説明

マイクロバルブの流量調節方法

【課題】 本発明は、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を逆流することなく、一方向のみに輸送するマイクロバルブの流量調節方法を提供する。
【解決手段】 流体排出用の開口部と、下壁に形成されている流体注入用の開口部を有するバルブ室内に、少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が、常に流体注入用の開口部を覆うように収納されているマイクロバルブの上壁をピエゾ素子で押圧することにより弁体を下壁方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とするマイクロバルブの流量調節方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ全分析システムにおいて、微細流路内の流体を逆流することなく、一方向のみに輸送するマイクロバルブの流量調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、医療診断を患者の近傍で行うベッドサイド診断、大気や水や土壌中の環境汚染材料のモニタリング、食品の安全性検査等現場において短時間に安価に診断したり分析する技術のニーズは非常に高くなってきている。
【0003】
例えば、従来、高価且つ大型の装置を必要とした分析を、持ち運び可能な小型の分析装置が代替できれば、大病院にしか設置できなかった分析装置を開業医でも設置、利用することが可能になり、診断結果を患者に簡便に早期にフィードバックすることが可能になる。
【0004】
又、高齢者の健康指標を高齢者の家族が測定し、その健康指標数値を在宅管理したり、病院に定期的に送信して病院で管理することにより、在宅医療環境がより優れたものとなる。
【0005】
又、環境ホルモン、ダイオキシン等の環境汚染材料を、高価且つ大型装置を使用することなく、簡易測定することができれば、簡単且つ安価に環境診断することができる。更に、持ち運び可能な小型の分析装置を用いて現場で環境汚染材料を分析することができれば、よりきめ細かい安全環境を供出することができる。
【0006】
このような測定を簡易に行うために、基板内又は基板上に微細流路、輸液ディバイス、反応槽、電気泳動カラム、膜分離機構、流体クロマトグラフカラム、キャピラリーガスクロマトグラフィー(CGC)、誘導型プラズマ(ICP)、質量分析計(MS)、電気化学的測定装置等が内臓されたマイクロ全分析システムの研究が盛んになされており、微細流路の開閉や流量調整のためのマイクロバルブの研究も盛んになされている。
【0007】
例えば、表面に溝を有する部材(A)の溝が形成された面に、0.5〜500μmの厚みを有する部材(B)が接着され、部材(A)の溝と部材(B)とで幅1〜1000μm、高さ1〜1000μmの毛細管状の流路が形成され、該流路の途上に、幅が毛細管状の流路幅の0.5〜100倍で、該空隙部の最大高さ/最大幅の比が1以下である空隙部が形成されたマイクロ流体デバイスであって、(i)部材(A)の少なくとも空隙部周辺部が引張弾性率0.1MPa以上、700MPa未満の範囲にある素材で形成され、(ii)部材(B)の少なくとも空隙部周辺部が、引張弾性率0.7〜10GPaの範囲にある素材で形成され、かつ厚みが0.5〜500μmである、マイクロ流体デバイスの該空隙部を、部材(B)側から選択的に圧迫することにより、マイクロ流体デバイス内の空隙部の断面積を可逆的に減少させて、空隙部を通過する流体流量を調節するマイクロ流体デバイスの流量調節方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【特許文献1】特開2002−219697号公報
【0008】
上記マイクロ流体デバイスの流量調節方法においては、マイクロ流体デバイスの外部からマイクロ流体デバイス内の空隙部に機械的圧力を付加し、空隙部の断面積を可逆的に減少させて、空隙部を通過する流体流量を調節する。
【0009】
しかしながら、上記流量調節方法では、空隙部が設計通りに変形しない場合、例えば、
量産時の材料強度のばらつきや空隙部の形成不良などの場合、弁が閉じなくなる問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を逆流することなく、一方向のみに輸送するマイクロバルブの流量調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法は、流体排出用の開口部と、下壁に形成されている流体注入用の開口部を有するバルブ室内に、少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が、常に流体注入用の開口部を覆うように収納されているマイクロバルブの上壁をピエゾ素子で押圧することにより弁体を下壁方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする。
【0012】
請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図1は請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す断面図であり、図2は平面図である。
【0013】
図中1はマイクロ全分析システムであり、マイクロ全分析システム1内に平面視長方形のバルブ室2が形成されている。バルブ室2の下壁21の略中心付近に流体注入用の開口部4が形成され、マイクロ全分析システム1の外部あるいはマイクロ全分析システムのその他の部分から連通されている。
【0014】
バルブ室2内には、一端(図1において右側の端部)がバルブ室2の端部に固定され、他端部(図1において左側の端部)が遊端となされている長方形の板状の弁体3が流体注入用の開口部4を覆うように収納されている。
【0015】
尚、弁体3の厚さは、流体注入用の開口部4から流体が注入された際に弁体3の遊端が浮かないとバルブ室2内に流体が注入できないので、バルブ室2の深さより薄くなされている。
【0016】
又、流体注入用の開口部4及び弁体3の上方のマイクロ全分析システム1には、ピエゾ素子6が設置されており、ピエゾ素子6でバルブ室2の上壁22を下壁21方向に押圧するすることにより、弁体3を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖することができるようになされている。
【0017】
尚、図1においては、マイクロ全分析システム1のピエゾ素子6を設置するべき位置にピエゾ素子設置用の穴が穿設されており、該穴にピエゾ素子6が嵌合されて設置されている。
【0018】
又、5はバルブ室2の下壁21の弁体3が存在しない位置に設けられた流体排出用の開口部5であり、マイクロ全分析システム1の外部あるいはマイクロ全分析システムのその他の部分に連通されている。
【0019】
従って、流体注入用の開口部4から流体を注入すると、弁体3の遊端が浮上して流体はバルブ室2に注入され、流体排出用の開口部5から排出される。流体注入用の開口部4からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子6を作動させ、上壁22を押圧することにより、弁体3を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖することにより
行う。ピエゾ素子6を作動させることにより、流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、又、流体が逆流することがない。
【0020】
上記バルブ室2及び弁体3の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、長円形等が挙げられる。又、流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5の形状も、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、長円形等が挙げられ、流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5の直径は微細なので、レーザー加工、マシニング等の微細加工や各種精密成型技術で形成するのが好ましく、従って断面形状は円形が好ましい。
【0021】
尚、流体排出用の開口部5はバルブ室2の上壁22又は側壁に設けられてもよい。又、流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5は、マイクロ全分析システム1内の微細流路に接続されてよいことは言うまでもない。
【0022】
マイクロ全分析システムは、一般に、板状基板やスペーサーを積層し、板状基板の間に微細流路、マイクロバルブ、反応槽、測定槽等を形成することにより製造されており、本発明で使用されるマイクロバルブも板状基板やスペーサーを積層することにより製造されるのが好ましい。
【0023】
即ち、請求項2記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が固定されている第2のスペーサー並びに流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0024】
請求項2記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図3は請求項2記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0025】
図中7は、バルブ室用の貫通孔a23のふたをする第1の板状基板であり、ピエゾ素子設置用の穴61が穿設されている。8は、第1の板状基板7より薄く、略長方形のバルブ室用の貫通孔a23が打抜かれている第1のスペーサーである。
【0026】
9は、第1の板状基板7より薄く、1端部が遊端である板状の弁体3を残して、略長方形のバルブ室用の貫通孔b24が打抜かれている第2のスペーサーであり、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24は同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされるように打抜かれている。
【0027】
10は略円形の流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板10と第2のスペーサー9を積層すると、流体注入用の開口部4は弁体3の下に位置し、流体排出用の開口部5はバルブ室用の貫通孔b24に連通するように打抜かれている。
【0028】
第1の板状基板7、第1のスペーサー8、第2のスペーサー9及び第2の板状基板10
をこの順に積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ねあわされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれてバルブ室2が形成されると共に、バルブ室2内に1端部が遊端である板状の弁体3が固定される。
【0029】
又、ピエゾ素子設置用の穴61、弁体3及び流体注入用の開口部4が略一直線になるように積層される。従って、第2の板状基板10の流体注入用の開口部4からバルブ室2を通過して第2の板状基板10の流体排出用の開口部5にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。
【0030】
流体注入用の開口部4からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子6をピエゾ素子設置用の穴61に設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、弁体3を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖すればよい。ピエゾ素子4を作動させることにより、流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0031】
請求項3記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が固定されている第2のスペーサー及び流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のスペーサー及び/又は第2のスペーサーに、該スペーサーのバルブ室用の貫通孔a及び/又はbから側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0032】
請求項3記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図4は請求項3記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0033】
図中7は、バルブ室用の貫通孔a23及び流体排出用の貫通孔51のふたをする第1の板状基板であり、ピエゾ素子設置用の穴61が穿設されている。8は、第1の板状基板7より薄く、略長方形のバルブ室用の貫通孔a23及びバルブ室用の貫通孔a23の端部から外部に連通する流体排出用の貫通孔51が打抜かれている第1のスペーサーである。
【0034】
9は、第1の板状基板より薄く、1端部が遊端である板状の弁体3を残して、略長方形のバルブ室用の貫通孔b24及びバルブ室用の貫通孔b24の端部から外部に連通する流体排出用の貫通孔52が打抜かれている第2のスペーサーである。
【0035】
バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24は同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされるように打抜かれている。又、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52も同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52が重ね合わされるように打抜かれている。更に、第1の板状基板7と第2のスペーサー9を積層すると、ピエゾ素子設置用の穴61と弁体3が略一直線になるように打抜かれている。
【0036】
10は略円形の流体注入用の開口部4が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板10と第2のスペーサー9を積層すると、流体注入用の開口部4は弁体3の下に
位置するように打抜かれている。
【0037】
第1の板状基板7、第1のスペーサー8、第2のスペーサー9及び第2の板状基板10をこの順に積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれてバルブ室2が形成されると共に、バルブ室2内に1端部が遊端である板状の弁体3が固定される。更に、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52が重ね合わされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれて、流体排出用の開口部5が形成される。
【0038】
又、ピエゾ素子設置用の穴61、弁体3及び流体注入用の開口部4が略一直線になるように積層される。従って、第2の板状基板10の流体注入用の開口部4からバルブ室2を通過して流体排出用の開口部にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。
【0039】
又、流体注入用の開口部4からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子6をピエゾ素子設置用の穴61に設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、弁体3を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖すればよい。ピエゾ素子4を作動させることにより、流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0040】
請求項4記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が複数固定されている第2のスペーサー並びに該弁体と同数の流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部とがそれぞれ略一直線になるように複数のピエゾ素子を設置し、各ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより各弁体を第2の板状基板方向に押圧し、各流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0041】
請求項4記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図5は請求項4記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0042】
図中7は、バルブ室用貫通孔a23のふたをする第1の板状基板であり、2個のピエゾ素子設置用の穴61、62が穿設されている。8は、第1の板状基板7より薄く、略長方形のバルブ室用の貫通孔a23が打抜かれている第1のスペーサーである。
【0043】
9は、第1の板状基板7より薄く、1端部が遊端である板状の弁体31及び32を残して、略長方形のバルブ室用の貫通孔b24が打抜かれている第2のスペーサーであり、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24は同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされるように打抜かれている。
【0044】
又、第1の板状基板7と第2のスペーサー9を積層すると、ピエゾ素子設置用の穴61と弁体31が略一直線になり、ピエゾ素子設置用の穴62と弁体32が略一直線になるように打抜かれている。
【0045】
10は、略円形の流体注入用の開口部41、42及び流体排出用の開口部5が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板10と第2のスペーサー9を積層すると、
流体注入用の開口部41は弁体31の下に位置し、流体注入用の開口部42は弁体32の下に位置し、流体排出用の開口部5はバルブ室用の貫通孔b24に連通するように打抜かれている。
【0046】
第1の板状基板7、第1のスペーサー8、第2のスペーサー9及び第2の板状基板10をこの順に積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれてバルブ室2が形成されると共に、バルブ室2内に1端部が遊端である板状の弁体31及び32が固定される。
【0047】
又、ピエゾ素子設置用の穴61、弁体31及び流体注入用の開口部41が略一直線になり、ピエゾ素子設置用の穴62、弁体32及び流体注入用の開口部42が略一直線になるように積層され、第2の板状基板10の流体注入用の開口部41からバルブ室2を通過して第2の板状基板10の流体排出用の開口部5にむけて流体が流れると共に第2の板状基板10の流体注入用の開口部42からバルブ室2を通過して第2の板状基板10の流体排出用の開口部5にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。従って、流体注入用の開口部41と流体注入用の開口部42を異なる流体源に接続することにより、異なる流体を能動的、選択的に流通させることができる。また、2つ以上の開口部を同時に開くことにより、2液以上を簡便に混合すると共に混合比を変えて供給することもできる。
【0048】
又、流体注入用の開口部41又は/及び42からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子をピエゾ素子設置用の穴61又は/及び62に設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、弁体31又は/及び32を流体注入用の開口部41又は/及び42に押圧し、流体注入用の開口部41又は/及び42を閉鎖すればよい。
【0049】
ピエゾ素子設置用の穴61又は/及び62に設置されたピエゾ素子を作動させることにより、流体注入用の開口部41又は/及び42を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0050】
請求項5記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が複数固定されている第2のスペーサー及び該弁体と同数の流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のスペーサー及び/又は第2のスペーサーに、該スペーサーのバルブ室用の貫通孔a及び/又はbから側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部とがそれぞれ略一直線になるように複数のピエゾ素子を設置し、各ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより各弁体を第2の板状基板方向に押圧し、各流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0051】
請求項5記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図6は請求項5記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0052】
図中7は、バルブ室用の貫通孔a23及び流体排出用の貫通孔51のふたをする第1の板状基板であり、3個のピエゾ素子設置用の穴61、62、63が穿設されている。8は、第1の板状基板7より薄く、略長方形のバルブ室用の貫通孔a23及びバルブ室用の貫通孔a23の端部から外部に連通する流体排出用の貫通孔51が打抜かれている第1のスペーサーである。
【0053】
9は、第1の板状基板7より薄く、1端部が遊端である板状の弁体31、32、33を残して、略長方形のバルブ室用の貫通孔b24及びバルブ室用の貫通孔b24の端部から外部に連通する流体排出用の貫通孔52が打抜かれている第2のスペーサーである。
【0054】
バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24は同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされるように打抜かれている。
【0055】
又、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52も同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52が重ね合わされるように打抜かれている。
【0056】
更に、第1の板状基板7と第2のスペーサー9を積層すると、ピエゾ素子設置用の穴61と弁体31、ピエゾ素子設置用の穴62と弁体32及びピエゾ素子設置用の穴63と弁体33がそれぞれ一直線になるように打抜かれている。
【0057】
10は、略円形の流体注入用の開口部41、42、43が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板10と第2のスペーサー9を積層すると、流体注入用の開口部41と弁体31、流体注入用の開口部42と弁体32及び流体注入用の開口部43と弁体33がそれぞれ一直線になるように打抜かれている。
【0058】
第1の板状基板7、第1のスペーサー8、第2のスペーサー9及び第2の板状基板10をこの順に積層すると、バルブ室用の貫通孔a23とバルブ室用の貫通孔b24が重ね合わされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれてバルブ室2が形成されると共に、バルブ室2内に1端部が遊端である板状の弁体31、32、33が固定される。更に、流体排出用の貫通孔51と流体排出用の貫通孔52が重ね合わされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれて、流体排出用の開口部5が形成される。
【0059】
又、ピエゾ素子設置用の穴61と弁体31と流体注入用の開口部41、ピエゾ素子設置用の穴62と弁体32と流体注入用の開口部42及びピエゾ素子設置用の穴63と弁体33と流体注入用の開口部43がそれぞれ略一直線になるように積層される。
【0060】
従って、第2の板状基板10の流体注入用の開口部41、42、43からバルブ室2を通過して第1のスペーサー8及び第2のスペーサー9の流体排出用の開口部にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。流体注入用の開口部41と流体注入用の開口部42と流体注入用の開口部43をそれぞれ異なる流体源に接続することにより、異なる流体を混合すると共に混合比を変えて供給することができる。
【0061】
又、流体注入用の開口部41、42又は/及び43からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子設置用の穴61、62又は/及び63にピエゾ素子を設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、弁体31、32又は/及び33を流体注入用の開口部41、42又は/及び43に押圧し、流体注入用の開口部41、42又は/及び43を閉鎖すればよい。
【0062】
ピエゾ素子を作動させることにより、流体注入用の開口部41、42又は/及び43を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0063】
上記弁体3、31、32、33は、第2のスペーサー9を打抜くことにより形成されているが、別途弁体を作成し、その一端をバルブ室2内に固定してもよい。弁体が常に流体
注入用の開口部4、41、42、43上に存在するのであれば固定されている必要はなく、浮遊弁体であってもい。
【0064】
請求項7記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、狭隘部を介して第1のバルブ室と第2のバルブ室が接続されているバルブ室用の貫通孔が打抜かれているスペーサー及び流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、第1のバルブ室及び流体注入用の開口部が略一直線になり、第2のバルブ室及び流体排出用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のバルブ室に常に流体注入用の開口部を覆い、狭隘部を通過しない大きさであって、スペーサーの厚さより薄い浮遊弁体が収納されているマイクロバルブの第1の板状基板に、第1のバルブ室用の貫通孔、浮遊弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより浮遊弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0065】
請求項7記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図7は請求項7記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0066】
図中7は、第1のバルブ室用の貫通孔25及び第2のバルブ室用の貫通孔26のふたをする第1の板状基板であり、ピエゾ素子設置用穴61が穿設されている。8は、第1の板状基板7より薄く、略円形の第1のバルブ室用の貫通孔25及び第2のバルブ室用の貫通孔26が打抜かれている第1のスペーサーである。略円形のバルブ室用の貫通孔25と第2のバルブ室用の貫通孔26は狭隘部27を介して接続されている。
【0067】
9は、第1の板状基板7より薄く、狭隘部27を介して接続されている略円形の第1のバルブ室用の貫通孔28及び第2のバルブ室用の貫通孔29が打抜かれている第2のスペーサーであり、第1のバルブ室用の貫通孔25と第1のバルブ室用の貫通孔28は同一の大きさであり、第2のバルブ室用の貫通孔26と第2のバルブ室用の貫通孔29は同一の大きさであり、第1のスペーサー8と第2のスペーサー9を積層すると、第1のバルブ室用の貫通孔25と第1のバルブ室用の貫通孔28が重ね合わされ第1のバルブ室が形成され、第2のバルブ室用の貫通孔26と第2のバルブ室用の貫通孔28が重ね合わされ第2のバルブ室が形成されるように打抜かれている。
【0068】
34は、第2のスペーサー9と略同一厚さであり、第1のバルブ室用の貫通孔28より若干小さい略円形の浮遊弁体である。10は略円形の流体注入用の開口部4及び流体排出用の開口部5が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板と第2のスペーサー9を積層すると、流体注入用の開口部4は第1のバルブ室用の貫通孔28の略中央に位置し、流体排出用の開口部5は第2のバルブ室用の貫通孔29に連通するように打抜かれている。
【0069】
第1の板状基板7、第1のスペーサー8、第2のスペーサー9及び第2の板状基板10をこの順に積層すると、第1のバルブ室用の貫通孔25と第1のバルブ室用の貫通孔28及び第2のバルブ室用の貫通孔26と第2のバルブ室用の貫通孔29が重ねあわされ、第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれて第1のバルブ室と第2のバルブ室が形成される。
【0070】
第1のバルブ室に浮遊弁体34を収納すると、ピエゾ素子設置用穴61、浮遊弁体34及び流体注入用の開口部4が略一直線になるように積層される。従って、第2の板状基板10の流体注入用の開口部4から第1バルブ室及び第2バルブ室を通過して第2の板状基
板10の流体排出用の開口部5にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。
【0071】
尚、浮遊弁体34は常に流体注入用の開口部を覆っている必要があるので、円形の場合、流体注入用の開口部4を第1のバルブ室の略中央に形成し、浮遊弁体34の直径を、第1のバルブ室の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計値より大きく且つ第1のバルブ室の直径より小さくするのが好ましい。又、狭隘部27の幅は、浮遊弁体34が通過しないように浮遊弁体34の直径より小さくすればよい。
【0072】
流体注入用の開口部4からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子設置用穴61にピエゾ素子6を設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、浮遊弁体34を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖すればよい。ピエゾ素子を作動させることにより、流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0073】
請求項8記載のマイクロバルブの流量調節方法は、第1の板状基板、狭隘部を介して第1のバルブ室と第2のバルブ室が接続されているバルブ室用の貫通孔が打抜かれているスペーサー及び流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、第1のバルブ室及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、該スペーサーに第2のバルブ室からスペーサーの側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれ、第1のバルブ室に常に流体注入用の開口部を覆い、狭隘部を通過しない大きさであって、スペーサーの厚さより薄い浮遊弁体が収納されているマイクロバルブの第1の板状基板に、第1のバルブ室用の貫通孔、浮遊弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより浮遊弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法である。
【0074】
請求項8記載のマイクロバルブの流量調節方法を図面を参照して説明する。図8は請求項8記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【0075】
図中7は、第1のバルブ室用の貫通孔25、第2のバルブ室用の貫通孔26及び流体排出用の貫通孔53のふたをする第1の板状基板であり、ピエゾ素子設置用の穴61が穿設されている。
【0076】
81は、第1の板状基板7より薄く、略円形の第1のバルブ室用の貫通孔25、第2のバルブ室用の貫通孔26及び第2のバルブ室からスペーサーの側壁に連通する流体排出用の貫通孔53が打抜かれが打抜かれているスペーサーである。略円形のバルブ室用の貫通孔25と第2のバルブ室用の貫通孔26は狭隘部27を介して接続されている。
【0077】
34は、スペーサー81の厚さの略半分の厚さであり、第1のバルブ室用の貫通孔25より若干小さい略円形の浮遊弁体である。10は略円形の流体注入用の開口部4が打抜かれている第2の板状基板であり、第2の板状基板10と第1のスペーサー8を積層すると、流体注入用の開口部4は第1のバルブ室用の貫通孔25の略中央に位置するように打抜かれている。
【0078】
第1の板状基板7、スペーサー81及び第2の板状基板10をこの順に積層すると、第1のバルブ室用の貫通孔25、第2のバルブ室用の貫通孔28及び流体排出用の貫通孔53は第1の板状基板7と第2の板状基板10で囲まれて第1のバルブ室、第2のバルブ室及び流体排出用の開口部5が形成される。
【0079】
第1のバルブ室に浮遊弁体34を収納すると、ピエゾ素子設置用の穴61、浮遊弁体34及び流体注入用の開口部4が略一直線になるように積層される。従って、第2の板状基板10の流体注入用の開口部4から第1バルブ室及び第2バルブ室を通過して流体排出用の開口部5にむけて流体が流れるマイクロバルブが形成される。
【0080】
尚、浮遊弁体34は常に流体注入用の開口部を覆っている必要があるので、円形の場合、流体注入用の開口部4を第1のバルブ室の略中央に形成し、浮遊弁体34の直径を、第1のバルブ室の半径と流体注入用の開口部4の半径の合計値より大きく且つ第1のバルブ室の直径より小さくすればよい。又、狭隘部27の幅は、浮遊弁体34が通過しないように浮遊弁体34の直径より小さくすればよい。
【0081】
流体注入用の開口部4からの流体の注入を止めるには、ピエゾ素子設置用の穴61にピエゾ素子を設置し、作動させ、第1の板状基板7を押圧することにより、浮遊弁体34を流体注入用の開口部4に押圧し、流体注入用の開口部4を閉鎖すればよい。ピエゾ素子を作動させることにより、流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるのであるから必要なときに確実に流体の注入を止めることができ、逆流することもない。
【0082】
上記実施例においては、第1の板状基板にピエゾ素子設置用の穴を穿設して、ピエゾ素子の設置位置を特定し、確実に弁体又は浮遊弁体を液体注入用開口部に押圧しているが、ピエゾ素子の圧力を拡大して確実に弁体又は浮遊弁体に伝達できるように圧力伝達部材を使用してもよい。
【0083】
圧力伝達部材の形状は、圧力伝達部材の形状は、特に問わない。しかし圧力伝達部材が、第1の基板と接触する部分の表面積は、流体注入用の開口部の面積と同等程度以上であることが好ましい。また、ピエゾ素子と接触する部分の表面積は、ピエゾ素子の駆動部の表面積より大きいことが好ましい。このような形状の例としては、略釘型、略三角錘型(断面形状としては、T字型のものや台形)、一端部の面積が最も広く、他端部方向に次第に面積が狭くなっている筒状型などが挙げられる。又、位置決めが簡便かつ確実にできるように、第3の基板に嵌合されていても良い。
【0084】
そして、第3の基板を第1の基板に積層し、ピエゾ素子で圧力伝達部材を押圧することにより、圧力伝達部材の先端部で第1の板状基板を押圧するのが好ましい。
【0085】
図9は、圧力伝達部材が嵌合されている第3の基板の一例を示す断面図である。図中11は第3の板状基板であり、圧力伝達部材12が嵌合されている。圧力伝達部材12は一端部の面積が最も広く、他端部方向に次第に面積が狭くなっている筒状である。尚、圧力伝達部材12は第3の板状基板に穿設された貫通孔に摺動自在に嵌合されていてもよいし、動かないように固定して嵌合されていてもよい。
【0086】
ピエゾ素子で弁体又は浮遊弁体を押圧して流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めるには、上記第3の基板11を圧力伝達部材12の他端部14が弁体又は浮遊弁体の上方に位置するように、第1の基板に積層し、ピエゾ素子を作動させて圧力伝達部材12の一端部13を押圧し、圧力伝達部材12を下方に摺動させるか第3の基板を下方に変形して、第1の基板を押圧することにより、弁体又は浮遊弁体を押圧して流体注入用の開口部4を閉鎖して流体の注入を止めればよい。
【0087】
上記板状基板、スペーサー及び(浮遊)弁体の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、従来から使用されている、ガラス、石英、シリコン等の無機材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0088】
上記無機材料は精度、加工性等が優れており、例えば、半導体微細加工技術において広く用いられている光リソグラフィー技術を利用すれば、ガラスやシリコン基板上にミクロンオーダーの溝や貫通孔を自在に形成することができる。
【0089】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、耐酸性、耐アルカリ性を有する熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリアクリル系樹脂が好ましい。
【0090】
又、熱硬化性樹脂は、前駆体が液状のため、転写金型の形状をより忠実に転写するという利点があり、低い線膨張率、低い成形収縮率を示すので有利に用いることができる。このような熱硬化樹脂としては、コストや易取扱い性の点から、エポキシ樹脂を有利に用いることができる。
【0091】
上記板状基板の大きさは特に限定されるものではないが、大きくなるとマイクロ全分析システムとしてのハンドリング性が低下するので400cm2 以下が好ましく、厚さは0.01〜10mmが好ましい。又、第1の基板及び第2の基板を厚くして強度を持たせ、スペーサーを薄いフィルムで形成してもよく、スペーサーの厚さは1〜100μmが好ましい。
【0092】
上記流体注入用の開口部4、流体排出用の開口部5等の断面積も特に限定されるものではないが、狭くなるとつまり易くなり製造が困難になり、広くなると測定試料が多量に必要になるので0.01μm2 〜3mm2 が好ましい。
【0093】
又、バルブ室の大きさも特に限定されるものではないが、小さくなるとバルブ性能が低下し、大きくなると測定試料が多量に必要になるので1μm3 〜3mm3 が好ましい。
【発明の効果】
【0094】
本発明のマイクロバルブの流量調節方法構成は上述の通りであり、マイクロ全分析システムに容易に組み込むことができる簡単な構造で、微細流路内の流体を一方向のみに輸送し、逆流することがない。
【0095】
又、ピエゾ素子で弁体又は浮遊弁体を液体注入用開口部に押圧するのであるから、少しのエネルギー強固に押圧することができ、確実に止水することができる。又、圧力伝達部材を介在してピエゾ素子で弁体又は浮遊弁体を液体注入用開口部に押圧することにより、より少しのエネルギーでより強固に押圧することができ、より確実に止水することができる。更に、ピエゾ素子及び弁体を複数設置することにより異なる流体を混合すると共に混合比を変えて供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図2】請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す平面図である。
【図3】請求項2記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図4】請求項3記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図5】請求項4記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図6】請求項5記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図7】請求項7記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図8】請求項8記載のマイクロバルブの流量調節方法で使用されるマイクロバルブの一例を示す分解図である。
【図9】圧力伝達部材が嵌合されている第3の基板の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 マイクロ全分析システム
2 バルブ室
21 下壁
22 上壁
23 バルブ室用の貫通孔a
24 バルブ室用の貫通孔b
25、28 第1のバルブ室用の貫通孔
26、29 第2のバルブ室用の貫通孔
27 狭隘部
3、31、32、33 弁体
34 浮遊弁体
4、41、42、43 流体注入用の開口部
5 流体排出用の開口部
51、52、53 流体排出用の貫通孔
6 ピエゾ素子
61、62、63 ピエゾ素子接触部
7 第1の板状基板
8 第1のスペーサー
81 スペーサー
9 第2のスペーサー
10 第2の板状基板
11 第3の板状基板
12 圧力伝達部材
13 一端部
14 他端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体排出用の開口部と、下壁に形成されている流体注入用の開口部を有するバルブ室内に、少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が、常に流体注入用の開口部を覆うように収納されているマイクロバルブの上壁をピエゾ素子で押圧することにより弁体を下壁方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とするマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項2】
第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が固定されている第2のスペーサー並びに流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項3】
第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が固定されている第2のスペーサー及び流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のスペーサー及び/又は第2のスペーサーに、該スペーサーのバルブ室用の貫通孔a及び/又はbから側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項4】
第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が複数固定されている第2のスペーサー並びに該弁体と同数の流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部とがそれぞれ略一直線になるように複数のピエゾ素子を設置し、各ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより各弁体を第2の板状基板方向に押圧し、各流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項5】
第1の板状基板、バルブ室用の貫通孔aが打抜かれている第1のスペーサー、バルブ室用の貫通孔bが打抜かれ、該貫通孔b内に少なくとも1端部が遊端である板状の弁体が複数固定されている第2のスペーサー及び該弁体と同数の流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のスペーサー及び/又は第2のスペーサーに、該スペーサーのバルブ室用の貫通孔a及び/又はbから側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれているマイクロバルブの第1の板状基板に、貫通孔a、各弁体及び各流体注入用の開口部とがそれぞれ略一直線になるように複数のピエゾ素子を設置し、各ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより各弁体を第2の板状基板方向に押圧し、各流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項6】
第2のスペーサーは、板状の弁体を残してバルブ室用の貫通孔bが打抜かれていること
を特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項7】
第1の板状基板、狭隘部を介して第1のバルブ室と第2のバルブ室が接続されているバルブ室用の貫通孔が打抜かれているスペーサー及び流体注入用の開口部及び流体排出用の貫通孔が打抜かれている第2の板状基板が、第1のバルブ室及び流体注入用の開口部が略一直線になり、第2のバルブ室及び流体排出用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、第1のバルブ室に常に流体注入用の開口部を覆い、狭隘部を通過しない大きさであって、スペーサーの厚さより薄い浮遊弁体が収納されているマイクロバルブの第1の板状基板に、第1のバルブ室用の貫通孔、浮遊弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより浮遊弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項8】
第1の板状基板、狭隘部を介して第1のバルブ室と第2のバルブ室が接続されているバルブ室用の貫通孔が打抜かれているスペーサー及び流体注入用の開口部が打抜かれている第2の板状基板が、第1のバルブ室及び流体注入用の開口部が略一直線になるように、この順に積層されており、該スペーサーに第2のバルブ室からスペーサーの側壁に連通する流体排出用の貫通孔が打抜かれ、第1のバルブ室に常に流体注入用の開口部を覆い、狭隘部を通過しない大きさであって、スペーサーの厚さより薄い浮遊弁体が収納されているマイクロバルブの第1の板状基板に、第1のバルブ室用の貫通孔、浮遊弁体及び流体注入用の開口部と略一直線になるようにピエゾ素子を設置し、ピエゾ素子で第1の板状基板を押圧することにより浮遊弁体を第2の板状基板方向に押圧し、流体注入用の開口部を閉鎖することを特徴とする請求項1記載のマイクロバルブの流量調節方法。
【請求項9】
圧力伝達部材が嵌合されている第3の基板を第1の基板に積層し、ピエゾ素子で圧力伝達部材を押圧することにより、圧力伝達部材で第1の板状基板を押圧することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のマイクロバルブの流量調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−214494(P2006−214494A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27073(P2005−27073)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】