ポーラスコンクリート及びポーラスコンクリートの製造方法
【課題】強度を保ちながら、空隙率を向上させるとともに、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供する。
【解決手段】クリンカアッシュを骨材とし、骨材とセメントと水とを混練する。混練して得られた混練物P4を型枠内に充填し加圧した状態で型枠を振動させる。混練物P4を固化させる。
【解決手段】クリンカアッシュを骨材とし、骨材とセメントと水とを混練する。混練して得られた混練物P4を型枠内に充填し加圧した状態で型枠を振動させる。混練物P4を固化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーラスコンクリート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に多数の空隙を有するポーラスコンクリートが知られている。このポーラスコンクリートは、道路舗装、護岸等に広く用いられるとともに、環境負荷を低減するためのコンクリート材料としても注目されている。このようなポーラスコンクリートは、内部の空隙や外部表面に微生物を生息させ、植物育成環境を形成して、水質の自然浄化を行う。したがって、水質浄化を目的とするポーラスコンクリートは、安全上必要な強度を確保するとともに、内部の空隙を拡張する必要がある。通常、ポーラスコンクリートは、ほぼ単一粒度に調整された骨材とセメントペーストとを所定の配合で混練し、これを型枠に打ち込んで養生硬化させることによって製造される。この際、骨材とセメントペーストとの重量比や水セメント比(W/C)あるいは骨材の粒度分布等を調整することにより、所定の空隙率と強度とを有するように設計される。ポーラスコンクリートの空隙率を向上させるためには、骨材の粒度を増大すればよいが、その粒度を余り大きくすると、骨材同士の接触面積が小さくなり、硬化後のポーラスコンクリートの強度が低下するという問題が生じる。
【0003】
そこで、石炭火力発電所等において発生する石炭灰を再利用して、高強度、高空隙率を有するポーラスコンクリートを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この方法によれば、まず、石炭灰、セメント及び金属スラグを混練して得た非焼成型固化体を製造する。そして、この非焼成型固化体を粉砕し、この粉砕物、セメント及び水を混練して加圧下で振動させ、ポーラスコンクリートを製造するものである。この方法によれば、空隙率が16%以上、圧縮強度が16N/mm2以上のポーラスコンクリートを製造することができる。
【特許文献1】特開2005−154177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のポーラスコンクリートでは、非焼成型固化体に、一般的にpH12.5〜13.0の強アルカリ性であるセメントが、非焼成型固化体の全質量の13〜18%含まれる。この非焼成型固化体が全質量の78%〜84%含まれるポーラスコンクリートに、さらにセメントが全質量の13〜18%含まれる。したがって、ポーラスコンクリートには、全質量の23〜33%のセメントが含まれることになる。しかし、ポーラスコンクリートに生息する微生物は、強アルカリ性の下では、活発に活動することができず、微生物の育成に必要な藻の育成も抑制される。また、セメントは他の材料に比して高価である。このため、微生物の活動を活発化し、藻の育成を促進するとともに、ポーラスコンクリートのコストを抑えるためには、ポーラスコンクリートに用いられるセメント量を抑える必要があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強度を保ちながら、空隙率を向上させるとともに、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、クリンカアッシュ又は固化造粒物を骨材としたポーラスコンクリートを振動締め固めにより製造するようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0009】
ここで、クリンカアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、ボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収し、脱水及び粉砕した灰のことであり、赤熱状態から急冷し水洗したものであるので化学的に安定している。上記の構成によると、内部摩擦角がf≒30であり、高いせん断強度を有するクリンカアッシュを骨材としているため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。また、クリンカアッシュの粒子表面には径0.1〜20μmの細孔が多数空いており、実績率は約58.8%であるため、クリンカアッシュ自体の有する空隙により、ポーラスコンクリートの空隙率が向上する。
【0010】
第2の発明は、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0011】
ここで、付着防止剤とは、固化造粒物表面の水をはじく性質を有するものであり、混練直後や仮置き時における固化造粒物同士の付着を防止するためのものである。また、固化造粒物とは、石炭灰を骨材として、この骨材とセメントとポリマーと付着防止剤と水とを混合し、造粒した後養生して得られる造粒物である。上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0012】
第3の発明は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0013】
上記の構成によると、骨材であるクリンカアッシュが高いせん断強度を有するので、セメント量抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0014】
第4の発明は、上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒される構成のポーラスコンクリートとする。
【0015】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するので、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0016】
第5の発明は、上記固化造粒物は略球状である構成のポーラスコンクリートとする。この構成によると、骨材である固化造粒物が略球状であることから、セメントをバインダとして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成される。
【0017】
第6の発明は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0018】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0019】
第7の発明は、クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、上記混練物を固化させる工程とを備える構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0020】
上記の構成によると、締め固めの際に振動と圧力とを与えることで型枠へのコンクリートの充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、クリンカアッシュの吸水率は、約5.0〜13.0%であるから、クリンカアッシュがセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材であるクリンカアッシュとセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0021】
第8の発明は、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、上記混練物を固化させる工程とを備える構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0022】
上記の構成によると、締め固めの際に振動と圧力とを与えることで型枠へのコンクリートの充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、固化造粒物がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0023】
第9の発明は、上記混練物は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0024】
上記の構成によると、骨材であるクリンカアッシュが高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0025】
第10の発明は、上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0026】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。また、固化造粒物がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸水する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0027】
第11の発明は、上記固化造粒物は略球状である構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。この構成によると、骨材である固化造粒物が略球状であり、セメントをバインダとして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成される。
【0028】
第12の発明は、上記混練物は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0029】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度有するため、セメント量を抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【発明の効果】
【0030】
上記第1の発明によれば、高いせん断強度を有し、粒子表面に多数の細孔が空いたクリンカアッシュを骨材としている。このため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度を保つことができるとともに、クリンカアッシュ自体の有する空隙によりポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0031】
また、上記第2の発明によれば、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒したせん断強度の高い固化造粒物を骨材としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0032】
また、上記第3の発明によれば、骨材をせん断強度の高いクリンカアッシュとしている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0033】
また、上記第4の発明によれば、骨材をせん断強度の高い固化造粒物としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0034】
また、上記第5の発明によれば、固化造粒物を略球状としている。このため、固化造粒物が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0035】
また、上記第6の発明によれば、セメント量を抑えても、骨材である固化造粒物のせん断強度が高いため、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0036】
また、上記第7の発明によれば、混練物を加圧した状態で型枠を振動させ、混練物を固化させている。このため、コンクリートの充填率が増し、骨材であるクリンカアッシュ間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。これとともに、クリンカアッシュが水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、空隙率を向上させることができる。
【0037】
また、上記第8の発明によれば、混練物を加圧した状態で型枠を振動させ、混練物を固化させている。このため、コンクリートの充填率が増し、骨材である固化造粒物間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。これとともに、固化造粒物が水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、空隙率を向上させることができる。
【0038】
また、上記第9の発明によれば、骨材をせん断強度の高いクリンカアッシュとしている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0039】
また、上記第10の発明によれば、骨材をせん断強度の高い固化造粒物としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0040】
また、上記第11の発明によれば、固化造粒物を略球状としている。このため、固化造粒物が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0041】
また、上記第12の発明によれば、セメント量を抑えても、骨材である固化造粒物のせん断強度が高いため、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】
《発明の実施形態1》
図1は、クリンカアッシュを用いたポーラスコンクリートP1を製造する方法を示すフローチャートである。ポーラスコンクリートP1は、クリンカアッシュ、セメント及び水を原料とし、図4に示す範囲内の配合比率でこれらの原料が配合される。
【0044】
クリンカアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、ボイラの底部に
落下した石炭灰の塊を回収し、脱水及び粉砕した灰のことであり、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等のミネラル分を含んでいる。クリンカアッシュは外見が砂に類似し、粒子表面には径が約0.1〜20μmの細孔が多数空いており、実績率は約58.8%である。また、クリンカアッシュの内部摩擦角はf≒30°であり、高いせん断強度を有し、吸水率は約5.0〜13.0%である。
【0045】
以下、本発明の実施形態1に係るポーラスコンクリートP1−1を製造する方法について、図1を参照しながら説明する。
【0046】
まず、図3に示す配合比率で配合したクリンカアッシュ、セメント及び水を公知のミキサによって混練し、混練物P4を得る。
【0047】
図8に示すように、成型型枠2と成型枠型2全体に均一な振動を与えることが可能な振動装置3とを備えた振動成型機1を用意する。そして、この振動成型機1の成型型枠2に、上記混練物P4を充填する。そして、この混練物P4の上におもり4を載せることにより加圧した状態で、振動装置3を作動させて、振動締め固め処理を行う。振動装置3は、例えば、成型型枠2を周波数0〜240Hzで1回に約10秒間振動させるように作動し、混練物P4の状態により3回又は4回振動させる。そして、この混練物P4を養生させて固化させる。これにより、骨材であるクリンカアッシュ同士がセメントをバインダとして結合し、ポーラスコンクリートP1−1が成型される。
【0048】
上記の方法により製造されたポーラスコンクリートP1−1の圧縮強度試験の結果を図11に示す。全体の質量の21%のセメントが用いられたポーラスコンクリートP1−1で、圧縮強度の最高値が17.8N/mm2となる。
【0049】
なお、ここでセメントとは、普通ポルトランドセメントを意味するものとするが、他の種類のセメントを使用してもよい。
【0050】
−水質改善効果試験−
次に、本実施形態にかかるポーラスコンクリートP1−1の水質改善効果を調査するための試験方法について説明する。
【0051】
まず、上記の製造方法によって製造したポーラスコンクリートP1−1の250mm×250mm×100mm寸法のブロックを2個用意する。
【0052】
そして、上記ブロックに微生物を繁殖させるために、試験水路にこのブロック2個を敷設して養豚場のし尿水に約一月間浸漬させる。
【0053】
次に、図9に示すように、試験水で満たした水槽11内に循環ポンプ12を設置した試験装置10を用意する。水槽11は、沈殿物が溜まらないように、水平面から約16度傾けて設置する。試験水は、養豚場のし尿水であり、図9に矢印で示すように、循環ポンプ12によって水槽11内を循環する。そして、水槽11内に上記微生物を繁殖させたポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置し、28日間の試験期間における試験水の水質を調査する。
【0054】
図13及び図14に、水質調査の結果を示す。図13(a)は、水槽11内にブロックを配置しなかった場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示し、図13(b)は、水槽11内にポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す。なお、O−Nとは有機体窒素を、NO3−Nとは硝酸態窒素を、NO2−Nとは亜硝酸態窒素を、NH4−Nとはアンモニウム態窒素をそれぞれ意味するものとする。そして、生物への毒性が強いNH4−Nの量が、図13(a)の場合は、ほとんど変化していないのに対して、図13(b)の場合は、減少している。
【0055】
図14(a)は、水槽11内にブロックを配置しなかった場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示し、図14(b)は、水槽11内にポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示す。なお、O−Pとは有機態リンを、PO4−Pとはリン酸態リンをそれぞれ意味するものとする。図14(a)の場合は、各量はほとんど変化していないのに対して、図14(b)の場合は、減少している。
【0056】
したがって、上記の結果より、ポーラスコンクリートP1−1により、水質浄化の効果が期待できると考えられる。
【0057】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態のポーラスコンクリートP1−1においては、高いせん断強度を有し、粒子表面に多数の細孔が空いたクリンカアッシュを骨材としている。このため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートP1の強度を保つことができるとともに、クリンカアッシュ自体の有する空隙により、ポーラスコンクリートP1−1の空隙率を向上させることができる。
【0058】
また、セメント量を全質量の21%に抑えて、ポーラスコンクリートP1−1の強度を約15.5N/mm2としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP1−1を提供することができる。
【0059】
また、混練物P4を加圧した状態で成型型枠2を振動させ、混練物P4を固化させている。このため、成型型枠2へのポーラスコンクリートP1−1の充填率が増し、骨材であるクリンカアッシュ間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートP1−1の強度を向上させることができる。これとともに、クリンカアッシュの吸水率が約5.0〜13.0%であることからクリンカアッシュが水分をある程度吸収し、振動を加えても、骨材であるクリンカアッシュとセメントペーストが分離してセメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、ポーラスコンクリートP1−1の空隙率を向上させることができる。
【0060】
《発明の実施形態2》
図2は、固化造粒物P3を用いたポーラスコンクリートP2を製造する方法を示すフローチャートである。また、ポーラスコンクリートP2は、固化造粒物P3、セメント及び水を原料とし、図5に示す範囲内の配合比率でこれらの原料が配合される。
【0061】
以下、本発明の実施形態2に係るポーラスコンクリートP2−1を製造する方法について、図2を参照しながら説明する。
【0062】
まず、石炭灰、セメント、ポリマー、付着防止剤及び水を原料とし、図6に示す配合比率で配合される固化造粒物P3を製造する方法について説明する。なお、石炭灰はフライアッシュが用いられる。フライアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、電気集塵機により捕集された微粉末の灰のことである。また、付着防止剤とは、固化造粒物表面の水をはじく性質を有するものであり、混練直後や仮置き時における固化造粒物同士の付着を防止するためのものである。
【0063】
図10に示す高速回転ドラム20を用意する。この高速回転ドラム20は、円筒状の混合ドラム22の主軸23に設けた攪拌羽根24と、独立駆動チョッパー25とを備えている。そして、上記固化造粒物P3の原料を混合ドラム22に投入する。そして、攪拌羽根24を83rpmで5〜6分間高速回転させるとともに、独立駆動チョッパー25を1500rpmで5〜6分間高速回転させて粒度が2〜10mmの略球状の造粒物を形成する。
【0064】
上記造粒物を混合ドラム22から取り出し、約20℃の下で約28日乾燥させると、固化粒状物P3が得られる。この固化造粒物P3の物理特性を図7に示す。固化造粒物P3の粒度は細粒分が少なく、ほぼ2〜10mmの範囲に分布し、平均粒径は5mmであり、ほぼ球状に形成されている。また、吸水率は約15.7%であり、内部摩擦角はf≧38°となり、高いせん断強度を有する。
【0065】
次に、図3に示す配合比率で配合した固化造粒物P3、セメント及び水を公知のミキサによって混練し、混練物P5を得る。
【0066】
そして、上記混練物P5を図8に示す振動成型機1の成型型枠2に充填する。そして、この混練物P4の上におもり4を載せることにより加圧した状態で、振動装置3を作動させて、振動締め固め処理を行う。これにより、骨材である固化造粒物P3同士がセメントをバインダとして結合し、ポーラスコンクリートP2−1が成型される。成形方法は、実施形態1と同様である。ここで、締め固めの際に振動と圧力とを加えることで、成型型枠2へのポーラスコンクリートP2−1の充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、固化造粒物P3の吸水率が約15.7%であるため、固化造粒物P3がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物P3とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0067】
上記の方法により製造されたポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度試験の結果を図12に示す。ポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度の最高値は21.5N/mm2となる。
【0068】
−水質改善効果試験−
次に、本実施形態にかかるポーラスコンクリートP2−1の水質改善効果を調査するための試験の結果について説明する。なお、試験方法は、実施形態1と同様である。
【0069】
図13及び図14に、水質調査の結果を示す。図13(c)は、水槽11内にポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す。生物への毒性が強いNH4−Nの量が、ブロックを配置しない図13(a)の場合は、ほとんど変化していないのに対して、図13(c)の場合は、減少している。図14(c)は、水槽11内にポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示す。ブロックを配置しない図14(a)の場合は、各量がほとんど変化していないのに対して、図14(c)の場合は、減少している。したがって、上記の結果より、ポーラスコンクリートP2−1により、水質浄化の効果が期待できると考えられる。
【0070】
−実施形態2の効果−
したがって、本実施形態のポーラスコンクリートP2−1においては、骨材を内部摩擦角がf≧38°であり、せん断強度の高い固化造粒物P3としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP2−1を提供することができる。
【0071】
また、固化造粒物P3を略球状としているため、固化造粒物P3が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートP2−1の空隙率を向上させることができる。
【0072】
また、セメント量を抑えて、ポーラスコンクリートP2−1の強度を約17.7N/mm2としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP2−1を提供することができる。
【0073】
また、混練物P5を加圧した状態で成型型枠2を振動させ、混練物P5を固化させている。このため、骨材である固化造粒物P3間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートP2−1の強度を向上させることができる。これとともに、固化造粒物P3が水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、ポーラスコンクリートP2−1の空隙率を向上させることができる。
【0074】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0075】
すなわち、上記実施形態1では、ポーラスコンクリートP1は、全質量の66%以上76%以下のクリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下のセメントと、全質量の6%以上11%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、クリンカアッシュとセメントと水とが混練されていればよい。
【0076】
また、上記実施形態2では、ポーラスコンクリートP2は、全質量の65%以上75%以下の固化造粒物P3と、全質量の20%以上25%以下のセメントと、全質量の5%以上10%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、固化造粒物P3とセメントと水とが混練されていればよい。
【0077】
また、上記実施形態2では、固化造粒物P3は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰と、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、石炭灰とセメントとポリマーと付着防止剤と水とが混練されていればよい。
【0078】
また、上記実施形態2では、固化造粒物P3は略球状であるものとしたが、他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明は、強度を保ちながら、空隙率を向上させるとともに、セメント量を抑えることができるので、ポーラスコンクリート及びその製造方法等について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態1に係るポーラスコンクリートP1を製造する方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態2に係るポーラスコンクリートP2を製造する方法を示すフローチャートである。
【図3】ポーラスコンクリートP1−1及びP2−1の製造に係る材料の配合比率を示す図である。
【図4】ポーラスコンクリートP1の材料の配合比率を示す図である。
【図5】ポーラスコンクリートP2の材料の配合比率を示す図である。
【図6】固化造粒物P3の材料の配合比率を示す図である。
【図7】固化造粒物P3の物理特性を示す図である。
【図8】振動成型機1の概略構成を示す図である。
【図9】試験装置10を示す側面図である。
【図10】高速回転ドラム20を示す斜視図である。
【図11】ポーラスコンクリートP1−1の圧縮強度試験結果を示す図である。
【図12】ポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度試験結果を示す図である。
【図13】水槽11内のO−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す図であり、(a)はブロックを配置しなかった場合、(b)はポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合、(c)はポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合のそれぞれの推移を示す。
【図14】水槽11内のO−P及びPO4−Pの各量の推移を示す図であり、(a)はにブロックを配置しなかった場合、(b)はポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合、(c)はポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合のそれぞれの推移を示す。
【符号の説明】
【0081】
P1 ポーラスコンクリート
P1−1 ポーラスコンクリート
P2 ポーラスコンクリート
P2−1 ポーラスコンクリート
P3 固化造粒物
P4 混練物
P5 混練物
2 成型型枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーラスコンクリート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に多数の空隙を有するポーラスコンクリートが知られている。このポーラスコンクリートは、道路舗装、護岸等に広く用いられるとともに、環境負荷を低減するためのコンクリート材料としても注目されている。このようなポーラスコンクリートは、内部の空隙や外部表面に微生物を生息させ、植物育成環境を形成して、水質の自然浄化を行う。したがって、水質浄化を目的とするポーラスコンクリートは、安全上必要な強度を確保するとともに、内部の空隙を拡張する必要がある。通常、ポーラスコンクリートは、ほぼ単一粒度に調整された骨材とセメントペーストとを所定の配合で混練し、これを型枠に打ち込んで養生硬化させることによって製造される。この際、骨材とセメントペーストとの重量比や水セメント比(W/C)あるいは骨材の粒度分布等を調整することにより、所定の空隙率と強度とを有するように設計される。ポーラスコンクリートの空隙率を向上させるためには、骨材の粒度を増大すればよいが、その粒度を余り大きくすると、骨材同士の接触面積が小さくなり、硬化後のポーラスコンクリートの強度が低下するという問題が生じる。
【0003】
そこで、石炭火力発電所等において発生する石炭灰を再利用して、高強度、高空隙率を有するポーラスコンクリートを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この方法によれば、まず、石炭灰、セメント及び金属スラグを混練して得た非焼成型固化体を製造する。そして、この非焼成型固化体を粉砕し、この粉砕物、セメント及び水を混練して加圧下で振動させ、ポーラスコンクリートを製造するものである。この方法によれば、空隙率が16%以上、圧縮強度が16N/mm2以上のポーラスコンクリートを製造することができる。
【特許文献1】特開2005−154177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のポーラスコンクリートでは、非焼成型固化体に、一般的にpH12.5〜13.0の強アルカリ性であるセメントが、非焼成型固化体の全質量の13〜18%含まれる。この非焼成型固化体が全質量の78%〜84%含まれるポーラスコンクリートに、さらにセメントが全質量の13〜18%含まれる。したがって、ポーラスコンクリートには、全質量の23〜33%のセメントが含まれることになる。しかし、ポーラスコンクリートに生息する微生物は、強アルカリ性の下では、活発に活動することができず、微生物の育成に必要な藻の育成も抑制される。また、セメントは他の材料に比して高価である。このため、微生物の活動を活発化し、藻の育成を促進するとともに、ポーラスコンクリートのコストを抑えるためには、ポーラスコンクリートに用いられるセメント量を抑える必要があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強度を保ちながら、空隙率を向上させるとともに、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、クリンカアッシュ又は固化造粒物を骨材としたポーラスコンクリートを振動締め固めにより製造するようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0009】
ここで、クリンカアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、ボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収し、脱水及び粉砕した灰のことであり、赤熱状態から急冷し水洗したものであるので化学的に安定している。上記の構成によると、内部摩擦角がf≒30であり、高いせん断強度を有するクリンカアッシュを骨材としているため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。また、クリンカアッシュの粒子表面には径0.1〜20μmの細孔が多数空いており、実績率は約58.8%であるため、クリンカアッシュ自体の有する空隙により、ポーラスコンクリートの空隙率が向上する。
【0010】
第2の発明は、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0011】
ここで、付着防止剤とは、固化造粒物表面の水をはじく性質を有するものであり、混練直後や仮置き時における固化造粒物同士の付着を防止するためのものである。また、固化造粒物とは、石炭灰を骨材として、この骨材とセメントとポリマーと付着防止剤と水とを混合し、造粒した後養生して得られる造粒物である。上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0012】
第3の発明は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0013】
上記の構成によると、骨材であるクリンカアッシュが高いせん断強度を有するので、セメント量抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0014】
第4の発明は、上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒される構成のポーラスコンクリートとする。
【0015】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するので、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0016】
第5の発明は、上記固化造粒物は略球状である構成のポーラスコンクリートとする。この構成によると、骨材である固化造粒物が略球状であることから、セメントをバインダとして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成される。
【0017】
第6の発明は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートとする。
【0018】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0019】
第7の発明は、クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、上記混練物を固化させる工程とを備える構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0020】
上記の構成によると、締め固めの際に振動と圧力とを与えることで型枠へのコンクリートの充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、クリンカアッシュの吸水率は、約5.0〜13.0%であるから、クリンカアッシュがセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材であるクリンカアッシュとセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0021】
第8の発明は、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、上記混練物を固化させる工程とを備える構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0022】
上記の構成によると、締め固めの際に振動と圧力とを与えることで型枠へのコンクリートの充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、固化造粒物がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0023】
第9の発明は、上記混練物は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0024】
上記の構成によると、骨材であるクリンカアッシュが高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【0025】
第10の発明は、上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0026】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度を有するため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度が保たれる。また、固化造粒物がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸水する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0027】
第11の発明は、上記固化造粒物は略球状である構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。この構成によると、骨材である固化造粒物が略球状であり、セメントをバインダとして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成される。
【0028】
第12の発明は、上記混練物は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練される構成のポーラスコンクリートの製造方法とする。
【0029】
上記の構成によると、骨材である固化造粒物が高いせん断強度有するため、セメント量を抑えても、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。
【発明の効果】
【0030】
上記第1の発明によれば、高いせん断強度を有し、粒子表面に多数の細孔が空いたクリンカアッシュを骨材としている。このため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートの強度を保つことができるとともに、クリンカアッシュ自体の有する空隙によりポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0031】
また、上記第2の発明によれば、石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒したせん断強度の高い固化造粒物を骨材としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0032】
また、上記第3の発明によれば、骨材をせん断強度の高いクリンカアッシュとしている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0033】
また、上記第4の発明によれば、骨材をせん断強度の高い固化造粒物としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0034】
また、上記第5の発明によれば、固化造粒物を略球状としている。このため、固化造粒物が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0035】
また、上記第6の発明によれば、セメント量を抑えても、骨材である固化造粒物のせん断強度が高いため、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0036】
また、上記第7の発明によれば、混練物を加圧した状態で型枠を振動させ、混練物を固化させている。このため、コンクリートの充填率が増し、骨材であるクリンカアッシュ間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。これとともに、クリンカアッシュが水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、空隙率を向上させることができる。
【0037】
また、上記第8の発明によれば、混練物を加圧した状態で型枠を振動させ、混練物を固化させている。このため、コンクリートの充填率が増し、骨材である固化造粒物間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートの強度を向上させることができる。これとともに、固化造粒物が水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、空隙率を向上させることができる。
【0038】
また、上記第9の発明によれば、骨材をせん断強度の高いクリンカアッシュとしている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0039】
また、上記第10の発明によれば、骨材をせん断強度の高い固化造粒物としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【0040】
また、上記第11の発明によれば、固化造粒物を略球状としている。このため、固化造粒物が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートの空隙率を向上させることができる。
【0041】
また、上記第12の発明によれば、セメント量を抑えても、骨材である固化造粒物のせん断強度が高いため、ポーラスコンクリートの強度が保たれる。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】
《発明の実施形態1》
図1は、クリンカアッシュを用いたポーラスコンクリートP1を製造する方法を示すフローチャートである。ポーラスコンクリートP1は、クリンカアッシュ、セメント及び水を原料とし、図4に示す範囲内の配合比率でこれらの原料が配合される。
【0044】
クリンカアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、ボイラの底部に
落下した石炭灰の塊を回収し、脱水及び粉砕した灰のことであり、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等のミネラル分を含んでいる。クリンカアッシュは外見が砂に類似し、粒子表面には径が約0.1〜20μmの細孔が多数空いており、実績率は約58.8%である。また、クリンカアッシュの内部摩擦角はf≒30°であり、高いせん断強度を有し、吸水率は約5.0〜13.0%である。
【0045】
以下、本発明の実施形態1に係るポーラスコンクリートP1−1を製造する方法について、図1を参照しながら説明する。
【0046】
まず、図3に示す配合比率で配合したクリンカアッシュ、セメント及び水を公知のミキサによって混練し、混練物P4を得る。
【0047】
図8に示すように、成型型枠2と成型枠型2全体に均一な振動を与えることが可能な振動装置3とを備えた振動成型機1を用意する。そして、この振動成型機1の成型型枠2に、上記混練物P4を充填する。そして、この混練物P4の上におもり4を載せることにより加圧した状態で、振動装置3を作動させて、振動締め固め処理を行う。振動装置3は、例えば、成型型枠2を周波数0〜240Hzで1回に約10秒間振動させるように作動し、混練物P4の状態により3回又は4回振動させる。そして、この混練物P4を養生させて固化させる。これにより、骨材であるクリンカアッシュ同士がセメントをバインダとして結合し、ポーラスコンクリートP1−1が成型される。
【0048】
上記の方法により製造されたポーラスコンクリートP1−1の圧縮強度試験の結果を図11に示す。全体の質量の21%のセメントが用いられたポーラスコンクリートP1−1で、圧縮強度の最高値が17.8N/mm2となる。
【0049】
なお、ここでセメントとは、普通ポルトランドセメントを意味するものとするが、他の種類のセメントを使用してもよい。
【0050】
−水質改善効果試験−
次に、本実施形態にかかるポーラスコンクリートP1−1の水質改善効果を調査するための試験方法について説明する。
【0051】
まず、上記の製造方法によって製造したポーラスコンクリートP1−1の250mm×250mm×100mm寸法のブロックを2個用意する。
【0052】
そして、上記ブロックに微生物を繁殖させるために、試験水路にこのブロック2個を敷設して養豚場のし尿水に約一月間浸漬させる。
【0053】
次に、図9に示すように、試験水で満たした水槽11内に循環ポンプ12を設置した試験装置10を用意する。水槽11は、沈殿物が溜まらないように、水平面から約16度傾けて設置する。試験水は、養豚場のし尿水であり、図9に矢印で示すように、循環ポンプ12によって水槽11内を循環する。そして、水槽11内に上記微生物を繁殖させたポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置し、28日間の試験期間における試験水の水質を調査する。
【0054】
図13及び図14に、水質調査の結果を示す。図13(a)は、水槽11内にブロックを配置しなかった場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示し、図13(b)は、水槽11内にポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す。なお、O−Nとは有機体窒素を、NO3−Nとは硝酸態窒素を、NO2−Nとは亜硝酸態窒素を、NH4−Nとはアンモニウム態窒素をそれぞれ意味するものとする。そして、生物への毒性が強いNH4−Nの量が、図13(a)の場合は、ほとんど変化していないのに対して、図13(b)の場合は、減少している。
【0055】
図14(a)は、水槽11内にブロックを配置しなかった場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示し、図14(b)は、水槽11内にポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示す。なお、O−Pとは有機態リンを、PO4−Pとはリン酸態リンをそれぞれ意味するものとする。図14(a)の場合は、各量はほとんど変化していないのに対して、図14(b)の場合は、減少している。
【0056】
したがって、上記の結果より、ポーラスコンクリートP1−1により、水質浄化の効果が期待できると考えられる。
【0057】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態のポーラスコンクリートP1−1においては、高いせん断強度を有し、粒子表面に多数の細孔が空いたクリンカアッシュを骨材としている。このため、セメント量を抑えてもポーラスコンクリートP1の強度を保つことができるとともに、クリンカアッシュ自体の有する空隙により、ポーラスコンクリートP1−1の空隙率を向上させることができる。
【0058】
また、セメント量を全質量の21%に抑えて、ポーラスコンクリートP1−1の強度を約15.5N/mm2としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP1−1を提供することができる。
【0059】
また、混練物P4を加圧した状態で成型型枠2を振動させ、混練物P4を固化させている。このため、成型型枠2へのポーラスコンクリートP1−1の充填率が増し、骨材であるクリンカアッシュ間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートP1−1の強度を向上させることができる。これとともに、クリンカアッシュの吸水率が約5.0〜13.0%であることからクリンカアッシュが水分をある程度吸収し、振動を加えても、骨材であるクリンカアッシュとセメントペーストが分離してセメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、ポーラスコンクリートP1−1の空隙率を向上させることができる。
【0060】
《発明の実施形態2》
図2は、固化造粒物P3を用いたポーラスコンクリートP2を製造する方法を示すフローチャートである。また、ポーラスコンクリートP2は、固化造粒物P3、セメント及び水を原料とし、図5に示す範囲内の配合比率でこれらの原料が配合される。
【0061】
以下、本発明の実施形態2に係るポーラスコンクリートP2−1を製造する方法について、図2を参照しながら説明する。
【0062】
まず、石炭灰、セメント、ポリマー、付着防止剤及び水を原料とし、図6に示す配合比率で配合される固化造粒物P3を製造する方法について説明する。なお、石炭灰はフライアッシュが用いられる。フライアッシュは、石炭を燃焼させたときに発生する石炭灰のうち、電気集塵機により捕集された微粉末の灰のことである。また、付着防止剤とは、固化造粒物表面の水をはじく性質を有するものであり、混練直後や仮置き時における固化造粒物同士の付着を防止するためのものである。
【0063】
図10に示す高速回転ドラム20を用意する。この高速回転ドラム20は、円筒状の混合ドラム22の主軸23に設けた攪拌羽根24と、独立駆動チョッパー25とを備えている。そして、上記固化造粒物P3の原料を混合ドラム22に投入する。そして、攪拌羽根24を83rpmで5〜6分間高速回転させるとともに、独立駆動チョッパー25を1500rpmで5〜6分間高速回転させて粒度が2〜10mmの略球状の造粒物を形成する。
【0064】
上記造粒物を混合ドラム22から取り出し、約20℃の下で約28日乾燥させると、固化粒状物P3が得られる。この固化造粒物P3の物理特性を図7に示す。固化造粒物P3の粒度は細粒分が少なく、ほぼ2〜10mmの範囲に分布し、平均粒径は5mmであり、ほぼ球状に形成されている。また、吸水率は約15.7%であり、内部摩擦角はf≧38°となり、高いせん断強度を有する。
【0065】
次に、図3に示す配合比率で配合した固化造粒物P3、セメント及び水を公知のミキサによって混練し、混練物P5を得る。
【0066】
そして、上記混練物P5を図8に示す振動成型機1の成型型枠2に充填する。そして、この混練物P4の上におもり4を載せることにより加圧した状態で、振動装置3を作動させて、振動締め固め処理を行う。これにより、骨材である固化造粒物P3同士がセメントをバインダとして結合し、ポーラスコンクリートP2−1が成型される。成形方法は、実施形態1と同様である。ここで、締め固めの際に振動と圧力とを加えることで、成型型枠2へのポーラスコンクリートP2−1の充填率が増し、骨材間の付着強度が向上する。そして、固化造粒物P3の吸水率が約15.7%であるため、固化造粒物P3がセメント及び水と混練されたときに水分をある程度吸収する。このため、振動を加えても、骨材である固化造粒物P3とセメントペーストが分離し、セメントペーストが流れ落ちて空隙を埋めることがない。
【0067】
上記の方法により製造されたポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度試験の結果を図12に示す。ポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度の最高値は21.5N/mm2となる。
【0068】
−水質改善効果試験−
次に、本実施形態にかかるポーラスコンクリートP2−1の水質改善効果を調査するための試験の結果について説明する。なお、試験方法は、実施形態1と同様である。
【0069】
図13及び図14に、水質調査の結果を示す。図13(c)は、水槽11内にポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合の、O−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す。生物への毒性が強いNH4−Nの量が、ブロックを配置しない図13(a)の場合は、ほとんど変化していないのに対して、図13(c)の場合は、減少している。図14(c)は、水槽11内にポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合の、O−P及びPO4−Pの各量の推移を示す。ブロックを配置しない図14(a)の場合は、各量がほとんど変化していないのに対して、図14(c)の場合は、減少している。したがって、上記の結果より、ポーラスコンクリートP2−1により、水質浄化の効果が期待できると考えられる。
【0070】
−実施形態2の効果−
したがって、本実施形態のポーラスコンクリートP2−1においては、骨材を内部摩擦角がf≧38°であり、せん断強度の高い固化造粒物P3としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP2−1を提供することができる。
【0071】
また、固化造粒物P3を略球状としているため、固化造粒物P3が骨材としてセメントをバインダにして結合したときに、骨材間に空隙が多く形成されるので、ポーラスコンクリートP2−1の空隙率を向上させることができる。
【0072】
また、セメント量を抑えて、ポーラスコンクリートP2−1の強度を約17.7N/mm2としている。このため、強度を保ちながら、セメント量を抑えたポーラスコンクリートP2−1を提供することができる。
【0073】
また、混練物P5を加圧した状態で成型型枠2を振動させ、混練物P5を固化させている。このため、骨材である固化造粒物P3間の付着強度が向上することにより、ポーラスコンクリートP2−1の強度を向上させることができる。これとともに、固化造粒物P3が水分をある程度吸収し、セメントペーストが流れ落ちて空隙が埋まることがないため、ポーラスコンクリートP2−1の空隙率を向上させることができる。
【0074】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0075】
すなわち、上記実施形態1では、ポーラスコンクリートP1は、全質量の66%以上76%以下のクリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下のセメントと、全質量の6%以上11%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、クリンカアッシュとセメントと水とが混練されていればよい。
【0076】
また、上記実施形態2では、ポーラスコンクリートP2は、全質量の65%以上75%以下の固化造粒物P3と、全質量の20%以上25%以下のセメントと、全質量の5%以上10%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、固化造粒物P3とセメントと水とが混練されていればよい。
【0077】
また、上記実施形態2では、固化造粒物P3は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰と、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とが混練されているものとしたが、他の配合比としてもよく、石炭灰とセメントとポリマーと付着防止剤と水とが混練されていればよい。
【0078】
また、上記実施形態2では、固化造粒物P3は略球状であるものとしたが、他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明は、強度を保ちながら、空隙率を向上させるとともに、セメント量を抑えることができるので、ポーラスコンクリート及びその製造方法等について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態1に係るポーラスコンクリートP1を製造する方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態2に係るポーラスコンクリートP2を製造する方法を示すフローチャートである。
【図3】ポーラスコンクリートP1−1及びP2−1の製造に係る材料の配合比率を示す図である。
【図4】ポーラスコンクリートP1の材料の配合比率を示す図である。
【図5】ポーラスコンクリートP2の材料の配合比率を示す図である。
【図6】固化造粒物P3の材料の配合比率を示す図である。
【図7】固化造粒物P3の物理特性を示す図である。
【図8】振動成型機1の概略構成を示す図である。
【図9】試験装置10を示す側面図である。
【図10】高速回転ドラム20を示す斜視図である。
【図11】ポーラスコンクリートP1−1の圧縮強度試験結果を示す図である。
【図12】ポーラスコンクリートP2−1の圧縮強度試験結果を示す図である。
【図13】水槽11内のO−N、NO3−N、NO2−N及びNH4−Nの各量の推移を示す図であり、(a)はブロックを配置しなかった場合、(b)はポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合、(c)はポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合のそれぞれの推移を示す。
【図14】水槽11内のO−P及びPO4−Pの各量の推移を示す図であり、(a)はにブロックを配置しなかった場合、(b)はポーラスコンクリートP1−1のブロックを配置した場合、(c)はポーラスコンクリートP2−1のブロックを配置した場合のそれぞれの推移を示す。
【符号の説明】
【0081】
P1 ポーラスコンクリート
P1−1 ポーラスコンクリート
P2 ポーラスコンクリート
P2−1 ポーラスコンクリート
P3 固化造粒物
P4 混練物
P5 混練物
2 成型型枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項2】
石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項3】
請求項1のポーラスコンクリートにおいて、
全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項4】
請求項2のポーラスコンクリートにおいて、
上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項5】
請求項2又は4のポーラスコンクリートにおいて、
上記固化造粒物は略球状であることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項6】
請求項2,4及び5のいずれか1つのポーラスコンクリートにおいて、
全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項7】
クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、
上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、
上記混練物を固化させる工程とを備えていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項8】
石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、
上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、
上記混練物を固化させる工程とを備えていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項9】
請求項7のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記混練物は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練されることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項10】
請求項8のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項11】
請求項8又は10のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記固化造粒物は略球状に造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項12】
請求項8,10及び11のいずれか1つのポーラスコンクリートの製造方法において、
上記混練物は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練されることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項1】
クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項2】
石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項3】
請求項1のポーラスコンクリートにおいて、
全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項4】
請求項2のポーラスコンクリートにおいて、
上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項5】
請求項2又は4のポーラスコンクリートにおいて、
上記固化造粒物は略球状であることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項6】
請求項2,4及び5のいずれか1つのポーラスコンクリートにおいて、
全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練されていることを特徴とするポーラスコンクリート。
【請求項7】
クリンカアッシュを骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、
上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、
上記混練物を固化させる工程とを備えていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項8】
石炭灰にセメントとポリマーと付着防止剤と水とを加えて造粒した固化造粒物を骨材とし、該骨材とセメントと水とを混練する混練工程と、
上記混練工程で得られた混練物を型枠内に充填し加圧した状態で該型枠を振動させる工程と、
上記混練物を固化させる工程とを備えていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項9】
請求項7のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記混練物は、全質量の66%以上76%以下の上記クリンカアッシュと、全質量の18%以上23%以下の上記セメントと、全質量の6%以上11%以下の上記水とが混練されることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項10】
請求項8のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記固化造粒物は、全質量の70.9%以上82.9%以下の石炭灰に、全質量の4%以上11%以下のセメントと、全質量の0.04%のポリマーと、全質量の0.05%の付着防止剤と、全質量の13%以上18%以下の水とを加えて造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項11】
請求項8又は10のポーラスコンクリートの製造方法において、
上記固化造粒物は略球状に造粒されていることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【請求項12】
請求項8,10及び11のいずれか1つのポーラスコンクリートの製造方法において、
上記混練物は、全質量の65%以上75%以下の上記固化造粒物と、全質量の20%以上25%以下の上記セメントと、全質量の5%以上10%以下の上記水とが混練されることを特徴とするポーラスコンクリートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−191325(P2007−191325A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8622(P2006−8622)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年8月20日 社団法人土木学会発行の「第60回年次学術講演会講演概要集(CD−ROM)」に発表
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(504002193)株式会社エネルギア・エコ・マテリア (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年8月20日 社団法人土木学会発行の「第60回年次学術講演会講演概要集(CD−ROM)」に発表
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(504002193)株式会社エネルギア・エコ・マテリア (24)
【Fターム(参考)】
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