説明

ポンプ

【課題】 部品の摩耗が極めて少なく、また軸封装置への水の供給が不要である安価なポンプを提供する。
【解決手段】 ポンプ10は、モータに連結された回転軸16と、回転軸16に取り付けられた羽根車13と、羽根車13を収容したケーシング11,12,14と、羽根車13の回転により昇圧された液体がケーシング14の外部に流れ出すことを防止する減圧羽根車18と、軸封装置20とを備えている。軸封装置20は、回転軸16とケーシング14との間をシールするシール機構30と、回転軸16の回転による遠心力の作用によりシール機構30によるシールを解除するシール解除機構40とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに係り、特に製紙工場で用いられるパルプ液などのスラリーを移送するためのポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパルプ液などのスラリーの移送には遠心式の渦巻ポンプが広く使用されている。この種の遠心式ポンプを図1および図2に示す。図1に示す遠心式ポンプは、吸込口1aを有する吸込ケーシング1と、吐出口2aを有する吐出ケーシング2と、吐出ケーシング2内に配置された羽根車3と、吐出ケーシング2に固定されたカバーケーシング4と、軸受5に支持されたポンプ軸6とを備えている。吸込ケーシング1は吐出ケーシング2に固定されている。また、羽根車3の開口部は、吸込ケーシング1の吸込口1aを向くように配置されている。ポンプ軸6には図示しないモータが連結されており、このモータの駆動によりポンプ軸6を介して羽根車3が回転される。
【0003】
図1に示すように、羽根車3の背面側には軸封機構としてのグランドパッキン7が設けられている。ポンプ軸6はグランドパッキン7を貫通するように配置されている。グランドパッキン7は、円筒状のシールケース7aと、シールケース7a内に充填されたパッキン7bと、パッキン7bを押さえ付けるパッキン押さえ7cとから基本的に構成されている。パッキン7bは、ポンプ軸6の外周面に固定されたスリーブ6aに摺接し、これにより、吐出ケーシング2内の液体がポンプ外部に漏れてしまうことが防止される。
【0004】
グランドパッキン7では、ポンプ軸6のスリーブ6aがパッキン16に摺接しながら回転するため、発熱を伴う。このため、ポンプ運転中は、グランドパッキン7の冷却のために清浄な水が外部からパッキン7bに常時供給されるようになっている。
【0005】
図2に示す遠心式ポンプは、軸封機構としてメカニカルシール8を用いており、その他の構成は図1に示す遠心式ポンプと同様である。このメカニカルシール8は、シールカバー8aと、スリーブ6aの外周面に取り付けられた回転側摺動部材8bと、シールカバー8aに固定された固定側摺動部材8cと、回転側摺動部材8bを固定側摺動部材8cに押圧するスプリング8dとから基本的に構成されている。回転側摺動部材8bは固定側摺動部材8cに摺接しながら回転し、これにより、吐出ケーシング2内の液体がポンプ外部に漏れてしまうことが防止される。
【0006】
メカニカルシール8では、回転側摺動部材8bが固定側摺動部材8cに摺接しながら回転するため、発熱を伴う。また、取扱液がスラリーの場合、メカニカルシール8にスラリーが付着すると、シール機能が損なわれ、また、回転側摺動部材8bと固定側摺動部材8cの摩耗を促進させてしまう。このため、ポンプ運転中は、メカニカルシール8の冷却および洗浄を目的として清浄な水が外部からメカニカルシール8に常時供給されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した軸封機構には次のような不都合がある。図1に示すグランドパッキン7においては、パッキン7bは回転するポンプ軸6と摺接するため、ポンプ軸6とパッキン7bが摩耗する。図1の例では、ポンプ軸6の摩耗を防ぐためにポンプ軸6の摺接部にスリーブ6aを装着しているが、この場合はスリーブ6aが摩耗することになる。また、摺接に伴って熱が発生するので、ポンプ運転中は清浄な水を外部から常時注水する必要があり、多量の水を消費する。
【0008】
図2に示すメカニカルシール8においては、回転側摺動部材8bと固定側摺動部材8cが互いに摺接するため、これらの部材が摩耗する。また、上述したように、メカニカルシール8の冷却および洗浄を目的として、ポンプ運転中は清浄な水を外部から常時注水する必要があり、多量の水を消費する。
【0009】
いずれの場合も、パッキン7b、ポンプ軸6あるいはスリーブ6a、回転側摺動部材8b、および固定側摺動部材8cなどの部品が摩耗するため、これらの摩耗した部品を定期的に交換する必要があり、そのために、ポンプを停止して交換する作業が必要となる。また、従来の軸封機構では、水を供給するための部品費用、水の費用などが発生することになる。また、供給された水が外部に漏れてポンプ周辺を汚すなどの問題もある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、部品の摩耗が極めて少なく、また軸封装置への水の供給が不要である安価なポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、部品の摩耗が極めて少なく、また軸封装置への水の供給が不要である安価なポンプが提供される。このポンプは、モータに連結された回転軸と、上記回転軸に取り付けられた羽根車と、上記羽根車を収容したケーシングと、上記羽根車の回転により昇圧された液体が上記ケーシングの外部に流れ出すことを防止する減圧羽根車と、軸封装置とを備えている。この軸封装置は、上記回転軸と上記ケーシングとの間をシールするシール機構と、上記回転軸の回転による遠心力の作用により上記シール機構によるシールを解除するシール解除機構とを有している。
【0012】
本発明に係るポンプによれば、ポンプの運転中は、減圧羽根車の中において、内周側に存在する空気と外周側に存在する減圧された液体とがバランスし、液体が減圧羽根車内に留まる。したがって、液体が軸封装置側に流出することがなく、液体がポンプ外部に漏れてしまうことが防止される。また、軸封装置のシール解除機構は、回転軸の回転による遠心力の作用によりシール機構によるシールを解除するため、シール機構における部材の接触による摩耗をなくすことができる。
【0013】
一方、ポンプが停止するとき、羽根車の昇圧作用および減圧羽根車の減圧作用がなくなり、液体は羽根車および減圧羽根車を通過して軸封装置に到達するが、このときは、回転軸の回転による遠心力の作用がなくなり、軸封装置のシール機構によるシール作用が回復するため、軸封装置のシール機構により液体の漏洩が防止される。
【0014】
シール機構は、軸方向に移動可能な回転側シール部材と、回転側シール部材と当接可能な固定側シール部材とを備えていることが好ましい。回転側シール部材は回転軸に取り付けられ、固定側シール部材はケーシングに取り付けられる。また、シール解除機構は、回転軸の回転による遠心力の作用により回転側シール部材を軸方向に移動させて固定側シール部材から引き離す遠心錘と、遠心錘を支持する支持部とを備えていることが好ましい。これにより、ポンプの運転中は、回転軸の回転による遠心力の作用により、回転側シール部材が軸方向に移動され、回転側シール部と固定側シール部材との間に隙間が形成される。
【0015】
また、シール機構は、回転側シール部材を固定側シール部材側に付勢するばねを有することが好ましい。これにより、ポンプの停止時に、ばねの付勢力により固定側シール部材を固定側シール部材に当接させることができる。
【0016】
また、固定側シール部材は遊動可能に構成されていることが好ましい。羽根車は、液体を減圧させるための複数の減圧羽根を裏面に有していてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポンプ運転中の摩耗を低減することができるので、摩耗によって交換が必要となる部品の数を少なくすることができる。また、摩耗が少ないため、部品の寿命が長くなる。さらに、ポンプ運転中に軸封装置に清浄な水を供給する必要がないので、給水のための諸費用を省くことができる。また、ポンプの外部に水が漏れるといった問題も解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るポンプの実施形態について図3から図9を参照して詳細に説明する。なお、図3から図9において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態におけるポンプ10を示す断面図である。図1に示すように、ポンプ10は、吸込口11aを有する吸込ケーシング11と、吐出口12aおよび渦巻室12bを有する吐出ケーシング12と、吐出ケーシング12内に配置された羽根車13と、吐出ケーシング12に固定されたカバーケーシング14と、軸受15に支持された回転軸としてのポンプ軸16とを備えている。吸込ケーシング11は吐出ケーシング12に固定され、カバーケーシング14は吐出ケーシング12に対して吸込ケーシング11とは反対側に位置している。
【0020】
羽根車13の背面側には、減圧室カバー17がカバーケーシング14との間に配置されており、羽根車13は、吐出ケーシング12、吸込ケーシング11、および減圧室カバー17により画成された空間内に収容されている。この羽根車13は、遠心式羽根車であり、表面の複数の表羽根13aと、裏面の複数の裏羽根(第1の減圧羽根)13bとを有している。裏羽根13bは取扱液を減圧するために設けられている。
【0021】
減圧室カバー17とカバーケーシング14により画成される減圧室には、複数の減圧羽根(第2の減圧羽根)18aを備えた減圧羽根車18が配置されている。この減圧羽根車18は羽根車13の背面側に配置され、羽根車13および減圧羽根車18は、いずれもポンプ軸16に固定されている。ポンプ軸16は軸受15によって回転自在に支持されており、ポンプ軸16には図示しないモータが連結されている。
【0022】
すなわち、ポンプ軸16の一方の端部には羽根車13が固定され、他方の端部にはモータが連結されている。ポンプ軸16に固定された羽根車13および減圧羽根車18は、モータの駆動によって一体に回転される。減圧羽根車18は、その外周部から液体が流入するように配置されていて、回転する減圧羽根車18により液体が減圧されるようになっている。
【0023】
図4は、図3に示す羽根車13をモータ側から見たときの平面図である。図4に示すように、羽根車13の表面(吸込側の面)には、螺旋状に延びる4枚の表羽根13aが設けられ、羽根車13の裏面(モータ側の面)には、螺旋状に延びる4枚の裏羽根13bが設けられている。裏羽根13bの入口角度αおよび出口角度βは、表羽根13aの入口角度αおよび出口角度βよりもそれぞれ大きく設定されている。なお、図4に示す矢印Aは羽根車13の回転方向を示している。
【0024】
図5は、図3に示す減圧羽根車18をモータ側から見たときの平面図である。図5に示すように、減圧羽根車18の裏面(モータ側の面)には6枚の減圧羽根18aが設けられている。これらの減圧羽根18aは放射状に延び、周方向において等間隔に配置されている。
【0025】
図3に示すように、ポンプ軸16の外周面には、円筒状のスリーブ16aが取り付けられており、このスリーブ16aの一部を取り囲むように軸封装置20が設けられている。この軸封装置20は減圧羽根車18のモータ側に位置している。ポンプ軸16上には、モータ側から順番に、スリーブ16a、減圧羽根車18、および羽根車13が配置されている。ポンプ軸16は、軸封装置20、カバーケーシング14、および減圧室カバー17を貫通し、その一端は吐出ケーシング12内に位置している。
【0026】
図6は、図3に示す軸封装置20を示す拡大断面図である。図6に示すように、軸封装置20は、ポンプ軸16とカバーケーシング14との間をシールするシール機構30と、ポンプ軸16の回転による遠心力の作用によりシール機構30によるシールを解除するシール解除機構40とを備えている。
【0027】
シール機構30は、カバーケーシング14に固定されたシールケース31と、シールケース31に固定されたシールカバー32と、シールケース31の内周面に嵌入された環状の固定側シール部材33と、スリーブ16aの外周に取り付けられた回転側シール部材34と、回転側シール部材34を固定側シール部材33側に付勢するばね35とを備えている。回転側シール部材34は、スリーブ16a上を軸方向に移動可能に構成されている。固定側シール部材33と回転側シール部材34とは互いに当接可能となっている。なお、回転側シール部材34の内周面には周方向に延びる断面凹状の溝が形成されており、この溝には弾性材からなるシールリング(例えばOリング)36が収容されている。
【0028】
固定側シール部材33の外周面には周方向に延びる断面凹状の溝が形成されており、この溝にはゴムなどの弾性材からなるシールリング(例えばOリング)37が嵌入されている。固定側シール部材33を嵌入するためのシールケース31の空間の内径および軸方向長さは、固定側シール部材33の外径および軸方向厚さよりもやや大きく設定されている。また、シールリング37の外径は、固定側シール部材33の外径よりもやや大きくなっている。したがって、シールケース31内に嵌入された固定側シール部材33は、シールリング37の弾性によって軸方向および径方向に遊動可能となっており、その軸方向への動きがシールカバー32によって規制されている。
【0029】
シール解除機構40は、スリーブ16aの外周に設けられ、シール機構30に対して軸受15側に位置している。図7は図6のVII-VII線矢視図、図8は図6のVIII-VIII線矢視図である。図6から図8に示すように、シール解除機構40は、ポンプ軸16の回転による遠心力の作用によりシール機構30の回転側シール部材34を軸方向に移動させて固定側シール部材33から引き離す遠心錘50と、遠心錘50を支持する支持部60とを備えている。本実施形態では、シール解除機構40は、ポンプ軸16に対称な2つの遠心錘50を有しているが、遠心錘50の個数はこれに限られるものではない。
【0030】
遠心錘50は、ポンプ軸16と同心の円筒を2分割した形状の錘51と、錘51の中央部のシール機構30側に取り付けられた直方体状または立方体状の基部52とを備えている。また、支持部60は、スリーブ16aの外周に嵌入される円筒部61と、円筒部61のカバーケーシング14側の端部に接続された略円板状の台座62とを有している。円筒部61は、止めビスなどでスリーブ16aに固定されており、円筒部61と台座62とは一体に形成されている。また、遠心錘50の錘51の内径は、支持部60の円筒部61の外径よりも大きく設定されている。
【0031】
図7に示すように、支持部60の台座62の外周部には、台座62の中心に対して対称な位置に同一形状の切欠き63が形成されている。この切欠き63は、台座60の外周縁から台座62の中心に向かって円筒部61の外周縁まで延びている。この切欠き63の寸法は、遠心錘50の錘51の寸法よりもやや大きく設定されており、この切欠き63の内部に遠心錘50の錘51が遊動可能な状態で収容される。
【0032】
これらの切欠き63によって、支持部60の台座62には一組の支持片64が形成されている。これらの支持片64には、ポンプ軸16の軸方向および半径方向の双方に垂直な方向に延びる貫通孔65が形成されている。また、遠心錘50の基部52にも、ポンプ軸16の軸方向および半径方向の双方に垂直な方向に延びる貫通孔53が形成されている。支持片64の貫通孔65と基部52の貫通孔53には、支柱70が挿通されている。これらの貫通孔65,53の内径は、支柱70の外周面と遊動可能な最小限の隙間を有するように設定されている。支柱70の両端は、台座62から脱落しないようにナット71で固定されている。これにより、遠心錘50は、支柱70を中心として回転可能に構成される。
【0033】
ここで、図6に示すように、回転側シール部材34は、ポンプ軸16の半径方向外側に突出する駆動ピン34aを有している。台座62には、この駆動ピン34aが軸方向に移動可能な幅を有する溝66が軸方向に沿って形成されている。また、図7に示すように、遠心錘50の基部52の内周側には、駆動ピン34aが遊動可能な径と深さを有する係合孔54が形成されている。回転側シール部材34の駆動ピン34aは、遠心錘50の係合孔54に係合されている。これにより、遠心錘50の回転による基部52の移動に伴い、駆動ピン34aが台座62の溝66内を軸方向に移動するようになっている。
【0034】
また、図6に示すように、支持部60の内周側には、スリーブ16aの外周面との間にシール機構30のばね35を収容する空間67が形成されている。このばね35は、支持部60と回転側シール部材34との間に介装されており、回転側シール部材34を固定側シール部材33側に付勢している。
【0035】
次に、上述のように構成されたポンプの動作について説明する。モータにより羽根車13を回転させると、吸込口11aから吸い込まれた液体は、羽根車13の回転により昇圧され、吐出口12aから吐出される。羽根車13から出た液体の一部は、羽根車13の裏羽根13bに流れ込み、回転する裏羽根13bにより減圧される。液体は減圧羽根車18の外周部に流入し、減圧羽根車18によりさらに減圧される。減圧羽根車18により減圧された液体は、減圧羽根車18の中で環状をなして存在する。すなわち、減圧羽根車18の中では、内周側に存在する空気と外周側に存在する液体とがバランスした状態が保たれる。このようにして、減圧された液体は回転する減圧羽根車18によって保持されるので、液体は軸封装置20側に流出しない。
【0036】
このとき、ポンプ軸16の回転に伴い、遠心錘50に遠心力が作用する。この遠心力の作用により遠心錘50の錘51は、図9に矢印Rで示すように、支柱70を支点として軸受15側に回転する。これにより、遠心錘50の基部52の係合孔54に係合している回転側シール部材34の駆動ピン34aが、ばね35の付勢力に抗して軸受15側に移動され、回転側シール部材34が固定側シール部材33から引き離される。このようにして、回転側シール部材34のカバーケーシング14側の端面と固定側シール部材33の軸受15側の端面との間には隙間ができ、ポンプの運転中にこれらが接触して摩耗することがなくなる。なお、回転側シール部材34と固定側シール部材33との間に隙間ができても、減圧羽根車18によって液体が軸封装置20側に流出することが阻止されているので、液体漏洩の問題は生じない。
【0037】
ポンプの運転が停止すると、羽根車13による昇圧作用がなくなり、羽根車13の裏羽根13bによる減圧作用と減圧羽根車18による減圧作用もなくなる。この状態では、吸込口11aから流入した液体は裏羽根13bと減圧羽根車18を通過して、軸封装置20側に到達するが、このとき、遠心錘50の錘51には遠心力が作用しなくなるため、錘51は支柱70を支点にして図9の矢印Rの方向とは逆の方向に回転し、元の位置に戻る。そして、ばね35の付勢力により、遠心錘50の基部52の係合孔54に係合している回転側シール部材34の駆動ピン34aがカバーケーシング14側に移動され、回転側シール部材34のカバーケーシング14側の端面が固定側シール部材33の軸受15側の端面と当接する。このようにして、回転側シール部材34の端面と固定側シール部材33の端面とが当接することにより、ポンプ軸16とカバーケーシング14との間がシールされ、ポンプ停止時の液体が軸封装置20側に漏洩することが防止される。
【0038】
なお、固定側シール部材33は、弾性体のシールリング37を介して遊動可能に取り付けられているので、ポンプ停止時に回転側シール部材34が固定側シール部材33に接触したときに、固定側シール部材33が回転側シール部材34の傾きに追随しやすくなる。このように、固定側シール部材33を遊動可能とすることで、軸封装置20のシール性能を向上させることができる。
【0039】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】グランドパッキンを備えた従来のポンプを示す断面図である。
【図2】メカニカルシールを備えた従来のポンプを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるポンプを示す断面図である。
【図4】図3のポンプの羽根車をモータ側から見たときの平面図である。
【図5】図3のポンプの減圧羽根車をモータ側から見たときの平面図である。
【図6】図3のポンプの軸封装置を示す拡大断面図である。
【図7】図6のVII-VII線矢視図である。
【図8】図6のVIII-VIII線矢視図である。
【図9】図6の軸封装置のポンプ運転時の状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ポンプ
11 吸込ケーシング
11a 吸込口
12 吐出ケーシング
12a 吐出口
12b 渦巻室
13 羽根車
13a 表羽根
13b 裏羽根
14 カバーケーシング
15 軸受
16 ポンプ軸
16a スリーブ
18 減圧羽根車
18a 減圧羽根
20 軸封装置
30 シール機構
31 シールケース
32 シールカバー
33 固定側シール部材
34 回転側シール部材
34a 駆動ピン
35 ばね
36,37 シールリング
40 シール解除機構
50 遠心錘
51 錘
52 基部
53,65 貫通孔
54 係合孔
60 支持部
61 円筒部
62 台座
63 切欠き
64 支持片
70 支柱
71 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに連結された回転軸と、
前記回転軸に取り付けられた羽根車と、
前記羽根車を収容したケーシングと、
前記羽根車の回転により昇圧された液体が前記ケーシングの外部に流れ出すことを防止する減圧羽根車と、
前記回転軸と前記ケーシングとの間をシールするシール機構と、前記回転軸の回転による遠心力の作用により前記シール機構によるシールを解除するシール解除機構とを有する軸封装置と、
を備えたことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記シール機構は、
前記回転軸に取り付けられ、軸方向に移動可能な回転側シール部材と、
前記ケーシングに取り付けられ、前記回転側シール部材と当接可能な固定側シール部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記シール解除機構は、
前記回転軸の回転による遠心力の作用により前記回転側シール部材を軸方向に移動させて前記固定側シール部材から引き離す遠心錘と、
前記遠心錘を支持する支持部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記シール機構は、前記回転側シール部材を前記固定側シール部材側に付勢するばねを有することを特徴とする請求項2または3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記固定側シール部材は遊動可能に構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項6】
前記羽根車は、前記液体を減圧させるための複数の減圧羽根を裏面に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−307717(P2006−307717A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130145(P2005−130145)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】