説明

マイクロストライプフィルム

主として第1の熱可塑性ポリマーから形成される第1組の領域と、主として第2の熱可塑性ポリマーから形成される第2組の領域を交互にサイドバイサイド方式で配置された少なくとも2組の領域を含む共押出しフィルム又はフィルム層が提供される。これらのサイドバイサイドポリマー領域は、一般に連続的に機械方向に延びる。フィルム又はフィルム層は、第1の面と第2の面とを有する。少なくとも片方の面には、第1の熱可塑性ポリマー領域の1つが、もう1つの(第2の熱可塑性ポリマー領域又は第3の熱可塑性ポリマー領域)熱可塑性ポリマー領域の隣接したレーンにまたがって第1の面上に第1の熱可塑性ポリマーの連続層を形成する。反対側の面が、少なくとも部分的に他方の熱可塑性ポリマーを含む。第1の熱可塑性ポリマーのこのブリッジング層は、相容化剤又は結束層(tie layer)を必要とせずに機械方向に対して横断方向にフィルム又はフィルム層の一体性を維持し、他方の熱可塑性ポリマー領域が第2の面上に露出することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる熱可塑性ポリマーの比較的に接近して間隔をあけたサイドバイサイドゾーンを有するフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性材料のサイドバイサイドゾーンを有するフィルムを記載するかなりの件数の特許が存在する。これらのフィルムは、一般にポリマー類の共押出成形によって形成されるとして記載されている。使用されるポリマー類が、それらがポリマー界面において強い固着を形成するように、密接に相容性であればこの方法についてなんらの問題もない。しかしながら、熱可塑性ポリマーの多数の異なる組み合わせが、相容性でないか若しくはほとんど相互の接着特性を有しない点において、共押出しの問題が起こる。もし熱可塑性ポリマーのこれらの組み合わせが、サイドバイサイド構成で共押出しされるならば、それらは多くの場合ポリマー界面において容易に分離することができ横断方向(押出し方向に対して横断する方向)においてフィルムを極めて弱いものにする。米国特許第6,211,483号及び第6,669,887号は、熱可塑性不弾性ポリマーとともにサイドバイサイド方式で共押出しされる熱可塑性エラストマーを記載している。これらの2つの異なる種類のポリマー間の付着強度を向上させるために、改良された相互付着特性を有する特殊なポリマー対が選択される。具体的には、テトラブロックSEPSEPが、エンドブロック補強樹脂とブレンドされるときにポリオレフィンに接着強度の向上を呈示するとして記載された。相容化剤がまた好ましくは使用される。
【0003】
サイドバイサイド共押出しはまた米国特許出願公開第2005/0060849 A1号に記載されている。この場合、接合強度の問題は直接には扱われていないが、検討を必要とする1つの問題として認識されている。この問題は、もし相溶性が問題であるならば、相溶化剤がポリマー(高分子)材料へ追加又は結束層が使用されるべきあり、若しくは不相溶性ポリマーのサイドバイサイド領域が担体基材上へ押し出されるべきであると記載され単に扱われている。後者の場合において担体基材は、サイドバイサイド層がそれらの相互の接合面において分離しないように維持する強度を提供する。
【0004】
米国特許第5,620,780号;第5,773,374号及び第5,429,856号は、弾性材料のコアが非弾性材料によって完全に取り囲まれている共押出しされた材料を記載している。分離が島又は連続ストライプ又はストランドの形態にある弾性体を備える非弾性材料の連続相によって防止され、相溶性の問題が存在するとしても、これは弾性及び非弾性特性を有するゾーンを形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性ポリマーのサイドバイサイド領域を有するフィルムを提供することが望ましく、これは化学修飾剤、追加の結束層又は支持体を必要とせずに直接に形成できる。具体的には、押出しダイ内に直接に形成でき且つポリマー界面において領域間剥離のほとんどない横断方向弾性を有する弾性及び非弾性材料の連続サイドバイサイド領域を有するフィルムを形成することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の共押出しフィルム又はフィルム層は、主として第1の熱可塑性ポリマーから形成される第1組の領域と、主として第2の熱可塑性ポリマーから形成される第2組の領域とが交互にサイドバイサイド方式に配置された、少なくとも2組の領域を含む。これらのサイドバイサイドポリマー領域は、一般に連続的に機械方向に延びる。このフィルム又はフィルム層は、第1の面と、第2の面とを有する。少なくとも片方面上で、第1の熱可塑性ポリマーの領域の片方が、もう1つの(第2の熱可塑性ポリマー領域又は第3の熱可塑性ポリマー領域)熱可塑性ポリマー領域の隣接したレーンにまたがって第1の面上に第1の熱可塑性ポリマーの連続層を形成する。この反対側の面は、他方の熱可塑性ポリマーを少なくとも部分的に含む。第1の熱可塑性ポリマーのブリッジング層は、相容化剤又は結束層を必要とせずに機械方向に対して横断方向にフィルム又はフィルム層の一体性を維持し、及び他方の熱可塑性ポリマー領域が第2の面上に露出されることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の共押出しフィルム(用語「フィルム」はまた、本明細書で使用する時、多層フィルムの中のフィルム層を言うことができる)を形成する方法に使用される押出し装置は、図1に概略的に示される。図1の押出し装置に使用されるダイ1は、図1aに示される。一般に、本発明のフィルムを形成するために使用される方法は、図2及び図3に示すダイインサート2のような、ダイインサート2を通って所定の流路Fに沿って初期多層溶融流(メルトストリーム)を第1に押し出す工程を含む。この所定の流路Fは、好ましくは一次元であり、且つ流路のある部分に沿って連続している。一次元とは、溶融流が直線のような、任意の一次元的線形タイプの形状となりうるが、それは湾曲線とすることもできるであろうし、この曲線がそれ自体交差でき、楕円形状又は円形状(例えば、環状ダイ)を形成できるであろうことを意味する。
【0008】
図1に示すように、溶融流は従来式押出機8及び9から放出され少なくとも1つのダイインサート2を有するダイ1を通り、ここでダイインサートは、プロファイル非直線入口開口部4を有し、流路が流路の中心線のいずれの側にも、一連のピーク(山谷)11及び12間に規則的に又は不規則的に波打つ。「非直線」とは、ダイインサート入口開口部4が、全体として矩形形状以外の形状にあることを意味するが、ただしダイ入口開口部では形状を直線とすることができるであろう。このダイインサート入口開口部4は、流入初期溶融流の少なくとも一部を断続し且つ所定の初期溶融流流路形状からダイインサート入口開口部4により画定される単一流路(又は複数流路)形状へこの断続された溶融流の一部の方向を変える。この断続された、方向を変えられた溶融流は、次いでダイインサート2においてダイインサート入口開口部4におけるプロファイル形状からダイインサート出口5までダイインサートによって画定される、全体として集束する流路へ集束する。ダイインサート出口5におけるこの集束された溶融流流路は、形状において元の所定の溶融流流路(例えば、矩形又は一次元)に類似させることができる。この方法に使用されるこのダイインサート2は、少なくとも部分的に横断方向に、初期溶融フローストリームの再分配を生じさせ、流入多層ポリマー溶融流のうちの1層以上のサイドバイサイド型再分配を形成する。ダイインサート出口における溶融流は、次いでフィルムなどのような、物品として押し出される。溶融流とは、ニュートン流体又は粘弾性流体のストリームがダイの出口において押し出され及び固形化できることを意味する。この材料は、溶融相にあってもよいし、そうでなくてもよい。
【0009】
上述の実施形態で示されたインサートは、ダイ内に配置された単独の要素である。このインサートはまた、それが記載された機構を有する限りそれが配置されるダイ及び/又はフィードブロックと一体形成できるであろう。用語インサートは、ダイ、フィードブロック若しくは別の構成要素内にあるかどうかに関係なく、プロファイル入口及び記載されたような他の機構を提供する任意の構造体を特定するために使用される。
【0010】
多層溶融流は、任意の従来の方法によって形成される。共押出しされた多層溶融流は、一般に実質的に一定の厚層の従来の多層フローストリームのような、構造化配置を有するが、ただし、この層の厚さは、ダイ及び又はフィードロックの設計及び/又はポリマーのレオロジー的差異に起因のいずれかで、規則的に又はランダムに変動する可能性がある。既知の多層押出しプロセスとしては、米国特許第5,501,675号;第5,462,708号;第5,354,597号及び第5,344,691号に開示されるプロセスが挙げられ、この内容が参照により本明細書に実質的に組み込まれている。これらの引用文献は、少なくとも1つの弾性層と、1つ又は2つの比較的に非弾性層とを有する多層エラストマー性積層体の様々な形態を教示している。多層フィルムはまた、しかしながら、これらの既知の多層共押出し技術を利用して、2つ以上の弾性層又は2つ以上の非弾性層、若しくはこれらの任意の組み合わせから形成できる。
【0011】
溶融流は、インサートプロファイルによりインサート入口において及びインサート内部で方向を変えられるか若しくは再分配され、その初期非線形又は非直線流路形態(所与の点における流路又はダイキャビティの横断面形状)から実質的により線形又は直線流路形態及び/又は初期の所定の物質(複数)流路に似ることができる流路形態へ集束する。先行溶融流の1つ以上の層を形成するポリマー(類)は、初期の所定の物質流路又は形態に対して少なくとも横断方向に再分配されるか又は方向を変えられる。この方向を変えられた流量は、インサート入口における溶融ストリーム流量の一部分の分裂又は断続によって少なくとも部分的に引き起こされる。この分裂された溶融流は、余り構造化されない形態でインサート内で流路に沿って集束し、これは、例えば、矩形インサート開口部など、初期の溶融流流路形態と類似することができ、1層の少なくとも一部又は初期溶融流の部分が、ダイインサート出口開口部から流出する押し出された材料又はフィルムの幅又は横断方向のように、異なるゾーン又は領域において異なる割合へ分割されている。インサートが、フィードブロックにより接近若しくはフィードブロック内に位置決めされる場合、ポリマー溶融流流路形態は、フィルム状構造体へ余り細長くされず且つ高さと幅の比率がより高い。これは結果的にインサートによって再分配されつつあるポリマー溶解物の比較的に大きなゾーンを生じる。インサートがダイ出口により接近している場合、流入ポリマー溶融流流路形態は高さと幅の比率がより小さいフィルム状形態へより細長くされる。この点におけるインサートは、流入ポリマー溶融フローストリームのより小さい部分を再分配するであろう。これらの2つのタイプのインサートは、組み合わされて同一溶融流上で大規模及び小規模両方のポリマー再分配を可能にする。
【0012】
インサート2は、図1aに示すような従来のダイ(コートハンガー(coat hanger)ダイのような)へ容易にはめ込むことができる。一般にインサート2は、図2及び図3に示すように第1及び第2の半分の6と7のように、ダイインサートが複数分解可能構成要素から形成される場合には、簡単に取り外し、取り替え、洗浄することができるこのダイインサートは、保守のために容易に切り離し、洗浄し、そして再び組み立てることができる。複数ダイ構成要素を使用してダイインサートを形成することはまた、より複雑なフローチャネル(流路)が、ワイヤ放電加工(electron discharge wire machining)のような、従来の方法によって形成されることを可能にする。二分割ダイインサートが示されているが、複分割ダイインサートも組み立てダイインサートにおいてより複雑なフローチャネル即ち流路が形成されることを可能にする。このダイインサートはまた、ダイの他の部品とともに全体的に又は部分的に形成することができる。ダイインサート内の流路は、しかしながら、好ましくはそれらがダイ内の流路の少なくとも一部において直線的に先細にするように、実質的に連続であり且つ集束する。
【0013】
インサート入口開口部(又はこれらの部分)はまた、インサート入口開口部の断面の外周と同等な矩形ダイインサート開口部(同一の長さL及び同一の平均幅寸法Pを有する開口部)との比率によって特徴づけることができる。本発明のインサート入口開口部の外周と同等矩形インサート入口開口部の外周との比率は、外周比率であり、これは1.1〜10若しくは1.1又は1.5又は2.3より大きくすることができるが、一般には8又は5未満である。より大きな外周又は外周比率を有する構造体は、より高度に構造化された開口部と考えられる。より高度に構造化された開口部であれば、多層又は多成分フローストリームのような、流入初期溶融フローストリームからの溶融流のより劇的な再分配が一般に存在する。これは、一般に所与の断続された流路に取って代わるより多くの流路に原因している。しかしながら、比較的に低いレベルの閉鎖範囲(例えば、ダイ開口部の無い領域x内の範囲)を有する極めて大きな外周比率であれば、極めて少ない溶解物がかなり再分配される。より多くの閉鎖範囲(低いパーセントの開放範囲)は、より高度に構造化された連続開口部又は不連続開口部と特に結合される場合に、流入溶融フローストリームの少なくとも幾つかの部分のより劇的な再分配につながる。
【0014】
一般に1層又は両層のある種の熱可塑性材料は、溶融フローストリーム内の所与の個所において、代替の流路を見つけることを強制される。高度に構造化された開口部であれば、2つのピーク(11及び12)によって境界をつけられた領域内に様々の独特な可能な流路が存在する。この熱可塑性材料は、平均的な流路から逸脱する多数の可能な流路が存在する場合により容易に分岐される。所与のインサート開口部にあっては、これは2004年12月30日に出願された、同時係属の出願第11/02616号に定義されるような流路偏移係数として定義され、これの全体が参照により組み込まれている。一般にこの偏移係数は、0.2より大きいか、又は0.5より大きく、最大で2又は3であるが、ただし、より高い偏移係数が可能である。より高い偏移係数であれば、上部境界線18と底部境界線19との間で離隔されるより多くの流路が存在する。ダイインサートの出口はまた、ある偏移係数を有することができるが、好ましくは対応する入口よりかなり下回る。一般に出口は、入口より少なくとも50パーセント少、又は80パーセント少の偏移係数を有する。この出口は、最大量の流量再分配を提供し且つ平坦なプロファイルフィルム又は溶融流を形成するために零の偏移係数を有することができる。
【0015】
一般に、インサートは入口開口部から実質連続したインサート出口開口部まで先細にする。その流路の幾つかの部分について外側に先細にするチャネル又はダイインサート入口と出口開口部との間で変化するテーパのような、インサート内の代替の先細チャネルがまた可能である。
【0016】
インサート入口開口部の開口面積は、一般にインサート出口開口部の開口面積より大きく、入口と出口開口部の比率は0.9〜10又は1〜5である。入口面積を出口面積より小さくすることは可能であるが、これはより大きな背圧及びより厚いフィルム構造体を形成させるであろう。
【0017】
上述したように、溶融流層は一般に入口開口部(出口幅zによって決定される)まで最短流路をたどり、これは最上の溶融流層については一般にピーク11になり、及び最低の溶融流層についてはピーク12となるであろう。一般に、ポリマー溶融流流量の任意の所与の部分であれば材料は入口4によって提供される最も接近した開口部へ流れる傾向になる。
【0018】
図4は本発明の方法によって形成されるサイドバイサイドフィルムを示す。この最上の溶融流層(図示せず)は、フィルム層109を形成し、これはダイ開口部のピーク11において再分配されて1組の領域109’を形成する。より低いポリマー溶融流層(図示せず)は、再分配して1組の領域108を形成する。この領域108及び109’は、フィルム層109の薄いブリッジングフィルム層109”ポリマー材料ブリッジング隣接領域109’とともにサイドバイサイド型配置になっている。領域109’間のブリッジングフィルム層109”は、それらが別の方法でサイドバイサイド型接合面107においてうまく結合されなくても、サイドバイサイド領域108及び109’の構造一体化を維持する。これは、ブリッジングフィルム109”が0.25ミクロンほども薄くても、正しい。このブリッジングフィルム109”及びフィルム領域109’は、連続していて且つフィルム層109の連続面105を形成する。反対側の面106は、フィルム層109及びポリマー領域108の両方から形成される。理想的にはブリッジングフィルム層109”の厚さは、0.25〜50ミクロン又は1.0〜10ミクロンとなり、及びフィルム総厚さは、15ミクロン〜500ミクロン又は50〜250ミクロンとすることができる。第1の及び第2の領域は、一般に0.1〜10mm幅又は1.0〜5mm幅とすることができる。
【0019】
このブリッジングフィルム層109”は、流量再分配プロセスにおいて形成される。サイドバイサイド領域を形成する最も外側の溶融流層の片方又は他方、若しくは両方が、(図2及び3中の最も接近したピーク(11又は12)のような)ダイインサートの片側上で最も接近した流路へ再分配せず、その代わりに(図2及び図3中の反対側ピーク11又は反対側ピーク12のような)ダイインサートの反対側へ再分配する。これは熱可塑性材料の溶融強度に原因すると考えられている。これは一般に極めて薄いブリッジングフィルムであり且つ大きな強度を有することはないであろう。しかしながら、この薄いブリッジング領域はおもいがけずサイドバイサイドフィルム構造体全体に対して、横断方向において、有意の強度をもたらす。
【0020】
一般に溶融層は、押出品の幅方向延伸部に沿って分割されるので2つの(又はそれ以上の)溶融流層の割合が押出品幅にわたって変動する。本発明の2層実施形態では、この変動は、材料の実質的に完全な分割が存在して少なくとも1つのフィルム層が隣接領域間で薄いブリッジングフィルムを形成するようなものである。3領域以上の溶融流層であれば、フィルム層の少なくとも1層は、一般に押出品の横方向にわたって厚さが変動しブリッジングフィルム層を形成する。厚さが変動するフィルム層は、一般に押出品の総厚の0〜90%を構成する。フィルム層のいずれもが、押出品の幅(x方向)にわたって任意の点で押出品の総厚の0〜100%を構成することができる。厚さが変動するこのフィルム層は、一般に最も厚い領域を最も薄い領域と比較して少なくとも10パーセント変動、若しくは別の選択肢として、少なくとも20パーセント又は少なくとも50パーセント変動する。この分割は、先行溶融流層の相対的な割合及びインサート4の開口部の形状により要求される。図2及び3に示すような、規則的に波打つ開口部を有するインサートであれば、分割は(溶融流にわたって材料の比較的に一定した等しい層厚を有する共押出しされた多層溶融流を想定して)結果的に図4又は図5に示すようなフィルムを生じる。図5は、図4のフィルム押出成形ないしは別の方法で不織布層へ積層されたものである。本発明のフィルムの利点は、不織布又は他の層が面106に結合できることにあり、これは異なるボンディング特性を備えた2つの異なる露出したポリマー領域を有する。例えば、この領域は1つの領域が不織布などへ、例えば、かさばったゾーン及び余りかさばっていないゾーン又は伸張可能なゾーン及び余り伸張可能でないゾーンを形成する隣接領域よりもより高度に結合できるようなものにすることができるであろう。
【0021】
図6はより大きな多層フィルム210の一環として本発明のサイドバイサイドフィルムを示す。3層溶融流(図示せず)の中間層が、ピーク12へ再分配して1組の領域209’を形成する。最下方のポリマー溶融流層(図示せず)はまたピーク12へ再分配して1組の領域208を形成する。最上のポリマー溶融流層(図示せず)は、ピーク11へ再分配して第3の組の領域211を形成する。これらの領域208、209’及び211は、フィルム層209の薄いブリッジング層209”とともにサイドバイサイド配置にあり、ポリマー材料が隣接した領域211をブリッジする。領域211間のこのブリッジングフィルム層209”は、サイドバイサイド接合面207及び207’の構造一体化を維持する。このフィルム層209は、2組の領域208及び211に対して2つの連続フィルム面205及び205’をそれぞれ形成する。面205に対向するフィルム面206は、フィルム層209及び領域208から形成される。205’の対向するフィルム面202は、フィルム層209及び領域211から形成される。図4の2層実施形態とは違って、薄いブリッジング層209”は、それが一体に維持し続けている領域208にまたがらず、むしろそれは第2の組の領域211にまたがって、これはブリッジング層209”と組み合わせて領域208が領域209’から分離しないように未然に防ぐ。領域211は、領域209’及びブリッジング領域209”によって一緒に維持されている。
【0022】
これから本発明の共押出しフィルムを製造できる好適なポリマー(高分子)材料としては、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンのような、ポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン類、ポリエチレンテレフタレートなどのようなポリエステル及びコポリマー及びこれらのブレンドを含む熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、この樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、又はそれらのブレンドである。非弾性層は、好ましくは半結晶質又は非晶質のポリマー又はブレンドで形成される。非弾性層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーなどのポリマーから主として形成されるポリオレフィン系であってよい。
【0023】
本発明の共押出しフィルムに使用できるエラストマー性ポリマー(高分子)材料としては、ABAブロックコポリマー類、ポリウレタン類、ポリオレフィンエラストマー類、ポリウレタンエラストマー類、メタロセンポリオレフィンエラストマー類、ポリアミドエラストマー類、エチレンビニルアセテートエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などが挙げられる。一般に、ABAブロックコポリマーエラストマーは、Aブロックがポリビニルアレーン、好ましくはポリスチレンであり、Bブロックが共役ジエン類、特に低級アルキレンジエンであるエラストマーである。Aブロックは、一般にモノアルキレンアレーン類、好ましくはスチレンの部位及び最も好ましくは4,000と50,000との間のブロック分子量分布を有する、スチレンから主として形成される。Bブロック(複数)は、一般に共役ジエン類から主として形成され、及び約5,000〜500,000の平均分子量を有し、Bブロック(複数)モノマー類は更に水素添加又は官能化できる。Aブロック及びBブロックは、従来、特に線状、放射状、又は星形の構成であり、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのAブロックと1つのBブロックとを含むが、好ましくは複数のA及び/又はBブロックを含み、これらのブロックは同種でも異種でもよい。この種の典型的なブロックコポリマーは、Aブロックが同種でも異種でもよい線状ABAブロックコポリマー、又は主として末端Aブロックを有するマルチブロック(4つ以上のブロックを有するブロックコポリマー)コポリマーである。これらのマルチブロックコポリマーは、ABジブロックコポリマーを特定の比率で含むこともできる。ABジブロックコポリマーは、粘着性のより高いエラストマー性フィルム層を形成する傾向がある。弾性フィルム材料のエラストマー性に悪影響を与えないのであれば、他のエラストマーをブロックコポリマーエラストマーとブレンドすることができる。Aブロックは、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、及び他の主要なアルキル化スチレン、ならびにそれらの混合物及びコポリマーから形成することもできる。Bブロックは、一般にイソプレン、1,3−ブタジエン又はエチレン−ブチレンモノマーから形成することができるが、しかし、好ましくはイソプレンまたは1,3−ブタジエンである。
【0024】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの層が弾性であり、少なくとも1つの非弾性層があり、サイドバイサイドの弾性及び非弾性領域を有するフィルム又はフィルム層を形成する。弾性又は非弾性領域の少なくとも片方が、ブリッジング層を形成する。これは、図4及び図5に示されるように、少なくとも片方面105が非弾性又は弾性材料の片方から全面的に形成され及び反対側の面106が他の材料から全体的に又は部分的に形成される、フィルムに複数のサイドバイサイド弾性又は非弾性領域を提供するであろう。これは、機械方向及び横断方向に安定したサイドバイサイド弾性フィルムを形成しつつフィルムが反対面上に異なるボンディング及び摩擦係数を有することを可能にする。本発明のサイドバイサイドフィルム実施形態は、少なくとも片面上に非弾性材料の優れたボンディング特性を有するフィルムを提供しつつ弾性材料の性能を最大にする。それはまた、横断方向に容易に弾性となり及び機械方向に非弾性となるフィルムを提供し、それが高速製造プロセス及び設備に使用されることを可能にし、これは機械方向に寸法的に安定したフィルムを要求する。しかしながら、機械方向に弾性フィルムを形成するためにフィルムは当該技術分野において既知の方法で機械方向に延伸活性化できるであろう。
【0025】
すべての実施形態を用いれば、サイドバイサイド層は弾性、柔軟性、硬度、剛性、曲げ加工性、粗さ、色彩、外観、模様などのようなフィルムの片方又は両方の方向に特定の機能的又は審美的な特性を実現するために使用できるであろう。
【0026】
本発明のフィルムは、任意の既知の押出成形又はフィルムプロセス又は製品に使用できるであろう。例えば、本発明のフィルムはエンボス、積層、配向、微細複製された(microreplicated)表面に対して注型、発泡、押出し積層できるであろうし、ないしは別の方法で押出成形されたフィルム又はフィルム層で既知であるように操作又は処理できるであろう。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
共押出しされたウェブは、図1に示すものとよく似た装置を用いて製造された。2台の押出機が、第1の「A」ポリプロピレン層と、第2の「B」弾性層とから成る2層押出品を製造するために使用された。この第1の層は、ポリプロピレンホモポリマー(テキサス州、ヒューストンのアトフィーナ・インコーポレーテッド(Atofina Inc.)の99% 3762、12 MFI)及び1%赤色ポリプロピレン系カラー濃縮(コンセントレート)で製造された。第2の弾性層は、70%のクラトン(KRATON)G1657 SEBSブロックコポリマー(テキサス州、ヒューストンのクラトンコポリマー・インコーポレーテッド(Kraton Polymers Inc.))及び30%のエンゲージ(Engage)8200超低密度ポリエチレン−ULDPE(ミズリー州、ミッドランドのダウケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.))のブレンドで製造された。3.81cm単独推進器押出機(70 RPMR)が、第1の層に3762ポリプロピレンを供給するために使用され、6.35cm単独推進器押出機(10RPM)が、第2の層にクラトン(KRATON)/ULDPEブレンドを供給するために使用された。両押出機のバレル温度特性は、215℃の供給ゾーンから漸増してバレルの末端における238℃までおおよそ同じであった。2台の押出機のA及びB溶融流は、ABC3層共押出しフィードブロック(テキサス州、オレンジのクローレン・カンパニー(Cloeren Co.))へ供給された。C層ポートは使用されなかった。フィードブロックが、図2〜3に示されるものと類似したダイリップを装備した20cmダイ上へ搭載された。フィードブロック及びダイは238℃に保った。ダイリップは、2つの連続チャネルセグメント間の角度が25度となるように機械加工された。パターンの波長は1.25mmである。パターンの振幅は0.5mmのダイギャップ設定において2.59mmである。ダイリップ厚さTは6.25mmである。パターンは、この厚さTにわたってプロファイルからフラットへ遷移する。ダイリップによって成形された後、押出品は焼き入れされ、水を約45℃に維持しつつ10メートル/分の速さで水槽を通して引き抜かれた。ウェブを風乾し、ロールとして収集した。その結果得られたウェブは、図4に示すように、押出品の幅にわたって2つの溶融流の分割の結果としてサイドバイサイド型構造体を有した。弾性層109は、隣接した弾性領域間にブリッジングフィルム109”を形成した。押し出しされたフィルムの坪量は114グラム/mであった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の材料に使用される押出し装置の概略図。
【図1a】図1の押出し装置に使用されるダイインサート付き押出しダイの概略図。
【図2】インサート出口から見た本発明に使用されるダイインサートの透視図。
【図3】ダイインサート入口から見た本発明に使用されるダイインサートの透視図。
【図4】本発明に従ったサイドバイサイド2層共押出しフィルムの横断面図。
【図5】本発明に従った、図4のサイドバイサイド共押出しフィルムと取り付けられた不織布層の横断面図。
【図6】本発明の別の実施形態に従った、サイドバイサイド3層共押出しフィルムの横断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として第1の熱可塑性ポリマーから形成される第1組の領域と、主として第2の熱可塑性ポリマーから形成される少なくとも第2組の領域を交互にサイドバイサイド方式で配置された少なくとも2組の領域を備える共押出しフィルムであって、該フィルムの前記2組の領域が第1の面と第2の面とを有し、前記第1の熱可塑性ポリマーの少なくとも2つの隣接した領域が、もう一つの熱可塑性ポリマー領域のサイドバイサイド領域によって分離され、前記第1の熱可塑性ポリマーのこれらの少なくとも2つの隣接した領域が、他方の熱可塑性ポリマー領域で前記第1の面上において前記第1の熱可塑性ポリマーの連続層を形成する、他方の熱可塑性ポリマー領域にまたがる薄いブリッジング層の形態にあり、反対側の前記第2の面が少なくとも部分的に他方の熱可塑性ポリマーを含む、共押出しフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、2つの領域を備え且つ前記他方の熱可塑性ポリマー領域が前記第2の熱可塑性領域である、請求項1に記載の共押出しフィルム。
【請求項3】
前記フィルムが、3層以上のフィルムであり、前記他方の熱可塑性ポリマー領域が第3組の領域である、請求項1に記載の共押出しフィルム。
【請求項4】
前記第1のポリマーが、前記第2のポリマー領域にまたがり、前記薄いブリッジング層を形成している、請求項3に記載の共押出しフィルム。
【請求項5】
前記第1の熱可塑性ポリマーが、熱可塑性エラストマーである、請求項1に記載の共押出しフィルム。
【請求項6】
前記他方の熱可塑性ポリマーが非弾性であり且つ前記第2の熱可塑性ポリマーがエラストマーである、請求項5に記載の共押出しフィルム。
【請求項7】
前記第1の熱可塑性ポリマーが非弾性であり且つ前記第2の熱可塑性ポリマーがエラストマーである、請求項2に記載の共押出しフィルム。
【請求項8】
前記第1及び第2の領域が、前記フィルムの長さに沿って実質的に連続している、請求項2に記載の共押出しフィルム。
【請求項9】
前記第1及び第2の領域が、幅0.1〜10mmである、請求項2に記載の共押出しフィルム。
【請求項10】
前記第1及び第2の領域が、幅1.0〜5mmである、請求項8に記載の共押出しフィルム。
【請求項11】
前記ブリッジング層の厚さが、0.5〜50ミクロンである、請求項8に記載の共押出しフィルム。
【請求項12】
前記ブリッジング層の厚さが、1.0〜10ミクロンである、請求項8に記載の共押出しフィルム。
【請求項13】
前記フィルムの総厚が、15〜500ミクロンである、請求項2に記載の共押出しフィルム。
【請求項14】
前記フィルムの総厚が、50〜250ミクロンである、請求項13に記載の共押出しフィルム。
【請求項15】
前記第1及び第2の面が、外側面である、請求項2に記載の共押出しフィルム。
【請求項16】
前記第1又は第2の面が、第3の熱可塑性ポリマーで全体的に又は部分的に覆われた内側面である、請求項3に記載の共押出しフィルム。
【請求項17】
前記第3の熱可塑性ポリマーが、連続フィルム層である、請求項16に記載の共押出しフィルム。
【請求項18】
前記第3の熱可塑性ポリマーが、不連続層である、請求項16に記載の共押出しフィルム。
【請求項19】
不織布材料に積層された、請求項1に記載の共押出しフィルム。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−522132(P2009−522132A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548527(P2008−548527)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/046334
【国際公開番号】WO2007/078518
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】