説明

マイクロ波位置検知システムおよびマイクロ波を使用して位置を検知する方法

【課題】ターボ機械内の多数の対象部品の位置をコスト効率よく監視するマイクロ波位置検知システムを提供する。
【解決手段】マイクロ波位置検知システムは、それぞれが複数の位置の間を移動する複数の対象部品を備える。マイクロ波発生器は、マイクロ波周波数信号を発生させる。分割器は、マイクロ波周波数信号を受け取り、複数の位置検知信号に分割する。分割された位置検知信号は、対象部品のそれぞれの位置を求めるために、複数の対象部品に送られる。また、位置検知信号の各々を校正することもできる。一実施例において、第1および第2の周波が共通の導波路を通って伝送する。第1の周波は、校正信号を生成するために対象部品に到達する前に反射される。対象部品の位置を検知するのに使用される第2の信号は、第1の信号を使用して校正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のマイクロ波発生器を使用して、ターボ機械に関連する様々な部品の位置を検知することに関する。
【背景技術】
【0002】
可変変位変換器やホール効果近接プローブなどの様々な位置検知システムが存在する。しかし、これらのシステムは、精度的な限界があることと、厳しい環境で機能する必要があることにより、大抵の場合、ターボ機械には適さない。
【0003】
ターボ機械内のタービン部品の隙間を検知するために、マイクロ波周波数信号が使用されている。マイクロ波発生器は、タービン部品の位置を検知するために、タービン部品によって反射され処理される信号を発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターボ機械システム内の多数の部品の位置は、監視される必要がある。例えば、可変ステータベーン、燃料計量バルブ、回転アクチュエータ、および多数の他の部品の位置とともに、タービンの振動および速度は、測定される必要がある。しかし、各部品に対してマイクロ波発生器を使用すると、コストが非常にかかる。ターボ機械内の多数の対象部品の位置をコスト効率よく監視するマイクロ波位置検知システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マイクロ波位置検知システムは、それぞれが複数の位置の間で移動する複数の対象部品を有する。マイクロ波発生器は、マイクロ波周波数信号を発生させる。分割器(divider)が、このマイクロ波周波数信号を受け取り、複数の位置検知信号に分割する。分割された複数の位置検知信号は、それぞれ複数の対象部品に送られ、対象部品の各々の位置を確定する。
【0006】
また、位置検知信号の各々を校正することができる。一実施例において、第1および第2の周波が共通の導波路(wave guide)を通って伝送される。第1の周波は、対象部品に到達する前に反射され、校正信号を生成する。対象部品の位置を検知するために使用される第2の信号は、第1の周波を使って校正される。
【0007】
実施例のマイクロ波位置検知のシステムおよび方法は、共通のマイクロ波発生器を使用して、コスト効率よく複数の対象部品の位置を監視する。
【0008】
本発明の上記および他の特徴は、以下の明細書および図面から最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ターボ機械に関連する複数の対象部品を監視するために共通のマイクロ波発生器を使用するマイクロ波位置検知システムの概略図。
【図2】マイクロ波周波数信号を電気的に分割する分割器の概略図。
【図3】マイクロ波周波数信号を機械的に分割する分割器の概略図。
【図4】位置検知信号を校正するために使用される校正信号の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、マイクロ波位置検知システム12を利用するターボ機械10を概略的に示す。ターボ機械10は、複数のブレード16を有するタービン14を含む。典型的には、タービンと隣接するハウジングとの間の隙間を監視し、かつタービンの振動および速度を監視することが望ましい。ターボ機械10は、さらに、その位置が監視対象であるベーン20を有する可変ステータ18を含む。ターボ機械10は、さらに、様々な回転アクチュエータ22、燃料計量バルブ24、および監視対象である他の部品を含み得る。
【0011】
マイクロ波位置検知システム12は、例えば、コマンド信号30およびフィードバック信号32を使用してマイクロ波発生器28と通信するプロセッサ26を有する。結線図に使用される幾つかの矢印は例示のためのものであり、限定を意図するものではない。例えば、単一のおよび/または複数の電信線によって、単一のおよび/または複数の信号を搬送することができる。あるいは、無線伝送を使って信号を伝達することができる。さらに、結線図の線で表されているよりも多い又は少ない情報を伝達してもよい。
【0012】
マイクロ波発生器28は、分割器36にマイクロ波周波数信号34を供給する。マイクロ波周波数信号は、1つまたは複数の明確な周波数、あるいは周波数帯域を含むことができる。分割器36は、図2および図3を参照して詳しく考察するように、マイクロ波周波数信号34を複数の位置検知信号38に機械的および/または電気的に分割する。
【0013】
さらに図1を参照すると、分割器36は、(集合的に参照符号「38」とする)複数の位置検知信号38a〜38eを、タービン14、可変ステータ18、回転アクチュエータ22および燃料計量バルブ24などの複数の対象部品に供給する。図示した実施例において、燃料計量バルブ24は、位置検知信号38eを反射する傾斜面を含む。
【0014】
位置を検知するためにマイクロ波周波数を使用する技術分野で周知のように、マイクロ波信号を対象に誘導し、対象から反射された周波の位相および信号強度を測定して対象の位置を確定する。反射された信号は、分割器36をバイパスしてプロセッサ26に直接的に情報を送ることができる。当技術分野において周知のように、通常、信号は導波路によって対象まで運ばれる。各々の対象に対して使用される周波数は、対象までの距離および他の要素に基づいて選択される。
【0015】
一実施例において、それぞれの位置検知信号38a〜38eの近くに配置された(集合的に参照符号「40」とする)温度センサ40a〜40eを使用して、位置検知信号38を校正することができる。これらの温度センサ40は、対象部品および/または対象部品に関連した導波路における熱成長を考慮する。
【0016】
図2に示される実施例を参照すると、分割器36は、マイクロ波周波数信号34を受け取り、この信号を電気的に分割して2つの位置検知信号38a,38bを供給する。マイクロ波周波数信号34は、タイマ42を通過し、このタイマ42が、同軸ケーブル46a,46bを用いて、マイクロ波周波34をそれぞれ第1および第2のカプラ48a,48bに順次配信する。これに加え、または代替的に、それぞれのカプラ48a,48bに所望の周波(または複数の周波)を配信するために、フィルタまたは周波数逓倍器(multipliers)44a,44bにマイクロ波周波数信号34を通過させてもよい。
【0017】
カプラ48a,48bは、それぞれの対象部品52a,52bに位置検知信号38a,38bを配信するために、対応する導波路50a,50bに電気信号を伝送する。位置検知信号38a,38bは、それぞれの対象部品によって反射され、それぞれの導波路およびカプラを通るように伝送されて戻る。最終的に、位置検知信号は、プロセッサ26に受け戻される。プロセッサ26は、この戻り信号の位相および信号強度を対象部品に関連した位置に変換する。
【0018】
図3に示される実施例を参照すると、分割器36は、マイクロ波周波数信号34を機械的に分割し、導波路50a,50bに沿って伝送される位置検知信号38a,38bに変換するカプラ48を有する。対象部品52a,52bからの反射波は、図2を参照して上記に説明したように、導波路50a,50bに受け入れられる。
【0019】
図1に、戻り位置検知信号を修正または校正するために使用される温度センサ40が示されている。代替的に、位置検知信号を校正するためにマイクロ波周波数信号34を使用することができる。一実施例において、マイクロ波周波数信号34は、第1および第2の周波を含む。第1の周波は、第2の周波とは周波数が異なる校正信号54に該当する。第2の周波は、図1〜図3を参照して上記に説明したように、位置検知信号として使用される。校正信号54はカプラ48に送られる。導波路50の端部の近くに、金属の特徴部(metallic feature)やアルミナプラグなどの構造特徴部56を配置することができる。第1の周波は、構造特徴部56で反射されてプロセッサ26に戻されるように選択される。このように、校正信号54を使用して導波路50に作用する温度の影響を測定することができるので、校正信号54によって温度に起因する長さの変化を測定することができる。その後、この校正信号を使って位置検知信号を調整することができる。
【0020】
本発明の好ましい実施例を開示したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変更がなされ得ることを理解されるであろう。この理由から、本発明の特許請求の範囲および内容を確定するために、以下の特許請求の範囲を検討されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波周波数信号を発生させるマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波周波数信号を受け取り、複数の対象部品に送って対応する対象部品の位置を確定するために、前記マイクロ周波数信号を複数の位置検知信号に分割する分割器と、
を備えるマイクロ波位置検知システム。
【請求項2】
前記分割器が、前記マイクロ波周波数信号を前記複数の位置検知信号に機械的に分割することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分割器が、前記マイクロ波周波数信号を前記複数の位置検知信号に電気的に分割することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの電気ケーブルが、前記対象部品に近接した少なくとも1つの導波路に連結されている少なくとも1つのカプラに前記複数の位置検知信号を搬送することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記分割器が、前記マイクロ波発生器と前記カプラとの間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記マイクロ波周波数信号が、第1の周波数に該当する校正信号と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数に該当する前記複数の位置検知信号の少なくとも1つと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各々が複数の位置の間で移動する前記複数の対象部品を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記対象部品が、ターボ機械に関連するものであることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記対象部品のうちの1つが、燃料計量バルブであることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記対象部品のうちの1つが、回転アクチュエータおよびリニアアクチュエータのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記対象部品のうちの1つが、可変ステータベーンであることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
マイクロ波を使用して位置を検知する方法であって、
(a)第1のマイクロ波信号を伝送するステップと、
(b)前記第1のマイクロ波信号を複数の位置検知信号に分割するステップと、
(c)前記複数の位置検知信号を複数の対象部品に伝送するステップと、
(d)前記複数の位置検知信号を使用して、前記対象部品の各々の位置を確定するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
ステップ(b)が、前記第1のマイクロ波信号を前記複数の位置検知信号に機械的に分割することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)が、前記第1のマイクロ波信号を前記複数の位置検知信号に電気的に分割することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(d)が、校正信号を使用して前記複数の位置検知信号を調整することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記校正信号が第1の周波数であり、前記位置検知信号は、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
マイクロ波を使用して位置を検知する方法であって、
(a)第1および第2の周波を共通の導波路に伝送するステップと、
(b)校正信号を生成するために、対象部品に到達する前に前記第1の周波を反射するステップと、
(c)前記校正信号を使用して、前記第2の周波に関連した位置検知信号を校正するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
前記導波路が構造特徴部を含み、ステップ(b)が、前記構造特徴部を使って前記第1の周波を反射することを含む請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−197010(P2011−197010A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136914(P2011−136914)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【分割の表示】特願2008−74803(P2008−74803)の分割
【原出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】