説明

ポーリングによる通信接続システム、方法及びプログラム

【課題】端末間の通信において、ユーザ側からの指示による接続要求ではなく、サーバ主導型で、プッシュ型の通信を確立することが可能な通信接続システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】接続サーバ100が接続要求データを受信したことを検知するために、ポーリングサーバ50を設け、定期的に接続サーバ100にポーリングを行う。ポーリングサーバ50は、接続サーバ100がサポート端末150から接続要求データを受信したことを検知した場合は、ユーザ端末10に接続要求があったことを示す接続要求データを、ユーザ端末10に送信する。ユーザ端末10は、接続要求データを受信すると、ユーザの入力に関わらず、ポーリングサーバ50と接続サーバ100を介して、サポート端末150に、所定の通信アプリケーションにより接続を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公衆回線網を介して接続されたユーザ端末やサーバを、ポーリングによって通信を確立する通信接続システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆回線網を介して接続されたユーザ端末とサーバ間又は、公衆回線網を介して接続された端末間の接続を行って、様々なサービスが提供されている。例えば、パソコンや電化製品の機器を操作する初心者に対して、公衆回線網等のネットワークを経由したリモートサポートを行うことにより、クライアントのパソコンや電化製品について、直接、そのパソコンや電化製品にアクセスして、トラブル等の状況をサポート側が把握して、トラブル対応を行うことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このような、リモートサポートサービスにおいて、サポートを受けるユーザ端末とサポートを行うサポート端末との通信を接続する方式は、グローバルアドレスを有する装置間での通信により通信が確立される。すなわち、サポート端末とユーザ端末は、それぞれ、ローカルエリアネットワーク(以下、「LAN」)内のプライベートアドレスしかもたないため、公衆回線網を介して通信ができず、グローバルアドレスを有する接続サーバやルータが仲介として必要である。例えば、サポート端末が接続サーバとLANで接続され、ユーザ端末がルータと接続され、接続サーバとルータとが公衆回線網で接続されるが、それぞれ固有のグローバルアドレスを有することで通信を確立する。
【0004】
ここで、サポート端末とユーザ端末が接続サーバとルータを介して通信をする際には、サポートを受けるユーザ端末から、サポート端末にアクセスを要求することで、通信が開始される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東日本電信電話株式会社、“リモートサポートサービス”、[online]、[平成21年7月22日検索]、インターネット<URL:http://flets.com/osa/remote/s_outline.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような通信方法の一例をあげると、最初に、サポート端末から接続サーバにアクセス番号が送信され、接続サーバがこのアクセス番号を記憶する。そして、接続サーバは、ルータを介して、ユーザ端末にアクセス番号を送信する。ユーザ端末は、受信したアクセス番号を表示し、そのアクセス番号がユーザ端末から入力されることで、ユーザ端末がルータを介して、接続サーバに、そのアクセス番号を通知し、接続サーバが、そのアクセス番号からサポート端末を特定して、サポート端末とユーザ端末を接続する。
【0007】
しかしながら、このように、通信の確立がユーザ端末の入力操作が起点となる、ユーザ端末主導型の通信方法では、例えば、ユーザがユーザ端末から離れているが、リモートサポートを行いたい場合など、サポート側の都合で、リモートサポートを行うにしても、ユーザの指示待ちとなり、実行することが不可能である。つまり、通信を始めるきっかけが、クライアント主導型であることから、管理を行うサポート側主導で、アクションを起こすことができない。
【0008】
本発明は、これらの課題に鑑み、グローバルアドレスを有しない端末間の通信において、ユーザ側からの接続要求ではなく、サーバ主導型で、プッシュ型の通信を確立することが可能な通信接続システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムであって、
前記接続サーバは、
前記サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信する端末特定データ受信手段と、
前記端末特定データを受信した際に、前記サポート端末から前記端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、前記サポート端末から受付ける接続要求受付手段と、を備え、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うポーリング手段と、
前記ポーリング手段により前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信する接続要求データ送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行う接続実行手段を備えるシステム、を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムであって、接続サーバは、サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信し、端末特定データを受信した際に、サポート端末から端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、サポート端末から受付ける。そして、ポーリングサーバは、接続サーバが接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行い、接続サーバが接続要求データを受信したことを検知した場合は、ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、ユーザ端末に送信する。さらに、ユーザ端末は、接続要求データを受信すると、ポーリングサーバと接続サーバを介して、サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行う。
【0012】
したがって、グローバルアドレスを有しないユーザ端末、サポート端末間との通信において、ユーザ端末主導型ではなく、サーバ主導型で、プッシュ型の通信を確立して、通信アプリケーションを起動することが可能である。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、発明のカテゴリにおいてシステムのみならず、方法、プログラムにおいても同様の作用・効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記端末特定データとは、電話番号、IPアドレス、メールアドレス、クッキー情報又はユーザIDのいずれかであるシステム、を提供する。
【0015】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記所定の通信アプリケーションとは、前記サポート端末から前記ユーザ端末にサポートを行うアプリケーションであるシステム、を提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記所定の通信アプリケーションとは、前記サポート端末と前記ユーザ端末とが表示する画面の共有を行うアプリケーションであるシステム、を提供する。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、接続サーバ及びサーバから構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムであって、
前記接続サーバは、
前記サーバに接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信する端末特定データ受信手段と、
前記端末特定データを受信した際に、前記ユーザ端末への接続要求である接続要求データを受付ける接続要求受付手段と、を備え、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うポーリング手段と、
前記ポーリング手段により前記サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信する接続要求データ送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サーバに所定の通信方法又は所定の通信アプリケーションにより、接続を行う接続実行手段を備えるシステム、を提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、接続サーバ及びサーバから構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムにおいて、接続サーバは、サーバに接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信し、端末特定データを受信した際に、前記ユーザ端末への接続要求である接続要求データを受付ける。そして、ポーリングサーバが、接続サーバが接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に接続サーバにポーリングを行い、サーバが接続要求データを受信したことを検知した場合は、ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、ユーザ端末に送信する。さらに、ユーザ端末は、接続要求データを受信すると、ポーリングサーバと接続サーバを介して、サーバに所定の通信方法又は所定の通信アプリケーションにより、接続を行う。
【0019】
したがって、グローバルアドレスを有しないユーザ端末、サーバ間との通信において、ユーザ端末主導型ではなく、サーバ主導型で、プッシュ型の通信を確立して、通信アプリケーションを起動することが可能である。
【0020】
第5の特徴に係る発明は、発明のカテゴリにおいてシステムのみならず、方法、プログラムにおいても同様の作用・効果を奏する。
【0021】
第6の特徴に係る発明は、第5の特徴に係る発明において、所定の通信方法とは、VPN(Virtual Private Network)を利用した通信方法であるシステム、を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、グローバルアドレスを有しない端末との通信において、サーバ主導型で、プッシュ型の通信を確立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係る通信接続システム1の構成図である。
【図2】図2は、本発明の好適な実施形態に係るサポート端末150、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10の機能ブロック図である。
【図3】図3は、サポート端末150、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10が実行する第1通信接続処理を示すフローチャート図である。
【図4】図4は、端末特定データ管理テーブルを示す図である。
【図5】図5は、サポート端末150に表示される画面イメージを示す図である。
【図6】図6は、サーバ300、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10が実行する第2通信接続処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0025】
[通信接続システムの説明]
図1は、本発明の好適な実施形態である通信接続システム1の構成図である。通信接続システム1は、ユーザ端末10a〜10c(以下、単に「10」とする)、ポーリングサーバ50、公衆回線網3(インターネット網や第3世代、第4世代通信網、固定回線など)、接続サーバ100、サポート端末150とから構成される。ユーザ端末10は、公衆回線網3を介して、接続サーバ100及びサポート端末150と通信可能に接続されている。
【0026】
図1に示すように、ポーリングサーバ50が、ユーザ端末10のゲートウェイとして機能し、LAN(Local Area Network)に接続され、構成されてもよいが、ポーリングサーバ50が、ユーザ端末10と同一のLANに接続されずに、公衆回線網3に接続されていてもよい(後者の場合は、リレーサーバとも呼ばれる)。この場合には、ユーザ端末10が存在するLAN内のゲートウェイが、ポーリングサーバ50と通信可能に構成される。なお、本実施形態で行われる通信は、有線、無線を問わない。
【0027】
図1に示すように、サポート端末150は、接続サーバ100と同一のLANに接続されていてもよいし、同一のLANに接続されずに、公衆回線網3を介して、サポート端末150と接続サーバ100とが通信可能であってもよい。この場合は、サポート端末150が存在するLAN内のゲートウェイが、接続サーバ100と通信可能に接続される。
【0028】
ここでは、接続サーバ100とポーリングサーバ50がグローバルアドレスを有して、公衆回線網3を介して通信可能となっている場合について説明する。すなわち、接続サーバ100とポーリングサーバ50が、グローバルアドレスを持たなくても、各装置のLAN内のゲートウェイ(ルータ機能を有する)により、それぞれが通信可能であることは、明らかである。
【0029】
また、ここでは、ユーザ端末10とサポート端末150は、グローバルアドレスが割当てられていないことを前提とするが、ユーザ端末10とサポート端末150がグローバルアドレスを有していても、その機能を使用しない場合は、ポーリングサーバ50を利用した本実施例が適用できることは言うまでもない。
【0030】
ユーザ端末10は、OS(Operating System)を有するコンピュータ端末であればよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。ユーザ端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン10b、複合型プリンタ、テレビ10a、ルータ又はゲートウェイ等のネットワーク機器、コンピュータ10cに加えて、冷蔵庫、洗濯機等の白物家電であってもよいし、電話機、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、電子辞書端末、携帯型音楽プレーヤ、携帯型コンテンツ再生・録画プレーヤ等の一般的な情報家電であってよい。
【0031】
[各機能の説明]
図2は、サポート端末150、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0032】
ユーザ端末10及びサポート端末150は、制御部として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線であってもよい)。さらに、出力・入力部が、制御部で制御したデータや画像を出力表示する表示部等を備え、かつ、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルやキーボード等を備える。
【0033】
ユーザ端末10において、制御部及び通信部が協働して、接続実行手段11を実現する。サポート端末150において、制御部及び通信部が協働して、接続実行手段157、接続要求手段155を実現する。各手段の機能と関係については、図3に基づいて説明する。
【0034】
接続サーバ100、ポーリングサーバ50は、制御部として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイスを備える(有線であってもよい)。
【0035】
ポーリングサーバ50は、管理下にあるユーザ端末10のプライベートアドレスを記憶している。
【0036】
接続サーバ100の制御部は、通信部と協働して、接続要求受付手段102、端末特定データ受信手段101、接続実行仲介手段103を実現する。ポーリングサーバ50の制御部は、通信部と協働して、ポーリング手段53、接続要求データ送信手段55、接続実行仲介手段57を実現する。各手段の機能と関係については、図3に基づいて説明する。
【0037】
外部サーバ200は、接続サーバ100と、公衆回線網3もしくはLANを介して通信可能に接続されている。外部サーバ200は、後述する端末特定データを、接続サーバ100に送信し、接続サーバ100の端末特定データ受信手段101がこれを受信する。
【0038】
[第1通信接続処理のフローチャート]
図3は、サポート端末150、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10が実行する第1通信接続処理のフローチャートである。
【0039】
本処理の前提として、ポーリングサーバ50のポーリング手段53は、常に、接続サーバ100が接続要求データを受信したかを検知するためのポーリングを実行している(ステップS07)。ポーリングは、数秒毎など、定期的に一定間隔で行われる。ポーリングサーバ50のポーリング手段53は、サポート端末150から、ユーザ端末10への接続要求があったか否かを、接続要求データの受信により判断している。ユーザ端末10への接続要求がない限り(ステップS08:「NO」)、ステップS07の処理を繰り返す。
【0040】
最初に、接続サーバ100の端末特定データ受信手段101が、端末特定データを外部サーバ200から受信する(ステップS01)。
【0041】
端末特定データとは、ユーザ端末を特定するためのデータであって、図4の端末特定データ管理テーブルに示すような、着信電話番号、メールアドレス、クッキー情報、ユーザID等であってよい。例えば、ユーザ端末10を使用するユーザが、接続サーバとの接続を行うために、所定の電話番号に電話をした場合は、その所定の電話番号が着信電話番号となる。
【0042】
すなわち、ユーザ端末10を操作するユーザが、ユーザ端末10について、サポートが必要であるとする。サポートを受けるために、ユーザは、所定のサポート電話番号に電話をかける。この際に、外部サーバ200は、ユーザ毎に一意に定められた所定の電話番号を、ユーザ端末10にサポート先の電話番号として表示する。このユーザ端末10に表示された一意のサポート電話番号に対して、ユーザが発信を行うと、交換機や外部サーバ200が着呼する。この着呼された一意のサポート電話番号が、着信電話番号となって、交換機や外部サーバ200から接続サーバ100に、端末特定データとして送信される。
【0043】
なお、着信電話番号は、ユーザ端末10等から発信された発信電話番号であってもよい。この場合は、図4の端末特定データ管理テーブルにおいて、予め、発信電話番号が、ポーリングサーバIP、ユーザ端末IP等と関係づけられており、交換機や外部サーバ200が、着呼した際の発信電話番号を、接続サーバ100に端末特定データとして、送信する。
【0044】
また、端末特定データがメールアドレスであってもよい。この場合は、外部サーバ200がメールサーバの機能を有し、図4に示すように、端末特定データ管理テーブルにおいて、予め、ユーザが送信する送信元のメールアドレスが、ポーリングサーバIP、ユーザ端末IP等と関係づけられており、外部サーバ200が、送信元のメールアドレスを、接続サーバ100に端末特定データとして、送信する。
【0045】
また、端末特定データが、アクセスのあったWebブラウザを特定するクッキー情報であってもよい。この場合は、端末特定データ管理テーブルにおいて、予め、ユーザ端末10で起動されるWebブラウザのクッキー情報が、ポーリングサーバIP、ユーザ端末IP等と関係づけられており、外部サーバ200であるWebサーバが、送信されたクッキー情報を、接続サーバ100に端末特定データとして、送信する。
【0046】
また、端末特定データが、Webブラウザ等で認証を行ったユーザIDであってもよい。この場合は、端末特定データ管理テーブルにおいて、予め、ユーザIDが、ポーリングサーバIP、ユーザ端末IP等と関係づけられており、Webブラウザ等で認証を行ったユーザIDを、認証サーバとして機能する外部サーバ200が、接続サーバ100に端末特定データとして、送信する。
【0047】
なお、端末特定データが、ユーザ端末10毎に定められる所定の暗証番号であっても、上述のユーザIDと同様に処理を行うことができる。
【0048】
次に、接続サーバ100は、図4に示す端末特定データ管理テーブルのような対応づけに基づいて、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10を特定する(ステップS02)。ポーリングサーバ50、ユーザ端末10を特定するとは、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10の通信先(IPアドレス)を特定することである。端末特定データ管理テーブルは、着信電話番号と、ポーリングサーバIP(ポーリングサーバのグローバルIPアドレス)と、ユーザ端末IP(ユーザ端末のプライベートIPアドレス)が対応づけられている。ここで、上述したように、端末特定データは、着信電話番号の代わりに、メールアドレス、クッキー情報、ユーザID等であってよい。
【0049】
次に、接続サーバ100は、端末特定データを受信したことを、サポート端末150に通知し、サポート端末150は、端末特定データを該当するユーザ端末10から受信した画面イメージ、アイコン又は文字等を表示する(ステップS03)。この際に、端末特定データを受信したことが通知されるサポート端末150は、接続サーバ100に接続される複数のサポート端末150から、接続サーバ100により選択された一部のサポート端末150であってよい。
【0050】
図5は、この段階で、サポート端末150に表示される画面の画面イメージを示す。図5の例では、端末特定データで特定されるユーザ端末10は、ユーザ端末「AN−05」である。ここに、「ユーザがサポートを要求しています」111と指示表示する。これは、サポート端末150を操作するサポート者によるリモートサポート接続の開始指示を促す目的で表示される。ユーザが、リモートサポート接続開始のアイコン112を押すことで、サポート端末150は、ユーザ端末「AN−05」への接続要求があったと判断する。
【0051】
サポート端末150の接続要求手段155が、ユーザ端末10への接続要求があったと判断した場合(ステップS04:「YES」)には、接続要求手段155は、接続要求データを接続サーバ100に送信する(ステップS05)。サポート端末150の接続要求手段155が、ユーザ端末10への接続要求があったと判断しない場合(ステップS04:「NO」)には、待ち受けとなり、ステップS04をループする。
【0052】
接続要求データとは、接続サーバ100が、端末特定データを受信したユーザ端末10に対して、サポート端末150との接続を要求するデータであって、必ずしも、端末特定データを受信したユーザ端末10のIPアドレスのデータを含む必要はないが、接続要求をしたサポート端末150のIPアドレスをデータとして含む。
【0053】
接続サーバ100の接続要求受付手段102は、接続要求データを受信する(ステップS06)。上述のように、ポーリングサーバ50は、定期的に、接続サーバ100が、接続要求データを受信したかを検知しているため、ここで、ポーリングサーバ50のポーリング手段53が、接続サーバ100が接続要求データを受信したことを検知する(ステップS07)。
【0054】
ポーリングサーバ50のポーリング手段53は、ユーザ端末10への接続要求があったか否かを判断するが、接続サーバ100が接続要求データを受信したことを検知することで、ステップS08に処理を移す(ステップS08:「YES」)。ここで、ステップS02により、端末特定データによりポーリングサーバ50のIPアドレスが特定されているため、各ポーリングサーバ50は、自らが管理するユーザ端末10に対する接続要求であることを、判断することができる。
【0055】
ステップS09において、ポーリングサーバ50の接続要求データ送信手段55は、端末特定データで特定されるユーザ端末10へ接続要求データを送信する。ユーザ端末10は、ステップS02にて接続サーバ100によりプライベートアドレスが特定されていることから、ポーリングサーバ50は、ユーザ端末10を特定することが可能であり、このユーザ端末10へ接続要求データを送信する。
【0056】
特定されたユーザ端末10(図5の例では、「ユーザ端末AN−05」)は、接続要求データを受信し(ステップS10)、ユーザ端末10の接続実行手段11が、接続アプリケーションの起動により(ユーザ端末10を操作するユーザの操作の有無に関わらず)、接続要求をしたサポート端末150へ接続要求を行う(ステップS11)。
【0057】
ポーリングサーバ50の接続実行仲介手段57は、ユーザ端末10からの接続要求を仲介して、グローバルアドレスを有する接続サーバ100に接続を行う(ステップS12)。これに応じて、接続サーバ100の接続実行仲介手段103が、サポート端末150のIPアドレスを記憶していることから、サポート端末150を特定し、特定したサポート端末150の接続実行手段157に接続を行う(ステップS13)。
【0058】
サポート端末150の接続実行手段157は、ユーザ端末10へ、リモートサポートの接続を確立して(ステップS14)、サポート端末150からユーザ端末10への遠隔操作や、互いの端末に表示される画面データの共有サービスを実行するための通信アプリケーションを実行して、サービスを開始する。
【0059】
[第2通信接続処理のフローチャート]
図6は、サーバ300、接続サーバ100、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10が実行する第2通信接続処理のフローチャートである。第2通信接続処理は、第1通信接続処理と異なり、サポート端末150によりサポートを行うアプリケーションのみならず、一般的なサーバ300にユーザ端末10から接続する通信接続方法を提供する。この通信接続としては、VPN(Virtual Private Network)による通信の確立に利用されてもよい。
【0060】
本処理の前提として、ポーリングサーバ50のポーリング手段53は、常に、接続サーバ100が端末特定データを受信したかを検知するためのポーリングを実行している(ステップS23)。
【0061】
最初に、接続サーバ100の端末特定データ受信手段101が、端末特定データと、接続要求データを外部サーバ200から受信する(ステップS21)。端末特定データは、第1通信接続処理と同じ端末特定データである。接続要求データは、第1通信接続処理とは異なり、着呼やメール受信により、ユーザ端末10からの接続の要求があった際に、外部サーバ200が生成するデータであって、ユーザ端末10がサーバ300に接続する要求を示すデータである。
【0062】
次に、接続サーバ100は、図4に示す端末特定データ管理テーブルのような対応づけに基づいて、ポーリングサーバ50、ユーザ端末10を特定する(ステップS22)。
【0063】
ポーリングサーバ50のポーリング手段53は、ユーザ端末10への接続要求があったか否かを判断するが、接続サーバ100が接続要求データをユーザ端末10から受信したことを検知することで、ステップS25に処理を移す(ステップS24:「YES」)。
【0064】
ステップS25において、ポーリングサーバ50の接続要求データ送信手段55は、端末特定データで特定されるユーザ端末10へ接続要求データを送信する。
【0065】
特定されたユーザ端末10(図5の例では、「ユーザ端末AN−05」)は、接続要求データを受信し(ステップS26)、ユーザ端末10の接続実行手段11が、接続アプリケーションの起動により(ユーザ端末10を操作するユーザの操作の有無に関わらず)、接続要求をしたサーバ300へ接続要求を行う(ステップS27)。
【0066】
ポーリングサーバ50の接続実行仲介手段57は、ユーザ端末10からの接続要求を仲介して、グローバルアドレスを有する接続サーバ100に接続を行う(ステップS28)。これに応じて、接続サーバ100の接続実行仲介手段103が、サーバ300のIPアドレスを記憶していることから、サーバ300を特定し、接続を行う(ステップS29)。
【0067】
サーバ300は、ユーザ端末10へ、通信接続を確立する(ステップS30)。この際に、VPNの通信接続のアプリケーションを起動させることで、VPNの通信を可能にしてもよい。
【0068】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。アプリケーションプログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からアプリケーションプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 通信接続システム、3 公衆回線網、10 ユーザ端末、50 ポーリングサーバ、100 接続サーバ、150 サポート端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムであって、
前記接続サーバは、
前記サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信する端末特定データ受信手段と、
前記端末特定データを受信した際に、前記サポート端末から前記端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、前記サポート端末から受付ける接続要求受付手段と、を備え、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うポーリング手段と、
前記ポーリング手段により前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信する接続要求データ送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行う接続実行手段を備えるシステム。
【請求項2】
前記端末特定データとは、電話番号、IPアドレス、メールアドレス、クッキー情報又はユーザIDのいずれかである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所定の通信アプリケーションとは、前記サポート端末から前記ユーザ端末にサポートを行うアプリケーションである請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定の通信アプリケーションとは、前記サポート端末と前記ユーザ端末とが表示する画面の共有を行うアプリケーションである請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
接続サーバ及びサーバから構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムであって、
前記接続サーバは、
前記サーバに接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信する端末特定データ受信手段と、
前記端末特定データを受信した際に、前記ユーザ端末への接続要求である接続要求データを受付ける接続要求受付手段と、を備え、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うポーリング手段と、
前記ポーリング手段により前記サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信する接続要求データ送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サーバに所定の通信方法又は所定の通信アプリケーションにより、接続を行う接続実行手段を備えるシステム。
【請求項6】
前記所定の通信方法とは、VPN(Virtual Private Network)を利用した通信方法である請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムが実行する方法であって、
前記接続サーバは、
前記サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信するステップと、
前記端末特定データを受信した際に、前記サポート端末から前記端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、前記サポート端末から受付けるステップと、を実行し、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うステップと、
前記ポーリングを行うステップにより前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信するステップと、を実行し、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行う方法。
【請求項8】
接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムが実行する方法であって、
前記接続サーバは、
前記サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信するステップと、
前記端末特定データを受信した際に、前記サポート端末から前記端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、前記サポート端末から受付けるステップと、を実行し、
前記ポーリングサーバは、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うステップと、
前記ポーリングを行うステップにより前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信するステップと、を実行し、
前記ユーザ端末は、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行う方法。
【請求項9】
接続サーバ及びグローバルアドレスが割当てられていないサポート端末から構成されるシステムと、グローバルアドレスが割当てられていないユーザ端末及びポーリングサーバとから構成されるシステムとが、公衆回線網を介して接続されたシステムに実行させるためのプログラムであって、
前記接続サーバに、
前記サポート端末に接続することを要求するユーザ端末を特定するための端末特定データを受信するステップと、
前記端末特定データを受信した際に、前記サポート端末から前記端末特定データで特定されるユーザ端末への接続要求である接続要求データを、前記サポート端末から受付けるステップと、を実行させるための接続サーバ用プログラムと、
前記ポーリングサーバに、
前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知するために、定期的に前記接続サーバにポーリングを行うステップと、
前記ポーリングを行うステップにより前記接続サーバが前記接続要求データを受信したことを検知した場合は、前記ユーザ端末に接続要求があったことを示す接続要求データを、前記ユーザ端末に送信するステップと、を実行させるためのポーリングサーバ用プログラムと、
前記ユーザ端末に、前記接続要求データを受信すると、前記ポーリングサーバと前記接続サーバを介して、前記サポート端末に所定の通信アプリケーションにより、接続を行わせるためのユーザ端末用プログラム、を備えるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−109879(P2012−109879A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258363(P2010−258363)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(500132694)
【Fターム(参考)】