説明

ポリマー

【課題】青色電子冷光放射性材料のための電子輸送材料としての機能を有する高電子結合性材料を提供する。
【解決手段】式(I)の選択的に置換された第1繰返し単位を含むポリマーであって、


ここで、Arは(a)少なくとも1つの電子誘引基で置換される芳香族炭化水素、又は(b)電子誘引ヘテロアリールを含むポリマーを提供する。ポリマーは電子冷光放射性装置に応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ポリマー、その合成及び光学装置における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電気活性ポリマーは、WO90/13148に開示されるようなポリマー発光ダイオード(PLED)、WO96/16449に開示されるような光起電装置及びUS5523555に開示されるような光ダイオードのような多数の光学装置に頻繁に使用されている。
【0003】
典型的なPLEDはアノードとカソードの間に位置する有機電子冷光放射性層を含む。稼動においては、正孔はアノードを通して装置に注入され、電子はカソードを通じて装置に注入される。正孔は電子冷光放射性ポリマーの最高占有軌道(HOMO)に入り、電子は最低空軌道(LUMO)に入り、結合して励起し放射崩壊して光を放出する。電子冷光放射性ポリマーからの発光色はHOMO−LUMO間のバンドギャップに依存する。
【0004】
電子輸送材料は、カソードから電子冷光放射性ポリマーのLUMOへの電子の輸送を助けるために通常使用され、これによって装置の効率が増加する。適切な電子輸送材料は、電子冷光放射性ポリマーのLUMOレベルとカソードの仕事関数の間に位置するLUMOレベルを有するものである。同様に、アノードの仕事関数と発光材料のHOMOレベルの間に位置するHOMOレベルを有する正孔輸送材料が通常使用される。例えば、WO99/48160は、正孔輸送ポリマー、電子輸送ポリマー及び電子冷光放射性ポリマーの混合物を開示する。あるいは、電子輸送機能及び発光機能がWO00/55927に開示されるようなブロック共重合体の異なるブロックによって提供され得る。
【0005】
PLED分野における焦点は、赤、緑及び青色冷光放射性ポリマーが要求されるフルカラーディスプレイの開発であった。例えば、Synthetic Materials 111−112(2000),125−128参照。この目的のために、PAL標準1931CIE調整によって定義される赤、緑及び青色発光を有する各3色の電子冷光放射性ポリマーの開発に関する多くの報告がなされている。
【0006】
青色冷光放射性ポリマーが直面する困難は、対応する赤又は緑色材料より寿命(例えば、一定の電流において最初の輝度から半分の輝度になるまでに要する時間)が短くなる傾向にあることである。青色材料のより迅速な劣化に貢献している1つの要因としては、LUMOレベルであり、すなわち、電子のLUMOへの注入に続く電荷状態のエネルギーレベルが対応する赤又は緑色材料よりも深くない傾向にあるという点である。したがって、これらより低い電子結合性を有する材料は電子的に安定でなく、より劣化しやすいということであろう。
【0007】
簡潔に言えば、フルカラーディスプレイは、好ましくは全ての電子冷光放射性材料について同じカソード材料を有する。これは、典型的な青色電子冷光放射性ポリマーのカソードのLUMOと仕事関数にエネルギーギャップは典型的な赤又は緑色冷光放射性ポリマーより大きいという問題をもたらす。これは、より低い効率の原因となる。
【0008】
明らかに、青色電子冷光放射性ポリマーの電子の注入の促進は望ましいが、発光材料は通常最も小さいバンドギャップを有するという事実によって電子輸送材料の選択は限定されてしまう。青色に要求されるバンドギャップは赤、緑、青の中で最大であるため、この限定は青色冷光放射性ポリマーの場合特に制限的である。
【0009】
ジアルキルフルオレン繰返し単位を含むホモポリマー又はブロック共重合体のようなフルオレン繰返し単位の鎖は電子輸送材料として使用され得る。電子輸送特性に加えて、ポリフルオレンは従来の有機溶媒に可溶であり、良好な薄膜形成特性を有するという利点を有する。さらに、フルオレンモノマーは、合成ポリマーの部分規則性を高いレベルで制御するヤマモト重合又はスズキ重合に従いやすい。
【0010】
ポリフルオレン系ポリマーの1つの例は、WO00/55927に開示される式(a)の青色電子冷光放射性ポリマーである。
【化6】

【0011】
このポリマーにおいて、F8で示されるジオクチルフルオレンの鎖は電子輸送材料として機能する。TFBとして示されるトリフェニルアミンは正孔輸送材料として機能し、PFBとして示されるビス(ジフェニルアミド)ベンゼン誘導体は発光材料として機能する。
【0012】
WO94/29883は、仕事関数の高い電極と電子冷光放射性ポリマー間の電子注入の障壁を減らす目的で電子冷光放射性ポリマーにおける置換基として、電子誘引基の使用、特にニトリル基を開示している。この文献は、ポリ(アリーレンビニレン)について上記置換基を使用することだけを教えている。
【0013】
J.Poly.Sci.PartA:Polym.Chem.Vol.39(2001)は式(b)で表される繰返し単位のポリマーを開示している。
【化7】

【0014】
この開示は、ポリフルオレンの凝集を引き起こすと報告されている内部鎖の相互作用を減らす手段としてフルオリネート側鎖の使用を記載しており、電子結合性を増加する手段として上記の電子欠乏置換基の使用については検討していない。このポリマーは光冷光放射性を示さないものとして開示されている。
【0015】
フェニル基が置換基を運ぶジフェニルフルオレンが開示されているが、これらの置換基はそのHammet sigma定数によって測定される電子寄与基である。例えば、WO00/22026は式(c)で表される繰返し単位(c)を開示する。
【化8】

【0016】
この文献にさらに開示されているのは、ジアルキルフルオレン繰返し単位とトリアリールアミン繰返し単位を有する(c)のコポリマーである。フルオレンの9−位置の非対称の置換基がポリマーの凝集を避ける目的のために記載されている。この文献は、フルオレン主鎖の増大された電子注入を目的として9−置換基を使用することを教えるものではない。同様に、WO99/20675は、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン及び9,9−ジ(4−メトキシフェニル)フルオレンの1:1のコポリマーを開示し、WO01/62822はトリアリールアミン9−置換基を有するポリフルオレンを開示する。
【0017】
JP10095972は、式(e)で表される分子を開示している。
【化9】

【0018】
これは前述したポリマーではなく「低分子」として知られるタイプの発光材料として開示されている。この分子は、分離された電子輸送分に共役されて使用される。フェニル環でのフルオレン置換基の使用はフルオレン環の電子結合性を増加させる目的のためには記載されていない。フルオレン置換基はこの文献に開示されるフェニル環に置換可能な基の多数のうちの1つに過ぎない。
【0019】
【特許文献1】国際公開00/22026号パンフレット
【特許文献2】国際公開99/20675号パンフレット
【特許文献3】国際公開01/62822号パンフレット
【特許文献4】日本特許10095972号登録公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の1つの目的は、青色電子冷光放射性材料のための電子輸送材料としての機能を有する高電子結合性材料を提供することである。上記に説明した理由によって、このような材料は赤又は緑色材料のための電子輸送材料として機能することができる。さらに、このような材料は、その大きなHOMO−LUMOバンドギャップの結果として青色電子冷光放射性材料としても使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の発明者は、改良された電子注入、したがって、改良されたPLED特性は公知のポリフルオレンの電子結合性を増加させることによって達成される。
【0022】
したがって、第1の態様において、本発明は式(I)の選択的に置換された繰返し単位を含むポリマーを提供する。
【化10】

ここで、Arは、
(a)少なくとも1つの電子誘引基で置換された芳香族炭化水素、又は
(b)電子誘引ヘテロアリール
から選択される。
【0023】
好ましくは、ポリマーは式(II)で表される繰返し単位を含む。
【化11】

ここで、各Arは、
(a)少なくとも1つの電子誘引基によって置換された芳香族炭化水素、又は
(b)電子誘引ヘテロアリール
からそれぞれ独立して選択される。
【0024】
(a)の好ましいAr基は、式(III)の単位から独立して選択される。
【化12】

ここで、nは1〜3であり、R1〜R5は、
水素、
アルキル、アルコキシ、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選択される溶解性基、及び
電子誘引基
から、R1−R5の少なくとも1つが電子誘引基となるように、独立して選択される。最も好ましいnは1、すなわちArはフェニルである。
【0025】
(a)の他の好ましいAr基は、ナフタレン及びアントラセンのような縮合芳香族炭化水素である。
【0026】
好ましくは、電子誘引基は、フルオリン、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アミド、ケトン、フォスフィノイル、フォスフォネート、スルフォン及びエステルからなる群より選択される。より好ましくは、少なくとも1つの電子誘引基は、フルオリン原子、フルオロアルキル、フルオロアリール及びフルオロヘテロアリールから選ばれる。
【0027】
(b)の好ましい電子誘引ヘテロアリール基は、選択的に置換されたN含有ヘテロアリール、特に、選択的に置換されたピリジン、より好ましくは、ピリジン−4−イル、ピラジン、トリアジン、最も好ましくは、1,3,5−トリアジン−2−イル及びオキサジアゾールである。電子誘引ヘテロアリールはその電子誘引効果をさらに増強するために上記に概略したように電子誘引基で置換され得る。
【0028】
好ましくは、本発明のポリマーは第2の繰返し単位を含む。より好ましくは、第2の繰返し単位はトリアリールアミン及び複素環式芳香族化合物から選ばれる。
【0029】
好ましくは、本発明のポリマーは電子を輸送することができる。さらに、本発明のポリマーは正孔輸送及び/又は発光ができる少なくとも1つのセグメントを有する。正孔輸送、電子輸送及び発効の2又はそれ以上の機能は同じセグメントにより供給される。特に、単一のセグメントが電子輸送及び発光体として機能することができる。
【0030】
第2の側面において、本発明は、光学装置、好ましくは、上記のポリマーを含む電子冷光放射性装置を提供する。
【0031】
第2の側面の1つの態様として、
第1のタイプの電荷輸送体を注入するための第1の電極、
第2のタイプの電荷輸送体を注入するための第2の電極、
第1及び第2の電極の間に本発明の第1の側面のポリマーを含む発光層
を含む電子冷光放射性装置が提供される。
【0032】
発光層内における発光材料は、本発明の第1の側面のポリマー又は他のポリマー、好ましくは本発明の第1の側面のポリマーと混合した他のポリマーであり得る。好ましくは、
本発明の第1の側面のポリマーはこの装置において電子を輸送することが出来る。
【0033】
第3の側面において、本発明は式(IV)で表される選択的に置換された化合物を含むモノマーを提供する。
【化13】

ここで、各Pは独立して重合基を表し、Arは上記のように定義される。
【0034】
好ましくは、モノマーは選択的に置換された式(V)の化合物を含む。
【化14】

【0035】
好ましくは、各Pは、ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基および反応性ハロゲン基から独立して選択される。
【0036】
第4の側面において、本発明は、モノマーを重合するための条件下において、上記の第1モノマーと第1モノマーと同じか又は異なる第2モノマーを反応させる工程を含むポリマーの製造プロセスを提供する。
【0037】
好ましくは、このプロセスは次の反応混合物における重合を含む。
(a)各Pがボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択されるボロン誘導官能基である本発明の第3の側面のモノマー、並びに少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する芳香族モノマー、
(b)各Pが反応性ハロゲン官能基である本発明の第3の側面のモノマー、並びにボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選ばれる少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する芳香族モノマー、
(c)各Pが反応性ハロゲン官能基であり、1つのPはボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基より選択されるボロン誘導官能基である本発明の第3の側面のモノマー、
ここで、反応混合物は芳香族モノマーの重合を触媒するのに適した触媒量の触媒、並びにボロン誘導官能基をボロネートアニオン基に変換するのに十分な量の塩基を含む。
【0038】
本発明の発明者は、ペルフルオロアルキルのような脂肪族電子誘引9−置換基を有する系において発見されたように、デバイス特性に悪影響を与えることなく、本発明のポリマーは赤、緑又は青色の冷光放射性ポリマー用の電子輸送材料として有効に機能することを発見した。
【0039】
本発明のモノマーを使用して製造されたポリマーはホモポリマー又はコポリマーである。本発明のモノマーの重合における広範囲のコポリマーが当業者にとって明らかであろう
。コモノマーの例としては、例えば、WO99/54385に開示されるトリアリールアミン及びWO00/46321及びWO00/55927に開示されるヘテロアリール単位を含む。
【0040】
このようなコポリマーのために特に好ましいトリアリールアミン繰返し単位は式1−6の単位を含む。
【化15】

【0041】
X及びYは同じか又は異なる置換基である。A、B、C及びDは同じか異なり、置基である。X、Y、A、B、C及びDの1又は2以上は、アルキル、アリール、ペルフルオロアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリール及びアリールアルキル基からなる群から独立して選択される。X、Y、A、B、C及びDの1又は2以上は、独立して置換されないイソブチル基、n−アルキル、n−アルコキシ又はトリフルオロメチル基である。なぜなら、これらはHOMOレベルを選択するのを助け、及び/又はポリマーの溶解性を改良するために適切であるためある。
【0042】
このようなポリマーのために特に好ましいヘテロアリール単位は式7−21の単位を含む。
【化16】

ここで、R6及びR7は同じか又は異なり、それぞれ独立して置換基である。好ましくは、R6及びR7の1又は両者は、水素、アルキル、アリール、ペルフルオロアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリール又はアリールアルキルから選ばれる。これらの基は、上記X、Y、A、B、C及びDに関連して検討した理由と同じ理由で好ましい。好ましくは、製造の簡易性から、R6とR7は同じものとする。より好ましくは、これらは同じであり、それぞれフェニル基である。
【0043】
【化17−1】

【化17−2】

モノマーに適する電子誘引基/ヘテロアリール並びに本発明の式(I)で表される繰返し単位は当業者にとって明らかである。特に、活性Hammett sigma定数を有するこれらの置換基/ヘテロアリールが適切である。電子誘引基/ヘテロアリールは、例えば、立体の障害によって、好ましくはモノマーの重合との干渉を避けるために選択される。
【0044】
(a)又は(b)の電位誘引基Arは、溶解性基によって提供される。溶解性基として特に好ましいものは、選択的に置換された分岐又は直鎖C1-20アルキル又はアルコキシ、より好ましくはC4-10アルキルである。
【0045】
本発明のポリマーはホモポリマー又はコポリマーである。コポリマーの場合、1:1のランダム又はブロックコポリマーである。本発明のブロックコポリマーは、下記から選択される少なくとも2つの領域を含む。
正孔輸送領域
電子輸送領域
発光領域
【0046】
電荷輸送及び発光機能は、例えば、WO00/55927に記載されるように、当業者にとって明らかな部位の範囲によって供給される。
【0047】
本発明のモノマーの重合の好ましい方法は、例えば、WO00/53656に記載されるスズキ重合及び、例えば、T.Yamamoto,”Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes”,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されるヤマモト重合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明のモノマーは次のスキームにしたがって製造され得る。
【実施例】
【0049】
9,9−ジフェニルフルオレン繰返し単位のフェニル環のHOMO及びLUMOレベルへの付着基の影響については、AMPACソフトウェアパッケージ(1)及びGaussianソフトウェアパッケージ(2)のZIND calculationsを使用して計算された。
1)AmpacプログラムパッケージにおけるAM1
Ampac5.0ユーザーマニュアル、著作権1994 Semichen,7128
Summit,Shawnee,KS 66216
2)GaussianソフトウェアのZINDO
Gaussian98,改訂A.9,
M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.EScusseria,
M.A.Robb,J.R.Cheeseman,V.G.Zakrzewski,J.A.Montgomery,Jr.,
R.E.Stratmann,J.C.Burant,S.Dapprich,J.M.Millan,
A.D.Daniels,K.N.Kudin,M.C.Strain,O.Farkas,J.Tomasi,
V.Barone,M.Cossi,R.Cammi,B.Mennuchi,C.Pomelli,C.Adamo,
S.Clifford,J.Ochterski,G.A.Petersson,P.Y.Ayala,Q.Cui,
K.Morokuma,D.K.Malick,A.D.Rabuck,K.Raghavachari,
J.B.Foresman,J.Cioslowski,J.V.Ortiz,A.G.Baboul,
B.B.Stefanov,G.Liu,A.Liashenko,P.Piskorz,I.Komaromi,
R.Gomperts,R.L.Martin,D.J.Fox,T.Keith,M.A.Al−Laham,
C.Y.Peng,A.Nanayakkara,M.Challacombe,P.M.W.Gill,
B.Johnson,W.Chen,M.W.Wong,J.L.Andres,Gonzalez,
M.Head−Gordon,E.S.Replogle,and J.A.Pople,
Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,1998.
【0050】
その結果の用紙を次の表に示す。
【表1】

【0051】
これらの例から分かるように、オクチルのフェニルへの置き換えによって、LUMOレベルに相対的に小さな影響を与えるが、フルオリン又はペルフルオロアルキルのような電子誘引基による置換によってのみ重要な変化が起きる。置換されていないジフェニルフルオレンとの比較によって、パラの位置において置換されたアルコキシ基は、従来技術によって、電子誘引特性を示すことを予期されていない。これは、上記置換基の公知の電子誘引特性、特に、これらの負のHammett sigma定数と一致する。
【0052】
ポリマーの実施例
式P1を有する発明のポリマーは、下記の表にまとめられた割合の次のモノマー
WO00/53656に記載されるプロセスに関連してスズキ重合によって製造された。
2,7−ジオキサラボラン−9,9−ジ−(n−オクチル)フルオレン
2,7−ジオキサラボラン−9,9−ジ−(4−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン
N,N−ジ(4−ブロモフェニル)−N−(4−sec−ブチルフェニル)アミン(下記に示されるTFB繰返し単位を製造するため)
ジ[N−(4−ブロモフェニル)−N−(4−n−ブチルフェニル)]−フェニレン−1,4−ジアミン(下記に示されるPFB繰返し単位を製造するため)
【化19】

【0053】
特別の実施例は次のとおりである。
【表2】

【0054】
実施例1に示されるように、TFB及びPFBが存在するとき、ポリマーはWO00/55927に記載されるように、青色電子冷光放射性ポリマーとして機能する。
【0055】
TFBが存在してPFBが不存在のとき、ポリマーは正孔及び電子輸送区域(実施例2)を有するブロック共重合又は1:1の部位規則性正孔輸送共重合(実施例3)である。これは、また、青色冷光放射性を示す。
【0056】
TFBとPFBが存在しないとき、ポリマーは、赤、緑、青色冷光放射性材料用の電子輸送材料(実施例4及び5)として使用される。
【0057】
本発明の装置は次のように製造された。
1)Baytron P(登録商標)としてByer(登録商標)から入手可能なポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネート(PEDT/PSS)が、ガラス基板(Colorado,USAのApplied Filmsから入手可能)上に支持されたインジウム錫酸化物アノード上にスピンコートする
2)ポリマーP1を2%w/v濃度のキシレン溶液からPEDT/PSS上にスピンコートする
3)カルシムの第1層及びアルミニウムの第2層を含むカソードをポリマーP1上に気相
蒸着する
【0058】
本発明は、特別の例示的な実施例によって記載されたが、特許請求の範囲で規定する発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、本明細書に記載される特徴の多くの改良、変更及び/又は組合せが当業者にとって明らかであると言えよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の選択的に置換された第1繰返し単位を含むポリマーであって、
【化1】

ここで、Arは
(a)少なくとも1つの電子誘引基で置換される芳香族炭化水素、又は
(b)電子誘引ヘテロアリール
を含むポリマー。
【請求項2】
式(II)を有する繰返し単位を含む請求項1に記載のポリマーであって、
【化2】

ここで、各Arは、
(c)少なくとも1つの電子誘引基で置換される芳香族炭化水素、又は
(d)電子誘引ヘテロアリール
からそれぞれ独立して選択される。
【請求項3】
各Arは式(III)の単位から独立して選択される請求項1又は2に記載のポリマーであって、
【化3】

ここで、nは1〜3であり、R1〜R5の少なくとも1つは電子誘引基になるように、
水素、
アルキル、アルコキシ、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選択される溶解性基、及び
電子誘引基
から独立して選択されるポリマー。
【請求項4】
Arは少なくとも1つの電子誘引基で置換されたフェニル又はオリゴフェニルであり、少なくとも1つの電子誘引基は、フルオリン、シアノ及びニトロからなる群より選択される請求項1ないし3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項5】
少なくとも1つの電子誘引基は、フルオリン原子、フルオロアルキル、フルオロアリール及びフルオロヘテロアリールから選択される請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
電子誘引ヘテロアリールが選択的に置換されたピリジン及びトリアジンから選択される請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項7】
第2の繰返し単位を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のポリマー。
【請求項8】
第2繰返し単位がトリアリールアミン及び複素環式芳香族化合物から選択される請求項1ないし7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
電子を輸送することができる請求項1ないし8のいずれかに記載のポリマー。
【請求項10】
正孔輸送及び/又は発光することができる少なくとも1つの区域を含む請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかのポリマーを含む光学装置。
【請求項12】
電子冷光放射性装置である請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
第1のタイプの電荷輸送体を注入する第1電極、
第2のタイプの電荷輸送体を注入する第2電極、及び
第1及び第2電極の間に請求項1ないし8のいずれかのポリマーを含む発光層、
を含む電子冷光放射性装置。
【請求項14】
式(IV)の選択的に置換された化合物を含むモノマーであって、
【化4】

ここで、各Pは独立して重合基を表し、Arは請求項1ないし6のいずれかで定義されるモノマー。
【請求項15】
式(V)の選択的に置換された化合物を含むモノマーであって、
【化5】

ここで、各Pは独立して重合基を表すモノマー。
【請求項16】
各Pが、ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基並びに反応性ハロゲン基から選択される反応性ボロン誘導基から独立して選択される請求項14又は15に記載のモノマー。
【請求項17】
モノマーを重合するための条件下において、請求項1ないし16のいずれかで定義される第1モノマーを第1モノマーと同じか異なる第2モノマーと反応させる工程を含むポリマーの製造方法。
【請求項18】
(a)各Pが、ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選ばれるボロン誘導官能基である請求項16に記載のモノマー、並びに少なくとも2つの反応性ハロゲン官能基を有する芳香族モノマー、又は
(b)各Pが、反応性ハロゲン官能基である請求項16に記載のモノマー、並びに、ボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択される少なくとも2つのボロン誘導官能基を有する芳香族モノマー、又は
(c)1つのPが、反応性ハロゲン官能基であり、1つのPがボロン酸基、ボロンエステル基及びボラン基から選択されるボロン誘導官能基であるモノマー、
の反応混合物の重合を含み、
ここで、反応混合物は芳香族モノマーの重合を触媒するに適当な触媒量の触媒、並びにボロン誘導官能基をボロネートアニオン基に転換するに十分な量の塩基を含む請求項17に記載のポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2009−97016(P2009−97016A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275027(P2008−275027)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【分割の表示】特願2004−549336(P2004−549336)の分割
【原出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】