説明

マイクロアレイ用基板、それを利用したマイクロアレイの製造方法及び該マイクロアレイから光データを収集する方法

【課題】光データを収集しやすいマイクロアレイを製造するのに使われうるマイクロアレイ用基板、及び前記基板を製造する方法を提供する。
【解決手段】第1基準点標識と、プローブ物質が固定化された領域と、を含むマイクロアレイであって、前記第1基準点標識は、表面が疎水性を有するマイクロアレイ。前記第1基準点標識は、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域であって、前記酸化膜が除去された領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面の領域、または前記表面に疎水性物質がコーティングされた領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアレイ用基板、それを利用したマイクロアレイの製造方法及び該マイクロアレイから光データを収集する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、一般的に基板上に標的物質に結合するプローブ物質が複数個の区分された領域に固定されているものをいう。マイクロアレイは、多くの標的物質の分析に使われる。標的物質の分析は、蛍光物質で標識された(fluorescent material−labeled)標的物質を含む試料をマイクロアレイ上のプローブ物質に接触させ、そこから得られる光を測定することによってなされる。
【0003】
マイクロアレイには、プローブ物質が固定された領域(以下、スポット(spot)という)が一般的に高密度に配列されているために、1回の実験に使われる照射されて検出されるスポットの数は、数千から数万以上でありうる。従って、マイクロアレイの分析結果から得られたイメージデータを分析する操作者は、普通、マイクロアレイから得られたイメージ信号を定量化するのに先立ち、各混成化されたスポット及び局地的背景の明るさを計算する前に、マイクロアレイのスポット位置のグリッド(grid)またはパターン(pattern)を生成する。マイクロアレイ・グリッド(microarray grid)は、前記パターン内の各スポットの真の位置をさらに効率的に見つけ出すための検出ソフトウェアによって使われるテンプレート(template)である。従って、多くのスポットを有したマイクロアレイから得られた光データから、各スポットの位置を効率的に特定する必要性がある。
【0004】
従来、スポットの位置確認方法として、知られたスポット情報を基に、光イメージ上に手動でスポットを特定する方法及びロボット使用スポット位置装置(robotic spot placement equipment)を使用する方法がある。
【0005】
しかし、前記したところによっても、マイクロアレイから得られた光データから、各スポットの位置を容易に見つけ出し、分析することができる改善された方法が相変らず要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、光データを収集しやすいマイクロアレイを製造するのに使われうるマイクロアレイ用基板、及び前記基板を製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題はまた、光データを収集しやすいマイクロアレイ及びそれを製造する方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする課題はまた、マイクロアレイから光データを収集する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、第1基準点標識とプローブ物質が固定化される領域とを含むマイクロアレイ用基板であって、前記第1基準点標識は、表面が疎水性を有しており、前記プローブ物質が固定化される領域の表面には、プローブ物質固定化化合物が固定されているものであるマイクロアレイ用基板を提供している。
【0010】
前記課題を解決するために、本発明はまた、第1基準点標識とプローブ物質が固定化された領域とを含むマイクロアレイであって、前記第1基準点標識が表面が疎水性を有するものであるマイクロアレイを提供する。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明はまた、酸化膜を有した基板を提供する段階であって、前記基板は、疎水性表面を有するものである段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階とを含むマイクロアレイ用基板を製造する方法を提供する。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明はまた、酸化膜を有した基板を提供する段階であって、前記基板は、疎水性表面を有するものである段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面に、プローブ物質を複数個の区分される領域に固定化する段階とを含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法を提供する。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明はまた、酸化膜を有した基板を提供する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階であって、前記エッチングは、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされる段階と、前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階とを含むマイクロアレイ用基板を製造する方法を提供する。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明はまた、酸化膜を有した基板を提供する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階であって、前記エッチングは、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされる段階と、前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面に、プローブ物質を複数個の区分される領域に固定化する段階とを含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法を提供する。
【0015】
前記課題を解決するために、本発明はまた、第1基準点標識及び第2基準点標識とプローブ物質が固定化された領域とを含むマイクロアレイであって、前記第1基準点標識が表面が疎水性を有するものであるマイクロアレイに、発光物質で標識された標的物質を含む試料を接触させる段階と、前記マイクロアレイに光を照射し、前記マイクロアレイから光を測定する段階と、得られた光データから第1基準点標識及び第2基準点標識を特定し、特定された第1基準点及び第2基準点を基に、プローブ物質が固定された領域を特定する段階と、前記特定されたプローブ物質が固定された領域から、光データを得る段階とを含むマイクロアレイから光データを収集する方法を提供する。
【0016】
前記課題を解決するために、本発明はまた、基板の表面に第1区分された領域、第2区分された領域及び第3区分された領域を含むマイクロアレイであって、前記第3区分された領域には、プローブ核酸が固定されており、前記プローブ核酸は、標的核酸と相補的な配列を有しており、前記第1区分された領域と、検出可能な標識で標識された標的核酸との結合力、または検出可能な標識で標識された標的物質との結合力は、前記第2区分された領域と検出可能な標識で標識された標的物質との結合力に比べて小さく、前記第2区分された領域と検出可能な標識で標識された標的物質との結合力は、前記第3区分された領域のプローブ核酸と検出可能な標識で標識された標的物質との結合力に比べて、同一であるか、または大きいものであるマイクロアレイを提供する。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明はまた、前記マイクロアレイに検出可能な標識で標識された標的核酸と、検出可能な標識で標識された標的物質を含んだ試料とを反応させ、その反応産物から信号を得る段階と、前記第1区分された領域及び第2区分された領域から出てくる信号を基に、前記第3区分された領域から出てくる信号を区分する段階とを含むマイクロアレイ信号を分析する方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一具体例によるマイクロアレイ用基板は、光データを収集しやすいマイクロアレイを製造するのに使われうる。
【0019】
本発明の一具体例によるマイクロアレイ用基板の製造方法によれば、光データを収集しやすいマイクロアレイを製造できる。
【0020】
本発明の一具体例によるマイクロアレイは、光データを収集しやすい。
【0021】
本発明の一具体例によるマイクロアレイを製造する方法によれば、光データを収集しやすいマイクロアレイを製造できる。
【0022】
本発明の一具体例による光データを収集する方法によれば、マイクロアレイから光データを効率的に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1基準点標識とプローブ物質が固定化される領域とを含むマイクロアレイ用基板を製造する一例を示す図面である。
【図2】一つ以上の具体例によるマイクロアレイ用基板、またはマイクロアレイの一例を示す図面である。
【図3】一つ以上の具体例によるマイクロアレイ用基板、またはマイクロアレイの一例を示す図面である。
【図4】一つ以上のピラー構造を有する明るい基準点標識A、及びそれを製造する方法の例を示す図面である。
【図5】図5Aは、ピラー構造が明るい基準点標識として作用しうるメカニズムを図式的に示した図面である。図5Bは、図5Aのピラー構造の平面図である。
【図6A】同じ構造から測定された蛍光イメージを示す模式図である。
【図6B】同じ構造から測定された反射光を示す模式図である。
【図7】マイクロアレイの分析結果として得られるイメージの一例を図式的に示した図面である。
【図8】図7に示したイメージに基準点マーカーを基準として、基準点マーカとデータスポットとを正確に区分した(gridding)例を示す図面である。
【図9】図7に示したイメージに基準点マーカを基準として、基準点マーカとデータスポットとを不正確に区分した(gridding)例を示す図面である。
【図10】図10Aは、暗い基準点(dark fiducial)マーカと明るい基準点(bright fiducial)マーカとの組み合わせを複数個含み、それら複数個の組み合わせは、それぞれ異なる様相を呈しているものであるマイクロアレイ中の1パネルのイメージを示す図面である。図10の10B、10C、10Dおよび10Eは、10Aのマイクロアレイ中の1パネルにおいて、それぞれマイクロアレイの4コーナーの円で示した部分を拡大したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例について、詳細に説明する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態の一つは、第1基準点標識(fiducial mark)とプローブ物質が固定化される領域とを含むマイクロアレイ用基板であって、前記第1基準点標識は、表面が疎水性を有しており、前記プローブ物質が固定化される領域の表面には、プローブ物質固定化化合物が固定されているものであるマイクロアレイ用基板またはマイクロアレイである。 前記基板は、ガラス、石英、シリコン、及びプラスチックからなる群から選択されるものでありうる。前記基板は、天然または人工的に形成された酸化膜を含むものでありうる。天然酸化膜の一例は、シリコン上に形成される二酸化シリコン層である。基板上に酸化膜を形成するのは、公知方法によって行われうる。例えば、酸化物を基板上に液相沈積(liquid phase deposition)、蒸発及びスパッタリングによって沈積することによって行われうる。
【0026】
本発明に係る「第1基準点標識(fiducial mark)」とは、マイクロアレイ用基板の複数個の区分される領域に固定されるプローブと前記プローブに結合する標的物質との間の相互作用結果を、光信号を介して分析しようとする場合、前記基板から由来した光イメージプロファイルのうち、プローブが固定化された領域を確認するための基準点として使用するためのものである。特に、前記第1基準点標識は、前記プローブが固定された領域及び/または背景領域、すなわちプローブ物質固定化化合物だけが固定されている領域に比べて、光を照射する場合、低いか、または顕著に低い強度の蛍光を出す領域である。このような光学的特性は、第1基準点標識の表面と、分析される蛍光物質で標識された標的物質との間の反応性を低くすることによって行われうる。
【0027】
前記第1基準点標識の形状及び構造は、任意のものでありうる。例えば、前記第1基準点標識は、文字または記号の形態を有するものでありうる。前記第1基準点標識の表面サイズは、当業界では、スポット(spot)ともいうプローブが固定化される領域の次元と同じでもあり、異なりもする。前記第1基準点標識の平面形状の次元は、0.1μmないし100μmのものでありうる。ここで、寸法 というのは、前記平面形状が円である場合、直径を意味し、そうではない場合、前記平面形状の重心を貫通する直線と平面形状の外郭線との交点によって形成される線分の最短距離を示す。
【0028】
前記第1基準点標識は、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域のものでありうる。前記第1基準点標識は、プローブ物質またはプローブ物質固定化化合物が固定化されていない領域であって、当該領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面であるか、または前記表面に疎水性物質がコーティングされたものでありうる。前記疎水性物質としては、テトラフルオロメタンを含むフルオロカーボンのようなドライエッチング物質から由来したものでありうる。前記ドライエッチングは、物質のプラズマよる反応を利用するものであり、それらについては公知である。
【0029】
本発明に係る基板の表面にプローブ固定化化合物が固定されているものでありうる。前記表面は、前記基準点標識の表面を除外した全表面、またはプローブが固定化される表面でありうる。前記固定化化合物は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ポリL−リシン、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、カルボニル基、スクシンイミド基、マレイミド基、エポキシド基、イソチオシアネート基を有する化合物から選択される一つ以上の化合物でありうる。アミノ基を有する化合物の例には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(EDA)、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(DETA)、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが含まれ、アルデヒド基を有する化合物には、グルタルアルデヒドが含まれる。チオール基を有する化合物の例には、4−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)が含まれる。また、エポキシド基を有する化合物の例には、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、イソチオシアネート基を有する化合物の例には、4−フェニレンジイソチオシアネート(PDITC)、スクシンイミド基及びマレイミド基を有する化合物の例には、ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)またはスクシンイミジル4−(マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)が含まれる。
【0030】
前記プローブ物質は、生体物質、例えばDNA、RNA、cDNA、mRNA、蛋白質または糖でありうる。また、前記プローブ物質は、前記固定化化合物を介して基板に接着していることが好ましい。
【0031】
本発明に係る「マイクロアレイ」とは、当業者に知られた意味として使われる。すなわち、基板上の区分される領域に、特定の物質、例えば、標的物質に結合するプローブ物質が固定されているものを意味する。すなわち、本明細書において、「マイクロアレイ」は、本発明に係るマイクロアレイ用基板にプローブ物質を固定化したものであり、本発明に係るマイクロアレイ用基板と、本発明に係る基板とは相違する。また、本発明に係るマイクロアレイ用基板は、本発明に係る基板上にプローブ固定化物質が固定されている。当該マイクロアレイにおいて、前記区分される領域は、スポットともいい、一般的に2以上の領域が、基板上に間隔をおいて配列されている。
【0032】
本発明に係るマイクロアレイ用基板および本発明に係るマイクロアレイは、前記第1基準点標識に加え、第2基準点標識を含むことができる。前記第2基準点標識は、第1基準点標識に隣接した領域に位置するものでありうる。前記第2基準点標識は、前記基板表面のパターニングによって定義されるものでありうる。前記パターニングは、公知方法によって行われうる。例えば、前記パターニングは、フォトリソグラフィによって行われうる。前記パターニングの結果、前記第2基準点標識は、前記基準点スポットの周辺の基板表面がエッチングされて除去されることによって、形成されるピラー構造を有するものでありうる。前記ピラー上から見た様子、すなわち平面形状は、例えば円、及び長方形並びに正方形を含んだ四角形であるが、それらの例に限定されるものではない。前記ピラーの平面形状のエッジ部分は、照射される光を反射させる傾斜面を提供するものとして機能しうる。前記エッジ部分は、垂直にエッチングされたものではなく、丸形(round)、または傾斜形状を有するものでありうる。このような形状とすることによって、照射される光が反射されうる反射面を提供できる。しかし、一つ以上の具体例が特定のメカニズムに限定されると解釈されてはならない。前記エッチングは、ウェットエッチングまたはドライエッチングでありうる。
【0033】
本明細書において使用されている用語「第1基準点標識」および「第2基準点標識」は、それぞれ、第1区分領域および第2区分領域を包含する概念であり、ならびに/または当該第1区分領域および第2区分領域のそれぞれから得られたシグナルを包含するものである。また、プローブ物質が固定化される領域は、第3区分領域を包含する概念である。前記第2基準点標識は、2以上のピラーによって構成されるものでありうる。前記ピラーとピラーとの間の距離は、画素の直径より小さいものでありうる。ここで前記画素は、前記反射光から得られたマイクロアレイのイメージプロファイル、またはプローブ物質と標的物質との相互作用から検出された蛍光強度のイメージプロファイル上での画素を意味する。前記ピラーは、断面の 寸法 が0.001μmないし10μmであり、ピラーとピラーとの間の距離は、0.001μmないし10μmでありうる。
【0034】
前記第2基準点標識は、基板に固定化されるプローブスポットの平面形状と同じ平面形状の範囲内に、ピラーの配列を含むことができる。前記第2基準点スポットの一例は、基板に固定化されるプローブスポットの平面形状と同じ平面形状の範囲内に、複数個のピラーが配列されており、前記ピラーは、断面の 寸法 が0.001μmないし10μmであり、ピラーとピラーとの間の距離は、0.001μmないし10μmでありうる。前記第2基準点スポットから反射される反射光によって得られた前記基準点スポットのイメージ形状と、前記プローブ物質と標的物質とを相互作用させた後で前記プローブスポットから得られた蛍光イメージは、実質的に同じであるか、または異なる形状を有するものでありうる。
【0035】
前記光照射は、プローブスポットに対して、標的物質とプローブとの相互作用を検出するために光照射される角度で照射されるものでありうる。前記照射される光は、基板表面に対して、0゜ないし45゜で照射されるものでありうる。前記照射される光は、あらゆる波長の光が混合されている光、または蛍光物質の励起光でありうる。前記測定される光は、基板表面に対して、45゜ないし135゜で測定されるものでありうる。
【0036】
前記マイクロアレイ用基板は、整列マーク(alignment mark)をさらに含むことができる。「整列マーク」とは、マイクロアレイ用基板をプローブ物質固定化機器に対して、一定の位置に置かせるマークをいう。前記整列マークを介して、前記マイクロアレイ用基板をプローブ物質固定化機器に対して、一定の位置に置かせることによって、基板上に固定化されるプローブスポットの位置、すなわち座標が客観的なものでありうる。前記座標は、整列マークによって固定された基板の特定位置を基に付与されうる。例えば、前記整列マークを基に、横軸と縦軸との直交座標を利用し、スポットの位置を特定できる。前記第1基準点標識並びに第2基準点標識及びプローブ物質が固定されるスポットは、前記整列マークによって決定された座標で、それぞれに対してあらかじめ設定された位置に形成されうる。
【0037】
前記整列マークは、フォトリソグラフィを介してパターニングすることによって形成されたパターン化された形状でありうる。例えば、前記整列マークは、十字状のような記号、またはT字型のような文字の形態が基板に彫られるようにパターン化されたものでありうる。
【0038】
他の具体例は、第1基準点標識とプローブ物質が固定化された領域とを含むマイクロアレイであって、前記第1基準点標識が表面が疎水性を有するものであるマイクロアレイを提供する。
【0039】
本発明に係るマイクロアレイは、前記のマイクロアレイ用基板にプローブ物質を、区分される複数個の領域に固定することによって製造されうる。前記区分される各領域は、 寸法 が0.1μmないし1,000μmであり、各プローブ物質が固定された領域において前記プローブ物質が固定された領域間の距離は、0.1μmないし1,000μmでありうる。前記プローブ物質が固定された領域におけるプローブ物質の密度は、例えば1,000個/cm以上、または10個/cm以上、または10個/cm以上、または10個/cm以上でありうる。
【0040】
前記第1基準点標識については、前記の通りである。
【0041】
前記基板は、ガラス、石英、シリコン、及びプラスチックからなる群から選択されるものでありうる。前記基板は、天然または人工的に形成された酸化膜を含むものでありうる。
【0042】
前記第1基準点標識は、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域のものでありうる。前記領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面であるか、または前記表面に疎水性物質がコーティングされたものでありうる。前記疎水性物質は、ドライエッチング物質から由来したものでありうる。例えば、前記疎水性物質は、テトラフルオロメタンを含むフルオロカーボンのようなドライエッチング物質から由来したものでありうる。
【0043】
前記マイクロアレイは、前記第1基準点標識に加え、第2基準点標識を含むことができる。前記第2基準点標識は、前記第1基準点標識と隣接した領域に位置しうる。前記第2基準点標識は、照射される場合、実質的に明るい光を出すものでありうる。当該「明るい光」とは、既知の第2基準点標識及び他の領域についての情報を考慮し、前記光に基づいて、前記第2基準点標識を特定できるほどの明るさを意味する。例えば、プローブ物質が固定化された領域と比較して、同等以上の明るさを示すものでありうる。
【0044】
前記第2基準点標識は、一つ以上のピラーによって構成されるものでありうる。前記ピラーは、ピラー間の間隔が0.001μmないし10μmであり、例えば、0.001μmないし0.01μm、0.001μmないし0.1μm、0.001μmないし1μm、0.001μmないし10μm、または0.001μmないし100μmであって、断面の次元は、0.001μmないし10μmであり、例えば、0.001μmないし0.01μm、0.001μmないし0.1μm、0.001μmないし1μm、0.001μmないし10μm、または0.001μmないし100μmでありうる。前記ピラーは、前記基板中の酸化膜のエッチングによって形成されたものでありうる。
【0045】
他の具体例は、疎水性表面を有し酸化膜が形成されている基板する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板の疎水性表面の領域を露出させる段階と、前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階とを含むマイクロアレイ用基板を製造する方法を提供する。前記マイクロアレイ用基板を製造する方法は、酸化膜を有した基板を提供する段階を含む。前記酸化膜は、シリコン基板が大気中に露出される場合、自然に形成されるシリコン酸化物層のように、自然に形成された酸化膜を含む。また、前記酸化膜は、基板上に酸化膜を積層して形成されるものでありうる。基板上に酸化層を積層するというのは、酸化物、例えばシリコン酸化物を基板、例えばシリコン基板上に沈積することによって行われうる。前記沈積は、公知方法によって行われうる。例えば、酸化物を基板上に、液相沈積(liquid phase deposition)、蒸発、及びスパッタリングによって沈積することによって行われうる。前記酸化膜は、基板から反射される光と、前記酸化物層の表面から反射される光とが相互補強干渉を起こす厚さでありうる。前記酸化膜の例は、SiOでありうる。前記酸化膜は、補強干渉を起こすものであるならば、他の有機物質または無機物質の膜で代替されうる。例えば、前記酸化膜は、シリコン窒化物で代替されうる。
【0046】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法はまた、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階を含む。前記酸化膜上のフォトレジスト層を形成する段階は、公知方法によって行われうる。例えば、スピンコーティングまたは浸漬によってコーティングし、フォトレジスト層を加熱して硬化させることによって行われうる。フォトレジストの種類は、コーティング方法及び硬化条件に、特別に制限されるものではなく、例えば、ポジティブ型またはネガティブ型でありうる。
【0047】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法はまた、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階を含む。フォトレジストが、ポジティブ材であるかまたはネガティブ材であるかによって、所望の方法、形状及び第1基準点標識並びに第2基準点標識、及び/またはスポット間の間隔で、第1基準点標識が形成されるようにマスクを準備し、このマスクを使用し、基板を光に選択的に露出させる。露光条件は、フォトレジストによって選択できる。前記マスクは、第1基準点標識を形成しようとするパターンだけではなく、プローブ物質を固定するために、前記マイクロアレイ用基板をプローブ物質固定化用機器、例えば、配列器(arrayer)またはスポッタ(spotter)に対して、一定の位置に置かせる整列マークを形成するためのパターンがさらに彫られたものでありうる。従って、前記マスクは、整列マークのための内容が描かれたマスクでありうる。前記整列マークは、前記基準点標識の形成と同じパターニング過程、例えばフォトリソグラフィによって形成されるものでありうる。前記整列マークは、前記基準点標識の形成と同じ過程によって、同時に形成されるものでありうる。
【0048】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法はまた、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階を含み、前記基板は、疎水性表面を有するものである段階を含む。
【0049】
前記フォトレジスト層を現像するのは、露光された前記フォトレジスト層を現像液で処理し、必要によって洗浄してなされる。現像液は、使われるフォトレジストによって選択できる。現像後、前記フォトレジスト層で保護されていない酸化膜部分をエッチングし、第1基準点標識を形成する。前記エッチングは、公知方法によって行われうる。例えば、前記エッチングは、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされうる。前記疎水性物質は、フルオロカーボンでありうる。前記フルオロカーボンは、テトラフルオロメタンのようなフルオロアルカンでありうる。前記フルオロアルカンは、C−C20フルオロアルカンでありうる。前記エッチングによって、前記基板には、陥没部(recess)が形成され、前記陥没部の内側底及び/または壁の表面は、基板の表面の性質、すなわち疎水性特性を有する。また、前記エッチングが、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされる場合、前記陥没部の内側底及び/または壁の表面は、前記疎水性物質の沈積によって、疎水性を帯びうる。前記フォトレジスト層を除去するのは、公知方法によって行われうる。例えば、フォトレジストを溶解させる有機溶媒、例えばアセトンを利用して行われうる。
【0050】
前記疎水性基板は、シリコン及びプラスチックからなる群から選択されるものでありうる。前記プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択されるものでありうる。
【0051】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法はまた、前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上に、プローブ固定化化合物を固定する段階を含む。前記プローブ固定化化合物は、プローブとの相互作用を介してプローブを固定させる特性を提供するものである。例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ポリL−リシン、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、カルボニル基、スクシンイミド基、マレイミド基、エポキシド基、及びイソチオシアネート基を有する化合物から選択される一つ以上の化合物でありうる。前記アミノ基を有する化合物は、3−アミノトリエトキシシラン(GAPS)でありうる。例えば、前記固定化化合物がビオチンである場合、それの固定化は、例えばビオチンスクシンイミジルエステルを、アミノシラン処理された酸化膜に反応させることによって行われうる。前記固定化化合物がアルデヒド基を有するグルタルアルデヒドである場合、その固定化は、例えばグルタルアルデヒドを、アミノシラン処理された酸化膜に反応させることによって行われうる。前記疎水性表面の領域は、反応性が低いか、あるいはないために、前記固定化化合物を前記基板上に適用し、反応させることによって、前記疎水性表面の領域を除外した領域に、前記固定化化合物を固定化できる。前記疎水性表面に適用された前記固定化化合物は、追って必要によって、洗浄液を加えて洗浄することによって除去されうる。
【0052】
前記方法によって製造されたマイクロアレイ用基板のプローブ固定化化合物が固定された領域中の一つ以上の区分された領域にプローブを固定し、マイクロアレイを製造するのに使われうる。
【0053】
従って、他の具体例は、疎水性表面を有する基板上に酸化膜を形成する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上に、プローブ固定化化合物を固定する段階と、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面に、プローブ物質を複数個の区分される領域に固定化する段階とを含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法を提供する。
【0054】
本発明に係るマイクロアレイを製造する方法は、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面に、プローブ物質を複数個の区分される領域に固定化する段階を含む。前記プローブ物質の固定化は、前記プローブ固定化化合物に前記プローブ物質を結合するか、または相互作用によって結合反応を行える物質で活性化されたものでありうる。
【0055】
例えば、前記プローブ固定化化合物がアビジンである場合、前記プローブ物質は、ビオチンで活性化されたものでありうる。
【0056】
また、前記プローブ固定化化合物がアミノシランのようなアミノ基を有した場合、前記プローブ物質は、スクシンイミド基及びマレイミド基などとエステル結合しており、このエステル結合と前記アミノ基とのカップリング反応によって、前記プローブが固定されうる。その他の段階については、前記の通りである。
【0057】
他の具体例は、酸化膜を有する基板を提供する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、疎水性物質を使用したドライエッチングによって前記フォトレジスト層により保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上に、プローブ固定化化合物を固定する段階と、を含むマイクロアレイ用基板を製造する方法を提供する。
【0058】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法は、前記フォトレジスト層を現像し、疎水性物質を使用したドライエッチングによって前記フォトレジスト層により保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階段階を含む。
【0059】
前記フォトレジスト層を現像するのは、露光された前記フォトレジスト層を現像液で処理し、必要によって洗浄して行われうる。現像液は、使われるフォトレジストによって選択できる。また、当該現像後、前記フォトレジスト層で保護されていない酸化膜部分をエッチングし、基準点標識を形成する。前記エッチングは、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされうる。前記疎水性物質は、フルオロカーボンでありうる。前記フルオロカーボンは、テトラフルオロメタンのようなフルオロアルカンでありうる。前記フルオロアルカンは、C−C20フルオロアルカンでありうる。前記エッチングによって、前記基板には、陥没部が形成され、前記陥没部の内側底及び/または壁の表面は、前記疎水性物質の沈積によって、疎水性を帯びうる。前記フォトレジスト層を除去するのは、公知方法によって行われうる。例えば、フォトレジストを溶解させる有機溶媒、例えばアセトンを利用して行われうる。
【0060】
前記基板は、ガラス、石英、シリコン、及びプラスチックからなる群から選択されるものでありうる。前記プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択されるものでありうる。前記基板は、シリコンであり、前記酸化膜は、SiOでありうる。
【0061】
前記マイクロアレイ用基板を製造する方法において、前記段階以外の段階については、前記の通りである。
【0062】
他の具体例は、酸化膜を有する基板を提供する段階と、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、前記フォトレジスト層を現像し、疎水性物質を使用したドライエッチングによって前記フォトレジスト層により保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面の複数個の区分される領域に、プローブ物質を固定化する段階とを含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法を提供する。
【0063】
前記プローブ・マイクロアレイを製造する方法は、前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面に、プローブ物質を複数個の区分される領域に固定化する段階を含む。前記プローブの固定化は、前記プローブ固定化化合物に結合するか、または相互作用によって結合反応を行える物質で活性化されたものでありうる。例えば、前記プローブ固定化化合物がアビジンである場合、前記プローブは、ビオチンで活性化されたものでありうる。また、前記プローブ固定化化合物がアミノシランのようなアミノ基を有した場合、前記プローブは、スクシンイミド基及びマレイミド基などとエステル結合しており、このエステル結合と前記アミノ基とのカップリング反応によって、前記プローブが固定されうる。その他の段階については、前記の通りである。
【0064】
他の具体例は、表面が疎水性を有する第1基準点標識とプローブ物質が固定化された領域とを含むマイクロアレイに、発光物質で標識された標的物質を含む試料を接触させる段階と、前記マイクロアレイに光を照射し、前記マイクロアレイから光を測定する段階と、得られた光データから第1基準点標識を特定し、特定された第1基準点標識を基に、プローブ物質が固定された領域を特定する段階と、前記特定されたプローブ物質が固定された領域から、光データを得る段階と、を含むマイクロアレイから光データを収集する方法を提供する。
【0065】
前記光データを収集する方法において、前記マイクロアレイは、前記第1基準点標識に加え、第2基準点標識を含むものでありうる。前記第2基準点標識は、前記第1基準点標識と隣接した領域に位置するものでありうる。前記第2基準点標識は、明るい光を出すものでありうる。当該「明るい光」というのは、既知の第2基準点標識及び他の領域についての情報を考慮し、前記光に基づいて、前記第2基準点標識を特定できるほどの明るさを意味する。例えば、プローブ物質が固定化された領域と比較し、同等以上の明るさを示すものでありうる。
【0066】
前記第2基準点標識は、一つ以上のピラーによって構成されるものでありうる。前記ピラーは、ピラー間の間隔が0.001μmないし10μmであり、断面の次元は、0.001μmないし10μmでありうる。前記ピラーは、平面形状のエッジ部分が光を反射できるようになっているものでありうる。例えば、前記エッジ部分は、傾斜または丸く(round)なっているものでありうる。このような光の反射を提供する形状は、前記ピラーをエッチングする過程で、自然に生成されうる。一般的に、エッチングによって基板をエッチングする場合、エッチングされる前記基板のエッジ部分は、理想的である場合とは異なり、拡散などによって、垂直ではない傾斜した形状が形成される。このような傾斜した部分は、反射面として使われうる。
【0067】
前記マイクロアレイは、前記の一具体例に記載されたところによるマイクロアレイでありうる。
【0068】
前記光データを収集する方法は、表面が疎水性を有する第1基準点標識とプローブ物質が固定化された領域とを含むマイクロアレイに、発光物質、例えば蛍光物質で標識された標的物質を含む試料を接触させる段階を含む。
【0069】
前記接触は、標的物質及びプローブの種類によって適切に選択された条件で行われうる。例えば、DNAプローブと標的DNAとの混成化は、蛍光標識された標的DNAを混成化バッファと混合し、加熱処理して標的DNAを熱変性させた(thermally denature)後、この溶液をマイクロアレイに添加した後でカバーを覆い、乾燥されない適切な温度で維持することによって、ハイブリッドDNAを形成する。反応後、反応していない物質は、塩濃度及び温度が制御された溶液で洗浄して除去できる。
【0070】
前記光データを収集する方法はまた、前記マイクロアレイに光を照射し、前記マイクロアレイから光を測定する段階を含む。前記測定される光は、蛍光及び/または反射光でありうる。前記照射される光は、レーザ光、またはあらゆる波長が含まれた光でありうる。前記第2基準点標識が一つ以上のピラーによって構成される場合、前記測定される光は、反射光でありうる。マイクロアレイ上に光を照射し、そこから出てくる光を測定するのは、公知方法によって行われうる。
【0071】
前記光照射は、プローブスポットに対して、標的物質とプローブとの相互作用を検出するために光照射される角度で照射されるものでありうる。前記照射される光は、基板表面に対して、0゜ないし45゜で照射されるものでありうる。前記照射される光は、あらゆる波長の光が混合されている光、または蛍光物質の励起光でありうる。前記測定される光は、基板表面に対して、45゜ないし135゜で測定されるものでありうる。
【0072】
前記光の測定は、受光素子を利用して行われうる。前記受光素子には、光電子増倍管(photomultiplier)、フォトダイオード、CCD(charge coupled device)素子などを利用できる。また、反射光を測定する光であって、使用する蛍光標識に適当な励起光を使用することによって、反射光の測定と同時に、蛍光の測定を行うことができる。この場合、ダイクロイックミラー(dichroic mirror)などによって反射光と蛍光とを分光し、蛍光を測定する受光素子を、反射光を測定する受光素子と別途に設ける必要がある。前記測定された光データは、イメージ形態または反射光の強度を数字で表示したデジタル化された形態でありうる。
【0073】
前記光データを収集する方法はまた、得られた光データから第1基準点を特定し、特定された第1基準点標識を基に、プローブ物質が固定された領域を特定される段階を含む。前記特定は、位置及び範囲を特定することを含む。
【0074】
前記方法はまた、得られた光データから第1基準点標識、及び選択的に第2基準点標識を特定し、特定された第1基準点、及び選択的に第2基準点を基に、プローブ物質が固定された領域を特定される段階を含む。前記特定は、位置及び範囲を特定することを含む。
【0075】
前記特定される段階において、前記第1基準点は、光度の低い程度、すなわち暗さの程度で特定するものでありうる。例えば、プローブ物質が固定された領域からの光データと同一であるか、またはさらに暗いことを基準とすることができる。暗さの程度は、選択される発光物質によって適切に選択されうる。すなわち、第1基準点標識及び他の領域についての既知の情報(predetermined information)を考慮し、光度が低い位置と範囲とを第1基準点標識として特定し、第1基準点標識の位置及び範囲を基に、他のプローブが固定された領域を特定する。特定された情報は、第1基準点標識及び他の領域についての既知の情報と比較し、同一であるか否かを判断し、必要によって、前記情報を補正できる。前記既知の情報は、マイクロアレイ製造時に使われた、第1基準点標識、第2基準点標識及び/またはプローブが固定される領域の既知の位置または範囲(predetermined location or range)を含む。
【0076】
前記特定される段階において、前記第2基準点は、プローブ物質が固定された領域からの光データより光度の高い程度で特定するものでありうる。例えば、プローブ物質が固定された領域からの光データと同一であるか、またはさらに明るいことを基準とすることができる。明るさの程度は、選択される発光物質によって、適切に選択されうる。すなわち、第2基準点標識及び他の領域についての既知の情報を考慮し、光度が高い位置と範囲とを第2基準点標識として特定し、第2基準点標識の位置及び範囲を基に、他のプローブが固定された領域を特定する。特定された情報は、第2基準点標識及び他の領域についての既知の情報と比較し、同一であるか否かを判断し、必要によって、前記情報を補正できる。前記既知の情報は、マイクロアレイ製造時に使われた、第1基準点標識、第2基準点標識及び/またはプローブが固定される領域の既知の位置または範囲を含む。
【0077】
前記特定する段階において、前記第1基準点は、光度の低い程度で特定され、前記第2基準点は、光度の高い程度で特定され、前記第1基準点と第2基準点は、相対的位置を介して、例えば隣接しているか否かを介して特定するものでありうる。また、前記第1基準点及び第2基準点の形状、例えば、文字または記号を参照してそれらを特定するものでありうる。
【0078】
他の具現例は、基板の表面に第1区分領域、第2区分領域及び第3区分領域を含むマイクロアレイであって、前記第3区分領域には、プローブ物質としてプローブ核酸が固定されており、前記プローブ核酸は、標的核酸と相補的な配列を有しており、前記第1区分領域と、検出可能な標識で標識された標的核酸と前記第1区分領域との結合力、または検出可能な標識で標識された標的物質と前記第1区分領域との結合力は、検出可能な標識で標識された標的物質と前記第2区分領域との結合力に比べて小さく、前記検出可能な標識で標識された標的物質と前記第2区分領域との結合力は、検出可能な標識で標識された標的物質と前記第3区分領域のプローブ核酸との結合力に比べて、同一であるか、または大きいものであるマイクロアレイを提供する。
【0079】
前記第1区分領域及び第2区分領域は、検出可能な標識で標識された標的核酸、または検出可能な標識で標識された標的物質と反応させた後で得られる検出信号が、前記第1区分領域から得られる検出信号に比べ、第2区分領域から得られる信号がさらに大きくありうる。このような検出信号の差から、前記第1区分領域及び第2区分領域は、マイクロアレイ分析から得られる信号を区分するための基準点マーカとして作用しうる。以下、前記第1区分領域及び前記第2区分領域は、それぞれ暗い基準点マーカ(DF:dark fiducial marker)、及び明るい基準点マーカ(BF:bright fiducial marker:BF)ともいう。また、前記第3区分領域は、データスポット(data spot)ともいう。
【0080】
前記検出信号は、蛍光信号であり、前記第1区分領域から得られる蛍光信号に比べ、第2区分領域から得られる蛍光信号がさらに明るくありうる。第2区分領域から得られる信号は、第1区分領域から得られる信号に比べ、10%以上、例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%、50%、100%、または200%以上明るくありうる。
【0081】
前記検出可能な標識は、光学的標識(optical label)、放射性標識(radioactive label)及び基質を発色物質に転換させることができる酵素でありうる。前記光学的標識には、蛍光物質が含まれる。前記酵素には、アルカリフォスファターゼ及びホースラディッシュペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)などが含まれる。
【0082】
前記第1区分領域、第2区分領域及び第3区分領域は、0.1μmないし10μmの 寸法 を有するものでありうる。前記 寸法 は、円形である場合、直径を意味し、前記領域が円形ではない場合、その重心を過ぎ、前記領域の輪郭線と出合う線の長さを意味する。
【0083】
前記第1区分領域及び第2区分領域は、検出可能な標識で標識された標的核酸、または検出可能な標識で標識された標的物質と反応させた後で得られる検出信号が、同一に反応させた前記第3区分領域から得られる検出信号と区分されるように、組み合わされて配されるものでありうる。
【0084】
前記組み合わせは、同一に反応させた前記第3区分領域から得られる信号が、偶然に同じ配置を有する確率が低い配置を有するものでありうる。ここで、「偶然に同じ配置を有する確率が低い配置」とは、検出可能な標識で標識された標的核酸、または検出可能な標識で標識された標的物質と第3区分領域に固定されたプローブ核酸とを反応させた後で得られる検出信号の配置が、統計的に良好に現れない配置を意味する。前記確率が低い配置は、例えば、一直線に配列されたり、またはL字型に配列されていないものでありうる。前記組み合わせは、文字または記号形状を有するものでありうる。前記第1区分領域は、前記第2区分領域を囲んだり、またはその反対の形状を有する組み合わせでありうる。
【0085】
前記組み合わせは、マイクロアレイの各パネルごとに配され、前記パネルごとに複数個が配されるものでありうる。例えば、前記組み合わせは、マイクロアレイの各パネルが四角形である場合、各パネルの4つのコーナー部分に配されるものでありうる。ここで、「パネル(panel)」というのは、検出機器が標的核酸と反応されたマイクロアレイから信号を読み込む単位領域をいう。例えば、検出機器が蛍光を測定するためのカメラである場合、標的核酸と反応されたマイクロアレイから蛍光信号を読み込む単位領域をいう。前記パネルは、前記マイクロアレイの一部分であって、この場合、前記マイクロアレイから得られる信号は、前記パネルから得られた信号を組み合わることによって分析されうる。
【0086】
前記第1区分領域は、疎水性物質から構成され、前記検出可能な標識で標識された標的核酸、及び検出可能な標識で標識された標的物質は、親水性物質から構成されるものでありうる。
【0087】
また、前記第2区分領域は、検出可能な標識で標識された標的物質と結合できる物質が固定されているか、またはかような表面特性を有するものでありうる。
【0088】
例えば、前記第2区分領域は、ビオチンが固定されており、検出可能な標識で標識された標的物質は、検出可能な標識で標識されたストレプトアビジンでありうる。ビオチンとストレプトアビジンとの結合力は、一般的にプローブ核酸と標的核酸との結合力より強いので、そこから得られる信号は、プローブ核酸と標的核酸とからの信号に比べ、さらに強くありえる。また、前記第2区分領域は、プローブ核酸より長いプローブが固定されており、検出可能な標識で標識された標的物質は、前記長いプローブと相補的な核酸でありうる。第1区分領域に固定されたプローブ核酸は、長さが10ないし50bp、例えば10ないし40bpまたは10ないし30bpのものでありうる。また、第2区分領域に固定されたプローブ核酸は、第1区分領域に固定されたプローブ核酸に比べ、10bp以上、例えば10bp以上、20bp以上、30bp以上、100bp以上、200bp以上長くありうる。
【0089】
前記マイクロアレイによれば、基準点マーカとして使用する領域が最小化され、マイクロアレイから得られる信号を区分するのに時間が短縮され、パネル別の汚染を緩和させることができる。
【0090】
他の具体例は、前記のマイクロアレイに検出可能な標識で標識された標的核酸と、検出可能な標識で標識された標的物質を含んだ試料とを反応させ、その反応産物から信号を得る段階と、前記第1区分領域及び第2区分領域から出てくる信号を基に、前記第3区分領域から出てくる信号を区分する段階とを含むマイクロアレイ分析信号を分析する方法を提供する。
【0091】
前記方法は、前記のマイクロアレイに検出可能な標識で標識された標的核酸と、検出可能な標識で標識された標的物質を含んだ試料とを反応させ、その反応産物から信号を得る段階を含む。前記反応は混成化反応であって、混成化(ハイブリダイズ)反応の条件については、当業界に公知である。例えば、混成化(ハイブリダイズ化)バッファ中で、4℃で一晩中反応させるものでありうる。マイクロアレイについては、前記の通りである。反応産物から信号を得る段階は、選択される標識物質によって、当業者が適切に選択できる。例えば、蛍光標識が選択された場合、励起光を照射し、そこから発光する放射光を測定して行われうる。このような測定は、カメラによって行われうる。
【0092】
以下、一つ以上の実施例を介して、さらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、一つ以上の具体例を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、それら実施例によって限定されるものではない。
【0093】
図1Aないし図1Cは、第1基準点標識とプローブ物質が固定化される領域とを含むマイクロアレイ用基板を製造する一例を示す図面である。図1Aによれば、まず酸化膜200が形成された基板100を提供する。前記基板100は、シリコンであって、前記酸化膜200は、二酸化シリコンでありうる。図1Bに示されているように、前記酸化膜200のパターニングは、公知方法によって行われうる。例えば、前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングし、前記コーティングされたフォトレジスト層上に、第1基準点が描かれたマスクを露光し、前記フォトレジストを現像する。次に、前記フォトレジストによって保護されていない領域をエッチングする。前記エッチングは、例えば、テトラフルオロメタンのようなフルオロアルカンを使用したドライエッチングによって行われうる。前記エッチングの結果、疎水性の前記基板表面または前記基板表面に、疎水性物質がコーティングされた形態の陥没部(recess)B(図1B:第1基準点標識の例)が形成される。次に、前記基板100上に固定化化合物300を適用し、前記固定化化合物を前記基板の酸化膜200上に固定化する。このとき、前記疎水性領域Bは、疎水性を帯びており、前記固定化化合物と反応しないので、洗浄し、反応していない前記固定化化合物を除去できる。
【0094】
図1Cにおいて、A領域(第2基準点標識の例)は、明るい基準点標識を示す。すなわち、照射されたマイクロアレイから光データを収集する場合、明るい光データを出すところであり、明るい基準点標識として作用しうる領域をいう。図4Aないし図4Cの右側にさらに詳細に記載されているように、前記A領域は、一つ以上のピラー構造を有するものであり、このピラー構造は、照射される場合に強い反射光を提供できる。従って、前記ピラー構造は、明るい光データを提供できるので、明るい基準点標識として使われうる。前記パターニング過程において、前記酸化膜のパターニングと共に、前記一つ以上のピラー構造も、同じ過程で同時、または順次に製作されうる。図1Aないし図1Cで、前記A領域は、その表面にプローブ固定化化合物が固定される例を記載したが、2以上のピラー構造のように高い反射率を提供する構造である場合のように、表面にプローブ固定化化合物が固定されないこともある。
【0095】
また、前記A領域は、プローブ固定化化合物300を、プローブ物質が固定化される領域に当該固定化化合物300と他の化合物とを固定化することによって、明るい基準点標識として使われうる。例えば、前記固定化化合物300は、アビジン及びストレプトアビジンのような標的物質と強く相互作用する物質から選択されるものでありうる。この場合、前記明るい基準点標識は、標的物質を分析する過程で、前記固定化化合物の標的物質、例えば、アビジンまたはストレプトアビジンに対して、蛍光で標識されたビオチンを共に反応させることによって、明るい光データを得ることができる。互いに強く相互作用する物質、例えば、ビオチン、及びアビジンまたはストレプトアビジンは、一般的に知られた分析物質、例えば、長さ10ないし50bpの核酸プローブと標的核酸との混成化結合力よりはるかに強い結合力、例えば、10倍以上、100倍以上、1,000倍以上、または10,000倍以上の結合力で結合できるために、そこから出てくる信号も、それに比例して強く出てくることができる。
【0096】
前記B領域の暗い基準点標識と前記A領域の明るい基準点標識とからの光データを組み合わることによって、前記暗い基準点標識と前記明るい基準点標識とを容易に特定できる。その結果、前記基準点標識からの相対的な位置及び範囲は、マイクロアレイの製造時に知られたものであるので、前記プローブ物質が固定化された領域を容易に特定できる。
【0097】
図2及び図3は、一つ以上の具体例によるマイクロアレイ用基板、またはマイクロアレイの一例を示す図面である。図2は、暗い基準点標識B領域が、明るい基準点標識Aの間、またはプローブが固定された領域Dの間、または明るい基準点標識A及びプローブが固定された領域Dの間に形成されている例を示す図面である。図3は、暗い基準点標識B領域が、酸化膜の一部領域のみに、陥没部の形態で形成されており、明るい基準点標識A及び前記プローブが固定された領域Dが形成されている例を示す図面である。図4で、プローブが固定された領域Dの周辺は、エッチングされる例が記載されているが、エッチングされないこともある。
【0098】
図4Aないし図4Cは、一つ以上のピラー構造を有する明るい基準点標識A、及びそれを製造する方法の例を示す図面である。図4Aないし図4Cにおいて、明るい基準点標識Aの製造過程は、プローブが固定される領域Dを製造する過程と同じ過程によって製造される例を示す。すなわち、前記パターニング過程に使われるマスクは、前記プローブが固定される領域Dだけではなく、明るい基準点標識A及び/または暗い基準点標識を製造するための図面を同時に含むものでありうる。
【0099】
前記基板は、その表面にプローブ固定化化合物が固定されているものでありうる。前記表面は、前記基準点標識の表面を除外した全表面、またはプローブが固定化される表面でありうる。前記固定化化合物は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ポリL−リシン、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、カルボニル基、スクシンイミド基、マレイミド基、エポキシド基、イソチオシアネート基を有する化合物から選択される一つ以上の化合物でありうる。アミノ基を有する化合物の例には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(EDA)、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(DETA)、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが含まれ、アルデヒド基を有する化合物には、グルタルアルデヒドが含まれる。チオール基を有する化合物の例には、4−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)が含まれる。また、エポキシド基を有する化合物の例には、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、イソチオシアネート基を有する化合物の例には、4−フェニレンジイソチオシアネート(PDITC)、スクシンイミド基及びマレイミド基を有する化合物の例には、ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)またはスクシンイミジル4−(マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)が含まれる。図4Aないし図4Cで、暗い基準点マーカスポットは、第1基準点標識に隣接した領域に位置するものでありうる。
【0100】
前記第2基準点標識は、前記基板表面のパターニングによって定義されるものでありうる。前記パターニングは、公知方法によって行われうる。例えば、前記パターニングは、フォトリソグラフィによって行われうる。前記パターニングの結果、前記第2基準点標識は、前記基準点スポットの周辺の基板表面がエッチングされて除去されることによって、形成されるピラー構造を有するものでありうる。前記ピラー上から見た様子、すなわち平面形状は、例えば円及び長方形及び正方形を含んだ四角形であるが、それらの例に限定されるものではない。
【0101】
図5A及び図5Bは、ピラー構造が明るい基準点標識として作用しうるメカニズムを図式的に示した図面である。図5に示されているように、光が前記ピラーの周囲に対して、水平面を基準に角度θで照射される場合、前記ピラーのエッジ部分は、反射面500として作用し、反射光600を提供し、前記反射光600を受光素子400、例えばカメラなどを利用して測定できる(図5A)。図5Bで、ピラー周囲のエッジ部分は、図式的に示すために、説明のために誇張されて表示されている。前記反射光600は、蛍光に比べて強いために、反射光の測定時には、光測定器を短時間光に露出させても、強い光を測定できる。測定される反射光の強度は、一般的に蛍光の1,000ないし10,000倍以上であると見られる。反射光を測定する場合、例えば、光フィルタなしに測定できる。図5Bは、反射光を上端部から測定して得られる2以上のピラー構造によって構成された明るい基準点標識の平面イメージを示す図面である。図5Bに示されているように、測定された測定された光の強度は、前記ピラーの平面形状の内部200、前記ピラーのコーナー500、及び基板100の順に強い。
【0102】
図6A及び図6Bは、同じ構造から測定された反射光及び蛍光イメージを示す模式図である。図6Aに示されているように、発光染料、例えば、蛍光染料で標識された物質がA領域及びB領域に固定される場合、この領域を照射して蛍光を測定する場合に得られる蛍光イメージを示すものである。図6Aに示されているように、前記光は、前記構造物の平面形状の表面全体から等しく分布する。しかし、図6Bに示されているように、A領域及びB領域の周囲に対し、水平面を基準に約45゜角度で光照射し、反射光を上端部から測定する。図6Bに示されているように、前記A領域及びB領域のイメージは、その構造物の平面形状のエッジ部分から強い光が測定される。図6A及び図6Bで、A及びBは、それぞれ1つ及び複数個のピラー構造によって構成された明るい基準点標識を示したものである。
【0103】
図7は、マイクロアレイの分析結果として得られるイメージの一例を図式的に示した図面である。マイクロアレイ分析は、マイクロアレイに蛍光物質で標識された標的核酸を混成化させた後、混成化結果を、蛍光物質に対する励起光で照射し、そこから発光する放射光を測定して得られる蛍光イメージでありうる。図7で、暗い基準点マーカは、前記イメージの枠から二番目の位置の区分された領域からなる暗い四角形状であり、明るい基準点マーカは、前記イメージの左側及び下枠から三番目の位置の区分された領域からなるL字形あり、前記イメージの左側及び下枠から二番目の位置の区分された領域からなる暗い基準点マーカ部分と三番目の位置の区分された領域からなるL字形の明るい基準点マーカは、互いに隣接している。従って、たとえデータスポットから出てくる信号が、明るい基準点マーカと同等、またはそれ以上の明るさであっても、前記基準点マーカの位置を確認することができる。すなわち、暗い基準点マーカと明るい基準点マーカとの組み合わせによって、マイクロアレイ分析イメージで、基準点マーカの位置をさらに正確に見つけ出すことができ、使われるスポットの数も減少させることができる。基準点マーカに使われるスポットの数が減少するので、基準点マーカと試料中の物質との反応が、データスポットと試料中の標的物質との反応に及ぼす影響が減少し、それによって、データスポットの強度、または正確度が上昇しうる。図7に示されたイメージは、マイクロアレイ上の1パネルのイメージを示すものである。
【0104】
図8は、図7に示されたイメージに、基準点マーカを基準として、基準点マーカとデータスポットとを正確に区分した(gridding)例を示す図面である。いったん、基準点マーカの位置または様子が確認されれば、それを基に、他のデータスポットの位置を区分するのは、当業界に公知である。前記基準点マーカの確認は、イメージの肉眼確認、または基準点マーカについての情報が保存されている基準ファイル(reference file)を参照して行われうる。前記基準ファイルは、マイクロアレイの製作時に配された基準点マーカの様子及び基準点マーカとデータスポットとの相対的位置などの情報が保存されたファイルを意味する。図2で、四角形状の暗い基準点マーカ並びにL字型の明るい基準点マーカ及びデータスポット領域で、各スポット内に一定の格子(grid)が正確に対応するように、割り当てられたことを確認することができる。マイクロアレイを利用した標的物質の分析において、追って前記格子内容の信号、例えば蛍光信号だけを参照し、標的物質についての情報を分析することができる。
【0105】
図9は、図7に示されたイメージに基準点マーカを基準として、基準点マーカとデータスポットとを不正確に区分した例を示す図面である。図9によれば、マイクロアレイに実際に形成されている基準点マーカに比べ、暗い基準点マーカの下部分が、イメージの下外郭線から実際の位置より、1スポット上に移動した3行目のスポットによって構成され、明るい基準点マーカの下部分が、イメージの下外郭線から実際の位置より1スポット上に移動した4行目のスポットによって構成される。その結果、マイクロアレイ上の実際のスポット位置で、格子で区分されたスポットの位置は、一致せず、それによって、各格子から判読された信号を分析しても、試料中の標的物質を正確に分析されえない。
【0106】
図10Aは、暗い基準点(dark fiducial)マーカと明るい基準点(bright fiducial)マーカとの組み合わせを複数個含み、それら複数個の組み合わせは、それぞれ異なる様相を呈しているマイクロアレイ中の1パネルのイメージを示す図面である。図10Bないし図10Eは、図10AのBないしEで標識された領域の拡大図である。図10Aないし図10Eによれば、暗い基準点マーカと明るい基準点マーカとの組み合わせは、それぞれ前記パネルのイメージの4つのコーナーに位置し、それらの様子は、互いに異なる。また、図10Aは、暗い基準マークが使われ、前記マイクロアレイのパネル上のアルファベット数字文字を形成し、追加的な確認(identification)、図10Aに示されているように、文字スペリング「10−4E」を提供できる。図10Aないし図10Eで、Bは明るい基準点マーカスポットを示し、Dは、暗い基準点マーカスポットを示し、MとPは、データスポットであり、それぞれミスマッチスポット(mismatch spot)と完全マッチスポット(perfect match spot)とを示す。図10Aのマイクロアレイは、1個のパネルを図式化したものであり、総144個の基準点マーカスポット(B:D=60:84)を含んでいる。 暗い基準点マーカスポットは、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域のものでありうる。
【0107】
前記領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面であるか、または前記表面に疎水性物質がコーティングされたものでありうる。前記疎水性物質は、テトラフルオロメタンを含むフルオロカーボンのようなドライエッチング物質から由来したものでありうる。前記ドライエッチングは、物質のプラズマよる反応を利用するものであり、それらについては公知である。
【0108】
図10Aないし10Eに示されているように、互いに異なる複数個の組み合わせを使用する場合、例えば、データスポットでは、偶然に現れ難い組み合わせを使用する場合、誤った格子区分(misgridding)が起こる確率が低下した。図10Aないし図10Eの実験の場合、216個のパネル(72個のパネル/マイクロアレイx3個のマイクロアレイ)で、誤った格子区分が一つも発生していない。互いに異なる複数個の組み合わせを使用する場合、パネル当たり最小限の領域が基準点マーカスポットとして使われるので、データスポットとして使われうる領域が拡大する。また、基準点マーカスポットの数が減少するので、それによって、格子区分にかかる時間を短縮させることができる。互いに異なる複数個の組み合わせを使用する場合、隣接するパネルとパネルとの間に混同が起こることを減少させることができる。
【符号の説明】
【0109】
100 基板
200 酸化膜
300 固定化化合物
400 受光素子
500 反射面
600 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基準点標識と、プローブ物質が固定化された領域と、を含むマイクロアレイであって、前記第1基準点標識は、表面が疎水性を有するマイクロアレイ。
【請求項2】
前記第1基準点標識は、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロアレイ。
【請求項3】
前記酸化膜が除去された領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面の領域、または前記表面に疎水性物質がコーティングされた領域であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロアレイ。
【請求項4】
第2基準点標識をさらに含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項5】
前記第2基準点標識は、2以上のピラーによって構成され、または標的物質と強く相互作用する物質が結合されて構成されていることを特徴とする請求項4に記載のマイクロアレイ。
【請求項6】
前記ピラー間の間隔は、0.1μmないし1000μmであり、前記ピラーの断面の寸法は、0.1μmないし1000μmであることを特徴とする請求項5に記載のマイクロアレイ。
【請求項7】
第1区分領域、第2区分領域、及び第3区分領域を基板の表面に含むマイクロアレイであって、前記第3区分領域には、プローブ核酸が固定されており、前記プローブ核酸は、標的核酸と相補的な配列を有しており、
検出可能な標識で標識された標的核酸と前記第1区分領域との結合力、または検出可能な標識で標識された標的物質と前記第1区分領域との結合力は、検出可能な標識で標識された標的物質と前記第2区分領域との結合力に比べて小さく、かつ検出可能な標識で標識された標的物質と前記第2区分領域との結合力は、検出可能な標識で標識された標的物質と前記第3区分領域のプローブ核酸との結合力に比べ、同一である、または大きいマイクロアレイ。
【請求項8】
前記検出可能な標識で標識された標的核酸、または検出可能な標識で標識された標的物質と前記第1区分領域及び第2区分領域とを反応させた後で得られる検出信号は、前記第1区分領域から得られる検出信号に比べ、第2区分領域から得られる検出信号が大きいことを特徴とする請求項7に記載のマイクロアレイ。
【請求項9】
前記検出信号は蛍光信号であり、前記第1区分領域から得られる蛍光信号に比べ、第2区分された領域から得られる蛍光信号が明るいことを特徴とする請求項8に記載のマイクロアレイ。
【請求項10】
前記検出可能な標識で標識された標的核酸、または検出可能な標識で標識された標的物質と第1区分領域及び第2区分領域とを反応させた後で得られる検出信号が、前記標的核酸、または前記標的物質と前記第3区分領域とを反応させた前記第3区分領域から得られる検出信号と区分されるように、前記第1区分領域と前記第2区分領域とは、組み合わされて配されることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項11】
前記組み合わせは、前記標的核酸または前記標的物質と前記第3区分領域とを反応させた前記第3区分領域から得られる検出信号が、偶然に同じ配置を有する確率が低い配置を有することを特徴とする請求項10に記載のマイクロアレイ。
【請求項12】
前記組み合わせは、文字または記号形状を有することを特徴とする請求項10または11に記載のマイクロアレイ。
【請求項13】
前記組み合わせは、マイクロアレイのパネルごとに配され、前記パネルごとに複数個が配されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項14】
前記組み合わせは、マイクロアレイの各パネルが四角形である場合、各パネルの4つのコーナー部分に配されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項15】
前記第1区分領域は、疎水性物質から構成され、前記検出可能な標識で標識された標的核酸、及び検出可能な標識で標識された標的物質は、親水性物質から構成されることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項16】
前記第2区分領域は、検出可能な標識で標識された標的物質と結合できる物質が固定されているか、またはかような表面特性を有することを特徴とする請求項7〜15のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項17】
前記第2区分領域は、ビオチンが固定されており、検出可能な標識で標識された標的物質は、検出可能な標識で標識されたストレプトアビジンであることを特徴とする請求項7〜16のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項18】
前記第2区分領域は、前記プローブ核酸より長さが長い核酸が固定されており、検出可能な標識で標識された標的物質は、前記長いプローブと相補的な核酸であることを特徴とする請求項7〜16のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。
【請求項19】
疎水性表面を有し、酸化膜が形成されている基板を提供する段階と、
前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、
前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、
前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板の疎水性表面の領域を露出させる段階と、
前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、
前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面の複数の区分領域に、プローブ物質を固定化する段階と、を含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法。
【請求項20】
酸化膜を有する基板を提供する段階と、
前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、
前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、
前記フォトレジスト層を現像し、疎水性物質を使用したドライエッチングによって前記フォトレジスト層により保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、
前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、
前記プローブ固定化化合物が固定された基板の表面の複数個の区分領域に、プローブ物質を固定化する段階と、を含むプローブ・マイクロアレイを製造する方法。
【請求項21】
表面が疎水性を有する第1基準点標識と、第2基準点標識と、プローブ物質が固定化された領域とを含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載のマイクロアレイに、発光物質で標識された標的物質を含む試料を接触させる段階と、
前記マイクロアレイに光を照射し、前記マイクロアレイから光を測定する段階と、
得られた光データから第1基準点標識及び第2基準点標識を特定し、特定された第1基準点及び第2基準点を基に、プローブ物質が固定された領域を特定する段階と、
前記特定されたプローブ物質が固定された領域から、光データを得る段階と、を含むマイクロアレイから光データを収集する方法。
【請求項22】
前記特定する段階において、前記第1基準点は、光度の低い程度で特定されることを特徴とする請求項21に記載のマイクロアレイから光データを収集する方法。
【請求項23】
前記特定する段階において、前記第2基準点は、光度の高い程度で特定されることを特徴とする請求項21または22に記載のマイクロアレイから光データを収集する方法。
【請求項24】
前記特定する段階において、前記第1基準点は、光度の低い程度で特定され、前記第2基準点は、光度の高い程度で特定され、前記第1基準点と第2基準点は、相対的位置を介して特定されることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載のマイクロアレイから光データを収集する方法。
【請求項25】
前記第2基準点標識は、2以上のピラーによって構成され、または、標的物質と強く相互作用する物質が結合されて構成されていることを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載のマイクロアレイから光データを収集する方法。
【請求項26】
請求項7〜18のいずれか1項に記載のマイクロアレイに、検出可能な標識で標識された標的核酸と、検出可能な標識で標識された標的物質とを含んだ試料とを反応させ、その反応産物から信号を得る段階と、
前記第1区分領域及び第2区分領域から得られる信号を基に、前記第3区分領域から得られる信号を区分する段階と、を含むマイクロアレイの信号を分析する方法。
【請求項27】
第1基準点標識とプローブ物質が固定化される領域とを含むマイクロアレイ用基板であって、前記第1基準点標識は、表面が疎水性を有しており、前記プローブ物質が固定化される領域の表面には、プローブ物質固定化化合物が固定されているマイクロアレイ用基板。
【請求項28】
前記第1基準点標識は、酸化膜を有する基板の前記酸化膜が除去された領域であることを特徴とする請求項27に記載の基板。
【請求項29】
前記酸化膜が除去された領域は、酸化膜が除去された基板自体の表面の領域、または前記表面に疎水性物質がコーティングされた領域であることを特徴とする請求項28に記載の基板。
【請求項30】
第2基準点標識をさらに含むことを特徴とする請求項27〜29のいずれか1項に記載の基板。
【請求項31】
前記第2基準点標識は、2以上のピラーによって構成され、または、標的物質と強く相互作用する物質が結合されて構成されていることを特徴とする請求項30に記載の基板。
【請求項32】
疎水性表面を有し、酸化膜が形成されている基板を提供する段階と、
前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、
前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、
前記フォトレジスト層を現像し、前記フォトレジスト層によって保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板の疎水性表面の領域を露出させる段階と、
前記疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、を含むマイクロアレイ用基板を製造する方法。
【請求項33】
前記エッチングは、疎水性物質を使用したドライエッチングによってなされることを特徴とすることを請求項32に記載のマイクロアレイ用基板を製造する方法。
【請求項34】
酸化膜を有する基板を提供する段階と、
前記酸化膜上にフォトレジストをコーティングする段階と、
前記フォトレジスト層を、マスクを介して露光する段階と、
前記フォトレジスト層を現像し、疎水性物質を使用したドライエッチングによって前記フォトレジスト層により保護されていない酸化膜をエッチングし、前記基板表面の領域を露出させる段階と、
前記形成された疎水性表面の領域を除外した前記基板上にプローブ固定化化合物を固定する段階と、を含むマイクロアレイ用基板を製造する方法。
【請求項35】
前記疎水性物質は、フルオロカーボンであることを特徴とする請求項34に記載のマイクロアレイ用基板を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−185876(P2010−185876A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27584(P2010−27584)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】