力をかけた分散装置(B−2)に0.002m3/sで投入し分散処理を行った。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−2)を得た。
(D−2)の体積平均粒子径、界面張力{(A−1)30部及び(E−1)2.6部の混合物とポリオール(C−1)51部及びポリオール(C−2)19部の混合物との分散温度(140℃)における界面張力}、(A−1)及び(C−1)の分散温度(140℃)における粘度(表中、それぞれ粘度A、粘度Cと記載)を測定した結果を表2に示す。
【0098】
実施例3 [ポリマーポリオール(D−3)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−1)、分散剤(E−1)及び可塑剤(F−1)を表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを、全量投入し、分散混合装置(B−1)を用い、分散温度140℃で、回転速度20,000rpmで15分撹拌させた。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−3)を得た。
(D−3)の体積平均粒子径、界面張力{(A−1)30部、(E−1)2.6部及び(F−1)5.7部の混合物とポリオール(C−1)51部、ポリオール(C−2)19部及び(F−1)5.7部の混合物との分散温度(140℃)における界面張力}、(A−1)30部及び(F−1)11.4部の混合物の分散温度(140℃)における粘度、並びに(C−1)30部及び(F−1)11.4部の混合物の140℃における粘度(表中、それぞれ粘度A、粘度Cと記載)を測定した結果を表2に示す。
【0099】
実施例4 [ポリマーポリオール(D−4)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し、表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−1)、分散剤(E−1)及び可塑剤(F−1)を、表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを全量投入する。これを150MPaの圧力をかけた(B−2)に0.002m3/sで投入し分散処理を行った。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−4)を得た。
(D−4)の体積平均粒子径、界面張力{(A−1)30部、(E−1)2.6部及び(F−1)5.7部の混合物とポリオール(C−1)51部、ポリオール(C−2)19部及び(F−1)5.7部の混合物との分散温度(140℃)における界面張力}、(A−1)30部及び(F−1)11.4部の混合物の分散温度(140℃)における粘度、並びに(C−1)30部及び(F−1)11.4部の混合物の分散温度(140℃)における粘度(表中、それぞれ粘度A、粘度Cと記載)を測定した結果を表2に示す。
【0100】
実施例5〜8 [ポリマーポリオール(D−5)〜(D−8)の製造]
実施例1〜4において、分散温度を120℃とする以外は、実施例1〜4と同様にして、ポリマーポリオール(D−5)〜(D−8)を得た。
(D−5)〜(D−8)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0101】
実施例9〜12 [ポリマーポリオール(D−9)〜(D−12)の製造]
実施例1〜4において、分散温度を150℃とする以外は、実施例1〜4と同様にして、ポリマーポリオール(D−9)〜(D−12)を得た。
(D−9)〜(D−12)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0102】
実施例13 [ポリマーポリオール(D−13)の製造]
実施例1において、〔第2工程〕を工程(I)で得られたものをそのまま撹拌しながら80℃まで冷却するしポリマーポリオールを得る以外は、実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(D−13)を得た。
(D−13)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0103】
実施例14 [ポリマーポリオール(D−14)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−1)、分散剤(E−1)及び可塑剤(F−1)を、表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを、全量投入し、分散混合装置(B−1)を用い、分散温度140℃で、回転速度20,000rpmで15分撹拌させた。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−14)を得た。
(D−14)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0104】
実施例15 [ポリマーポリオール(D−15)の製造]
〔第1工程〕1LのSUSの容器にポリオール(C−1)とポリオール(C−2)を表1記載の部数投入し分散温度である140℃に昇温する。これに、別途1LのSUSの容器を用意し、熱可塑性ポリマー(A−2)、分散剤(E−1)及び可塑剤(F−1)を、表1記載の部数を投入し分散温度である140℃に昇温し溶解させたものを、全量投入し、分散混合装置(B−1)を用い、分散温度140℃で、回転速度20,000rpmで15分撹拌させた。
〔第2工程〕工程(I)で得られたものを液体窒素の中に投入し冷却しポリマーポリオール(D−15)を得た。
(D−15)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0105】
比較例1 [ポリマーポリオール(H−1)の製造]
実施例1において、各仕込量を表1で示した部数とする以外は実施例1と同様にして、比較のポリマーポリオール(H−1)を得た。
(H−1)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0106】
比較例2[ポリマーポリオール(H−2)の製造]
実施例1において、分散温度を70℃とする以外は実施例1と同様にして、比較のポリマーポリオール(H−2)を得た。
(H−2)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0107】
比較例3 [ポリマーポリオール(H−3)の製造]
実施例1において、分散温度を250℃とする以外は同様にして、比較のポリマーポリオール(H−3)を得た。
(H−3)の体積平均粒子径、界面張力、粘度A及び粘度Cを測定した結果を表2に示す。
【0108】
比較例4 [ポリマーポリオール(H−4)の製造]
(A−1)、(C−1)、(C−2)及び(E−1)を、それぞれ30部/分、51部/分、19部/分、2.6部/分の供給速度で2軸の混練機(栗本鐵工(株)製)に供給し、押し出てきたものを回収し比較のポリマーポリオール(H−4)を得た。押出機の混練部分の温度は140℃、回転数は450rpmであった。
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
実施例16〜30、比較例5〜8 [ポリウレタンフォームの製造]
実施例1〜15で得られた重合体ポリオール(D−1)〜(D−15)及び比較例1〜4で得られた比較の重合体ポリオール(H−1)〜(H−4)を使用し、表3記載の配合比で、以下に示す発泡処方によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォームの物性を下記の方法により評価した。結果を表3に示す。
<発泡処方>
〔1〕ポリマーポリオール、ポリオール及びポリイソシアネートをそれぞれ25±2℃に温度調整した。
〔2〕ポリマーポリオール、ポリオール、整泡剤、水、触媒の順で容量1Lのステンレス製ビーカーに仕込み、25℃±2℃で撹拌混合し、直ちにポリイソシアネートを加え、撹拌機〔ホモディスパー、特殊機化(株)製〕を用いて撹拌した(撹拌条件:2,000rpm×8秒間)。
〔3〕撹拌停止後、25×25×10cmの木箱(25℃±2℃)に混合したビーカー内容物を投入して発泡させ、ポリウレタンフォームを得た。
【0112】
<表3の実施例16〜30及び比較例5〜8のフォーム物性の評価方法>
(1)密度(kg/m3):JIS K6400−1997〔項目5〕に準拠。
(2)25%ILD(硬度)(kgf/314cm2):JIS K6401−1997に準拠。
(3)引張強度(kgf/cm2):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠。
(4)引裂強度(kgf/cm):JIS K6301−1995〔項目9〕に準拠
(5)切断伸度(%):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
【0113】
【表3】

【0114】
表2の結果から、下記のことがわかった。
(1)全ての実施例1〜15は、比較例1〜4に比べて、体積平均粒子径が小さい。
【0115】
また、表3の結果から、下記のことがわかった。
(2)実施例16〜30は、比較例5〜8に比べて、25%ILD、引張強度、引裂強度に優れる。
【0116】
なお、ポリウレタンフォームの物性としては、25%ILD、引張強度、引裂強度及び切断伸度は数値が大きいほど良好であることを表す。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の製造方法により熱可塑性ポリマーをポリオール中に分散させて得られるポリマーポリオールは、従来の方法で得られるポリマーポリオールより粒子径が小さく、ポリウレタンフォームの製造に用いた場合には、ポリウレタンフォームの各物性をバランス良く調整でき、好適である。
本発明の製造方法により得られるポリマーポリオールは、各種ポリウレタン樹脂原料として幅広い用途に使用することができるが、特にポリウレタンフォームとして自動車内装部品や家具の室内調度品等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの粒子がポリオール(C)中に分散されてなるポリマーポリオールの製造方法であって、熱可塑性ポリマー(A)を、分散剤(E)の存在下、回転式分散混合装置及び高圧式分散混合装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置(B)を用いて、80℃〜200℃で、ポリオール(C)中に分散させる工程(I)を含んでなるポリマーポリオールの製造方法。
【請求項2】
分散剤(E)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物とポリオール(C)との界面張力が、工程(I)の温度において0〜4mN/mである請求項1に記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項3】
熱可塑性ポリマー(A)の粘度が、工程(I)の温度において150〜2,000,000mPa・sである請求項1又は2に記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項4】
ポリオール(C)の粘度が、工程(I)の温度において5〜200mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項5】
下記Lの値が、0.02以下である請求項1〜4のいずれかに記載のポリマーポリオールの製造方法。
L:粘度A/粘度C≧1の時は下記式(1)から、粘度A/粘度C<1の時は下記式(2)から求められる値。なお、粘度A(mPa・s)は、工程(I)の温度における熱可塑性ポリマー(A)の粘度を意味し、粘度C(mPa・s)は、工程(I)の温度におけるポリオール(C)の粘度を意味し、界面張力は、工程(I)の温度における分散剤(E)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物とポリオール(C)との界面張力を意味し、線速度(m/s)は、分散装置が回転式分散混合装置の場合は、2NDπ{N=回転数(回/s)、D=撹拌羽根の半径(m)}を意味し、分散装置が高圧式分散混合装置の場合は、供給速度(m3/s)/管の平均断面積(m2)を意味する。
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)0.84 (1)
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)-0.84 (2)
【請求項6】
ポリマーの粒子がポリオール(C)中に分散されてなるポリマーポリオールの製造方法であって、熱可塑性ポリマー(A)を、分散剤(E)及び可塑剤(F)の存在下、回転式分散混合装置及び高圧式分散混合装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の分散混合装置(B)を用いて、80℃〜200℃で、ポリオール(C)中に分散させる工程(I)を含んでなるポリマーポリオールの製造方法。
【請求項7】
分散剤(E)、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物と可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物との界面張力が、工程(I)の温度において0〜4mN/mである請求項6に記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項8】
可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物の粘度が、工程(I)の温度において150〜2,000,000mPa・sである請求項6又は7に記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項9】
可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物の粘度が、工程(I)の温度において5〜200mPa・sである請求項6〜8のいずれかに記載のポリマーポリオールの製造方法。
【請求項10】
下記Lの値が、0.02以下である請求項6〜9のいずれかに記載のポリマーポリオールの製造方法。
L:粘度A/粘度C≧1の時は下記式(1)から、粘度A/粘度C<1の時は下記式(2)から求められる値。なお、粘度A(mPa・s)は、工程(I)の温度における可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物の粘度を意味し、粘度C(mPa・s)は、工程(I)の温度における可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物の粘度を意味し、界面張力は、工程(I)の温度における分散剤(E)、可塑剤(F)及び熱可塑性ポリマー(A)の混合物と可塑剤(F)及びポリオール(C)の混合物との界面張力を意味し、線速度(m/s)は、分散装置が回転式分散混合装置の場合は、2NDπ{N=回転数(回/s)、D=撹拌羽根の半径(m)}を意味し、分散装置が高圧式分散混合装置の場合は、供給速度(m3/s)/管の平均断面積(m2)を意味する。
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)0.84 (1)
L=界面張力/粘度A/線速度×(粘度A/粘度C)-0.84 (2)
【請求項11】
工程(I)の後に、液体窒素で冷却する工程(II)を含んでなる請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーポリオールの製造方法。

【公開番号】特開2010−235903(P2010−235903A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88481(P2009−88481)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】