説明

ポーション・パッケージ

【課題】形状を多少保持する半流動性製品に対しても適当であり、片手で処理することができる特に序文に明記したタイプのポーション・パッケージを得る。
【解決手段】特に例えば、ゼリー、ジェルまたはペースト等の、少なくとも実質的に形状を保持する製品のためのポーション・パッケージは、壁(12)が全周から延びる底部(11)を持つ圧縮可能なタブ状容器(10)からなる。この壁は上端(13)まで延び、上端には、容器内の製品スペースを閉じるフォイル(14)が付着される。容器の壁は、壁(12)の高さの少なくとも一部分に渡って、底部(11)と上端(13)との間で製品スペースの両側に延びて容器の底部(11)を通って側面間で連続的に延びる変形ゾーン(15)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮可能なタブ状容器からなる、例えばゼリー、ジェル、あるいは特にペースト等の、半流動性製品のためのポーション・パッケージに関する。この場合、容器は、底部を持ち、そこから壁が全周に渡って広がる。そして、壁の上端に、容器内の製品スペースを閉じるフォイルが付着される。
【背景技術】
【0002】
序文で説明したタイプのポーション・パッケージは、出願者の欧州特許出願第EP880455号により既知である。そこで説明したポーション・パッケージは、製品スペースを区画形成する直立壁を持つ、適当なプラスチックあるいはアルミニウムの、タブ状容器からなる。壁には側面蛇腹構造が設けられているため、容器全体が高さ方向へ圧縮可能である。直立壁の上端には、注ぎ口が形成されているが、容器の上側の他の部分と同様、その部分は、製品スペースの周囲上端に付着されて製品スペースを密封するアルミニウム箔で覆われる。パッケージから製品を解放するには、注ぎ口の位置でフォイルを引き離して壁を圧縮すれば、通常、流動性のある内容物は、注ぎ口を通って流出する。
【0003】
既知のポーション・パッケージは、例えば、コーヒー・クリームやシロップ等の、比較的に薄い流動性製品の場合に使い易い躍進的なものであるが、比較的に狭い注ぎ口を持つこのパッケージは、ジェル、ゼリーまたはペースト等の、それら自体がパッケージから全く流出しようとしない、あるいは、ほとんど流出しない半流動性製品に対しては実用性が低いことが分かっている。製品の半流動状態または半流動加工には、しかしながら、具体的な利点があるため、半流動性製品に適応したポーション・パッケージには、メリットがある。
【0004】
半流動性製品のためのポーション・パッケージは、欧州特許出願第EP359847号により既知である。この既知のパッケージは、その中に内容物を受容するための、ベンディング・ゾーンによって相互から分離されている二つの相互に交流可能な分室を持つ、タブ状容器からなる。閉鎖フォイルは、ベンディング・ゾーンの位置にストリップを含む。このストリップは、ベンディング・ゾーンの位置で二つの分室の内容物を流出させるよう、解放の目的で設けた引き裂き線に沿って、そこから取り去ることができる。ベンディング・ゾーンに沿ってパッケージの分室を相互へ向けて折ることによって、パッケージの二つの分室から内容物を、もし望むならば片手のみで、押し出すことができる。
【0005】
この既知のパッケージは、本質的に、パッケージから内容物を片手で流出させることが可能であるが、そのために、内容物は比較的に流動的であることが必要である。この既知のパッケージは、例えば、特にゼリーやゼラチン状製品等の、形状を保持する半流動性製品には適さない。この既知のパッケージでは、内容物のかなりの部分が、パッケージの壁に常に付着してパッケージ内に残留することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に、形状を多少保持する半流動性製品に対しても適当であり、片手で処理することができる特に序文に明記したタイプのポーション・パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
意図した目的を達成するために、序文に明記したタイプのポーション・パッケージは、容器が、容器の対向する壁部分および底面で開いて容器の底部から高さの一部分のみに渡って延びる少なくとも実質的にくさび形状の中間スペースを区画形成する変形ゾーンからなり、そして製品スペースが、深さよりも小さな幅を持つ変形ゾーンの両側で、相互に交流可能な分室からなる、という本発明による特徴を持つ。したがって、本発明によるパッケージは、例えば、片手の親指と一本以上の指との間で簡単に保持して底部で絞り、パッケージの内容物をほぼまっすぐに押し出すことができる。容器を両側面で押圧すると結局、くさび形状の中間スペースの大きさが減少する。変形ゾーンは、そのとき、パッケージの規制された、少なくとも基本的に予め定められた側方圧縮を提供し、この圧力が、容積の損失を生じさせて、半流動性内容物を外方へ押し出す。
【0008】
この場合、くさび形状の中間スペースが、パッケージの高さの一部分のみに渡って延び、上側まで延びていないため、パッケージの過度のバックリングは防止される。このため、容器の壁は、高さの残りの部分に渡って、比較的にしっかりと形状を保持する。分室に適用した高さ対幅の比率に起因して、特に、多少形状を保持する半流動性内容物は、凝集した状態を保持するため、実用上全く残留物を残さない様式で、取り出しが可能である。したがって、半流動性製品を、片手のみを用いて、パッケージから少なくともほぼ完全に放出させることができる。そのようなくさび形状の中間スペースを持つ変形ゾーンは、完全にスムーズな形状にし、製品に対して係合面を提供しない、あるいはほとんど提供しないようにすると有利である。
【0009】
分室が、幅に対して少なくとも二倍深いという特徴を持つ、本発明によるポーション・パッケージの好適実施例において、特に満足な結果が得られている。
【0010】
パッケージからの内容物の放出を向上させるために、ポーション・パッケージのもう一つの好適実施例は、容器が、底部から上端へ向かって変形ゾーンの少なくとも両側で広がるという、本発明による特徴を持つ。容器の壁のそのような拡幅進行に起因して、容器の内容物は、パッケージからより外方へ強制されるとき、容易に分離する。
【0011】
本発明によるポーション・パッケージの、美術的に特に魅力的な実施例は、容器が、少なくとも実質的に楕円断面形状を持つ、という特徴を持つ。したがって、パッケージの魅力的なデザインは、その内容物の正しい認識へ寄与する。さらに、このデザインは、容器からの製品の望ましい解放を促進する。
【0012】
パッケージの内容物に対して、容器の壁から内容物を解放するよう初めに比較的に大きな放出力を、そしてその後により小さな力を加えるために、本発明によるパッケージの特定な実施例は、変形ゾーンが、底部からの始まりで少なくとも実質的にくさび形状であってその後に少なくとも実質的にスリット状になる中間スペースを区画形成する、という特徴を持つ。したがって、所望の力の適用による一定の側方力作用の垂直成分は、まっすぐな実質的にスリットのような部分に対するよりも、くさび形状の部分に対する方が、かなり大きい。
【0013】
もう一つの好適実施例における、本発明によるポーション・パッケージは、容器の壁が、変形ゾーンから遠隔な側に、グリッピング手段を含む、という特徴を持つ。この場合、本発明によるポーション・パッケージの特定な実施例は、グリッピング手段が、容器の壁の浮彫りからなる、という特徴を持つ。特に、壁は、容器の底部の少なくとも近くに、グリッピング手段を含む。そのようなグリッピング手段は、容器の壁に対して、ユーザに、より大きな握りを提供するため、圧縮したときに容器が指の間から抜ける、ということが起こりにくい。
【0014】
本発明によるポーション・パッケージは、本質的に、種々の材料から、また、材料の組み合わせから形成することができる。本発明によるポーション・パッケージのもう一つの特定な実施例は、しかしながら、容器が、適当なプラスチックから、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエステルのグループからの、そして特に、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンのグループからの一つ以上のプラスチックの、オプションとしての多層材料から形成される、という特徴を持つ。そのような材料は、比較的に単純で信頼性の高い熱成形、特に真空成形(変形)を可能にする。これは、生産コストをかなり抑制できる。
【0015】
ポーション・パッケージのもう一つの特定な実施例は、容器が、アルミニウムおよびポリプロピレンのグループからの少なくとも一つの材料の層を持つ、オプションとしての多層フォイルで閉じられるという、発明による特徴を持つ。
【0016】
さて、多数の模範的な実施例および関連図面に基づいて、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるポーション・パッケージの模範的な実施例を示す上面斜視図である。
【図2】図1に示すポーション・パッケージの第一の斜視図である。
【図3】図1に示すものに対して直角方向にある、図1のポーション・パッケージを示す第二の斜視図である。
【図4】図1に示すポーション・パッケージの下面斜視図である。
【0018】
図は、全く概略的なものであり、一定の比率で描かれたものではない。明瞭に示すために、特にいくつかの寸法は多少誇張されている。図中、対応する部分は、同じ参照数字で示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すポーション・パッケージは、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン等の適当なプラスチックから、例えば、熱成形、特に真空成形によって製造された、実質的に楕円断面形状のタブ状容器10からなる。容器は壁が比較的に薄く、その中に製品を受容するための中空製品スペースを含む。容器の底部11から壁12は、全周、上端13まで上方へ延びている。容器内の製品スペースを密閉する薄いフォイル14は、上端13に付着される。通常、フォイル13には、アルミニウム箔が適用される。またはオプションとして、例えばポリプロピレンまたはポリエチレン等の、金属化プラスチック箔が適用される。もし望むならば、フォイル13にプルタブ(図示せず)を形成してもよい。使用前に容器の製品スペースを開けるために、プルタブによって手で、上端13からフォイルを少なくともほぼ完全に、簡単に引き離すことができる。
【0020】
この例におけるパッケージは、多少形状を保持する半流動性製品に特に適当であり、とりわけ食品、あるいはゼリー、ゼラチン状製品、ジェルまたはペーストに少なくとも適用されることを意図している。パッケージからほとんどあるいは全く流出しないそのような製品を片手で、少なくともほぼ残留物のない状態で取り出すことができるよう、容器10には、高さ方向に延びる変形ゾーンが設けられている。変形ゾーンは、壁12の対向部分16、そして容器の底面11に開く中間スペース15を区画形成する。この場合、中間スペース15は、始まりが、少なくとも実質的に、比較的明瞭なくさび形状を持つ部分15Aからなり、それが、少なくとも実質的にスリット形状の部分15Bへ移行する。容器の中間スペース15と上端13との間には、壁12の相当な部分12Aが残っている。このことは、使用中におけるパッケージの、過度なバックリングを防止する。
【0021】
中間スペース15は、容器の製品スペースを、二つの相互に交流可能な分室16、17に分割する。それらは、各々、深いというよりも、むしろ狭い。この例では、この点に関し、幅に対して深さが二倍以上の分室を使用している。分室のそのような幅対深さの比率は、分室16、17からの、半流動性内容物のストレートな、残留物のない放出を向上させる。分室の両側で容器へ適当な圧力を加えることによって、一旦フォイル14が除去されたならば、分室16、17は、ある程度相互へ向かって移動し、そして内側へ凹むことになる。したがって、容器の底部における製品スペースの狭小化が引き起こされ、それに対応する容積の縮小が、パッケージの内容物を外へ押し出すことになる。これは、親指と人差し指または中指との間に容器を取って、それを絞ることによって、片手のみで容易に達成できる。容器のスムーズな内側は、パッケージからの、残留物のない製品放出を向上させる。これは、底部から上端13へ拡がるテーパを壁12に施すことによって、さらに高めることができる。
【0022】
握りを改善するために、分室16、17の各々の外壁上に、例えば、突出部、隆起部、窪み、または他の浮彫り等の形態で、グリッピング手段を設けることができる。これによって、指の間から容器が抜ける危険性なしで、より大きな圧力を加えることができる。そのようなグリッピング手段は、底部近くの少なくとも壁上に、または壁内に設けることが好ましい。
【0023】
単一の模範的な実施例のみを参照して本発明を詳述したが、本発明が決してこれに限定されないことは明らかである。それどころか、同業者には、本発明の範囲内で、多くの変形物や実施例が可能である。例えば、くさび形状の中間スペースの代わりに、容器の壁や底部に蛇腹構造を適用することもできる。
【0024】
ポリエチレンまたはポリプロピレンを適用する代わりに、他の適当なプラスチックから、または金属フォイルから容器を製造することもできる。容器の基本材料として特に適当なものは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン・ポリエチレンテレフタレートおよびポリエステルのグループからの、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリプロピレンのグループからの、一つ以上のプラスチックからなる、オプションとしての多層材料である。適用する材料は、パッケージする特定な商品の特徴に適応させることができる。
【0025】
デザインに関して、本発明によるポーション・パッケージは、異なる形状を採ることもできる。特に、四角形、円形あるいは滴形の断面形状を適用させることもできる。部分的にのみくさび形状にする代わりに、変形ゾーンにおける中間スペースは、全体的にくさび形状とすることもできる。この後者ケースでは、もし望むならば、くさび形状のくさび角度を、連続的に変化させてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に例えば、ゼリー、ジェルまたはペースト等の、半流動性製品のためのポーション・パッケージであって、
容器内の製品スペースを閉じるフォイルが付着される上端まで壁が全周から延びる底部を持つ、圧縮可能なタブ状容器からなり、
容器が、容器の対向する壁部分および底面で開いて容器の底部から高さの一部分のみに渡って延びる少なくとも実質的にくさび形状の中間スペースを区画形成する変形ゾーンからなり、そして
製品スペースが、深さよりも小さな幅を持つ変形ゾーンの両側で、相互に交流可能な分室からなることを特徴とする、ポーション・パッケージ。
【請求項2】
分室が、幅に対して少なくとも二倍深いことを特徴とする、請求項1に記載のポーション・パッケージ。
【請求項3】
容器が、少なくとも実質的に楕円断面形状を持つことを特徴とする、請求項1または2に記載のポーション・パッケージ。
【請求項4】
変形ゾーンが、底部からの始まりで少なくとも実質的にくさび形状であってその後に少なくとも実質的にスリット状になる中間スペースを区画形成することを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のポーション・パッケージ。
【請求項5】
容器が、底部から上端へ向かって変形ゾーンの少なくとも両側で広がることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のポーション・パッケージ。
【請求項6】
容器の壁が、変形ゾーンから遠隔な側に、グリッピング手段を含むことを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のポーション・パッケージ。
【請求項7】
グリッピング手段が、容器の壁の浮彫りからなることを特徴とする、請求項6に記載のポーション・パッケージ。
【請求項8】
壁が、容器の底部の少なくとも近くに、グリッピング手段を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載のポーション・パッケージ。
【請求項9】
容器が、適当なプラスチックから形成される、そして特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエステルのグループからの、とりわけ、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンのグループからの一つ以上のプラスチックの、オプションとしての多層材料から形成されることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のポーション・パッケージ。
【請求項10】
容器が、アルミニウムおよびポリプロピレンのグループからの、少なくとも一つの材料の層を持つ、オプションとしての多層フォイルで閉じられることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のポーション・パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−539717(P2009−539717A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515327(P2009−515327)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050291
【国際公開番号】WO2007/145525
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508271311)イージーカップ インターナショナル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】