説明

ポンプユニット

【課題】本発明は気液分離室で液体から分離された泡や気体富化液が大気開放孔からの流出抑制を課題とする。
【解決手段】ポンプユニットのフロート弁70は、気液分離室36の液面高さに応じて上下動するフロート72と、フロート72を支持する支持棒74と、支持棒74に連結された第1の弁部76、第2の弁部78とを有する。第1の弁部76は、フロート72の昇降動作に連動して流路78bを開閉し、気液分離室36の液面が高さH1以下のとき、フロート72の上昇位置に応じた弁開度で流路78bを開放する。第2の弁部78は、フロート72が所定角度上昇したときに長孔78dが連結ピン74aに当接して開弁動作を行うように構成されている。従って、第2の弁部78の弁体78aは、フロート72が所定高さH2に達するまで、閉弁状態を保ち、フロート72が所定高さH2に達すると、気液分離室36の底部に設けられた戻し孔60を開とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプユニットに係り、特に気液分離室で分離された液体をポンプ吸込み側に供給するフロート弁を備えたポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種、ポンプユニットとして、流入口および流出口を有するケーシングを備え、このケーシング内に、流入口から流体を吸込むポンプと、ポンプから吐出された流体を旋回させて液体と気体富化液(気体混入流体)とに分離する空気分離室と、空気分離室で分離された気体富化液から気体を分離する気液分離室と、空気分離室で気体富化液を除去された液体を濾過するフィルタ室とを設け、フィルタ室で濾過された液体をポンプの吸込口側に戻すように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、気液分離室には、気体が分離された液体と気泡を含む気体富化液とが貯留されており、液体の上部に溜る気体富化液の液面高さが所定高さに達したとき開弁するフロート弁が設けられている。フロート弁は、気液分離室の底部に設けられた弁部と、液面の高さ位置に応じて上下動作するフロートと、フロートの動作により弁部を開閉する弁体とを有する。フロートは、液面からの浮力を受けるため、液面高さ位置に応じて上下動するが、弁部が気液分離室の底部に設けられているので、弁体が弁部から離間して開弁すると、気液分離室の底部に溜った液体がポンプ吸込み側に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−264141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記気液分離室において、気泡を含む気体富化液がフロート弁の開弁による流出量以上に流入された場合、気液分離室の上部に設けられた大気開放孔から気体富化液が流出されるおそれがあり、また気液分離室の液面に大量の泡が発生した場合には、フロート弁の開弁が泡発生量に対して遅れてしまい大気開放孔から泡が排出されることになる。
【0006】
また、フロート弁の弁部の流路面積を大きくした場合、フロート弁の開弁によるポンプ吸込み側への供給量が増加するため、ポンプ吸込み側に液体が供給されると共に、気体富化液もポンプ吸込み側に供給されてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したポンプユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、流入口から流体を吸込むポンプと、
該ポンプから吐出された流体を液体と気体富化液とに分離するとともに、当該分離された液体を流出経路へ吐出させる空気分離室と、
前記空気分離室で分離された気体富化液から気体を分離する気液分離室と、
前記気液分離室内の気体富化液を含む液体の液面が所定高さに達すると開弁して前記気液分離室内の液体を前記ポンプへ戻すフロート弁と、
を備えたポンプユニットおいて、
前記フロート弁は、前記気液分離室の液面高さが第1の所定高さ以上の場合に開弁する流路面積の小さい第1の弁部と、前記気液分離室の液面高さが前記第1の所定高さよりも高い第2の所定高さ以上の場合に開弁する流路面積の大きい第2の弁部とを有することを特徴とする。
(2)本発明の前記第1の弁部は、前記第2の弁部と同軸上に配され、且つ前記第2の弁部の弁体に形成された流路を開閉するように配されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気液分離室内の気体富化液を含む液体(流体)の液面高さが第1の所定高さ以上の場合に流路面積の小さい第1の弁部が開弁することで気液分離室内の流体がポンプ吸込み側に少量ずつ供給され、気液分離室内の流体の液面高さが前記第1の所定高さよりも高い第2の所定高さ以上の場合に流路面積の大きい第2の弁部が開弁するため、気液分離室内の流体がポンプ吸込み側に大量に供給されることになり、気液分離室内が流体で充満して気液分離室の大気開放孔から流体が外部へ流出することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるポンプユニットの一実施例を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本ポンプユニットにおける液体の流れを順に示す図である。
【図3】フロート弁の構成を示す図である。
【図4】フロート弁の開弁動作を示す図である。
【図5】フロート弁の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
〔ポンプユニットの構成〕
図1は本発明によるポンプユニットの一実施例を模式的に示す概略構成図である。図2は本ポンプユニットにおける液体の流れを順に示す図である。
【0012】
図1及び図2に示されるように、ポンプユニット10は、例えば、ガソリンや軽油などの液体燃料(以下「液体」という)を供給する燃料供給装置に搭載され、地下タンク12に貯蔵された燃料を汲み上げると共に、液体に含まれる気泡を分離させて流量計20へ送液するように設けられている。尚、流量計20で計測された液体燃料は、燃料供給装置のホース、ノズルを介して車両の燃料タンクに供給される。
【0013】
ポンプユニット10は、ケーシング30の内部に流入室31、ロータ室32、空気分離室33、流出経路34、バイパス経路35、気液分離室36が形成されている。流入室31は、ケーシング30の底部に開口する流入口37に連通され、流入側逆止弁40が設けられている。
【0014】
流入側逆止弁40は、コイルバネ42により閉弁方向に付勢されており、ポンプ吸引力により開弁する。また、流入側逆止弁40には、筒状のストレーナ44が設けられ、液中の異物を除去する。
【0015】
流入側逆止弁40の開弁により、流入口37から流入された液体は、流路46を通過してロータ室32に至る。ロータ室32には、ベーン形ポンプ(回転式ポンプ)48が設けられている。ベーン形ポンプ48は、モータの回転駆動力を伝達されて回転するロータ50を有し、ロータ50の各ベーン52とロータ室32との間に流入した液体を空気分離室33へ送出する。
【0016】
空気分離室33は、テーパ状のサイクロンからなり、底部がフィルタ54に連通され、上部には気体を含んだ気体富化液を回収するための小孔56が設けられている。小孔56は、バイパス経路35及びパイプ58を介して気液分離室36に連通されている。
【0017】
気液分離室36は、底部に液体をポンプ48のロータ室32に戻す戻し孔60が設けられ、天井に大気開放孔62が設けられている。また、気液分離室36には、戻し孔60を開閉するフロート弁70が設けられている。
【0018】
フロート弁70は、後述するように気液分離室36内の気体富化液を含む液体(流体)の液面高さが第1の所定高さ以上の場合に開弁する小口径の第1の弁部と、気液分離室36内の流体の液面高さが第1の所定高さよりも高い第2の所定高さ以上の場合に開弁する大口径の第2の弁部とを有する。
【0019】
気液分離室36において、流体に含まれる気泡(気体)は上部空間に浮上し、大気開放孔62から大気中に放出される。また、気泡が分離された液体は、液面高さが所定高さに達したときフロート弁70の開弁により戻し孔60を通過してポンプ48のロータ室32に戻される。
【0020】
また、空気分離室33において、気体富化液が分離された液体は、フィルタ54により濾過された後に流出経路34を通過して流量計20に供給される。尚、流出経路34に設けられた流出側逆止弁64は、ポンプ48によって送出された液体の圧力により開弁する。
【0021】
また、フィルタ54により濾過された液体の一部は、リリーフ弁80の開弁によりポンプ48のロータ室32に戻される。リリーフ弁80は、コイルバネ82のばね力により閉弁方向に付勢されており、流出経路34の吐出圧力と、コイルバネ82のばね力にロータ室32の吸込み圧力を加えた合力との差に応じて開閉するように設けられ、流出経路34の吐出圧力が増加又はロータ室32の吸込み圧力が低下した際に開弁する。
〔フロート弁70の構成〕
ここで、フロート弁70の構成について説明する。
【0022】
図3はフロート弁70の構成を示す図である。図3に示されるように、フロート弁70は、気液分離室36内の気体富化液を含む液体(流体)の液面高さに応じて上下動するフロート72と、フロート72を支持する支持棒74と、支持棒74に連結された第1の弁部76、第2の弁部78とを有する。
【0023】
フロート72は、流体の液面からの浮力を受けるように中空構造になっている。支持棒74は、一端が軸75により上下方向に回動可能に支持され、他端がフロート72に結合されている。
【0024】
第1の弁部76は、弁軸76aの下端に弁体76bが設けられ、弁軸76aの上端が支持棒74の長手方向の中間位置(軸75から距離L2)に設けられた連結ピン74aに連結されている。そのため、第1の弁部76は、フロート72の昇降動作により、開弁又は閉弁方向に動作する。また、第1の弁部76は、第2の弁部78の弁体78aを貫通する流路78bを開閉する。第1の弁部76と第2の弁部78とは、同軸上に設けられ、コンパクトに配置されている。
【0025】
第1の弁部76は、フロート72の昇降動作に連動して流路78bを開閉する。そして、気液分離室36内の流体の液面が高さH1(第1の所定高さ)以上のとき、フロート72の上昇位置に応じた弁開度で流路78bを開放する。気液分離室36内の流体の液面が高さH2以上のときは、流路78bを全開とする。尚、フロート72が下限位置にあるときは、第1の弁部76は流路78bを閉止する。
【0026】
第2の弁部78は、弁棒78cの上端に上記連結ピン74aが嵌合する長孔78dが設けられ、弁棒78cの下端に弁体78aが結合されている。第2の弁部78は、上下方向に延在する長孔78dが連結ピン74aに摺動可能に嵌合しているため、フロート72が所定角度θ1以上上昇したときに長孔78dの上端に連結ピン74aが当接して開弁動作を行うように構成されている。
【0027】
従って、第2の弁部78の弁体78aは、気液分離室36内の流体の液面が所定高さH2(第2の所定高さ)に達するまで、閉弁状態を保ち、液面が所定高さH2に達すると、フロート72の高さ位置に応じた弁開度で気液分離室36の底部に設けられた戻し孔60を開とする。また、液面が低下する際の第2の弁部78の弁体78aは、液面が所定高さH2以下に低下するまで、開弁状態を保ち、液面が所定高さH2以下に低下すると、気液分離室36の底部に設けられた戻し孔60を閉とする。
【0028】
戻し孔60の流路面積S2は、流路78bの流路面積S1よりも大に設定されている。従って、第2の弁部78の開弁時には、第1の弁部76の開弁時よりも多量の液体がロータ室32の吸込み側に供給される。
【0029】
ここで、フロート弁70の第1の弁部76及び第2の弁部78の開閉動作について説明する。
【0030】
フロート弁70は、気液分離室36の液面高さに応じてフロート72が昇降するのに伴って第1の弁部76が開閉動作して流路78bの流路面積を調整し、上記長孔78dと連結ピン74aとの摺動動作による時間差で第2の弁部78が開閉動作して戻し孔60の流路面積を調整する。そして、フロート72は、空気分離室33から気液分離室36へ供給される気体富化液の供給量と、戻し孔60からポンプ48のロータ室32に戻される戻し量とが釣り合う所定の液面高さ位置で、浮いている。
【0031】
このとき、大気開放孔62から気体富化液が流出しないためには、気液分離室36へ供給される気体富化液の供給量と戻し孔60からポンプ48のロータ室32に戻される戻し量とには、以下の関係が成り立つ。
【0032】
A1=A2・・・(式1)
(A1:気体富化液の供給量、A2:戻し孔60からロータ室32への戻し量)
そして、A1>A2になると、気体富化液の供給量A1が戻し量A2よりも増加するため、気液分離室36の液面が上昇する。そして、気液分離室36内が気体富化液を含む液体で充満すると、大気開放孔62から気体富化液から流出することになる。
【0033】
一方、フロート弁70に作用する浮力F1と、第1の弁部76及び第2の弁部78の吸引力F2と間には、以下のような関係が成り立つ。
【0034】
F1=(L1/L2)×(ρV−W1)+W2・・・(式2)
F2=S1×Ps・・・(式3)
(F1:フロート72の浮力、F2:ポンプ吸込み側からの吸引力、L1:軸75からフロート浮力重心までの距離、L2:軸75から弁部76、78までの距離、ρ:液体又は気体富化液の比重、V:フロート72の液体又は泡に没している体積、W1:フロート72の質量、W2:第1の弁部76の質量、S1:第1の弁部76の面積:Ps:ポンプ吸込み側の吸込み圧力)
ここで、フロート弁70が閉弁時に吸い付かないためには、以下の関係が成り立つ必要がある。
【0035】
F1>F2・・・(式4)
したがって、第1の弁部76の面積S1を大きくすると、(式4)の関係を成り立たせるためには、フロート72の浮力を大きくするために、フロート72の液体又は泡に没している体積Vや、軸75からフロート浮力重心までの距離L1などを大きくする必要があり、ポンプ48のケーシングが大きくなってしまう恐れがある。
【0036】
また、上記(式1)〜(式4)の関係から、戻し孔60の孔径S2を大きくすると、ロータ室32への戻し量が増大してA1<A2となる。また、供給量A1と戻し量A2とのバランスをとるためには、空気分離室33の小孔56の孔径を大きくするなどして、気液分離室36への供給量A1を増大させる必要がある。
【0037】
その場合、ベースとなる気体富化液の供給量A1が増大するため、空気分離33内に大量の空気が混入した液体が供給されてしまった場合には、気液分離室36への気体富化液の流入量が増大するため、泡や気体富化液が大気開放孔62から流出するおそれがある。
【0038】
そこで、本発明では、フロート弁70に流路面積の異なる2つの弁部76、78を設けることで、フロート72の動作位置に応じて第1の弁部76と第2の弁部78とが段階的に開弁動作することにより、供給量A1と戻し量A2とのバランスを保ちつつ泡や気体富化液が大気開放孔62から流出することが抑制される。
【0039】
図3において、フロート72が実線で示す水平位置から角度θ1(第1段の上限位置)の範囲にあるときは、第1の弁部76が開弁位置に動作しており、第2の弁部78の流路78bが開放されている。気液分離室36の液面が高さH1以下のときは、第1の弁部76は開弁し、第2の弁部78は閉弁している。そのため、気液分離室36の底部の液体は、第2の弁部78の流路面積の小さい流路78bを通過してロータ室32の吸込み側に戻される。
【0040】
このときに、供給量A1と戻し量A2とがA1>A2であると、気液分離室36の液面は徐々に上昇する。やがて、図4に示されるように、気液分離室36の液面が高さH2以上(液面異常)に達すると、フロート72が角度θ1から角度θ2の位置(第2段の上限位置)まで上昇すると共に、第2の弁部78の長孔78dの上端部に連結ピン74aが当接して第2の弁部78を開弁動作させる。これにより、気液分離室36の底部の液体は、第2の弁部78の流路78b及び流路面積の大きい戻し孔60を通過してロータ室32の吸込み側に供給される。
【0041】
そのため、供給量A1と戻し量A2とは、A1<A2となるため、気液分離室36の液面が高さH2以下に低下する。よって、液面上の泡や気体富化液が大気開放孔62から流出することが抑制される。
【0042】
また、液面の低下と共に、フロート72が降下すると、図3に示すように、第2の弁部78が閉弁位置に降下して、ロータ室32への戻し量が制限される。そして、気液分離室36の液面が高さH1からH2に達するまでは、第1の弁部76が開弁位置に動作しており、気液分離室36の底部の液体は、第2の弁部78の流路78bを通過してロータ室32に戻される。
【0043】
そして、気液分離室36の液面が高さH2以上になると、第2の弁部78も開弁動作して気液分離室36の底部の液体は、第2の弁部78の流路78b及び戻し孔60を通過してロータ室32の吸込み側に供給される。
【0044】
このように、フロート72の動作位置に応じて第1の弁部76と第2の弁部78とが段階的に開弁動作することにより、泡や気体富化液が大気開放孔62から流出することが抑制される。
〔変形例について〕
図5はフロート弁の変形例の構成を示す図である。図5中、上記実施例と同一部分には、同一符合を付してその説明を省略する。
【0045】
変形例のフロート弁70Aは、支持棒74の軸75から距離L2の位置に第1の弁部76Aが連結され、支持棒74の軸75から距離L3の位置に第2の弁部78Aが連結されている。
【0046】
第1の弁部76Aは、弁軸76aの下端に弁体76bが設けられ、弁軸76aの上端が支持棒74の長手方向の中間位置に設けられた連結ピン74a1に連結されている。
【0047】
第1の弁部76Aは、フロート72の昇降動作に連動して第1の戻し孔60aを開閉する。そして、第1の弁部76Aは、気液分離室36の液面が高さH1以下のとき、第1の戻し孔60aを閉止し、気液分離室36の液面が高さH1(第1の所定高さ)以上のときは、二点鎖線で示すようにフロート72の上昇に応じた弁開度で第1の戻し孔60aを開とする。これにより、気液分離室36の液体は、第1の戻し孔60aを通過してロータ室32の吸込み側に供給される。
【0048】
尚、フロート72が下限位置にあるときは、液面高さが気液分離に必要な高さより低いので、第1の弁部76は第1の戻し孔60aを閉止する。
【0049】
第2の弁部78Aは、弁棒78cの上端に上記連結ピン74a2が嵌合する長孔78dが設けられ、弁棒78cの下端に弁体78aが結合されている。第2の弁部78は、上下方向に延在する長孔78dを有し、当該長孔78dが連結ピン74a2に摺動可能に嵌合しているため、二点鎖線で示すようにフロート72が所定角度上昇したときに長孔78dの上端部に連結ピン74a2が当接して開弁動作を行うように構成されている。第2の弁部78の開弁時には、第1の弁部76Aも開弁している。
【0050】
従って、第2の弁部78Aの弁体78aは、液面が所定高さH2に達するまで、閉弁状態を保ち、液面が所定高さH2以上になると、気液分離室36の底部に設けられた第2の戻し孔60bを開とする。また、第2の弁部78の弁体78aは、液面が所定高さH2以下に低下するまで、開弁状態を保ち、液面が所定高さH2以下に低下すると、気液分離室36の底部に設けられた第2の戻し孔60bを閉とする。
【0051】
このように、変形例においても、フロート72の動作位置に応じて第1の弁部76Aと第2の弁部78Aとが段階的に開弁動作することにより、泡や気体富化液が大気開放孔62から流出することが抑制される。
【0052】
また、変形例のフロート弁70Aは、液面が所定高さH1〜H2の間は(H2未満)、第1の戻し孔60aのみが開弁され、液面が所定高さH2以上になると、第1、第2の戻し孔60a、60bが両方とも開弁される。そのため、気液分離室36は、液体第1、第2の戻し孔60a、60bの流路面積を合わせた大流量でロータ室32の吸込み側へ供給される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
尚、上記実施例では、ガソリンや軽油等の油液を供給する燃料供給装置を用いて説明したが、これに限らず、油液以外の液体燃料を供給する場合にも本発明を適用することができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 ポンプユニット
12 地下タンク
20 流量計
30 ケーシング
31 流入室
32 ロータ室
33 空気分離室
34 流出経路
35 バイパス経路
36 気液分離室
37 流入口
40 流入側逆止弁
44 ストレーナ
46 流路
48 ベーン形ポンプ
50 ロータ
52 ベーン
54 フィルタ
56 小孔
58 パイプ
60、60a、60b 戻し孔
62 大気開放孔
64 流出側逆止弁
70、70A フロート弁
72 フロート
74 支持棒
75 軸
76、76A 第1の弁部
76a 弁軸
76b 弁体
78、78A 第2の弁部
78a 弁体
78b 流路
78c 弁棒
78d 長孔
80 リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口から流体を吸込むポンプと、
該ポンプから吐出された流体を液体と気体富化液とに分離するとともに、当該分離された液体を流出経路へ吐出させる空気分離室と、
前記空気分離室で分離された気体富化液から気体を分離する気液分離室と、
前記気液分離室内の気体富化液を含む液体の液面が所定高さに達すると開弁して前記気液分離室内の液体を前記ポンプへ戻すフロート弁と、
を備えたポンプユニットおいて、
前記フロート弁は、前記気液分離室の液面高さが第1の所定高さ以上の場合に開弁する流路面積の小さい第1の弁部と、前記気液分離室の液面高さが前記第1の所定高さよりも高い第2の所定高さ以上の場合に開弁する流路面積の大きい第2の弁部とを有することを特徴とするポンプユニット。
【請求項2】
前記第1の弁部は、前記第2の弁部と同軸上に配され、且つ前記第2の弁部の弁体に形成された流路を開閉するように配されたことを特徴とする請求項1に記載のポンプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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