説明

ポリ尿素コーティング層を含む多成分コーティング

【課題】ポリ尿素組成物、多成分複合コーティングおよび多成分複合コーティングから形成される物品、ならびにそれらを形成する方法が、開示される。
【解決手段】コーティング組成物は、イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分を含有する反応混合物から形成される。アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比は、1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る。本発明は、基材に塗布される多成分コーティング組成物に関し、特に、腐食、摩耗、衝突ダメージ、化学物質、UV光および/または他の環境条件からの保護を提供することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国仮特許出願番号第60/606,661号;同第60/606,670号;同第60/606,638号;同第60/606,672号;同第60/606,639号および同第60/606,662号(全て2004年9月2日に出願された)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、基材に塗布される多成分コーティング組成物に関し、特に、腐食、摩耗、衝突ダメージ、化学物質、UV光および/または他の環境条件からの保護を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
コーティング組成物は、自動乗物のコーティングおよび/または塗装を包含する種々の産業における使用を見出す。これらの産業、および特に自動車産業において、かなりの努力が、改良された性能(保護的および審美的の両方)の特性を有するコーティング組成物を開発するために費やされている。自動車産業において、コーティングは、保護目的および審美目的の両方のために種々の構成基材に塗布されている。コーティングは、腐食、摩耗、衝突、化学物質、紫外光、および他の環境曝露に起因する表面的な損傷(例えば、へこみ、引っかき、変色など)に対して、乗物構成材を保護するために使用される。さらに、有色の顔料を含む(color pigmented)コーティングおよび高い光沢のクリアコーティングは、代表的に、乗物本体基材に塗布される場合に装飾コーティングとしてさらに機能する。多成分複合コーティング(例えば、カラー−プラス−クリア(color−plus−clear)複合コーティング)は、これらの目的のために広く使用されている。これらの多成分コーティングは、電気泳動被覆法または非電気泳動被覆法を含む1つ以上のコーティング方法によって基材上に塗布される、6までか、またはそれ以上のコーティング層を含み得る。
【0004】
ポリ尿素エラストマーは、コーティング組成物に共通して、基材に保護を提供し、そして基材の特性を改良するために種々の基材に対して商業的に塗布されている。ポリ尿素組成物は、耐食性を提供する処理用装置のコーティングについての産業用途において保護コーティングとして使用されているか、または種々の攻撃的な環境において充填材およびシーラントとして使用されている。さらに、ポリウレタンエラストマーは、路線気動車(line rail car)およびトラックの荷台に使用されている。気動車およびトラックに対するこのようなコーティングは、表面的な損傷からの保護、ならびに腐食、摩耗、衝突ダメージ、化学物質、UV光および他の環境条件からの保護を提供する。
【0005】
しかし、特定の先行技術のポリ尿素コーティング系は、基材に適切な保護を提供するか、または基材の特性を改良するそれらの有効性を阻害する欠陥を有することが公知である。例えば、公知のポリ尿素コーティング組成物は、基材または下にある他のコーティング組成物上の流れを阻害する、比較的高い粘性を有し得る。また、特定のポリ尿素コーティング組成物は、先に塗布されたコーティングまたは基材自体に対して、乏しい接着特性を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、先に塗布されたコーティングまたは基材に対する接着を増強し得、そして/または、より長い期間にわたってコーティング組成物の流動可能な状態を改良する比較的低い粘性を有するポリ尿素コーティング組成物を提供することが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、ポリ尿素コーティング組成物に関し、このコーティング組成物は、イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分を含む反応混合物から形成される。アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る。
【0008】
本発明のさらなる実施形態は、基材および基材の少なくとも一部上に堆積されるポリ尿素コーティング組成物を備えるコーティングされた物品に関する。
【0009】
本発明はまた、多層の複合コーティング(多成分)に関し、すなわち、このコーティングは、第1の組成物から堆積される第1のポリ尿素層、および第1のポリ尿素層の少なくとも一部上に第2の組成物から堆積される第2のポリ尿素層を含む。第1の組成物および第2の組成物の少なくとも1つは、イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分を含む反応混合物から形成される。アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る。
【0010】
さらに、基材をコーティングするポリ尿素を形成する方法が、提供される。この方法は、アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得るように、イソシアネート官能性組成物およびアミン官能性組成物を選択する工程を包含する。イソシアネート官能性組成物およびアミン官能性組成物は、反応混合物を生成する容量比で混合される。
【0011】
さらに、本発明は、コーティングされた物品を形成する方法に関する。この方法は、基材を提供する工程、およびコーティングされた物品を形成するために基材の少なくとも一部上に多層複合コーティングを堆積させる工程を包含する。多層複合コーティングは、第1の組成物から堆積される第1のポリ尿素層、および第1のポリ尿素層の少なくとも一部上に塗布される第2の組成物から堆積される第2のポリ尿素層を含む。第1の組成物および第2の組成物の少なくとも1つは、イソシアネート成分およびアミン成分を含む反応混合物から形成され、反応混合物中のアミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が、1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る。本発明はまた、以下を提供する:
(項目1)
ポリ尿素コーティング組成物であって、該コーティング組成物は、以下:
イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分、
を含有する反応混合物から形成され、アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が1より大きく、該イソシアネート官能性成分 対 該アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る、組成物。
(項目2)
少なくとも1重量%の前記イソシアネート官能性成分が、少なくとも1種のポリイソシアネートモノマーを含む、項目1に記載のコーティング組成物。
(項目3)
イソシアネート基の当量 対 アミン基の当量の比が、1.01:1.0〜1.10:1.0である、項目1に記載のコーティング組成物。
(項目4)
前記イソシアネート官能性成分が、イソホロンジイソシアネートを含む、項目1に記載のコーティング組成物。
(項目5)
前記アミン官能性成分が、一級アミンおよび/または二級アミンを含む、項目1に記載のコーティング組成物。
(項目6)
前記アミン官能性成分が、20重量%〜80重量%の一級アミンおよびその残りの成分としての二級アミンを含む、項目7に記載のコーティング組成物。
(項目7)
第1の組成物から堆積される第1のポリ尿素層、および該第1のポリ尿素層の少なくとも一部上に塗布される第2の組成物から堆積される第2のポリ尿素層を含む多成分複合コーティングであって、該第1の組成物および該第2の組成物の少なくとも1つが、項目1に記載のコーティング組成物を含む、多成分複合コーティング。
(項目8)
コーティングされた物品であって、以下:
基材;および
該基材の少なくとも一部上に堆積される項目1に記載のポリ尿素コーティング組成物、
を備える、コーティングされた物品。
(項目9)
前記基材が、乗物基材である、項目8に記載のコーティングされた物品。
(項目10)
基材をコーティングするポリ尿素を形成する方法であって、以下:
(a)イソシアネート官能性組成物およびアミン官能性組成物を選択する工程であって、アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が、1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で該基材に塗布され得るようにイソシアネート官能性組成物およびアミン官能性組成物を選択する工程;
(b)反応混合物を生成する容量比で該イソシアネート官能性組成物と該アミン官能性組成物とを混合する工程;ならびに
(c)基材をコーティングするポリ尿素を形成するために該基材に対して該反応混合物を塗布する工程、
を包含する、方法。
(項目11)
少なくとも1重量%の前記イソシアネート官能性組成物が、少なくとも1種のポリイソシアネートモノマーを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記混合する工程が、衝突によって達成され、そして前記塗布する工程が、噴霧することによって行われる、項目10に記載の方法。
(項目13)
項目12に記載の方法であって、前記反応混合物が、少なくとも部分的に硬化して、実質的にタックフリーであるポリ尿素層を形成し、該方法が、該少なくとも部分的に硬化したポリ尿素層上に第2のポリ尿素層を塗布する工程をさらに包含し、該部分的に硬化したポリ尿素層が、該第2のコーティングに対して抵抗性である、方法。
(項目14)
該第2の層が、硬化した場合に前記第1のコーティングより良好な表面のきめを示す、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記基材が、乗物基材である、項目10に記載の方法。
(項目16)
コーティングされた物品を形成する方法であって、以下:
基材を提供する工程;および
該コーティングされた物品を形成するために該基材の少なくとも一部上に、多層複合コーティングを堆積させる工程であって、該多層複合コーティングが、第1の組成物から堆積される第1のポリ尿素層、および該第1のポリ尿素層の少なくとも一部上に塗布される第2の組成物から堆積される第2のポリ尿素層を含み、該第1の組成物および該第2の組成物の少なくとも1つは、以下:
イソシアネート成分;および
アミン成分、
を含む反応混合物から形成され、該反応混合物中のアミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が、1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が、1:1で基材に塗布され得る、工程、
を包含する、方法。
(項目17)
少なくとも1重量%の前記イソシアネート官能性成分が、少なくとも1種のポリイソシアネートモノマーを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記反応混合物が、クレー、および必要に応じてシリカをさらに含む、項目1に記載のポリ尿素コーティング組成物。
(項目19)
前記アミン成分が、クレー、および必要に応じてシリカを含む、項目18に記載のポリ尿素コーティング組成物。
(項目20)
前記クレーが、モンモリロナイトクレー、カオリンクレー、アタパルジャイトクレー、および/または海泡石クレーを含む、項目18に記載のポリ尿素コーティング組成物。
(項目21)
多成分複合コーティングであって、以下:
基材の少なくとも1つの主要な表面の少なくとも一部に塗布される第1のコーティング組成物から形成される少なくとも1つの第1のコーティングであって、該第1のコーティング組成物が、以下:
少なくとも1種の架橋剤;および
該架橋剤と反応性である官能基を有する少なくとも1種のフィルム形成樹脂;
を含有する、第1のコーティング;
該第1のコーティングの少なくとも一部上の少なくとも1つの層に塗布されてその上に第2のコーティングを形成する第2のコーティング組成物であって、該第2のコーティング組成物が、項目1に記載のポリ尿素組成物を含有する、第2のコーティング組成物;ならびに、
接着促進組成物であって、該接着促進組成物は、該第1のコーティング組成物および該第2のコーティング組成物の少なくとも1つに含まれ、そして/または該第2のコーティング組成物の塗布前に該第1のコーティングの少なくとも一部上に別個の層として塗布され、そして該第2のコーティングが、少なくとも5ft−lbのASTMD1876 90°剥離接着強さを有する、接着促進組成物、
を含む、多成分複合コーティング。
(項目22)
前記接着促進組成物が、三級アミン、メラミン、ウレタンアクリレート、金属キレート錯体、多水酸基ポリマー、および/または錫含有化合物を含有する、項目21に記載の多成分複合コーティング。
(項目23)
前記接着促進組成物が、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、および/または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む三級アミンを含む、項目22に記載の多成分複合コーティング。
(項目24)
前記基材が、乗物基材である、項目16に記載の多成分複合コーティング。
(項目25)
前記第2の組成物が、前記反応混合物から形成され、そして該反応混合物は、コーティングされた乗物基材の少なくとも一部が、付随する乗物本体の少なくとも一部の色に実質的に一致する色を有するように、1つ以上の顔料をさらに含む、項目24に記載の多成分複合コーティング。
(項目26)
前記基材が、ガラス基材を含む、項目8に記載のコーティングされた物品。
(項目27)
前記アミン官能性成分が、アクリレート改変アミンおよび/またはメタクリレート改変アミンを含む二級アミンを含む、項目5に記載のコーティング組成物。
【0012】
本発明は本要旨に開示された実施形態に限定されないことが、理解されるべきであるが、特許請求の範囲に定義される本発明の精神および分野の範囲内である改変を網羅することが、意図される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態による複合物品であり、この複合物品は、一面上にコーティング層を有する金属箔のキャリアフィルムを備える。
【図2】図2は、本発明の実施形態による複合物品であり、この複合物品は、一面上にコーティング層を有するプラスチックまたは合成紙のキャリアフィルムを備える。
【図3】図3は、本発明の実施形態による複合物品であり、この複合物品は、一面上にコーティング層を有し、他の面上に接着層を有し、そしてその接着層上に保護層を有するプラスチックまたは合成紙のキャリアフィルムを備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
操作の実施例以外においてか、または他に示される場合、明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。したがって、それと反対のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値的パラメーターは、本発明によって得られる所望の性質に依存して変わり得る近似である。最低限でも、そして特許請求の範囲に対する均等の原則の適用を制限することを試みるようにではなく、各数値的パラメーターは、報告された有効数字という点で、そして普通の四捨五入の技術を適用することによって、少なくとも解釈され得る。
【0015】
本発明の幅広い範囲に示される数値的範囲および数値的パラメーターが近似であるにも関わらず、特定の実施例に示される数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定において見出される、標準偏差から必ず生じる本質的に特定の誤差を含む。
【0016】
また、本明細書中で列挙される任意の数値的範囲は、本明細書中に包含される、全ての部分的な範囲を含むことが意図されることを、理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙される最小値1と列挙される最大値10との間(そして、それを含む)である、全ての部分的な範囲を含むことが意図され、すなわち、1と等しいか、それより大きな最小値および10と等しいか、それより小さな最大値を有する。
【0017】
本発明の開示において、「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマー、ならびにオリゴマーを含むポリマーを意味する。「複合材料」は、2つ以上の異なる材料の組み合わせを意味する。
【0018】
本明細書中で使用される場合、ポリマーまたはオリゴマーの分子量は、適切な基準(多くの場合、ポリスチレンまたはスルホン化ポリスチレン)を使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。他に示されない限り、分子量とは、数平均分子量(Mn)をいう。
【0019】
本明細書中で使用される場合、対象が、CIELCH法を使用して、色に関する国際基準団体であるCommission Internationale de l’Eclairage(CIE)によって定義される測定値によって決定されるようなL(明度)(すなわち、明るさまたは暗さ)およびC(彩度)(すなわち、強度)の特定の数値を有する場合に、その対象は、「色」を有すると見なされ、CIELCH法は、例えば、http://www.datacolor.com/color experts 004.shtmlおよびhttp://www.xrite.com/documents/literature/en/L10−001 Understand Color en.pdf(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に示される。LおよびCは、それぞれ、CIEによって定義されるような色空間における特定の点の明るさおよび彩度の値に言及する数値である、L、C、およびH(色相角)は、以下の方程式に基づいて、測定される三刺激値X、Y、Zから自動的に算出され得る:L=116(Y/Y1/3−16;C=(a+b1/2;H=逆正接関数(b/a);a=500[(X/X1/3−(Y/Y1/3];b=200[(Y/Y1/3−(Z/Z1/3]。ここでX、Y、およびZは、使用前に機器を較正するために使用される基準の白色サンプルの座標である。本発明の目的のために、「色」を有する対象は、20.0(数字が低くなるにつれて暗くなる)より大きいL値、および1.0(数字が低くなるにつれて弱くなる)より大きいC値を示す。これらの値は、CIEによって定義されるような0/45分光光度計、ならびに特定の光源および標準的なオブザーバー(observer)(D65/10)を使用して算出される。0/45分光光度計は、サンプルを測定する場合、0°照明および45°観測を使用する。D65/10光源/度数オブザーバーは、業界標準であり、そして自然昼光(D65)、および利用される度数オブザーバー(10)について言及する。度数オブザーバーとは、10°の視野を使用する「平均的な」度数オブザーバーについての数学的モデルをいう。この範囲の外側(すなわち、L値が、20.0以下の範囲であり、そしてC値が、1.0以下の範囲である)にある色の測定値を有する任意の対象は、明白に除外され、「黒」であると見なされ、そして本発明の目的に関して「色」を示さない。
【0020】
本明細書中で使用される用語として、別の対象の色に「実質的に一致する」色を有する対象とは、当業者によって決定されるような他の対象の色に近似する色を有する対象をいい、その近さは、例えば、自動車産業における最も一致する色の鑑定に慣習的に使用されるような視覚的な鑑定によって決定される。視覚的な鑑定は、光の全入射角にわたって評価される色の印象およびいくつかの地色を見る場合に重要な観察を斟酌する。この方法はまた、対象間の一致の近さの判断を提供し、これらの対象は、地色に対する乗物のベッドライナーのようなテクスチャード表面(textured surface)を変化させ、そして存在する場合に、角度依存性の色(角色度(goniochromaticity))および/または輝く(sparkling)効果を導入する、考慮すべき効果を有する顔料を含み得る。本明細書中で使用される用語として、色または別の対象と「実質的に協調する」色を有する対象とは、他の対象の色を引き立たせる色を有する対象をいい、これは、例えば、自動車産業におけるほとんどの色の鑑定に慣習的に使用されるような視覚的な鑑定によって決定される。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「乗物本体」とは、一般的に、荷積み、保管、歩行者(foot traffic)などのような活動による比較的大きな研磨および/または摩耗抵抗に耐えるように製造されていない、コーティングされた乗物の外装部品および/または内装部品をいう。組み立てた場合、これらの部品は、「乗物本体」を形成する。例えば、トラック乗物本体(truck body)に関して、これらの部品は、乗物外装部品(例えば、側板、ドア、フード、屋根、トランクなど)および乗物内装部品(ダッシュボード、カーペット、座席の装飾、トリムなど)の1つ以上を備え得る。気動車に関して、これらの部品は、例えば、外部側壁、ドアなどを備え得る。その一方で、「乗物基材」に実質的に一致する色を有する「乗物基材」の目的で、用語「乗物基材」とは、比較的大きな研磨または摩耗の抵抗活動に耐えるように本質的に製造される乗物部品の基礎をなす材料をいう。乗物がトラックである場合、例えば、これらの部品は、トラックの荷台、踏み板、バンパーなどであり得る。気動車に関して、これらの部品は、例えば、気動車の荷台であり得る。本明細書中で使用される場合、乗物基材から形成される研磨抵抗性または摩耗抵抗性の乗物部品は、「付随する乗物本体」と相まって、乗物の外装および/または内装のほぼ全体を形成し得る。本発明によって企図される他の「乗物本体」としては、例えば、レクリエーショナルビークルおよび船舶(watercraft vehicle)に関連した乗物本体が挙げられる。
【0022】
本明細書中に参考として援用されると述べられている任意の特許、出版物、または他の開示資料(全体または一部)は、援用された資料が、存在する定義、記載、またはこの開示に示される他の開示資料と矛盾しない範囲に限り、本明細書中に援用される。そのようなものとして、そして必要な範囲で、本明細書中に明確に示される開示は、本明細書中に参考として援用される任意の矛盾する資料に取って代わる。本明細書中に参考として援用されると述べられているが、存在する定義、記載、または本明細書中に示される他の開示資料と矛盾する任意の資料、またはその一部は、援用される資料と存在する開示資料との間で矛盾が生じない範囲に限って援用される。
【0023】
本発明の、多成分複合コーティングを含むコーティングは、実質的に任意の基材に塗布され得、適切な非金属性基材の非限定的な例としては、天然および/または合成の石、セラミック、ガラス、レンガ、シンダーブロックおよびそれらの複合材;ウォールボード、乾式壁体、シートロック、セメントボード;プラスチック、複合性プラスチック(SMC、GTX、ナイロン、メラミンおよび/またはアクリル複合材、TPO、TPV、ポリプロピレン、PVC、発泡スチレンなどを含む);木、木材積層板および/または木材複合材、アスファルト、ガラス繊維、コンクリート、フリーフィルムを提供し得る任意の解放表面(release surface)、ならびに床張り材として使用するのに適した材料が挙げられる。ポリ尿素コーティングはまた、土壌または砂利に直接塗布され得る。本発明の実施形態において、ポリ尿素コーティング組成物は、ガラス基材(例えば、自動車用のガラス基材)に塗布され得る。このような実施形態において、ポリ尿素コーティングは、例えば、装飾(applique)、またはガラスに取り付けられる部品もしくは金物のための接着媒体、または防音材(sound dampener)としてガラスに塗布され得る。
【0024】
1つの実施形態において、本発明のポリ尿素組成物は、射出成形技術または注型技術を介して物品(particle)を形成するために使用され得る。このような加工を使用して形成されるこのような物品(article)の例としては、床張り用タイル、屋根板、フロアマットまたはフロアパッド、ポリ尿素フィルムまたはポリ尿素シート、装飾用の木目、ロッド、板張り材料、ベンチ表面の被覆剤(covering)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明で使用するのに適した金属性基材としては、例えば、鉄金属、亜鉛、銅、マグネシウム、および/またはアルミニウム、およびそれらの合金、ならびに自動車および他の乗物本体の製造において代表的に使用される他の金属基材および合金基材が挙げられる。本発明の実施に使用される鉄金属基材としては、鉄、鋼およびそれらの合金が挙げられ得る。有用な鋼材料の非限定的な例としては、冷間圧延された鋼、亜鉛めっきした(亜鉛をコーティングした)鋼、電気亜鉛めっきした鋼、ステンレス鋼、酸洗いした鋼、亜鉛−鉄合金(例えば、GAL VANNEAL)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。鉄金属と非鉄金属との組み合わせ、または複合材もまた、使用され得る。非常に多くの場合、これらの基材は、トラック乗物本体またはトラックの荷台である。
【0026】
本発明の多成分複合コーティングはまた、自動乗物において見出されるようなプラスチック基材上に塗布され得る。「プラスチック」は、一般的な熱可塑性または熱硬化性の合成非導電性材料のいずれかを意味し、これらとしては、熱可塑性オレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート、熱硬化性シート成形化合物、反応−射出成形化合物、アクリロニトリルベースの材料、ナイロンなどが挙げられる。
【0027】
本発明は、必要ではないが、第1のコーティング組成物および第2のコーティング組成物を包含し得、これらの各々は、基材上の少なくとも1つの層に適用され得る。したがって、本発明は、一般的に、複合コーティングとして本明細書中に記載され得るが、第1のコーティング組成物は、任意であり、そして必要ではないが、基材上か、または先に塗布されたコーティング上に、第2のコーティング組成物に対する下層として塗布され得る。
【0028】
本発明の多成分複合コーティングの形成に使用される第1のコーティング組成物は、電着可能なフィルム形成組成物、プライマー組成物、着色または非着色の単一被膜組成物、着色ベースコート組成物、透明トップコート組成物、産業用コーティング組成物、および自動車の最初の装備の製造または自動車の再仕上げにおいて一般的に使用される他のコーティングから選択され得る。第1のコーティング組成物は、多くの場合、上記のコーティング組成物の少なくとも2つからなる組み合わせから形成される多層コーティングを含有する。非限定的な例としては、電気泳動的に塗布された組成物の上に噴霧によって塗布されたプライマー組成物;または電気泳動的に塗布された組成物の上に噴霧によって塗布されたプライマー組成物、およびそれらの上のモノコート;または電気泳動的に塗布された組成物の上に噴霧によって塗布されたプライマー組成物、およびそれらの上のカラー−プラス−クリア複合コーティングが挙げられる。あるいは、第1のコーティング組成物は、必要に応じて調製された金属基材、または1つ以上の保護コーティングおよび/もしくは装飾コーティングによって先にコーティングされた基材に直接塗布される単一の組成物であり得る。第2のコーティング組成物は、第1のコーティング組成物として上に示される組成物のいずれかの上に直接塗布され得る。
【0029】
第1のコーティング組成物は、代表的に、例えば、アミノプラスト、ブロック化(blocked)イソシアネートを含むポリイソシアネート、ポリエポキシド、β−ヒドロキシアルキルアミド、ポリ酸、無水物、有機金属性の酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミドおよび前述のいずれかからなる混合物より選択され得る架橋剤を含有する。
【0030】
有用なアミノプラストは、ホルムアルデヒドとアミンまたはアミドとの縮合反応から得られ得る。アミンまたはアミドの非限定的な例としては、メラミン、尿素およびベンゾグアナミンが挙げられる。
【0031】
アルコールおよびホルムアルデヒドと、メラミン、尿素またはベンゾグアナミンとの反応から得られる縮合生成物が、最も一般的であるが、他のアミンまたはアミドとの縮合物が、使用され得る。例えば、グリコールウリルのアルデヒド縮合物(粉体塗装において有用である高融点の結晶性生成物を生じる)が、使用され得る。ホルムアルデヒドが、最も一般的に使用されるアルデヒドであるが、他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒド)も、使用され得る。
【0032】
アミノプラストは、イミノ基およびメチロール基を含み得る。特定の例において、メチロール基の少なくとも一部はアルコールとエーテル化されて、硬化の応答が改変され得る。メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、イソブタノール、およびヘキサノールのような任意の一価アルコールが、この目的のために利用され得る。適切なアミノプラスト樹脂の非限定的な例は、商標CYMEL(登録商標)でCytec Industries,Inc.から市販され、そして商標RESIMENE(登録商標)でSolutia,Inc.から市販されている。特に有用なアミノプラストとしては、CYMEL(登録商標)385(水ベースの組成物に適している)、CYMEL(登録商標)1158イミノ官能性メラミンホルムアルデヒド縮合物、およびCYMEL(登録商標)303が挙げられる。
【0033】
使用に適した他の架橋剤としては、ポリイソシアネート架橋剤が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「ポリイソシアネート」は、ブロック化(またはキャップ化(capped))ポリイソシアネートおよび非ブロック化ポリイソシアネートを含むことを意図する。このポリイソシアネートは、脂肪族、芳香族、またはそれらの混合物であり得る。より高度なポリイソシアネート(例えば、ジイソシアネートのイソシアヌレート)が、しばしば使用されるが、ジイソシアネートもまた、使用され得る。イソシアネートプレポリマー(例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物)もまた、使用され得る。ポリイソシアネート架橋剤の混合物が、使用され得る。
【0034】
架橋剤として利用されるポリイソシアネートは、種々のイソシアネート官能性材料から調製され得る。適切なポリイソシアネートの例としては、以下のジイソシアネートから調製されるトリマーが挙げられる:トルエンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシル イソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの異性体混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート。さらに、種々のポリオールのブロック化ポリイソシアネートプレポリマー(例えば、ポリエステルポリオール)もまた、使用され得る。
【0035】
ポリイソシアネートが、ブロック化されるか、またはキャップ化されるべき場合、当業者に公知である任意の適切な脂肪族アルキルモノアルコール、脂環式アルキルモノアルコール、または芳香族アルキルモノアルコールは、ポリイソシアネートに対するキャップ化剤として使用され得る。適切なブロック剤の例としては、高い温度にてブロック化を解除する物質(例えば、低級脂肪族アルコール(メタノールが挙げられる)、メチルエチルケトキシムのようなオキシム、カプロラクタムのようなラクタムおよびジメチルピラゾールのようなピラゾール)が挙げられる。
【0036】
ポリエポキシドは、カルボン酸基および/またはアミン基を有するポリマーに対する適切な硬化剤である。適切なポリエポキシドの例としては、低分子量のポリエポキシド(例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−メチル)アジパート)が挙げられる。より高い分子量のポリエポキシド(多価フェノールと、下に記載されるアルコールとのポリグリシジルエーテルが挙げられる)もまた、架橋剤として適切である。
【0037】
β−ヒドロキシアルキルアミドは、カルボン酸基を有するポリマーに対する適切な硬化剤である。β−ヒドロキシアルキルアミドは、以下の通りに、構造的に示され得る:
【0038】
【化1】

は、HまたはC〜Cアルキルであり;Rは、H、C〜Cアルキル、または以下:
【0039】
【化2】

である。ここでRは、上に記載される通りであり;Aは、結合、または2個〜20個の炭素原子を含む置換炭化水素ラジカルを含有する飽和、不飽和、または芳香族の炭化水素から誘導される多価有機ラジカルであり;mは、1または2に等しく;nは、0または2に等しく、そしてm+nは、少なくとも2であり、通常は4を含めて2〜4までの範囲内である。最も多くの場合、Aは、C〜C12の二価アルキレンラジカルである。
【0040】
ポリ酸(特に、ポリカルボン酸)は、エポキシ官能基を有するポリマーに対する硬化剤として適切である。適切なカルボン酸の例としては、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、およびドデカン二酸が挙げられる。他の適切なポリ酸架橋剤としては、少なくとも1つのカルボン酸基を含むエチレン性(ethylenically)の不飽和モノマーと、カルボン酸基を有さない少なくとも1つのエチレン性の不飽和モノマーとから調製される酸基(acid group)含有アクリルポリマーが挙げられる。このような酸官能性アクリルポリマーは、30〜150の範囲の酸価指数を有し得る。酸官能基含有ポリエステルも、使用され得る。低分子量のポリエステルおよび酸の半エステル(half−acid ester)が、使用され得、これらは、脂肪族ポリオールと脂肪族および/もしくは芳香族のポリカルボン酸または無水物との縮合に基づく。適切な脂肪族ポリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのポリカルボン酸および無水物としては、とりわけ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水クロレンド酸などが挙げられ得る。酸および/または無水物の混合物もまた、使用され得る。上記のポリ酸架橋剤は、米国特許第4,681,811号の第6欄、第45行目〜第9欄、第54行目(これは、本明細書中に参考として援用される)においてさらに詳細に記載される。
【0041】
架橋剤として使用され得る有用な有機金属錯体化材料としては、商標BACOTETM20でMagnesium Elektron,Inc.から市販されている安定化させたアンモニウムジルコニウムカーボネート溶液、安定化させたアンモニウム、ジルコニウムカーボネート、および商標ZINPLEX 15でUltra Additives Incorporatedから市販されている亜鉛ベースのポリマー架橋剤が挙げられる。
【0042】
適切なポリアミン架橋剤の非限定的な例としては、窒素原子に結合したラジカルが、飽和もしくは不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香族−置換−脂肪族、脂肪族−置換−芳香族、および複素環式であり得る、一級ジアミンもしくは二級ジアミンまたは一級ポリアミンもしくは二級ポリアミンが挙げられる。適切な脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミンの非限定的な例としては、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、イソホロンジアミン、プロパン−2,2−シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。適切な芳香族ジアミンの非限定的な例としては、フェニレンジアミンおよびトルエンジアミン(例えば、o−フェニレンジアミンおよびp−トリレンジアミン)が挙げられる。多核芳香族ジアミン(例えば、4,4’−ビフェニルジアミン、メチレンジアニリンおよびモノクロロメチレンジアニリン)もまた、適切である。
【0043】
適切なポリアミド架橋剤としては、脂肪酸またはダイマー化した脂肪酸またはポリマー脂肪酸、および脂肪族ポリアミンから誘導される架橋剤が挙げられる。例えば、商標表示VERSAMIDE 220またはVERSAMIDE 125でHenckelから市販されている材料が、本明細書中で非常に有用である。
【0044】
架橋剤の適切な混合物もまた、本発明において使用され得る。第1のコーティング組成物中の架橋剤の量は、一般的に、第1のコーティング組成物中の樹脂固形物(架橋剤+フィルム形成樹脂)の総重量に基づいて5重量%〜75重量%の範囲である。
【0045】
上記第1のコーティング組成物は、上記架橋剤と反応性である官能基を有する少なくとも1種のフィルム形成樹脂をさらに含有し得る。第1のコーティング組成物中のフィルム形成樹脂は、当業者に周知の種々のポリマーのいずれかから選択され得る。本発明の実施形態において、このフィルム形成樹脂は、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択され得る。一般的に、これらのポリマーは、ポリマーが水分散性であるか、乳化可能であるか、または制限された水溶性のポリマーである場合、当業者に公知である任意の方法によって作製されるこれらの型の任意のものであり得る。第1のコーティング組成物中のフィルム形成樹脂上の官能基は、種々の反応性官能基のいずれかから選択され得、これらとしては、例えば、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、水酸基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロック化イソシアネート基を含む)、メルカプタン基、およびそ
れらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
適切なアクリルポリマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸の1種以上のアルキルエステルのコポリマー、このコポリマーは、必要に応じて1つ以上の他の重合可能なエチレン性の不飽和モノマーを伴う。アクリル酸またはメタクリル酸の有用なアルキルエステルとしては、アルキル基中に、1個〜30個の炭素原子、そして好ましくは4個〜18個の炭素原子を含む脂肪族アルキルエステルが挙げられる。非限定的な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。適切な他の共重合可能なエチレン性の不飽和モノマーとしては、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレンおよびビニルトルエン);ニトリル(例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル);ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニルおよびフッ化ビニリデン)ならびにビニルエステル(例えば、ビニルアセテート)が挙げられる。
【0047】
アクリルコポリマーは、しばしばコポリマーを生成するために使用される反応物中に、1つ以上のヒドロキシル官能性モノマーを含むことによってポリマーに組み込まれるヒドロキシル官能基を含み得る。有用なヒドロキシル官能性モノマーとしては、代表的に、ヒドロキシアルキル基中に2個〜4個の炭素原子を有する、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートが挙げられる(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラクトンとヒドロキシアルキルアクリレートとのヒドロキシ官能性付加物、およびそれらに対応するメタクリレート、ならびに下に記載されるβ−ヒドロキシエステル官能性モノマー)。アクリルポリマーはまた、N−(アルコキシメチル)アクリルアミドおよびN−(アルコキシメチル)メタクリルアミドによって調製され得る。
【0048】
β−ヒドロキシエステル官能性モノマーは、13個〜20個の炭素原子を有するエチレン性で不飽和のエポキシ官能性モノマーおよびカルボン酸から調製されても、エチレン性で不飽和の酸官能性モノマー、および少なくとも5個の炭素原子を含み、エチレン性で不飽和の酸官能性モノマーと重合可能でないエポキシ化合物から調製されてもよい。
【0049】
β−ヒドロキシエステル官能性モノマーを調製するために使用される有用なエチレン性で不飽和のエポキシ官能性モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、エチレン性の不飽和モノイソシアネートとグリシドールのようなヒドロキシ官能性モノエポキシドとの1:1(モル)付加物、およびマレイン酸のような重合可能なポリカルボン酸のグリシジルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸の例としては、飽和モノカルボン酸(例えば、イソステアリン酸)および芳香族不飽和カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
β−ヒドロキシエステル官能性モノマーを調製するために使用される有用なエチレン性で不飽和の酸官能性モノマーとしては、モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸);ジカルボン酸(例えば、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸);およびジカルボン酸のモノエステル(例えば、モノブチルマレエートおよびモノブチルイタコネート)が挙げられる。エチレン性で不飽和の酸官能性モノマーおよびエポキシ化合物は、代表的に、1:1の当量比で反応する。エポキシ化合物は、不飽和の酸官能性モノマーによるフリーラジカル開始性の重合に関与するエチレン性の不飽和を含まない。有用なエポキシ化合物としては、1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシドおよび好ましくは、8個〜30個の炭素原子を含むグリシジルエステルまたはグリシジルエーテル(例えば、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルおよびパラ−(四級ブチル)フェニルグリシジルエーテル)が挙げられる。特定のグリシジルエステルとしては、以下の構造:
【0051】
【化3】

のものが挙げられる。
【0052】
Rは、4個〜26個の炭素原子を含む炭化水素ラジカルである。代表的に、Rは、8個〜10個の炭素原子を有する分枝状の炭化水素基(例えば、ネオペンタノエート、ネオヘプタノエートまたはネオデカノエート)である。カルボン酸の適切なグリシジルエステルとしては、VERSATIC ACID 911およびCARDURA E(これらの各々は、Shell Chemical Co.から市販されている)が挙げられる。
【0053】
カルバメート官能基は、アクリルモノマーとカルバメート官能性ビニルモノマー(例えば、メタクリル酸のカルバメート官能性アルキルエステル)とを共重合することによってか、またはヒドロキシル官能性アクリルポリマーと、カルバモイル基転移反応を介してアルコールまたはグリコールエーテルから誘導され得るような低分子量のカルバメート官能性材料とを反応させることによって、アクリルポリマー中に含まれ得る。あるいは、カルバメート官能性は、ヒドロキシル官能性アクリルポリマーと、カルバモイル基転移反応を介してアルコールまたはグリコールエーテルから誘導され得るような低分子量のカルバメート官能性材料とを反応させることによって、アクリルポリマー中に導入され得る。この反応において、アルコールまたはグリコールエーテルから誘導される低分子量のカルバメート官能性材料は、アクリルポリオールの水酸基と反応して、カルバメート官能性アクリルポリマーおよび元のアルコールまたはグリコールエーテルを生じる。アルコールまたはグリコールエーテルから誘導される低分子量のカルバメート官能性材料は、触媒の存在下で、アルコールまたはグリコールエーテルと尿素とを反応させることによって調製され得る。適切なアルコールとしては、より低い分子量の脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、および3−メチルブタノール)が挙げられる。適切なグリコールエーテルとしては、エチレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。プロピレングリコールメチルエーテルおよびメタノールが、最も頻繁に使用される。当業者に公知であるような他のカルバメート官能性モノマーもまた、使用され得る。
【0054】
アミド官能性は、ポリマーの調製において適切な官能性モノマーを使用することによってか、または他の官能基を当業者に公知である技術を使用してアミド基に変換することによって導入され得る。同様に、他の官能基は、利用可能である場合に適切な官能性モノマーを使用するか、または必要に応じて変換反応を使用して、所望される通りに組み込まれ得る。
【0055】
アクリルポリマーは、水性の乳化重合技術を介して調製され、そして水性コーティング組成物の調製に直接使用され得るか、または溶媒系組成物に対する有機溶液重合技術を介して調製され得る。塩の形成が可能な基(酸基またはアミン基)との有機溶液重合を介して調製される場合、塩基または酸によるこれらの基の中和の際に、ポリマーは、水性媒体中に分散され得る。一般的に、当該分野において認識される量のモノマーを利用した、当業者に公知であるこのようなポリマーを生成する任意の方法が、使用され得る。
【0056】
アクリルポリマーに加えて、第1のコーティング組成物中のポリマー性フィルム形成樹脂は、アルキド樹脂であってもポリエステルであってもよい。このようなポリマーは、多価アルコールとポリカルボン酸との縮合による公知の様式で調製され得る。適切な多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびトリメリト酸が挙げられるが、これらに限定されない。上述のポリカルボン酸に加えて、これらの酸の官能性等価物(例えば、無水物)が存在する場合には、それらが、使用され得るか、またはこれらの酸の低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル)が、使用され得る。空気乾燥するアルキド樹脂を生成することが望まれる場合、適切な乾性油脂肪酸が、使用され得、そしてこれらとしては、例えば、アマニ油、ダイズ油、トール油、脱水ヒマシ油、またはキリ油に由来する脂肪酸が挙げられる。
【0057】
同様に、ポリアミドは、ポリ酸およびポリアミンを利用して調製され得る。適切なポリ酸としては、上に列挙されるポリ酸が挙げられ、そしてポリアミンは、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサンおよび/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,3−シクロヘキサンジアミンおよび/または1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、2,4−ヘキサヒドロトルイレンジアミンおよび/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン、2,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンおよび/または4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンならびに3,3’−ジアルキル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(例えば、3’,3−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンおよび3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン)、2,4−ジアミノトルエンおよび/または2,6−ジアミノトルエンならびに2,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルメタンの少なくとも1つから選択され得る。
【0058】
カルバメート官能基は、最初に、ポリエステルまたはポリアミドを形成するのに使用されるポリ酸およびポリオール/ポリアミンと反応し得る、ヒドロキシアルキルカルバメートを形成することによって、ポリエステルまたはポリアミドに組み込まれ得る。このヒドロキシアルキルカルバメートは、ポリマー上の酸官能性と縮合されて、末端カルバメート官能性を生じる。カルバメート官能基はまた、アクリルポリマーへのカルバメート基の組み込みに関して上に記載されるプロセスと同様のカルバモイル基転移プロセスを経て、ポリエステル上の末端水酸基と低分子量のカルバメート官能性材料とを反応させることによってか、またはイソシアン酸とヒドロキシル官能性ポリエステルとを反応させることによって、ポリエステル中に組み込まれ得る。
【0059】
他の官能基(例えば、アミン、アミド、チオール、および尿素)は、利用可能である場合には適切な官能性反応物を使用するか、または必要に応じて、所望の官能基を生じる変換反応を使用して、所望される通りに、ポリアミド、ポリエステルまたはアルキド樹脂に組み込まれ得る。このような技術は、当業者に公知である。
【0060】
ポリウレタンはまた、第1のコーティング組成物中のポリマー性フィルム形成樹脂として使用され得る。共通して、使用され得るポリウレタンは、一般的に、ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオール(例えば、上に記載されるもの)とポリイソシアネートとを、OH/NCO当量比が1:1より大きく、その結果、遊離水酸基が生成物中に存在するように、反応させることによって調製されるポリマーポリオールである。ポリウレタンポリオールを調製するために使用される有機性ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートもしくは芳香族ポリイソシアネートまたはその2つの混合物であり得る。代表的に、ジイソシアネートは、使用されるが、より高度なポリイソシアネートが、ジイソシアネートに代えてか、またはジイソシアネートと組み合わせて使用される。適切な芳香族ジイソシアネートの例は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートである。適切な脂肪族ジイソシアネートの例は、直鎖脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)である。また、脂環式ジイソシアネートが、利用され得る。例としては、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。より高度な適したポリイソシアネートの例は、1,2,4−ベンゼントリイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。ポリエステルと同様に、このポリウレタンは、塩基(例えば、アミン)による中和の際に、水性媒体中に分散される未反応のカルボン酸基を用いて調製され得る。
【0061】
末端カルバメート官能基および/またはペンダント(pendent)カルバメート官能基は、ポリイソシアネートと、末端/ペンダントカルバメート基を含むポリマーポリオールとを反応させることによって、上記ポリウレタンに組み込まれ得る。あるいは、カルバメート官能基は、ポリイソシアネートと、ポリオールおよびヒドロキシアルキルカルバメートまたはイソシアン酸とを、別個の反応物として反応させることによって、上記ポリウレタンに組み込まれ得る。カルバメート官能基はまた、アクリルポリマーへのカルバメート基の組み込みに関して上に記載されるプロセスと同様のカルバモイル基転移プロセスを経てポリエステル上の末端ヒドロキシル性ポリウレタンと低分子量のカルバメート官能性材料とを反応させることによって、上記ポリウレタンに組み込まれ得る。さらに、イソシアネート官能性ポリウレタンはヒドロキシアルキルカルバメートと反応して、カルバメート官能性ポリウレタンを生じ得る。
【0062】
他の官能基(例えば、アミド、チオール、および尿素)は、利用可能である場合には適切な官能性反応物を使用するか、または必要に応じて、所望の官能基を生じる変換反応を使用して、所望される通りに、ポリウレタンに組み込まれ得る。このような技術は、当業者に公知である。
【0063】
ポリエーテルポリオールの例は、以下の構造式:
【0064】
【化4】

を有するものを含むポリアルキレンエーテルポリオールであり、置換基Rは、水素、または1個〜5個の炭素原子を含有し、混合型の置換基を含む低級アルキルであり、そしてn’は、代表的に、2〜6であり、そしてm’は、8〜100またはそれ以上である。ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコール、およびポリ(オキシ−1,2−ブチレン)グリコールが、挙げられる。
【0065】
種々のポリオール(例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAなどのようなジオール、またはより高度な他のポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど))のオキシアルキル化から形成されるポリエーテルポリオールもまた、有用である。示すように使用され得るより高度な官能性のポリオールは、例えば、スクロールまたはソルビトールのような化合物のオキシアルキル化によって作製され得る。1つの一般的に利用されるオキシアルキル化法は、酸性触媒または塩基性触媒の存在下における、ポリオールとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシド)との反応である。特定のポリエーテルとしては、名称TERATHANEおよびTERACOL(E.I.Du Pont de Nemours and Company,Inc.から市販されている)、ならびにPOLYMEG(Great Lakes Chemical Corp.の子会社であるQ O Chemicals,Inc.から市販されている)で販売されているものが挙げられる。
【0066】
ペンダントカルバメート官能基は、カルバモイル基転移反応によってポリエーテルに組み込まれ得る。他の官能基(例えば、酸、アミン、エポキシド、アミド、チオール、および尿素)は、利用可能である場合には適切な官能性反応物を使用するか、または必要に応じて、所望の官能基を生じる変換反応を使用して、所望される通りに、ポリエーテルに組み込まれ得る。
【0067】
上記ポリエーテルポリマーは、代表的に、ポリスチレンの基準を使用したゲル透過クロマトグラフィーによって測定される場合、500〜5000の数平均分子量、より頻繁に1100〜3200の数平均分子量を有し、そして反応性のペンダント基または末端基の当量(equivalent)に基づいて、140〜2500の範囲内(多くの場合、500)の当量(equivalent weight)を有する。この当量は、ポリエーテルポリマーを作製するのに使用される種々の成分の相対量に基づく計算値であり、そしてポリエーテルポリマーの固形物に基づく。
【0068】
上記第1のコーティング組成物中のフィルム形成樹脂として使用するのに適したエポキシ官能性ポリマーとしては、ポリエポキシドと、アルコール性水酸基含有材料およびフェノール性水酸基含有材料から選択される多水酸基含有材料とを一緒に反応させることによって伸長されるポリエポキシド鎖が挙げられ得、この反応は、鎖を伸長させるか、またはポリエポキシドの分子量を確立する。
【0069】
鎖が伸長したポリエポキシドは、代表的に、ポリエポキシドおよび多水酸基含有材料を、そのままか、または不活性有機溶媒(例えば、ケトン(メチルイソブチルケトンおよびメチルアミルケトンが挙げられる)、芳香族(例えば、トルエンおよびキシレン)、およびグリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールのジメチルエーテル))の存在下において一緒に反応させることによって調製される。この反応は、通常、エポキシ基含有樹脂の反応生成物が得られるまで、80℃〜160℃の温度にて30〜180分間行われる。
【0070】
反応物の当量比(すなわち、エポキシ:多水酸基含有材料)は、代表的に、1.00:0.75〜1.00:2.00である。
【0071】
定義上、ポリエポキシドは、少なくとも2つの1,2−エポキシ基を有する。一般的に、上記ポリエポキシドのエポキシド当量は、100〜2000(代表的に、180〜500)の範囲である。上記エポキシ化合物は、飽和もしくは不飽和、環式または非環式、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であり得る。これらは、置換基(例えば、ハロゲン基、水酸基、およびエーテル基)を含み得る。
【0072】
ポリエポキシドの例は、1より多く、そして通常は約2の1,2−エポキシ相当物(equivalency)を有するもの(すなわち、平均で1分子あたり2個のエポキシド基を有するポリエポキシド)である。最も一般的に使用されるポリエポキシドは、環式ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、多価フェノール(例えば、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ベンゼンジメタノール、フロログルシノール、およびカテコール)のポリグリシジルエーテル;または多価アルコールのポリグリシジルエーテル(例えば、脂環式ポリオール、特定の脂環式ポリオール(例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−三級ブチルシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン))である。脂肪族ポリオールの例としては、とりわけ、トリメチルペンタンジオールおよびネオペンチルグリコールが挙げられる。
【0073】
鎖を伸長させるか、またはポリエポキシドの分子量を増加させるために使用される多水酸基含有材料は、さらに、ポリマーポリオール(例えば、上で考察されるもの)であり得る。
【0074】
あるいは、第1のコーティング組成物において使用されるエポキシ官能性フィルム形成樹脂は、エポキシ官能性モノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、およびメタリルグリシジルエーテル)によって調製されるアクリルポリマーであり得る。グリシジルアルコールもしくはグリシジルアミンを用いて調製されるかもしくはエピハロヒドリンと反応する、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリアミドもまた、適切なエポキシ官能性樹脂である。
【0075】
本発明の多成分複合コーティング組成物において使用される第1のコーティング組成物が電着可能である場合、上記エポキシ官能性樹脂はまた、代表的に、イオン性の基(代表的に、カチオン性塩の基)を含む。
【0076】
フィルム形成樹脂の適切な混合物もまた、本発明の多成分複合コーティングにおいて使用され得る。上記第1のコーティング組成物中のフィルム形成樹脂の量は、一般的に、第1のコーティング組成物中の樹脂固形物の総重量に基づいて25重量%〜95重量%の範囲である。
【0077】
1つ以上の第1のコーティング組成物が、本発明の多成分複合コーティング組成物において使用され得、そして第1のコーティング組成物は、上述の通り、電着可能なフィルム形成組成物、プライマー、着色単一被膜、着色ベースコート、透明トップコート、産業用コーティング、および自動車の最初の装備の製造または自動車の再仕上げにおいて一般的に使用される他のコーティングの少なくとも1つから選択され得る。所望される場合、第1のコーティング組成物は、処方される表面コーティングの分野において周知である他の任意の材料(例えば、可塑剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収体およびUV光安定剤、界面活性剤、流れ制御剤(flow control agent)、揺変剤(例えば、ベントナイトクレー)、顔料、フィラー、有機性共溶媒、ホスホン酸を含む触媒、および他の慣習的な助剤)を含有し得る。これらの材料は、第1のコーティング組成物の総重量の40重量%までを構成し得る。
【0078】
上記第1のコーティング組成物は、従来の手段を含む任意の手段(例えば、電着、はけ塗り塗装、浸漬塗装、フロー塗装(flowing coating)および噴霧など)によって基材に塗布され得る。電着のプロセスにおいて、電極として機能する、コーティングされる金属基材、および導電性の対電極は、イオン性の、電着可能な組成物に接触されて配置される。電極と対電極との間の電流の通過において、それらは、電着可能な組成物と接触しているが、この電着可能な組成物の接着性フィルムは、金属基材上に、実質的に連続した様式で堆積される。
【0079】
通常の噴霧技術ならびにエアスプレー塗装、および静電塗装のための装置、ならびに手動および自動のいずれかの方法がまた、基材に対する上記第1のコーティング組成物の塗布に使用され得る。
【0080】
基材に対する任意の第1のコーティング組成物の塗布後、フィルムは、加熱によってかまたは空気乾燥の期間によって水および/または有機溶媒をそのフィルムから追い出すこと(フラッシング)で、基材の表面に形成される。1つより多い第1のコーティング組成物が基材に塗布される場合、フラッシングは、各コーティング層の塗布後に行われ得る。
【0081】
その後、コーティングされた基材は、第1のコーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるために加熱される。硬化操作において、溶媒は追い出され、そしてフィルム形成材料は架橋される。加熱操作または硬化操作は、通常、160〜350°F(71〜177℃)の範囲の温度で実施されるが、必要な場合、より低い温度またはより高い温度が、必要に応じて架橋機構を活性化するために使用され得る。再び、1つより多い第1のコーティング組成物が基材に塗布される場合、硬化は、各コーティング層の塗布後に行われ得るか、または同時に複数の層を硬化することが可能である。
【0082】
上記第2のコーティング組成物は、基材の少なくとも一部上に塗布され得るか、または本発明が複合コーティングである実施形態において、第1のコーティングの少なくとも一部上に塗布され得る。本発明の多成分複合コーティングにおいて第2のコーティング組成物として使用される噴霧可能なポリ尿素組成物は、代表的に、イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分を含有する2成分組成物である。本発明の1つの実施形態において、ポリ尿素コーティングは、以下の工程を包含するプロセスを使用して形成される:(a)アミン基の当量に対するイソシアネート基の当量の比が1より大きく、イソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量混合比が1:1で基材に塗布され得るように、上記イソシアネート官能性成分および上記アミン官能性成分を選択する工程;(b)反応混合物を生成する容量比で上記イソシアネート官能性成分と上記アミン官能性成分とを混合する工程;ならびに(c)基材をコーティングするポリ尿素を形成するために基材に対して上記反応混合物を塗布する工程。
【0083】
本発明のこの実施形態におけるプロセスによって調製されるポリ尿素コーティングは、受容可能なタックフリー時間、および短時間であり予測可能な硬化時間を有するコーティングをもたらす。本発明のプロセスの制御された硬化速度は、テクスチャード表面を有するポリ尿素コーティングからなる2層コーティングの応用をもたらし得る。
【0084】
このようなポリ尿素組成物は、2成分混合デバイスを使用するプロセスに従って調製され得る。特定の実施形態において、上記ポリ尿素組成物は、等しい容量のイソシアネート官能性成分とアミン官能性成分とが互いに衝突し、そして基材または上記第1のコーティング組成物の少なくとも一部上に直ちに噴霧されて、その上に第2のコーティングを生成する高圧衝突(high pressure impingement)式混合デバイスを使用して調製され得る。イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分が反応して、基材または基材上の第1のコーティングに対する塗布の際に硬化されるポリ尿素組成物を生成する。高圧衝突式混合デバイスは、ポリ尿素の調製のような、非常に速い反応速度を有するポリマー系からコーティングを調製するのに特に有用である。ポリ尿素は、代表的に、本明細書中で「A面」と称されるイソシアネート官能性成分の流れおよび本明細書中で「B面」と称されるアミン官能性成分の流れによって処方される。イソシアネート官能性成分を含むA面は、少なくとも1種のポリイソシアネートであり得、このポリイソシアネートとしては、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、またはポリイソシアネートのブレンドが挙げられる。上記プレポリマーは、十分な量のポリアミンまたはイソシアネートと反応性の成分(例えば、当該分野において周知であるような1種以上のポリオール)と、ポリイソシアネート上の反応性部位がプレポリマー中になお残存するように、前もって反応するポリイソシアネートである。その後、ポリイソシアネートプレポリマー上の残った反応性部位は、B面中の成分とのさらなる反応に利用可能である。
【0085】
本発明は、以下で、モノマーのポリイソシアネートの使用について記載されるが、これは、限定することを意味しない。本発明は、上に記載されるように、ポリイソシアネートプレポリマーまたはポリイソシアネートのブレンド(例えば、1種以上のポリイソシアネートプレポリマーおよび/または1種以上のモノマーのポリイソシアネートのブレンド)を含有するコーティング組成物を包含する。A面において使用される適切なポリイソシアネート反応物としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、これは、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナト−メチル−シクロヘキシルイソシアネート;水素化材料(例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);混合アラルキルジイソシアネート(例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート(OCN−C(CH−CC(CH−NCO));ならびにポリメチレンイソシアネート(例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートおよび2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート)である。脂肪族イソシアネートは、UV光による分解に抵抗性であるポリ尿素コーティングを生成するのに特に有用である。しかし、他の状況において、費用の低い芳香族ポリイソシアネートは、耐久性が重要な問題とならない場合に使用され得る。芳香族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、一般的に、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン 2,4−ジイソシアネート、ジトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートおよびアルキル化ベンゼンジイソシアネート;メチレンジフェニルジイソシアネートのようなメチレンによって分断された芳香族ジイソシアネート(特に、アルキル化アナログ(例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート)を含む4,4’−アイソマー)(MDI)が挙げられる。
【0086】
過剰なポリイソシアネートモノマー(すなわち、プレポリマーの調製からの残留遊離モノマー)は、ポリ尿素組成物の粘性を減少させ得、基材または上記第1のコーティング組成物上の改良された流れを可能にする。過剰なポリイソシアネートモノマーはまた、いくつかの場合において、先に塗布されたコーティングおよび/または基材自体に対するポリ尿素コーティングの改良された接着を提供することが観察されている。例えば、自動車の表面に先に塗布された硬化したコーティングは、イソシアネートに対して反応性であり、それによって第1のコーティングに対する噴霧されたポリ尿素組成物の接着を増強する官能基(例えば、水酸基)含み得る。より低い粘性のポリ尿素組成物はまた、組成物をより長い時間流動可能な状態に保つ。本発明の特定の実施形態において、イソシアネート官能性組成物の少なくとも1重量%、または少なくとも2重量%、または少なくとも4重量%は、少なくとも1種のポリイソシアネートモノマー(すなわち、残留遊離ポリイソシアネートモノマー)を含有する。
【0087】
種々のオリゴマーのポリイソシアネート(例えば、ダイマー、トリマー、ポリマーなど)および改変ポリイソシアネート(例えば、カルボジイミド、ウレトン(uretone)−イミンなど)はまた本発明の範囲内であることが、理解される。A面またはB面はまた、表面コーティングの分野において周知であるような不活性成分(例えば、フィラー、安定剤および顔料)を含み得る。
【0088】
本発明の第2のコーティング組成物のB面に使用するのに適したアミンは、一級アミン、二級アミン、三級アミンまたはそれらの混合物であり得る。上記アミンは、モノアミン、またはポリアミン(例えば、ジアミン、トリアミン、より高度なポリアミンおよび/またはそれらの混合物)であり得る。上記アミンはまた、芳香族または脂肪族(例えば、脂環式)であり得る。1つの実施形態において、アミン成分は、向上した耐久性を提供する脂肪族アミンを含む。上記アミンは、代表的に、比較的低い粘性(例えば、25℃において約100mPa・s未満)を有する液体として提供される。1つの実施形態において、一級アミンは、上記アミン成分中に存在しない。特定の実施形態において、アミン成分は、一級アミンと二級アミンとの混合物に基づく。例えば、一級アミンと二級アミンとの混合物が利用される場合、その一級アミンは20〜80重量%の量または20〜50重量%の量で存在し得、残りは二級アミンである。他のアミンは使用され得るが、上記組成物中に存在する一級アミンは、一般的に、200より大きい分子量(例えば、揮発性を減少させるため)を有し、そして存在する二級アミンは、一般的に、少なくとも190(例えば、210〜230)の分子量を有するジアミンを含む。
【0089】
1つの特定の実施形態において、アミン官能性成分は、20〜80重量%の量または50〜80重量%の量で存在する少なくとも1種の二級アミンを含む。適切な二級アミンは、アクリレートおよびメタクリレートを含み得、「アクリレートおよびメタクリレートで改変されたアミン」は、モノアクリレートおよびポリアクリレートで改変されたアミン、ならびにアクリレートもしくはメタクリレートで改変されたモノアミンまたはポリアミンの両方を意味する。このようなアクリレートまたはメタクリレートで改変されたアミンは、代表的に、脂肪族アミンを含む。適切な脂肪族ポリアミンの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:エチルアミン、異性体プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサンおよび/もしくは2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,3−シクロヘキサンジアミンおよび/もしくは1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン、2,4’−および/または4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンならびに3,3’−ジアルキル4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(例えば、3’,3−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンおよび3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン)、2,4−ジアミノトルエンおよび/もしくは2,6−ジアミノトルエンならびに2,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルメタン、またはそれらの混合物。
【0090】
本発明の実施形態において、二級アミンとしては、脂肪族アミン(例えば、脂環式ジアミン)が挙げられる。このようなアミンは、Huntsman Corporation(Houston、TX)からJEFFLINKTM(例えば、JEFFLINKTM754)の名称で市販されている。別の実施形態において、アミンは、アミン官能性樹脂として提供され得る。このようなアミン官能性樹脂は、比較的低い粘性であり得、硬質(high solids)ポリ尿素コーティングの処方において使用するのに適したアミン官能性樹脂である。多くの異なるアミン官能性樹脂のいずれかが適切であり得る一方で、本発明の1つの実施形態において、このアミン官能性樹脂は、有機酸のエステルを含む(例えば、アスパラギン酸エステルベースでイソシアネートと適合可能な反応性のアミン官能性樹脂;例えば、溶媒を含まず、そして/または1:1を超えないアミン官能基対エステルのモル比なので反応において過剰な一級アミンを残さない樹脂)。このようなポリアスパラギン酸エステルの1つの例は、Bayer Corporation of Pittsburgh,PAから商品名DESMOPHEN NH1220で市販されている、ジエチルマレエートと1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンとの誘導体である。アスパルテート基を含む他の適切な化合物が、同じく利用され得る。さらに、二級ポリアミンは、化合物(例えば、マレイン酸、フマル酸エステル、脂肪族ポリアミンなど)の誘導体を含み得るポリアスパラギン酸エステルを含み得る。
【0091】
上記アミン官能性成分はまた、高分子量の一級アミン(例えば、ポリオキシアルキレンアミン)を含み得る。ポリオキシアルキレンアミンは、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、またはそれらの混合物に由来する骨格に結合する、2つ以上の一級アミノ基を含む。このようなアミンの例としては、名称JEFFAMINETMでHuntsman Corporation製から市販されているアミンが挙げられる。このようなアミンは、代表的に、200〜7500の範囲の分子量を有する(例えば、JEFFAMINE D−230、D−400、D−2000、T−403およびT−5000であるが、これらに限定されない)。
【0092】
混合デバイス中のイソシアネート官能性成分 対 アミン官能性成分の容量比は、基材に塗布され得る任意の適切な容量混合比(例えば、1:1である)であり得る。1:1の容量比が、標準的な衝突式混合デバイス内での適切な混合を確保するために選択され得る。自動車産業における使用について受容される市販の混合デバイスの1つの例は、GUSMERTMModel GX−7スプレーガンに取り付けられたGUSMERTMVR−H−3000プロポーショナーである。そのデバイスにおいて、A面およびB面の成分の加圧された流れは、プロポーショナーの2つの別個のチャンバーから送達され、スプレーガンを介して所望の基材上にコーティングされるポリ尿素組成物を形成する2つの成分の緊密な混合を達成するために、高速度で互いに影響するか、または衝突される。混合の間、これらの成分は、高圧にて相互に微粒化され、そして衝突される。ポリ尿素反応の優れた制御は、成分の流れの力が釣り合う場合に達成される。この成分の流れによって直面する混合の力は、混合チャンバーに単位時間あたりに進入するそれぞれの流れの容量、および成分の流れが送達される圧力によって決定される。単位時間あたりの成分の1:1の容量比は、成分の力を平均化するのに役立つ。イソシアネート対アミンの1:1の容量比は、噴霧可能なポリ尿素のトラック用ベッドライナーの自動車用OEMの塗布に、特に関連し得る。
【0093】
当該分野で公知である他の塗布/混合デバイスは、本発明のポリ尿素組成物を塗布するために使用され得る。1つの適切な塗布デバイスは、「静的混合(static mix)チューブ」塗布器として一般的に公知である。このような静的混合チューブにおいて、イソシアネート成分およびアミン成分は、別個のチャンバーまたは容器中に、それぞれ保存される。圧力が適用される場合、これらの成分の各々は、容量で1:1の比において混合チューブ中に至る。これらの成分の混合は、チューブ内の捻れた通路または螺旋状の通路を経て達成される。チューブの出口末端は、反応混合物の噴霧塗布に有用な微粒化能力を有し得る。あるいは、流体反応混合物は、ビーズとして基材に塗布され得る。適切な静的混合チューブ塗布器は、Cammda Corporationから入手可能である。V.O.Bakerから入手可能である別の設計は、空気ポンプの塗布器または手動ポンプの塗布器のいずれかを備えるデュアルカートリッジシリンジ塗布器である。
【0094】
イソシアネート基対アミン基の当量の比は、ポリ尿素コーティング組成物の硬化の速度を制御し、それによって接着に影響を与えるように選択され得る。1:1の容量比で生成され得るか、または1:1の容量比で基材に塗布され得る2成分ポリ尿素組成物は、イソシアネート基 対 アミン基の当量の比(反応係数(reaction index)としても公知である)が1より大きい(例えば、1.01:1〜1.10:1、または1.03:1〜1.10:1、または1.05:1〜1.08:1)場合に、硬化および上記第1のコーティング組成物に対する接着において特に有利であることが見出された。「1:1の容量比で生成され得る」または「1:1の容量比で基材に塗布され得る」は、その容量比が、各成分に対して20%まで、または10%まで、または5%まで変動することを意味する。イソシアネート官能性成分およびアミン官能性成分は、上に列挙されるイソシアネート(ポリイソシアネートを含む)およびアミンのいずれかから選択されて、1:1の容量比で塗布され得るにもかかわらず1より大きい反応係数、および生じるコーティングの受容可能な性能を提供し得る。
【0095】
いくつかの場合において、トラック用ベッドライナーのためのポリ尿素コーティング組成物の所望の物理的特性は、表面のきめである。この表面のきめは、滑らかで実質的にタックフリーである第1の層を生成する第1のコーティング組成物上に、ポリ尿素組成物を最初に噴霧することによってもたらされ得る。「実質的にタックフリー」は、Tack−Free法によって決定されるような、緩く嵌めた手袋で層の表面に穏やかに触れる際に、手袋の先端が、その表面に固着しないか、あるは粘着しない状態を意味する。Tack−Free法は、1回で噴霧されるコーティング組成物が非粘着性プラスチックシート上に10〜15ミル(254〜381ミクロン)の厚さまでコーティングすることを提供する。噴霧が完了したとき、操作者は、緩く嵌めた使い捨てのビニール手袋(例えば、Marigold Industrial,Norcross GAによって商品名Ambidex Disposable Vinyl Gloveで市販されているもの)を使用して、そのコーティングの表面に穏やかに触れる。そのコーティングは、異なる指先を使用することによって1回より多く触れられ得る。手袋の先端が、もはや層の表面に固着しないか、またはその表面から全く引っ張られない場合、その層は、実質的にタックフリーであるといわれる。噴霧の完了から始まって、そのコーティングが実質的にタックフリーになるまでの時間は、タックフリー時間といわれる。ポリ尿素組成物についてのタックフリー時間および硬化時間は、種々の配合成分のレベルを釣り合わせること(例えば、一級アミン対二級アミンの比を釣り合わせること)によって制御され得る。次いで、上記ポリ尿素組成物の第2の層またはその次の層は、きめを有する層または「ダストコーティング(dust coating)」として第1の層に塗布され得る。これは、例えば、コーティングされた基材に接触する前にポリ尿素組成物の離散した液滴を形成するために、塗布/混合デバイスとコーティングされた基材との間の距離を増加させ、それによって第2の層の表面において制御された不均一性を形成することによって達成され得る。実質的にタックフリーであるポリ尿素コーティングの第1の層は、第2のポリ尿素層に対して少なくとも部分的に抵抗性である(すなわち、この液滴が、表面のきめをもたらすために第1の層に接着するが、その第1の層と合体しないように、第2のポリ尿素層またはダストコーティングとしてその第1の層上に噴霧されたポリ尿素組成物の液滴の合体に対して少なくとも部分的に抵抗性である)。代表的に、第2のポリ尿素層は、第1のポリ尿素層より多い表面のきめを示す。この2つのポリ尿素層の総合的な厚さは、20〜120ミルの範囲(例えば、40〜110ミル、または60〜100ミル(1524〜2540ミクロン))であり得、この第1の層は、全体の厚さの半分〜4分の3(762〜1905ミクロン)であり、そしてこのダストコーティングは、全体の厚さの4分の1〜半分(381〜1270ミクロン)である。ポリ尿素コーティングの各層が異なる組成物から堆積され得ることに、さらに留意すべきである。1つの実施形態において、第1の層は、芳香族アミン成分および芳香族ポリイソシアネート成分を含有するポリ尿素組成物から堆積されるが、第2の層は、脂肪族アミン成分および脂肪族ポリイソシアネート成分を含有するポリ尿素組成物から堆積される。注目すべきは、上記「第1の」ポリ尿素コーティング層が、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の層を含み得、そして上記「第2の」ポリ尿素コーティング層が、この第1の層上に塗布された1つ以上の次なる層であり得ることである。例えば、本発明の1つの実施形態において、4つのポリ尿素層が、塗布され得、その第4の層は、ダストコーティングであり、各層は、15〜25ミル(381〜635ミクロン)の範囲の厚さを有する。
【0096】
上記ポリ尿素組成物はまた、1つ以上の添加剤(例えば、光安定剤、増粘剤、顔料、難燃剤、接着促進剤、触媒、または性能もしくは特性の改変剤)を含有し得る。このような添加剤は、代表的に、A面において提供されるが、その代わりに、B面またはそれらの両方において提供されてもよい。
【0097】
本発明の特定の実施形態において、ポリ尿素組成物は、通常はアミン官能性成分(B面)中に、クレーおよび必要に応じて、シリカをさらに含有する。この実施形態において、金属基材の表面上に2成分ポリ尿素コーティング組成物から形成されるコーティング層は、取り付けデバイスを使用せずに、ASTM D 1876において概説される試験法に従って測定したところ、クレーまたはシリカを含有しない類似のコーティング組成物より良好な、金属基材に対する接着を有することが見出された。
【0098】
上記クレーは、当該分野において公知である種々のクレーのいずれかから選択され得、これらのクレーとしては、モンモリロナイトクレー(例えば、ベントナイト)、カオリンクレー、アタパルガイトクレー、海泡石クレー、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに、このクレーは、当該分野において公知である通りに処理された表面であり得る。任意の適切な表面処理が、使用され得る;例えば、以下の構造:
【0099】
【化5】

に従う1種以上のアミンであって、RおよびRは、独立して、C〜C24である直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、アリール、アルケニル、アラルキルまたはアラルキルであり、R、R、RおよびRは、独立して、HまたはC〜C20である直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル、アリール、アルケニル、アラルキルまたはアラルキルであり、そしてRは、C〜C24である直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキレン、アリーレン、アルケニレン、アラルキレン、またはアラルキレンである。非限定的な例として、表面処理されたベントナイト(例えば、米国特許第3,974,125号に記載されるアルキルアンモニウムベントナイト)が、使用され得る。
【0100】
本発明の実施形態において、クレーは、少なくとも0.5重量%のレベル、いくつかの場合においては少なくとも1重量%のレベル、および他の場合においては少なくとも1.5重量%のレベルで上記ポリ尿素組成物中に存在する。また、上記クレーは、その組成物の6重量%まで、いくつかの場合においては5重量%まで、および他の場合においては4重量%までにて存在し得る。2成分ポリ尿素組成物中のクレーの量は、上に記載される任意の値、または上に記載される任意の値の間の範囲であり得るが、但し、そのポリ尿素組成物の接着特性および塗布における粘性は、悪影響を受けない。
【0101】
上記の通り、2成分ポリ尿素組成物は、必要に応じて、シリカを含有し得る。任意の適切なシリカは、それが塗布性能およびコーティング性能の特性を損なわない適切なチキソトロープ(thixotrope)である限り、使用され得る。本発明の特定の実施形態において、シリカは、乾式シリカを含む。
【0102】
存在する場合、上記シリカは、少なくとも0.5重量%のレベル、いくつかの場合においては少なくとも1重量%のレベル、および他の場合においては少なくとも1.5重量%のレベルで上記2成分コーティング組成物中に存在する。また、上記クレーは、その組成物の6重量%まで、いくつかの場合においては5重量%まで、および他の場合においては4重量%までにて存在し得る。上記2成分コーティング組成物中のシリカの量は、上に記載される任意の値、または上に記載される任意の値の間の範囲であり得るが、但し、そのポリ尿素組成物の接着特性および塗布における粘性は、悪影響を受けない。
【0103】
本発明の1つの実施形態は、基材に対するポリ尿素組成物の接着を増強するための接着促進剤の使用を包含する。本発明の実施形態において、この基材は、地金(陽極処理された金属が挙げられる)、前処理された金属、または上に記載されるようなものを含み得、ポリ尿素組成物が多成分複合コーティングの一部として塗布される第1のコーティングまたは多層複合コーティングが存在し得、これらのコーティングは、電着可能なフィルム形成組成物、プライマー組成物、着色または非着色の単一被膜組成物、着色ベースコート組成物、透明トップコート組成物、産業用コーティング組成物、および自動車の最初の装備の製造または自動車の再仕上げにおいて一般的に使用される他のコーティングから選択される。上記ポリ尿素コーティングが第1のコーティング上に塗布される場合、本発明の多成分複合コーティングは、代表的に、接着促進組成物をさらに含み、その接着促進組成物は、第1のコーティング組成物および第2のコーティング組成物の少なくとも1つに含まれ、そして/または第2のコーティング組成物の塗布前に第1のコーティング層の少なくとも一部上に別個の層として塗布される。この実施形態において、第2のポリマー層は、取り付けデバイスを使用せずにASTM D 1876において概説される試験法に従って測定される場合、少なくとも5ft−lb、または少なくとも10ft−lb、または少なくとも15ft−lbの90°剥離接着強さを有し得る。
【0104】
上記接着促進剤は、A面もしくはB面のいずれかまたはその両方において、ポリ尿素成分と一緒に提供され得る。あるいは、接着促進剤は、基材または第1のコーティングにポリ尿素コーティングが塗布される前に、その基材または第1のコーティングに別個の層として直接塗布され得る。別個の層として塗布される場合、接着促進剤は、ポリ尿素コーティングの塗布前にエバポレートされるキャリア(例えば、有機溶媒または水)中に、分散されても溶解されてもよい。あるいは、接着促進剤は、基材に直接塗布できる形態であり得る。接着促進剤はまた、第1のコーティング組成物の成分であり得る。どのような場合においても、接着促進剤は、はけ塗り塗装、浸漬塗装、ロールコート塗装、カーテン塗装、噴霧または当該分野において周知である他の塗布技術によって塗布され得る。
【0105】
適切な接着促進剤の例としては、アミン(例えば、三級アミンまたはメラミン)、アミノシラン、金属錯体およびウレタンアクリレート組成物が挙げられる。接着促進剤によって基材に対するポリ尿素の接着を増強する根本的な機構は、1つ以上の現象(例えば、基材または先に塗布されたコーティング上の反応性基(例えば、水酸基)と上記ポリ尿素組成物の官能基との間の反応の触媒作用、基材との反応、または水素結合を介するような基材との結合形成であるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0106】
接着促進剤として使用するのに適切な三級アミンとしては、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが挙げられる。接着促進剤として使用するのに適切なアミノシランの例は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(OSY Specialties,Inc.からSilquest A100として市販されている)である。他の適切なアミン官能性接着促進剤としては、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−(1,2−A)−ピリミジン、ヒドロキシエチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジメチルアミンエチルエーテル、テトラメチルイミノプロピルアミン(Air Products and Chemicals,Inc.からPolycat(登録商標)15として市販されている)、ブロック化アミン(例えばIPDIとジメチルアミンとの付加物)、メラミン(例えば、メラミン自体またはイミノメラミン樹脂(例えば、Cytec Industries Inc.から入手可能なCymel(登録商標)220またはCymel(登録商標)303) が挙げられる。金属含有接着促進剤としては、金属キレート錯体(例えば、アルミニウムキレート錯体(例えば、King Industriesから入手可能なK−Kat 5218)または錫含有組成物(例えば、錫オクトエートおよび有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジラウレートおよびジブチル錫ジアセテート))が挙げられ得る。他の接着促進剤としては、塩(例えば、塩素のリン酸塩)、ブタジエン樹脂(例えば、エポキシ化した、ヒドロキシ末端のポリブタジエン樹脂(例えば、Atofina Chemicals,Inc.から入手可能なPoly bd(登録商標)605E))、ポリエステルポリオール(例えば、Solvay America,Inc.から入手可能なポリエステルトリオールであるCAPA(登録商標)3091)およびウレタンアクリレート組成物(例えば、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なCN999))が挙げられ得る。
【0107】
本発明の1つの実施形態において、接着促進組成物は、メラミン、ウレタンアクリレート、金属キレート錯体、塩、錫含有化合物および多水酸基ポリマーから選択される少なくとも1つの成分を含有する。適切なメラミンとしては、架橋剤への言及において上で開示されるものが挙げられる。
【0108】
特定の実施形態において、本発明は、コーティングされた基材、コーティングされた乗物、またはコーティングされた乗物基材、を提供し、これらは、第1のコーティング組成物によってコーティングされた第1の基材、および第2の基材の少なくとも一部上に堆積される、少なくとも1つの噴霧可能なポリ尿素組成物からなる少なくとも1つの層または上に開示されるような多成分複合コーティングのいずれかによってコーティングされた第2の基材(代表的に、トラックの荷台)を備える。この実施形態において、第1の基材上の第1のコーティング組成物およびポリ尿素コーティング組成物からなる少なくとも1つの層は、1種以上の顔料(代表的に、コーティングされた乗物基材の少なくとも一部が、付随する乗物本体の色と実質的に一致する色を有するように、色または効果を増強する顔料)を含有する。この顔料は、第1のポリ尿素層、およびポリ尿素コーティングの一部のような、第2の、きめを有するポリ尿素層のいずれかまたは両方において存在し得る。この実施形態において、第2の基材(代表的に、少なくとも1つのポリ尿素コーティング組成物によってコーティングされるトラックの荷台)の色は、実質的に、その乗物本体の色と同じである。
【0109】
この目的に適した顔料としては、金属性顔料、または有機性もしくは無機性の着色顔料が挙げられ得る。適切な金属性顔料としては、特に、アルミニウムフレーク、青銅フレークおよびマイカの顔料(例えば、金属酸化物をコーティングしたマイカ)が挙げられる。金属性含量に加えて、同じくまたは代替的に、コーティング組成物は、無機顔料(例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛、およびカーボンブラック)を含む非金属色顔料、および有機顔料(例えば、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーン)を含み得る。一般的に、上記顔料は、コーティングの固形物の総重量に基づいて約1〜80重量%の量で各コーティング組成物に組み込まれ得る。上記金属性顔料は、コーティングの固形物の総重量に基づいて0.5〜25重量%の量で利用され得る。
【0110】
さらに、本発明は、(A)第1および第2の主要な表面を有するキャリアフィルム、および(B)そのフィルムの第1の表面上に重ねられたコーティング層を備える複合物品に関連し、このコーティング層は、上に記載されるような少なくとも1つのイソシアネート官能性成分および少なくとも1つのアミン官能性成分を含むポリ尿素コーティング組成物から形成される。
【0111】
任意の適切なキャリアフィルムは、上記コーティング層(B)が、そのキャリアフィルム上に重ねられる限り、この実施形態において使用され得る。適切なキャリアフィルムとしては、熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属箔、セルロース紙、および合成紙が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本発明のさらなる実施形態において、キャリアフィルムは、適切な金属箔を含む。本明細書中で使用される場合、用語「箔」とは、金属の、薄く、そして可撓性であるシートをいう。本発明のキャリアフィルムに使用され得る適切な金属箔としては、アルミニウム、鉄、銅、マンガン、ニッケル、それらの組み合わせ、およびそれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特定の実施形態は、図1に示され、金属箔キャリアフィルム4は、コーティング層2によってコーティングされる。
【0113】
本発明の実施形態において、キャリアフィルムは、適切な熱可塑性材料を含む。本明細書中で使用される場合、用語「熱可塑性材料」とは、加熱される場合に軟化または融合し得、そして冷却した場合に再び凝固(硬化)し得る任意の材料をいう。本発明のキャリアフィルムとして使用され得る適切な熱可塑性材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、アクリル、およびそれらの混合物を含む材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明の別の実施形態において、キャリアフィルムは、適切な熱硬化性材料を含む。本明細書中で使用される場合、用語「熱硬化性材料」とは、加熱され、そして/または硬化された後に永久に剛性となる任意の材料をいう。本発明のキャリアフィルムとして使用され得る適切な熱硬化性材料としては、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリカーボネートポリマー、アクリルポリマー、樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの混合物を含む材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本発明のさらなる実施形態において、キャリアフィルムは、合成紙を含む。本明細書中で使用される場合、用語「合成紙」とは、コーティングされてもコーティングされなくてもよい、合成の平地(plain)またはつや出しされたシートをいい、そしてこれは、ポリプロピレン、ポリエチレンポリスチレン、セルロースエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリビニルアセテート、ポリイミド、ポリカーボネート、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物を含むフィルムから作製される。コーティングされた紙は、フィルム形成樹脂(例えば、ポリオレフィン、塩化ポリビニルなど)によって両面をコーティングされる基材を含み得る。合成紙は、適切な実施形態において、種々の添加剤(例えば、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなど)、分散剤(例えば、脂肪アミド(例えば、ステアルアミドなど)、脂肪酸の金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど))、顔料および染料(例えば、群青、コバルトバイオレットなど)、酸化防止剤、蛍光増白剤、ならびに紫外吸収体)を含み得る。本発明に使用され得る合成紙の非限定的な例は、PPG Industries,Inc.、Pittsburgh、PAから市販されている商品名TESLIN(登録商標)で利用可能であるものが挙げられる。
【0116】
本発明の特定の実施形態は、図2に示され、キャリアフィルム8は、コーティング層6によってコーティングされる、熱可塑性材料、熱硬化性材料、または合成紙である。
【0117】
本発明の特定の実施形態において、キャリアフィルムは、少なくとも0.5μmのフィルム厚、いくつかの実施形態においては少なくとも1μmのフィルム厚、他の実施形態においては少なくとも2μmのフィルム厚、いくつかの状況においては少なくとも3μmのフィルム厚、および他の状況においては少なくとも5μmのフィルム厚を有する。また、上記キャリアフィルムは、100μmまで、いくつかの場合においては90μmまで、他の場合においては75μmまで、いくつかの状況においては50μmまで、および他の状況においては40μmまでの厚さであり得る。上記キャリアフィルムは、任意の厚さであり得、変動し得、そして上に列挙される任意の厚さの間の範囲であり得るが、但しそのキャリアフィルムは、上記コーティング層(B)を適切に支持し得、そして所定の目的および使用用途に対して十分に順応性であり得る。
【0118】
上に示される通り、コーティング層は、上に記載されるポリ尿素組成物のいずれかを含有する少なくとも1つのコーティング組成物から上記キャリアフィルム上に形成される。
【0119】
本発明において、2成分ポリ尿素コーティングは、以下によってキャリアフィルム上に形成される:(I)(A)少なくとも1つのイソシアネート官能性成分が挙げられる第1の成分、および(B)少なくとも1つのアミン官能性材料が挙げられる第2の成分を選択する工程であって、(A)対(B)の容量比が、1:1であり、そしてイソシアネート基 対 アミン基の当量比が、1.03:1〜1.1:1である工程;(II)反応混合物を形成するために(A)と(B)とを混合する工程;および(III)上記キャリアフィルム上にポリ尿素コーティングを形成するために、そのキャリアフィルムの表面に反応混合物を塗布する工程。
【0120】
本発明の特定の実施形態において、2成分組成物は、噴霧可能であり、そして上記複合物品は、上記フィルム上に上記コーティング組成物を噴霧すること(例えば、上に記載される2成分混合デバイスを使用すること)によって作製され得る。
【0121】
本発明の実施形態において、上記キャリアフィルムは、そのフィルムの第2の表面上に重ねられる接着層を含み得る。当該分野において公知である任意の適切な接着性組成物が、接着層を形成するために使用され得る。適切な接着性組成物としては、C〜Cである直鎖状、分枝状、または環状のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有するモノマー組成物から調製される少なくとも1種のアクリルラッテクスポリマーを含む組成物が挙げられる。
【0122】
さらなる実施形態において、一時的な保護被覆が、接着層上に重ねられ得る。任意の適切な材料が、保護被覆として使用され得る。適切な材料としては、紙およびポリマー性材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明の特定の実施形態は、図3に示され、キャリアフィルム12は、コーティング層10によって第1の面上にコーティングされる、熱可塑性材料、熱硬化性材料、または合成紙である。接着層14は、キャリアフィルム12の第2の面上にコーティングされ、次に接着層14は、保護層16によって被覆される。
【0124】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、そして決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0125】
ポリ尿素組成物を、Gusmer Corporationによって製造される高圧衝突式混合デバイス中でA面の成分 対 B面の成分の1:1の容量比を混合することによって、表1における実施例1の処方から生成した。
【0126】
A面の成分を、前もって混合し、そして上記混合デバイスの保持チャンバー中に充填した。B面を、窒素下においてIPDI、テラタン(terathane)、ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールを混合することでプレポリマーを調製することによって調製した。触媒的な量のジブチル錫ジラウレート(DBTL)を添加し、そしてこの混合物を、15分間攪拌した。この反応混合物を、最初に40℃に加熱し、次いで100℃に加熱した。得られたプレポリマーを、80℃に冷却し、そして95%のDesmodur N3400に注ぎ、そして15分間攪拌した。さらなるDesmodur N3400を添加して、イソシアネート当量を調整した。
【0127】
アミンの当量に対するイソシアネートの比を、1.04であると算出した。
【0128】
別のポリ尿素組成物を、表1における実施例2の処方から生成した。アミンの当量に対するイソシアネートの比を、1.08であると算出した。
【0129】
【表1】

本発明の特定の実施形態は例示の目的で上に記載されたが、本発明の細部の多くのバリエーションが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明から逸脱することなくなされる得ることは、当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−102393(P2011−102393A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278646(P2010−278646)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【分割の表示】特願2007−530154(P2007−530154)の分割
【原出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】