マイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置
【課題】マイクロレンズアレイを使用した露光装置において、重ね合わせ露光時に複数のレイヤーで熱処理が行われてガラス基板が変形して従前のパターンに歪みが発生しても、高精度で重ね露光することができるマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置を提供する。
【解決手段】露光パターン50fの領域を上層レイヤーが露光する際、基板1の熱歪みに合わせて、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させ、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に垂直の面内で傾動させる。これにより、スキャン方向及びスキャン方向に垂直の方向に関して、上層レイヤーのパターンの倍率を調節して、高精度で重ね露光することができる。
【解決手段】露光パターン50fの領域を上層レイヤーが露光する際、基板1の熱歪みに合わせて、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させ、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に垂直の面内で傾動させる。これにより、スキャン方向及びスキャン方向に垂直の方向に関して、上層レイヤーのパターンの倍率を調節して、高精度で重ね露光することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズを2次元的に配列したマイクロレンズアレイによりマスクパターンを基板上に露光するスキャン露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ液晶基板及びカラーフィルタ基板等は、ガラス基板上に形成されたレジスト膜等を、数回、重ね合わせ露光して、所定のパターンを形成する。これらの被露光基板は、その膜形成過程で、延び縮みすることがあり、重ね合わせ露光の下層パターンが、製造条件(露光装置特性及び温度条件)により、設計上のピッチと異なってくることがある。このような重ね合わせ露光において、露光位置のピッチの変化が生じると、このピッチの変化は、露光装置側で倍率補正をして、吸収せざるを得なかった。即ち、被露光基板の寸法変動が生じた場合、ピッチがずれた分を、像の倍率を調整することにより、この像を変動後のピッチの基板上の所定位置の中央に配置する必要がある。
【0003】
一方、近時、マイクロレンズを2次元的に配置したマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置が提案されている(特許文献1)。このスキャン露光装置においては、複数個のマイクロレンズアレイを一方向に配列し、この配列方向に垂直の方向に基板及びマスクを、マイクロレンズアレイ及び露光光源に対して、相対的に移動させることにより、露光光がマスクをスキャンして、マスクに形成された露光パターンを基板上に結像させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−3829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来のスキャン露光装置においては、以下に示す問題点がある。通常のレンズを組み合わせて使用した投影光学系を使用した露光装置においては、レンズの間隔を調整する等により、倍率を調整することは容易である。しかし、マイクロレンズの場合は、例えば4mmの厚さの中に、8個のレンズを光軸方向に配置することにより、正立等倍像を基板上に結像させるようにしたものであるので、倍率の調整ができない。即ち、従来のマイクロレンズアレイによる場合は、正立等倍像しか露光することができない。よって、従来のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置においては、被露光基板のピッチ変更に対応することができないという問題点がある。
【0006】
特に、液晶表示パネルの製造工程においては、複数のレイヤーで熱処理が行われている。このため、各レイヤーの熱処理後にガラス基板が収縮する。特に、このガラス基板の収縮は、図20に示すように、ガラス基板の中心に向かって収縮することが多い。図20(a)は1枚のガラス基板上に形成された16個の理想的な格子状パターンを示す図であり、図20(b)はこの格子状パターンが、熱処理後の収縮により歪みが発生した状態を示すパターンである。このように、複数のレイヤーにおける熱処理により、ガラス基板は中心に向かって収縮することが多く、次順のパターニング露光時にこの歪みを補正する必要がある。しかし、通常のレンズを組み合わせた露光装置では、倍率を変更しながら、パターン変形を補正することができるが、マイクロレンズアレイを使用したスキャンニング露光装置では、倍率の変更ができないという難点がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マイクロレンズアレイを使用した露光装置において、重ね合わせ露光時に複数のレイヤーで熱処理が行われてガラス基板が変形し、従前のパターンに歪みが発生しても、高精度で重ね露光することができるマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置は、露光すべき基板の上方に配置され、夫々複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
前記ホルダに対して、前記マイクロレンズアレイを前記第1方向に直交する面内で傾斜させる第1駆動部材と、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記第1の駆動部材による前記マイクロレンズアレイの傾動と、前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とする。
【0009】
このマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置において、例えば、前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、6角形等の多角形の開口を有する多角(6角)視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角(6角)視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されている。
【0010】
また、このマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置において、更に、前記基板上の基準アライメントパターンを検出するアライメントパターン検出部を有し、
前記第2駆動部材は、前記マスクに設けたマスクアライメントパターンが前記基準アライメントパターンに整合するように、前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させるように構成することができる。
【0011】
この場合に、前記基準アライメントパターンは、前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとの相対的スキャン方向(第1方向)に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記マスクアライメントパターンも、前記第1方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記第2駆動部材は、前記基準アライメントパターンと、前記マスクアライメントパターンとが平行になるように前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることが好ましい。
【0012】
更にまた、前記マイクロレンズアレイは前記第1の方向に垂直の方向に複数個配置されており、前記第1駆動部材は、前記複数個のマイクロレンズアレイを相互に相関関係をもって独立した角度で傾斜させるように構成することができる。
【0013】
また、第1駆動部材の代わりに、前記単位マイクロレンズアレイの少なくとも一部を他の単位マイクロレンズアレイに対してその構成マイクロレンズの光軸が偏倚するように移動させる第3駆動部材を設け、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置にて、そのマイクロレンズの光軸を偏倚させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マイクロレンズアレイを使用した露光装置において、下層レイヤーの膜の熱処理等により基板に歪み変形が生じた場合に、それを、露光中に、又は露光前に、検出して、第1駆動部材によりマイクロレンズアレイを第1方向に直交する面内で傾斜させて第1方向に直交する方向のマイクロレンズアレイの倍率を調整し、第2駆動部材によりマスクを露光光の光軸の周りに回転させて又は光軸に垂直の方向に移動させて、光軸に垂直な面内におけるマスクパターンの露光位置を調整するので、基板に2次元的な歪みが発生しても、その歪みに合わせて露光位置を調整することができる。このように、オンラインで露光の位置ずれをリアルタイムで検出し、解消するので、重ね合わせ露光における露光位置の寸法精度を効率的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る露光装置の1個のマイクロレンズアレイの部分を示す縦断面図である。
【図3】このマイクロレンズアレイが複数個配列されている状態を示す斜視図である。
【図4】マイクロレンズを示す図である。
【図5】その6角視野絞りを示す図である。
【図6】マイクロレンズの6角視野絞りの配置を示す平面図である。
【図7】マスクとマイクロレンズアレイとの配置関係を示す斜視図である。
【図8】マイクロレンズアレイがホルダに配置された状態を示す断面図である。
【図9】アクチュエータである圧電素子によりマイクロレンズアレイを傾動させる動作を示す断面図である。
【図10】(a)、(b)は本発明の実施形態のマスク3と基板上の下層レイヤーのパターンとの関係を示す図である。
【図11】同じくその動作を示す図である。
【図12】同じくその動作を示す図である。
【図13】同じくその動作を示す図である。
【図14】マイクロレンズアレイを傾動させる動作を示す図である。
【図15】複数個のマイクロレンズアレイの傾動による倍率補正を示す図である。
【図16】同じく光軸偏倚がない状態のマイクロレンズアレイを示す断面図である。
【図17】同じく光軸を偏倚させた状態のマイクロレンズアレイを示す断面図である。
【図18】同じく光軸偏倚がない状態のマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図19】同じく光軸偏倚により露光位置が偏倚し、露光領域が拡大されたときのマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図20】(a)、(b)は従来の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置を示す模式図、図2は同じくその1個のマイクロレンズアレイの部分を示す縦断面図、図3はこのマイクロレンズアレイが複数個配列されている状態を示す斜視図、図4はマイクロレンズを示す図、図5はその6角視野絞りを示す図、図6はマイクロレンズの6角視野絞りの配置を示す平面図、図7は本発明の実施形態に係る露光装置を示す斜視図、図8及び図9はマイクロレンズアレイの傾動による倍率補正方法を示す図である。
【0017】
図1に示すように、露光光源4から出射された露光光は、平面ミラーを含む光学系21を介して、マスク3に導かれ、マスク3を透過した露光光は、マイクロレンズアレイ2に照射され、マスク3に形成されているパターンがマイクロレンズアレイ2により、基板1上に結像する。この光学系21の光路上にダイクロイックミラー22が配置されており、カメラ23からの観察光が、ダイクロイックミラー22で反射して、露光光源4からの露光光と同軸的にマスク3に向かう。また、この観察光はマイクロレンズアレイ2にて基板1上に収束し、基板1に既に形成されている基準パターンを反射して、この基準パターンの反射光がマイクロレンズアレイ2、マスク3及びダイクロイックミラー22を介してカメラ23に入射するようになっている。カメラ23は、この基準パターンの反射光を検出し、この検出信号を画像処理部24に出力する。画像処理部24は基準パターンの検出信号を画像処理し、基準パターンの検出画像を得る。画像処理部24にて得られた基準パターンの画像信号は制御部25に入力され、制御部25がこの検出された基準パターンに基づき、マスクの位置と基準パターンとの間のずれを演算し、このずれ量を解消するためのマイクロレンズアレイ2の傾斜角度及びマスク3の回転角度又は移動量を演算する。そして、制御部25は、このマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に応じた信号を、このマイクロレンズアレイ2の傾斜を駆動するピエゾ圧電素子14,15からなるアクチュエータ20(マイクロレンズアレイの第1駆動部材)に出力し、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこの信号に基づいてマイクロレンズアレイ2を傾斜駆動する。また、制御部25は、マスク3を光軸の周りに回転させる回転角度又は光軸に垂直の方向の移動量に応じた信号を、マスクの第2駆動部材(図示せず)に出力する。移動装置(図示せず)は、基板1とマスク3とを一体とし、マイクロレンズアレイ2と露光光源4及び光学系21とを一体として、両者を相対的にスキャン方向5(第1方向)に移動させ、マスクパターンを透過した露光光を、基板1上でスキャンする。
【0018】
次に、マイクロレンズアレイによる露光態様について、更に詳細に説明する。図2に示すように、ガラス基板等の被露光基板1の上方に、マイクロレンズ2aが2次元的に配置されて構成されたマイクロレンズアレイ2が配置され、更に、このマイクロレンズアレイ2の上にマスク3が配置され、マスク3の上方に露光光源4が配置されている。マスク3は透明基板3aの下面にCr膜3bからなる遮光膜が形成されていて、露光光はこのCr膜3bに形成された孔を透過してマイクロレンズアレイ2により基板上に収束する。本実施形態においては、例えば、基板1及びマスク3が固定されていて、マイクロレンズアレイ2及び露光光源4が同期して矢印5方向に移動することにより、露光光源4からの露光光がマスク3を透過して基板1上を矢印5方向にスキャンされる。このマイクロレンズアレイ2及び露光光源4の移動は、適宜の移動装置の駆動源により駆動される。なお、マイクロレンズアレイ2及び露光光源4を固定して、基板1及びマスク3を移動させることとしてもよい。
【0019】
図3に示すように、マイクロレンズアレイ2は、ホルダとしての支持基板6に、スキャン方向5に垂直の方向に例えば4個ずつ2列に配置されており、これらのマイクロレンズアレイ2は、スキャン方向5にみて、前段の4個のマイクロレンズアレイ2の相互間に、後段の4個のマイクロレンズアレイ2のうち3個が夫々配置されて、2列のマイクロレンズアレイ2が千鳥になるように配列されている。これにより、2列のマイクロレンズアレイ2により、基板1におけるスキャン方向5に垂直の方向の露光領域の全域が露光される。
【0020】
図4に示すように、各マイクロレンズアレイ2の各マイクロレンズ2aは、例えば、4枚8レンズ構成であり、4枚の単位マイクロレンズアレイ2−1,2−2,2−3,2−4が積層された構造を有する。各単位マイクロレンズアレイ2−1等は2個のレンズから構成されている。これにより、露光光は単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間で一旦収束し、更に単位マイクロレンズアレイ2−4の下方の基板上で結像する。そして、単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間に図5に示す6角視野絞り12が配置され、単位マイクロレンズアレイ2−3と単位マイクロレンズアレイ2−4との間に円形の開口絞り10が配置されている。
【0021】
図6は、各マイクロレンズアレイ2における各マイクロレンズ2aの配置態様を示すために、マイクロレンズ2aの配置態様を、マイクロレンズ2aの6角視野絞り12の位置として示す図である。この図6は後述のマイクロレンズ2aの光軸の偏倚(シフト)は行っていない状態である。この図6に示すように、マイクロレンズ2aは、スキャン方向5に垂直の方向に直線上に配列されており、スキャン方向5に隣接するマイクロレンズ列同士は、若干、横方向(スキャン方向に垂直の方向)にずれて配置されている。6角視野絞り12は、その開口部が、中央の矩形部分12aと、そのスキャン方向5に見て両側の三角形部分12b、12cとに分かれる。図6において、破線は、6角視野絞り12の6角形の各角部をスキャン方向5に結ぶ線分である。この図6において、スキャン方向5に垂直の方向に延びる各マイクロレンズ列に関し、スキャン方向5について3列の6角視野絞り12の列をみると、ある特定の1列目の6角視野絞り12の右側の三角形部分12cが、スキャン方向後方に隣接する2列目の6角視野絞り12の左側の三角形部分12bと重なり、1列目の6角視野絞り12の左側の三角形部分12bが、3列目の6角視野絞り12の右側の三角形部分12cと重なるように、これらのマイクロレンズ2aが配置されている。このようにして、スキャン方向5に関し、3列のマイクロレンズ2aが1セットとなって配置される。つまり、4列目のマイクロレンズ2aは、スキャン方向5に垂直の方向に関し、1列目のマイクロレンズ2aと同一位置に配置される。このとき、3列の6角視野絞り12において、スキャン方向5に隣接する2列の6角視野絞り12の三角形部分12bの面積と三角形部分12cの面積とを加算すると、このスキャン方向5に重なる2個の三角形部分12b、12cの合計面積の線密度は、中央の矩形部分12aの面積の線密度と同一になる。なお、この線密度とは、スキャン方向5に垂直の方向における単位長あたりの6角視野絞り12の開口面積である。つまり、三角形部分12b、12cの合計面積は、三角形部分12b、12cの底辺を長さとし、三角形部分12b、12cの高さを幅とする想定矩形部分の面積になる。この想定矩形部分は、矩形部分12aの長さと同一の長さであるから、スキャン方向5に垂直の方向に関する単位長あたりの開口面積(線密度)で比べると、三角形部分12b、12cの線密度と、矩形部分12aの線密度とは同一になる。このため、基板1が3列のマイクロレンズ2aのスキャンを受けると、このスキャン方向5に垂直の方向に関し、その全域で均一な光量の露光を受けたことになる。従って、各マイクロレンズアレイ2には、スキャン方向5に関し、3の整数倍の列のマイクロレンズ2aが配置されており、これにより、基板は、1回のスキャンによりそのスキャン領域の全域で均一な光量の露光を受けることになる。
【0022】
このように構成されたマイクロレンズアレイ2においては、露光光源4から露光光が照射されている間に、この露光光及びマイクロレンズアレイ2を基板1に対して相対的に移動させて、露光光により基板を走査することにより、基板1の露光対象領域の全域で、基板1は均一な光量の露光を受ける。つまり、基板1はマイクロレンズ2aの位置に応じてスポット的な露光を受けるのではなく、1列のマイクロレンズ2aの相互間の領域は、他列のマイクロレンズ2aにより露光されて、基板1は、あたかも、平面露光を受けた場合と同様に、露光対象領域の全域で均一な露光を受ける。そして、基板1上に投影されるパターンは、マイクロレンズ2aの6角視野絞り12及び開口絞り10の形状ではなく、マスク3のCr膜(遮光膜)3bの孔に形成されたマスクパターン(露光パターン)により決まるパターンである。なお、反転結像位置に設けられる絞りは、6角形の開口部を有する6角視野絞りに限らず、多角形であれば良い。
【0023】
図7は図3に示す複数個のマイクロレンズアレイ2の配置態様の変形例を示す。図7に示すように、マイクロレンズアレイ2は、支持板6に、マイクロレンズアレイ2b及びマイクロレンズアレイ2cの2列に分かれて配置されており、スキャン方向5に垂直の方向に列をなすように、またマイクロレンズアレイ2bとマイクロレンズアレイ2cとがスキャン方向5に相互にずれて配置されている。マイクロレンズアレイ2は、図8及び図9に示すように、支持板6に設けた孔6a内に嵌合して配置されており、各孔6aは各マイクロレンズアレイ2の外形に見合う大きさを有している。マイクロレンズアレイ2は、そのスキャン方向5に直交する方向については、隣接するマイクロレンズアレイ2同士(マイクロレンズアレイ2bとマイクロレンズアレイ2c)が相互に接近するように連なって配置されている。そして、このスキャン方向5に直交する方向に隣接するマイクロレンズアレイ2間の支持板6の部分は、極めて細く、また、マイクロレンズアレイ2におけるスキャン方向5に直交する方向の端部はこの端部のマイクロレンズ2aと端縁との間の間隔がマイクロレンズ2aの配列ピッチの1/2未満に短くなっている。このため、各マイクロレンズアレイ2は、図7に示すように、スキャン方向5に直交する方向に連なっていても、このスキャン方向5に直交する方向の全てのマイクロレンズアレイ2のマイクロレンズ2a間の間隔を同一にすることができる。即ち、マイクロレンズ2aのスキャン方向5に直交する方向のピッチは、全てのマイクロレンズアレイ2について一定である。スキャン方向5については、1個のマイクロレンズアレイ2が配置されており、そのマイクロレンズアレイ2内のマイクロレンズ2aのピッチは一定である。
【0024】
なお、マイクロレンズアレイ2は、支持板6に対し、図3に示すように、スキャン方向5及びスキャン方向5に直交する方向の双方に相互に離隔するように配置することもできる。この場合は、スキャン方向5に見た場合に、マイクロレンズアレイ2をその端部同士が重なるように設けることができ、従って、スキャン方向5に直交する方向に関し、各マイクロレンズアレイ2の端部におけるマイクロレンズ2aと端縁との間隔をマイクロレンズ2aのピッチの1/2未満になるように、短くする必要がなく、各マイクロレンズアレイ2の端部の幅を十分大きくとることができる。また、支持板6の孔6aは、スキャン方向5に直交する方向の相互間隔を、図7に示すような短いものにする必要がなく、十分広くとることができる。なお、図7及び図3は、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に直交する方向について、千鳥状に配置しているが、図7に示すように、マイクロレンズアレイ2が相互に近接している場合は、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に一直線状に整列させて配置することも可能である。
【0025】
図7に示す実施形態では、各マイクロレンズアレイ2bは、例えば、スキャン方向5に対向する2辺で、一方は2個の圧電素子14a,14bに支持され、他方は1個の圧電素子15aに支持されており、マイクロレンズアレイ2cは、例えば、スキャン方向5に対向する2辺で、一方は1個の圧電素子14cに支持され、他方は2個の圧電素子15b、15cに支持されている。図3に示す実施形態では、各マイクロレンズアレイ2は、スキャン方向5に垂直の方向に対向する2辺で、図7と同様に、一方は2個の圧電素子により、他方は1個の圧電素子により支持されている。
【0026】
図8及び図9に示すように、支持板6におけるマイクロレンズアレイ2の配置位置には、前述のごとく、マイクロレンズアレイ2の形状に対応する形状の孔6aが形成されており、マイクロレンズアレイ2はこの孔6a内に嵌合されている。また、この孔6aの周囲は、支持板6の上面が切り欠かれて、段差6bが形成されており、この段差6bの低い部分、即ち、孔6aの周辺部分に、圧電素子14(14a、14b、14c),15(15a、15b、15c)が配置されている。そして、マイクロレンズアレイ2はその上方部分に水平方向に張り出すフランジ部9が形成されており、このフランジ部9が、支持板6の孔6aの周囲部分の段差6bに位置する。
【0027】
圧電素子14,15は、夫々、その基部141、151が支持板6の段差6bの低い部分に固定されており、その先端142、152がマイクロレンズアレイ2のフランジ部9の下面に固定されている。そして、圧電素子14,15は引出線7により制御装置25に接続されており、圧電素子14,15は、この引出線7を介して制御装置から駆動電圧を供給されて、図9に示すように、変形する。即ち、図8においては、圧電素子14,15が変形していないので、マイクロレンズアレイ2の光軸は鉛直(支持板6の表面に垂直)方向を向いているが、図9においては、図示の左側の圧電素子14がその先端142が上向くように変形しており、これにより、マイクロレンズアレイ2はその光軸が鉛直方向に対し傾斜する方向に向いている。このようにして、マイクロレンズアレイ2の光軸の方向を、圧電素子に対する印加電圧を調整することにより調整できるので、基板上の基準パターンに位置ずれがある場合は、露光中に位置ずれを検出し、1又は複数のマイクロレンズアレイの傾斜角度を調節することにより、この位置ずれを解消することができる。なお、圧電素子14,15による支持点は、上述の3点に限らず、4点以上設けても良いことは勿論である。この場合、4点以上の圧電素子の変形量は、相互に規制する必要がある。
【0028】
このように構成されたマイクロレンズアレイ2の支持機構においては、圧電素子14,15に印加する電圧を制御することにより、圧電素子14,15の変形量を制御することができ、3点で支持されたマイクロレンズアレイ2の圧電素子14,15の変形量の組合せを調整することにより、マイクロレンズアレイ2を任意の方向に傾斜させることができる。
【0029】
即ち、制御部25は、このマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に応じた信号を、このマイクロレンズアレイ2の傾斜を駆動するピエゾ圧電素子14,15からなるアクチュエータ20に出力し、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこの信号に基づいてマイクロレンズアレイを傾斜駆動する。即ち、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこのマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に基づき、圧電素子14,15に印加する電圧を調整して、マイクロレンズアレイ2を所定の傾斜角度になるように駆動する。
【0030】
この場合に、図3に示すマイクロレンズアレイ2の配置態様の場合は、圧電素子14,15をマイクロレンズアレイ2におけるスキャン方向5に垂直の方向に対向する2辺に設置したので、圧電素子14と圧電素子15との間の相対的変形量を異ならせることにより、図15に示すように、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。なお、図15において、スキャン方向は紙面に垂直の方向である。一方、図7に示すマイクロレンズアレイ2bの配置態様の場合は、圧電素子15aを駆動せず、圧電素子14aと圧電素子14bとの間の駆動変形量を異ならせることにより、マイクロレンズアレイ2bをスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。また、図7に示すマイクロレンズアレイ2cの配置態様の場合も、圧電素子14cは駆動せず、圧電素子15bと圧電素子15cとの間の駆動変形量を異ならせることにより、マイクロレンズアレイ2cをスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。よって、図3及び図7のいずれの配置態様においても、図15に示すように、マイクロレンズアレイをスキャン方向に垂直の方向に傾動させることができる。
【0031】
図10は本発明の実施形態に係るスキャン露光装置におけるマスクと従前の工程における露光により基板が変形した下層レイヤーの露光パターン50a〜50pとの関係を示す。なお、図10(a)は基板1の全体を示し、図10(b)は図10(a)の2点鎖線にて示す領域を拡大して示す。マスク3はフレーム30の内側にマスクパターン31が形成されている。基板1は、例えば、16分割されて、各領域に露光パターンが形成されることにより、16枚の液晶表示基板を採取することができる。即ち、16個の露光パターン50a〜50pは、製造せんとする16枚の液晶表示基板に対応する。本実施形態のスキャン露光装置は、この基板1の16分割された領域を、例えば、4ヘッド構成のマスク3により露光するので、基板1上を4分割された領域は、各領域毎に、1個のマスク3により露光され、1個のマスク3には、1個の領域に対応する露光パターンが形成されている。
【0032】
具体的には、例えば、基板1をその中心を通る線分で4分割し、各分割領域から4枚の液晶表示基板を採取する。そして、各分割領域に1個のマスクヘッドを配置し、この1個のマスクヘッドを、各分割領域内で、4個の露光パターンの領域に順次移動させながら、これらの4個の露光パターンの領域を露光する。即ち、1個のマスクヘッドを、図10(a)の露光パターン50a、50b、50f、50eの位置にこの順に移動させて、各位置にてマイクロレンズアレイをマスク3に対して相対的にスキャン移動させてマスク3のパターンを基板に転写し、この動作を4個の領域に順次繰り返す。また、露光パターン50c、50d、50h、50gについても、別の2番目のヘッドのマスク(図示せず)により、この順に順次露光する。更に、3番目のヘッドのマスク(図示せず)により、露光パターン50i、50j、50n、50mを順次露光する。更に、4番目のヘッドのマスク(図示せず)により、露光パターン50k、50l、50p、50oを順次露光する。このようにして、第1工程においては、4個のヘッドにより、露光パターン50a、50c、40i、50kの領域を同時に露光し、第2工程においては、4個のヘッドにより、露光パターン50b、50d、50j、50lを同時に露光するというように、各ヘッドを連動させて移動配置し、4個のヘッドを使用して16個の領域を4工程で順次露光する。各工程においては、例えば、基板1及びマスク3を固定しておき、支持基板6に支持されたマイクロレンズアレイ2と、このマイクロレンズアレイ2の全透過領域に露光光を照射する光源4とを、スキャン方向5に移動させる。このとき、図15に示すように、1個のマスク3に対し、複数個のマイクロレンズアレイ2が配置される(図15の図示例は、4個)。
【0033】
而して、基板1上の膜には、従前の露光による露光パターン50a〜50pが形成されている。この基板1上の膜は、当初、図20(a)に示すように、基板1上の16分割された領域(16枚の製品を取得する場合)に、例えば、横に延びる直線状のパターンが形成されている。そして、複数のレイヤーを露光したことにより、図20(b)及び図10(a)に示すように、ガラス基板1が熱応力により歪み、従前の露光パターン50a〜50pが4コーナー部で拡大し、中央部で縮むように変形している。そして、図10(b)に示すように、例えば、マスク3が基板1上の露光パターン50fの領域にマスクパターンを重ね露光しようとする場合、例えば、基板1及びマスク3に対して、支持基板6に支持されたマイクロレンズアレイ2と、このマイクロレンズアレイ2の全透過領域に露光光を照射する光源4とを、スキャン方向5に移動させる。又は、マイクロレンズアレイ2及び光源4に対して、基板1及びマスク3をスキャン方向5の反対方向に移動させてもよい。いずれの場合も、マスク3を透過した露光光が、マイクロレンズアレイ2により基板1上の膜に収束して、露光光がスキャン方向5へスキャンされて、マスクパターンが前記膜に転写される。
【0034】
このとき、マスク3は、そのフレーム30内に、露光すべきパターン31(図示例は、横方向に延びる線状のパターン)が形成されている。そして、マスク3は、露光光の光軸(図10の紙面に垂直の方向)の周りに回転させ、又は光軸に垂直の方向に移動させることができ、従前のレイヤーの歪みの程度に応じて、マスク3の回転の角度又は移動量が設定される。また、このマスク3の露光光の光軸の周りの回転は、4ヘッドのマスクの全体を回転させてもよいし、4ヘッドのうち、各マスク3を個別に回転させ、この回転角度を、マスク毎に適切な角度に調整することもできる。
【0035】
基板1には、図11に示すように、露光パターン50fの露光開始地点において、マイクロレンズアレイ2の長手方向(スキャン方向5に垂直の方向)に離隔した2点に、マークAが形成されている。この2つのマークAを結ぶ線分は、基板1が歪むと、図20(a)に示すように基板に歪みがないときの線分の方向から離脱して、微小な角度をなして傾斜している。そこで、制御装置(図示せず)は、従前の露光により下層レイヤーに形成された基準パターンA−Aとマスク3の露光パターン31とが平行になるように、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させる。
【0036】
このような下層レイヤーに対するマスク位置の調整は、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させることに限らず、マスク3を露光光の光軸に垂直の面内で、光軸に垂直の方向(X−Y方向)に移動させる(シフトさせる)ことによって、行ってもよい。
【0037】
この基準線(マークA−Aを結ぶ線分)の他に、基板1には、図12に示すように、露光領域50fにおけるマイクロレンズアレイ2によるスキャンの途中の位置に、マークB―Bが設けられており、図13に示すように、マイクロレンズアレイ2によるスキャンの最終位置に、マークC−Cが設けられている。
【0038】
図14は、図8及び図9に示すように、マイクロレンズアレイ2をその支持基板6(ホルダ)に対して傾斜させることにより、スキャン方向5に垂直の方向における倍率の調整を行うことを示す図である。即ち、図14(a)に示すように、露光パターン50aにおいて、その基板コーナー部に近い部分は、従前の露光パターンがスキャン方向5に垂直の方向により広く広がっており、基板の中央部に近い部分は、この従前の露光パターンの広がりがより小さい。このため、この基板中央寄りの下層レイヤーの露光パターンの上に重ね露光する場合は、図14(b)に示すように、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度は小さく、図14(c)及び図14(d)に示すように、基板コーナー寄りの下層レイヤーの露光パターンの上に重ね露光する場合は、基板コーナーに近いほど、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度を大きくする。これにより、スキャン方向5に垂直の方向についてのマイクロレンズアレイ2の倍率を調節して、基板1の歪みに対応したパターンを、下層レイヤーの上に重ね露光することができる。
【0039】
次に、上述のごとく構成された本実施形態のスキャン露光装置の動作について説明する。先ず、図1及び図2に示すように、基板1及びマスク3に対して、マイクロレンズアレイ2及び光源4を、相対的にスキャン方向5に移動させて、マスク3の孔を透過した露光光により、基板1をスキャンする。このマイクロレンズアレイ2は基本的にはマスク3に形成された露光パターンの正立等倍像を基板上の膜に転写する。この1回のスキャンにより、例えば、図10(a)に示す露光パターン50fが基板上の膜に形成される。他の露光パターン50a等も、同様にして露光光の1回のスキャンで形成される。即ち、例えば、マスク3及び基板1が固定されている状態で、マイクロレンズアレイ2及び光源をマスク3の一方の端部側から、他方の端部側に向けて、スキャン方向5に移動させる。これにより1レイヤーが露光される。
【0040】
そして、このようにして下層レイヤーの露光が終了した後、図10(a)に示すように、下層レイヤーの露光パターンが、基板に対する熱歪みで、歪んでいるので、その上に、マスク3のパターンを重ね露光したのでは、下層レイヤーのパターンと、上層レイヤーのパターンとが不一致となってしまい、目的とするパターンを基板上の膜に形成することができない。そこで、本発明においては、図11に示すように、カメラ23が基板1の表面に形成された2個のマークAを検出し、その2個のマークA−A線を結ぶ線分を求め、このA−A線を基板歪みの程度を認識する指標とする。即ち、本発明においては、制御装置が、この基準アライメントパターンであるA−A線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに回転させる。これにより、下層レイヤーのパターンが基板の熱歪みにより歪んでいたとしても、その歪みに合わせてマスク3のマスクパターンの方向を整合させることができる。
【0041】
そして、上述のごとく基準アライメントパターンA−Aに基づいてマスク3の光軸の周りの回転角度が設定された状態で、マイクロレンズアレイ2及び光源が、マスク3に対してスキャン移動して、図11にて基準アライメントパターンA−Aを検出したカメラもマイクロレンズアレイ2と共に移動し、このカメラが図12に示すマスク3の中間位置に対応する位置の基板1に形成されている基準アライメントパターンB−Bを検出したときに、このB−B線を基板歪みの程度を認識する指標として、制御装置が、基準アライメントパターンであるB−B線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに更に回転させる。つまり、基準アライメントパターンA−Aに基づいて設定されたマスク3の回転角度を、基準アライメントパターンB−Bに基づいて再調整する。勿論、露光する前に、基準アライメントパターンA−A、B−B、C−Cを事前にアライメントカメラにて確認し、それに基づいてマスクの回転とマイクロレンズアレイの移動を連動させてもよい。
【0042】
そして、マイクロレンズアレイ2及び光源が、更にマスク3に対してスキャン移動すると、今度は、カメラがマスク3の他方の端部側の位置に対応する位置の基板1に形成された基準アライメントパターンである2個のマークCを検出する。そうすると、このC−C線を基板歪みの程度を認識する指標として、制御装置が、基準アライメントパターンであるC−C線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに回転させる。つまり、基準アライメントパターンB−Bに基づいて設定されたマスク3の回転角度を、基準アライメントパターンC−Cに基づいて再調整する。なお、基準アライメントパターンA−A,B−B,C−Cの検出は、光源4と同軸的に基板上を観察するカメラ23によらず、マイクロレンズアレイ2と一体的に移動するように露光光の光軸よりもスキャン方向の先方にラインセンサを設け、このラインセンサにより基準アライメントパターンA−A,B−B,C−Cを検出することとしても良い。
【0043】
このようにして、マイクロレンズアレイ2及び光源のスキャン移動の間に、カメラ23又はマイクロレンズアレイ2よりもスキャン方向の前方に設けられたラインセンサが、マイクロレンズアレイ2による露光領域におけるスキャン方向の前端にて、又はマイクロレンズアレイ2よりも先行位置にて、基板1に形成されている基準アライメントパターンA−A、B−B,C−Cを先取りして順次検出し、この検出結果に基づいて、基板1上の基準アライメントパターンとマスク3の横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるようにマスク3の光軸周りの回転角度を調整する。これにより、基板1に熱歪みが生じていて、下層レイヤーのパターンが歪んでいても、また、基板の歪みの程度が基板位置により異なっていても、上層レイヤーのパターンを高精度で下層レイヤー上に重ね露光することができる。このようにして、基板の熱歪みにより、下層レイヤーパターンが変形している場合に、スキャン方向5について、この変形に見合う位置に上層レイヤーのパターンを重ね露光することができ、スキャン方向5についての基板歪みにより露光不良を解消することができる。
【0044】
一方、この基板の熱歪みによる露光パターンの歪みは、図20(b)に示すように、スキャン方向5に垂直の方向にも生じているので、図14に示すように、マイクロレンズアレイ2をその支持基板6に対して、スキャン方向5に垂直の面内で傾動させ、このスキャン方向5に垂直の方向のパターン歪みを解消する。図14(a)に示すように、基板1のコーナー部近傍においては、下層レイヤーのパターンが、基板中心をスキャン方向5に貫く線分に対し、この線分からより遠くに位置しており、マイクロレンズアレイ2を支持基板6に対してより大きな角度で傾斜させ、マスク3の露光パターンをこの下層レイヤーの上に高精度で重ねる。一方、基板1のより中央部側の位置においては、下層レイヤーのパターンと基板中心をスキャン方向5に貫く線分との間の距離はより小さくなるので、マイクロレンズアレイ2の傾動角度はより小さくする。従って、マイクロレンズアレイ2が露光している位置に応じて、このマイクロレンズアレイ2の傾動角度を変更し、歪みが生じている下層レイヤーの露光パターンの位置に高精度で合わせて上層のレイヤーのパターンを重ねる。これにより、基板の熱歪みにより、下層レイヤーパターンが変形している場合に、スキャン方向5に垂直の方向について、この変形に見合う位置に上層レイヤーの露光パターンを重ね露光することができ、より高精度で基板歪みに合わせ上層のレイヤーを露光することができる。なお、図14(b)、(c)、(d)においては、図示の簡略化のために、1個の露光領域に対して、1個のマイクロレンズアレイのみ図示されているが、実際は、図15に示すように、複数個のマイクロレンズアレイ2が連動して1個の露光領域を露光する。
【0045】
このスキャン方向5に関する上層レイヤーの露光位置の調整(マスク回転)と、スキャン方向5に垂直方向に関する上層レイヤーの露光位置の調整(マイクロレンズアレイ傾動)とを同時に制御しつつ、上層レイヤーを露光することにより、基板1に2次元的な熱歪みが生じても、高精度で重ね露光することができる。
【0046】
図15は、スキャン方向5に垂直の方向に複数個配置されたマイクロレンズアレイ2を、隣接するマイクロレンズアレイ2に対して徐々にその傾斜角度を大きくしていった場合の露光光と基板1との関係を示す図である。この図15に示すように、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度が大きくなると、基板1に対する露光光の入射角度が90°から次第に小さくなっていく(鋭角になっていく)。これにより、隣接するマイクロレンズアレイ2間の露光領域の間隔b1,b2,b3が徐々に大きくなり、水平配置のマイクロレンズアレイ2の端部(基準点)のパターンに対して、傾斜角度が最も大きなマイクロレンズアレイ2の最も前記基準点から離れた位置のパターンは、全てのマイクロレンズアレイ2が水平の場合の露光位置に比して、基準点から遠いものとなる。このように、一列に並んだマイクロレンズアレイ2の傾斜角度を徐々に大きくしていくだけで、基板上の露光位置を調整することができ、基板上の露光領域を拡大することができる。逆に、露光領域を縮小する場合も、マイクロレンズアレイ2を逆方向に傾斜させればよい。
【0047】
なお、上記実施形態においては、図15に示すように、マイクロレンズアレイを傾斜させることにより、本来、正立等倍像の露光しかできないマイクロレンズアレイにおいて、その倍率の調整又は露光位置の調整を可能としているが、本発明はこれに限らず、図16乃至図19(他の実施形態)に示すように、マイクロレンズの光軸を偏倚させることによっても、マイクロレンズアレイの倍率の調整及び露光位置の調整を行うことができる。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、マイクロレンズアレイの傾動によりスキャン方向5に垂直の方向の倍率を調整するのではなく、マイクロレンズの光軸の偏倚により、スキャン方向5に垂直の方向の倍率を調整するものである。図16は、単位マイクロレンズアレイ2-1,2-2,2−3,2−4の積層状態を示す模式図である。これらの4枚の単位マイクロレンズアレイ2−1等の各マイクロレンズ2aの構成は、各単位マイクロレンズアレイ2−1毎に2枚の凸レンズからなるものである。常態では、図16に示すように、単位マイクロレンズアレイ2−1,2-2,2−3,2−4の各マイクロレンズ2aの光軸は、いずれも一致している。従って、露光光は図18に示すように、基板に対して垂直に入射する。
【0049】
而して、本実施形態においては、図17に示すように、第1層目の単位マイクロレンズアレイ2−1及び第2層目の単位マイクロレンズアレイ2−2のマイクロレンズ2aの光軸と、第3層目の単位マイクロレンズアレイ2−3及び第4層目の単位マイクロレンズアレイ2−4のマイクロレンズ2aの光軸とを、dの大きさで偏倚(シフト)させることができるようになっている。この偏倚量dは例えば0.3μmである。このように、単位マイクロレンズアレイ2−3,2−4のマイクロレンズの光軸が偏倚することにより、図19に示すように、露光光は単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間で屈曲し、この露光光は、図18に比して、若干ずれた位置で基板に入射する。第3層の単位マイクロレンズアレイ2−3のマイクロレンズの光軸の偏倚量dに対し、最下層の第4の単位マイクロレンズアレイ2-4を出射する露光光の光軸は約2倍の2dだけ偏倚し、露光光の基板上における偏倚量は約2dとなる。即ち、マイクロレンズの光軸を偏倚量dだけ偏倚させると、投影パターンは基板上で約2dだけ偏倚し、上述のd=0.3μmの場合には、基板上の投影パターンは0.6μmだけ偏倚する。
【0050】
このようにして、単位マイクロレンズアレイ2-1等のマイクロレンズ2aの光軸を偏倚(シフト)させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整することができる。
【0051】
マイクロレンズの光軸の偏倚は、一部の単位マイクロレンズアレイを他の単位マイクロレンズアレイに対して光軸に垂直の方向に移動させればよい。この単位マイクロレンズアレイの移動は、例えば、圧電素子に電圧を印加することにより、その電圧変化で圧電素子が歪んだ量だけ単位マイクロレンズアレイを光軸に垂直の方向に押し出すようにすれば良い。この場合は、圧電素子が駆動部材となるが、駆動部材としては、圧電素子に限らず、種々の装置又は部材を使用することができる。
【0052】
なお、倍率を縮小する場合も、同様に露光位置の調整で行うことができる。また、上記実施形態では、第1及び第2層の単位マイクロレンズアレイ2−1,2−2と、第3及び第4層の単位マイクロレンズアレイ2−3,2−4との間で、そのマイクロレンズ2aの光軸を偏倚させることにより、露光位置調整を行ったが、これは、マイクロレンズアレイの反転結像位置で単位マイクロレンズアレイのマイクロレンズの光軸をずらすものである。このため、マイクロレンズアレイ2における単位マイクロレンズアレイの枚数も、上記実施形態のように、4枚に限定されるものではないが、その場合も、単位マイクロレンズアレイのマイクロレンズの光軸の偏倚は、マイクロレンズアレイの反転結像位置で行う必要がある。
【0053】
本実施形態においても、重ね合わせ露光において、基板の寸法の変動が生じても、これをリアルタイムで検出して、その露光位置を下層の露光パターンに高精度で合わせることができる。即ち、本実施形態においては、露光装置内で、露光中に下層パターンと露光パターンとの位置ずれを、マイクロレンズアレイにおける単位マイクロレンズアレイの移動によるマイクロレンズの光軸の位置調整により修正することができ、リアルタイムに位置ずれを修正して、高精度の重ね露光を行うことができる。
【0054】
しかも、本実施形態においては、マイクロレンズ2aの光軸を偏倚(シフト)させることにより、基板上における露光位置の調整、ひいては露光パターンの倍率調整を行っているので、露光光の焦点深度は各マイクロレンズアレイについて変動しない。即ち、全てのマイクロレンズの焦点深度の範囲内に、基板上の露光すべき面を位置させることができる。通常、マイクロレンズアレイの焦点深度は50μmであるが、この焦点深度内に、基板上の露光面を位置させることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0055】
1:基板
2:マイクロレンズアレイ
2a:マイクロレンズ
2−1〜2−4:単位マイクロレンズアレイ
3:マスク
3a:透明基板
3b:Cr膜
4:露光光源
5:スキャン方向
6:支持基板
10:レンズ視野領域
12:6角視野絞り
12a:矩形部分
12b、12c:三角形部分
14(14a、14b、14c),15(15a、15b、15c):圧電素子
20:アクチュエータ
21:光学系
22:ダイクロイックミラー
23:ラインCCDカメラ
24:画像処理部
25:制御部
50a〜50p:露光パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズを2次元的に配列したマイクロレンズアレイによりマスクパターンを基板上に露光するスキャン露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ液晶基板及びカラーフィルタ基板等は、ガラス基板上に形成されたレジスト膜等を、数回、重ね合わせ露光して、所定のパターンを形成する。これらの被露光基板は、その膜形成過程で、延び縮みすることがあり、重ね合わせ露光の下層パターンが、製造条件(露光装置特性及び温度条件)により、設計上のピッチと異なってくることがある。このような重ね合わせ露光において、露光位置のピッチの変化が生じると、このピッチの変化は、露光装置側で倍率補正をして、吸収せざるを得なかった。即ち、被露光基板の寸法変動が生じた場合、ピッチがずれた分を、像の倍率を調整することにより、この像を変動後のピッチの基板上の所定位置の中央に配置する必要がある。
【0003】
一方、近時、マイクロレンズを2次元的に配置したマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置が提案されている(特許文献1)。このスキャン露光装置においては、複数個のマイクロレンズアレイを一方向に配列し、この配列方向に垂直の方向に基板及びマスクを、マイクロレンズアレイ及び露光光源に対して、相対的に移動させることにより、露光光がマスクをスキャンして、マスクに形成された露光パターンを基板上に結像させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−3829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来のスキャン露光装置においては、以下に示す問題点がある。通常のレンズを組み合わせて使用した投影光学系を使用した露光装置においては、レンズの間隔を調整する等により、倍率を調整することは容易である。しかし、マイクロレンズの場合は、例えば4mmの厚さの中に、8個のレンズを光軸方向に配置することにより、正立等倍像を基板上に結像させるようにしたものであるので、倍率の調整ができない。即ち、従来のマイクロレンズアレイによる場合は、正立等倍像しか露光することができない。よって、従来のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置においては、被露光基板のピッチ変更に対応することができないという問題点がある。
【0006】
特に、液晶表示パネルの製造工程においては、複数のレイヤーで熱処理が行われている。このため、各レイヤーの熱処理後にガラス基板が収縮する。特に、このガラス基板の収縮は、図20に示すように、ガラス基板の中心に向かって収縮することが多い。図20(a)は1枚のガラス基板上に形成された16個の理想的な格子状パターンを示す図であり、図20(b)はこの格子状パターンが、熱処理後の収縮により歪みが発生した状態を示すパターンである。このように、複数のレイヤーにおける熱処理により、ガラス基板は中心に向かって収縮することが多く、次順のパターニング露光時にこの歪みを補正する必要がある。しかし、通常のレンズを組み合わせた露光装置では、倍率を変更しながら、パターン変形を補正することができるが、マイクロレンズアレイを使用したスキャンニング露光装置では、倍率の変更ができないという難点がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マイクロレンズアレイを使用した露光装置において、重ね合わせ露光時に複数のレイヤーで熱処理が行われてガラス基板が変形し、従前のパターンに歪みが発生しても、高精度で重ね露光することができるマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置は、露光すべき基板の上方に配置され、夫々複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
前記ホルダに対して、前記マイクロレンズアレイを前記第1方向に直交する面内で傾斜させる第1駆動部材と、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記第1の駆動部材による前記マイクロレンズアレイの傾動と、前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とする。
【0009】
このマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置において、例えば、前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、6角形等の多角形の開口を有する多角(6角)視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角(6角)視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されている。
【0010】
また、このマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置において、更に、前記基板上の基準アライメントパターンを検出するアライメントパターン検出部を有し、
前記第2駆動部材は、前記マスクに設けたマスクアライメントパターンが前記基準アライメントパターンに整合するように、前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させるように構成することができる。
【0011】
この場合に、前記基準アライメントパターンは、前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとの相対的スキャン方向(第1方向)に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記マスクアライメントパターンも、前記第1方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記第2駆動部材は、前記基準アライメントパターンと、前記マスクアライメントパターンとが平行になるように前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることが好ましい。
【0012】
更にまた、前記マイクロレンズアレイは前記第1の方向に垂直の方向に複数個配置されており、前記第1駆動部材は、前記複数個のマイクロレンズアレイを相互に相関関係をもって独立した角度で傾斜させるように構成することができる。
【0013】
また、第1駆動部材の代わりに、前記単位マイクロレンズアレイの少なくとも一部を他の単位マイクロレンズアレイに対してその構成マイクロレンズの光軸が偏倚するように移動させる第3駆動部材を設け、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置にて、そのマイクロレンズの光軸を偏倚させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マイクロレンズアレイを使用した露光装置において、下層レイヤーの膜の熱処理等により基板に歪み変形が生じた場合に、それを、露光中に、又は露光前に、検出して、第1駆動部材によりマイクロレンズアレイを第1方向に直交する面内で傾斜させて第1方向に直交する方向のマイクロレンズアレイの倍率を調整し、第2駆動部材によりマスクを露光光の光軸の周りに回転させて又は光軸に垂直の方向に移動させて、光軸に垂直な面内におけるマスクパターンの露光位置を調整するので、基板に2次元的な歪みが発生しても、その歪みに合わせて露光位置を調整することができる。このように、オンラインで露光の位置ずれをリアルタイムで検出し、解消するので、重ね合わせ露光における露光位置の寸法精度を効率的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る露光装置の1個のマイクロレンズアレイの部分を示す縦断面図である。
【図3】このマイクロレンズアレイが複数個配列されている状態を示す斜視図である。
【図4】マイクロレンズを示す図である。
【図5】その6角視野絞りを示す図である。
【図6】マイクロレンズの6角視野絞りの配置を示す平面図である。
【図7】マスクとマイクロレンズアレイとの配置関係を示す斜視図である。
【図8】マイクロレンズアレイがホルダに配置された状態を示す断面図である。
【図9】アクチュエータである圧電素子によりマイクロレンズアレイを傾動させる動作を示す断面図である。
【図10】(a)、(b)は本発明の実施形態のマスク3と基板上の下層レイヤーのパターンとの関係を示す図である。
【図11】同じくその動作を示す図である。
【図12】同じくその動作を示す図である。
【図13】同じくその動作を示す図である。
【図14】マイクロレンズアレイを傾動させる動作を示す図である。
【図15】複数個のマイクロレンズアレイの傾動による倍率補正を示す図である。
【図16】同じく光軸偏倚がない状態のマイクロレンズアレイを示す断面図である。
【図17】同じく光軸を偏倚させた状態のマイクロレンズアレイを示す断面図である。
【図18】同じく光軸偏倚がない状態のマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図19】同じく光軸偏倚により露光位置が偏倚し、露光領域が拡大されたときのマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図20】(a)、(b)は従来の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置を示す模式図、図2は同じくその1個のマイクロレンズアレイの部分を示す縦断面図、図3はこのマイクロレンズアレイが複数個配列されている状態を示す斜視図、図4はマイクロレンズを示す図、図5はその6角視野絞りを示す図、図6はマイクロレンズの6角視野絞りの配置を示す平面図、図7は本発明の実施形態に係る露光装置を示す斜視図、図8及び図9はマイクロレンズアレイの傾動による倍率補正方法を示す図である。
【0017】
図1に示すように、露光光源4から出射された露光光は、平面ミラーを含む光学系21を介して、マスク3に導かれ、マスク3を透過した露光光は、マイクロレンズアレイ2に照射され、マスク3に形成されているパターンがマイクロレンズアレイ2により、基板1上に結像する。この光学系21の光路上にダイクロイックミラー22が配置されており、カメラ23からの観察光が、ダイクロイックミラー22で反射して、露光光源4からの露光光と同軸的にマスク3に向かう。また、この観察光はマイクロレンズアレイ2にて基板1上に収束し、基板1に既に形成されている基準パターンを反射して、この基準パターンの反射光がマイクロレンズアレイ2、マスク3及びダイクロイックミラー22を介してカメラ23に入射するようになっている。カメラ23は、この基準パターンの反射光を検出し、この検出信号を画像処理部24に出力する。画像処理部24は基準パターンの検出信号を画像処理し、基準パターンの検出画像を得る。画像処理部24にて得られた基準パターンの画像信号は制御部25に入力され、制御部25がこの検出された基準パターンに基づき、マスクの位置と基準パターンとの間のずれを演算し、このずれ量を解消するためのマイクロレンズアレイ2の傾斜角度及びマスク3の回転角度又は移動量を演算する。そして、制御部25は、このマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に応じた信号を、このマイクロレンズアレイ2の傾斜を駆動するピエゾ圧電素子14,15からなるアクチュエータ20(マイクロレンズアレイの第1駆動部材)に出力し、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこの信号に基づいてマイクロレンズアレイ2を傾斜駆動する。また、制御部25は、マスク3を光軸の周りに回転させる回転角度又は光軸に垂直の方向の移動量に応じた信号を、マスクの第2駆動部材(図示せず)に出力する。移動装置(図示せず)は、基板1とマスク3とを一体とし、マイクロレンズアレイ2と露光光源4及び光学系21とを一体として、両者を相対的にスキャン方向5(第1方向)に移動させ、マスクパターンを透過した露光光を、基板1上でスキャンする。
【0018】
次に、マイクロレンズアレイによる露光態様について、更に詳細に説明する。図2に示すように、ガラス基板等の被露光基板1の上方に、マイクロレンズ2aが2次元的に配置されて構成されたマイクロレンズアレイ2が配置され、更に、このマイクロレンズアレイ2の上にマスク3が配置され、マスク3の上方に露光光源4が配置されている。マスク3は透明基板3aの下面にCr膜3bからなる遮光膜が形成されていて、露光光はこのCr膜3bに形成された孔を透過してマイクロレンズアレイ2により基板上に収束する。本実施形態においては、例えば、基板1及びマスク3が固定されていて、マイクロレンズアレイ2及び露光光源4が同期して矢印5方向に移動することにより、露光光源4からの露光光がマスク3を透過して基板1上を矢印5方向にスキャンされる。このマイクロレンズアレイ2及び露光光源4の移動は、適宜の移動装置の駆動源により駆動される。なお、マイクロレンズアレイ2及び露光光源4を固定して、基板1及びマスク3を移動させることとしてもよい。
【0019】
図3に示すように、マイクロレンズアレイ2は、ホルダとしての支持基板6に、スキャン方向5に垂直の方向に例えば4個ずつ2列に配置されており、これらのマイクロレンズアレイ2は、スキャン方向5にみて、前段の4個のマイクロレンズアレイ2の相互間に、後段の4個のマイクロレンズアレイ2のうち3個が夫々配置されて、2列のマイクロレンズアレイ2が千鳥になるように配列されている。これにより、2列のマイクロレンズアレイ2により、基板1におけるスキャン方向5に垂直の方向の露光領域の全域が露光される。
【0020】
図4に示すように、各マイクロレンズアレイ2の各マイクロレンズ2aは、例えば、4枚8レンズ構成であり、4枚の単位マイクロレンズアレイ2−1,2−2,2−3,2−4が積層された構造を有する。各単位マイクロレンズアレイ2−1等は2個のレンズから構成されている。これにより、露光光は単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間で一旦収束し、更に単位マイクロレンズアレイ2−4の下方の基板上で結像する。そして、単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間に図5に示す6角視野絞り12が配置され、単位マイクロレンズアレイ2−3と単位マイクロレンズアレイ2−4との間に円形の開口絞り10が配置されている。
【0021】
図6は、各マイクロレンズアレイ2における各マイクロレンズ2aの配置態様を示すために、マイクロレンズ2aの配置態様を、マイクロレンズ2aの6角視野絞り12の位置として示す図である。この図6は後述のマイクロレンズ2aの光軸の偏倚(シフト)は行っていない状態である。この図6に示すように、マイクロレンズ2aは、スキャン方向5に垂直の方向に直線上に配列されており、スキャン方向5に隣接するマイクロレンズ列同士は、若干、横方向(スキャン方向に垂直の方向)にずれて配置されている。6角視野絞り12は、その開口部が、中央の矩形部分12aと、そのスキャン方向5に見て両側の三角形部分12b、12cとに分かれる。図6において、破線は、6角視野絞り12の6角形の各角部をスキャン方向5に結ぶ線分である。この図6において、スキャン方向5に垂直の方向に延びる各マイクロレンズ列に関し、スキャン方向5について3列の6角視野絞り12の列をみると、ある特定の1列目の6角視野絞り12の右側の三角形部分12cが、スキャン方向後方に隣接する2列目の6角視野絞り12の左側の三角形部分12bと重なり、1列目の6角視野絞り12の左側の三角形部分12bが、3列目の6角視野絞り12の右側の三角形部分12cと重なるように、これらのマイクロレンズ2aが配置されている。このようにして、スキャン方向5に関し、3列のマイクロレンズ2aが1セットとなって配置される。つまり、4列目のマイクロレンズ2aは、スキャン方向5に垂直の方向に関し、1列目のマイクロレンズ2aと同一位置に配置される。このとき、3列の6角視野絞り12において、スキャン方向5に隣接する2列の6角視野絞り12の三角形部分12bの面積と三角形部分12cの面積とを加算すると、このスキャン方向5に重なる2個の三角形部分12b、12cの合計面積の線密度は、中央の矩形部分12aの面積の線密度と同一になる。なお、この線密度とは、スキャン方向5に垂直の方向における単位長あたりの6角視野絞り12の開口面積である。つまり、三角形部分12b、12cの合計面積は、三角形部分12b、12cの底辺を長さとし、三角形部分12b、12cの高さを幅とする想定矩形部分の面積になる。この想定矩形部分は、矩形部分12aの長さと同一の長さであるから、スキャン方向5に垂直の方向に関する単位長あたりの開口面積(線密度)で比べると、三角形部分12b、12cの線密度と、矩形部分12aの線密度とは同一になる。このため、基板1が3列のマイクロレンズ2aのスキャンを受けると、このスキャン方向5に垂直の方向に関し、その全域で均一な光量の露光を受けたことになる。従って、各マイクロレンズアレイ2には、スキャン方向5に関し、3の整数倍の列のマイクロレンズ2aが配置されており、これにより、基板は、1回のスキャンによりそのスキャン領域の全域で均一な光量の露光を受けることになる。
【0022】
このように構成されたマイクロレンズアレイ2においては、露光光源4から露光光が照射されている間に、この露光光及びマイクロレンズアレイ2を基板1に対して相対的に移動させて、露光光により基板を走査することにより、基板1の露光対象領域の全域で、基板1は均一な光量の露光を受ける。つまり、基板1はマイクロレンズ2aの位置に応じてスポット的な露光を受けるのではなく、1列のマイクロレンズ2aの相互間の領域は、他列のマイクロレンズ2aにより露光されて、基板1は、あたかも、平面露光を受けた場合と同様に、露光対象領域の全域で均一な露光を受ける。そして、基板1上に投影されるパターンは、マイクロレンズ2aの6角視野絞り12及び開口絞り10の形状ではなく、マスク3のCr膜(遮光膜)3bの孔に形成されたマスクパターン(露光パターン)により決まるパターンである。なお、反転結像位置に設けられる絞りは、6角形の開口部を有する6角視野絞りに限らず、多角形であれば良い。
【0023】
図7は図3に示す複数個のマイクロレンズアレイ2の配置態様の変形例を示す。図7に示すように、マイクロレンズアレイ2は、支持板6に、マイクロレンズアレイ2b及びマイクロレンズアレイ2cの2列に分かれて配置されており、スキャン方向5に垂直の方向に列をなすように、またマイクロレンズアレイ2bとマイクロレンズアレイ2cとがスキャン方向5に相互にずれて配置されている。マイクロレンズアレイ2は、図8及び図9に示すように、支持板6に設けた孔6a内に嵌合して配置されており、各孔6aは各マイクロレンズアレイ2の外形に見合う大きさを有している。マイクロレンズアレイ2は、そのスキャン方向5に直交する方向については、隣接するマイクロレンズアレイ2同士(マイクロレンズアレイ2bとマイクロレンズアレイ2c)が相互に接近するように連なって配置されている。そして、このスキャン方向5に直交する方向に隣接するマイクロレンズアレイ2間の支持板6の部分は、極めて細く、また、マイクロレンズアレイ2におけるスキャン方向5に直交する方向の端部はこの端部のマイクロレンズ2aと端縁との間の間隔がマイクロレンズ2aの配列ピッチの1/2未満に短くなっている。このため、各マイクロレンズアレイ2は、図7に示すように、スキャン方向5に直交する方向に連なっていても、このスキャン方向5に直交する方向の全てのマイクロレンズアレイ2のマイクロレンズ2a間の間隔を同一にすることができる。即ち、マイクロレンズ2aのスキャン方向5に直交する方向のピッチは、全てのマイクロレンズアレイ2について一定である。スキャン方向5については、1個のマイクロレンズアレイ2が配置されており、そのマイクロレンズアレイ2内のマイクロレンズ2aのピッチは一定である。
【0024】
なお、マイクロレンズアレイ2は、支持板6に対し、図3に示すように、スキャン方向5及びスキャン方向5に直交する方向の双方に相互に離隔するように配置することもできる。この場合は、スキャン方向5に見た場合に、マイクロレンズアレイ2をその端部同士が重なるように設けることができ、従って、スキャン方向5に直交する方向に関し、各マイクロレンズアレイ2の端部におけるマイクロレンズ2aと端縁との間隔をマイクロレンズ2aのピッチの1/2未満になるように、短くする必要がなく、各マイクロレンズアレイ2の端部の幅を十分大きくとることができる。また、支持板6の孔6aは、スキャン方向5に直交する方向の相互間隔を、図7に示すような短いものにする必要がなく、十分広くとることができる。なお、図7及び図3は、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に直交する方向について、千鳥状に配置しているが、図7に示すように、マイクロレンズアレイ2が相互に近接している場合は、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に一直線状に整列させて配置することも可能である。
【0025】
図7に示す実施形態では、各マイクロレンズアレイ2bは、例えば、スキャン方向5に対向する2辺で、一方は2個の圧電素子14a,14bに支持され、他方は1個の圧電素子15aに支持されており、マイクロレンズアレイ2cは、例えば、スキャン方向5に対向する2辺で、一方は1個の圧電素子14cに支持され、他方は2個の圧電素子15b、15cに支持されている。図3に示す実施形態では、各マイクロレンズアレイ2は、スキャン方向5に垂直の方向に対向する2辺で、図7と同様に、一方は2個の圧電素子により、他方は1個の圧電素子により支持されている。
【0026】
図8及び図9に示すように、支持板6におけるマイクロレンズアレイ2の配置位置には、前述のごとく、マイクロレンズアレイ2の形状に対応する形状の孔6aが形成されており、マイクロレンズアレイ2はこの孔6a内に嵌合されている。また、この孔6aの周囲は、支持板6の上面が切り欠かれて、段差6bが形成されており、この段差6bの低い部分、即ち、孔6aの周辺部分に、圧電素子14(14a、14b、14c),15(15a、15b、15c)が配置されている。そして、マイクロレンズアレイ2はその上方部分に水平方向に張り出すフランジ部9が形成されており、このフランジ部9が、支持板6の孔6aの周囲部分の段差6bに位置する。
【0027】
圧電素子14,15は、夫々、その基部141、151が支持板6の段差6bの低い部分に固定されており、その先端142、152がマイクロレンズアレイ2のフランジ部9の下面に固定されている。そして、圧電素子14,15は引出線7により制御装置25に接続されており、圧電素子14,15は、この引出線7を介して制御装置から駆動電圧を供給されて、図9に示すように、変形する。即ち、図8においては、圧電素子14,15が変形していないので、マイクロレンズアレイ2の光軸は鉛直(支持板6の表面に垂直)方向を向いているが、図9においては、図示の左側の圧電素子14がその先端142が上向くように変形しており、これにより、マイクロレンズアレイ2はその光軸が鉛直方向に対し傾斜する方向に向いている。このようにして、マイクロレンズアレイ2の光軸の方向を、圧電素子に対する印加電圧を調整することにより調整できるので、基板上の基準パターンに位置ずれがある場合は、露光中に位置ずれを検出し、1又は複数のマイクロレンズアレイの傾斜角度を調節することにより、この位置ずれを解消することができる。なお、圧電素子14,15による支持点は、上述の3点に限らず、4点以上設けても良いことは勿論である。この場合、4点以上の圧電素子の変形量は、相互に規制する必要がある。
【0028】
このように構成されたマイクロレンズアレイ2の支持機構においては、圧電素子14,15に印加する電圧を制御することにより、圧電素子14,15の変形量を制御することができ、3点で支持されたマイクロレンズアレイ2の圧電素子14,15の変形量の組合せを調整することにより、マイクロレンズアレイ2を任意の方向に傾斜させることができる。
【0029】
即ち、制御部25は、このマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に応じた信号を、このマイクロレンズアレイ2の傾斜を駆動するピエゾ圧電素子14,15からなるアクチュエータ20に出力し、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこの信号に基づいてマイクロレンズアレイを傾斜駆動する。即ち、アクチュエータ20(圧電素子14,15)はこのマイクロレンズアレイ2の傾斜角度に基づき、圧電素子14,15に印加する電圧を調整して、マイクロレンズアレイ2を所定の傾斜角度になるように駆動する。
【0030】
この場合に、図3に示すマイクロレンズアレイ2の配置態様の場合は、圧電素子14,15をマイクロレンズアレイ2におけるスキャン方向5に垂直の方向に対向する2辺に設置したので、圧電素子14と圧電素子15との間の相対的変形量を異ならせることにより、図15に示すように、マイクロレンズアレイ2をスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。なお、図15において、スキャン方向は紙面に垂直の方向である。一方、図7に示すマイクロレンズアレイ2bの配置態様の場合は、圧電素子15aを駆動せず、圧電素子14aと圧電素子14bとの間の駆動変形量を異ならせることにより、マイクロレンズアレイ2bをスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。また、図7に示すマイクロレンズアレイ2cの配置態様の場合も、圧電素子14cは駆動せず、圧電素子15bと圧電素子15cとの間の駆動変形量を異ならせることにより、マイクロレンズアレイ2cをスキャン方向5に垂直の方向に傾動させることができる。よって、図3及び図7のいずれの配置態様においても、図15に示すように、マイクロレンズアレイをスキャン方向に垂直の方向に傾動させることができる。
【0031】
図10は本発明の実施形態に係るスキャン露光装置におけるマスクと従前の工程における露光により基板が変形した下層レイヤーの露光パターン50a〜50pとの関係を示す。なお、図10(a)は基板1の全体を示し、図10(b)は図10(a)の2点鎖線にて示す領域を拡大して示す。マスク3はフレーム30の内側にマスクパターン31が形成されている。基板1は、例えば、16分割されて、各領域に露光パターンが形成されることにより、16枚の液晶表示基板を採取することができる。即ち、16個の露光パターン50a〜50pは、製造せんとする16枚の液晶表示基板に対応する。本実施形態のスキャン露光装置は、この基板1の16分割された領域を、例えば、4ヘッド構成のマスク3により露光するので、基板1上を4分割された領域は、各領域毎に、1個のマスク3により露光され、1個のマスク3には、1個の領域に対応する露光パターンが形成されている。
【0032】
具体的には、例えば、基板1をその中心を通る線分で4分割し、各分割領域から4枚の液晶表示基板を採取する。そして、各分割領域に1個のマスクヘッドを配置し、この1個のマスクヘッドを、各分割領域内で、4個の露光パターンの領域に順次移動させながら、これらの4個の露光パターンの領域を露光する。即ち、1個のマスクヘッドを、図10(a)の露光パターン50a、50b、50f、50eの位置にこの順に移動させて、各位置にてマイクロレンズアレイをマスク3に対して相対的にスキャン移動させてマスク3のパターンを基板に転写し、この動作を4個の領域に順次繰り返す。また、露光パターン50c、50d、50h、50gについても、別の2番目のヘッドのマスク(図示せず)により、この順に順次露光する。更に、3番目のヘッドのマスク(図示せず)により、露光パターン50i、50j、50n、50mを順次露光する。更に、4番目のヘッドのマスク(図示せず)により、露光パターン50k、50l、50p、50oを順次露光する。このようにして、第1工程においては、4個のヘッドにより、露光パターン50a、50c、40i、50kの領域を同時に露光し、第2工程においては、4個のヘッドにより、露光パターン50b、50d、50j、50lを同時に露光するというように、各ヘッドを連動させて移動配置し、4個のヘッドを使用して16個の領域を4工程で順次露光する。各工程においては、例えば、基板1及びマスク3を固定しておき、支持基板6に支持されたマイクロレンズアレイ2と、このマイクロレンズアレイ2の全透過領域に露光光を照射する光源4とを、スキャン方向5に移動させる。このとき、図15に示すように、1個のマスク3に対し、複数個のマイクロレンズアレイ2が配置される(図15の図示例は、4個)。
【0033】
而して、基板1上の膜には、従前の露光による露光パターン50a〜50pが形成されている。この基板1上の膜は、当初、図20(a)に示すように、基板1上の16分割された領域(16枚の製品を取得する場合)に、例えば、横に延びる直線状のパターンが形成されている。そして、複数のレイヤーを露光したことにより、図20(b)及び図10(a)に示すように、ガラス基板1が熱応力により歪み、従前の露光パターン50a〜50pが4コーナー部で拡大し、中央部で縮むように変形している。そして、図10(b)に示すように、例えば、マスク3が基板1上の露光パターン50fの領域にマスクパターンを重ね露光しようとする場合、例えば、基板1及びマスク3に対して、支持基板6に支持されたマイクロレンズアレイ2と、このマイクロレンズアレイ2の全透過領域に露光光を照射する光源4とを、スキャン方向5に移動させる。又は、マイクロレンズアレイ2及び光源4に対して、基板1及びマスク3をスキャン方向5の反対方向に移動させてもよい。いずれの場合も、マスク3を透過した露光光が、マイクロレンズアレイ2により基板1上の膜に収束して、露光光がスキャン方向5へスキャンされて、マスクパターンが前記膜に転写される。
【0034】
このとき、マスク3は、そのフレーム30内に、露光すべきパターン31(図示例は、横方向に延びる線状のパターン)が形成されている。そして、マスク3は、露光光の光軸(図10の紙面に垂直の方向)の周りに回転させ、又は光軸に垂直の方向に移動させることができ、従前のレイヤーの歪みの程度に応じて、マスク3の回転の角度又は移動量が設定される。また、このマスク3の露光光の光軸の周りの回転は、4ヘッドのマスクの全体を回転させてもよいし、4ヘッドのうち、各マスク3を個別に回転させ、この回転角度を、マスク毎に適切な角度に調整することもできる。
【0035】
基板1には、図11に示すように、露光パターン50fの露光開始地点において、マイクロレンズアレイ2の長手方向(スキャン方向5に垂直の方向)に離隔した2点に、マークAが形成されている。この2つのマークAを結ぶ線分は、基板1が歪むと、図20(a)に示すように基板に歪みがないときの線分の方向から離脱して、微小な角度をなして傾斜している。そこで、制御装置(図示せず)は、従前の露光により下層レイヤーに形成された基準パターンA−Aとマスク3の露光パターン31とが平行になるように、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させる。
【0036】
このような下層レイヤーに対するマスク位置の調整は、マスク3を露光光の光軸の周りに回転させることに限らず、マスク3を露光光の光軸に垂直の面内で、光軸に垂直の方向(X−Y方向)に移動させる(シフトさせる)ことによって、行ってもよい。
【0037】
この基準線(マークA−Aを結ぶ線分)の他に、基板1には、図12に示すように、露光領域50fにおけるマイクロレンズアレイ2によるスキャンの途中の位置に、マークB―Bが設けられており、図13に示すように、マイクロレンズアレイ2によるスキャンの最終位置に、マークC−Cが設けられている。
【0038】
図14は、図8及び図9に示すように、マイクロレンズアレイ2をその支持基板6(ホルダ)に対して傾斜させることにより、スキャン方向5に垂直の方向における倍率の調整を行うことを示す図である。即ち、図14(a)に示すように、露光パターン50aにおいて、その基板コーナー部に近い部分は、従前の露光パターンがスキャン方向5に垂直の方向により広く広がっており、基板の中央部に近い部分は、この従前の露光パターンの広がりがより小さい。このため、この基板中央寄りの下層レイヤーの露光パターンの上に重ね露光する場合は、図14(b)に示すように、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度は小さく、図14(c)及び図14(d)に示すように、基板コーナー寄りの下層レイヤーの露光パターンの上に重ね露光する場合は、基板コーナーに近いほど、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度を大きくする。これにより、スキャン方向5に垂直の方向についてのマイクロレンズアレイ2の倍率を調節して、基板1の歪みに対応したパターンを、下層レイヤーの上に重ね露光することができる。
【0039】
次に、上述のごとく構成された本実施形態のスキャン露光装置の動作について説明する。先ず、図1及び図2に示すように、基板1及びマスク3に対して、マイクロレンズアレイ2及び光源4を、相対的にスキャン方向5に移動させて、マスク3の孔を透過した露光光により、基板1をスキャンする。このマイクロレンズアレイ2は基本的にはマスク3に形成された露光パターンの正立等倍像を基板上の膜に転写する。この1回のスキャンにより、例えば、図10(a)に示す露光パターン50fが基板上の膜に形成される。他の露光パターン50a等も、同様にして露光光の1回のスキャンで形成される。即ち、例えば、マスク3及び基板1が固定されている状態で、マイクロレンズアレイ2及び光源をマスク3の一方の端部側から、他方の端部側に向けて、スキャン方向5に移動させる。これにより1レイヤーが露光される。
【0040】
そして、このようにして下層レイヤーの露光が終了した後、図10(a)に示すように、下層レイヤーの露光パターンが、基板に対する熱歪みで、歪んでいるので、その上に、マスク3のパターンを重ね露光したのでは、下層レイヤーのパターンと、上層レイヤーのパターンとが不一致となってしまい、目的とするパターンを基板上の膜に形成することができない。そこで、本発明においては、図11に示すように、カメラ23が基板1の表面に形成された2個のマークAを検出し、その2個のマークA−A線を結ぶ線分を求め、このA−A線を基板歪みの程度を認識する指標とする。即ち、本発明においては、制御装置が、この基準アライメントパターンであるA−A線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに回転させる。これにより、下層レイヤーのパターンが基板の熱歪みにより歪んでいたとしても、その歪みに合わせてマスク3のマスクパターンの方向を整合させることができる。
【0041】
そして、上述のごとく基準アライメントパターンA−Aに基づいてマスク3の光軸の周りの回転角度が設定された状態で、マイクロレンズアレイ2及び光源が、マスク3に対してスキャン移動して、図11にて基準アライメントパターンA−Aを検出したカメラもマイクロレンズアレイ2と共に移動し、このカメラが図12に示すマスク3の中間位置に対応する位置の基板1に形成されている基準アライメントパターンB−Bを検出したときに、このB−B線を基板歪みの程度を認識する指標として、制御装置が、基準アライメントパターンであるB−B線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに更に回転させる。つまり、基準アライメントパターンA−Aに基づいて設定されたマスク3の回転角度を、基準アライメントパターンB−Bに基づいて再調整する。勿論、露光する前に、基準アライメントパターンA−A、B−B、C−Cを事前にアライメントカメラにて確認し、それに基づいてマスクの回転とマイクロレンズアレイの移動を連動させてもよい。
【0042】
そして、マイクロレンズアレイ2及び光源が、更にマスク3に対してスキャン移動すると、今度は、カメラがマスク3の他方の端部側の位置に対応する位置の基板1に形成された基準アライメントパターンである2個のマークCを検出する。そうすると、このC−C線を基板歪みの程度を認識する指標として、制御装置が、基準アライメントパターンであるC−C線と、マスク3における横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるように、マスク3をその露光光の光軸の周りに回転させる。つまり、基準アライメントパターンB−Bに基づいて設定されたマスク3の回転角度を、基準アライメントパターンC−Cに基づいて再調整する。なお、基準アライメントパターンA−A,B−B,C−Cの検出は、光源4と同軸的に基板上を観察するカメラ23によらず、マイクロレンズアレイ2と一体的に移動するように露光光の光軸よりもスキャン方向の先方にラインセンサを設け、このラインセンサにより基準アライメントパターンA−A,B−B,C−Cを検出することとしても良い。
【0043】
このようにして、マイクロレンズアレイ2及び光源のスキャン移動の間に、カメラ23又はマイクロレンズアレイ2よりもスキャン方向の前方に設けられたラインセンサが、マイクロレンズアレイ2による露光領域におけるスキャン方向の前端にて、又はマイクロレンズアレイ2よりも先行位置にて、基板1に形成されている基準アライメントパターンA−A、B−B,C−Cを先取りして順次検出し、この検出結果に基づいて、基板1上の基準アライメントパターンとマスク3の横方向に延びるマスクアライメントパターンとが平行になるようにマスク3の光軸周りの回転角度を調整する。これにより、基板1に熱歪みが生じていて、下層レイヤーのパターンが歪んでいても、また、基板の歪みの程度が基板位置により異なっていても、上層レイヤーのパターンを高精度で下層レイヤー上に重ね露光することができる。このようにして、基板の熱歪みにより、下層レイヤーパターンが変形している場合に、スキャン方向5について、この変形に見合う位置に上層レイヤーのパターンを重ね露光することができ、スキャン方向5についての基板歪みにより露光不良を解消することができる。
【0044】
一方、この基板の熱歪みによる露光パターンの歪みは、図20(b)に示すように、スキャン方向5に垂直の方向にも生じているので、図14に示すように、マイクロレンズアレイ2をその支持基板6に対して、スキャン方向5に垂直の面内で傾動させ、このスキャン方向5に垂直の方向のパターン歪みを解消する。図14(a)に示すように、基板1のコーナー部近傍においては、下層レイヤーのパターンが、基板中心をスキャン方向5に貫く線分に対し、この線分からより遠くに位置しており、マイクロレンズアレイ2を支持基板6に対してより大きな角度で傾斜させ、マスク3の露光パターンをこの下層レイヤーの上に高精度で重ねる。一方、基板1のより中央部側の位置においては、下層レイヤーのパターンと基板中心をスキャン方向5に貫く線分との間の距離はより小さくなるので、マイクロレンズアレイ2の傾動角度はより小さくする。従って、マイクロレンズアレイ2が露光している位置に応じて、このマイクロレンズアレイ2の傾動角度を変更し、歪みが生じている下層レイヤーの露光パターンの位置に高精度で合わせて上層のレイヤーのパターンを重ねる。これにより、基板の熱歪みにより、下層レイヤーパターンが変形している場合に、スキャン方向5に垂直の方向について、この変形に見合う位置に上層レイヤーの露光パターンを重ね露光することができ、より高精度で基板歪みに合わせ上層のレイヤーを露光することができる。なお、図14(b)、(c)、(d)においては、図示の簡略化のために、1個の露光領域に対して、1個のマイクロレンズアレイのみ図示されているが、実際は、図15に示すように、複数個のマイクロレンズアレイ2が連動して1個の露光領域を露光する。
【0045】
このスキャン方向5に関する上層レイヤーの露光位置の調整(マスク回転)と、スキャン方向5に垂直方向に関する上層レイヤーの露光位置の調整(マイクロレンズアレイ傾動)とを同時に制御しつつ、上層レイヤーを露光することにより、基板1に2次元的な熱歪みが生じても、高精度で重ね露光することができる。
【0046】
図15は、スキャン方向5に垂直の方向に複数個配置されたマイクロレンズアレイ2を、隣接するマイクロレンズアレイ2に対して徐々にその傾斜角度を大きくしていった場合の露光光と基板1との関係を示す図である。この図15に示すように、マイクロレンズアレイ2の傾斜角度が大きくなると、基板1に対する露光光の入射角度が90°から次第に小さくなっていく(鋭角になっていく)。これにより、隣接するマイクロレンズアレイ2間の露光領域の間隔b1,b2,b3が徐々に大きくなり、水平配置のマイクロレンズアレイ2の端部(基準点)のパターンに対して、傾斜角度が最も大きなマイクロレンズアレイ2の最も前記基準点から離れた位置のパターンは、全てのマイクロレンズアレイ2が水平の場合の露光位置に比して、基準点から遠いものとなる。このように、一列に並んだマイクロレンズアレイ2の傾斜角度を徐々に大きくしていくだけで、基板上の露光位置を調整することができ、基板上の露光領域を拡大することができる。逆に、露光領域を縮小する場合も、マイクロレンズアレイ2を逆方向に傾斜させればよい。
【0047】
なお、上記実施形態においては、図15に示すように、マイクロレンズアレイを傾斜させることにより、本来、正立等倍像の露光しかできないマイクロレンズアレイにおいて、その倍率の調整又は露光位置の調整を可能としているが、本発明はこれに限らず、図16乃至図19(他の実施形態)に示すように、マイクロレンズの光軸を偏倚させることによっても、マイクロレンズアレイの倍率の調整及び露光位置の調整を行うことができる。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、マイクロレンズアレイの傾動によりスキャン方向5に垂直の方向の倍率を調整するのではなく、マイクロレンズの光軸の偏倚により、スキャン方向5に垂直の方向の倍率を調整するものである。図16は、単位マイクロレンズアレイ2-1,2-2,2−3,2−4の積層状態を示す模式図である。これらの4枚の単位マイクロレンズアレイ2−1等の各マイクロレンズ2aの構成は、各単位マイクロレンズアレイ2−1毎に2枚の凸レンズからなるものである。常態では、図16に示すように、単位マイクロレンズアレイ2−1,2-2,2−3,2−4の各マイクロレンズ2aの光軸は、いずれも一致している。従って、露光光は図18に示すように、基板に対して垂直に入射する。
【0049】
而して、本実施形態においては、図17に示すように、第1層目の単位マイクロレンズアレイ2−1及び第2層目の単位マイクロレンズアレイ2−2のマイクロレンズ2aの光軸と、第3層目の単位マイクロレンズアレイ2−3及び第4層目の単位マイクロレンズアレイ2−4のマイクロレンズ2aの光軸とを、dの大きさで偏倚(シフト)させることができるようになっている。この偏倚量dは例えば0.3μmである。このように、単位マイクロレンズアレイ2−3,2−4のマイクロレンズの光軸が偏倚することにより、図19に示すように、露光光は単位マイクロレンズアレイ2−2と単位マイクロレンズアレイ2−3との間で屈曲し、この露光光は、図18に比して、若干ずれた位置で基板に入射する。第3層の単位マイクロレンズアレイ2−3のマイクロレンズの光軸の偏倚量dに対し、最下層の第4の単位マイクロレンズアレイ2-4を出射する露光光の光軸は約2倍の2dだけ偏倚し、露光光の基板上における偏倚量は約2dとなる。即ち、マイクロレンズの光軸を偏倚量dだけ偏倚させると、投影パターンは基板上で約2dだけ偏倚し、上述のd=0.3μmの場合には、基板上の投影パターンは0.6μmだけ偏倚する。
【0050】
このようにして、単位マイクロレンズアレイ2-1等のマイクロレンズ2aの光軸を偏倚(シフト)させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整することができる。
【0051】
マイクロレンズの光軸の偏倚は、一部の単位マイクロレンズアレイを他の単位マイクロレンズアレイに対して光軸に垂直の方向に移動させればよい。この単位マイクロレンズアレイの移動は、例えば、圧電素子に電圧を印加することにより、その電圧変化で圧電素子が歪んだ量だけ単位マイクロレンズアレイを光軸に垂直の方向に押し出すようにすれば良い。この場合は、圧電素子が駆動部材となるが、駆動部材としては、圧電素子に限らず、種々の装置又は部材を使用することができる。
【0052】
なお、倍率を縮小する場合も、同様に露光位置の調整で行うことができる。また、上記実施形態では、第1及び第2層の単位マイクロレンズアレイ2−1,2−2と、第3及び第4層の単位マイクロレンズアレイ2−3,2−4との間で、そのマイクロレンズ2aの光軸を偏倚させることにより、露光位置調整を行ったが、これは、マイクロレンズアレイの反転結像位置で単位マイクロレンズアレイのマイクロレンズの光軸をずらすものである。このため、マイクロレンズアレイ2における単位マイクロレンズアレイの枚数も、上記実施形態のように、4枚に限定されるものではないが、その場合も、単位マイクロレンズアレイのマイクロレンズの光軸の偏倚は、マイクロレンズアレイの反転結像位置で行う必要がある。
【0053】
本実施形態においても、重ね合わせ露光において、基板の寸法の変動が生じても、これをリアルタイムで検出して、その露光位置を下層の露光パターンに高精度で合わせることができる。即ち、本実施形態においては、露光装置内で、露光中に下層パターンと露光パターンとの位置ずれを、マイクロレンズアレイにおける単位マイクロレンズアレイの移動によるマイクロレンズの光軸の位置調整により修正することができ、リアルタイムに位置ずれを修正して、高精度の重ね露光を行うことができる。
【0054】
しかも、本実施形態においては、マイクロレンズ2aの光軸を偏倚(シフト)させることにより、基板上における露光位置の調整、ひいては露光パターンの倍率調整を行っているので、露光光の焦点深度は各マイクロレンズアレイについて変動しない。即ち、全てのマイクロレンズの焦点深度の範囲内に、基板上の露光すべき面を位置させることができる。通常、マイクロレンズアレイの焦点深度は50μmであるが、この焦点深度内に、基板上の露光面を位置させることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0055】
1:基板
2:マイクロレンズアレイ
2a:マイクロレンズ
2−1〜2−4:単位マイクロレンズアレイ
3:マスク
3a:透明基板
3b:Cr膜
4:露光光源
5:スキャン方向
6:支持基板
10:レンズ視野領域
12:6角視野絞り
12a:矩形部分
12b、12c:三角形部分
14(14a、14b、14c),15(15a、15b、15c):圧電素子
20:アクチュエータ
21:光学系
22:ダイクロイックミラー
23:ラインCCDカメラ
24:画像処理部
25:制御部
50a〜50p:露光パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光すべき基板の上方に配置され、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
前記ホルダに対して、前記マイクロレンズアレイを前記第1方向に直交する面内で傾斜させる第1駆動部材と、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記第1の駆動部材による前記マイクロレンズアレイの傾動と、前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とするマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、多角形の開口を有する多角視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項3】
前記基板上の基準アライメントパターンを検出するアライメントパターン検出部を有し、
前記第2駆動部材は、前記マスクに設けたマスクアライメントパターンが前記基準アライメントパターンに整合するように、前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項4】
前記基準アライメントパターンは、前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとの相対的スキャン方向である前記第1方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記マスクアライメントパターンも、前記第1の方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記第2駆動部材は、前記基準アライメントパターンと、前記マスクアライメントパターンとが平行になるように前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項5】
前記マイクロレンズアレイは前記第1の方向に垂直の方向に複数個配置されており、前記第1駆動部材は、前記複数個のマイクロレンズアレイを相互に相関関係をもって独立した角度で傾斜させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項6】
露光すべき基板の上方に配置され、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
を有し、
前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、多角形の開口を有する多角視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されており、
更に、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記単位マイクロレンズアレイの少なくとも一部を他の単位マイクロレンズアレイに対してその構成マイクロレンズの光軸が偏倚するように移動させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整する第3駆動部材と、
前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動と、前記第3駆動部材による前記マイクロレンズの光軸の偏倚を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とするマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項1】
露光すべき基板の上方に配置され、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
前記ホルダに対して、前記マイクロレンズアレイを前記第1方向に直交する面内で傾斜させる第1駆動部材と、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記第1の駆動部材による前記マイクロレンズアレイの傾動と、前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とするマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、多角形の開口を有する多角視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項3】
前記基板上の基準アライメントパターンを検出するアライメントパターン検出部を有し、
前記第2駆動部材は、前記マスクに設けたマスクアライメントパターンが前記基準アライメントパターンに整合するように、前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項4】
前記基準アライメントパターンは、前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとの相対的スキャン方向である前記第1方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記マスクアライメントパターンも、前記第1の方向に垂直の方向に延びる線状パターンであり、
前記第2駆動部材は、前記基準アライメントパターンと、前記マスクアライメントパターンとが平行になるように前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項5】
前記マイクロレンズアレイは前記第1の方向に垂直の方向に複数個配置されており、前記第1駆動部材は、前記複数個のマイクロレンズアレイを相互に相関関係をもって独立した角度で傾斜させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【請求項6】
露光すべき基板の上方に配置され、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、
このマイクロレンズアレイをその周辺部で保持するホルダと、
このマイクロレンズアレイの上方に配置され所定の露光パターンが形成されたマスクと、
このマスクに対して露光光を照射する露光光源と、
前記マイクロレンズアレイと前記基板及び前記マスクとを相対的に第1方向に移動させる移動装置と、
を有し、
前記マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置された複数個の単位マイクロレンズアレイが積層して構成されており、
前記単位マイクロレンズアレイ間の反転結像位置には、多角形の開口を有する多角視野絞りが配置され、
前記単位マイクロレンズアレイ間の露光光の最大拡大部には、その少なくとも一部に、円形の開口を有する開口絞りが配置されており、
前記多角視野絞り及び開口絞りは、前記単位マイクロレンズアレイ間で、前記第1の方向に傾斜する方向又は直交する方向に線上に列をなして配置されており、
更に、
前記マスクを前記露光光の光軸の周りに回転させるか、又は前記光軸に垂直の方向に移動させる第2駆動部材と、
前記単位マイクロレンズアレイの少なくとも一部を他の単位マイクロレンズアレイに対してその構成マイクロレンズの光軸が偏倚するように移動させることにより、マイクロレンズアレイによる基板上の露光位置を調整する第3駆動部材と、
前記第2駆動部材による前記マスクの回転又は移動と、前記第3駆動部材による前記マイクロレンズの光軸の偏倚を、前記移動装置による前記マイクロレンズアレイの相対的移動の位置に応じて制御する制御装置と、
を有することを特徴とするマイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−33071(P2013−33071A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167823(P2011−167823)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]