説明

マイクロホン装置

【目的】 本発明の目的は、簡易な構成でマイク部の指向性ビームの向きを変えることができるマイクロホン装置を提供することにある。
【構成】 マイクロホン装置は、互いに間隔をあけて配置された全指向性のマイクロホンA〜Dを有するマイク部100と、マイクロホンA〜Dのうち二つのマイクロホンの音声信号を処理することにより、該二つのマイクロホンのうち一方を主マイクロホン、他方を副マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向にマイク部100の指向性ビームを形成するビームフォーマ部200と、ビームフォーマ部200の前段に設けられており且つマイクロホンA〜Dのうちの二つのマイクロホンを該ビームフォーマ部200に選択的に接続するスイッチ部300とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定方向からの音声を集音可能な指向性を有するマイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマイクロホン装置としては、同一平面状に配列された複数の全指向性マイクロホンを有するマイク部と、前記マイクロホンの音声信号を各々所定時間、遅延して合成することにより、前記マイク部の指向性ビーム(すなわち、集音指向性)を各々形成する複数のビームフォーマ部と、このビームフォーマ部の出力信号のうち最も信号強度の強い指向性ビームを選択して該指向性ビームの方向を特定するレベル判定部と、前記レベル判定部により選択された指向性ビームに対応する音声信号を音源からの音声信号であるとして集音するセレクタとを備えているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
前記マイクロホン装置は、複数のビームフォーマ部により形成されたマイク部の複数方向の指向性ビームのうちの音源が存在する指向性ビームをレベル判定部で自動的に特定し、セレクタで当該指向性ビーム内の音源から到来する音声を集音することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記マイクロホン装置は、マイク部の複数方向の指向性ビーム毎にビームフォーマ部が必要であるため、その構成が複雑になっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、簡易な構成でマイク部の指向性ビームの向きを変えることができるマイクロホン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のマイクロホン装置は、互いに間隔をあけて配置された複数のマイクロホンを有するマイク部と、前記マイクロホンのうち二つのマイクロホンの音声信号を処理することにより、該二つのマイクロホンのうち一方を主マイクロホン、他方を副マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するビームフォーマ部と、このビームフォーマ部の前段に設けられており且つ前記マイクロホンのうちの二つのマイクロホンを該ビームフォーマ部に選択的に接続するスイッチ手段とを備えている。
【0008】
このような第1のマイクロホン装置による場合、スイッチ手段により複数のマイクロホンのうちの二つのマイクロホンがビームフォーマ部に選択的に接続されると、ビームフォーマ部が、前記二つのマイクロホンを主副マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、該主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するようになっている。すなわち、スイッチ手段により前記二つのマイクロホンとビームフォーマ部との接続を切り替えるだけで、マイク部の指向性ビームの向きが前記二つのマイクロホンの配列方向に沿って可変するようになっているので、ビームフォーマ部が少なくとも一つあればよく、本装置の構成を簡略化することができる。
【0009】
前記ビームフォーマ部は演算部及び遅延部を有する構成とすることができる。前記スイッチ手段は、前記二つのマイクロホンのうち一方を前記演算部に、他方を前記遅延部に選択的に接続し、一方のマイクロホンを主マイクロホン、他方のマイクロホンを副マイクロホンとすることができる。前記遅延部は、前記副マイクロホンの音声信号を、該副マイクロホンと主マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させるようになっている。前記演算部は、遅延させられた音声信号と主マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力するようになっている。
【0010】
前記マイクロホンは仮想多角形の角部に配置することが可能である。
【0011】
本発明の第2のマイクロホン装置は、第1マイクロホン及び該第1マイクロホンと間隔をあけて配置された複数の第2マイクロホンを有するマイク部と、第2マイクロホンのうちの一つの第2マイクロホン及び第1のマイクロホンの音声信号を処理することにより、前記第1マイクロホンを主マイクロホン又は副マイクロホン、前記第2マイクロホンを副マイクロホン又は主マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するビームフォーマ部と、このビームフォーマ部の前段に設けられており且つ前記第2マイクロホンのうちの一つの第2マイクロホンを該ビームフォーマ部に選択的に接続するスイッチ手段とを備えている。
【0012】
このような第2のマイクロホン装置による場合、スイッチ手段により複数の第2マイクロホンのうちの一つの第2マイクロホンがビームフォーマ部に選択的に接続されると、ビームフォーマ部が、接続された第1マイクロホン及び第2マイクロホンを主副マイクロホン又は副主マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するようになっている。すなわち、スイッチ手段で第2マイクロホンとビームフォーマ部との接続を切り替えるだけで、マイク部の指向性ビームの向きが第1マイクロホン及び接続された第2マイクロホンの配列方向に沿って可変するようになっているので、ビームフォーマ部が少なくとも一つあればよく、本装置の構成を簡略化することができる。
【0013】
前記ビームフォーマ部は、前記第2マイクロホンの音声信号を、該第2マイクロホンと第1マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させる遅延部と、前記第1マイクロホンに接続されており且つ遅延させられた前記第2のマイクロホンの音声信号と前記第1マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力する演算部とを有する構成とすることができる。この場合、前記スイッチ手段は、前記第2マイクロホンの一つの第2マイクロホンを前記遅延部に選択的に接続するようになっている。
【0014】
或いは、前記ビームフォーマ部は、前記第1マイクロホンに接続されており且つ前記第1マイクロホンの音声信号を、該第1マイクロホンとスイッチ手段により該ビームフォーマ部に接続された第2マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させる遅延部と、遅延させられた音声信号と前記第2マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力する演算部とを有する構成とすることができる。この場合、前記スイッチ手段は、前記第2マイクロホンの一つの第2マイクロホンを前記演算部に選択的に接続するようになっている。
【0015】
前記ビームフォーマ部を複数とすることも可能である。このようにすれば、マイク部の指向性ビームが複数形成されるため、複数の指向性ビーム内の音源を同時に集音することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1のマイクロホン装置のブロック図である。
【図2】前記マイクロホン装置のスイッチ部を示す模式図である。
【図3】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Dがビームフォーマ部の演算部及び遅延部に接続されるパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンAが演算部に、マイクロホンCが遅延部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンAが演算部に、マイクロホンDが遅延部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンAが演算部に、マイクロホンBが遅延部に接続された状態を示す図、(d)はマイクロホンCが演算部に、マイクロホンDが遅延部に接続された状態を示す図、(e)はマイクロホンCが演算部に、マイクロホンBが遅延部に接続された状態を示す図、(f)はマイクロホンCが演算部に、マイクロホンAが遅延部に接続された状態を示す図である。
【図4】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Dがビームフォーマ部の演算部及び遅延部に接続される別のパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンDが演算部に、マイクロホンBが遅延部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンDが演算部に、マイクロホンAが遅延部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンDが演算部に、マイクロホンCが遅延部に接続された状態を示す図、(d)はマイクロホンBが演算部に、マイクロホンAが遅延部に接続された状態を示す図、(e)はマイクロホンBが演算部に、マイクロホンCが遅延部に接続された状態を示す図、(f)はマイクロホンBが演算部に、マイクロホンDが遅延部に接続された状態を示す図である。
【図5】前記マイクロホン装置のマイク部の指向特性図であって、(a)が距離D1におけるマイク部の指向性ビームの指向特性を示す図、(b)が距離D2におけるマイク部の指向性ビームの指向特性を示す図である。
【図6】本発明の実施例2のマイクロホン装置のブロック図である。
【図7】前記マイクロホン装置のスイッチ部を示す模式図である。
【図8】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Dが第1、第2ビームフォーマ部の演算部及び遅延部に接続されるパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンAが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンAが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンBが第2のビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンCが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(d)はマイクロホンCが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図である。
【図9】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Dが第1、第2ビームフォーマ部の演算部及び遅延部に接続される別のパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンDが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンDが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンBが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図、(d)はマイクロホンBが第1ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部の遅延部に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図である。
【図10】本発明の実施例3のマイクロホン装置のブロック図であって、マイクロホンAがビームフォーマ部の演算部に、マイクロホンCがビームフォーマ部の遅延部に接続された状態を示す図である。
【図11】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Cがビームフォーマ部の演算部に接続されるパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンAが演算部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンBが演算部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンCが演算部に接続された状態を示す図である。
【図12】本発明の実施例4のマイクロホン装置のブロック図である。
【図13】前記マイクロホン装置のマイクロホンA〜Cがビームフォーマ部の遅延部に接続されるパターンを示す模式図であって、(a)はマイクロホンAが遅延部に接続された状態を示す図、(b)はマイクロホンBが遅延部に接続された状態を示す図、(c)はマイクロホンCが遅延部に接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例1乃至4について説明する。
【実施例1】
【0018】
まず、本発明の実施例1に係るマイクロホン装置について図1乃至図5を参照しつつ説明する。図1に示すマイクロホン装置はICレコーダ等として用いられる集音装置である。このマイクロホン装置は、マイク部100と、スイッチ部200(スイッチ手段)と、ビームフォーマ部300と、図示しないメモリ部とを備えている。以下、各部について詳しく説明する。
【0019】
マイク部100は、極性が同じであり且つアナログ出力タイプの全指向性エレクトレット・コンデンサ・マイクロホンA、B、C及びDを有している。このマイクロホンA〜Dは、図1及び図3に示すように、図示しない一辺が50〜150mm程度の仮想正方形の角部に振動膜a〜dを同一方向に向けて配置されている。マイクロホンAとマイクロホンBとの間の距離、マイクロホンAとマイクロホンCとの間の距離、マイクロホンCとマイクロホンDとの間の距離及びマイクロホンBとマイクロホンDとの間の距離は、同じであって、図3(a)においてD1として示している。また、マイクロホンAとマイクロホンDとの間の距離、及びマイクロホンBとマイクロホンCとの間の距離は、同じであって、図3(a)においてD2として示している。D2はD1の√2倍となっている。
【0020】
スイッチ部200は、周知のロータリスイッチである。スイッチ部200は、ビームフォーマ部300の前段に設けられ、図2に示す回転体210の回転角度に応じてマイクロホンA、B、C及びDのうち二つのマイクロホンをビームフォーマ部300に選択的に接続するようになっている。このスイッチ部200は、回転体210、図示しない第1、第2可動接点及び図示しない8つの第1、第2固定接点を有している。回転体210は、その表面に設けられた基準マーク211が回転角度(1)〜(12)に位置するように周方向に360°回転させることができるようになっている。第1可動接点は、回転体210に設けられており、該回転体210の回転に応じて回転し、回転角度(1)〜(12)で前記第1固定接点のうち二つの第1固定接点に選択的に接触するようになっている。前記第1可動接点が前記第1固定接点のうち二つの第1固定接点に接触することにより、図1に示すアナログの第1スイッチ221〜224として機能するようになっている。同様に、第2可動接点は回転体210に設けられており、該回転体210の回転に応じて回転し、回転角度(1)〜(12)で前記第2固定接点のうち二つの第2固定接点に選択的に接触するようになっている。前記第2可動接点が前記第2固定接点のうち二つの第2固定接点に接触することにより、図1に示す第2スイッチ231〜234として機能するようになっている。
【0021】
ビームフォーマ部300は、マイクロホンA〜Dのうち二つのマイクロホンの音声信号を処理することにより、図3及び図4に示すように、該二つのマイクロホンを主マイクロホン、副マイクロホンとする周知の一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主マイクロホン及び副マイクロホンの配列方向に沿った方向に指向性ビーム(指向性を有する集音領域)を形成するようになっている。このビームフォーマ部300は、図1に示すように、遅延部310と、演算部320とを有している。マイクロホンA〜Dのうちスイッチ部200により演算部320に接続されたマイクロホンが主マイクロホンとなり、マイクロホンA〜Dのうちスイッチ部200により遅延部310に接続されたマイクロホンが副マイクロホンとなる。主マイクロホンと副マイクロホンとの間の距離は上述したようにD1又はD2となっている。
【0022】
遅延部310は、副マイクロホンの音声信号を距離D1に応じた時間分遅延させ、演算部320に出力する遅延回路である。演算部320は、遅延部310に遅延させられた音声信号と、主マイクロホンの音声信号とを減算し、相殺するようになっている。音源が主マイクロホンよりも副マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がない場合)、音源から発せられた音声は、主マイクロホンよりも距離D1又は距離D2分先に副マイクロホンに到達するため、副マイクロホンの音声信号は、遅延部310で距離D1に応じた時間分遅延させられ、演算部320で主マイクロホンの音声信号と相殺される。一方、音源が副マイクロホンよりも主マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がある場合)、音源から発せられた音声は副マイクロホンよりも主マイクロホンに先に到達するため、主マイクロホンの音声信号は演算部320で副マイクロホンの音声信号と相殺されず、そのまま出力される。このようにしてビームフォーマ部300によりマイク部100の指向性ビームの方向の音源の音声信号のみが集音され、上記メモリ部に出力され、該メモリ部に記録される。
【0023】
主マイクロホンと副マイクロホンとの間の距離がD1である場合には、ビームフォーマ部300により形成されるマイク部100の指向性ビームは、図5(a)に示すとおりとなる。また、主マイクロホンと副マイクロホンとの間の距離がD2である場合には、ビームフォーマ部300により形成されるマイク部100の指向性ビームは、図5(b)に示すとおりとなる。後者の指向性ビームは、前者の指向性ビームに比べて、背面側にビームが形成される(すなわち、正面に対して180°方向が約15dB減衰している)ものの、正面方向のビームの形状は前者の指向性ビームと略同じであるため、前者と同程度に集音可能である。
【0024】
以下、スイッチ部200の回転体210の回転角度(1)〜(12)に応じてマイク部100の指向性ビームの方向を360°回転させる方法について説明する。なお、図3及び図4において、マイクロホンA〜Dうち破線で囲われたマイクロホンが、ビームフォーマ部300に接続されているマイクロホンである(すなわち、一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成するマイクロホンである)。
【0025】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(1)に位置させると、スイッチ部200の第1可動接点が8つの第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ222として機能し、第1スイッチ222がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ231として機能し、第2スイッチ231がオンとなる。これにより、マイクロホンAがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンCがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンAが主マイクロホン、マイクロホンCが副マイクロホンとなり、図3(a)に示すように、指向性ビームがマイクロホンA及びCの配列方向に沿って図示上方向に向けて形成される。
【0026】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(2)に位置させると、スイッチ部200の第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ222として機能し、第1スイッチ222がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ234として機能し、第2スイッチ234がオンとなる。これにより、マイクロホンAがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンDがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンAが主マイクロホン、マイクロホンDが副マイクロホンとなり、図3(b)に示すように、指向性ビームがマイクロホンA及びDの配列方向に沿って図示左斜め上方向に向けて形成される。
【0027】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(3)に位置させると、スイッチ部200の第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ222として機能し、第1スイッチ222がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ233として機能し、第2スイッチ233がオンとなる。これにより、マイクロホンAがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンBがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンAが主マイクロホン、マイクロホンBが副マイクロホンとなり、図3(c)に示すように、指向性ビームがマイクロホンA及びBの配列方向に沿って図示左方向に向けて形成される。
【0028】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(4)に位置させると、スイッチ部200の第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ221として機能し、第1スイッチ221がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ234として機能し、第2スイッチ234がオンとなる。これにより、マイクロホンCがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンDがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンCが主マイクロホン、マイクロホンDが副マイクロホンとなり、図3(d)に示すように、指向性ビームがマイクロホンC及びDの配列方向に沿って図示左方向に向けて形成される。
【0029】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(5)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ221として機能し、第1スイッチ221がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ233として機能し、第2スイッチ233がオンとなる。これにより、マイクロホンCがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンBがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンCが主マイクロホン、マイクロホンBが副マイクロホンとなり、図3(e)に示すように、指向性ビームがマイクロホンC及びBの配列方向に沿って図示斜め左下方向に向けて形成される。
【0030】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(6)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ221として機能し、第1スイッチ221がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ232として機能し、第2スイッチ232がオンとなる。これにより、マイクロホンCがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンAがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンCが主マイクロホン、マイクロホンAが副マイクロホンとなり、図3(f)に示すように、指向性ビームがマイクロホンC及びAの配列方向に沿って図示下方向に向けて形成される。
【0031】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(7)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ224として機能し、第1スイッチ224がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ233として機能し、第2スイッチ233がオンとなる。これにより、マイクロホンDがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンBがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンDが主マイクロホン、マイクロホンBが副マイクロホンとなり、図4(a)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びBの配列方向に沿って図示下方向に向けて形成される。
【0032】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(8)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ224として機能し、第1スイッチ224がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ232として機能し、第2スイッチ232がオンとなる。これにより、マイクロホンDがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンAがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンDが主マイクロホン、マイクロホンAが副マイクロホンとなり、図4(b)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びAの配列方向に沿って図示右斜め下方向に向けて形成される。
【0033】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(9)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ224として機能し、第1スイッチ224がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ231として機能し、第2スイッチ231がオンとなる。これにより、マイクロホンDがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンCがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンDが主マイクロホン、マイクロホンCが副マイクロホンとなり、図4(c)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びCの配列方向に沿って図示右方向に向けて形成される。
【0034】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(10)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ223として機能し、第1スイッチ223がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ232として機能し、第2スイッチ232がオンとなる。これにより、マイクロホンBがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンAがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンBが主マイクロホン、マイクロホンAが副マイクロホンとなり、図4(d)に示すように、指向性ビームがマイクロホンB及びAの配列方向に沿って図示右方向に向けて形成される。
【0035】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(11)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ223として機能し、第1スイッチ223がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ231として機能し、第2スイッチ231がオンとなる。これにより、マイクロホンBがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンCがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンBが主マイクロホン、マイクロホンCが副マイクロホンとなり、図4(e)に示すように、指向性ビームがマイクロホンB及びCの配列方向に沿って図示右斜め上方向に向けて形成される。
【0036】
回転体210を回転させ、基準マーク211を回転角度(12)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ223として機能し、第1スイッチ223がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ234として機能し、第2スイッチ234がオンとなる。これにより、マイクロホンBがビームフォーマ部300の演算部320に、マイクロホンDがビームフォーマ部300の遅延部310に接続される。すなわち、マイクロホンBが主マイクロホン、マイクロホンDが副マイクロホンとなり、図4(f)に示すように、指向性ビームがマイクロホンB及びDの配列方向に沿って図示上方向に向けて形成される。
【0037】
このようなマイクロホン装置による場合、スイッチ部200によりマイクロホンA〜Dのうち任意の二つのマイクロホンとビームフォーマ部300との接続を切り替えるだけで、マイク部100の指向性ビームの向きを前記二つのマイクロホンの配列方向に沿って可変させ、360°回転させることができるようになっている。このため、前記マイクロホン装置は、マイク部100の指向性ビームの数だけ、ビームフォーマ部300を用意する必要がなく、一つで足りるので、前記装置の構成を簡略化することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の実施例2に係るマイクロホン装置について図6乃至図9を参照しつつ説明する。図6に示すマイクロホン装置は、スイッチ部200に代えてスイッチ部400を、ビームフォーマ部300に代えて第1、第2ビームフォーマ部510、520を備えている点で、実施例1のマイクロホン装置と相違している。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0039】
スイッチ部400は周知のロータリスイッチである。このスイッチ部400は、第1、第2ビームフォーマ部510、520の前段に設けられ、図7に示す回転体410の回転角度(1)〜(8)に応じてマイクロホンA、B、C及びDのうち二つのマイクロホンを第1、第2ビームフォーマ部510、520に各々選択的に接続するようになっている。スイッチ部400は、回転体410、図示しない第1、第2、第3、第4可動接点及び図示しない8つの第1、第2、第3、第4固定接点を有している。回転体410は、その表面に設けられた基準マーク411が回転角度(1)〜(8)に位置するように周方向に360°回転させることができる。第1、第2、第3、第4可動接点は、回転体410に設けられており、該回転体410の回転に応じて回転し、回転角度(1)〜(8)で前記第1、第2、第3、第4固定接点のうち二つの第1、第2、第3、第4固定接点に選択的に接触するようになっている。前記第1可動接点が前記第1固定接点のうち二つの第1固定接点に接触することにより、図6に示すアナログの第1スイッチ421〜424として機能するようになっている。前記第2可動接点が前記第2固定接点のうち二つの第2固定接点に接触することにより、図6に示すアナログの第2スイッチ431〜434として機能するようになっている。前記第3可動接点が前記第3固定接点のうち二つの第3固定接点に接触することにより、図6に示すアナログの第3スイッチ441〜444として機能するようになっている。前記第4可動接点が前記第4固定接点のうち二つの第4固定接点に接触することにより、図6に示すアナログの第4スイッチ451〜454として機能するようになっている。
【0040】
第1ビームフォーマ部510は、ビームフォーマ部300と同じ構成であって、遅延部511と、演算部512とを有している。第2ビームフォーマ部520も、ビームフォーマ部300と同じ構成であって、遅延部521と、演算部522とを有している。よって、遅延部511、演算部512、遅延部521及び演算部522の詳しい説明は省略する。
【0041】
以下、スイッチ部400の回転体410の回転角度(1)〜(8)に応じてマイク部100の指向性ビームの方向を可変させる方法について説明する。なお、図8及び図9において、マイクロホンA〜Dのうち破線で囲われたマイクロホンが、第1、第2ビームフォーマ部510、520に接続されているマイクロホンである(すなわち、一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成するマイクロホンである)。
【0042】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(1)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ422として機能し、第1スイッチ422がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ431として機能し、第2スイッチ431がオンとなる。これにより、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。これと共に、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ443として機能し、第3スイッチ443がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ454として機能し、第2スイッチ454がオンとなる。これにより、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンAが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンCが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンBが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンDが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図8(a)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンA及びCの配列方向と、マイクロホンB及びDの配列方向とに沿って図示上方向に向けて形成される。
【0043】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(2)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ422として機能し、第1スイッチ422がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ434として機能し、第2スイッチ434がオンとなる。これにより、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。これと共に、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ443として機能し、第3スイッチ443がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ451として機能し、第2スイッチ451がオンとなる。これにより、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンAが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンDが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンBが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンCが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図8(b)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンA及びCの配列方向と、マイクロホンB及びDの配列方向とに沿って図示左右斜め上方向に向けて形成される。
【0044】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(3)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ421として機能し、第1スイッチ421がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ434として機能し、第2スイッチ434がオンとなる。これにより、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ442として機能し、第3スイッチ442がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ453として機能し、第2スイッチ453がオンとなる。これにより、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンCが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンDが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンAが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンBが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図8(c)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンC及びDの配列方向と、マイクロホンA及びBの配列方向とに沿って図示左方向に向けて形成される。
【0045】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(4)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ421として機能し、第1スイッチ421がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ433として機能し、第2スイッチ433がオンとなる。これにより、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ442として機能し、第3スイッチ442がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ454として機能し、第2スイッチ454がオンとなる。これにより、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンCが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンBが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンAが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンDが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図8(d)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンC及びBの配列方向と、マイクロホンA及びDの配列方向とに沿って図示左斜め下上方向に向けて形成される。
【0046】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(5)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ424として機能し、第1スイッチ424がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ433として機能し、第2スイッチ433がオンとなる。これにより、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ441として機能し、第3スイッチ441がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ452として機能し、第2スイッチ452がオンとなる。これにより、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンDが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンBが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンCが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンAが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図9(a)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンD及びBの配列方向と、マイクロホンC及びAの配列方向とに沿って図示下方向に向けて形成される。
【0047】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(6)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ424として機能し、第1スイッチ424がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ432として機能し、第2スイッチ432がオンとなる。これにより、マイクロホンDが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ441として機能し、第3スイッチ441がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ453として機能し、第2スイッチ453がオンとなる。これにより、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンBが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンDが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンAが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンCが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンBが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図9(b)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンD及びAの配列方向と、マイクロホンC及びBの配列方向とに沿って図示右左斜め下方向に向けて形成される。
【0048】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(7)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ423として機能し、第1スイッチ423がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ432として機能し、第2スイッチ432がオンとなる。これにより、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンAが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ444として機能し、第3スイッチ444がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ451として機能し、第2スイッチ451がオンとなる。これにより、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンCが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンBが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンAが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンDが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンCが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図9(c)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンB及びAの配列方向と、マイクロホンD及びCの配列方向とに沿って図示右方向に向けて形成される。
【0049】
回転体410を回転させ、基準マーク411を回転角度(8)に位置させると、第1可動接点が前記第1固定接点のうちの二つの第1固定接点に、第2可動接点が前記第2固定接点のうちの二つの第2固定接点に、第3可動接点が前記第3固定接点のうちの二つの第3固定接点に、第4可動接点が前記第4固定接点のうちの二つの第4固定接点に接触する。前記第1可動接点及び二つの第1固定接点が第1スイッチ423として機能し、第1スイッチ423がオンとなる。前記第2可動接点及び二つの第2固定接点が第2スイッチ431として機能し、第2スイッチ431がオンとなる。これにより、マイクロホンBが第1ビームフォーマ部510の演算部512に、マイクロホンCが第1ビームフォーマ部510の遅延部511に接続される。また、前記第3可動接点及び二つの第3固定接点が第3スイッチ444として機能し、第3スイッチ444がオンとなる。前記第4可動接点及び二つの第4固定接点が第4スイッチ452として機能し、第2スイッチ452がオンとなる。これにより、マイクロホンDが第2ビームフォーマ部520の演算部522に、マイクロホンAが第2ビームフォーマ部520の遅延部521に接続される。すなわち、マイクロホンBが一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンCが前記ユニットの副マイクロホンとなり、マイクロホンDが別の一次音圧傾度型マイクロホンユニットの主マイクロホン、マイクロホンAが前記ユニットの副マイクロホンとなる。これにより、図9(d)に示すように、マイク部100の二つの指向性ビームがマイクロホンB及びCの配列方向と、マイクロホンD及びAの配列方向とに沿って図示右斜め上下方向に向けて形成される。
【0050】
このようなマイクロホン装置による場合、スイッチ部400でマイクロホンA〜Dのうち任意の二つのマイクロホンと第1ビームフォーマ部510との接続を切り替えると共に、マイクロホンA〜Dのうち任意の二つのマイクロホンと第2ビームフォーマ部520との接続を切り替えるだけで、マイク部100の二つの指向性ビームの向きを前記二つのマイクロホンの配列方向に沿って各々可変させることができる。よって、前記マイクロホン装置は、ビームフォーマ部をマイク部100の指向性ビームの数だけ用意する必要がないので、装置の構成を簡略化することができる。また、第1、第2ビームフォーマ部510、520により、マイク部100の指向性ビームが二つ形成されるようになっているので、2チャンネルでの集音が可能になり、ステレオ集音することができる。
【実施例3】
【0051】
次に、本発明の実施例3に係るマイクロホン装置について図10及び図11を参照しつつ説明する。図10に示すマイクロホン装置は、マイク部100’と、スイッチ部600と、ビームフォーマ部700と、図示しないメモリ部とを備えている。以下、各部について詳しく説明する。なお、マイク部については、’を付して実施例1のマイク部100と区別する。
【0052】
マイク部100’は、極性が同じであり且つアナログ出力タイプの全指向性エレクトレット・コンデンサ・マイクロホンA、B、C及びDを有している。マイクロホンA〜Cは、マイクロホンDから各々50〜150mm(これを距離Dとする。)程度、マイク部100’の前方側に離れた位置に円弧状に配置されている。マイクロホンA〜Dは、振動膜a〜dが同一方向に向けられている。マイクロホンDは、ビームフォーマ部700の遅延部710に接続されている。マイクロホンDが特許請求の範囲における第1マイクロホンに相当し、マイクロホンA〜Cが特許請求の範囲における第2マイクロホンに相当する。
【0053】
スイッチ部600は、周知のロータリスイッチである。このスイッチ部600は、ビームフォーマ部700の前段にもうけられており、図示しない回転体の回転角度(1)〜(3)に応じてマイクロホンA、B及びCのうち一つのマイクロホンをビームフォーマ部700の演算部720に各々選択的に接続するようになっている。スイッチ部600は、前記回転体、図示しない可動接点及び図示しない6つの固定接点を有している。回転体は、その表面に設けられた基準マークが回転角度(1)〜(3)に位置するように周方向に回転させることができるようになっている。可動接点は、回転体に設けられており、該回転体の回転に応じて回転し、回転角度(1)〜(3)で前記固定接点のうち二つの固定接点に選択的に接触するようになっている。可動接点が前記固定接点のうち二つの固定接点に接触することにより、アナログのスイッチ611〜613として機能するようになっている。
【0054】
ビームフォーマ部700は、マイクロホンA〜Cのうち一つのマイクロホンの音声信号及びマイクロホンDの音声信号を処理することにより、前記一つのマイクロホンを主マイクロホン、マイクロホンDを副マイクロホンとする周知の一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主マイクロホン及び副マイクロホンの配列方向に沿った方向に指向性ビームを形成するようになっている。このビームフォーマ部700は、遅延部710と、演算部720とを有している。
【0055】
遅延部710は、副マイクロホンの音声信号を距離Dに応じた時間分遅延させ、演算部720に出力する遅延回路である。演算部720は、遅延部710に遅延させられた音声信号と、主マイクロホンの音声信号とを減算し、相殺するようになっている。音源が主マイクロホンよりも副マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がない場合)、音源から発せられた音声は、主マイクロホンよりも距離D分先に副マイクロホンに到達するため、副マイクロホンの音声信号は、遅延部710で距離Dに応じた時間分遅延させられ、演算部720で主マイクロホンの音声信号と相殺される。一方、音源が副マイクロホンよりも主マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がある場合)、音源から発せられた音声は副マイクロホンよりも主マイクロホンに先に到達するため、主マイクロホンの音声信号は演算部720で副マイクロホンの音声信号と相殺されず、そのまま出力される。このようにしてビームフォーマ部700により、マイク部100’の指向性ビームの方向の音源の音声信号のみが集音され、上記メモリ部に出力され、該メモリ部に記録される。
【0056】
以下、スイッチ部600の回転体の回転角度(1)〜(3)に応じてマイク部100’の指向性ビームの方向を可変させる方法について説明する。なお、図11において、マイクロホンA〜Dうち破線で囲われたマイクロホンが前記一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成するマイクロホンである。
【0057】
スイッチ部600の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(1)に位置させると、スイッチ部600の可動接点が6つの固定接点のうちの二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ611として機能し、スイッチ611がオンとなる。これにより、マイクロホンAがビームフォーマ部700の演算部720に接続される。すなわち、マイクロホンAが主マイクロホンとなり、図11(a)に示すように、指向性ビームがマイクロホンA及びDの配列方向に沿って図示左斜め上方向に向けて形成される。
【0058】
スイッチ部600の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(2)に位置させると、スイッチ部600の可動接点が前記固定接点のうちの別の二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ612として機能し、スイッチ612がオンとなる。これにより、マイクロホンBがビームフォーマ部700の演算部720に接続される。すなわち、マイクロホンBが主マイクロホンとなり、図11(b)に示すように、指向性ビームがマイクロホンB及びDの配列方向に沿って図示上方向に向けて形成される。
【0059】
スイッチ部600の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(3)に位置させると、スイッチ部600の可動接点が前記固定接点のうちの二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ613として機能し、スイッチ613がオンとなる。これにより、マイクロホンCがビームフォーマ部700の演算部720に接続される。すなわち、マイクロホンCが主マイクロホンとなり、図11(c)に示すように、指向性ビームがマイクロホンC及びDの配列方向に沿って図示右斜め上方向に向けて形成される。
【0060】
このようなマイクロホン装置による場合、スイッチ部600でマイクロホンA〜Cのうち任意の一つのマイクロホンとビームフォーマ部700の演算部720との接続を切り替えるだけで、マイク部100’の指向性ビームの向きを前記一つのマイクロホン及びマイクロホンDの配列方向に沿って可変させることができる。よって、前記マイクロホン装置は、マイク部100’の指向性ビームの数だけ、ビームフォーマ部700を用意する必要がなく、一つで足りるので、前記装置の構成を簡略化することができる。
【実施例4】
【0061】
次に、本発明の実施例4に係るマイクロホン装置について図12及び図13を参照しつつ説明する。図12に示すマイクロホン装置は、マイク部100’’、スイッチ部600’及びビームフォーマ部700’の構成が実施例3のマイクロホン装置と相違している。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する部分については説明を省略する。なお、マイク部については、’’を付してマイク部100、100’と区別し、スイッチ部及びビームフォーマ部については、’を付してスイッチ部600及びビームフォーマ部700と区別する。
【0062】
マイク部100’’は、マイクロホンA〜Cが、マイクロホンDから各々50〜150mm(これを距離Dとする。)程度、マイク部100’’の後方側に離れた位置に円弧状に配置されている。マイクロホンA〜Dは、振動膜a〜dが同一方向に向けられている。マイクロホンDは、ビームフォーマ部700’の演算部720’に接続されている。なお、マイクロホンDが特許請求の範囲における第1マイクロホンに相当し、マイクロホンA〜Cが特許請求の範囲における第2マイクロホンに相当する。
【0063】
スイッチ部600’は、図示しない回転体の回転角度(1)〜(3)に応じてマイクロホンA、B及びCのうち一つのマイクロホンをビームフォーマ部700’の遅延部710’に各々選択的に接続するようになっている。このスイッチ部600’は、前記回転体、図示しない可動接点及び図示しない6つの固定接点を有している。回転体は、その表面に設けられた基準マークが回転角度(1)〜(3)に位置するように周方向に回転させることができるようになっている。可動接点は、回転体に設けられており、該回転体の回転に応じて回転し、回転角度(1)〜(3)で前記固定接点のうち二つの固定接点に選択的に接触するようになっている。可動接点が前記固定接点のうち二つの固定接点に接触することにより、アナログのスイッチ611’〜613’として機能するようになっている。
【0064】
ビームフォーマ部700’は、マイクロホンA〜Cのうち一つのマイクロホンの音声信号及びマイクロホンDの音声信号を処理することにより、マイクロホンDを主マイクロホン、前記一つのマイクロホンを副マイクロホンとする周知の一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主マイクロホン及び副マイクロホンの配列方向に沿った方向に指向性ビームを形成するようになっている。このビームフォーマ部700’は、遅延部710’と演算部720’とを有している。
【0065】
遅延部710’は、副マイクロホンの音声信号を距離Dに応じた時間分遅延させ、演算部720’に出力する遅延回路である。演算部720’は、遅延部710’に遅延させられた音声信号と、主マイクロホンの音声信号とを減算し、相殺するようになっている。音源が主マイクロホンよりも副マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がない場合)、音源から発せられた音声は、主マイクロホンよりも距離D分先に副マイクロホンに到達するため、副マイクロホンの音声信号は、遅延部710’で距離Dに応じた時間分遅延させられ、演算部720’で主マイクロホンの音声信号と相殺される。一方、音源が副マイクロホンよりも主マイクロホンに近い場合(すなわち、指向性ビーム内に音源がある場合)、音源から発せられた音声は副マイクロホンよりも主マイクロホンに先に到達するため、主マイクロホンの音声信号は演算部720’で副マイクロホンの音声信号と相殺されず、そのまま出力される。このようにしてビームフォーマ部700’により、マイク部100’’の指向性ビームの方向の音源の音声信号のみが集音され、上記メモリ部に出力され、該メモリ部に記録される。
【0066】
以下、スイッチ部600’の回転体の回転角度(1)〜(3)に応じてマイク部100’’の指向性ビームの方向を可変させる方法について説明する。なお、図13において、マイクロホンA〜Dうち破線で囲われたマイクロホンが前記一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成するマイクロホンである。
【0067】
スイッチ部600’の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(1)に位置させると、スイッチ部600’の可動接点が前記固定接点のうちの二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ611’として機能し、スイッチ611’がオンとなる。これにより、マイクロホンAがビームフォーマ部700’の遅延部710’に接続される。すなわち、マイクロホンAが副マイクロホンとなり、図13(a)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びAの配列方向に沿って図示右斜め上方向に向けて形成される。
【0068】
スイッチ部600’の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(2)に位置させると、スイッチ部600’の可動接点が前記固定接点のうちの別の二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ612’として機能し、スイッチ612’がオンとなる。これにより、マイクロホンBがビームフォーマ部700’の遅延部710’に接続される。すなわち、マイクロホンBが副マイクロホンとなり、図13(b)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びBの配列方向に沿って図示上方向に向けて形成される。
【0069】
スイッチ部600’の回転体を回転させ、基準マークを回転角度(3)に位置させると、スイッチ部600’の可動接点が前記固定接点のうちの二つの固定接点に接触する。前記可動接点及び二つの固定接点がスイッチ613’として機能し、スイッチ613’がオンとなる。これにより、マイクロホンCがビームフォーマ部700’の遅延部710’に接続される。すなわち、マイクロホンCが副マイクロホンとなり、図13(c)に示すように、指向性ビームがマイクロホンD及びCの配列方向に沿って図示左斜め上方向に向けて形成される。
【0070】
このようなマイクロホン装置による場合、スイッチ部600’でマイクロホンA〜Cのうち任意の一つのマイクロホンとビームフォーマ部700’の遅延部710’との接続を切り替えるだけで、マイク部100’’の指向性ビームの向きをマイクロホンD及び前記一つのマイクロホンの配列方向に沿って可変させることができる。よって、前記マイクロホン装置は、マイク部100’’の指向性ビームの数だけ、ビームフォーマ部700’を用意する必要がなく、一つで足りるので、前記装置の構成を簡略化することができる。
【0071】
なお、本マイクロホン装置は、上記実施例1乃至4に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく説明する。
【0072】
マイク部100、100’、100’’については、マイクロホンA〜Dを有するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、二つ以上のマイクロホンを間隔をあけて配置し、スイッチ手段により、一方のマイクロホンをビームフォーマ部の演算部に、他方のマイクロホンをビームフォーマ部の遅延部に接続したり、一方をビームフォーマ部の遅延部に、他方のマイクロホンをビームフォーマ部の演算部に接続したりすることにより、指向性ビームの向きを180°可変させることができる。また、実施例1及び2では、マイクロホンA〜Dが仮想正方形の角部に配置されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、複数のマイクロホンを仮想三角形や仮想正五角形等の仮想多角形の角部に配置することが可能である。また、実施例3及び4では、マイクロホンA〜CがマイクロホンDから離れた位置に円弧状に配置されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、複数のマイクロホンをマイクロホンDから離れた位置に同一平面状に配置することが可能である。この場合、前記マイクロホンとマイクロホンDとの間の距離は、実施例1の距離D2の如く、指向性ビームに大きな影響が生じない程度の距離とする必要がある。また、複数のマイクロホンをマイクロホンDを中心とした円形又は球状に配置することも可能である。この場合、前記マイクロホンとマイクロホンDとの間の距離は略同じであることが好ましい。
【0073】
上記実施例1乃至4では、マイクロホンA〜Dは極性が同じであるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、二つのマイクロホンを間隔をあけて配置する場合、両者の極性を互いに逆することが可能である。また、実施例3及び4のマイクロホンA〜CとマイクロホンDとの極性を互いに逆とすることも可能である。これらの場合、上記演算部は、遅延部を通じて入力される一方のマイクロホンの音声信号と、他方の音声信号とを加算して相殺する構成とすれば良い。
【0074】
なお、マイクロホンの後段にA/D変換器を設けて、デジタル信号に変換するようにしても良い。
【0075】
上記実施例1乃至4では、スイッチ部はロータリスイッチであるとしたが、これに限定されるものではなく、プッシュスイッチやスライドスイッチ等その他の周知のスイッチ手段を用いることが可能である。また、上記実施例1乃至4では、スイッチ部はユーザーにより操作されるものであるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、本マイクロホン装置の制御部にプログラムを処理させ、所定時間毎にスイッチ部にマイクロホンとビームフォーマ部との接続を切り替えさせるように構成することも可能である。
【0076】
また、上記実施例1乃至4では、スイッチ部は一つであるとしたが、複数のスイッチ部を備えた構成とすることも可能である。例えば、実施例2において、第1スイッチ部によりマイクロホンA〜Dと第1ビームフォーマ部510との接続を切り替え、第2スイッチ部によりマイクロホンA〜Dと第2ビームフォーマ部510との接続を切り替える構成とすることも可能である。前記第1、第2スイッチ部はスイッチ部200と同じ構成とすることができる。
【0077】
上記実施例1乃至4では、ビームフォーマ部の遅延部は、マイクロホン間の距離D1又はDに応じた時間分遅延させ、演算部に出力する遅延回路であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、マイクロホン間の距離が一定でない場合、遅延部に各マイクロホン間の距離に応じて最適化された複数の遅延乗数を予め記録しておき、スイッチ部によるマイクロホンとビームフォーマ部との接続の切り替え時において、遅延部に接続されるマイクロホン間の距離に最適な遅延乗数を切り替えさせるように構成することも可能である。したがって、上記実施例1においても、スイッチ部200のマイクロホンA〜Dとビームフォーマ部300との接続の切り替え時において、主マイクロホンと副マイクロホンとの間の距離がD2となる場合には、遅延部310に、距離D1に応じて最適化された遅延乗数から距離D2に応じて最適化された遅延乗数に切り替えさせることができる。
【0078】
上記実施例1乃至4では、ビームフォーマ部の出力端子にメモリ部が接続されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ビームフォーマ部の出力端子にスピーカーを接続することも可能である。
【0079】
なお、上記実施例1乃至4では、マイクロホン装置の各部の寸法や配置、マイクロホンの接続の組み合わせ等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記実施例1乃至4では、本マイクロホン装置は、ICレコーダとして用いられるとしたが、これに限定されるものではなく、テレビ会議システム等の集音装置等にも用いることが可能である。
【符号の説明】
【0080】
100・・マイク部
A〜D・マイクロホン
200・・スイッチ部
221〜224・第1スイッチ
231〜234・第2スイッチ
300・・ビームフォーマ部
310・遅延部
320・演算部
400・・スイッチ部
421〜424・第1スイッチ
431〜434・第2スイッチ
441〜444・第3スイッチ
451〜454・第4スイッチ
510・・第1ビームフォーマ部
511・遅延部
512・演算部
520・・第2ビームフォーマ部
521・遅延部
522・演算部
600・・スイッチ部
611〜613・スイッチ
600’・スイッチ部
611’〜613’・スイッチ
700’・・ビームフォーマ部
710’・遅延部
720’・演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて配置された複数のマイクロホンを有するマイク部と、
前記マイクロホンのうち二つのマイクロホンの音声信号を処理することにより、該二つのマイクロホンのうち一方を主マイクロホン、他方を副マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するビームフォーマ部と、
このビームフォーマ部の前段に設けられており且つ前記マイクロホンのうちの二つのマイクロホンを該ビームフォーマ部に選択的に接続するスイッチ手段とを備えていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロホン装置において、
前記ビームフォーマ部は、演算部及び遅延部を有しており、
前記スイッチ手段は、前記二つのマイクロホンのうち一方を前記演算部に、他方を前記遅延部に選択的に接続し、一方のマイクロホンを主マイクロホン、他方のマイクロホンを副マイクロホンとしており、
前記遅延部は、前記副マイクロホンの音声信号を、該副マイクロホンと主マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させるようになっており、
前記演算部は、遅延させられた音声信号と主マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力するようになっていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマイクロホン装置において、
前記マイクロホンは仮想多角形の角部に配置されていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項4】
第1マイクロホン及び該第1マイクロホンと間隔をあけて配置された複数の第2マイクロホンを有するマイク部と、
第2マイクロホンのうちの一つの第2マイクロホン及び第1のマイクロホンの音声信号を処理することにより、前記第1マイクロホンを主マイクロホン又は副マイクロホン、前記第2マイクロホンを副マイクロホン又は主マイクロホンとする一次音圧傾度型マイクロホンユニットを構成し、主副マイクロホンの配列方向に沿った方向に前記マイク部の指向性ビームを形成するビームフォーマ部と、
このビームフォーマ部の前段に設けられており且つ前記第2マイクロホンのうちの一つの第2マイクロホンを該ビームフォーマ部に選択的に接続するスイッチ手段とを備えていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項5】
請求項4記載のマイクロホン装置において、
前記ビームフォーマ部は、前記第2マイクロホンの音声信号を、該第2マイクロホンと第1マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させる遅延部と、
前記第1マイクロホンに接続されており且つ遅延させられた前記第2のマイクロホンの音声信号と前記第1マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力する演算部とを有しており、
前記スイッチ手段は、前記第2マイクロホンの一つの第2マイクロホンを前記遅延部に選択的に接続するようになっていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項6】
請求項4記載のマイクロホン装置において、
前記ビームフォーマ部は、前記第1マイクロホンに接続されており且つ前記第1マイクロホンの音声信号を、該第1マイクロホンとスイッチ手段により該ビームフォーマ部に接続された第2マイクロホンとの間の距離に応じた時間分遅延させる遅延部と、
遅延させられた音声信号と前記第2マイクロホンの音声信号とを加算又は減算して出力する演算部とを有しており、
前記スイッチ手段は、前記第2マイクロホンの一つの第2マイクロホンを前記演算部に選択的に接続するようになっていることを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか記載のマイクロホン装置において、
前記ビームフォーマ部が複数であることを特徴とするマイクロホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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