マイクロ波加熱装置、マイクロ波加熱システム、およびマイクロ波加熱装置またはマイクロ波加熱システムの使用方法
【課題】加熱プロセスが効率良くかつ予測しやすい加熱装置を実現する。
【解決手段】マイクロ波エネルギをアプリケータに供給するよう適合されたマイクロ波結合手段を備えた誘電マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置を提供する。アプリケータは負荷チャンバ8を備え、この負荷チャンバ8は、アプリケータの中心軸に対して、アプリケータの上方端部から、下方端部からの予め定められた距離まで同軸に延在し、上述の負荷チャンバは、加熱すべき負荷を受けるよう適合される。誘電アプリケータは2つのセクション、すなわち、負荷チャンバを備えた上方セクション4、および結合手段と上方セクションとの間のインピーダンス整合のための下方セクション6を含む。好ましい実施例では、下方セクションは結合手段から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有する。
【解決手段】マイクロ波エネルギをアプリケータに供給するよう適合されたマイクロ波結合手段を備えた誘電マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置を提供する。アプリケータは負荷チャンバ8を備え、この負荷チャンバ8は、アプリケータの中心軸に対して、アプリケータの上方端部から、下方端部からの予め定められた距離まで同軸に延在し、上述の負荷チャンバは、加熱すべき負荷を受けるよう適合される。誘電アプリケータは2つのセクション、すなわち、負荷チャンバを備えた上方セクション4、および結合手段と上方セクションとの間のインピーダンス整合のための下方セクション6を含む。好ましい実施例では、下方セクションは結合手段から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置と、マイクロ波加熱装置を含むマイクロ波加熱システムと、独立請求項の前段部分に従ったマイクロ波加熱システムを用いる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
化学反応、特に有機合成反応を実行するためのマイクロ波加熱システムは重要な周知の技術である。マイクロ波加熱を用いることにより、数桁のオーダで化学反応の反応速度を上げることが可能となる。マイクロ波を用いることにより、しばしば完成品の産出量が増えかつその純度が向上することにもなる。
【0003】
マイクロ波を利用した化学は長年にわたって使用されている。しかしながら、その装置および方法のかなりの部分は、従来の家庭用のマイクロ波オーブンに基づいている。家庭用のマイクロ波オーブンは多重モードキャビティを有し、エネルギは2450MHzに固定された周波数で適用される。単一モードキャビティの使用も報告されている。たとえば、US−5,393,492およびUS−4,681,740を参照されたい。
【0004】
最近の進歩は、マイクロ波発生器と、処理される負荷(またはサンプル)を保持するための別のアプリケータと、上記発生器から生成されたマイクロ波放射線を導きかつアプリケータに結合する導波路とを含む装置につながっている。システムが、マグネトロン発生器が一端に接続されサンプル容器が他端に接続される2450MHzを使用するTE10導波路からなる場合でも、適度な効率を実現するために発生器と負荷との間には少なくとも金属柱または絞りの形の整合装置が必要である。
【0005】
マイクロ波などの電磁放射をソースからアプリケータに結合するとき、電力を良好に転送するために伝送線インピーダンスを(負荷を備える)アプリケータのインピーダンスに整合することが重要である。しかしながら、負荷の誘電特性は、アプリケータのインピーダンスおよびその電気的なサイズに大きく影響するおそれがあり、サンプルの誘電特性はしばしば温度および適用された周波数の両方に応じて著しく変化する。したがって、ソースとアプリケータとの間のインピーダンスの不整合がしばしば起こり、結合およびこれにより加熱プロセスの効率は低下し、予測が難しくなる。
【0006】
以下に、マイクロ波アプリケータで使用される異なる伝送モードの背景を簡単に説明する。
【0007】
全長にわたって均一な所与の断面を備える中空の導波路を考える。これらの境界条件を波動方程式に適用した結果、(共に測定された)電気強度Eと磁気強度Hとの分布に対する或る固有パターンしか導波路に存在し得ないことがわかる。フィールド分布の各固有パターンはモードと称される。中空の導波路において可能な2種類のモードがあり、そのうち一方は横方向電気(TE:transverse electric)モード、他方は横方向磁気(TM:transverse magnetic)モードである。TEモードでは、Eは伝搬する方向に対して横方向(すなわち垂直)の構成要素しか有さないが、Hは横方向および縦方向の両方の構成要素を有する。
【0008】
TMモードでは、磁気強度は横方向の構成要素しか有さず、電気強度は両方の構成要素を有する。モードの各タイプ(TEまたはTM)は、属するタイプに共通する特徴を有する無数のサブモードを有するが、フィールド分布の細部においてそれら自体の間で異なる。
【0009】
TE波またはTM波の最も重要な特徴の1つは、伝送の各モードに対して遮断波長があるということである。自由空間の波長が遮断値よりも長い場合、その特定のモードは導波路では存在することができない。どの所与の導波路でも、最も長い遮断波長を有するモードが主流のモードとして知られる。モード、たとえばTE01を指標付けることにより、これが示される。
【0010】
US−4,392,039は、マイクロ波によって加熱すべき物体の誘電率よりも高い誘電率を有する低損失誘電性を備えた誘電加熱アプリケータに関する。内部共振がアプリケータにおいて励起されるので、特定のフィールドパターンが物体においてかつ物体の中に存在する。
【0011】
US−4,392,039の加熱アプリケータの特定の実施例に従って、誘電体は、そこで負荷を加熱することのできる軸孔を備える(US−4,392,039の図10〜図12)。
【0012】
US−3,848,106は、損失が低くかつ誘電率が空気の誘電率より高い誘電材料を含む、マイクロ波エネルギによって加熱するための装置を開示する。この公知の装置の一実施例では、誘電体は(US−3,848,106の図7および図8に示される)金属管における筒形のライニングとして形作られ、上述の管と同軸関係の管に位置決めされている筒形の断面を備えた材料を加熱することを意図する。
【0013】
筒形の誘電材料の実施例は、いかなる逆行干渉、すなわちインピーダンス整合条件、またはシステム整合に対する負荷の影響をも考慮に入れない。
【0014】
この発明に従ったマイクロ波加熱装置の全体の目的は、先行技術の加熱システムにおけるよりも加熱プロセスが効率良くかつ予測しやすい加熱装置を実現することである。
【0015】
この発明のさらなる目的は、マイクロ波加熱システムに配置されるさまざまなマイクロ波加熱装置の並行処理を可能にすることであり、各装置は温度、時間およびマイクロ波の周波数に関して個々に制御され得る。
【特許文献1】US−5,393,492
【特許文献2】US−4,681,740
【特許文献3】US−4,392,039
【特許文献4】US−3,848,106
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
上述の目的は独立請求項に従ってこの発明により達成される。
【0017】
好ましい実施例が従属請求項に述べられる。
したがって、独立請求項に述べられる幾何学的特徴を備えたマイクロ波アプリケータを設けることにより、加熱装置の性能が向上する。
【0018】
この発明は少ない負荷量に対して特に有利である。この文脈では、量が5ml未満、特
に2ml未満である場合に少ないと考えられる。
【0019】
量が約2mlを超える場合、この発明に従ったセラミックアプリケータシステムでのいくつかの技術的な利点をもはや十分には応用できず、直径が10mmである2ml負荷は高さ25mmとなり、これは極めて多量であるので、セラミック材料を用いないアプリケータを用いても許容可能な結果が得られる。
【0020】
負荷量が0.4ml未満である場合、小瓶自体による冷却などの周囲の影響を制御し、かつこれをあまり妨害することなく負荷温度および圧力を測定することがあまりにも難しくなる可能性がある。φ6mmの0.5ml負荷は高さ18mmとなり、アプリケータ設計に関して適度に最適化された別の負荷および関連付けられるセンサはφ9mm、高さ12mmであり得、こうして約0.75mLの量を有し得る。
【0021】
アプリケータは並行動作のために小型の多重アプリケータシステムを設計しやすくするよう「小さく」すべきである。負荷を有するアプリケータは、マイクロ波加熱効率(負荷によって実際に吸収される、アプリケータに対する入力マイクロ波電力の割合)を高くするために共振する必要があるので、アプリケータの特徴寸法(一般的に直径)が半分の波長と全波長との間のオーダでなければならない。2450MHzでは、この波長は自由空間において約120mmであるので、空気が満たされたアプリケータは直径が少なくとも約60mmとなるだろう。空気の代わりに誘電率の高いセラミックアプリケータを用いることにより、セラミック誘電率のほぼ平方根の係数分だけ寸法を減じることができる。
【0022】
例として、誘電率が100のマイクロ波セラミックを用いると、(以下に記載される好ましい実施例と同様に)アプリケータの直径は約17mmとなる。
【0023】
以下にこの発明を展開する際に考慮されるいくつかの問題点の概略が述べられる。
マイクロ波加熱装置が2450MHzマイクロ波を用いて0.5〜1.0mlの量の液体を加熱することを意図する場合、4自由度がある。液体は約10〜70の範囲の誘電率を有し、これは、この周波数での広範な温度範囲にわたる大部分の双極性液体の場合と同様である。
【0024】
これらの4自由度は、誘電アプリケータの直径と、アプリケータで用いられる誘電材料の誘電率と、負荷チャンバの直径と、負荷の液柱の直径とである。
【0025】
次いで所与の量により液柱の高さが決定され、アプリケータの高さが、好適なモードに対する共振を得るために決定されることとなる。
【0026】
モードは、加熱パターンの角度変動および半径方向変動におけるずれが最小限であり得るように選択されるべきである。したがって、最低のオーダのTM01タイプのモードだけがフィールドの角度変動を有さないという点で可能である。垂直な(軸方向の)モード指数は頂部における磁壁効果のために0ではあり得ない。したがって、次に低いタイプを考慮すべきである。それは4分の2の波長期間を有するので、TM011モードである。パタ
ーンは、当然、同質の誘電体におけるパターンと比べて歪んでいる。誘電材料の誘電率が非常に高い場合、エネルギの大部分がそこで変動し、孔におけるフィールド分布は通常の開口式のTM011モードのフィールド分布と近くなるだろう。
【0027】
この発明に従って、誘電率および負荷物質の損失係数が変わる際に、負荷回折を積極的に用いてシステムのインピーダンス整合全体を改善する。この発明を用いることにより、異なる負荷のための、システムに対するいかなる物理的な変更も必要とされない。
【0028】
この発明は、誘電アプリケータの下方セクションであるマイクロ波供給サブシステムを提供し、これは、負荷が低い誘電率を有しかつ上方のセクションに負のフィードバックを与える場合、(負荷チャンバを備えた)上方セクションに対してより強固な結合をもたらすので、負荷誘電率が変わっても結合はほとんど変わらない。これは、この発明の好ましい実施例に従って、近距離で負荷を囲む高誘電率のセラミック誘電材料と、負荷より下での下方セクションの配置との両方によって達成され、この場合、下方セクションは中実の断面であり、半径方向ではなく軸方向のマイクロ波供給位置にある。
【0029】
負荷を備えたアプリケータの筒形部分に通常の伝搬モードがある。底部における供給セクションでの同軸のTEモードの基本的なフィールドパターンはTM01モードの場合と同じである。マイクロ波結合手段と上方セクションとの間に円錐形のセクションを備えたこの発明の実施例では、モードの消失性伝搬があることになるが、軸方向の長さが短いので結合を最適化することができる。この発明のこの実施例により、変動する負荷誘電率に対するアプリケータの結合係数が他の場合よりも著しく少なくなり、すなわち、好ましい負のフィードバックが達成され、これにより変動する負荷に対してシステムの効率が高く維持されることとなる。
【0030】
セラミックアプリケータの高誘電特性は、マイクロ波の放射線を与えない小さなアプリケータを構成することを可能にし、また、サンプルの誘電特性における変化を「緩衝する」のでそれを半共振させ、従ってマイクロ波発生器の必要な帯域幅をより小さくする。
【0031】
この発明に従った予め定められた数のマイクロ波加熱装置を配置することにより、化学反応の並行処理が達成される。
【0032】
これはこの発明に従った誘電アプリケータでの主要な一利点である。というのも、これにより、並行処理のための必要条件である小型の支持構造を実現することができるからである。
【0033】
別の主要な利点は、上方端部と底部における中実のセラミックセクションとにおいて有効な圧力シールと組合せて厚肉の金属管に誘電セラミックアプリケータを装着することにより、アプリケータが効果的に圧力封止される点である。
【0034】
この発明のさらなる好ましい実施例に従って、1つまたは多数の小さな孔が、アプリケータにおいて負荷チャンバの中に、本質的に半径方向に、圧力をかける目的で、温度監視のために、さらに押込み気体または空気排出によって急速に冷却できるようにするために、配置される。
【0035】
この発明のさらに別の好ましい実施例に従って、半導体ベースのマイクロ波発生器を用いる。これにより周波数を変えることが可能となり、したがってマイクロ波加熱システムの効率をより高めることが可能となる。サンプルの誘電特性の変動により別々のサンプルに対する異なった共振周波数がもたらされ、これは補償されなければならない。周波数の変動はこれを補償することができ、半導体ベースのマイクロ波発生器を用いることにより、機械的な調整装置は必要ではなくなる。半導体ベースのマイクロ波発生器は非常に小さくすることもでき、これにより、同じシステム/機器において複数のマイクロ波発生器を有することが可能となる。マグネトロンベースのシステムの場合と同様に、高電圧システムは必要ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
発明の好ましい実施例の詳細な説明
図1aおよび図1bは、この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す
概略図である。
【0037】
図1cおよび図1dは、この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションの断面をそれぞれ示す概略図である。
【0038】
図1aには、上方セクション4、下方セクション6および負荷チャンバ8を含む誘電アプリケータ2が示される。この図においては、アプリケータの寸法を印象付けるために例示的な寸法をmmで示す。しかしながら、これらの寸法が例としてのみ与えられ、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される装置に対して他の寸法が当然可能であることに留意しなければならない。
【0039】
図1bには、下方セクション4の下方端部10がマイクロ波結合手段12を備えるのが示され、マイクロ波エネルギが同軸の供給線14を介してマイクロ波エネルギ発生器(図示せず)からアプリケータに供給される。結合手段は、金属アンテナを介して、下方セクションの下方端部における窪みに挿入かつ締結される筒形のロッドの形で、アプリケータに接続される。図1bにはまた、アプリケータのための支持部として用いられる、たとえば金属の、支持手段16と、アプリケータの外側に配置される金属管18とが示される。金属管がさらに以下に述べられる。
【0040】
図1cは、図1aに示されるアプリケータの上方セクションを示す断面図である。
図1dは、図1bに示されるアプリケータの下方セクションを示す断面図である。
【0041】
入力アンテナにまでは延在しない軸方向の中心孔を有するセラミック体の幾何学的構造はまた、円錐形の下方セクションを備え、負荷とセラミック孔底部との間の垂直な電気フィールドを減ずるTM011円形モードに対して寸法決めされる。これは主にこれらの幾何
学的要素によるシステムにおける定在波の位置の決定によるものである。結果として、負荷高さの許容差に対する共振周波数の感度が低くなる。
【0042】
この発明の好ましい最適化された実施例では、誘電アプリケータは特定された(基本的な)TM筒形モードで共振し、その負荷誘電率は誘電アプリケータの負荷誘電率よりも低い。
【0043】
誘電アプリケータは、アプリケータの頂部とマイクロ波結合手段が配置される底端部と以外が、丸みを帯びた面全体の上で金属被覆される。アプリケータの頂部は電気的に開いており、これにより、負荷の頂部領域に好ましいフィールド分布がもたらされ、かつ負荷高さに対するシステム感度が減じられる。セラミックの誘電率は非常に高いので、アプリケータモードは頂部の上方で遮断をはるかに超える。すなわち、フィールドは急速に減衰するので、セラミック面の上方から1mmのところで実質的に消える。したがって、低誘電材料および/または金属蓋または類似物が、所望の場合、セラミック頂部に極めて近接して配置されてもよい。
【0044】
図2aおよび図2bは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の、図2cのそれぞれ線B−Bおよび線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。図2cは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の断面を示す概略図である。これらの図では、アプリケータの寸法を印象付けるために例示的な寸法をmmで示す。
【0045】
図3a〜図3eは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。これらの図においては、アプリケータの寸法を印象を付けるために例示的な寸法をmmで示す。
【0046】
負荷チャンバの底部の内形は、図3a〜図3eに示される様々な変形例によって異なる。
【0047】
この発明の好ましい実施例に従って、予め定められた数の孔が、誘電アプリケータを通って負荷チャンバの中に配置される。これらの孔の直径は2mm以下である。その目的は、検知手段、たとえば温度センサ、を配置し、かつチャンバにおける負荷を空気冷却することである。これらの孔がアプリケータにおける定在波の電気フィールドの方向に対して平行である場合、性能に対するそれらの影響はごくわずかとなる。
【0048】
孔の最適な位置は数値モデリングにより決定され得、アプリケータの上方セクションについては、孔の位置は負荷の加熱が最も強い場合の高さにあり、この場合、アプリケータにおいて最小限の半径方向の電気フィールドがあり、その他の場合には妨害されることとなる。
【0049】
アプリケータの下方セクションにおける孔は半径方向および(上向きの)軸方向の両方を有する。これは有利である。というのも、このような方向は、孔を通る空気の流れによって負荷を冷却するのに最も望ましいからである。半径方向の孔は図2aにおいて参照符号20で示され、上向きの孔は図2bおよび図3a〜図3eにおいて参照符号22で示される。
【0050】
この発明の別の好ましい実施例に従って、マイクロ波加熱システムは図1bにおいて金属管18を含み、この金属管18は、少なくともアプリケータの上方セクションに沿って、誘電アプリケータの外側に配置される。アプリケータに良好で正確な締付けを達成するために、アプリケータを内部に配置する前に金属管を加熱する。金属管を配置することにより、誘電アプリケータは非常に高い圧力に耐えることができる。
【0051】
誘電アプリケータで用いるべき材料は、50より高い、好ましくは100より高い誘電率を有する。利用可能な材料の中でもAl2O3、TiO2またはXTiO3を挙げることができ、ここではXはCa、MgまたはSrなどのいずれかのII族元素である。Zrは部分的にTiを置換えてもよい。
【0052】
負荷チャンバに挿入される負荷は、好ましくは、加熱プロセス中に用いられる温度に特に耐えるよう寸法決めされた従来のガラス小瓶の形である負荷容器(図示せず)に含まれる。小瓶はさらに後に説明される。
【0053】
上述のとおり、同軸のマイクロ波供給線14を介してマイクロ波加熱装置にマイクロ波エネルギを供給する。マイクロ波はマイクロ波発生器(図示せず)によって生成される。
【0054】
この発明の好ましい実施例に従って、マイクロ波は2450MHzあたりである予め定められた周波数範囲内の周波数を有する。
【0055】
軸方向に反復するパターンがまた、当然、この発明の好ましい実施例に従ったTM01モードのアプリケータに対して可能であることに留意すべきである。
【0056】
たとえば、アプリケータのほぼ頂部区域における負荷でTM012モードを用いることに
より、TM011モードの場合と同じ加熱パターンが達成されるが、負荷誘電率を有する共
振周波数変動が半分にされる。モードTM010は典型的には負荷先端に極めて集中した加
熱をもたらす。
【0057】
図4aは、この発明の第2の好ましい実施例に従った誘電マイクロ波アプリケータの簡
略化された概略図を開示する。アプリケータは、上方セクション4と、下方セクション6と、負荷チャンバ8と、軸方向に配置された結合手段12とを含む。この実施例に従ったアプリケータがアプリケータ本体全体に沿って同じ外径を有することに留意しなければならない。
【0058】
以下に、この発明の代替的な実施例が図4bに関連して説明される。この実施例に従って、アプリケータにおける主流のモードはTE11である。
【0059】
この実施例におけるアプリケータのセラミック本体の全体的な幾何学的構造は、本質的には上述のTMアプリケータの場合と同じであり、すなわち、小瓶の挿入のために、先端部に円筒形の孔を備えた円筒形である。
【0060】
しかしながら、異なるアプリケータフィールド構成のために、異なる供給がなくてはならない。基本的な代替例は、同軸線から、底端部近くの下方セクションに配置される結合手段として半径方向の内向きの短いプローブアンテナを用いるべきである。
【0061】
図4bでは図4aと類似の参照符号が用いられ、アプリケータは、上方セクション4と下方セクション6と負荷チャンバ8と半径方向の結合手段12′とを含む。
【0062】
しかしながら、側方供給アプリケータは多重アプリケータシステムにおいて余分の空間と90°の湾曲部とを必要とすることとなる。したがって、下方からの軸方向の供給がより望ましい。好ましくは、これは、セラミック本体の下方からその底面へのストリップ線供給24を用いることにより達成される。この実施例は結合手段12″とともに図4cに概略的に示される。それは1対の小さく薄い平坦な導体26を含んでもよく、この1対の小さく薄い平坦な導体26は、下方から延び、かつセラミック筒形の底部の金属被覆の2つの「半月形」の真っ直ぐな端縁にちょうど溶接される(すなわち、直径方向の金属被覆されない「スロット」を有する)。このような二重ワイヤ線からのリークを最低限にしかつこれを機械的に強化するために、好ましくは導体間にセラミック体がある。したがって、これら導体はちょうどセラミックストリップ線上で両側が金属被覆され得る。
【0063】
この代替的なアプリケータの性能は用いられる供給の種類には左右されない。
筒形アプリケータの孔壁に直接接触する9mmの負荷直径を有する約2.45GHzの共振周波数に対するアプリケータデータを最適化することにより、以下のデータが得られる。
【0064】
セラミック全体寸法: φ14mm;H19mm
負荷孔寸法: φ10mm;H13.5mm
負荷寸法: φ9mm;筒形高さ7.5mmに加えて、切頭円錐形底部の高さ2mm(すなわち、約0.7mlの量;負荷メニスカスからアプリケータ頂部への距離:3mm)
セラミック材料誘電率: 64−j0。これがφ17mmおよび誘電率100を有するTM11アプリケータにおけるよりも低いことに留意されたい。
【0065】
当該周波数領域において2つの別個の共振がある。より低い周波数共振は負荷の先端領域の著しい加熱によって特徴付けられる。これにより、負荷の変動する誘電特性に応じた周波数の変動がより少なくなる。より高い周波数共振により、極めてより均一に、実際にはTM01モードよりもさらに均一に、負荷高さに沿ってどこも最大限に加熱される。形式的に、より低い周波数共振はTE11 1/2と明示され得、より高い周波数共振はTE111と明示され得る。
【0066】
水平面における加熱パターンは、水平なEフィールド強度が軸においてより強いことに
もかかわらず、かなり均一である。その理由は、負荷がアプリケータの金属被覆された周辺部にまでは延在せず、かつ加熱パターンがそこに電流を誘導するHフィールドによって生成されるとも言えることである。
【0067】
強い半径方向のE(および、これによりまた変位電流)フィールドは、小瓶およびセラミックの誘電率が高いのでこれら小瓶とセラミックと間の通常の空隙によって強く影響を受けることに留意しなければならない。垂直なE構成要素は、誘電率が、空隙におけるよりも何倍かまで強くなるだろう。これにより、共振周波数の強い感度が空隙の範囲にもたらされる。
【0068】
負荷誘電率および不変の幾何学的構造に応じた共振周波数の変化が、MHzの周波数で表1に示される。周波数変動が、高い共振に対して非常に大きいことが明らかに分かる。比較として、誘電率が10および50の負荷間の差は、TM01アプリケータで約100MHzである。
【0069】
【表1】
【0070】
低周波数共振ではさらなる問題がある。というのも最も強い加熱が先端領域にあるからであり、負荷先端部とセラミックにおける孔の底部との間の正確な垂直距離が極めて感度の良いものになる。また、定量化のためにモデリングが用いられた。この空気中距離を0.5mmだけ増やすことにより、低共振周波数が66MHz増え、高共振周波数が実質的に変化しないこととなる。TM01アプリケータに対する対応する変化は10MHz未満である。
【0071】
上述のように、小瓶とセラミックの孔壁との間における、小瓶ガラスの厚みも含む空隙に対する感度も存在する。というのも、ガラス誘電率も比較的低いからである。
【0072】
共振周波数の挙動は、孔周囲のセラミックの厚みが対応して薄くなる1/2mmの空隙層があってもなくても、モデリングされており、今ではどちらの場合にも切頭円錐形の負荷端部より下方にも1/2mmの空気層がある。負荷誘電率は24−j2であり、以下のことが発見された。
【0073】
より低い周波数共振が2320から2318MHzにわずかに変化した。これは(不変の)先端領域で起こるほぼ完全な電力吸収によって説明される。
【0074】
より高い周波数共振が2876から3232MHzに増えた。この大きな変化は上述の変位電流の問題によって説明することができる。一般的に、TEモードアプリケータの挙動のさまざまなより低性能の局面は、負荷湾曲に起因する回折現象を誘導することによって導き出すことができる。
【0075】
TM0モードの場合と同様に、TEモードによるアプリケータから筒形の細長い負荷へ
の第1の直接モードの結合はない。しかしながら、ここで用いられる幾何学的構造、およ
びアプリケータセラミックに直接接触する負荷では、アプリケータモードフィールドは、アプリケータセラミックおよび負荷誘電率が極めて類似する場合、(インピーダンスに関して)負荷フィールドと十分に整合する。したがって、良好なエネルギ伝達が存在し、これにより、TE11モードから直接追従する加熱パターンがもたらされる。しかしながら、負荷誘電率がより低い場合、または負荷の先端部に空隙がある場合、モードフィールドの不適合性(Dフィールド結合の不足)は、水平なHフィールド構成要素による負荷先端部における電流の近距離場誘導によって「非モードの」エネルギ伝達をもたらし、このため、別のより低い周波数共振が引起される。典型的な共振は互いから遠く離れ、それらのQ値はむしろ高い(典型的にはより低い周波数共振に対して約50)ので、負荷周辺部がアプリケータの孔壁に接触するよう留意することにより、良好な性能のための条件が残る。負荷およびアプリケータの極めて類似した誘電率がある限り、通常の伝搬による弱いエネルギ伝達をもたらす約半分の波長未満の直径を有する自由な誘電ロッドにおいてTEモードに対する固有の回折共振がないことに関連付けられることが起こるとも言えるだろう。
【0076】
TEモードアプリケータはモードと負荷との間に利点の低い結合を有するが、このアプリケータを長い単一供給アプリケータとして用いることが可能であり得(「長い」とはシステムにおける多くの波長を意味する)、負荷液体はアプリケータの孔に直接流れ込む。
【0077】
マイクロ波供給入力口は半径方向の同軸アンテナが用いられる場合単純であるので、通気システム設計は、特に、負荷とアプリケータの周囲のセラミックとの極めて類似した誘電率が存在するような設計である場合に実現することができる。
【0078】
図4dおよび図4eはこの発明のさらに代替的な実施例を開示し、ここでは、マイクロ波加熱装置が下方セクションを備えた空気の満たされたマイクロ波アプリケータを含み、この下方セクションは、下方端部から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有する。結合手段は、図4dでは、マイクロ波エネルギを軸方向に供給するよう配置され、図4eでは、細長いアプリケータの中心軸に対して半径方向にマイクロ波エネルギを供給するよう配置される。
【0079】
この発明の有利な実施例では、予め定められた数の上述のマイクロ波加熱装置が、負荷の並行した処理および加熱を可能にするためにマイクロ波加熱システムに配置される。多くのマイクロ波アプリケータを並行使用するためのマイクロ波加熱システムがWO−00/36880に開示される。
【0080】
以下に、図5に関連して、この発明に従ったアプリケータに適用可能な負荷の並行処理および加熱を可能にするマイクロ波加熱システムが示される。しかしながら、多くの上述の詳細が、当然、単一のマイクロ波加熱装置を用いる際に適用可能であることに留意しなければならない。
【0081】
信号増幅器29によって別個に増幅されるn個の信号発生器は、中心における箱で表わされる分配ネットワーク23を介してm個の別個のアプリケータ24に接続される。別個の各アプリケータは圧力監視手段と、温度監視手段と、中に負荷が含まれ、金属キャップおよび隔壁を備えたガラス小瓶を含むサンプルとを含む。
【0082】
システムはまた、すべてのサンプルのために共有される以下の部分、すなわち、電源44と、アプリケータおよびマイクロ波発生器の両方のための冷却システムと、蓋の付いた遮蔽箱と、実験の計画および実験の制御の両方のためのソフトウェアを備えた制御ユニット/コンピュータ45とを含む。サンプルは自動的に準備され得、機器に自動的に挿入され得る。また、分析機器への接続部があってもよい。すべてのシステム部分は以下に詳細に説明される。
【0083】
マイクロ波発生器は好ましくは半導体技術に基づいており、周波数変動マイクロ波を生成するVCO(電圧制御発振器)と、マイクロ波の電力を所望の変動レベル(この場合0〜20W)に増幅する1つ以上の増幅器と、最適な周波数を制御すべく情報を得るために前方向の反射された電力を監視する監視ユニット(方向性結合器)と、増幅器の電力レベルおよび発振器の周波数を制御することとなるマイクロプロセッサと、サンプルおよびアプリケータによって吸収されない電力を処理するダミー負荷とを含む。マイクロ波発生器はまた、機能性を確実にするために他の特定されない従来の構成要素、たとえばコネクタを含むだろう。
【0084】
マイクロ波アプリケータは好ましくは、金属面を備えた中空のセラミック筒と、下方セクションに入力アンテナを備えたコネクタとを含む、上述のアプリケータに従った半共振セラミックアプリケータである。セラミックは好ましくは高い誘電特性を有する(好ましい実施例では、ε=100)。
【0085】
圧力監視手段は、小瓶の隔壁と接触する歪みゲージセンサを備えたロードセルである。圧力センサは隔壁の変形を検出し、これを圧力測定値に変換する。圧力センサにより、ガラス小瓶の破裂を防ぎかつ圧力に応じた反応条件を調整することが可能となる。歪みゲージタイプの圧力センサの利点は、それが小さく、かつ小瓶の内容物に接触せずに圧力を測定することができ、すなわち異なるサンプルの間で洗浄する必要がないことである。
【0086】
温度監視手段はガラス小瓶の外側に接触する熱電対であってもよい。ガラス小瓶の接触点は、ガラスの低い熱伝導性にもかかわらず良好な温度測定値を確実にするために液面の高さより低い。ガラスの接触面は、ガラスから熱電対への熱伝導性を高めるためにガラス上に金属層を適用することにより改善され得る。アプリケータのモードフィールドパターンが(TMタイプの)この発明の好ましい実施例において公知なので、小瓶上でたとえば金属リングを用いることが可能である。というのも、これら金属リングは次にアプリケータ/負荷における変位電流経路に対して垂直となるからである。熱電対温度センサの利点は、それが小さく、(アプリケータモードが公知なので、再び最適化することが可能である)正確なレベルにあるアプリケータを介して挿入される場合にマイクロ波フィールドに干渉することがなく、かつ安価なことである。
【0087】
温度センサはまた、液面の高さより下のガラス小瓶を監視している光ファイバIRセンサを含み得る。光ファイバ温度センサでの利点は、それが小さく、かつ、金属部分を含まないのでマイクロ波フィールドに全く干渉しないことである。
【0088】
サンプル小瓶は、(たとえばアルミニウムの)金属キャップを備えたホウ珪酸ガラスと、テフロン(R)(Teflon(R))(PTFE)コーティングされたゴムの隔壁とから作られてもよい。ガラス小瓶の形状および他の特徴は高圧力に耐えるよう設計される。小瓶はこれら小瓶のために特別に設計されたトレイに配置されて、すべてのサンプルを同時に機器に挿入することを可能にする。トレイにおける小瓶間の間隔は標準化されたマイクロタイターフォーマット(micro titre format)におけるのと同じであってもよい。ガラス小瓶は好ましくはホウ珪酸ガラスから作られる。というのもそれが極めて少量のマイクロ波を吸収するからであり、このためガラスはマイクロ波によって内容物だけが加熱されないこととなる。キャップはそれを圧力封止し、高圧力化学作用の発生を可能にする。ゴムの隔壁は針で貫通することが可能であり、すなわち、小瓶にキャップをかぶせた後にそこにおよびそこから化学物質を供給することが可能であり、PTFEコーティングはこれに化学的に耐性を持たせる。トレイにより、サンプルを1つずつ挿入しなければならない場合よりもサンプルをより便利に取扱えるようになり、小瓶間に間隔を空けることにより異なる分配ロボットに対してトレイの適用可能性が与えられる。トレイがマイクロタイター
フォーマットの間隔を有する場合、大抵の分配ロボットと互換性があることとなる。ガラス小瓶の縁は、ガラス小瓶を所定の位置に保持するためのものであり、かつ圧力シールおよび強度を目的としたものである。
【0089】
マイクロ波発生器の電力供給および冷却は標準的な基準に従って計画され、サンプルの数および増幅器に必要な電力に対して寸法決めされることとなる。それは(高電圧ではない)必要な電力を機器に供給することとなり、かつ従来のタイプであるべきである。この目的のための従来の最良の方法が、電力および冷却の需要に応じて用いられる。
【0090】
マイクロ波発生器のための冷却システムは、たとえば、煙突構造、押込み空気または水冷によって達成され得る。冷却システムの種類は、マイクロ波発生器を冷却する必要性に左右される。増幅器の効率が低ければ低いほど、冷却する必要性が高くなる。
【0091】
アプリケータのための冷却システムは、アプリケータの周囲における、また小瓶周囲のアプリケータ内部における押込み空気によるべきである。アプリケータの底部からの入口があり、そこから押込み空気が与えられる。冷却媒体はまた、空気または不活性気体によって冷却され得る。
【0092】
アプリケータの冷却はアプリケータを予め定められた温度レベル、たとえば150度より低く保つのに必要である可能性がある。というのも、アプリケータの部分によってはこれより高い温度を許容しないことがあるからである。アプリケータの冷却により、別々のサンプル間での温度のクロストークが減じられるだろう。サンプルを冷却媒体で冷却することにより、反応後の冷却時間を短くすることが可能となり、それは温度調整の活性構成要素として用いることもできる。
【0093】
制御ソフトウェアは、サンプルの特定の特性に依存して調整を行なうので監視ソフトウェアでもある。共振周波数は、VCOの周波数をサンプルの共振周波数に設定するために加熱プロセス中に監視される。共振周波数は、サンプルの誘電特性、サンプル量およびサンプルの温度に応じて変化する。温度および圧力は、出力電力を制御して正確な温度プロファイルを得るために増幅器に正確に結合されるよう監視される。調整ソフトウェアは動的であり得、(共振周波数、共振周波数の幅および温度上昇によって得られる)サンプルの誘電特性を考慮に入れ得る。調整ソフトウェアはマイクロ波モジュールにおけるマイクロプロセッサユニットと、すべてのサンプルのために共有されるコンピュータとの間で分散されることとなる。マイクロプロセッサに対するソフトウェア部分はまた、CAN−バスまたはRS−485を介しコンピュータによってダウンロードすることが可能であるべきである。調整ソフトウェアは、プレフィルタを備えたPIコントローラ、またはより複雑なコントローラを含む。
【0094】
以下の例は、共振周波数と負荷の誘電特性との間の接続をさらに説明する。
低損失負荷については、共振周波数帯域幅はかなり小さくてもよい。これは、共振周波数が異なる負荷間かつ異なる温度で変動するので周波数を調整する必要があることを意味する。典型的な方法では、最初に、低い電力で発生器周波数をたとえば2400〜2500MHzにわたって掃引し、次いで、アプリケータと発生器との間に接続される3口のサーキュレータの第3のアームのダミー負荷で反射電力の増幅を検出する。信号は、反射された電力が最小であり、このため吸収された電力が最大である場合、最小である。2秒間続き得、かつ200KHzでデジタル化されたステップであり得るこの掃引後に、最適な周波数での全電力が与えられる。検出された(反射された)電力レベルが増すとき、周波数は、測定された電力が同じ値に戻るまで段階的により高くなる。そうでない場合、たとえば最後に設定された周波数あたりである10MHzの間隔にわたる変動により、本来の最小値が求められる。
【0095】
ほとんどすべての負荷液体の誘電率は温度の上昇に応じて低下するので、共振周波数が加熱中に増加することに留意すべきである。
【0096】
制御ソフトウェアは、各サンプルの特定の特性を考慮に入れ、各サンプルに対して最適な調整パラメータを見付ける。ソフトウェアの監視機能は反応および化学物質の誘電特性についての情報を見付けるのに極めて有用であり得る。調整ソフトウェアは、たとえば発熱反応を補償することのできる活性冷却構成要素を加えることにより、さらにより汎用性に富んだものとなり得る。制御ソフトウェアの部分をマイクロプロセッサにダウンロードすることにより、それはソフトウェアの更新および改善点の組込みを容易にし、かつ、異なるサンプルに対する異なる種類の調整間での選択も可能にする。
【0097】
計画ソフトウェアは、反応の組を計画することを可能にする既知のワークフローマネージャソフトウェアの再モデリングである。たとえば反応条件最適化に対して大量のサンプルの迅速な計画を可能にするために或る間隔で温度および時間を変えることができるマトリックス形式を備えることが可能である。ソフトウェアは反応最適化の目的のために、または他の付属のソフトウェアのために何らかの種類の多変量解析を含み得る。機器は、ワークフローマネージャネットワークへの接続が可能であるべきであり、かつワークフローマネージャ反応知識データベースへのアクセスが可能であるべきである。
【0098】
計画ソフトウェアにより、オフィスにおいて反応を計画することが可能となり、システムをロードする前に反応を準備し、かつ夜間に実行させることが可能となる。これによりシステムのスループットが増す。それはまたワークフローマネージャシステムに接続され、これにより機器間にさまざまな相乗効果を与えるだろう。各サンプルのために時間および温度を個々に変えることができるので、機器は反応最適化装置として大いに役立つだろう。この機能は、多変量解析プログラムおよび結合を反応の解析に加えることにより改善されるだろう。
【0099】
マイクロ波遮蔽箱は、マイクロ波からの環境を遮蔽するために必要である。それはまた、隣接するアプリケータ/増幅器の間の結合(いわゆるクロストーク)を低レベルに減ずるよう設計されなければならない。というのも、増幅器の原理によりこの点に関してシステム全体の感度が良くなるからである。それは、いかなる周波数の選択をも可能にする従来の方法に従って構成される。というのも、それは、放射線を受容されるレベルに減じ、このため他のマイクロ波適用例に対する機械からの妨害がなくなるからである。サンプルのアクセスを容易にするための蓋が必要である。圧力センサは蓋に組込まれることとなる。
【0100】
自動分配/サンプル挿入/分析も含み得る。第1のバージョンのシステムに従って、機器は手動であり、したがって従来の分配ロボットと互換性をもたせることには利点がある。システムのスループットを増すために、それは、上述のソフトウェアによってプログラムすることが可能な分配ロボットに接続されるべきである。分配ロボットは、小瓶の隔壁を介して、反応に対する化学物質を分配し得る。マルチシリンジディスペンサを用いて同時に複数のサンプルを分配し得る。サンプルトレイはロボットでもって機器に挿入され得、これにより、夜間の実行中に準備することができかつ1つずつ処理することのできるいくつかのトレイを計画することが可能となる。別々のユーザによって計画される異なった実験からのトレイを列にすることも可能であるべきである。システムの性能を向上させる別の方法は、分析機器に接続させるか、または分析機器を組込ませることである。分析機器への接続はGC−MS、LC−MSなどに接続される注入口によってなされてもよい。分析からの情報は機器に供給し返され、次の実験の組を計画するために用いられてもよい。組込まれる分析機器はIRまたはUV分光計であってもよい。
【0101】
以下は、この発明に従ったマイクロ波加熱システムにおける複数のパラメータに対する典型的な値の簡単な一覧である。
【0102】
・サンプルの数は1〜約500である。サンプルの好ましい数の範囲は10〜100である。
【0103】
・各サンプルに対する量は0.10ml〜5.0mlであり得、好ましい量の範囲は0.5ml〜1.5mlである。
【0104】
・マイクロ波発生器からの出力最大電力は5W〜1500Wであり得、好ましい電力範囲は20〜50Wである。
【0105】
・周波数範囲は900MHz〜3000MHzであり得、好ましい周波数範囲は2400MHz〜2500MHzである。別の好適な範囲は1100MHz〜1300MHzであり得る。
【0106】
・マイクロ波の帯域幅は50MHz〜1000MHzであり得、好ましい帯域幅は100〜200MHzである。
【0107】
・温度範囲は20℃〜300℃であり得、好ましい温度範囲は20℃〜250℃である。
【0108】
・圧力範囲は1バール〜100バールであり得、好ましい圧力範囲は1バール〜20バールである。
【0109】
この発明は上述の好ましい実施例に限定されない。さまざまな代替例、変形例および同等例を用いてもよい。したがって、上述の実施例は、添付の特許請求の範囲により規定されるこの発明の範囲を限定するものと理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1a】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す概略図である。
【図1b】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す概略図である。
【図1c】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションそれぞれの断面を示す概略図である。
【図1d】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションそれぞれの断面を示す概略図である。
【図2a】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図2b】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図2c】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の断面を示す概略図である。
【図3a】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3b】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3c】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3d】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3e】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図4a】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4b】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4c】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4d】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4e】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図5】マイクロ波加熱装置を用いることのできるマイクロ波加熱システムを示す概略図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置と、マイクロ波加熱装置を含むマイクロ波加熱システムと、独立請求項の前段部分に従ったマイクロ波加熱システムを用いる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
化学反応、特に有機合成反応を実行するためのマイクロ波加熱システムは重要な周知の技術である。マイクロ波加熱を用いることにより、数桁のオーダで化学反応の反応速度を上げることが可能となる。マイクロ波を用いることにより、しばしば完成品の産出量が増えかつその純度が向上することにもなる。
【0003】
マイクロ波を利用した化学は長年にわたって使用されている。しかしながら、その装置および方法のかなりの部分は、従来の家庭用のマイクロ波オーブンに基づいている。家庭用のマイクロ波オーブンは多重モードキャビティを有し、エネルギは2450MHzに固定された周波数で適用される。単一モードキャビティの使用も報告されている。たとえば、US−5,393,492およびUS−4,681,740を参照されたい。
【0004】
最近の進歩は、マイクロ波発生器と、処理される負荷(またはサンプル)を保持するための別のアプリケータと、上記発生器から生成されたマイクロ波放射線を導きかつアプリケータに結合する導波路とを含む装置につながっている。システムが、マグネトロン発生器が一端に接続されサンプル容器が他端に接続される2450MHzを使用するTE10導波路からなる場合でも、適度な効率を実現するために発生器と負荷との間には少なくとも金属柱または絞りの形の整合装置が必要である。
【0005】
マイクロ波などの電磁放射をソースからアプリケータに結合するとき、電力を良好に転送するために伝送線インピーダンスを(負荷を備える)アプリケータのインピーダンスに整合することが重要である。しかしながら、負荷の誘電特性は、アプリケータのインピーダンスおよびその電気的なサイズに大きく影響するおそれがあり、サンプルの誘電特性はしばしば温度および適用された周波数の両方に応じて著しく変化する。したがって、ソースとアプリケータとの間のインピーダンスの不整合がしばしば起こり、結合およびこれにより加熱プロセスの効率は低下し、予測が難しくなる。
【0006】
以下に、マイクロ波アプリケータで使用される異なる伝送モードの背景を簡単に説明する。
【0007】
全長にわたって均一な所与の断面を備える中空の導波路を考える。これらの境界条件を波動方程式に適用した結果、(共に測定された)電気強度Eと磁気強度Hとの分布に対する或る固有パターンしか導波路に存在し得ないことがわかる。フィールド分布の各固有パターンはモードと称される。中空の導波路において可能な2種類のモードがあり、そのうち一方は横方向電気(TE:transverse electric)モード、他方は横方向磁気(TM:transverse magnetic)モードである。TEモードでは、Eは伝搬する方向に対して横方向(すなわち垂直)の構成要素しか有さないが、Hは横方向および縦方向の両方の構成要素を有する。
【0008】
TMモードでは、磁気強度は横方向の構成要素しか有さず、電気強度は両方の構成要素を有する。モードの各タイプ(TEまたはTM)は、属するタイプに共通する特徴を有する無数のサブモードを有するが、フィールド分布の細部においてそれら自体の間で異なる。
【0009】
TE波またはTM波の最も重要な特徴の1つは、伝送の各モードに対して遮断波長があるということである。自由空間の波長が遮断値よりも長い場合、その特定のモードは導波路では存在することができない。どの所与の導波路でも、最も長い遮断波長を有するモードが主流のモードとして知られる。モード、たとえばTE01を指標付けることにより、これが示される。
【0010】
US−4,392,039は、マイクロ波によって加熱すべき物体の誘電率よりも高い誘電率を有する低損失誘電性を備えた誘電加熱アプリケータに関する。内部共振がアプリケータにおいて励起されるので、特定のフィールドパターンが物体においてかつ物体の中に存在する。
【0011】
US−4,392,039の加熱アプリケータの特定の実施例に従って、誘電体は、そこで負荷を加熱することのできる軸孔を備える(US−4,392,039の図10〜図12)。
【0012】
US−3,848,106は、損失が低くかつ誘電率が空気の誘電率より高い誘電材料を含む、マイクロ波エネルギによって加熱するための装置を開示する。この公知の装置の一実施例では、誘電体は(US−3,848,106の図7および図8に示される)金属管における筒形のライニングとして形作られ、上述の管と同軸関係の管に位置決めされている筒形の断面を備えた材料を加熱することを意図する。
【0013】
筒形の誘電材料の実施例は、いかなる逆行干渉、すなわちインピーダンス整合条件、またはシステム整合に対する負荷の影響をも考慮に入れない。
【0014】
この発明に従ったマイクロ波加熱装置の全体の目的は、先行技術の加熱システムにおけるよりも加熱プロセスが効率良くかつ予測しやすい加熱装置を実現することである。
【0015】
この発明のさらなる目的は、マイクロ波加熱システムに配置されるさまざまなマイクロ波加熱装置の並行処理を可能にすることであり、各装置は温度、時間およびマイクロ波の周波数に関して個々に制御され得る。
【特許文献1】US−5,393,492
【特許文献2】US−4,681,740
【特許文献3】US−4,392,039
【特許文献4】US−3,848,106
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
上述の目的は独立請求項に従ってこの発明により達成される。
【0017】
好ましい実施例が従属請求項に述べられる。
したがって、独立請求項に述べられる幾何学的特徴を備えたマイクロ波アプリケータを設けることにより、加熱装置の性能が向上する。
【0018】
この発明は少ない負荷量に対して特に有利である。この文脈では、量が5ml未満、特
に2ml未満である場合に少ないと考えられる。
【0019】
量が約2mlを超える場合、この発明に従ったセラミックアプリケータシステムでのいくつかの技術的な利点をもはや十分には応用できず、直径が10mmである2ml負荷は高さ25mmとなり、これは極めて多量であるので、セラミック材料を用いないアプリケータを用いても許容可能な結果が得られる。
【0020】
負荷量が0.4ml未満である場合、小瓶自体による冷却などの周囲の影響を制御し、かつこれをあまり妨害することなく負荷温度および圧力を測定することがあまりにも難しくなる可能性がある。φ6mmの0.5ml負荷は高さ18mmとなり、アプリケータ設計に関して適度に最適化された別の負荷および関連付けられるセンサはφ9mm、高さ12mmであり得、こうして約0.75mLの量を有し得る。
【0021】
アプリケータは並行動作のために小型の多重アプリケータシステムを設計しやすくするよう「小さく」すべきである。負荷を有するアプリケータは、マイクロ波加熱効率(負荷によって実際に吸収される、アプリケータに対する入力マイクロ波電力の割合)を高くするために共振する必要があるので、アプリケータの特徴寸法(一般的に直径)が半分の波長と全波長との間のオーダでなければならない。2450MHzでは、この波長は自由空間において約120mmであるので、空気が満たされたアプリケータは直径が少なくとも約60mmとなるだろう。空気の代わりに誘電率の高いセラミックアプリケータを用いることにより、セラミック誘電率のほぼ平方根の係数分だけ寸法を減じることができる。
【0022】
例として、誘電率が100のマイクロ波セラミックを用いると、(以下に記載される好ましい実施例と同様に)アプリケータの直径は約17mmとなる。
【0023】
以下にこの発明を展開する際に考慮されるいくつかの問題点の概略が述べられる。
マイクロ波加熱装置が2450MHzマイクロ波を用いて0.5〜1.0mlの量の液体を加熱することを意図する場合、4自由度がある。液体は約10〜70の範囲の誘電率を有し、これは、この周波数での広範な温度範囲にわたる大部分の双極性液体の場合と同様である。
【0024】
これらの4自由度は、誘電アプリケータの直径と、アプリケータで用いられる誘電材料の誘電率と、負荷チャンバの直径と、負荷の液柱の直径とである。
【0025】
次いで所与の量により液柱の高さが決定され、アプリケータの高さが、好適なモードに対する共振を得るために決定されることとなる。
【0026】
モードは、加熱パターンの角度変動および半径方向変動におけるずれが最小限であり得るように選択されるべきである。したがって、最低のオーダのTM01タイプのモードだけがフィールドの角度変動を有さないという点で可能である。垂直な(軸方向の)モード指数は頂部における磁壁効果のために0ではあり得ない。したがって、次に低いタイプを考慮すべきである。それは4分の2の波長期間を有するので、TM011モードである。パタ
ーンは、当然、同質の誘電体におけるパターンと比べて歪んでいる。誘電材料の誘電率が非常に高い場合、エネルギの大部分がそこで変動し、孔におけるフィールド分布は通常の開口式のTM011モードのフィールド分布と近くなるだろう。
【0027】
この発明に従って、誘電率および負荷物質の損失係数が変わる際に、負荷回折を積極的に用いてシステムのインピーダンス整合全体を改善する。この発明を用いることにより、異なる負荷のための、システムに対するいかなる物理的な変更も必要とされない。
【0028】
この発明は、誘電アプリケータの下方セクションであるマイクロ波供給サブシステムを提供し、これは、負荷が低い誘電率を有しかつ上方のセクションに負のフィードバックを与える場合、(負荷チャンバを備えた)上方セクションに対してより強固な結合をもたらすので、負荷誘電率が変わっても結合はほとんど変わらない。これは、この発明の好ましい実施例に従って、近距離で負荷を囲む高誘電率のセラミック誘電材料と、負荷より下での下方セクションの配置との両方によって達成され、この場合、下方セクションは中実の断面であり、半径方向ではなく軸方向のマイクロ波供給位置にある。
【0029】
負荷を備えたアプリケータの筒形部分に通常の伝搬モードがある。底部における供給セクションでの同軸のTEモードの基本的なフィールドパターンはTM01モードの場合と同じである。マイクロ波結合手段と上方セクションとの間に円錐形のセクションを備えたこの発明の実施例では、モードの消失性伝搬があることになるが、軸方向の長さが短いので結合を最適化することができる。この発明のこの実施例により、変動する負荷誘電率に対するアプリケータの結合係数が他の場合よりも著しく少なくなり、すなわち、好ましい負のフィードバックが達成され、これにより変動する負荷に対してシステムの効率が高く維持されることとなる。
【0030】
セラミックアプリケータの高誘電特性は、マイクロ波の放射線を与えない小さなアプリケータを構成することを可能にし、また、サンプルの誘電特性における変化を「緩衝する」のでそれを半共振させ、従ってマイクロ波発生器の必要な帯域幅をより小さくする。
【0031】
この発明に従った予め定められた数のマイクロ波加熱装置を配置することにより、化学反応の並行処理が達成される。
【0032】
これはこの発明に従った誘電アプリケータでの主要な一利点である。というのも、これにより、並行処理のための必要条件である小型の支持構造を実現することができるからである。
【0033】
別の主要な利点は、上方端部と底部における中実のセラミックセクションとにおいて有効な圧力シールと組合せて厚肉の金属管に誘電セラミックアプリケータを装着することにより、アプリケータが効果的に圧力封止される点である。
【0034】
この発明のさらなる好ましい実施例に従って、1つまたは多数の小さな孔が、アプリケータにおいて負荷チャンバの中に、本質的に半径方向に、圧力をかける目的で、温度監視のために、さらに押込み気体または空気排出によって急速に冷却できるようにするために、配置される。
【0035】
この発明のさらに別の好ましい実施例に従って、半導体ベースのマイクロ波発生器を用いる。これにより周波数を変えることが可能となり、したがってマイクロ波加熱システムの効率をより高めることが可能となる。サンプルの誘電特性の変動により別々のサンプルに対する異なった共振周波数がもたらされ、これは補償されなければならない。周波数の変動はこれを補償することができ、半導体ベースのマイクロ波発生器を用いることにより、機械的な調整装置は必要ではなくなる。半導体ベースのマイクロ波発生器は非常に小さくすることもでき、これにより、同じシステム/機器において複数のマイクロ波発生器を有することが可能となる。マグネトロンベースのシステムの場合と同様に、高電圧システムは必要ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
発明の好ましい実施例の詳細な説明
図1aおよび図1bは、この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す
概略図である。
【0037】
図1cおよび図1dは、この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションの断面をそれぞれ示す概略図である。
【0038】
図1aには、上方セクション4、下方セクション6および負荷チャンバ8を含む誘電アプリケータ2が示される。この図においては、アプリケータの寸法を印象付けるために例示的な寸法をmmで示す。しかしながら、これらの寸法が例としてのみ与えられ、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される装置に対して他の寸法が当然可能であることに留意しなければならない。
【0039】
図1bには、下方セクション4の下方端部10がマイクロ波結合手段12を備えるのが示され、マイクロ波エネルギが同軸の供給線14を介してマイクロ波エネルギ発生器(図示せず)からアプリケータに供給される。結合手段は、金属アンテナを介して、下方セクションの下方端部における窪みに挿入かつ締結される筒形のロッドの形で、アプリケータに接続される。図1bにはまた、アプリケータのための支持部として用いられる、たとえば金属の、支持手段16と、アプリケータの外側に配置される金属管18とが示される。金属管がさらに以下に述べられる。
【0040】
図1cは、図1aに示されるアプリケータの上方セクションを示す断面図である。
図1dは、図1bに示されるアプリケータの下方セクションを示す断面図である。
【0041】
入力アンテナにまでは延在しない軸方向の中心孔を有するセラミック体の幾何学的構造はまた、円錐形の下方セクションを備え、負荷とセラミック孔底部との間の垂直な電気フィールドを減ずるTM011円形モードに対して寸法決めされる。これは主にこれらの幾何
学的要素によるシステムにおける定在波の位置の決定によるものである。結果として、負荷高さの許容差に対する共振周波数の感度が低くなる。
【0042】
この発明の好ましい最適化された実施例では、誘電アプリケータは特定された(基本的な)TM筒形モードで共振し、その負荷誘電率は誘電アプリケータの負荷誘電率よりも低い。
【0043】
誘電アプリケータは、アプリケータの頂部とマイクロ波結合手段が配置される底端部と以外が、丸みを帯びた面全体の上で金属被覆される。アプリケータの頂部は電気的に開いており、これにより、負荷の頂部領域に好ましいフィールド分布がもたらされ、かつ負荷高さに対するシステム感度が減じられる。セラミックの誘電率は非常に高いので、アプリケータモードは頂部の上方で遮断をはるかに超える。すなわち、フィールドは急速に減衰するので、セラミック面の上方から1mmのところで実質的に消える。したがって、低誘電材料および/または金属蓋または類似物が、所望の場合、セラミック頂部に極めて近接して配置されてもよい。
【0044】
図2aおよび図2bは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の、図2cのそれぞれ線B−Bおよび線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。図2cは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の断面を示す概略図である。これらの図では、アプリケータの寸法を印象付けるために例示的な寸法をmmで示す。
【0045】
図3a〜図3eは、この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。これらの図においては、アプリケータの寸法を印象を付けるために例示的な寸法をmmで示す。
【0046】
負荷チャンバの底部の内形は、図3a〜図3eに示される様々な変形例によって異なる。
【0047】
この発明の好ましい実施例に従って、予め定められた数の孔が、誘電アプリケータを通って負荷チャンバの中に配置される。これらの孔の直径は2mm以下である。その目的は、検知手段、たとえば温度センサ、を配置し、かつチャンバにおける負荷を空気冷却することである。これらの孔がアプリケータにおける定在波の電気フィールドの方向に対して平行である場合、性能に対するそれらの影響はごくわずかとなる。
【0048】
孔の最適な位置は数値モデリングにより決定され得、アプリケータの上方セクションについては、孔の位置は負荷の加熱が最も強い場合の高さにあり、この場合、アプリケータにおいて最小限の半径方向の電気フィールドがあり、その他の場合には妨害されることとなる。
【0049】
アプリケータの下方セクションにおける孔は半径方向および(上向きの)軸方向の両方を有する。これは有利である。というのも、このような方向は、孔を通る空気の流れによって負荷を冷却するのに最も望ましいからである。半径方向の孔は図2aにおいて参照符号20で示され、上向きの孔は図2bおよび図3a〜図3eにおいて参照符号22で示される。
【0050】
この発明の別の好ましい実施例に従って、マイクロ波加熱システムは図1bにおいて金属管18を含み、この金属管18は、少なくともアプリケータの上方セクションに沿って、誘電アプリケータの外側に配置される。アプリケータに良好で正確な締付けを達成するために、アプリケータを内部に配置する前に金属管を加熱する。金属管を配置することにより、誘電アプリケータは非常に高い圧力に耐えることができる。
【0051】
誘電アプリケータで用いるべき材料は、50より高い、好ましくは100より高い誘電率を有する。利用可能な材料の中でもAl2O3、TiO2またはXTiO3を挙げることができ、ここではXはCa、MgまたはSrなどのいずれかのII族元素である。Zrは部分的にTiを置換えてもよい。
【0052】
負荷チャンバに挿入される負荷は、好ましくは、加熱プロセス中に用いられる温度に特に耐えるよう寸法決めされた従来のガラス小瓶の形である負荷容器(図示せず)に含まれる。小瓶はさらに後に説明される。
【0053】
上述のとおり、同軸のマイクロ波供給線14を介してマイクロ波加熱装置にマイクロ波エネルギを供給する。マイクロ波はマイクロ波発生器(図示せず)によって生成される。
【0054】
この発明の好ましい実施例に従って、マイクロ波は2450MHzあたりである予め定められた周波数範囲内の周波数を有する。
【0055】
軸方向に反復するパターンがまた、当然、この発明の好ましい実施例に従ったTM01モードのアプリケータに対して可能であることに留意すべきである。
【0056】
たとえば、アプリケータのほぼ頂部区域における負荷でTM012モードを用いることに
より、TM011モードの場合と同じ加熱パターンが達成されるが、負荷誘電率を有する共
振周波数変動が半分にされる。モードTM010は典型的には負荷先端に極めて集中した加
熱をもたらす。
【0057】
図4aは、この発明の第2の好ましい実施例に従った誘電マイクロ波アプリケータの簡
略化された概略図を開示する。アプリケータは、上方セクション4と、下方セクション6と、負荷チャンバ8と、軸方向に配置された結合手段12とを含む。この実施例に従ったアプリケータがアプリケータ本体全体に沿って同じ外径を有することに留意しなければならない。
【0058】
以下に、この発明の代替的な実施例が図4bに関連して説明される。この実施例に従って、アプリケータにおける主流のモードはTE11である。
【0059】
この実施例におけるアプリケータのセラミック本体の全体的な幾何学的構造は、本質的には上述のTMアプリケータの場合と同じであり、すなわち、小瓶の挿入のために、先端部に円筒形の孔を備えた円筒形である。
【0060】
しかしながら、異なるアプリケータフィールド構成のために、異なる供給がなくてはならない。基本的な代替例は、同軸線から、底端部近くの下方セクションに配置される結合手段として半径方向の内向きの短いプローブアンテナを用いるべきである。
【0061】
図4bでは図4aと類似の参照符号が用いられ、アプリケータは、上方セクション4と下方セクション6と負荷チャンバ8と半径方向の結合手段12′とを含む。
【0062】
しかしながら、側方供給アプリケータは多重アプリケータシステムにおいて余分の空間と90°の湾曲部とを必要とすることとなる。したがって、下方からの軸方向の供給がより望ましい。好ましくは、これは、セラミック本体の下方からその底面へのストリップ線供給24を用いることにより達成される。この実施例は結合手段12″とともに図4cに概略的に示される。それは1対の小さく薄い平坦な導体26を含んでもよく、この1対の小さく薄い平坦な導体26は、下方から延び、かつセラミック筒形の底部の金属被覆の2つの「半月形」の真っ直ぐな端縁にちょうど溶接される(すなわち、直径方向の金属被覆されない「スロット」を有する)。このような二重ワイヤ線からのリークを最低限にしかつこれを機械的に強化するために、好ましくは導体間にセラミック体がある。したがって、これら導体はちょうどセラミックストリップ線上で両側が金属被覆され得る。
【0063】
この代替的なアプリケータの性能は用いられる供給の種類には左右されない。
筒形アプリケータの孔壁に直接接触する9mmの負荷直径を有する約2.45GHzの共振周波数に対するアプリケータデータを最適化することにより、以下のデータが得られる。
【0064】
セラミック全体寸法: φ14mm;H19mm
負荷孔寸法: φ10mm;H13.5mm
負荷寸法: φ9mm;筒形高さ7.5mmに加えて、切頭円錐形底部の高さ2mm(すなわち、約0.7mlの量;負荷メニスカスからアプリケータ頂部への距離:3mm)
セラミック材料誘電率: 64−j0。これがφ17mmおよび誘電率100を有するTM11アプリケータにおけるよりも低いことに留意されたい。
【0065】
当該周波数領域において2つの別個の共振がある。より低い周波数共振は負荷の先端領域の著しい加熱によって特徴付けられる。これにより、負荷の変動する誘電特性に応じた周波数の変動がより少なくなる。より高い周波数共振により、極めてより均一に、実際にはTM01モードよりもさらに均一に、負荷高さに沿ってどこも最大限に加熱される。形式的に、より低い周波数共振はTE11 1/2と明示され得、より高い周波数共振はTE111と明示され得る。
【0066】
水平面における加熱パターンは、水平なEフィールド強度が軸においてより強いことに
もかかわらず、かなり均一である。その理由は、負荷がアプリケータの金属被覆された周辺部にまでは延在せず、かつ加熱パターンがそこに電流を誘導するHフィールドによって生成されるとも言えることである。
【0067】
強い半径方向のE(および、これによりまた変位電流)フィールドは、小瓶およびセラミックの誘電率が高いのでこれら小瓶とセラミックと間の通常の空隙によって強く影響を受けることに留意しなければならない。垂直なE構成要素は、誘電率が、空隙におけるよりも何倍かまで強くなるだろう。これにより、共振周波数の強い感度が空隙の範囲にもたらされる。
【0068】
負荷誘電率および不変の幾何学的構造に応じた共振周波数の変化が、MHzの周波数で表1に示される。周波数変動が、高い共振に対して非常に大きいことが明らかに分かる。比較として、誘電率が10および50の負荷間の差は、TM01アプリケータで約100MHzである。
【0069】
【表1】
【0070】
低周波数共振ではさらなる問題がある。というのも最も強い加熱が先端領域にあるからであり、負荷先端部とセラミックにおける孔の底部との間の正確な垂直距離が極めて感度の良いものになる。また、定量化のためにモデリングが用いられた。この空気中距離を0.5mmだけ増やすことにより、低共振周波数が66MHz増え、高共振周波数が実質的に変化しないこととなる。TM01アプリケータに対する対応する変化は10MHz未満である。
【0071】
上述のように、小瓶とセラミックの孔壁との間における、小瓶ガラスの厚みも含む空隙に対する感度も存在する。というのも、ガラス誘電率も比較的低いからである。
【0072】
共振周波数の挙動は、孔周囲のセラミックの厚みが対応して薄くなる1/2mmの空隙層があってもなくても、モデリングされており、今ではどちらの場合にも切頭円錐形の負荷端部より下方にも1/2mmの空気層がある。負荷誘電率は24−j2であり、以下のことが発見された。
【0073】
より低い周波数共振が2320から2318MHzにわずかに変化した。これは(不変の)先端領域で起こるほぼ完全な電力吸収によって説明される。
【0074】
より高い周波数共振が2876から3232MHzに増えた。この大きな変化は上述の変位電流の問題によって説明することができる。一般的に、TEモードアプリケータの挙動のさまざまなより低性能の局面は、負荷湾曲に起因する回折現象を誘導することによって導き出すことができる。
【0075】
TM0モードの場合と同様に、TEモードによるアプリケータから筒形の細長い負荷へ
の第1の直接モードの結合はない。しかしながら、ここで用いられる幾何学的構造、およ
びアプリケータセラミックに直接接触する負荷では、アプリケータモードフィールドは、アプリケータセラミックおよび負荷誘電率が極めて類似する場合、(インピーダンスに関して)負荷フィールドと十分に整合する。したがって、良好なエネルギ伝達が存在し、これにより、TE11モードから直接追従する加熱パターンがもたらされる。しかしながら、負荷誘電率がより低い場合、または負荷の先端部に空隙がある場合、モードフィールドの不適合性(Dフィールド結合の不足)は、水平なHフィールド構成要素による負荷先端部における電流の近距離場誘導によって「非モードの」エネルギ伝達をもたらし、このため、別のより低い周波数共振が引起される。典型的な共振は互いから遠く離れ、それらのQ値はむしろ高い(典型的にはより低い周波数共振に対して約50)ので、負荷周辺部がアプリケータの孔壁に接触するよう留意することにより、良好な性能のための条件が残る。負荷およびアプリケータの極めて類似した誘電率がある限り、通常の伝搬による弱いエネルギ伝達をもたらす約半分の波長未満の直径を有する自由な誘電ロッドにおいてTEモードに対する固有の回折共振がないことに関連付けられることが起こるとも言えるだろう。
【0076】
TEモードアプリケータはモードと負荷との間に利点の低い結合を有するが、このアプリケータを長い単一供給アプリケータとして用いることが可能であり得(「長い」とはシステムにおける多くの波長を意味する)、負荷液体はアプリケータの孔に直接流れ込む。
【0077】
マイクロ波供給入力口は半径方向の同軸アンテナが用いられる場合単純であるので、通気システム設計は、特に、負荷とアプリケータの周囲のセラミックとの極めて類似した誘電率が存在するような設計である場合に実現することができる。
【0078】
図4dおよび図4eはこの発明のさらに代替的な実施例を開示し、ここでは、マイクロ波加熱装置が下方セクションを備えた空気の満たされたマイクロ波アプリケータを含み、この下方セクションは、下方端部から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有する。結合手段は、図4dでは、マイクロ波エネルギを軸方向に供給するよう配置され、図4eでは、細長いアプリケータの中心軸に対して半径方向にマイクロ波エネルギを供給するよう配置される。
【0079】
この発明の有利な実施例では、予め定められた数の上述のマイクロ波加熱装置が、負荷の並行した処理および加熱を可能にするためにマイクロ波加熱システムに配置される。多くのマイクロ波アプリケータを並行使用するためのマイクロ波加熱システムがWO−00/36880に開示される。
【0080】
以下に、図5に関連して、この発明に従ったアプリケータに適用可能な負荷の並行処理および加熱を可能にするマイクロ波加熱システムが示される。しかしながら、多くの上述の詳細が、当然、単一のマイクロ波加熱装置を用いる際に適用可能であることに留意しなければならない。
【0081】
信号増幅器29によって別個に増幅されるn個の信号発生器は、中心における箱で表わされる分配ネットワーク23を介してm個の別個のアプリケータ24に接続される。別個の各アプリケータは圧力監視手段と、温度監視手段と、中に負荷が含まれ、金属キャップおよび隔壁を備えたガラス小瓶を含むサンプルとを含む。
【0082】
システムはまた、すべてのサンプルのために共有される以下の部分、すなわち、電源44と、アプリケータおよびマイクロ波発生器の両方のための冷却システムと、蓋の付いた遮蔽箱と、実験の計画および実験の制御の両方のためのソフトウェアを備えた制御ユニット/コンピュータ45とを含む。サンプルは自動的に準備され得、機器に自動的に挿入され得る。また、分析機器への接続部があってもよい。すべてのシステム部分は以下に詳細に説明される。
【0083】
マイクロ波発生器は好ましくは半導体技術に基づいており、周波数変動マイクロ波を生成するVCO(電圧制御発振器)と、マイクロ波の電力を所望の変動レベル(この場合0〜20W)に増幅する1つ以上の増幅器と、最適な周波数を制御すべく情報を得るために前方向の反射された電力を監視する監視ユニット(方向性結合器)と、増幅器の電力レベルおよび発振器の周波数を制御することとなるマイクロプロセッサと、サンプルおよびアプリケータによって吸収されない電力を処理するダミー負荷とを含む。マイクロ波発生器はまた、機能性を確実にするために他の特定されない従来の構成要素、たとえばコネクタを含むだろう。
【0084】
マイクロ波アプリケータは好ましくは、金属面を備えた中空のセラミック筒と、下方セクションに入力アンテナを備えたコネクタとを含む、上述のアプリケータに従った半共振セラミックアプリケータである。セラミックは好ましくは高い誘電特性を有する(好ましい実施例では、ε=100)。
【0085】
圧力監視手段は、小瓶の隔壁と接触する歪みゲージセンサを備えたロードセルである。圧力センサは隔壁の変形を検出し、これを圧力測定値に変換する。圧力センサにより、ガラス小瓶の破裂を防ぎかつ圧力に応じた反応条件を調整することが可能となる。歪みゲージタイプの圧力センサの利点は、それが小さく、かつ小瓶の内容物に接触せずに圧力を測定することができ、すなわち異なるサンプルの間で洗浄する必要がないことである。
【0086】
温度監視手段はガラス小瓶の外側に接触する熱電対であってもよい。ガラス小瓶の接触点は、ガラスの低い熱伝導性にもかかわらず良好な温度測定値を確実にするために液面の高さより低い。ガラスの接触面は、ガラスから熱電対への熱伝導性を高めるためにガラス上に金属層を適用することにより改善され得る。アプリケータのモードフィールドパターンが(TMタイプの)この発明の好ましい実施例において公知なので、小瓶上でたとえば金属リングを用いることが可能である。というのも、これら金属リングは次にアプリケータ/負荷における変位電流経路に対して垂直となるからである。熱電対温度センサの利点は、それが小さく、(アプリケータモードが公知なので、再び最適化することが可能である)正確なレベルにあるアプリケータを介して挿入される場合にマイクロ波フィールドに干渉することがなく、かつ安価なことである。
【0087】
温度センサはまた、液面の高さより下のガラス小瓶を監視している光ファイバIRセンサを含み得る。光ファイバ温度センサでの利点は、それが小さく、かつ、金属部分を含まないのでマイクロ波フィールドに全く干渉しないことである。
【0088】
サンプル小瓶は、(たとえばアルミニウムの)金属キャップを備えたホウ珪酸ガラスと、テフロン(R)(Teflon(R))(PTFE)コーティングされたゴムの隔壁とから作られてもよい。ガラス小瓶の形状および他の特徴は高圧力に耐えるよう設計される。小瓶はこれら小瓶のために特別に設計されたトレイに配置されて、すべてのサンプルを同時に機器に挿入することを可能にする。トレイにおける小瓶間の間隔は標準化されたマイクロタイターフォーマット(micro titre format)におけるのと同じであってもよい。ガラス小瓶は好ましくはホウ珪酸ガラスから作られる。というのもそれが極めて少量のマイクロ波を吸収するからであり、このためガラスはマイクロ波によって内容物だけが加熱されないこととなる。キャップはそれを圧力封止し、高圧力化学作用の発生を可能にする。ゴムの隔壁は針で貫通することが可能であり、すなわち、小瓶にキャップをかぶせた後にそこにおよびそこから化学物質を供給することが可能であり、PTFEコーティングはこれに化学的に耐性を持たせる。トレイにより、サンプルを1つずつ挿入しなければならない場合よりもサンプルをより便利に取扱えるようになり、小瓶間に間隔を空けることにより異なる分配ロボットに対してトレイの適用可能性が与えられる。トレイがマイクロタイター
フォーマットの間隔を有する場合、大抵の分配ロボットと互換性があることとなる。ガラス小瓶の縁は、ガラス小瓶を所定の位置に保持するためのものであり、かつ圧力シールおよび強度を目的としたものである。
【0089】
マイクロ波発生器の電力供給および冷却は標準的な基準に従って計画され、サンプルの数および増幅器に必要な電力に対して寸法決めされることとなる。それは(高電圧ではない)必要な電力を機器に供給することとなり、かつ従来のタイプであるべきである。この目的のための従来の最良の方法が、電力および冷却の需要に応じて用いられる。
【0090】
マイクロ波発生器のための冷却システムは、たとえば、煙突構造、押込み空気または水冷によって達成され得る。冷却システムの種類は、マイクロ波発生器を冷却する必要性に左右される。増幅器の効率が低ければ低いほど、冷却する必要性が高くなる。
【0091】
アプリケータのための冷却システムは、アプリケータの周囲における、また小瓶周囲のアプリケータ内部における押込み空気によるべきである。アプリケータの底部からの入口があり、そこから押込み空気が与えられる。冷却媒体はまた、空気または不活性気体によって冷却され得る。
【0092】
アプリケータの冷却はアプリケータを予め定められた温度レベル、たとえば150度より低く保つのに必要である可能性がある。というのも、アプリケータの部分によってはこれより高い温度を許容しないことがあるからである。アプリケータの冷却により、別々のサンプル間での温度のクロストークが減じられるだろう。サンプルを冷却媒体で冷却することにより、反応後の冷却時間を短くすることが可能となり、それは温度調整の活性構成要素として用いることもできる。
【0093】
制御ソフトウェアは、サンプルの特定の特性に依存して調整を行なうので監視ソフトウェアでもある。共振周波数は、VCOの周波数をサンプルの共振周波数に設定するために加熱プロセス中に監視される。共振周波数は、サンプルの誘電特性、サンプル量およびサンプルの温度に応じて変化する。温度および圧力は、出力電力を制御して正確な温度プロファイルを得るために増幅器に正確に結合されるよう監視される。調整ソフトウェアは動的であり得、(共振周波数、共振周波数の幅および温度上昇によって得られる)サンプルの誘電特性を考慮に入れ得る。調整ソフトウェアはマイクロ波モジュールにおけるマイクロプロセッサユニットと、すべてのサンプルのために共有されるコンピュータとの間で分散されることとなる。マイクロプロセッサに対するソフトウェア部分はまた、CAN−バスまたはRS−485を介しコンピュータによってダウンロードすることが可能であるべきである。調整ソフトウェアは、プレフィルタを備えたPIコントローラ、またはより複雑なコントローラを含む。
【0094】
以下の例は、共振周波数と負荷の誘電特性との間の接続をさらに説明する。
低損失負荷については、共振周波数帯域幅はかなり小さくてもよい。これは、共振周波数が異なる負荷間かつ異なる温度で変動するので周波数を調整する必要があることを意味する。典型的な方法では、最初に、低い電力で発生器周波数をたとえば2400〜2500MHzにわたって掃引し、次いで、アプリケータと発生器との間に接続される3口のサーキュレータの第3のアームのダミー負荷で反射電力の増幅を検出する。信号は、反射された電力が最小であり、このため吸収された電力が最大である場合、最小である。2秒間続き得、かつ200KHzでデジタル化されたステップであり得るこの掃引後に、最適な周波数での全電力が与えられる。検出された(反射された)電力レベルが増すとき、周波数は、測定された電力が同じ値に戻るまで段階的により高くなる。そうでない場合、たとえば最後に設定された周波数あたりである10MHzの間隔にわたる変動により、本来の最小値が求められる。
【0095】
ほとんどすべての負荷液体の誘電率は温度の上昇に応じて低下するので、共振周波数が加熱中に増加することに留意すべきである。
【0096】
制御ソフトウェアは、各サンプルの特定の特性を考慮に入れ、各サンプルに対して最適な調整パラメータを見付ける。ソフトウェアの監視機能は反応および化学物質の誘電特性についての情報を見付けるのに極めて有用であり得る。調整ソフトウェアは、たとえば発熱反応を補償することのできる活性冷却構成要素を加えることにより、さらにより汎用性に富んだものとなり得る。制御ソフトウェアの部分をマイクロプロセッサにダウンロードすることにより、それはソフトウェアの更新および改善点の組込みを容易にし、かつ、異なるサンプルに対する異なる種類の調整間での選択も可能にする。
【0097】
計画ソフトウェアは、反応の組を計画することを可能にする既知のワークフローマネージャソフトウェアの再モデリングである。たとえば反応条件最適化に対して大量のサンプルの迅速な計画を可能にするために或る間隔で温度および時間を変えることができるマトリックス形式を備えることが可能である。ソフトウェアは反応最適化の目的のために、または他の付属のソフトウェアのために何らかの種類の多変量解析を含み得る。機器は、ワークフローマネージャネットワークへの接続が可能であるべきであり、かつワークフローマネージャ反応知識データベースへのアクセスが可能であるべきである。
【0098】
計画ソフトウェアにより、オフィスにおいて反応を計画することが可能となり、システムをロードする前に反応を準備し、かつ夜間に実行させることが可能となる。これによりシステムのスループットが増す。それはまたワークフローマネージャシステムに接続され、これにより機器間にさまざまな相乗効果を与えるだろう。各サンプルのために時間および温度を個々に変えることができるので、機器は反応最適化装置として大いに役立つだろう。この機能は、多変量解析プログラムおよび結合を反応の解析に加えることにより改善されるだろう。
【0099】
マイクロ波遮蔽箱は、マイクロ波からの環境を遮蔽するために必要である。それはまた、隣接するアプリケータ/増幅器の間の結合(いわゆるクロストーク)を低レベルに減ずるよう設計されなければならない。というのも、増幅器の原理によりこの点に関してシステム全体の感度が良くなるからである。それは、いかなる周波数の選択をも可能にする従来の方法に従って構成される。というのも、それは、放射線を受容されるレベルに減じ、このため他のマイクロ波適用例に対する機械からの妨害がなくなるからである。サンプルのアクセスを容易にするための蓋が必要である。圧力センサは蓋に組込まれることとなる。
【0100】
自動分配/サンプル挿入/分析も含み得る。第1のバージョンのシステムに従って、機器は手動であり、したがって従来の分配ロボットと互換性をもたせることには利点がある。システムのスループットを増すために、それは、上述のソフトウェアによってプログラムすることが可能な分配ロボットに接続されるべきである。分配ロボットは、小瓶の隔壁を介して、反応に対する化学物質を分配し得る。マルチシリンジディスペンサを用いて同時に複数のサンプルを分配し得る。サンプルトレイはロボットでもって機器に挿入され得、これにより、夜間の実行中に準備することができかつ1つずつ処理することのできるいくつかのトレイを計画することが可能となる。別々のユーザによって計画される異なった実験からのトレイを列にすることも可能であるべきである。システムの性能を向上させる別の方法は、分析機器に接続させるか、または分析機器を組込ませることである。分析機器への接続はGC−MS、LC−MSなどに接続される注入口によってなされてもよい。分析からの情報は機器に供給し返され、次の実験の組を計画するために用いられてもよい。組込まれる分析機器はIRまたはUV分光計であってもよい。
【0101】
以下は、この発明に従ったマイクロ波加熱システムにおける複数のパラメータに対する典型的な値の簡単な一覧である。
【0102】
・サンプルの数は1〜約500である。サンプルの好ましい数の範囲は10〜100である。
【0103】
・各サンプルに対する量は0.10ml〜5.0mlであり得、好ましい量の範囲は0.5ml〜1.5mlである。
【0104】
・マイクロ波発生器からの出力最大電力は5W〜1500Wであり得、好ましい電力範囲は20〜50Wである。
【0105】
・周波数範囲は900MHz〜3000MHzであり得、好ましい周波数範囲は2400MHz〜2500MHzである。別の好適な範囲は1100MHz〜1300MHzであり得る。
【0106】
・マイクロ波の帯域幅は50MHz〜1000MHzであり得、好ましい帯域幅は100〜200MHzである。
【0107】
・温度範囲は20℃〜300℃であり得、好ましい温度範囲は20℃〜250℃である。
【0108】
・圧力範囲は1バール〜100バールであり得、好ましい圧力範囲は1バール〜20バールである。
【0109】
この発明は上述の好ましい実施例に限定されない。さまざまな代替例、変形例および同等例を用いてもよい。したがって、上述の実施例は、添付の特許請求の範囲により規定されるこの発明の範囲を限定するものと理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1a】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す概略図である。
【図1b】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の長手方向の断面を示す概略図である。
【図1c】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションそれぞれの断面を示す概略図である。
【図1d】この発明に従ったマイクロ波加熱装置の上方セクションおよび下方セクションそれぞれの断面を示す概略図である。
【図2a】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図2b】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図2c】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の断面を示す概略図である。
【図3a】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3b】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3c】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3d】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図3e】この発明に従った誘電アプリケータの好ましい実施例の変形例の、図2cにおける線A−Aに沿った長手方向の断面を示す概略図である。
【図4a】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4b】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4c】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4d】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図4e】この発明に従ったマイクロ波アプリケータのさまざまな実施例の長手方向の断面を示す概略図である。
【図5】マイクロ波加熱装置を用いることのできるマイクロ波加熱システムを示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い形であり上方端部と下方端部とを備えた誘電マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置であって、アプリケータは負荷チャンバ(8)を備え、この負荷チャンバ(8)は加熱されるべき負荷を受けるよう適合され、かつアプリケータの中心軸に対して、アプリケータの上方端部から、下方端部からの予め定められた距離まで同軸に延在し、アプリケータは、前記アプリケータにマイクロ波エネルギを供給するよう適合されたマイクロ波結合手段をさらに備え、
前記誘電アプリケータは2つのセクション、すなわち、前記負荷チャンバを備えた上方セクション(4)と、前記結合手段を含むインピーダンス整合下方セクション(6)とを含み、前記下方セクションは、下方端部から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有することを特徴とする、マイクロ波加熱装置。
【請求項2】
前記結合手段は、アプリケータの中心軸に対して同軸に配置されて、アプリケータにおいて軸方向のTMタイプモードを提供することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項3】
前記結合手段は、アプリケータの中心軸に対して半径方向に配置されて、アプリケータにおいてTEタイプモードを提供することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項4】
前記下方セクションは、切頭円錐の形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項5】
前記アプリケータは回転対称形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項6】
誘電アプリケータの材料誘電率は負荷の材料誘電率以上であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項7】
前記アプリケータはセラミック材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項8】
前記下方セクションは、前記結合手段を備え、かつTM011円形モードに対して寸法決
めされる中実のセラミック体であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項9】
アプリケータの下方端部からの前記予め定められた距離は本質的に下方セクションの高さと同じであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項10】
前記予め定められた距離はアプリケータの全長の半分未満に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項11】
負荷チャンバの開口部の直径と上方セクションの外径との間の関係は0.5より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項12】
負荷チャンバの量は5ml未満であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項13】
負荷チャンバの量は2ml未満であることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロ
波加熱装置。
【請求項14】
負荷チャンバは、負荷が含まれるサンプル小瓶を受けるよう適合されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項15】
前記マイクロ波エネルギは、予め定められた周波数範囲内のマイクロ波を含み、かつマイクロ波発生器によって生成されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項16】
前記装置は、負荷を均一に加熱するために前記負荷の加熱に関連したパラメータを測定することにより最低限の反射されたエネルギを検出するよう適合され、前記負荷の加熱に関連する前記パラメータは温度および/または圧力であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項17】
前記マイクロ波発生器は半導体ベースのマイクロ波発生器であり、周波数変動マイクロ波を生成する電圧制御発振器(VCO)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項18】
下方セクションの断面は常に増大するわけではないことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項19】
前記アプリケータの上方セクションは筒形の外形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項20】
前記負荷チャンバは筒形であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項21】
前記装置は、少なくともアプリケータの上方セクションに沿ってアプリケータの外側を囲むべき金属管配置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項22】
予め定められた数の孔は誘電アプリケータを通って負荷チャンバの中に配置され、検知装置および/または冷却装置が前記孔に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項23】
システムは、請求項1から22のいずれかに従った、負荷の並行処理および加熱を可能にするよう配置された予め定められたm個のマイクロ波加熱装置を含み、前記システムは、分配ネットワーク(23)を介してm個の前記アプリケータ(24)に接続される信号増幅器(29)によって別個に増幅されるn個の信号発生器(28)を含むことを特徴とする、マイクロ波加熱システム。
【請求項24】
化学反応、および特に有機化学合成反応のために、請求項1から23のいずれかに従ったマイクロ波加熱システムを使用することを特徴とする、マイクロ波加熱装置またはマイクロ波加熱システムの使用方法。
【請求項1】
細長い形であり上方端部と下方端部とを備えた誘電マイクロ波アプリケータを含むマイクロ波加熱装置であって、アプリケータは負荷チャンバ(8)を備え、この負荷チャンバ(8)は加熱されるべき負荷を受けるよう適合され、かつアプリケータの中心軸に対して、アプリケータの上方端部から、下方端部からの予め定められた距離まで同軸に延在し、アプリケータは、前記アプリケータにマイクロ波エネルギを供給するよう適合されたマイクロ波結合手段をさらに備え、
前記誘電アプリケータは2つのセクション、すなわち、前記負荷チャンバを備えた上方セクション(4)と、前記結合手段を含むインピーダンス整合下方セクション(6)とを含み、前記下方セクションは、下方端部から上方セクションに対する交差点まで次第に増大する断面積を有することを特徴とする、マイクロ波加熱装置。
【請求項2】
前記結合手段は、アプリケータの中心軸に対して同軸に配置されて、アプリケータにおいて軸方向のTMタイプモードを提供することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項3】
前記結合手段は、アプリケータの中心軸に対して半径方向に配置されて、アプリケータにおいてTEタイプモードを提供することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項4】
前記下方セクションは、切頭円錐の形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項5】
前記アプリケータは回転対称形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項6】
誘電アプリケータの材料誘電率は負荷の材料誘電率以上であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項7】
前記アプリケータはセラミック材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項8】
前記下方セクションは、前記結合手段を備え、かつTM011円形モードに対して寸法決
めされる中実のセラミック体であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項9】
アプリケータの下方端部からの前記予め定められた距離は本質的に下方セクションの高さと同じであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項10】
前記予め定められた距離はアプリケータの全長の半分未満に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項11】
負荷チャンバの開口部の直径と上方セクションの外径との間の関係は0.5より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項12】
負荷チャンバの量は5ml未満であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項13】
負荷チャンバの量は2ml未満であることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロ
波加熱装置。
【請求項14】
負荷チャンバは、負荷が含まれるサンプル小瓶を受けるよう適合されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項15】
前記マイクロ波エネルギは、予め定められた周波数範囲内のマイクロ波を含み、かつマイクロ波発生器によって生成されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項16】
前記装置は、負荷を均一に加熱するために前記負荷の加熱に関連したパラメータを測定することにより最低限の反射されたエネルギを検出するよう適合され、前記負荷の加熱に関連する前記パラメータは温度および/または圧力であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項17】
前記マイクロ波発生器は半導体ベースのマイクロ波発生器であり、周波数変動マイクロ波を生成する電圧制御発振器(VCO)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項18】
下方セクションの断面は常に増大するわけではないことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項19】
前記アプリケータの上方セクションは筒形の外形を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項20】
前記負荷チャンバは筒形であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項21】
前記装置は、少なくともアプリケータの上方セクションに沿ってアプリケータの外側を囲むべき金属管配置をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項22】
予め定められた数の孔は誘電アプリケータを通って負荷チャンバの中に配置され、検知装置および/または冷却装置が前記孔に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項23】
システムは、請求項1から22のいずれかに従った、負荷の並行処理および加熱を可能にするよう配置された予め定められたm個のマイクロ波加熱装置を含み、前記システムは、分配ネットワーク(23)を介してm個の前記アプリケータ(24)に接続される信号増幅器(29)によって別個に増幅されるn個の信号発生器(28)を含むことを特徴とする、マイクロ波加熱システム。
【請求項24】
化学反応、および特に有機化学合成反応のために、請求項1から23のいずれかに従ったマイクロ波加熱システムを使用することを特徴とする、マイクロ波加熱装置またはマイクロ波加熱システムの使用方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5】
【公開番号】特開2009−105054(P2009−105054A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324058(P2008−324058)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【分割の表示】特願2003−537373(P2003−537373)の分割
【原出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【出願人】(502307209)バイオタージ・アクチボラゲット (3)
【氏名又は名称原語表記】BIOTAGE AB
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【分割の表示】特願2003−537373(P2003−537373)の分割
【原出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【出願人】(502307209)バイオタージ・アクチボラゲット (3)
【氏名又は名称原語表記】BIOTAGE AB
【Fターム(参考)】
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