説明

マイクロ構造を有する材料ストリップを製造する方法および機械

マイクロ構造(18)を有する材料ストリップ(1)、特にセキュリティに関係する目印(18)を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップ(1)を製造する方法において、相互に平行に方向調整されて延在する2つのストリップ(1,1’’)から形成された少なくとも1つの材料ストリップ(1)を、少なくとも加熱手段(8,9)とプレス手段(12,13)と冷却手段(10,11)とを備えた機械を通走させ、その際、材料ストリップ(1)のための搬送手段(2,3)に、各マイクロ構造を有する成形部を備えた要素(19)を装着し、該成形部を、加熱過程およびプレス過程の進行中に材料ストリップに転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造を有する材料ストリップ、特にセキュリティに関する目印を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップを製造する方法に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19950474号明細書には、搬送区間に沿ってプラスチックカードを製造するための、連続して形成される利用部分(製品となる部分)を備えた少なくとも2つのプラスチックストリップから成る層構造を部分ごとに積層する(貼り合わせる)装置に関し、相前後して配置された加熱装置および冷却装置を備え、加熱装置および冷却装置は、個別に温度調整可能な整数の利用部分を収容するプレス機構により形成され、プレス機構は、共通の支持体に配置されていて、それぞれ固定の下方のプレスビームと可動の上方のプレスビームとを備え、搬送装置内で間欠的に駆動可能な相互に向き合うプレスベルト区分を備え、プレスベルト区分により、プレスベルト区分の間に配置されたプレスチックストリップが、部分ごとに加熱装置および冷却装置を通って移動可能である。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006001700号明細書において、番号付けされた記録担体、特に積層されたカードなどを製造する方法が開示されている。ここでは、番号は、シート上の多数の利用部分に取り付けられ、あとで記録担体が積層される。シートは、多数の個々の記録担体を備えることができる。加熱手段、プレス手段および冷却手段を備えた機械で番号付けする際に、各シートは、先ず膨張し、次いで収縮する。したがって加熱および冷却段階により、取り付けようとする番号が常時製造されるべき記録担体の同じ箇所に取り付けられるとは限らないので、不要な欠陥品が生じる。
【0004】
本発明の課題は、マイクロ構造、特にセキュリティに関係する目印を簡単に位置正確に取り付けることができる、マイクロ構造を有する材料ストリップを製造する方法を提供することである。
【0005】
さらに本発明の課題は、マイクロ構造、特にセキュリティに関係する目印を簡単に位置正確に取り付けることができる、マイクロ構造を有する材料ストリップを製造する機械を提供することである。あとで製造しようとする記録担体に関して、マイクロ構造は、常時同じ箇所に設けられる。
【0006】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、マイクロ構造を有する材料ストリップ、特にセキュリティに関係する目印を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップを製造する方法において、相互に平行に方向調整されて延在する2つのストリップから形成された少なくとも1つの材料ストリップが、少なくとも加熱手段とプレス手段と冷却手段とを備えた機械を通走し、その際、材料ストリップのための搬送手段に、各マイクロ構造を有する成形部を備えた要素を装着し、成形部を、加熱過程およびプレス過程の進行中に材料ストリップに形成する。
【0007】
本発明による方法の別の好適な態様は、方法に関する従属請求項から明らかである。
【0008】
この課題を解決するための本発明の機械によれば、マイクロ構造を有する材料ストリップ、特にセキュリティに関係する目印を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップを製造する機械において、少なくとも1つの加熱手段とプレス手段と冷却手段とを備え、相互に平行に方向調整されて延在する少なくとも2つのストリップから形成された材料ストリップのための搬送手段を備え、該搬送手段が、マイクロ構造を形成するための、成形部を有するセグメント状に形成された要素を収容するために設けられている。
【0009】
本発明による機械の好適な態様は、機械に関する従属請求項から明らかである。
【0010】
マイクロ構造、特にセキュリティに関係する目印は、単数または複数のセグメントに設けられた様々な輪郭の凸部や凹部により形成することができる。
【0011】
本発明による方法もしくは本発明による機械により、記録担体などを製造するための、マイクロ構造を有する材料ストリップ、特にセキュリティに関係する目印を備えた、少なくとも2層の積層された材料ストリップを形成することができる。好適にはプラスチック、たとえばポリカーボネートまたはポリエステルから成る材料ストリップは、利用状況に応じて、場合によっては種々異なる複数の層(ストリップ)を備えることができる。使用目的に応じて、少なくとも1つの層に、単数または複数のセキュリティに関係する目印が形成される。温度および圧力により各層に取り付けられるマイクロ構造は、特に層に加圧成形され、その際、凹凸の形成された部分が、各層に形成される。
【0012】
機械の上流側および下流側に配置された装置により、全自動運転が実現され、少なくとも2つの個々のストリップがまとめ合わされて1つの材料複合体(材料ストリップ)が形成され、材料複合体は、搬送手段により、機械の加熱手段とプレス手段と冷却手段とを通ってガイドされ、その際、マイクロ構造が、ストリップ表面の内側および外側に形成される。下流側に配置された装置は、たとえば中間緩衝体として機能し、これに対して別の装置は、マイクロ構造を有する記録担体を個別化する。
【0013】
本発明の対象では、記録担体とは、たとえばIDカード、銀行カード、クレジットカード、証明記録、たとえば身分証明書、パスポート、運転免許証などである。
【0014】
各マイクロ構造もしくはセキュリティに関係する目印は、たとえばMLI(Multiple Laser Image)構造またはCLI(Changable Laser Image)であってよく、これらは各セグメントに成形部として形成される。さらにマイクロ構造として、彫刻、マイクロ文字、地紋、点字たとえばブラーユ点字ならびに潜像などが挙げられる。
【0015】
個々のセグメントは、間欠的に循環走行する搬送ベルト(画像形成ベルト)として、たとえば溶接により相互に結合することができる。
【0016】
しかしながらそこで問題が生じる。個々のセグメントが使用済みとなる際に、使用済みとなったセグメントを交換する問題が生じる恐れがある。なぜならば個々のシステムの間の固い結合を一度分離する必要があるという理由による。
【0017】
選択的な態様では、たとえば循環走行する搬送チェンにより形成することができる搬送手段がセグメントを収容する。セグメントは、たとえばねじ止め、ピン止め、割ピンなどにより、単数または複数の搬送手段と分離可能に結合することができる。一方または他方のセグメントが使用済みとなると、セグメントは、簡単に、結合部の分離およびセグメントの交換により代用することができる。
【0018】
以下に、図示の本発明の実施の形態に基づいて、本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】プレス手段が閉じた状態で本発明による機械を示す側面図である。
【図2】プレス手段が開いた状態で本発明による機械を示す側面図である。
【図3】本発明による選択的な機械の原理図である。
【図4】分離可能に相互結合された、マイクロ構造を有するセグメントの原理図である。
【0020】
図1および図2には、本発明による、搬送区間に沿って記録担体を製造するための設備の部分ステーションとしての、本実施の形態では2つのプラスチックストリップ1,1’’により形成された材料ストリップ1を部分ごとに積層する機械を示す。利用部分とも定義されるプラスチックストリップ1,1’’は、機械の上流側に位置する繰り出し装置(図示していない)から供給され、矢印方向に機械を通って搬送される。材料ストリップ1を形成するプラスチックストリップ1,1’’は、互いに同期的に供給され、その際、積層して材料ストリップ1を成すことになる個別のプラスチックストリップ1,1’’は、予め異なる加工ステーションを通走してよい。少なくとも2つのプラスチックストリップ1,1’’がまとめ合わされると、プラスチックストリップ1,1’’は、材料ストリップ1を成す。材料ストリップ1は、2つのプレスベルト区分(プレスベルトの真っ直ぐに延びる搬送区分)2,3の間のギャップに進入し、プレスベルト区分2,3は、相互に向き合う閉じた2つの搬送ベルトにより形成されており、搬送ベルトは、それぞれ入口ドラム4,5と出口ドラム6,7とにわたって巻き掛けられている。少なくとも1つの搬送ベルト、好適には両方の搬送ベルトは、歩進的に駆動され、循環走行しながら材料ベルト1を連行する。
【0021】
あとで言及するが、プレスベルト区分2,3において材料ストリップ1の連行要素が設けられており、連行要素は、機械を通る材料ストリップ1のスリップのない搬送を保証する。プレスベルト区分2,3に沿って、相前後して加熱手段8,9および冷却手段10,11が配置されており、加熱手段8,9および冷却手段10,11は、温度調整可能な個別のプレス機構により形成される。相前後して配置された加熱手段8,9および冷却手段10,11の数は、選択可能である。加熱手段8,9および冷却手段10,11は、それぞれ相互間隔を有して配置されていて、それぞれ上方のプレスビーム12と下方のプレスビーム13とを備えて形成されている。上方のプレスビーム12と下方のプレスビーム13との間で、材料ストリップ1が、両方のプレスベルト区分2,3の間でガイドされて、本発明による機械を矢印方向に通走する。
【0022】
図1において、それぞれ2つのプレスビーム12,13は、材料ストリップ1の温度調整された圧力処理に関して、プレス機構が閉じた位置で示す。少なくとも上方のプレスビーム13は、圧力を下方のプレスビーム13に及ぼすために、雄型として可動である。別の図面に基づいて詳説するように、プレスベルト区分2,3は、金属薄板から成るセグメントを備えており、セグメントは、マイクロ構造により形成される成形部(プロフィール)を有し、成形部は、温度調整された圧力処理の間に材料ストリップ1の所定の部分に転写される。温度調整された圧力処理の終了後に、プレス機構は、上方のプレスビーム12の持ち上げにより開かれ、プレスベルト2,3は、部分ごとに処理された材料ストリップ1と共に移動する。たとえば加熱手段8,9において処理される材料ストリップ1の部分は、冷却手段10,11に移動する。プレスビーム12,13もしくは加熱手段8,9および冷却手段10,11を作動させるために、制御装置14が設けられている。
【0023】
図2には、図1に示す本発明による機械を上方のプレスビーム12が開いた状態で示す。個々のプレス機構は、温度およびプレス機構に及ぼされる圧力に関して個別に調節可能であり、それぞれマイクロ構造を備えた材料ストリップ1は、安定した層材料を形成する。材料ストリップ1を歩進的に送るために、プレスは、その都度開かれる。加熱過程および冷却過程の時間により、サイクルタイムが規定される。さらに機械の入口および出口付近に昇降運動装置15,16が設けられており、昇降運動装置15,16は、図2から看取されるように、プレスベルト区分2,3に関して鉛直成分を有して上方に移動可能である。
【0024】
図3には、図1および図2と同様に加熱手段8,9と冷却手段10,11とを装備した、本発明による別の機械を原理図で示す。同様に上方のプレスビーム12および下方のプレスビーム13が設けられている。金属薄板状に形成されたセグメントによる形成されるプレスベルト区分2,3は、図3の原理図では相互にずらして配置されている。図示していない上流側に設けられた装置では、図1および図2に示す個々のストリップ1,1’’がまとめ合わされて材料ストリップ1が形成される。変向ローラ17を介して、材料ストリップ1は、入口ドラム4,5の間のギャップにガイドされ、このようにして図1および図2に関して説明するように、搬送区間を通走する(矢印方向)。材料ストリップ1は、出口ローラ6,7の付近で、別の目的に、特に個別化装置に供給される。図1および図2に関して説明するように、ここでも加熱手段8,9において、上方および下方のプレスビーム12,13と相俟って、マイクロ構造が、材料ストリップ1の所定箇所に設けられる。
【0025】
図4には、マイクロ構造18を有する、相互に結合された2つのセグメント19を原理図で示す。セグメント19は、本実施の形態では、結合条片20を介して、分離可能に相互に作用結合されている。ピン状の結合要素21を介して、セグメント19は、相互に分離可能に結合される。結合条片20は、用途に応じて、示唆するにとどめるリンクプレートチェン22により形成することができる。孔(収容部)23が示唆されており、孔23は、ピン状の連行要素を収容するために用いられ、孔23は、搬送されるべき材料ストリップの対応するレジスタ孔と作用結合される。連行要素により、材料結合部のスリップのない搬送が保証される。マイクロ構造18は、常時、材料ストリップ表面もしくは材料ストリップ内側の同じ箇所に取り付けられ、たとえば加圧成形(型押しまたは押込成形)される。個別化、たとえば打ち抜きなどにより記録担体を形成したあとで、製造された全ての記録担体は、常に同じ箇所にマイクロ構造を有し、このことは、材料結合部の後加工に関して極めて好適である。
【符号の説明】
【0026】
1 材料ストリップ、 1’,1’’ プラスチックストリップ、 2 プレスベルト区分、 3 プレスベルト区分、 4 入口ドラム、 5 入口ドラム、 6 出口ドラム、 7 出口ドラム、 8 加熱手段、 9 加熱手段、 10 冷却手段、 11 冷却手段、 12 プレスビーム、 13 プレスビーム、 14 制御装置、 15 昇降装置、 16 昇降装置、 17 変向ローラ、 18 マイクロ構造、 19 セグメント、 20 結合条片、 21 結合要素、 22 リンクプレートチェン、 23 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造(18)を有する材料ストリップ(1)、特にセキュリティに関係する目印(18)を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップ(1)を製造する方法において、
相互に平行に方向調整されて延在する2つのストリップ(1,1’’)から形成された少なくとも1つの材料ストリップ(1)が、少なくとも加熱手段(8,9)とプレス手段(12,13)と冷却手段(10,11)とを備えた機械を通走し、その際、材料ストリップ(1)のための搬送手段(2,3)に、各マイクロ構造(18)を有する成形部を備えた要素を装着し、該成形部(18)を、加熱過程およびプレス過程の進行中に材料ストリップ(1)に転写することを特徴とする、マイクロ構造を有する材料ストリップを製造する方法。
【請求項2】
プラスチックから成る材料ストリップ(1)が、間欠的に、機械の加熱手段(8,9)とプレス手段(12,13)と冷却手段(10,11)とを通過する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
材料ストリップ(1)のための搬送手段に、セグメント状に形成された、成形部を有する要素(19)を装着する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
循環走行する画像形成ベルトおよび搬送ベルト(2,3)を形成するために、セグメント(19)を、固く、特に溶接により相互に結合する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
セグメント(19)を、各搬送手段、特に搬送チェンと、分離可能に結合する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
材料ストリップ(1)に、トランスポンダを装着する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
材料ストリップ(1)に、MLIマイクロ構造またはCLIマイクロ構造を取り付ける、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
材料ストリップ(1)を、機械から離れた直後に、または機械から離れたあとで個別化し、マイクロ構造(18)、特にセキュリティに関係する目印を有する記録担体を形成する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
マイクロ構造(18)を有する材料ストリップ(1)、特にセキュリティに関係する目印(18)を有する少なくとも2層の積層された材料ストリップ(1)を製造する機械において、
少なくとも1つの加熱手段(8,9)とプレス手段(12,13)と冷却手段(10,11)とを備え、相互に平行に方向調整されて延在する少なくとも2つのストリップから形成された材料ストリップ(1)のための少なくとも1つの搬送手段(2,3)を備え、該搬送手段(2,3)が、マイクロ構造(18)を形成するための、成形部を有するセグメント状に形成された要素(19)を収容するために設けられていることを特徴とする、マイクロ構造を有する材料ストリップを製造する装置。
【請求項10】
金属薄板により形成されたセグメント(19)が、固く、特に溶接により相互に結合されている、請求項9記載の機械。
【請求項11】
金属薄板により形成されたセグメント(19)が、特に搬送チェンにより形成された搬送手段と分離可能で交換可能に結合されている、請求項9記載の機械。
【請求項12】
搬送手段(2,3)が、材料ストリップ(1)を、間欠的に、加熱手段(8,9)とプレス手段(12,13)と冷却手段(10,11)とを通ってガイドする、請求項9から11までのいずれか1項記載の機械。
【請求項13】
各搬送手段(2,3)が、間欠的に逆向きに駆動可能な2つの搬送区分により形成されており、該搬送区分により、材料ストリップ(1)が移動可能であり、該搬送区分(2,3)の少なくとも1つが、成形部(18)を有するセグメント(19)を備えている、請求項9から12までのいずれか1項記載の機械。
【請求項14】
搬送手段(2,3)またはセグメント(19)に、相応の成形部を有する材料ストリップのための連行要素が設けられている、請求項9から13までのいずれか1項記載の機械。
【請求項15】
連行要素が、ピンにより形成されており、該ピンは、材料ストリップ(1)に対応する孔に係合し、係合により、材料ストリップ(1)が、均等に間隔を有するマイクロ構造(18)、特にセキュリティに関係する目印(18)を備えるようになる、請求項9から14までのいずれか1項記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−511441(P2012−511441A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539890(P2011−539890)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001659
【国際公開番号】WO2010/066228
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(311007453)メルツァー マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Melzer Maschinenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Ruhrstrasse 51−55,D−58332Schwelm,Germany
【Fターム(参考)】