説明

ポリマー基板にホールをつくるためのプロセス

【課題】新規な誘電材料の開発、これらの材料を操作および加工するための新たな方法の提供。
【解決手段】基板へのバイアを作製するためのプロセスにおいて使用するための、実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムであって、該硬化可能なフィルムが(a)1以上の活性水素含有樹脂、および(b)(a)の活性水素と反応性の1つの硬化試薬を含む硬化可能な組成物を含み、該プロセスが(a)該硬化可能なフィルムを周囲温度で部分的に硬化させる工程;(b)レジストを該フィルムに適用する工程;(c)該レジストを所定位置において画像化する工程;(d)該レジストを現像して、該フィルムの所定領域を露出させる工程;(e)該露出した領域を除去して、該フィルムを通るホールを形成する工程;および(f)該フィルムを、該硬化可能な組成物の硬化を完了させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程を包含する、硬化可能なフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ポリマー基板にホールを作製するための方法、および複数層電気回路アセンブリを製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電気的構成要素(例えば、レジスタ、トランジスタおよびコンデンサ)は、回路パネル構造体(例えば、プリント回路基板)に、共通して載置される。回路パネルは、導電体がシートの主な平坦表面または両方の主な表面に配置されている誘電材料のほぼ平坦なシートを備える。この導体は、通常、銅のような金属材料から共通に形成され、そして基板に載置された電気的構成要素を相互接続するのに役立つ。導体がパネルの両方の主な表面に配置されている場合、このパネルは、反対の表面上の導体を相互接続するために、ホールを通って(または「スルーバイア」)誘電層へと延びるバイア導体を有し得る。積層体中の隣接したパネルの相互に対向する表面上の導体を分離する誘電材料のさらなる層を有する、複数の積み重ねられた回路パネルを組み込む、複数層回路パネルアセンブリがこれまでに作製されている。これらの複数層アセンブリは、通常、必要な電気的相互接続を提供するために、必要に応じて、積層体中の様々な回路パネル上の導体の間をまたがる相互接続を組み込んでいる。
【0003】
パターン形成された(pattened)ホールを有するポリマーフィルムは、可撓性回路および種々の型のフィルタの製造において有用である。可撓性回路は代表的に、回路レベルが構築される非強化ポリマー誘電性フィルムを利用する。これらの回路は、曲げおよびねじれによって形状および配向を変化させることに適合する。可撓性回路アセンブリにおいて用いられる大部分の一般的なポリマー基板は、ポリイミドフィルム(例えば、KAPTONTM(E.I.DuPont de Nemours and Companyから入手可能)およびポリエステルフィルムである。両面の可撓性回路では、ポリマーフィルムを通って延びるホール(本明細書では以後、「スルーバイア」という)を有し、このホールを通って、対向する表面における回路パターンの間で電気接続が作製され得ることが所望される。
【0004】
スルーバイアは代表的に、感光性ポリマーのパンチ、エッチングまたは写真平版によって製造される。パンチ技術は、基板の可能な変形(例えば、圧縮座屈または圧縮亀裂)を含め、いくつかの欠点を有する。この技術はまた、その上にさらなる層を有する基板には利用できない。湿式エッチング法およびプラズマエッチング法は、ポリマー基板中にホールを提供するために通常用いられる。エッチング法は、今日まで、所望のポリマー材料の選択的除去を達成するために、限定された数のレジスト化学およびエッチング液の注意深い選択を必要とする。ポリイミドフィルムは、通常、濃塩基性溶液を適用することによりエッチングされる。濃塩基性溶液は、ポリマー骨格を加水分解することにより、基板材料に作用し得る。
【0005】
米国特許第5,227,008号は、水性の加工可能フォトレジストを使用する、可撓性回路を作製するための方法を記載する。完全に硬化したポリイミドフィルム(その一方の表面は、銅の薄層を含む)には、乾燥したフィルムフォトレジストが積層される。次いで、このフォトレジストは露出され、そして現像される。露出した銅は、より厚い厚さにプレーティングされ、そしてこのポリイミドは、熱濃アルカリ溶液を用いてエッチングされる。次いで、残りのレジストは、希塩基性溶液を用いて除去されて、パターン形成された基板が得られる。
【0006】
米国特許第3,833,436号は、ポリイミドフィルム中にホールまたはスルーバイアを作製するための方法を記載する。レジストは、標準的な方法によって適用され、露出され、現像され、そして焼付けられ、続いてヒドラジン溶液中に浸漬される。超音波攪拌を利用して、浸漬工程の間のエッチング液の適切な混合を確実にする。
【0007】
上記の技術は、所望の領域において、機械的手段またはポリマー材料を化学的分解するための過酷な条件のいずれかに有効に依存して、ホールまたはスルーバイアを作製するための方法を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
新規な誘電材料が開発され、これらの材料を操作および加工するための新たな方法が頻繁に必要とされる。先行技術を考慮すると、種々の可撓性ポリマー基板においてパターン形成されたホールを穏やかな条件下で作製するプロセスについての必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって以下が提供される:
(1) 基板を通るバイアを作製するためのプロセスであって、以下の工程:
(a)硬化可能な組成物から構成される、実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムを提供する工程;
(b)レジストを該硬化可能なフィルムに適用する工程;
(c)該レジストを所定位置において画像化する工程;
(d)該レジストを現像して、該硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;
(e)該硬化可能なフィルムの該露出した領域を除去して、該硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;および
(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、該硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程
を包含する、プロセス。
(2) 以下の工程:
(g)残りのレジストを剥がす工程;および
(h)必要に応じて、金属層を全表面に適用する工程
をさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(3) 工程(h)において適用された金属が、銅を含む、項目2に記載のプロセス。
(4) 工程(f)が、工程(g)の前に実施される、項目2に記載のプロセス。
(5) 工程(g)が、工程(f)の前に実施される、項目2に記載のプロセス。
(6) 前記硬化可能な組成物が、以下:
(a)1以上の活性水素含有樹脂、および
(b)(a)の活性水素と反応性の1以上の硬化試薬
を含む、項目1に記載のプロセス。
(7) 前記活性水素含有樹脂が、ポリエポキシドポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ケイ素ベースのポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリ尿素ポリマー、ビニルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、これらの混合物およびこれらのコポリマーから選択される少なくとも1つのポリマーを含む、項目6に記載のプロセス。
(8) 前記硬化剤(b)が、ブロック化イソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、エポキシ、アミノ樹脂、活性エステル、およびそれらの混合物から選択される、項目6に記載のプロセス。
(9) 工程(d)および工程(e)が、同時に生じる、項目1に記載のプロセス。
(10) 前記レジストが、酸性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記硬化可能なコーティングが、塩基性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目1に記載のプロセス。
(11) 前記レジストが、塩基性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記硬化可能なコーティングが、酸性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目1に記載のプロセス。
(12) 前記硬化可能な組成物が、有機溶媒を適用することにより工程(e)において除去される、項目1に記載のプロセス。
(13) 工程(f)の後に得られる硬化した組成物が、誘電材料を含む、項目1に記載のプロセス。
(14) 以下に続く工程:
(i)工程(h)において適用された金属層の全表面に第2レジストを適用する工程;
(j)該第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;
(k)該下にある金属層の被覆されていない部分をエッチングする工程;ならびに
(l)残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程
をさらに包含する、項目2に記載のプロセス。
(15) 前記レジストが、工程(j)において、工程(i)の基板の両方の主表面で画像化される、項目14に記載のプロセス。
(16) 以下に続く工程:
(m)誘電性組成物を全表面に適用する工程;
(n)該誘電性組成物中の所定位置にホールを提供する工程;
(o)第2金属層を全表面に適用する工程;
(p)第3レジストを該第2金属層の全表面に適用する工程;
(q)該第3レジストを画像化および現像して、該第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;ならびに
(r)該第2金属層の該露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程
をさらに包含する、項目14に記載のプロセス。
(17) 以下の工程:
(s)残りの第3レジストを剥がす工程
をさらに包含する、項目16に記載のプロセス。
(18) 工程(s)の完了の際に、工程(m)〜工程(s)が1回以上繰り返されて、所望の数の相互接続された電気回路パターン層が得られる、項目17に記載のプロセス。(19) 複数層電気回路アセンブリを製造するためのプロセスであって、以下の工程:
(a)硬化可能な組成物の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムを提供する工程;
(b)レジストを該硬化可能なフィルムに適用する工程;
(c)該レジストを所定位置において画像化する工程;
(d)該レジストを現像して、該硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;
(e)該硬化可能なフィルムの露出領域を除去して、該硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;
(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、該硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程;
(g)残りのレジストを剥がす工程;
(h)金属層を全表面に適用する工程;
(i)第2レジストを、工程(h)において適用された金属層の全表面に適用する工程;
(j)該第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;
(k)該下にある金属層の該被覆されていない部分をエッチングする工程;
(l)残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程;
(m)誘電性組成物を全表面に適用する工程;
(n)該誘電性組成物の所定位置にバイアを提供する工程;
(o)第2金属層を全表面に適用する工程;
(p)第3レジストを該第2金属層の全表面に適用する工程;
(q)該第3レジストを画像化および現像して、該第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;
(r)該第2金属層の該露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程;
(s)残りの第3レジストを剥がす工程;ならびに
(t)必要に応じて、工程(m)〜工程(s)を1回以上繰り返して、複数層の相互接続する電気回路パターンを形成する工程
を包含する、プロセス。
(20) 工程(h)において適用された金属が、銅を含む、項目19に記載のプロセス。
(21) 工程(f)が、工程(g)の前に実施される、項目19に記載のプロセス。
(22) 工程(g)が、工程(f)の前に実施される、項目19に記載のプロセス。
(23) 前記硬化可能な組成物が、以下:
(a)1以上の活性水素含有樹脂、および
(b)(a)の活性水素と反応性の1以上の硬化試薬
を含む、項目19に記載のプロセス。
(24) 前記活性水素含有樹脂が、ポリエポキシドポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ケイ素ベースのポリマー、ウレタンポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリ尿素ポリマー、ビニルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、これらの混合物およびこれらのコポリマーから選択される少なくとも1つのポリマーを含む、項目23に記載のプロセス。
(25) 前記硬化剤(b)が、ブロック化イソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、エポキシ、アミノ樹脂、活性エステル、およびそれらの混合物から選択される、項目23に記載のプロセス。
(26) 工程(d)および工程(e)が、同時に生じる、項目19に記載のプロセス。(27) 前記レジストが、酸性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記硬化可能なコーティングが、塩基性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目19に記載のプロセス。
(28) 前記レジストが、塩基性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記硬化可能なコーティングが、酸性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目19に記載のプロセス。
(29) 前記硬化可能な組成物が、有機溶媒を適用することにより工程(e)において除去される、項目19に記載のプロセス。
(30)
工程(f)の後に得られる硬化した組成物が、誘電材料を含む、項目19に記載のプロセス。
(31) 前記レジストが、工程(j)において、工程(i)の基板の両方の主表面で画像化される、項目19に記載のプロセス。
(32) 基板を通るバイアを作製するためのプロセスであって、以下の工程:
(a)実質的にボイドを含まないフィルムを提供する工程;
(b)レジストを該フィルムに適用する工程;
(c)該レジストを所定位置において画像化する工程;
(d)該レジストを現像して、該フィルムの所定領域を露出させる工程;および
(e)該フィルムの露出領域を除去して、該フィルムを通るホールを形成する工程;
を包含する、プロセス。
(33) 以下の工程:
(g)残りのレジストを剥がす工程;および
(h)必要に応じて、金属層を全表面に適用する工程
をさらに包含する、項目32に記載のプロセス。
(34) 工程(h)において適用された金属が、銅を含む、項目33に記載のプロセス。
(35) 前記レジストが、酸性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記フィルムのうちの露出した領域が、塩基性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目32に記載のプロセス。
(36) 前記レジストが、塩基性溶液を適用することにより工程(d)において現像され、そして前記フィルムのうちの露出した領域が、酸性溶液を適用することにより工程(e)において除去される、項目32に記載のプロセス。
(37) 前記フィルムのうちの露出した領域が、有機溶媒を適用することにより工程(e)において除去される、項目32に記載のプロセス。
(38) 前記フィルムが、誘電材料を含む、項目32に記載のプロセス。
(39) 以下に続く工程:
(i)工程(h)において適用された金属層の全表面に第2レジストを適用する工程;
(j)該第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;
(k)該下にある金属層の被覆されていない部分をエッチングする工程;ならびに
(l)残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程
をさらに包含する、項目33に記載のプロセス。
(40) 前記レジストが、工程(j)において、工程(i)の基板の両方の主表面で画像化される、項目39に記載のプロセス。
(41) 以下に続く工程:
(m)誘電性組成物を全表面に適用する工程;
(n)該誘電性組成物中の所定位置にホールを提供する工程;
(o)第2金属層を全表面に適用する工程;
(p)第3レジストを該第2金属層の全表面に適用する工程;
(q)該第3レジストを画像化および現像して、該第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;ならびに
(r)該第2金属層の該露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程
をさらに包含する、項目39に記載のプロセス。
(42) 以下の工程:
(s)残りの第3レジストを剥がす工程
をさらに包含する、項目41に記載のプロセス。
(43) 工程(s)の完了の際に、工程(m)〜工程(s)が1回以上繰り返されて、所望の数の相互接続された電気回路パターン層が得られる、項目42に記載のプロセス。(44) 項目1に記載のプロセスによって形成された、基板。
(45) 項目2に記載のプロセスによって形成された、基板。
(46) 項目19に記載のプロセスによって形成された、回路アセンブリ。
(47) 項目32に記載のプロセスによって形成された、基板。
(発明の要旨)
1つの実施形態では、本発明は、基板を通るバイアを作製するためのプロセスに関する。このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)実質的にボイドを含まないフィルムを提供する工程;(b)レジストをこのフィルムに適用する工程;(c)このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)このレジストを現像して、このフィルムの所定領域を露出させる工程;および(e)このフィルムのうちの露出した領域を除去して、このフィルムを通るホールを形成する工程。
【0010】
1つの実施形態では、本発明は、硬化した基板を通るバイアを作製するためのプロセスに関する。このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)硬化可能な組成物から構成される、実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムを提供する工程;(b)レジストをこの硬化可能なフィルムに適用する工程;(c)このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)このレジストを現像して、この硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;(e)この硬化可能なフィルムの露出領域を除去して、この硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;および(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、この硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、以下の工程を包含する、複数層電気回路アセンブリを製造するためのプロセスに関する:(a)硬化可能な組成物の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムを提供する工程;(b)レジストをこの硬化可能なフィルムに適用する工程;(c)このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)このレジストを現像して、この硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;(e)この硬化可能なフィルムの露出領域を除去して、この硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、この硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程;(g)残りのレジストを剥がす工程;(h)金属層を全表面に適用する工程;(i)第2レジストを、工程(h)において適用された金属層の全表面に適用する工程;(j)この第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;(k)この下にある金属層のこの被覆されていない部分をエッチングする工程;(l)残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程;(m)誘電性組成物を全表面に適用する工程;(n)この誘電性組成物の所定位置にバイアを提供する工程;(o)第2金属層を全表面に適用する工程;(p)第3レジストをこの第2金属層の全表面に適用する工程;(q)この第3レジストを画像化および現像して、この第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;(r)この第2金属層のこの露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程;(s)残りの第3レジストを剥がす工程;ならびに(t)必要に応じて、工程(m)〜工程(s)を1回以上繰り返して、複数層の相互接続する電気回路パターンを形成する工程。
【0012】
本発明は、さらに、上記のそれぞれのプロセスによって調製された、基板および回路アセンブリに関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
作動実施例以外において、または示した場合以外には、明細書および特許請求の範囲において用いられる、成分の量、反応条件などを表現する全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示す数字のパラメーターは、概数であり、本発明によって得ることが求められる所望の特性に依存して変動し得る。せいぜい、そして添付の特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数字のパラメーターは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常の概算技術を適用して、解釈されるべきである。
【0014】
本発明の幅広い範囲を記載する数字の範囲およびパラメーターが概数であるにも拘わらず、具体的な実施例に記載される数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験測定値で見い出される標準偏差から必然的に生ずる特定の誤差を含む。
【0015】
また、本明細書中に記載されるいかなる数字範囲も、その中に含される全ての部分範囲を含むことを目的とすることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」という範囲は、記載された最小値1と、記載された最大値10との間の、およびそれらを含む(すなわち、1以上の最小値を有し、そして10以下の最大値を有する)、全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0016】
上記で言及するように、1つの実施形態では、本発明は、基板を通るバイアを作製するためのプロセスに関する。1つの特定の実施形態では、このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)実質的にボイドを含まないフィルムを提供する工程;(b)レジストをこのフィルムに適用する工程;(c)このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)このレジストを現像して、このフィルムの所定領域を露出させる工程;および(e)このフィルムのうちの露出した領域を除去して、このフィルムを通るホールを形成する工程。別の実施形態では、このフィルムは、硬化可能である。このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)以下の通りの、硬化可能な組成物の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムを提供する工程;(b)レジストをこの硬化可能なフィルムに適用する工程;(c)このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)このレジストを現像して、この硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;(e)この硬化可能なフィルムのこのうちの露出した領域を除去して、この硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;および(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、この硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程。このプロセスは、必要に応じて、以下の工程をさらに包含する:(g)残りのレジストを剥がす工程;および(h)必要に応じて、金属層を全表面に適用する工程。
【0017】
本発明のプロセスの目的のために、バイアの形成は、例えば、アースまたは電源への電気連結を提供するために、スルー連結を提供するための「スルーバイア」の形成(すなわち、一方の主な表面から他方の主な表面へと、基板を通って延びるホールの形成)、ならびに「ブラインドバイア」の形成(すなわち、適用したコーティングを通って、下にある隣接金属層へのみ、しかし貫通せずに延びるホールの形成)を包含することが意図されることが理解されるべきである。また、本発明の目的のために、「基板を通って」延びるバイアの形成は、スルーバイアの形成のみを包含することが意図される。同様に、「基板へと」延びるバイアの形成は、ブラインドバイアの形成のみを包含することが意図される。
【0018】
実質的にボイドを含まないフィルムが提供される。特定の実施形態では、このフィルムは、硬化可能な(すなわち、硬化されていない)組成物を含む。このフィルムの厚さは、10ミクロン〜250ミクロン、代表的に25ミクロン〜200ミクロンの範囲であり得る。このフィルムは、当該分野で公知の任意の種々の方法によって形成され得る。このような方法の例としては、溶媒キャスティングおよび押出しが挙げられるがこれらに限定されない。キャストフィルムは代表的に、解放基板上に形成され、キャストフィルムは、その後の工程において除去される。解放材料は、以下に記載されるその後の工程において、バイアの形成の前または後に除去され得る。このフィルムは、必要に応じて、この組成物からあらゆる溶媒および/または水を除去するために充分な温度まで加熱され得る。このフィルムが加熱され得る温度は、このコーティングから揮発性液体を除去するに充分であるが、硬化可能な組成物の場合、このフィルム組成物を硬化させるためには不十分であり、代表的には100℃と130℃との間である。加熱曝露の持続時間は、適用方法および揮発性物質の性質に依存し得、代表的には1分間と10分間との間の範囲である。任意の乾燥工程はまた、周囲条件下で達成され得る。もちろん、これらの周囲乾燥条件は、より長い期間を必要とし、そしてこの時間がこのフィルムを触っても粘着しないようにするに充分でありさえすれば、任意の期間が適切である。以下に詳細に記載されるレジストが非常に低い溶解性を有するかまたは溶解性を有さない溶液中でポリマーが可溶性でありさえすれば、このフィルムは、任意の有機ポリマーを含み得る。このようなポリマーの非限定的な例としては、以下に記載の通りの、ポリエポキシドポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ケイ素ベースのポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリ尿素ポリマー、ビニルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、これらの混合物およびこれらのコポリマーが挙げられる。
【0019】
1つの実施形態では、このフィルムは、誘電材料を含む。「誘電材料」によって、貧導電体であるが静電界の効率的な支持体である、物質を意味する。1つの実施形態では、上記の通り、このフィルム組成物は硬化可能である。「硬化可能」により、この組成物が、用いられる組成物に特異的な所定の温度範囲内で所定の時間内で熱硬化性であり得ることが意味される。本明細書中で用いられる場合、「熱硬化性」である材料とは、加熱した場合に不可逆的に凝固または「硬化」する材料をいう。熱硬化性材料は、架橋ネットワークを形成した。本明細書中で用いられる場合、ポリマー材料は、ポリマーネットワークを少なくとも部分的に形成する場合、「架橋」される。当業者は、架橋の存在および程度(架橋密度)が、種々の方法(例えば、窒素下で実施されるTA Instruments DMA 2980分析機を用いた動的機械的熱分析(DMTA))によって決定され得ることを理解する。この方法は、自由フィルムのコーティングまたはポリマーのガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化した材料のこれらの物理的特性は、架橋ネットワークの構造に関連する。代表的に、この硬化可能な組成物は、周囲温度での熱硬化性に対して安定であるが、以下でさらに記載する上昇した温度では、熱硬化し得る。本発明の目的のためには、「硬化されていない」により、この組成物が、液体(例えば、酸性溶液、塩基性溶液、または有機溶媒)中でのある程度の溶解性を維持することを意味する。本明細書中で言及する場合、「塩基性溶液」とは、pHが7より高い溶液を意味する。「酸性溶液」により、pHが7より低い溶液を意図する。
【0020】
フィルムの形態で提供される硬化可能な組成物は、この組成物が熱硬化性で硬化性であるならば、コーティング分野またはポリマー分野の当業者に公知の任意の種々の硬化可能な組成物を含み得る。特定の実施形態では、この硬化可能な組成物は、(a)1以上の活性水素含有樹脂、および(b)(a)の活性水素と反応性の1以上の硬化試薬を含む。種々の活性水素含有樹脂材料は、この樹脂が酸性溶液、塩基性溶液、または有機溶媒中である程度の溶解度を有する限り、本発明における使用のために適切である。このような樹脂の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ポリエポキシドポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ケイ素ベースのポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリ尿素ポリマー、ビニルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、これらの混合物およびこれらのコポリマー。本明細書中で用いられる場合、「ケイ素ベースのポリマー」によって、骨格中に1以上の−SiO−単位を含むポリマーを意味する。このようなケイ素ベースのポリマーは、ハイブリッドポリマー(例えば、骨格中に1以上の−SiO−単位を有する、有機ポリマーブロックを含むポリマー)を包含し得る。この樹脂は、酸性溶液または塩基性溶液中での溶解性を付与する官能基(例えば、イオン性基またはイオン性基を形成し得る基)をさらに含み得る。このような官能基の非限定的な例としては、アミン、アミン塩およびカルボン酸が挙げられる。特に適切な組成物の一例は、係属中の出願番号____に記載される通りの、ハロゲン化イオン性塩基を含有する樹脂である。本明細書中で用いられる場合、用語「ポリマー」とは、オリゴマー、ならびに本発明のもポリマーおよびコポリマーの両方を言及することを意味する。
【0021】
この活性水素含有樹脂(a)は代表的に、1以上の硬化剤(b)に関連して用いられる。適切な硬化剤は、樹脂成分(a)の活性水素と反応性である基を含む硬化剤である。このような硬化剤としては、ブロック化ポリイソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、エポキシ、アミノ樹脂、活性エステル、およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中で用いられる場合、「活性エステル」により、1分子当り1より多くのβ−ヒドロキシルエステル基を有する、ポリカルボン酸の非酸性ポリエステル(例えば、米国特許第4,352,842号および同第4,332,711号に開示されるポリエステル)を意味する。
【0022】
架橋剤(b)の混合物もまた、用いられ得る。1つの実施形態では、異なる温度で硬化する2つの架橋剤が用いられ得る。1つの架橋剤は、バイアの形成をもたらす工程の前に、周囲温度での部分的硬化を付与して、フィルムのある程度の一体性(integrity)を提供し得るが、コーティング組成物を酸性溶液、塩基性溶液または有機溶液中で可溶性のままにし得る。第2の架橋剤は、実質的により高い温度において、別々の工程における硬化を完了し得、従って、このコーティング組成物を加工しにくくし得る。
【0023】
1つの実施形態では、この硬化剤(b)は、アミノ樹脂を含む。適切なアミノ樹脂は、当業者に公知である。アミノプラストは、アミンまたはアミドとのホルムアルデヒドの縮合反応から入手され得る。アミンまたはアミドの非限定的な例としては、メラミン、尿素またはベンゾグアナミン(benzoguanamine)が挙げられる。用いられるアルデヒドは最も頻繁にはホルムアルデヒドであるが、他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒドおよびベンズアルデヒド)が用いられ得る。アミノ樹脂は、イミノ基およびメチロール基を含み、そして特定の例では、メチロール基の少なくとも一部は、硬化応答を改変するために、アルコールを用いてエーテル化される。アミノ樹脂の非限定的な例としては、(特定の例では、1個〜4個の炭素原子を含む1以上のアルコールでモノマーエーテル化および少なくとも部分的にエーテル化される)メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、またはベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。適切なアミノ樹脂の非限定的な例は、例えば、Cytec Industries,Inc.から、商標CYMEL(登録商標)で、そしてSolutia,Inc.から、商標RESIMENE(登録商標)で市販される。
【0024】
特定の実施形態では、この硬化剤(b)は、ブロック化ポリイソシアネートを含む。「ブロック化ポリイソシアネート」により、得られるブロック化イソシアネート基が周囲温度において活性水素に対して安定であるが上昇した温度(通常、90℃と200℃との間)でのこの樹脂中の活性水素と反応性であるように、このイソシアネート基が化合物と反応したことを意味する。このポリイソシアネートは、米国特許第3,984,299号、第1欄、第1行〜第68行、第2欄および第3欄、第1行〜第15行に記載される通り、完全にブロック化され得るか、または米国特許第3,947,338号、第2欄、第65行〜第68行、第3欄および第4欄、第1行〜第30行に記載される通り、ポリマー骨格と部分的にブロック化および反応され得る(これらの特許は本明細書中に参考として援用される)。
【0025】
1つの実施形態では、この硬化可能な組成物は、コーティングが、以下に記載されるその後の工程において形成されたバイアに流入して閉塞することを防止することを支持し得るレオロジー改変剤をさらに含み得る。コーティングの分野において周知の任意の種々のレオロジー改変剤が、この目的のために用いられ得る。適切なレオロジー改変剤の例としては、細かく分割された形態の固体無機フィラー(例えば、米国特許第4,601,906号に記載されるフィラー)およびマイクロゲル(例えば、カチオン性マイクロゲル(例えば、米国特許第5,096,556号およびEP 0 272 500 B1に記載されるゲル))が挙げられる。
【0026】
樹脂性感光性層(すなわち、「フォトレジスト」または「レジスト」)は、フィルム上に適用される。1つの実施形態では、この樹脂性感光性層は、硬化されていないフィルム上に適用される。この樹脂性感光性層は、ポジティブフォトレジストまたはネガティブフォトレジストであり得る。このフォトレジスト層は、このフィルムの表面の少なくとも一部に適用され得るが、代表的には、このフィルムの表面全体に適用される。このフォトレジスト層は、1ミクロン〜50ミクロン、代表的には5ミクロン〜25ミクロンの範囲の厚さを有し得、そして写真平板加工分野の当業者に公知の任意の方法により適用され得る。
【0027】
適切なポジティブ作用性感光性樹脂としては、当該分野で公知のもののいずれかが挙げられる。例としては、ジニトロ−ベンジル官能性ポリマー(例えば、米国特許第5,600,035号、第3欄〜第15欄に開示されるポリマー)が挙げられる。このような樹脂は、高度の感光性を有する。1つの実施形態では、この樹脂性感光性層は、代表的にロールコーティングによって適用される、ジニトロベンジル官能性ポリマーを含む組成物である。
【0028】
ネガティブ作用性フォトレジストとしては、液体フィルム型組成物または乾燥フィルム型組成物が挙げられる。液体組成物は、ローリング技術、スピンコーティング技術、スクリーン印刷技術、浸漬技術またはカーテン技術によって適用され得る。乾燥フィルムフォトレジストの例としては、米国特許第3,469,982号、同第4,378,264号、および同第4,343,885号に開示されるレジストが挙げられる。乾燥フィルムフォトレジストは代表的に、例えば、熱いローラーの適用により、表面上に積層される。乾燥フィルムは、積層に用いられる温度および時間が、このフィルム組成物が硬化するには不十分でありさえすれば、用いられ得る。
【0029】
感光性層が適用された後、所望のパターンを有するフォトマスクが、この感光性層の上に配置され得、そして層を形成した基板は、充分なレベルの適切な照射源(代表的に、化学線源)に曝露され得る(本明細書では以後、「画像化」という)。本明細書中で用いられる場合、用語「充分なレベルの照射」とは、ネガティブ作用性レジストの場合、照射に曝露された領域におけるモノマーを重合させるレベルの照射を、またはポジティブ作用性レジストの場合、ポリマーを脱重合させるかもしくはポリマーをより可溶性にするレベルの照射をいう。これは、照射に曝露された領域と照射から遮蔽された領域との間での可溶性の差をもたらす。
【0030】
このフォトマスクは、照射線源への曝露後に除去され得、そして層が形成された基板は、従来の現像溶液を用いて現像されて、レジストのうちのより可能性の部分が除去され得、そして下にある硬化されていないコーティングのうちの選択された領域が露出し得る。代表的な現像液は、酸性溶液または塩基性溶液のいずれかを含む。
【0031】
このレジストを上記の通りに加工(すなわち、画像化および現像)した後、次いで、このフィルムまたは硬化されていない組成物の露出部分が除去されて、フィルムまたは硬化されていない組成物中にバイアが形成される。このフィルムまたは硬化可能なフィルムの除去のために用いられる溶液は、酸性溶液、塩基性溶液または有機溶媒であり得る。酸性溶液を用いて除去され得る組成物としては、塩基性基(例えば、アミン)を含むポリマーが挙げられる。塩基性溶液は、酸性基(例えば、カルボン酸)を含む組成物を除去し得る。このフィルムまたは硬化可能な組成物の露出領域を除去する工程では、この溶液は、このポリマー骨格を化学的にエッチングすることではなく、この組成物を溶解することにより作用する。
【0032】
1つの実施形態では、この感光性層は、酸性溶液を適用することにより現像され、そしてこのフィルムのうちの露出した領域は、塩基性溶液の作用により除去される。別の実施形態では、この感光性層は、塩基性溶液を適用することにより現像され、そしてこのフィルムのうちの露出した領域は、酸性溶液の作用により除去される。別の実施形態では、このフィルムのうちの露出した領域は、有機溶媒の作用により除去され得る。適切な有機溶媒の非限定的な例としては、脂肪族炭化水素、アラリファティック(araliphatic)炭化水素および芳香族炭化水素、ならびにハロカーボン、エーテル、アルコール、ケトンおよびエステルが挙げられる。
【0033】
このフィルムが硬化可能な組成物を含む1つの実施形態では、この感光性層は、酸性溶液を適用することにより現像され、そして硬化されていないコーティングのうちの露出した領域が、塩基性溶液の作用によって除去される。別の実施形態では、この感光性層は、塩基性溶液を適用することにより現像され、そして硬化されていないコーティングのうちの露出した領域が、酸性溶液の作用により除去される。なお別の実施形態では、硬化されていないコーティングのうちの露出した領域は、感光性層の現像のために用いられる現像液の作用により除去され得る。この場合には、レジストを現像する工程と硬化されていないコーティングのうちの露出した領域を除去する工程とは、同時に生じる。別の実施形態では、硬化可能な組成物のうちの露出した領域は、有機溶媒(例えば、上記の有機溶媒)の作用によって除去され得る。
【0034】
写真平板処理技術の当業者にとって、感光層の未現像の部分が、このフィルムまたは硬化可能な組成物を除去するために用いられる溶液の作用に感受性でなくてはならないことは明らかである。このフィルムまたは硬化されていない組成物のうちの露出した領域の除去は、このフィルム組成物におけるホール(すなわち、スルーバイア)のパターンをもたらす。
【0035】
硬化可能な組成物の場合、このフィルムは、このコーティング組成物を硬化させるために加熱される。本発明の目的のために、「硬化される」によって、このコーティングが、熱硬化性反応により、酸性溶液または塩基性溶液(例えば、上記の溶液のいずれか)中に実質的に不溶性にされることを意味することが理解されるべきである。このコーティング組成物を硬化させるために必要な温度および時間は、上記の特定の樹脂(a)および硬化剤(b)の組み合わせに依存する。硬化温度は、60℃〜220℃、代表的には100℃〜200℃の範囲に及び得る。このフィルムが硬化される場合、このフィルムを通るバイアのパターンは、インタクトなままである。硬化したフィルムは、スルーバイアが存在する位置を除いて、実質的に均質な厚さのフィルムである。硬化したフィルムの厚さは、しばしば、250ミクロン以下であり、通常150ミクロン以下であり、代表的に50ミクロン以下であり、そして20ミクロン以下であり得る。ある特定の実施形態では、この硬化されたフィルムは、誘電材料を含む。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、このプロセスは、(g)残りのレジストを剥がす工程をさらに含み得る。さらなる実施形態では、このプロセスは、以下の工程を含み、金属化基板を形成し続け得る:(g)残りのレジストを剥がす工程;および(h)金属層を全表面に適用する工程。フィルムまたは硬化されていないフィルムのうちの露出領域の除去の間、このレジストは、下にあるフィルムまたは硬化されていないフィルムを保護する。残りのレジストは、除去工程において用いられる溶液に対して不浸透性であり、次いで、化学的剥がしプロセスによって除去され得る。
【0037】
硬化可能な組成物の場合、特定の実施形態では、残りのレジストは、この下にあるコーティングの硬化の前に除去される。代替の実施形態では、残りのレジストは、この下にあるフィルムが硬化された後に除去される。当業者は、この硬化されていないフィルムのうちの露出した領域が、このレジストの現像のために用いられるのと同じ現像液の作用によって除去され得るならば、この下にあるフィルムを硬化する工程は、残りのレジストを剥がす工程の前に実施されねばならないことを認識する。
【0038】
金属化は、金属層を全表面に適用して、このフィルムを通る金属化バイアの形成を可能にすることにより実施される。適切な金属としては、銅または充分な電導特性を有する任意の金属もしくは合金が挙げられる。この金属は代表的に、電気鍍金、金属蒸着、無電解鍍金、または均質な金属層を提供することが当該分野で公知の任意の他の適切な方法によって適用される。この金属層の厚さは、1ミクロン〜50ミクロン、代表的には5ミクロン〜25ミクロンの範囲にわたり得る。
【0039】
このフィルムへの金属層の接着を強化するために、金属化工程の前に、全表面は、イオンビーム、電子ビーム、コロナ放電またはプラズマ衝撃で処理され得、続いて接着促進層が全表面に適用され得る。この接着促進層は、50オングストローム〜5000オングストロームの厚さ範囲にわたり得、そして代表的には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト、セシウム、鉄、アルミニウム、銅、金および亜鉛ならびにそれらの酸化物から選択される金属または金属酸化物である。
【0040】
さらなる実施形態では、このプロセスは、以下の工程を含み、続けられ得る:(i)工程(h)において適用された金属層の全表面に第2レジストを適用する工程;(j)この第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;(k)この下にある金属層の被覆されていない部分をエッチングする工程;ならびに(l)残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程。
【0041】
金属化後、第2の樹脂性感光性層(すなわち、「第2フォトレジスト」または「第2レジスト」)は、金属層に適用され得る。この第2レジストは、一方または両方の主表面に適用され得る。必要に応じて、フォトレジストの適用の前に、この金属化基板は、クリーニングおよび/または前処理され得る;例えば、酸性エッチング液で処理されて、酸化金属が除去され得る。この第2レジスト、ならびに本発明のプロセスの任意のその後の工程において用いられるこのレジストのいずれかは、上記の通りのポジティブレジストまたはネガティブフォトレジストであり得、そして上記で用いられるレジストと同じであっても異なっていてもよい。上記のレジストのいずれかは、第2レジストとしての使用に適切である。本発明のさらなる実施形態では、このレジストは、電着可能であり得る。このフォトレジスト層は、1ミクロン〜50ミクロン、代表的には5ミクロン〜25ミクロンの範囲に及ぶ厚さを有し得、そして写真平板処理の分野の当業者に公知の任意の方法により適用され得る。乾燥フィルムレジストは、積層温度および時間の制限がなく、この工程およびその後の工程において用いられ得る。付加的処理方法または減算的処理方法は、所望の回路パターンを作製するために用いられ得る。
【0042】
1つの実施形態では、ポジティブ作用性レジストは、米国特許第5,600,035号の実施例3〜6において記載されるような、ジニトロベンジル官能性ポリウレタンおよびエポキシ−アミンポリマーを含む電着可能組成物を含む。
【0043】
別の実施形態では、液体のネガティブ作用性レジストは、電着(好ましくは、カチオン性電着)によって適用される。電着可能フォトレジスト組成物は、カチオン性またはアニオン性であり得かつポリエステル、ポリウレタン、アクリルおよびポリエポキシドから選択される、イオン性のポリマー材料を含む。アニオン性電着によって適用されるフォトレジストの例は、米国特許第3,738,835号に示される。カチオン性電着によって適用されるフォトレジストは、米国特許第4,592,816号に記載される。
【0044】
この第2レジストは、上記に詳細に記載される通りに加工(すなわち、画像化および現像)されて、被覆されていない下にある金属のパターンが得られる。両方の種表面が第2レジスト層を含む場合、層を形成した基板の対向表面が、同時にまたは逐次、画像化および加工され得る。次いで、被覆されていない金属は、金属を水溶性金属錯体へと変換する金属エッチング液を用いてエッチングされ得る。可溶性錯体は、例えば、水のスプレーによって除去され得る。
【0045】
この第2レジストは、下にある金属層をエッチング工程の間保護する。次いで、残りの第2レジスト(これは、エッチング液に対して不浸透性である)は、化学的剥がしプロセスによって除去されて、バイアを通した金属化によって接続された両方の主表面上に回路パターンが提供され得る。
【0046】
さらなる実施形態では、このプロセスは、以下の工程を含んで、なおさらに続けられ得る:(m)誘電性組成物を全表面に適用する工程;(n)この誘電性組成物中の所定位置にホールを提供する工程;(o)第2金属層を全表面に適用する工程;(p)第3レジストをこの第2金属層の全表面に適用する工程;(q)この第3レジストを画像化および現像して、この第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;ならびに(r)この第2金属層のこの露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程。必要に応じて、このプロセスは、(s)残りの第3レジストを剥がす工程をさらに包含する。
【0047】
回路形成層に適用される誘電性組成物は、当業者に公知の任意の誘電性組成物であり得る。このような層は、回路パターンの積層した層を絶縁するために役立つ。このコーティング組成物は、コンフォーマルコーティングを形成する、すなわち、基板内および/または基板を通る任意のバイア内の表面を含め、基板の全表面を覆う。この誘電性組成物は、コーティングの分野において公知の種々の方法のうちのいずれかによって適用され得る。このような方法の例としては、スクリーン印刷技術、カーテンコーティング技術、ロールコーティング技術、浸漬コーティング技術、スプレーコーティング、蒸着、スピンコーティングおよび乾燥フィルム積層が挙げられるがこれらに限定されない。当業者は、適用方法としての電着が、実質的に全表面上が導電性である基板にのみ適切であることを認識する。代表的な誘電性組成物の非限定的な例としては、ポリイミド、エポキシ、ポリ(パラキシレン(paraxylylene))、ポリテトラフルオロエチレン、およびベンゾシクロブテンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
ホールまたはバイアは、当業者に公知の任意の方法により、誘電性組成物中に提供され得る。ホールを提供する方法の一例は、レーザードリリングである。ホールはまた、誘電材料が感光性(例えば、WO01/77753に記載される通りの感光性ポリイミド)であれば、写真平板によって提供され得る。ホールはまた、硬化されていない、同時係属中の出願第____号に記載の通りの硬化可能なコーティング組成物中に提供され得る。ホールを提供するためのさらなる方法の非限定的な例としては、プラズマエッチング、化学的エッチング、および機械的ドリリングが挙げられる。このようにして提供されたホールは、誘電性層を通って下にある回路形成層へと延び得る(「ブラインドバイア」)か、または層形成された基板全体を通って反対側へと延び得る(このようにして「スルーバイア」を形成する)。
【0049】
バイアの形成後、金属層は、バイアの表面を含め、全表面に適用され得る。このことは、基板へのおよび/または基板を通る金属化バイアの形成をもたらす。適切な金属としては、銅または充分な導電特性を有する任意の金属もしくは合金が挙げられる。この金属は、上記の方法のいずれかにより適用され得る。この金属層の厚さは、1ミクロン〜50ミクロン(代表的には5ミクロン〜25ミクロン)の範囲に及び得る。下にある誘電性層の調製は、上記の通り実施され得る。
【0050】
金属化後、第3樹脂性感光性層(すなわち、「第3フォトレジスト」または「第3レジスト」)は、この金属層に適用され得る。必要に応じて、このフォトレジストの適用前に、この金属化基板は、クリーニングおよび/または前処理され得る;例えば、酸性エッチング液で処理されて、酸化金属が除去され得る。この第3レジストは、上記の通りのポジティブレジストまたはネガティブフォトレジストであり得、そして先の工程で用いられるレジストと同じであっても異なっていてもよい。先に記載されるレジストのいずれもが、第3レジストとしての用途に適切である。
【0051】
この第3レジストは、上記に詳細に記載した通りに加工されて、被覆されていない下にある金属のパターンが得られる。層を形成した基板の対向する表面は、同時にまたは逐次、画像化および加工され得る。次いで、被覆されていない金属は、金属を水溶性金属錯体へと変換する金属エッチング液を用いてエッチングされ得る。可溶性錯体は、例えば、水のスプレーによって除去され得る。
【0052】
この第3レジストは、下にある金属層をエッチング工程の間保護する。次いで、残りの第3レジスト(これは、エッチング液に対して不浸透性である)は、化学的剥がしプロセスによって除去されて、バイアを通した金属化によって接続された両方の主表面上に回路パターンが提供され得る。回路パターンのうちの下にある層は、金属化ブラインドバイアによって接続される。
【0053】
層を形成した基板上での回路パターンの調製後、このプロセスの工程(m)〜工程(t)は、1回以上繰り返されて、複数の層が形成された回路アセンブリが形成され得る。このプロセス全体を通しての種々の工程において用いられるレジストはまた、先の工程に用いられたレジストと同じであっても異なっていてもよい。
【0054】
上記のように、本発明はまた、複数層電気回路アセンブリを製造するためのプロセスに関し、このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)硬化可能な組成物の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルム(例えば、先に記載した硬化可能な組成物のうちのいずれか)を提供する工程;(b)先に記載したレジスト組成物のいずれかをこの硬化可能なフィルムに適用する工程;(c)上記の方法を用いて、このレジストを所定位置において画像化する工程;(d)先に記載の方法を用いて、このレジストを現像して、この硬化可能なフィルムの所定領域を露出させる工程;(e)上記に詳細に記載した条件のいずれかを用いて、この硬化可能なフィルムの露出領域を除去して、この硬化可能なフィルムを通るホールを形成する工程;(f)工程(e)の硬化可能なフィルムを、先に記載の通り、この硬化可能な組成物を硬化させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程;(g)上記の通りの従来方法により、残りのレジストを剥がす工程;(h)先に記載の通り、金属層を全表面に適用する工程;(i)上記のレジスト組成物のうちのいずれかを第2レジストとして、工程(h)において適用された金属層の全表面に適用する工程;(j)先に記載の方法を用いて、第2レジストを画像化および現像して、被覆されていない下にある金属の所定のパターンを明らかにする工程;(k)先に記載の通り、この下にある金属層のうちのこの被覆されていない部分をエッチングする工程;(l)上記の通り、従来方法によって残りの第2レジストを剥がして、電気回路パターンを形成する工程;(m)上記の誘電性組成物のいずれかを全表面に適用する工程;(n)上記の方法のうちのいずれかを用いて、この誘電性組成物の所定位置にバイアを提供する工程;(o)第2金属層を全表面に適用する工程;(p)先に記載の通りに、上記レジスト組成物のいずれかを第3レジストとして、この第2金属層の全表面に適用する工程;(q)上記の方法を用いてこの第3レジストを画像化および現像して、この第2金属層の所定のパターンを露出させる工程;(r)この第2金属層のこの露出した部分をエッチングして、電気回路パターンを形成する工程;(s)上記の通りの従来方法により、残りの第3レジストを剥がす工程;ならびに(t)必要に応じて、工程(m)〜工程(s)を1回以上繰り返して、複数層の相互接続する電気回路パターンを形成する工程
本発明の広い着想から逸脱することなく、上記の実施形態への変更が行われ得ることが当業者によって認識される。それゆえ、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される通りの本発明の精神および範囲内にある改変を包含することが意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板へのバイアを作製するためのプロセスにおいて使用するための、実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルムであって、該硬化可能なフィルムが、硬化可能な組成物を含み、該硬化可能な組成物が、
(a)1以上の活性水素含有樹脂、および
(b)(a)の活性水素と反応性の1つの硬化試薬
を含み、
該基板へのバイアを作製するためのプロセスが、
(a)該硬化可能なフィルムを周囲温度で部分的に硬化させる工程;
(b)レジストを部分的に硬化した該フィルムに適用する工程;
(c)該レジストを所定位置において画像化する工程;
(d)該レジストを現像して、該部分的に硬化したフィルムの所定領域を露出させる工程;
(e)該部分的に硬化したフィルムの該露出した領域を除去して、該部分的に硬化したフィルムを通るホールを形成する工程;および
(f)該部分的に硬化したフィルムを、該硬化可能な組成物の硬化を完了させるために充分な温度までかつ充分な時間にわたって加熱する工程
を包含する、実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルム。
【請求項2】
前記硬化可能なフィルムの露出した領域を除去して、該部分的に硬化したフィルムを通るホールを形成する工程が、
(g)該部分的に硬化したフィルムの該露出した領域を溶解する工程
を包含する、請求項1に記載の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルム。
【請求項3】
前記硬化可能な組成物が、前記活性水素含有樹脂の活性水素と反応性である第2硬化試薬をさらに含有し、該第2硬化試薬は、工程(f)における前記硬化可能な組成物の硬化を完了させる、請求項1に記載の実質的にボイドを含まない硬化可能なフィルム。

【公開番号】特開2010−118708(P2010−118708A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43307(P2010−43307)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【分割の表示】特願2006−261571(P2006−261571)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】